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特別企画 :四国地区の木造住宅建築業者の業績動向調査

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特別企画 :四国地区の木造住宅建築業者の業績動向調査
2016/12/14
高松支店
高松市錦町 1-11-3
TEL:087-851-1571
URL:http://www.tdb.co.jp/
特別企画 :四国地区の木造住宅建築業者の業績動向調査
2015 年度の総売上高は前年度比 1.0%減、利益額合計は 3.7%増
~ローコスト住宅が好調、高価格帯の住宅は苦戦~
はじめに
国土交通省が発表している住宅着工統計によると、2015 年度の四国 4 県で新築された持ち家の
一戸建て住宅は 9952 戸で、2014 年度の 9890 戸を上回っていた。また、2015 年度の分譲での一戸
建て住宅は 1288 戸で、2014 年度の 1215 戸を上回るなど、四国での一戸建ての新築住宅の販売は
増えていた。
そこで、帝国データバンク高松支店では、一戸建て住宅を手掛けることの多い木造建築工事業
者の動向を探るため、2013 年度から 2015 年度の売上高、利益額(当期利益、以下同じ)
、従業員
数をみるとともに、売上高上位企業を抽出した。
今回の調査は「木造建築工事業」を主業とする企業のうち、2013 年度~2015 年度の年売上高が比較可能な 1943
社を対象に実施。
調査結果(要旨)
1. 四国に本社を置く木造住宅建築業者 1943 社の 2015 年度の総売上高は前年度比 1.0%
減の 2156 億 4900 万円。
2. 上記 1943 社のうち、2015 年度に増収だった企業数は 582 社(30.0%)となり、減
収の 750 社(38.6%)より少なかった。2014 年度の増収企業数(765 社・39.4%)
と比べると、企業数は減少していた。
3. 上記 1943 社のうち、3 年度連続で利益が比較可能な 664 社の 2015 年度の利益額合
計は前年度比 3.7%増の 17 億 3000 万円であった。344 社(51.8%)の企業が減益と
なっており、2014 年度と比べて 37 社増加していた。
4. 上記 1943 社のうち、3 年連続で従業員数が判明している 1862 社の 2015 年の従業員
総数(正社員のみ、役員・パートなどを除く)は 5130 人。2014 年と比べて 0.4%増
とわずかではあるが増加していた。
©TEIKOKU DATABANK, LTD.
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2016/12/14
特別企画 : 四国地区の木造住宅建築業者の業績動向調査
1.総売上高
四国に本社を置く木造住宅建築業者 1943 社の 2015 年度の総売上高は前年度比 1.0%減の 2156
億 4900 万円と微減となった。2014 年度の総売上高は前年度比 3.9%増の 2178 億円であった。
2015 年度の総売上
高は微減であったが、
(百万円)
ローコスト住宅を主力
250000
商品として売上高を伸
ばす企業がある一方で、
これらの業者との競争
により住宅の販売価格
が低下して減収となる
■ 総売上高推移
2178億
2096億8700万
2156億4900万
210000
170000
130000
企業も多く、全体では
90000
微減となったようだ。
50000
2013年度
2014年度
2015年度
2.売上高動向
分析対象である 1943 社の売上高の動向をみると、2015 年度に「増収」となった企業数は 582
社(構成比 30.0%)と、
「減収」の 750 社(同 38.6%)より少なかった。
2014 年度と比べると、
「増収」となった企業の数は 183 社(-9.4 ポイント)減少していた。一
方、
「減収」は 18 社(0.9 ポイント)増加していた。2015 年度の総売上高が微減となったのは、1
社平均の増減収額は 2014 年度と大きな差がなかったが、
「増収」となった企業数が減少したこと
と、
「減収」となった企業は増えたものの僅かであったことが影響したようだ。
2 年度続けての動向をみると、連続して「増収」となった企業数は 199 社(構成比 10.2%)だ
った。一方、連続して「減収」となった企業は 216 社(同 11.1%)で、
「増収」となった企業数を
17 社上回っていた。
■ 増減収状況
増収
減収
うち2期連続増収
うち2期連続減収
横ばい
合計
2014年度
社数
構成比(%)
765
39.4
732
37.7
446
1943
23.0
100.0
社数
2015年度
構成比(%)
582
30.0
199
750
10.2
38.6
216
611
11.1
31.4
1943
100.0
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特別企画 : 四国地区の木造住宅建築業者の業績動向調査
3.収益動向
分析対象の 1943 社のうち、3 年度連続して利益が比較可能な 664 社の 2015 年度の利益額合計を
みると、前年度比 3.7%増の 17 億 3000 万円だった。2014 年度は前年度比 13.6%減の 16 億 6900
万円であった。
2015 年度は、その 664 社のうち 344 社(構成比 51.8%)と半数以上の企業が「減益」となって
いた。
2014 年度と比べると「増益」企業数
■ 利益額合計推移
(百万円)
は 37 社(-5.6 ポイント)減少してい
2200
た。一方、
「減益」企業数は、37 社(5.6
19億3200万
1900
ポイント)増加していた。
16億6900万
17億3000万
2014年度
2015年度
1600
「減益」となった企業が半数を超え
たにもかかわらず、利益額合計が増加
1300
したのは、「増益」となった企業の 1
1000
社平均の増益額が大きくなったこと
700
2013年度
と、「減益」となった企業の平均減益
額が小さくなったからだった。
「減益」となった企業では、販売
■ 増減益状況
2014年度
社数
構成比(%)
平均単価の低下と建築技術者など
の人件費上昇を理由とするところ
増益
が多かった。また、「増益」となっ
減益
た企業では、増収効果のほか、建築
横ばい
技術者の増員で外注費用を抑えて
うち2期連続増益
うち2期連続減益
合計
355
53.5
307
46.2
2
664
0.3
100.0
社数
2015年度
構成比(%)
318
47.9
125
344
18.8
51.8
115
2
17.3
3.2
664
100.0
いるところもあった。
4.従業員総数推移
分析対象である 1943 社のうち、3 年連続で従業員数(正社員のみ、役員・パートなどを除く)
が判明している 1862 社の従業員総数(各年の 12 月末データ)の推移をみてみると、2015 年の従
業員総数は 5130 人であった。
2014 年の従業員総数 5111 人と比
べると 19 人(0.4%)とわずかでは
あるが増加していた。
■ 従業員総数推移
(人)
5,500
5202
5,100
2014 年は、2013 年(5202 人)と比
4,700
べると 91 人(1.7%)と減少してい
4,300
た。
3,900
5111
5130
2014年
2015年
3,500
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2013年
3
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特別企画 : 四国地区の木造住宅建築業者の業績動向調査
5.売上高上位 10 社
1 位となった四国ホームは、愛媛県南予地区を代表するゼネコン大任建設と、2×4住宅の国内
最大手の三井ホームの合弁会社で、三井ホームの持分法適用会社。四国での三井ホームブランド
の2×4住宅の販売総代理店である。
2016 年 3 月期は、新築住宅の完工数は前期並みの水準を確保したが、販売平均単価の低下から
新築住宅部門の売り上げが前期を下回ったことから減収となった。
2 位となった日進堂は、住宅開発を手掛ける日進堂グループの中核会社。建築条件付き分譲地の
販売と注文住宅の建築請負を行っている。香川県内に住宅展示場を 3 カ所、住宅リフォーム展示
場1カ所を構えており、香川県全域を営業エリアとしている。
2015 年 11 月期は、消費税増税の駆け込み需要の反動により新築住宅の注文が減少した。リフォ
ーム工事の営業強化により、自社の住宅購入者を中心としたリフォーム受注は大きく伸びたもの
の、新築住宅販売の落ち込みをカバーできず減収となった。
3 位のファミリーホームは、日進堂の子会社。ローコスト住宅「ピュアハウス」を販売している。
香川県以外にも、松山市や岡山市に営業所を開設するなど四国全域と岡山県を営業エリアとして
いる。
2015 年 8 月期は、支店の新設や営業社員を増やすなど積極的な営業を展開。価格面の優位性を
活かし、若年層を中心に住宅販売数を伸ばしたことから増収となった。
売上高上位 10 社中 6 社が増収となっていた。
■ 四国 2015年度住宅建築業者売上高上位10社
順位
社名
(単位:百万円)
所在地
最新期売上高
1
四国ホーム 株式会社
愛媛県松山市
4,176
2
株式会社 日進堂
香川県高松市
3,623
3
株式会社 ファミリーホーム
香川県高松市
3,348
4
株式会社 はなおか
徳島県板野郡
3,144
5
株式会社 コラボハウス
愛媛県松山市
3,047
6
扶桑建材工業 株式会社
香川県高松市
3,046
7
株式会社 アットハウジング
愛媛県松山市
2,993
8
中庭住宅 株式会社
香川県高松市
2,492
9
株式会社 明徳ホーム
香川県高松市
2,215
10
株式会社 ミツワ都市開発
愛媛県松山市
2,102
※2015年4月期~2016年3月期が対象。
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2016/12/14
特別企画 : 四国地区の木造住宅建築業者の業績動向調査
まとめ
今回の調査で、四国の木造住宅建築業者の 2015 年度の総売上高は、微減となっていたことがわ
かった。ローコスト住宅の普及などで販売平均価格が低下したことから、新築住宅戸数が増える
なかで、微減に留まった。一方、利益額合計は増加していたが、半数以上の企業が減益となって
いたことも判明した。
四国の人口は減少が続いているが、地価の低下やローコスト住宅業者の台頭、住宅ローン金利
の低下などで、若年層でも利便性の高い地域で一戸建て住宅を購入することが可能となった。こ
のことが新築一戸建て住宅の増加している要因の一つであり、四国に本社を置く木造住宅建築業
者でもローコスト住宅を主力とする業者が売り上げを大きく伸ばしている。その一方で、業者間
の競争が激しくなっており、減益となる企業が増えていることは懸念材料である。
ともあれ、住宅の購入の際には、家電や家具、自動車などを同時に購入することも多く、個人
消費が活発となる。これからは、心地よい住空間に加え、安全性や環境への配慮など、住宅に求
められる要素はさらに多様化していくだろう。そのようなニーズに応える価格やデザイン、独自
性の高い住宅を提供できるかが、木造住宅建築業者の行く末を左右するだろう。また、建築技能
者不足と高齢化、若年層への技術継承も大きな問題となっている。複数の建築業者が協力して技
術者を育成する団体を立ち上げるなど様々な取り組みが行われている。これらの取り組みが功を
奏し、業界の活性化が進むことに期待したい
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