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遮音性を向上させるには

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遮音性を向上させるには
21523
遮音性を向上させるには
2602 市川景太
2512 後藤なつ美 2516 鈴木慎太郎 2617 篠田祐作
要旨
私たちは遮音性をより向上させるために,3 つの実験を行った。1つ目の実験では,遮音性と防音
壁の材質との関係を調べ,防音壁の密度が高いほど遮音性が高いことが分かった。2つ目の実験では,
防音壁の形状と遮音性との関係を調べ,防音壁の形状と遮音性は関係が無いという結果が出た。3つ
目の実験では,防音壁と音源の周波数との関係を調べ,遮音性を向上させるためには,防音壁の固有
振動数を考慮する必要があることが分かった。
1.目的
音源を箱状の壁で囲って,音と防音壁などの関係を調べる。
2.使用した器具・装置
すべての実験で,音源出た音が防音壁を通過した後の音の大きさを指標として評価した
実験1 防音壁の質量と遮音性との関係を調べる
・音源(Youtube より 528Hz) ・騒音測定機(騒音測定機:Sound Meter)
・電磁式はかり
・段ボール(厚さ 4mm) ・木(バルサ材 厚さ 4mm) ・発泡スチロール(厚さ 4mm)
・防音シート(厚さ1mm) ・ガムテープ (・カッター ・カッティングマット)
実験2 防音壁の形状と遮音性との関係を調べる
・音源(Youtube より 528Hz) ・騒音測定機(騒音測定機:Sound Meter)・電磁式はかり
・段ボール(厚さ5mm) ・ガムテープ (・カッター ・スタンド ・カッティングマット)
実験3 音源の周波数と防音壁との関係を調べる
・音源(Frequency Generator 500~1200Hz) ・騒音測定機(LINE 騒音測定機)
・アクリル板(厚さ3mm) ・ガムテープ (・カッティングマット
・カッター)
3.手順
実験1
防音壁の質量と遮音性との関係を調べる
① 音源から 30cm の位置に測定器を設置する
② 音源に囲いをかぶせる
③ 音源から音を出し,3 回測定を行い,3 回の測定値の平均を出す
④ 囲いの材質を段ボール,防音シート,発泡スチロール,木と変えて①番から③番までの操作を
繰り返す。
図1
実験 1 の概略図
23-1
実験2 防音壁の形状と遮音壁の形状との関係を調べる
① 音源の 30cm 真上にスタンドを用いて測定器を設置する
② 音源に囲いをかぶせる
③ 音源から音を出し,3回測定を行い,平均値を出す
④ 囲いの形状を変え,3番までの操作を繰り返す
図2
A 上部に四角錐 1 つ
B 三角屋根
D 上部に四角錐 4 つ
C 上部に四角錐 2 つ
E 上部に台形
図3
実験2で使用した囲いの形状
(各囲いの上段が上から見た図,下段が横から見た図)
23-2
実験2の様子
実験3 音源の周波数と防音壁との関係を調べる
① 音源から水平方向 15cm の位置に測定器を設置する。
② 測定器にアクリル板を用いて作成した囲いをかぶせる。
③ 音源から音を出し,測定を行う。
④ 音源の周波数を 500Hz から 50Hz ずつ上げていき,3 番までの操作を繰り返す。
音源
測定器
図4
実験3の様子
4.結果
実験1 物質の質量と遮音性との関係を調べる
表1 実験1の測定結果
囲いの材質
防音壁を通過した後の音の大きさ(dB) 質量(g)
何もなし
43
段ボール
22
32
木
36
30
発泡スチロール
38
23
防音シート
15
120
140
120
100
80
60
40
20
0
図5
囲いの材質と遮音性の関係
23-3
実験2 防音壁の形状と遮音性との関係を調べる
表2
実験2の測定結果
頂点の数(個) 辺の数(本) 面の数(面) 防音壁を通過した後の音の大きさ(dB)
A(四角錐 1 つ)
B(三角屋根)
C(四角錐 2 つ)
D(四角錐 4 つ)
E(台形)
なし
5
6
6
8
8
4
9
5
8
18
4
8
2
5
16
15
14
13
15
11
30
実験3 音源の周波数と遮音性との関係を調べる
表3
実験3の測定結果
音源の周波数
(Hz)
音の大きさ(dB)
1 回目
2 回目
防音壁なし
防音壁あり
防音壁なし
防音壁あり
500
57
40
70
50
550
56
41
69
42
600
55
28
70
38
650
56
28
70
36
700
56
28
70
37
750
56
29
70
42
800
57
31
70
42
850
57
31
71
46
900
55
31
69
47
950
56
35
69
50
1000
56
38
70
57
1050
56
47
69
61
1100
55
47
70
69
1150
56
59
70
62
1200
55
45
80
防音壁なし
70
防音壁あり
60
(
50
音
40
の
大 30
き
さ 20
d 10
B
)
0
500
550
600
650
700
750
800
850
900
950 1000 1050 1100 1150 1200
音源の振動数
図6 振動数と遮音性の関係(実験3
23-4
1回目)
グラフ 3
70
防音壁なし
60
防音壁あり
50
音 40
の
大 30
き
さ 20
(
)
d 10
B
0
500
550
600
650
700
750
800 850 900
音源の振動数
950 1000 1050 1100 1150 1200
図7 振動数と遮音性の関係(実験3
1回目)
5.考察
実験①から,基準は何もかぶせなかった時とすると結果のグラフが示すように「段ボール」「バル
サ材」
「発泡スチロール」の順で遮音性が高いことが分かった。この結果から,質量が大きければ大
きいほど,遮音性も高いのだと考えられる。このことは,防音シートにも当てはまる。今回使った防
音シートはビニールと鉛で作られていた。よって遮音性が最も値が大きくなったのは質量と遮音性の
関係に起因すると思う。
実験②から結果より囲いをしなかったときの値と比べてどの形状も数値はさがった。だが,それぞ
れの頂点数,辺数,面数の差異を比べても関係性を見つけることができなかった。よって,この実験
からでは形状よる関係性はわからなかった。
実験③では周波数の変化による遮音性の違いについて調べた。その結果,周波数が 1100Hz~1150Hz
に近づいたときに測定値が急激に高くなることが分かった。これについて考えた結果,固有振動数が
関係していることが考えられる。固有振動数とは,物体ごとにそれぞれ振動しやすい固有の音の周波
数が決まっており,その物体の固有の振動数のことである。この振動数に周波数が近くなるほど遮音
性が低くなってしまう。この課題を解決するため,2 つの方法を考えた。1つめは,防音壁に粘弾性
のある材質を使うことである。粘弾性のある材質は,固有振動数が極めて高くなるため,それによっ
て固有振動数を調節することができる。2つめは,防ぎたい音源の周波数とは異なる固有振動数をも
つ防音壁を使うことである。使う場所に合わせて,防ぎたい音の周波数とは違う固有振動数をもつ防
音壁を作成することで,固有振動数による共振を防ぐことができる。
以上から,実験 1 から実験 3 までの結果から,遮音性を向上させるためには,防音壁の質量を大き
くし,固有振動数の対策をすることが必要であることが分かった。
6.今後の展望
固有振動数の異なる材質で防音壁を作成し,それが遮音性を向上させることにつながるのかを調べ
ていく。また,固有振動数だけでなく他にも遮音性に関係のある要因を調べていく。
23-5
7.参考文献,引用文献
・構造解析事例|株式会社テクノソルバ
http://www.techsol.jp/structure_analysis.html
固有振動数についての記事より参考
・騒音測定機:Sound Meter(アプリ)
・LINE 騒音測定機(アプリ)
・Frequency Generator(アプリ)
23-6
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