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司法修習生・法科大学院生 のための

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司法修習生・法科大学院生 のための
司法修習生・法科大学院生
のための
企業内弁護士
&
QA
交渉
訴訟
法律
相談
資料 社内
作成 規則
企業内弁護士パンフ.indd 9
契約書
2014/10/03 18:44
皆さんの疑問に
企業内弁護士が答えます。
企 業 内 弁 護 士 の市 場・分 布 等
企業内弁護士は
何人位いるのでしょうか。
2014 年 6 月時点で 1179 人の弁護士
が企業内弁護士として活躍しています
(日本組織内弁護士協会調べ)。
【企業内弁護士 採用企業数・採用人数の推移】
1179
1200
1000
953
採用人数
800
771
587
600
400
企業内弁護士は
さらに増えるのでしょうか。
200
0
0
企 業 内 弁 護 士 の人 数 は 急 速 に伸 び
100
ております。弁護士全体からすると,
200
2014 年 6 月時点では約 3%であり,
海外と比べてもまだまだ少ないことか
ら,今後も,さらに企業内弁護士の人
数は伸びるであろうと考えられます。
66
80
88
109 123
146
188
266
354
428
2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014
年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年
39
47
50
56
68
300
400
500
採用企業数
600
700
81
104
158
209
259
326
458
508
619
企 業 内 弁 護 士 の 業 務・魅 力 等
企業内弁護士の業務として
どのような業務があるのでしょうか。
企業内弁護士の業務は,組織により,また個人により,さまざまです。
法務部門,コンプライアンス部門の方が多く,主に以下のような
業務に携わっています。
①契約書作成・チェック,契約交渉
②社内規則等のルールの制定・改廃
③取締役会,執行役員会議の資料・議事録等の事前チェック
④事故,法令違反等への対応
⑤訴訟管理,訴訟代理
⑥社内からの法律相談
⑦社内啓蒙活動(社内講師,教材作成等)
⑧ロビーイング(民法改正その他の法令改正等)
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また,法務部門やコンプライアンス部門等以外では,経営企画,
経営管理,事業企画等の他の部署で活躍される方も増えています。
企業によっては,法務部にいる弁護士よりも,他の部署にいる弁
護士の方が多い企業もあります。
弁護士が企業内弁護士となることの
意義は何でしょうか。
弁護士は,法曹教育を受け,法律の基礎や要件事実その他の法
律的な考え方・思考様式を叩きこまれます。法律や契約の解釈や,
事実認定等を行うにあたっては,この基礎的な教育の有無が,弁
護士資格を有する者とそうでない者の契約解釈や事実認定の仕
方についての「違い」をもたらします。契約にせよ,さまざまなト
ラブルは,話し合いにより解決できなければ,最終的には裁判で
の解決となる訳ですから,裁判において,どのように法律や契約
が解釈され,また,事実認定がなされるかを予想できる力は,す
べての基礎となります。
また,弁護士は,法律に基づき,守秘義務等の一定の法的義務
を課せられるほか,高い倫理観を求められる等,社会から信頼・
期待される存在であり,社会に対して重い責任を負っております。
その代わりに,訴訟代理権や接見交通権等,諸外国においては
弁護士秘匿特権を特別に認められてきました。このような存在だ
からこそ,アメリカ等においては,法務部門やコンプライアンス
部門の主要メンバーは,弁護士資格を有する者となっている訳です。
日本においては,歴史的に弁護士の数が少なかったこともあり,
弁護士でない法務部員が多数を占め,上述のような弁護士の価値
が,社会にそこまで浸透していないように思われますが,先輩弁
護士等の活躍もあり,企業内弁護士の地位・役割は次第に重要性
を増してきています。
なお,法務部門等における日常の業務においては,弁護士でなく
ても個別の法律の知識や業務の経験量等で,弁護士より優れた
方々もいらっしゃいます。そのため,上記のような違いは,あまり
目立たない面もあるかもしれません。周囲の方々に敬意を示しつ
つ,それぞれの弁護士が,高い意識と志をもって業務に従事し続
け,周囲の信頼を獲得することにより,道は開けてくるはずです。
企業内弁護士のやりがいは何でしょうか。
職場によりさまざまですが,先輩企業内弁護士の意見をいくつか
紹介いたします。
・アドバイザーとしての立場ではなくて,まさにメンバーとして
その案件の最初から最後まで深く関与することが出来ます。
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・ビジネス面についても,かなりステップインして,色々な部門
の方々と意見を交わしながら,案件を作っていけます。
・法務以外の専門的な分野について,社内の専門家にすぐに
話を聞くことができます。特にビジネスの戦略,内容,業績,
技術面等については,法律事務所にいるよりも,情報が入っ
てきやすいのではないでしょうか。
・実際に自分が携わった案件について,その後の経営数値,売
上額等を通じて,案件が失敗する所もつきつけられます。う
まくいかなかった案件から学ぶ点は多いです。
・案件を達成した際の社内の関係部署からの評価,感謝の声が
やりがいです。社内クライアントとの距離が近いため,法律
事務所での勤務よりも,フィードバックは,多いのではないで
しょうか。
先輩方が企業内弁護士を選んだ
理由は何でしょうか。
企業内弁護士を選んだ理由として,ワーク・ライフ・バランスを理
由の一つとしてあげる弁護士の方は,相当数います。
例えば,企業の場合には,産休等の制度が整備されているケース
が多く,また,子供が生まれた後も,時短勤務,フレックス勤務
等の制度が整備されていたりするケースもあります。ワーク・ライ
フ・バランスという観点からは,相対的に働きやすい面があるの
ではないかと考えられます。
また,ビジネスとの近さ,一体感等が感じられ,仕事として充実
しているとおっしゃる方も多くおられます。
企業内弁護士が
委員会活動や刑事弁護活動をすることは
可能でしょうか。
また,個人事件の受任は可能でしょうか。
刑事国選弁護等の公益活動は,認める企業が増えています。一方,
民事の個人事件については,利益相反の問題,会社のレピュテー
ションの問題,職務専念義務の問題等もあり,認めていない企業
が多いようですが,認める企業もあります。
企業内弁護士に語学力は必要でしょうか。
企業・組織により異なりますが,一般論としては,避けて通れな
いように思われます。自分の業務の幅を広げるためにも,語学力
を伸ばすことは重要です。
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企業内における法務のステータスは
低くないでしょうか。
グローバル化が進み,過去には契約書をほとんど作らなかった業
界においても,契約書を作るようになる等,法務の重要性は増し
ています。また,日本の会社においても,法務部から執行役員に
なる方も多くなってくる等,法務のステータスは,近年,ますます
向上しています。
過去においては,コンプライアンスという守りの面の重要性が
クローズアップされる傾向が強かったかもしれませんが,近年は,
法務戦略の攻めの面についても,その重要性が認識されるように
なってきており,ビジネスのスピードやニーズに柔軟に対応するこ
とで,法務部門が,会社全体としての利益に貢献し,社内での信
用を勝ち取る例が増えています。
就 職 活 動・キャリアパ ス等
どのように企業内弁護士についての情報を
収集すれば良いでしょうか。
書籍,雑誌,各種ウェブサイト等の情報源のほか,実際に先輩方
にお会いして話を伺うのが良いのではないかと思われます。また,
企業によっては,インターン等も受け入れていますので,活用を検
討すると良いと思います。ヘッドハンターの方々もさまざまな情報
を持っていますので,世の中の企業内弁護士の需給関係等を知る
のにとても勉強になります。
この他,日弁連のホームページにも,さまざまな情報を掲載して
いますので,そちらもご覧ください。
どのようなキャリアパスが
考えられるのでしょうか。
(最初から企業内弁護士となるケース)
・従前は修習修了後にすぐに企業内弁護士になる弁護士はめず
らしかったですが,ここ5,6年で,すぐに企業内弁護士とな
る弁護士が増えてきました。
・企業によって,待遇はさまざまであり,法務部門やコンプラ
イアンス部門に配属される場合が多いようですが,事業戦略
等他部署に異動するケースもあります。企業側のスタンスに
ついて,就職前に十分に確認して就職先を決定することが必
要です。
・ここ数年で,修習修了後すぐに企業内弁護士になられた方々
5
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は,まだ主任や管理職に成り立てという方が多いと考えられ
ますので,役員へ昇進するほどの経歴がないのが現状ですが,
法務部門を担う人材として採用されているケースが多いため,
将来的には法務部長,法務担当役員へ昇格するケースも出て
くるであろうと考えられます。
(途中から企業内弁護士となるケース)
・ここ数年,3年から7年程度の法律事務所での勤務経験を有
する方が企業内弁護士となられるケースが増えています。
・もっとも,企業・組織によっては,中途の採用に消極的な所
もあるようです。また,採用募集(採用枠)の問題があるの
で,募集がなければ優秀であっても採用されること自体が困
難になります。また,企業内弁護士と法律事務所の弁護士と
では,求められる能力が異なる面もありますので,法律事務
所での経歴・経験がそのまま企業内弁護士でいかせるとは限
りません。前述のように企業内弁護士として叩き上げでキャリ
アを積む方が増える等,各社の法務部のレベルも底上げされ
てきています。法律事務所はつぶしがきく等という安易な考
え方はお勧めいたしません。
・よって,将来的に企業内弁護士への転身を視野に入れるとい
うことであれば,そこに向けた戦略を考え,それ相応の準備
をしておくことが有用といえるでしょう。
企業勤務の後,
法律事務所に転職したり,
独立したりすることは可能でしょうか。
先輩の弁護士で,実際に,企業に勤務した後で,独立や法律事務
所に転職等なさっている方はいらっしゃいます。顧客を連れてこら
れるかという観点等から,ハードルがある点は否めませんが,企
業内でなければ得られない経験もあり,独立等してうまくやって
いけるかも,結局は,各個人次第であると考えられます。例えば,
書籍を執筆したり,研究会に参加する等して弁護士としての知名
度をあげることを勧める先輩弁護士の方もいらっしゃいます。
企業内弁護士が増えるにつれ,企業内弁護士から法律事務所に転
職したり,
独立する方も今後増えていくのではないかと考えられます。
法律事務所勤務経験なく
企業内弁護士になった場合の
メリット・デメリットを教えてください。
法律事務所も企業も多種多様であり,一概には難しいですが,一
般的なメリットとしては,早く当該会社のビジネスが理解できるこ
と,組織におけるルールや,人間関係に馴染みやすいこと等では
ないでしょうか。
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一方,デメリットとしては,配属された部署の案件等には詳しくな
るものの,全体的な法律知識という面では,自己研鑽がなかな
かに難しい面があるかもしれません。また,一サラリーマンとして,
一般的な雑務等に追われる毎日ということに仮になりますと,弁
護士的な思考が身につきにくい側面もあるかもしれません。この
ようなデメリットを解消するためには,志を高く持ち,主体的に自
己研鑽を続けていくことが重要であるように思います。
企業の採用スケジュールは
どのようになっているのでしょうか。
企業によって異なります。弁護士会の就職説明会等に参加する企
業であれば,採用内定も早い段階(司法修習生であれば入社日の
1年近く前)で内定を出すこともありますが,一般的な転職活動
であれば,入社日の3か月前くらいでしょうか。
大企業と中小企業の
どちらに就職するのが良いでしょうか。
大企業の場合は組織やシステムも整っており,さまざまな研鑽等
の機会を与えられたり,環境が整っている等のメリットがあるかと
思います。また,組織としてのノウハウが蓄積されているケースも
あるかと思います。
他方で,中小企業の場合には,さまざまな業務に携わることがで
きるというメリットがあり,かつ,自ら道を切り開いていくという
やりがい,楽しみもあると聞きます。
この他,ベンチャー企業に入り,上場を目指す方もいらっしゃい
ます。
一概にどちらが良いとはいえませんので,自分なりにメリット・デ
メリットを考慮いただき,判断なさるのが良いかと思います。
その 他
企業内弁護士として働くことを想定した場合に,
修習中に特に学んでおくべきことは何でしょうか。
企業内弁護士も弁護士ですから,何か変わったことをするのでは
なく,通常の修習に専念することをお勧めします。特に企業内弁
護士になると法廷活動は少ないことが多いので,裁判実務につい
て学べることは貴重です。毎日,毎日の修習に,手を抜かずに真
摯に取り組むことが将来につながるように思います。
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2014 年 10 月作成
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