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バスケットボールゲームにおけるディフェンスに関する研究

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バスケットボールゲームにおけるディフェンスに関する研究
福岡教育大学紀要,第63号,第5分冊,131   134(2014)
バスケットボールゲームにおけるディフェンスに関する研究
Research on the Defense in Basketball Game
末 永 知 寛 蔵 元 彩
Tomohiro SUENAGA
Aya KURAMOTO
大学院保健体育コース
大学院保健体育コース
小津和 俊 洋 鈴 木 淳
Toshihiro KODUWA
Jun SUZUKI
大学院保健体育コース
保健体育講座
(平成25年 9 月30日受理)
Abstract
It is for this research investigating the effect of the deny defense used as one of the technology of
the defense of a basketball. To the line on the straight line which connected its ball man and mark man, a
deny defense is inserting one’s hand and body, and means blocking an offense’s quick path. Playing various
operations, such as intercepting a path course, stopping an offense’s moving course, and helping an ally
from the most important aim which is not made to strike a shot under the situation where operation has
disadvantage more clearly [ defense power ] than an offense, in an instant is called for.
(1)In this research, it aims at showing clearly whether a difference comes out to the time of an entry
pass by the existence of a deny defense as 1 data of the research in a defense.
(2)Five regular seasons in October of the domestic Top League in 2012 -2013 season were made into
the object game.
In 2012 to 2013 season, this top team had the lowest average points lost within the league, and since
two or more Japanese all-star representatives were also on the register, it was taken as the object of
research.
(3)By whether there is any deny defense about the remaining time of the time which received the
entry pass or began the dribble for the attack where five persons are set, or there is nothing, the
offense and the defense carried out repeated regeneration of the VTR, and observed it, and it recorded
data.
(4)It was suggested that this research can delay the time of a partner’s entry pass for 1 second, and
can take offense time for 1 second when there is a deny defense.
キーワード:Basketball, Deny, Defense, Offense, Pass, Entry pass
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末 永 知 寛 ・ 蔵 元 彩 ・ 小津和 俊 洋 ・ 鈴 木 淳
Ⅰ 緒言
バスケットボールは,ゲーム構造から考えると,
オフェンスとディフェンスの 2 極面から成り立っ
ている。対峙する 2 チーム間におけるゲームの勝
敗は,その攻防力の優劣によって決定する。大神
らは1),オフェンスのシュート正否が直接的評価
観点になると指摘し,シュート動作に至る直前プ
レイ,即ち,ディフェンスを振り切るムービング
やパスコースを判断するレシーブムービングが間
接的評価観点として捉えられ,その両面により,
オフェンス力が認評されると述べている。一方,
ディフェンスにおいては,オフェンスよりも明ら
かに動作に不利がある状況下において,シュート
を打たせない一義的狙いから,パスコースを遮断
し,オフェンスのムービングコースを抑え,味方
のヘルプをするなど,多様な動作を瞬時にプレイ
することが求められる。それ故にディフェンス成
功には,ポジショニング(立ち位置)やオフェン
スとの距離(間合い),移動タイミングなど,オフェ
ンスのポジションやムービングからそれらを把握
することがディフェンス力評価の最重要課題であ
ると報告している1)。
ディナイとは英語で deny と綴り,「否定する,
拒む,断つ」という意味を持つ単語である。バス
ケットボールにおいて,これはディフェンスの技
術の一つとして用いられる。自分のボールマンと
マークマンを結んだ直線上のラインに対して,自
分の手や身体を差し入れることで,オフェンス
の素早いパスを妨害することをディナイという。
ディナイはバスケットボールにおいて,その重要
性のわりに軽視されがちな存在である。またディ
ナイには絶え間ない集中力と見る技術が必要とさ
れ,コート上の状況に応じて,自分の位置を適切
に判断し続けることが求められる。強烈な 1on1
の技術を持つ選手が,正確なディナイを前にすれ
ばその能力を十分に発揮することはできず,得点
を積み重ねることはできなくなる。ディナイの方
法を知り,確かな技術の習得に取り組むことで
チームに貢献することができる。
また,ディナイは,本質的な意味を技術的に言
えば,パスコースを遮断するということである。
しかし,無闇にディナイすればいいというわけで
はない。試合中,「今この場面で,自分のマーク
マンにボールを持たせると向こうに展開されて,
得点チャンスを与えてしまうから」または「ボー
ルを持たせると 1on1 で得点のチャンスを与えて
しまうから」と頭で判断することが必要である。
つまり,ディナイの技術を教えると同時に,どこ
でどう使うべきかという本質の部分を教える必要
がある2)。
そこで本研究では,ディナイディフェンスにお
ける研究の一資料として,ディナイディフェンス
の有無によってエントリーパスの時間に差が出る
のかを明らかにすることを目的とする。
Ⅱ 研究の方法
1.対象ゲーム
2012-2013 シーズンにおける国内トップリーグ
である,JBL のトップチームの 10 月のレギュラー
シーズン 5 試合を対象とした。このトップチーム
は,ここ数年で好成績を残しており,2012-2013
シーズンではリーグ内で平均失点が一番低く,日
本代表選手も複数在籍していることから,研究の
対象とした。
2.調査方法
オフェンス,ディフェンス共に 5 人がセットさ
れた状態でエントリーパスを受けた,又は攻撃
のためにドリブルを始めた時間の残りの時間を,
ディナイディフェンスの有無を VTR を基にデー
タの記録を行った。
3.分析
本研究で得られたデータはすべて平均値(AD)
±標準偏差(SD)で示した。また統計処理には
F 検定を行った後,対応のない T 検定を行った。
Ⅲ 結果・考察
1.エントリーパスの平均時間
表 1 はハーフコートエントリー時にパスが入っ
た時のディナイの有無を示している。図 1 では
ディナイディフェンスの有無によるエントリーパ
スの平均時間を示した。ここから分かるように,
ディナイディフェンスがある場合は平均 17.4 秒
で,ディナイディフェンスがなしの場合は平均
18.6 秒で,ディナイディフェンスがある方がエン
トリーパスをする平均時間において 1% 水準で有
意に差が見られた。
2.ディナイディフェンスとエントリーパスの平
均時間の関係
ディナイディフェンス時に約 1 秒間の時間差が
見られた理由として,ディナイディフェンスがあ
ることによってエントリーパスを受ける時に時間
をかけさせることができたからではないかと考え
られる。ボール付近にいるオフェンスをマークし
バスケットボールゲームにおけるディフェンスに関する研究
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表 1 ディナイの有無によるデータに F 検定と T 検定をかけた結果
F-検定:2 標本を使った分散の検定
ディナイ有
ディナイ無
平均(秒)
17.3880597
18.59183673
分散
4.058656716
2.454931973
観測数(回)
201
49
自由度
200
48
観測された分散比
1.65326647
P(F < = f)片側
0.020371483
F 境界値 片側
1.494795662
t-検定:分散が等しくないと仮定した 2 標本による検定
ディナイ有
平均(秒)
17.3880597
分散
4.058656716
観測数(回)
201
仮説平均との差異
0
自由度
91
t
-4.540357948
P(T < = t)片側
8.57749E-06
t 境界値 片側
1.66177156
P(T < = t)両側
1.7155E-05
t 境界値 両側
1.98637711
図 1 ディナイの有無によるエントリーパスの平
均時間の違い
ているディフェンス(2 線のディフェンス)がパ
スを防ぐため,ディナイディフェンスをする。引
いて守るのと違って運動量が必要になり試合を通
してやり切るのはなかなか大変ではあるが,オ
フェンスはディナイディフェンスをされてボール
がもらえないとかなりのストレスを感じるだろ
う。単発でたまにディナイをするのではなくて,
連続でやり続けることが大事である。いくら動い
てもボールがもらえない状況をつくることができ
れば,オフェンスは相当なフラストレーションが
ディナイ無
18.59183673
2.454931973
49
たまる。オフェンスはディフェンスを振り切るた
めに走りまわるので,相当な体力を消費すること
になる。ディナイをする上で気を付けなければい
けないのは,オフェンスに裏を走られないことで
ある。パスコースを遮るように守るディナイは,
オフェンスに比較的近い位置にポジションを取る
ため裏を抜かれやすい。パスカットを狙うあまり
前に出過ぎてしまうと簡単に走られてしまうので
注意が必要である。ボールマンにはプレッシャー
をかけ続け,そこから簡単にパスを展開させない
よう,ディナイをしていく3)。とあるように,今
回の研究でもディナイディフェンスをすることに
よって,相手のオフェンス時間を奪うことが示唆
することができた。
3.ディナイディフェンスの効果
ディナイをしなかった場合,マークマンに早く
正確なパスを供給されてしまう。そのためボー
ル付近のオフェンスは素早くボールを保持し,
シュートやドリブルのなどの選択肢を容易に確
保することができる。ディフェンスはシュート
チェックに前に出ざるを得ず,相手にとってオ
フェンスしやすい状態で 1on1 が始まってしまう。
これはディフェンスにとって致命的であり,避け
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末 永 知 寛 ・ 蔵 元 彩 ・ 小津和 俊 洋 ・ 鈴 木 淳
たいことである。パスコースを断ち,パスの制度
を悪くする。ディナイディフェンスを行い相手の
オフェンス時間を短くさせるということは,相手
に思うようにオフェンスをさせないということも
同じく言えるのではないかと考えることができ
る。
Ⅳ まとめ
本研究はディナイディフェンスにおける研究の
一資料として,ディナイディフェンスの有無に
よってエントリーパスの時間に差が出るのかを明
らかにすることを目的とした。その結果,ディナ
イディフェンスがあることによって,相手のエン
トリーパスの時間を 1 秒遅らせ,オフェンス時間
を 1 秒奪うことができるということが示唆され
た。
Ⅵ 文献
  1)大神訓章・児玉善廣・金 亨俊(2010)バス
ケットボールゲームにおけるディフェンスの
ポジショニングに関する数学的考察.山形大
学紀要(教育科学)第 15 巻 , 43-44
  2)木村 功ほか(2006)強くて安定したディフェ
ンスを手に入れる.Basketball MAGAZINE
Clinic Vol14.ベースボール・マガジン社 ,
16-17
  3)鎌田光顕ほか(2004)ディフェンス強化・方
法論.Basketball MAGAZINE Clinic Vol12.
ベースボール・マガジン社,16-17
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