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中国の天然ガス価格改革と市場化に向けた取り組み(速報)
更新日:2015/11/20 調査部:竹原 美佳 中国の天然ガス価格改革と市場化に向けた取り組み(速報) 1.天然ガス価格改革 2015 年 11 月、政府(国家発展改革委員会)は、「非民生用天然ガスシティゲート価格引き下げと価格 の市場化を推進する改革に関する通知」(2015 年11 月18 日、発改価格【2015】2688 号)を出し、11 月 20 日から非民生用の天然ガスシティゲート価格(北京市など行政区分基点の卸価格)の見直しを行う。2015 年4 月にも価格の引き下げを行っており今回は 2回目。今回は 3割程度の引き下げであり、また上下20% の変動が許容されたことで需要の喚起に一定の効果が見込まれる。2014 年下期に原油価格が急落し、 天然ガスは LPG などの石油製品に対し価格競争力が低下、供給過剰となっており、見かけ消費の伸び は 2014 年の 8%から 2%程度に鈍化している (図 1)。ただし経済活動は低調であり、短期的には需要の 伸びは引き続き鈍い動きになると思われる。 図1:天然ガス見かけ消費対前年同期比増減 新華社 China OGP に基づき作成 –1– Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 【価格改革の概要】 シティゲート価格上限について一律 28%、700 元/千 m3(≒111 ドル/千 m3≒3 ドル/MMBtu)の引 き下げを実施し、平均価格は 1,808 元/千 m3(≒287 ドル/千 m3≒7.7 ドル/MMBtu)となった。 表1:改定前・改定後のシティゲート平均価格 改定前 2015年4月1日~ 11月19日 改定後 2015年11月20日 ~ 値下げ 元 ドル/千m3 ドル/MMBtu 2,508 398 10.6 1,808 287 7.7 700 111 3.0 国家発展改革委員会通知 発改価格【2015】2688 号に基づき作成 また、シティゲート価格をこれまでの上限価格から基準価格とし、基準価格から上下 20%の変動を認め る。現在の平均価格を基準に上下 20%変動させると、20%割引の場合 1,447 元/千 m3(≒230 ドル/千 m3≒6.1 ドル/MMBtu)となり、20%プレミアムを付けた場合 2,170 元/千 m3(≒344 ドル/千 m3≒9.2 ド ル/MMBtu)となり、723 元/千 m3(≒114 ドル/千 m3≒3.1 ドル/MMBtu)の価格変動が許容される。 表2:シティゲート価格の上下変動額 20%割引 基準価格 20%プレミアム 価格変動幅 元 ドル/千m3 ドル/MMBtu 1,447 230 6.1 1,808 287 7.7 2,170 344 9.2 723.31 114.81 3.06 国家発展改革委員会通知 発改価格【2015】2688 号に基づき作成 2.天然ガス価格の市場化に向けた改革 政府は、前述の通知において価格の市場化に向けた改革について、次の通り示している。まず需給 双方が上海石油・天然ガス交易中心(取引所)を活用し、価格政策の許容範囲内(基準価格の上下 20%) –2– Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 で取引を行い、取引価格を形成すること、2~3 年以内に非民生ガスの公開・透明な取引を行うことを目 指すとしている。また、生産・輸入事業者に対して長期的な視野で取引に取り組むことを、取引所の会員 に対しては場内・場外取引の数量・価格等の情報を共有すること、取引所に対しては規範的な管理、運 営、透明な取引、公に認められる価格設定に至る手段や方法の追求を求めている。このことは、政府が 上海市場における天然ガス価格を指標価格化を目指すという意識のあらわれと見ることができる。しかし、 現時点では取引の透明性についての担保、プレイヤーの規模(供給側がどの程度取引に参加するの か)、また取引を行うにあたり法規制や貯蔵インフラ等の整備が十分にあるのかなど不明な点が多い。原 油先物取引が数年延期されていることからも短期的な実現性、あるいは国際市場への影響は低いと考え られる。 表3:最近の天然ガス価格改革 価格改革の概要 2011年12月 2013年7月 2014年9月 2015年4月 2015年11月 南部(広東・広西)で非民生卸価格の市場連動を試行 油価連動:上海の代替燃料(重油・LPG)の2010年輸入価格(重油60%、LPG40%の加重平均) 割引率(10%):石油製品から天然ガスへの転換を促進するため1割割り引く 上海ネットバック:上海を基準市場とし各地のシティゲート価格を決定する 熱量(低位):重油1万kcal、LPG1万2000kcal、天然ガス8,000kcal VAT(増値税):13% 全国の非民生卸価格見直し 二段階の価格 ①前年消費 ②増加分(2011年に南部で試行した制度を適用、ただし代替燃料の輸入価格は2012年、割引率は15%) 全国の非民生卸価格見直し ①前年消費(価格は平均18%上昇) ②増加分(価格は据え置き) 非民生卸価格見直し 前年消費と増加分価格を統合 ①前年消費(価格は平均20%上昇) ②増加分(価格は平均15%下落) 直送価格(化学肥料を除く)の自由化試行 非民生卸価格見直し ①値下げ(30%) ②シティゲート価格を上限価格から基準価格に切り替え、基準価格から上下20%の変動を認める 前年消費 価格 ドル/ MMBtu 増加分価 格 ドル/ MMBtu - - 9.0 12.7 10.6 12.7 10.6 7.7 国家発展改革委員会通知に基づき作成 –3– Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。