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Wands2013年10月号本文1 - Wine Press Japan

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Wands2013年10月号本文1 - Wine Press Japan
ここ数 年、 北 海 道 産 の ワインヘ の 注 ‖度 が
高まっている。 ワイン醸造 用ブ ドウ生産 日本 一
を誇 る北 海道 の 現状 を把 握 するために、代表
的 なワイナリー とブ ドウ栽培 家 のい くつ かを訪
ね た。
北海道ワインの歴 史は、明治 8年 (1875年 )
に明治政府 の 命で北海道 開拓 使庁 が、札幌 市
苗穂村 にブ ドウ園を開き試験 栽培を始めたこと
に遡 る。 ところが、 今で も存在 するワイナリー
の誕生は昭和 38年 (1963年 )の 「│^勝ワイン」、
昭和 47年
(1972年 )の
「
ふらのワインJ、「
北
海 道 ワイン」 まで待 たな けれ ば な らない。 そ
の後 も比較的スローペースで、 1999年 (平成
H年 )以 前設 立 のワイナ リー 数 は 10中F未満.
しか し2000年 以 降 に倍増 し、現 在 20中「
を優
に超 えている。 この 背 景 には、 もちろん 1998
年 のワインブームも関連 があるが、北 海道 のワ
イン用 ブ ドウが本州 のワインメー カー たちに認
められ たことが大きいようだ。 実 際、 新 しく,没
ウされたワイナリーのい くつ か は本州 からの参
人でもある。
●道を挙げてのワイン振 興計画
また、北 海道 が政策 として 「
北 海道 ワインJ
のブランド化を 日指 し、北海道 での醸造 用ブ ド
ウ栽培 を促進 していることも後押 しとなってい
る。
例 えば、 一 昨 年春 に北 海道 が記 した 「
北海
道 果樹 農 業振 興 計 画Jに よれ ば、 平成 2111
3 ,レ Zハ ワ9∫
6 0″ .2θ′
に 396haあ る醸造 用 ブ ドウ栽 培 面積 を、 /■食
年毎年 のように梅 雨か秋雨といった長雨がある
様子を 見て、それならばブ ドウ栽培 が適 してい
用ブ ドウの面積 を若 干減 らしてで も平成 32年
には 440haに したいとの 日標を立てている (実
(2008年 と 2010年 はな し)。 今年 も余 市を除
るので はない か と考 えたの だ。 しか も、 米作
けばお 盆以 降 に雨 が相 当量 降 った場所 が 多 く、
に不 向きな斜 面や礫地でもブ ドウなら育つ。実
際には、 生食用ブ ドウか らもワインは造 られて
灰 色 カビ病 などへ の対 策 にい とまが な い。 そ
のところ、富 良野 は 日照量 が 多くドライで、 日
いる)。また 「
醸造 用ぶ どう参 入 の 手 引 きJを
れで も、意 欲 的で 前向 きな生産 者 が 多 く、 取
較差が大 きく、ブ ドウ栽培 の適地 だ。
作成 し新 規参 人を促 している。 とりわけワイン
材を しながらこちらも期待感 に満ちてきた。
業界で話題 になったのは、 山梨 県北 杜 市、長
道 内での醸造 用ブ ドウ品種 を、 栽培 面積 が
広 い 順番 に記 してお く (平成 21年 /農 林水産
省 統 計 資 料 )。 ケルナー (s29ha/自 )、 セイ
野 県 東御 市に続 く、 一 昨 年 の 余 市町 の ワイン
特 区認定。道 内で既 に醸造 用ブ ドウ生産第 一
位 の余 市町 が、 11月 28日 付 で 「
北 の フルー
ツ王国よいちワイン特 区Jと な り、それ以 降す
でに何 軒 もの新 規就 農者 や ワイナリー 設 立 が
み られる。 更にもうひとつ 。 今までは、 いわゆ
る寒冷地 に適 したブ ドウ品種 が主に栽培 されて
きたが、 ピノ 。ノワールをは じめとするピノ系
品種 にも注 目が集 まっている。 それをうけてか、
今年度 より数年 間 にわたり道 内で の ピノ 。ノワ
は成長 が早 いですね。4月 か ら 10月までの平
均気温 は、富 良野、余市、鶴 沼、 い ずれも約
15℃で 同 じです が、最 高気 温 は ここが 1℃ ほ
ベ ル 13053(49 4ha/赤 )、 ツヴァイゲル トレー
ど高い。6、7月 に 30℃を越 える日があ り、 日
ベ (41 9ha/赤)、ミュラー ・トウルガウ (39 2ha)、 較差が最 も大 きいといえますJ。ちなみ に、収
バ ッカス (29 4ha/白)、セイベ ル 5279(24 0ha
/自 )、山幸 (14 7ha/赤)、清 見 (9 9ha/赤)、
穫 期 の 10月 か らの気 温 は 日中が 21℃、夜 間
/赤 )、メル ロ (5 0ha)。
5279。赤 はセイベル 13053、ツヴアイゲル トレ
が 10℃ほどになるという。
(7
6ha)、
ベ
セイ ル 9110(9 7ha/白 )、シャル ドネ
ワイン造 りが始 まったのは設立から5年 経過
ヴァイスブル グンダー (ピノ 。ブラン /6 8ha)、 した昭 和 52年 (1977年 )。 主要 品 種 は、 自
ピノ。
ノワー ル (6 3ha)、
レー ンベ ルガー (5 6ha
はケルナー、 ミュラー ・トウルガウ、 セイベ ル
ールの 栽培を確立するため の 試験 栽培 の 計画
がある、とも耳にした。
業務製造課 長 の 高橋 克幸 さんは 言う。 「ここ
ーベ 、 ふ らの 2号 だ。 直営 の畑 は 20haあり3
富 良野地 区
道 の後押 しや特 区の影響 もあり、 「
北 海道 ワ
軒 の農 家 へ 栽培 委 託 しているほか、 契約 栽培
農家 は約 40軒 で合計 40ha。
イン」 をは じめとするい くつ かの大 手 ワイナリ
「
ふ らの ワイン」 (正式 名 称 :富 良野 市 ふ どう
「
直 営 の畑 はほぼ斜 面 です。 契約 農 家 では平
ー に加 えて、近年、新規参 入組 によるマイクロ
果樹研究所/運 営 は富 良野市)
地であっても砂利が多く水 はけがよいなど、結
ワイナリー が興 っている点 も面 白 い。 とはいえ
設立 :昭 和 47年 (1972年)
局 淘 汰 されて水 は けのよい畑 だけ残 っていま
マ イクロワイナリーの 場 合 には発 売 とともに完
拠点 :富 良野市
す。 基 本 的 には埴 壌 土 (粘 L37550%と 砂 )
売 という状態 のようだから、個性豊 かであって
もそれが広 く伝わりにくいという難点 もある。
い ず れ にせ よ北 海 道 の 気 候 は大 変 厳 しく、
空 知川 が流 れ る富 良野 盆 地 で、 昭 和 47年
と火山灰、あるいは埴壌 土と砂利」。
からワイン用ブ ドウ栽培 が始 まった。 当時 市長
ここでは雪 は l nlほど積 もる。 積雪対策とし
を務 めていた高松 竹次 が、過疎 化 した富 良野
て主 幹 は低 め に、 斜 めに仕 立てて いる。 しか
凍 害 によるダメー ジがあり、その影響でブ ドウ
を活性 化 させ ようと頭をひね った結 果の ことで、
し反対 に雪 が少 ないと困るという。 「12月に雪
の樹 齢が短 い。 更には地球温暖化 の影響で近
秋 になると自然界 には山ブ ドウが たっぷ り実 る
が積 もらず マ イナス 20℃ 以 ドになると、 幹 が
形
“
NDS Oι
2θf3
ア
r
イブ レー ター 、選果台、 コンベ アーの セットで、
高橋 さんが着任 した 2007年 か ら導入。 これを
機 に状 態 の 悪 いブ ドウは購 入 しな い と宣 言 し
た。 「
それ までの慣 習を知 らなかったものです
から。 しか し、農家 さんへ も駄 日なものは買わ
ないと、返 去「
。 しばらくもめましたが、最終 的
に 市長 まですべ て賛 同 してくれ ましたので、造
りも変 わ り私 もまだここにいることができます」。
加 えて 自ワイ ンでデブル バー ジュも始 めたため、
クリアー で雑 味 のない 味わ いが 出せるようにな
り、急速 に高 い評価を得 るようになった。
栽培 と醸造 の 両方 を管轄 する職 務 だった高
橋 さんは、 今年 か ら販売 にも携 わることになっ
た。 折 しも毎 年 春 と秋 に行 われ る 1市 民 還 元
御1引期 間 │が 始まろうとしている、 多忙 な時期
だった.ま た、 「
基 本 的 には市場 は道 内 のみ │
と考えている。
レヾレルふらの
「120H l
白桃、洋梨 、白い花 といった、やさしい香り。
酸がフレッシュですがすが しい味わい。 セイベ
ル 5 2 7 5 5 5 % + ケ ルナー 4 5 % 。
「
ツヴァイゲル トレー ベ 2 0 0 7 1
たため、抜本 して再植樹 しなければならないと
や られて しまいますJ 。雪 の I I のほ うが温 か く
黒 胡椒 のようなスパ イス、 黒 い 果実 の 香 り
幹 を守 る効 果 が あるか ら、 1 2 月にす っば りと
が広 がる。 味 わい は重 いわけではない が、 タ
さんっ
からここの専属 となった農場長の齋藤 浩 i‖
で降 り積 もってほしいのだ。 それでも
幹の 1 1 ま
ンニンは細 かいが本 当にとても多 い.
石狩川 を通 る風 の影響 で霜 害 は数 年 に一 度 し
寒 さの影響 か、最 も占いもので樹 齢 3 1 年 のブ
= ミュラー ・トウルガウ 2 0 1 2 』
か起 こらないとい うが、それでも寒 冷地である
ドウ樹 も少 しは残 っているが、通常 は 1 0 年か
リンゴ、 マスカット、 ハー ブなどフレッシュで
ら 1 5 年で植 え替えを余儀なくされる.
心 地 よい香 り。 酸 は優 しく、 ほんの りと感 じら
1 種は 「バ、らの 2 号 J .
富 良野 で特 徴 的 な i「
ベ
の
のラ
ル
して人気 の 「
が効
を奏
罪 (ひ
熊 絵
れる収れん性 が味わいを引 き締 める。
ころが 常 におよそ 3割 ありますJと 、昨年 の春
ことにまちがいない。
北海道 のブ ドウは多くが斜めの短梢 に仕 ウて
られているが、 その 方法を ,1いだ したのは こ
の畑ではないかといわれている.
ぐま) の 晩酌J に 使 われている、 母 セ イベ ル
小樽および浦 臼地 区
と父山ブ ドウの交雑 品種。 「山ブ ドウの 香 りは
「12月 に積 もり始 め る雪 は 平年 で も 4月 半ば
まで 残 ります.平 年 で 181nほ ど、 最 近 で は
ります。
控 えめで、酸が ソフトなワインにイ│ : l l が
「
北海道ワインJ(お たるワイン、
鶴沼ワイナリー)
2nl以 11。支 柱 に張 ってい る針 金 は、 収 穫 し
山ブ ドウの血 を ひ いてい るだ けあって頑 丈で、
イ
│
設 立 :Hイ
1禾
日47年 (1972イ
「)(鶴 沼 開 院│はロ
て、急 いで 剪定 した後 に ドに降 ろしますcそ う
マ イナス 3 ( ) ℃
でも枯 れ ません。 今年 など何 年
和 49年)
しな い と曲が って しまうか ら。 ブ ドウの 幹も開
に ^ 度か の 1 /の遅
● 霜 で葉 がす べ てな くなった
拠点 :小 樽市郊外 (鶴沼の畑 は浦 自町)
[にしたようですが、傷つ いた り折
園 当初 は 重 「
のですが、 見事復 活 したJ c 事 実、畑では 大き
山梨 県 に生 まれ なが ら北 海道 へ 移 住 し、小
樽で紳 士服 製造業 などを展 開 した蔦村 彰威 (し
れたりするのを避 けるため、斜 めに仕 立てるよ
まむらあきよし)が 、Jヒ海道 ワインを設 立。 71
って必ず しも斜めの短梢 が 合うわ けではないと、
前の通 り、北海道 各地 からのブ ドウだけを使 っ
仕 立て力を研究 中だ。
っ
くて厚みのある葉が r E 気よくl l Kていた。
′
イゲル トレーベ については、「
また、ツヴラ
他
うにな りましたJ。ちなみ に最 近 は、 品種 によ
の 産 地ではベ リー 系 の 香 りが 主体 のもの が 多
7tり
いです が、 ここでは じっか りとした渋 み が ・
たワインを造 り続 け、北 海道 一 のワイン生産量
この上 地で、凍 害 に続 いて 大 きな問題 は動
ます. こ れ が 収 まるの にとても │ 1 間が か か る
を誇 るだ けでな く、鶴 沼 の 自社 畑 の広 さは全
にlllま
れ た広 大 な力│だか
物 による害。 人 │`1然
ので、樽 で 1 年 、瓶 で 5 年 熟 成 させ てい ます.
だか ら2 0 0 アイ
トが現行 ヴィンテー ジです J と い
国でも一 番だ。
らこその難点 だ。 野 ウサギや鹿 が新 芽や F.い
う。 色づ いた実を食べ てみると、粒 は大 きいが、
<鶴 沼ワイナリー >
カバー で覆 わなければな らない。 深 い雪 にll
苗木を食べ てしまうため、金網 や プラスチック
l T を噛 む とはっきりとしたブラックペ ッパー の
香りが した。 これがワインの 香味 へ 影響を ′
′え
ワイナリーJと
まず、醸造 は していないが 「
もれている最 中には、野 ネズ ミが幹をか じるの
名 のつ く鶴 沼を訪れた.約 100haの畑 は 70区
で薬で退治する。 ムクドリは木 の 芽や実を食べ
ているのだろう。
画 に 501キ
占種 が植 えられている。 「今収穫 が 」
るため、 ロケットイ
ビ火で威嚇。 自然 界との共存、
能 なのは 70haで う1]凍 害 などによって枯 死 し
あるい は格 闘 にも大 きな労 力を費 や さなけれ
醸造所 でまず 日に入ったのは、選 果台. バ
8
θ″ 2θf3 ,Iを1ノ
ヽり ∫
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