...

需要予測の高度化・共有により返品・食品ロス削減に成功

by user

on
Category: Documents
31

views

Report

Comments

Transcript

需要予測の高度化・共有により返品・食品ロス削減に成功
平成 28 年 4 月 25 日
(一財) 日本気象協会 同時発表
需要予測の高度化・共有により返品・食品ロス削減に成功しました
経済産業省は、平成 27 年度次世代物流システム構築事業(※)の一環として、日本
気象協会と連携し、天気予報を活用して返品や食品ロスを削減する「需要予測の
精度向上による食品ロス削減及び省エネ物流プロジェクト」を実施しました。
プロジェクトの結果、
1.食品ロスを 20~30%削減
2.商品輸送で発生する CO2 を半減
3.AI 技術による消費者の購買行動解析 に成功しました。
今後も需要予測の精度を向上し、その情報を製・配・販で共有すること等を通じて、
食品ロスを削減するとともに、余剰生産、配送、蔵置、廃棄等で発生している CO2
を削減することが期待されます。
1.プロジェクトの拡大
平成 26 年度に引き続き実施した平成 27 年度プロジェクトでは、普及に向けて参加企
業を拡大し、平成 26 年度の 9 企業・団体から、26 企業・団体となりました。また、分析
の対象エリアを全国に拡大するとともに、対象品目を小売業が扱う全商品に拡大しま
した。対象商品・エリアを拡大することで、知見やデータを集積し、企業データの解析・
考察における相乗効果を生み出すことができました。
平成 26 年度
平成 27 年度
参加団体数
9
26
対象商品(メーカー)
3 品目
8 品目
対象商品 (小売り)
-
小売りが扱う全商品
地域
関東
全国
2.成果① 返品・食品ロス削減
平成 26 年度、当該プロジェクトにおいて解析に基づく気象予測の利用により生産活
動を効率化できることを確認しました。平成 27 年度は、前年度の成果を用いて実際
に生産量の調整を実施しました。その結果、食品ロス(食べられるのに廃棄されてい
る食品)を、豆腐で約 30%、冷やし中華つゆでは約 20%弱圧縮(対前年比)すること
に成功しました。
商品
実証実験の成果
豆腐
約 30%削減
冷やし中華つゆ
約 20%弱削減
3.成果② 配送の効率化
日本気象協会の気温予測情報を利用することにより輸送計画を早期に決定できるよ
うになり、ペットボトルコーヒーの配送手段をトラックによる陸上輸送から海上輸送へ
シフトすることができました。その結果、貨物 1 トンあたりの二酸化炭素を約 48%削減
することに成功しました。
商品
実証実験の成果
モーダルシフトの実現
ペットボトルコーヒー
貨物 1 トンあたり二酸化炭素約 48%削減
半年で二酸化炭素 98.0 トン削減
4.成果③ 人工知能(AI)を活用した購買行動解析
人工知能(AI)技術を用いて POS データ、SNS データ、気象データの解析を行い、需要
予測モデルの高度化を進めました。その結果、以下の成果が得られました。
・小売店における全商品の売り上げデータと気象の関係を分析しました。それによ
り、気温との関連性が高く、企業において需要予測による効率化が見込まれる、
優先カテゴリーとして、飲料・鍋物等があることが明確になりました。
・人工知能(AI)技術を活用した汎用的な需要予測モデルにより、小売店における来
店客数予測の精度が従来の解析手法に比べて約 20%向上しました。
・Twitter の位置情報付きツイート情報から、人はどのような気象条件の時に「暑
い・寒い」と感じるのかを分析し、より商品の需要に直結する、体感的な暑さ・寒さ
を表す体感気温を作成しました。
5.今後の予定
本プロジェクトが持続可能な取組となるように事業化を目指し、関係性強化と信頼性
向上を図ります。
(1) 関係性の強化
平成 27 年度は製造業を中心に実証実験を行ってきましたが、今後は小売店の販売
計画をメーカーに事前に共有することや季節商品の終売プロセスの最適化などを行
うことにより、より一層食品ロス・返品の削減を進めます。
(2) 信頼性の向上
平成 27 年度に開発した人工知能(AI)を用いた需要予測手法をさらに高度化し、来店
客数や気象の影響を受けやすい日配品の需要予測を行い、小売店の日々の発注業
務に生かすなど、実際のオペレーションに活用する予定です。
※ 「平成 26 年度次世代物流システム構築事業」
我が国の最終エネルギー消費量の約 2 割を占める運輸部門の省エネルギー対策
を進めるため、物流分野等で、効率化に向けた先行事業を行い、その成果を幅広
く展開することで省エネルギー対策を進めることを目的としています。
(本発表資料のお問い合わせ先)
商務流通保安グループ
流通政策課長 (併) 物流企画室長 野村
担当者: 勝尾、川嶋
電 話:03-3501-1511(内線 4161~4163)
03-3501-1708(直通)
03-3501-6204(FAX)
別 紙
<平成 27 年度実証事業の主な成果>
<現状のサプライチェーンと本事業で目指すサプライチェーンイメージ>
【参考:当事業の参加事業者等】 (2016 年 3 月時点/【】内は対象商品)
実施主体:一般財団法人日本気象協会
≪メーカー≫
相模屋食料株式会社(本社:群馬県前橋市) 【豆腐】
株式会社 Mizkan(本社:愛知県半田市) 【冷やし中華つゆ・鍋つゆ】
ネスレ日本株式会社(本社:神戸市) 【ペットボトルコーヒー】
キッコーマン食品株式会社(本社:東京都港区) 【そうめんつゆ・そばつゆ】
ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社(本社:名古屋市) 【炭酸飲料】
株式会社伊藤園(本社:東京都渋谷区) 【麦茶】
≪卸売事業者≫
国分グループ本社株式会社(本社:東京都中央区)
川崎近海汽船株式會社(本社:東京都千代田区)
≪小売事業者≫
株式会社ココカラファインヘルスケア(本社:横浜市)
国分グローサーズチェーン株式会社(本社:東京都中央区)
株式会社ローソン(本社:東京都品川区)
株式会社バローホールディングス(本部:岐阜県多治見市)
株式会社カメガヤ(本社:横浜市)
株式会社マルエイ(本社:千葉県市原市)
一般社団法人新日本スーパーマーケット協会(事務局:東京都千代田区)
≪関連事業者≫
サントリービジネスエキスパート株式会社(本社:東京都港区)
株式会社アットテーブル(本社:東京都品川区)
株式会社シグマクシス(本社:東京都港区)
株式会社あおぞら銀行(本店:東京都千代田区)
イーシームズ株式会社(本社:大阪市中央区)
インフォマティカ・ジャパン株式会社(本社:東京都港区)
株式会社チェンジ(本社:東京都港区)
株式会社サン・プラニング・システムズ(本社:東京都中央区)
≪学術研究機関≫
国立研究開発法人産業技術総合研究所(東京本部:東京都千代田区)
大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 国立情報学研究所(東京都千代田区)
早稲田大学(東京都新宿区)
<<学識経験者>>
立教大学大学院ビジネスデザイン研究科特任教授 張 輝
気象庁気候情報課気候リスク対策官 中三川 浩
テクニカルソリューションズ株式会社代表取締役社長 勝呂 隆男
東京都市大学メディア情報学部情報システム学科教授 大谷 紀子
Fly UP