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販売管理

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販売管理
販売管理
目次
1.販売管理の定義
2.販売管理の内容
⑴仕入管理
⑵在庫管理
⑶出荷管理
3.市場の変化
⑴売り手市場における小売業
⑵売り手市場から買い手市場へ
⑶買い手市場における小売業
4.小売業における仕入れ
⑴価格設定
⑵商品を扱うタイミング
⑶商品選択
⑷仕入れ値
1.販売管理の定義
①マーケティング・マネジメント全体
‣マーケティング計画と予算管理
‣マーケティング情報システム(市場環境、競合動向、販売状況など)
‣マーケティング組織
②マーケティング・マネジメントの一領域であるセールス・マネジメント
‣販売組織・体制の確立、編成とその効果的な運営
‣販売計画の立案、販売割当ての実施、販売予算の統制
‣販売員の採用、教育、訓練、督励、報酬などによる販売員管理
‣信用調査、代金回収
(ブリタニカ国際大百科事典とMBA用語集を参考)
→どこまでを販売管理の領域とするか、言い換えるとマーケティング・マネジメント
と販売管理を区別するかという問題
1.販売管理の定義
• 一般的な理解:
• マーケティング:消費者にとって価値のある商品・サービスの提供を進める
ために、企業が行う一連の活動。市場調査、消費者ニーズを満たす商品
の開発、販売促進、宣伝広告など。 (経済・ビジネス用語辞典)
• 販売活動:売上、仕入、在庫の3つの業務からなる。これらの検討により業
務処理効率の改善、在庫の最適化、経営戦略のサポート、顧客満足度の
向上などが可能になる。
売上業務:受注、出荷、入金、請求、売掛など
仕入業務:発注、入荷、支払、支払、買掛など
在庫業務:入庫・出庫、棚卸、伝表、帳票、統計分析、取引先の情報管理
など(製造技術用語集を参考)
1.販売管理の定義
• どちらが一般的なのか?
→後者が一般的で理解しやすい
• 前者を広義の販売管理、後者を狭義の販売管理という場合がある
• 前者も、企業の組織を大きく把握する場合や、販売業務全体を戦略
的に把握する必要性を強調したいときに使われる
• 文脈に応じてどちらが使われているかを判断する必要がある
2.販売管理の内容
注文
仕
入
先
受注管理
発注管理
仕入管理
物流・在庫管理
売上管理
商品
商品
請求
請求
債務管理
出金
注文
債権管理
入金
得
意
先
⑴仕入管理
• 仕入れの流れ
‣仕入れ先と商品などのQCDについて交渉→合意→注文書を発行
→仕入れる→検収→代金支払い
• 発注方法
‣定量発注方式と定期発注方式が代表的
• 仕入れ商品の決定方法
‣一般に集中型仕入れ方式と分散型仕入れ方式がある
• 求められること
‣必要な商品の必要な数量を安くタイムリーに購入すること
‣発注費用と在庫維持費用や在庫リスクとの関係の最適化
⑵在庫管理
• 在庫の特徴
‣在庫は会社の資金が利益になるのを待っている状態
‣過小在庫はチャンスロス(販売機会機会損失)を生む
‣過剰在庫は見切りロスや廃棄ロスを生むとともに、キャッシュフロー
の悪化も招く
• 求められること
‣在庫状況の正確な把握と各方面(受注、仕入れ部門)への情報提供
‣在庫の適正水準維持(納品率、在庫回転率の向上)
→ロジスティクス戦略、SCM構築、情報システム導入
⑶出荷管理
• 出荷管理の内容
‣得意先からの受注に基づいて商品を出荷する
‣小売業では販売先が消費者である
• 求められること
‣得意先までの到着時間を考慮した、得意先の納期どおりの、
正確な出荷
3.市場の変化
⑴売り手市場における小売業
• 行動基準は「それは自分にとって損か得か、生産性や効率はどうか、
人手やコストや手間はかからないか、今までのやり方を変えなくて
済むか、面倒ではないか」等々
• これらが許される時代においては、いくら「お客様第一主義」と言った
としても、よほどの志がない限りは知らないうちに売り手中心になって
しまう
⑵売り手市場から買い手市場へ
• 消費の成熟化(消費者の需要が品種需要から単品需要へと移る)、
市場の飽和、競争の激化
→従来のように個々の店の立脚する個別・具体的な市場与件の差異
を無視ないしは軽視して、上から下へと一方的、画一的に商品を
押し込む手法がうまくいかなくなる
→変化への対応ができずに、経営難に陥る大量の企業の輩出
⑶買い手市場における小売業
• 買い手市場の行動基準は「それはお客の立場に立ったときに満足
かどうか、お値打ちかどうか」という顧客基点
• 企業生命をかけての顧客中心主義の徹底した取り組みなくしては
店や企業の存続すらもあり得ない時代に
• 時間軸や気象条件、生活催事や地域行事の有無といった、個々の
与件への踏み込み度合いがビジネスの成否に大きくつながる
→「個店発注」の必要性
見事な個店対応の例
• 毎年8月に行われる東京・隅田川花火大会にて
• 店の前面に大型のボックスを並べて、その中にソフトドリンクをいっ
ぱいに入れ、コピー機を外して設置した製氷機で作った氷を入れて
冷やして販売
• 通常は文房具など雑貨品を置いている陳列棚におにぎりや弁当、
サンドイッチなどを満載状態で並べて置く
• 店の入り口には「どうぞご自由にトイレをお使いください」と書いた張
り紙を掲げ、日頃は雑誌類が売られているスペースを人が並ぶス
ペースにした
• この日の店の売り上げは平均の4倍にも上った
ありうる疑問
• いかに買い手市場時代だといっても、7、8割は各店共通だろうから、
それを押さえればいいのでは?
―鋭い顧客の価値選択、厳しさの度を増す競争環境、変化の速い
市場というシビアなビジネス環境の下では、残りの2、3割のニーズ
をどう押さえるかが重要
• 「お客様第一主義」とは言っても、企業である以上は利潤が一番大事
なのでは?
-利潤が大事だとしても、意識を売り手中心から買い手中心へと
変えなければ細部で失敗する
4.小売業における仕入れ
• 仕入れの重要性
‣売上の80%は商品で決まる
‣商品は「売る」ものではなく、「売れる」ものである
• 求められること
‣仕入れを感性のみに頼るのではなく、結果や傾向を把握して
未来を予測する客観的事実をもとに、顧客を代行して行うこと
←売り手が顧客のことを完全に理解することが困難であるから
• 内容
‣立地の決定→商業人口の決定→売れる商品の価格、アイテム数、
タイミングの決定
⑴価格設定
• 安い価格や高い価格は絶対金額の問題ではなく、商業人口にふさ
わしい価格との関係で決まる
例:文具店で商業人口7万人→300円の商品が最も売れる
30万人→1000円の商品が効率よく売れる
• 他で売れている場合でもその店がどれくらいの商業人口であるのか
を調べる
• 客単価の二極化も考慮する
⑵商品を扱うタイミング
• タイミングの決定
• 販売=タイミング×量×商品内容
• タイミングがずれると売れる量や商品内容が変わる
• タイミングと販売数量は理論で分析しないとマーケット分析できない
• 商品自体のライフサイクル、その商品を店舗に導入してからのライフ
サイクル、一年間(季節)でのライフサイクルの3つにおいて、導入期、
成長期、安定期、衰退期を判断する必要
• 効率的に販売数を伸ばせるのは頂点に最大の力を注ぐこと
⑶商品選択
• 全国展開の店舗からは商品を、地元繁盛店からは売り方を学ぶ
• サンプル購入は必要経費であり、最後は社員販売で売る
(自社の販売スタッフに割引しても売れない商品は失格)
• 客数比率が高い商品の順に新商品導入の基準を考える
• 他の商品で売れているポイント(素材、テイスト、ブランド、価格)に共
通点があればそれを探す
• 価格を最重要視すれば新商品が大きくずれることは少ない
⑷仕入れ値
• できるだけ安く仕入れる
• 牛丼屋での例
‣材料費、諸経費で175円/1杯を350円で1日500杯、1か月売る
‣売上=350円×500人×31日=542,5万円
‣材料費=175円×500名×31日=271,25万円
‣運営費=月あたりの人件費-運営費
=900円×3名×24時間×31日+家賃30万円+光熱費25万円
=255,88万円
‣儲け=542,5万円-271,25万円-255,88万円=15,37万円
‣一杯あたりの儲け=15,37万円÷1万5500杯≒9.9円
‣利益率=9.9÷350≒0.028→2.8%
⑷仕入れ値
• もし原価が10円下がったら……
‣利益は19.9円に(約2倍)!
‣利益率は約5.7%に!
• 原価を下げるための工夫
‣グループ内で牛の部位の使い分け
‣企業合併で仕入れコスト低減
‣直接取引、先物取引
‣仕入れ先を分散する
まとめ
• 「販売管理」には広義の意味と狭義の意味があり、どちらであるかは
文脈で判断する
• 買い手市場においては個々の与件への踏み込み度合いがビジネス
の成否に大きくつながる
• 仕入れ費用は常に気をつかう必要がある
• 仕入れは自分の感性のみに頼るのではなく、結果や傾向を把握して
未来を予測する客観的事実をもとに、顧客を代行して行うことが大切
である
参考文献
• 『絵解き すぐできる商品管理・物流管理』遠藤八郎・鈴木邦成、2008年、
日刊工業新聞社
• 『図解 よくわかるこれからのバイヤー』三宅達三、2008年、同文館出版
• 『セブン‐イレブンに学ぶ発注力』緒方知行、2007年、幸福の科学出版
• 『牛丼一杯の儲けは9円』坂口孝則、2008年、幻冬舎新書
• 「業務に強いSEになるための販売管理入門」閲覧日:2014.06.07
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20071108/286766/
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