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全体テーマ 「大学の専門性を支える教養教育」

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全体テーマ 「大学の専門性を支える教養教育」
第 64 回 東 北・北 海 道 地 区 大 学 等 高 等・共 通 教 育 研 究 会
研究集録
全体テーマ 「大学の専門性を支える教養教育」
目 次
日程表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
総会Ⅰ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
庶務報告・会計報告・会計監査報告・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
全体会Ⅰ 基調講演「帯広畜産大学の初年次教育について
-ピアサポートシステムと全学農畜産実習-」
帯広畜産大学 教育支援室長 教授 小池 正徳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
全体会テーマ「大学の専門性を支える教養教育」趣旨・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
分科会テーマ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
○第1分科会 教養教育の大学内連携・大学間連携
話題提供1 山形大学 小田 隆治・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
話題提供2 郡山女子大学 石堂 常世・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
話題提供3 青森県立保健大学 浅田 豊・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
話題提供4 北海道科学大学 秋山 敏晴・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
話題提供5 酪農学園大学 浅川 満彦・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
○第2分科会 外国語教育の多様化と方向性
話題提供1 北海道情報大学 竹内 典彦・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
話題提供2 東北大学 張 立波・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
話題提供3 東北大学 Cecilia Silva・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
話題提供4 北海道教育大学旭川校 Andrew Komasinski・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
話題提供5 北見工業大学 Jennifer Claro・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
話題提供6 北星学園大学短期大学部 Kurt Ackermann・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
○第3分科会 学生の社会性を涵養する教養教育
話題提供1 岩手大学 江本 理恵・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
話題提供2 山形大学 栗山 恭直・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
話題提供3 秋田県立大学 渡部 昌平・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
話題提供4 東北薬科大学 杉山 雅宏・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
話題提供5 酪農学園大学 山田 大隆・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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94
全体会Ⅱ 事例報告「国立大学教養教育コンソーシアム北海道
-2014年10月開講に向けて-」
北海道大学 高等教育推進機構 副機構長・全学教育部長
大学院文学研究科 教授 和田 博美・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 98
総会Ⅱ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・111
参加者名簿・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・112
東北・北海道地区大学等高等・共通教育研究会会則・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・114
総会承認事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・115
東北・北海道地区大学等高等・共通教育研究会開催大学一覧・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・116
東北・北海道地区大学等高等・共通教育研究会開催テーマ一覧・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・117
第64回東北・北海道地区大学等高等・共通教育研究会運営組織・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・120
日 程 表
1日目
8月28日(木)
2日目
会場:帯広畜産大学
09:00~10:00
受 付
講義棟 大講義室 入口
8月29日(金)
会場:帯広畜産大学
09:30~12:00
全体会Ⅱ
講義棟 大講義室
・事例報告(9:30~11:00)
「国立大学教養教育コンソーシアム北海道
10:00~10:20
総会Ⅰ
(講師)
講義棟 大講義室
・委員長挨拶
-2014年10月開講に向けて-」
帯広畜産大学 学長 長澤 秀行
・諸報告
北海道大学 高等教育推進機構 副機構長・全学教育部長
大学院文学研究科 教授 和田 博美
・分科会報告(11:00~11:30)
・意見交換(質疑応答) (11:30~12:00)
10:20~12:00
全体会Ⅰ
講義棟 大講義室
12:00~12:30
・基調講演
総会Ⅱ
「帯広畜産大学の初年次教育について
講義棟 大講義室
-ピアサポートシステムと全学農畜産実習-」
・次期当番大学について
(講師)
・次々期当番大学について
・次期役員について
帯広畜産大学 教育支援室長 教授 小池 正徳
・その他
12:00~13:30
昼 食
12:30~13:30
13:30~17:00
分科会
幹事大学会議
総合研究棟Ⅰ号館 E2501・E2502
講義棟 3番講義室
・第1分科会 教養教育の大学内連携・大学間連携
講義棟 4番講義室
・第2分科会 外国語教育の多様化と方向性
講義棟 5番講義室
・第3分科会 学生の社会性を涵養する教養教育
17:30~19:00
情報交換会
帯広畜産大学「かしわプラザ」
1
総会Ⅰ
総 会 Ⅰ
司会:帯広畜産大学 岡崎まゆみ
議長:帯広畜産大学 金山 紀久
1.開会
司会(岡崎まゆみ委員)から、総会Ⅰの開会が告げられた。
2.委員長挨拶
委員長 帯広畜産大学長 長澤 秀行から、挨拶が述べられた。
3.議長選出
司会から、総会Ⅰの議長に金山紀久副委員長、総会Ⅱの議長に神子博昭副委員長(福島大学)にお
願いする旨の提案があり、了承された。
4.庶務・会計報告及び会計監査報告
議長(金山紀久副委員長)から、前年度の当番大学である福島大学の資料(庶務報告・会計報告・
会計監査報告)に基づき、事前の書面協議により了承されている旨の報告があり、承認された。
5.研究会日程について
議長から、研究会日程を「実施要項」のとおり、また、
「全体会Ⅰ及び全体会Ⅱの司会者」及び「分
科会の司会者・記録者・報告者」を以下のとおりとしたい旨の提案があり、承認された。
全体会Ⅰ 司会者 岡崎まゆみ
全体会Ⅱ 司会者 時岡 裕純
第1分科会 司会者 楠田 尚史
記録者・報告者 村田浩一郎、岡崎まゆみ
第2分科会 司会者 David Campbell
記録者・報告者 佐々木洋子、Marshall Smith
第3分科会 司会者 Romero Hoshino Isami
記録者・報告者 柴口 順一、平舘 善明
6.閉会
議長から、総会Ⅰの終了が告げられた。
2
総会Ⅰ
全体会Ⅰ
第1分科会
第2分科会
第3分科会
全体会Ⅱ
総会Ⅱ
参加者名簿
3
総会Ⅰ
4
総会Ⅰ
第63回(平成25年度)東北・北海道地区大学等高等・共通教育研究会決算書
〔収入の部〕
目
内
訳
第62回研究会からの繰越金
会
費
15,000円×98校
銀行預金利息
預
金
利
息
収
入
合
計
額
765,093円
1,470,000円
第1分科会
前年度繰越金
金
全体会Ⅰ
項
190円
2,235,283円
第2分科会
第3分科会
全体会Ⅱ
総会Ⅱ
参加者名簿
5
総会Ⅰ
第63回(平成25年度)東北・北海道地区大学等高等・共通教育研究会決算書
〔 支 出 の 部 〕
項
諸
目
謝
内
訳
金
30,000円
基調講演者(松塚)
旅
費
事務引継(福島~帯広2人)
印 刷 製 本 費
信
207,900円
研究集録 450部
756,000円
費
55,180円
525円
印刷製本費の振込手数料
525円
費
雑
44,400円
840円
85,000円
資料作成代 5,000円×17件
諸
8,890円
会場費等の振込手数料
次年度繰越金の振込手数料
品
203,640円
実施要項 450部
研究集録の送料
耗
29,400円
963,900円
事務連絡の郵送
消
30,000円
233,040円
基調講演者(松塚)
(東京~福島)
通
金 額
費
85,000円
125,960円
飲食代(役員、講演者、話題提供者、
89,442円
幹事大学会議、事例報告者等)
参加者用飲料
賃
借
料
274,200円
会場費及び看板・音響映像機器使用料
支
出
合
274,200円
計
1,767,280円
次年度繰越金
468,003円
合
6
36,518円
計
2,235,283円
総会Ⅰ
全体会Ⅰ
第1分科会
第2分科会
第3分科会
全体会Ⅱ
総会Ⅱ
参加者名簿
7
全体会Ⅰ 基調講演
全体会Ⅰ 基調講演
帯広畜産大学の初年次教育について
-ピアサポートシステムと全学農畜産実習-
帯広畜産大学 教育支援室長 教授 小池正徳
1.はじめに
帯広畜産大学は、昭和16年に帯広高等獣医学校として創立し、昭和24年に国立大学唯一の獣医農畜産
系の単科大学として設立された 。 その後、畜産学、生命科学、食品科学などの農業諸科学分野の増設、
整備 ・ 再編を行い、平成2年および平成6年には、それぞれ連合獣医学研究科博士課程(岐阜大学大学
院)および連合農学研究科博士課程(岩手大学大学院)の構成大学となった 。 平成18年には、獣医領域
および畜産領域の融合分野による基礎研究、応用研究、実践技術習得を目的とした 「 食の安全確保 」 に
関する高度人材育成のため、全国で唯一 「 博士(畜産衛生学)」 の学位を授与する畜産衛生学専攻博士
課程を設置した 。
本学の教育課程である「アドバンス制」は、「基盤教育」「共通教育」「展開教育」の3つの教育分野
から成る。下級学年では大学で学ぶための基礎となる幅広い知識や技術、農畜産全般の基礎知識を中心
とした学習(基盤教育・共通教育)を行い、専門教育への意欲と方向性を育成する。そこで、上級学年
に進むにつれて獣医農畜産の特定分野の深い専門知識・技術の学習(展開教育)へと前進(アドバンス)
していく教育課程である。特に畜産科学科では、入学時に上級学年で学習する専門分野を決定せず、農
畜産のさまざまな分野についての基礎知識を学習し理解を進めながら、自主的な判断でそれぞれの学ぶ
専門分野を選択していくという方式を取っている。
アドバンス制における初年度教育の核となっているのが「ピアサポートシステム」と「全学農畜産実
習(共同獣医学課程においては農畜産演習)」である。
2.ピアサポートシステム
日本学術振興会「大学教育・学生支援推進事業 大学教育推進プログラム」は、各大学等における学
士力の確保や教育力向上のための取組の中から、達成目標を明確にした効果が見込まれる取組を選定し、
広く社会に情報提供するとともに、重点的な財政支援を行うことにより、我が国の高等教育の質保証の
強化に資することを目的としている。平成22年度、本学が申請した取り組み、「ピアサポートで支える
補習教育と初年次教育」が採択された。
2-1 取組の概要
本学の教育理念である、「獣医農畜産の幅広い領域で活躍する専門職業人の養成」のより高度な実現
を目指す。
1.上級生チューターによるピアサポート体制、「学び合いのキャンパス」の実現
2.高校補習教育に重点を置く講義の開講
3.初年次教育の支援及び改善の基盤となる学習支援コーディネーター室の設置
4.プロジェクト助教による支援体制の確立
8
総会Ⅰ
平成22~24年度まで上記のプログラムに文科
省から予算が計上されたが、25年度以降は学内
措置により運営されている。現在は、教育支援
室の加藤清明教授をリーダーとして大学院生も
含めた学部上級生のピアサポーターが外国語(英
全体会Ⅰ
語、ドイツ語、スペイン語)、数学、物理学、
生物学、化学に関して、推薦入学の学生だけで
なく基盤教育のそれぞれの科目を苦手とする学
生のピアサポートを実施している。
2-2 入学前の準備
第1分科会
推薦入学が決定した学生の高校の進学担当教
員に本学における専門科目と関連性のある各科
目の単元について連絡(図2)し、農業高校の
入学決定者に関しては英語、数学、国語、理科、
社会における問題集を配布し、入学後、試験範
図1 ピアサポートの模式図
第2分科会
囲をあらかじめ知らせてプレスメントテストを
実施する。採点結果に基づき、基準点に達して
いない新入生は1年次前期において英語(Basic English)、数学(入門数学)、物理学(入門物理学)、
化学(入門化学)、生物学(入門生物学)を受講することになる。これらの科目は1単位として認定さ
れる。
第3分科会
全体会Ⅱ
総会Ⅱ
参加者名簿
図2 推薦入学が決定した学生の高校の担任教員に送る資料
9
全体会Ⅰ 基調講演
2-3 学習支援コーディネータ―室
図3 学習支援コーディネータ―室
平成23年度より、ピアサポート学生のミーテイングや、高校の教科書、参考書、問題集等の補習教育
の資料や初年度教育に必要である他大学で利用される理系教養教科書を備え。いつでも入室できる体制
をとっている。
3.全学農畜産実習
3-1 全学農畜産実習について
新入生全員を「全学農畜産実習」に参加させることで、学生に農畜産の幅広い知識と体験を提供し、
専門教育ユニットの自主的な選択を支援するとともに、クラス単位での実習参加を通じて、学生の人間
関係やコミュニケーションを確立することを目指した、総合的な導入教育を行う。現在、畜産科学課程
では、2年次から専門教育を6つのユニットに分属するが、学生は全学農畜産実習とそれに連動させた
座学である農畜産学概論(Ⅰ~Ⅵ)をもとにして専門教育ユニットを自主的に選択する。ユニット選択
のない共同獣医学課程(授業の名称は「農畜産演習」だが内容は同一)では、実習・演習の体験を通じ
て農畜産の幅広い見識をもつ獣医師の養成を目指す。クラスには複数の学生支援教員を配置し、実習の
指導と監督だけでなく新入生の大学生活への円滑な適応をサポートさせる。実習を運営する実習協力教
員や学生支援教員は全学の教員で分担しており、これまで実習への参加を経験した教員の割合は畜産学
部畜産科学課程担当のほぼ全教員の約100パーセントに達しており、新任教員は採用年度の次年度には
積極的に担任教員として参加してもらっている。
10
総会Ⅰ
3-2 全学農畜産実習の変遷
全体会Ⅰ
第1分科会
図4 ユニット(専門教育課程)の変遷
第2分科会
帯広畜産大学では平成14年度に、4学科構成であった畜産学部を獣医学科、畜産科学科の2学科構成
に改組するとともに、畜産科学科では旧3学科の専門教育分野を9つの「専門教育ユニット」に再編し
て、入学者が学年進行の中で専門教育ユニットを選択する「アドバンス制」教育システムを導入した。
その後、獣医学科は平成23年度より北大との共同獣医学課程に、畜産科学科は畜産科学課程となり平成
20年度には9つを5つのユニットに変更、さらに平成26年度よりユニットは6つの構成になった(図4)。
第3分科会
もともと全学農畜産実習は多種多様なメニューを準備(各ユニットから1つ以上の実習メニューを準
備)していたが、特色GP後の予算の制限もあり、平成20年度より「畑における作物の栽培と豚の飼育
管理・解体・加工」のメニュー中心となり「作物と家畜の命を育み、命の大切さを実感し、『いただき
ます』の本当の意味を知る」実習となった(図5)。
全体会Ⅱ
総会Ⅱ
参加者名簿
11
全体会Ⅰ 基調講演
図5 全学農畜産実習の流れ
3-3 全学農畜産実習の実施体制
畜産学部新入生250名を共同獣医学課程40名1クラス、畜産科学課程210名5クラスに分け、各クラス
に担任教員3名、3名のうち責任者1名(コア教員)を配置し、実習の出席だけでなく各メニューでの
手伝いや、時には学生と一緒に汗を流し実習を実施する。また、語学、体育の教員と連携し出欠の確認
をとり、2回連続して休んだ場合はコア教員が学生に連絡を取る体制をとっている。さらに、コア教員
会議を実習メニューの確認と新入生の出席確認等の連絡をするため、1年次前期に1~2週間に1回実
施している。
畑の実習および、羊の毛刈り、豚の飼育管理・と畜・ソーセージ加工実習、搾乳実習、アイスクリー
ム実習、乗馬実習は本学のフィールド科学センター等の施設を利用する。指導教員にはそれぞれの専門
教員があたり、実習のサポートには本学の独自のシステムである学部学生上級生を中心とした Student
Assistant(SA)制度を利用している。教員は20名程度、SA は約70名程度で実習の指導を実施している。
12
総会Ⅰ
4.おわりに
両取組ともアンケート等によりその取組の評価を実施している。特にピアサポートに関しては、推薦
入学対象者だけに止まらず、平成26年度からは英語だけでなく第二外国語であるドイツ語、スペイン語
の指導も始めた。全学農畜産実習に関しては、授業評価とは別の独自のアンケートを実施し、毎年、実
全体会Ⅰ
習メニューにマイナーチェンジを施している。
ピアサポートシステムも全学農畜産実習も本学では特色GP等の文部科学省よりの外部予算を得て実
施していたが、現在は教育経費内の予算で実施している取組であり、多くの教員と学生の協力がないと
継続できない状況にある。これらの取り組みを持続的に実施するためには、もう少し教員および学生の
負担を減らすよう努力しなければならない。
第1分科会
質疑応答
第2分科会
Q:この取り組みの学生への効果は数値的に出ているのか?
A:数値的なデータとしてははっきりと把握していないが、アンケート内容をみるかぎり個別的な
評価は高く、学生個々の変化が認められておりそれなりの効果はあると考えている。
Q:実習中の事故・怪我の発生状況は?
A:乗馬実習中の落馬による骨折事故(7年前)、搾乳実習中の牛に蹴られて打撲の事故があった。
事故発生を未然に防ぐ取り組み等、危機管理については十分な配慮が必要である。
第3分科会
Q:ピアサポートシステムについて、入学前の学習の実施状況はどうか?また、入学後のチューターを
つける必要のある学生の選抜方法は?
A:入学ガイダンス時に試験を行い判断している。基準点に満たなかった学生に対してチューター
をつけている。基準点をクリアした学生は入門科目をとる必要はないが、不安を感じている学
生がいるので、希望する学生にはチューターをつけている。現在、15~20人程で対応している。
全体会Ⅱ
Q:専門外の先生が担任になった場合の学生に対するスタンスは?
A:基本的に担任は実習の指導に当たらない。学生と一緒に汗をかき、ともに試行錯誤していくと
いう形をとっている。
Q:ピアサポートをする側の研修体制は?
A:チューターには研修を行っている。現状は一年生との接し方等の研修が主であり、教科の指導
法はチューターに一任している。今後の検討事項であろう。
総会Ⅱ
Q:学ぶ基盤の中の転換教育の実施方法は?また、補習の単位化は難しかったと思うがどのような方法
で行ったのか?
A:自然科学系科目の各概論は2単位、生物・化学・数学・物理の入門は1単位で、必修4単位、選
択10単位以上の修得としている。補習の単位化についてはGP検討時にあわせて学内同意を得、
認めていただいた。
Q:学生に対するインセンティブ与えているのか?また、語学教育を視野に入れた国際的な取り組みは
参加者名簿
行っているのか?
A:実習で作った物の販売はハサップによる規制があり難しい。実習は3・4年生にTAとして参加
してもらっており、アルバイト的な側面もある。
昨年まで畜産国際協力ユニットがあり、展開教育の中で国際協力関係科目・海外実習・国際協
力インターンシップ等の科目を開講していた。今年度からは、国際教育アドバンストモデルを
つくり、どのユニットからも参加可能なプログラムを立ち上げた。
13
全体テーマ
全体テーマ
「大学の専門性を支える教養教育」
(趣旨)
教養教育をめぐる大きな問題のひとつとして、専門教育との関係があります。大きく見れば、教養教
育をその大学・学部の専門教育とは独立した、あらゆる専門に共通に必要となる知識基盤を作るための
教育と考える、自由七科(リベラルアーツ)以来の伝統的な考え方と、教養教育を専門教育のための基
礎を作る教育と位置づける考え方が、対立したり融合したりしながら発展してきたのが、日本の大学に
おける教養教育の歴史ということもできます。「大綱化」以降の教養課程解体、教養教員の学部分属の
流れの中では専門教育の基礎としての教養教育に重点が置かれる時期が続きましたが、最近は高等教育
における人間性や社会性の育成が求められるようになるとともに、リベラルアーツとしての教養教育の
役割が再評価されているようにも見えます。
教養教育がリベラルアーツとしての意味と専門基礎教育としての2つの意味をもつことは間違いがな
く、各大学における教養教育がその2つの機能をそれぞれ発揮して、学生に幅広い知識や思考力を与え
ることと、専門教育の基礎となる知識を与えることの両面から、その大学の専門性を支えることができ
るのはひとつの理想の姿であると言えます。比較的大規模な総合大学では、多くの教員が教養教育を担
当することによって多様な授業科目を用意できるために、2つの機能の両立は比較的容易です。しかし
小規模な大学、とくに専門教育に特化した単科大学では教養教育のためだけに多くの教員を確保するこ
とが難しく、その大学の専門教育分野の基礎になるような科目に資源を集中することが多くなります。
そのいっぽうで、リベラルアーツとしての教養教育、それを通じた人間性の醸成への社会的要請が近
年高まってくるとともに、外国語教育でも英語だけでなく多様な外国語への需要が高まっています。と
くに小規模な単科大学や短期大学で、こうした教養教育への要請にどのように答えるか、どのようにし
て多様な教養教育を提供するか、ということが大きな問題となります。そのなかで、専門教育の基礎的
な教育を充実しながら、そこに人間性の醸成、コミュニケーションや対人関係の向上という要素を加味
していく方法はひとつの可能性を持ちます。
帯広畜産大学では平成14年から、学部教育を「基盤教育」「共通教育」「展開教育」の3つのカテゴリ
に分け、教養教育の授業科目を「基盤教育」と「共通教育」に配置するとともに、カリキュラム全体の
中核となる科目として「全学農畜産実習」を開講しています。全学農畜産実習では1年前期に全入学者
が畑作、ブタの飼育と食肉加工、搾乳、乗馬など専門教育の基礎となるフィールド体験を積みますが、
同時にグループ作業を通じたコミュニケーションと社会性、生活時間の管理などについても実践的に学
ぶことを教育目的の中に位置づけています。また、平成18年度からは第2外国語でそれまでのドイツ語
にスペイン語を加えて開講していますが、これも「畜産国際協力」コースでのアジア、南米への国際協
力教育の機能と、リベラルアーツ教育としての機能の両方を持っています。
こうした「専門基礎教育にリベラルアーツ教育の機能を加味する」という方法にとどまらず、とくに
小規模の大学・短期大学で多様な教養教育を充実するための方法としては、地域を基礎にした大学間連
携やネット授業などの活用も注目されています。こうした取組は、学部教育課程における教養教育重視、
社会的スキル重視の流れの中で、小規模な大学・短期大学が教育を継続し、発展させていくために今後
非常に重要なものになると予想されます。
今回の「東北・北海道地区高等・共通教育研究会」では、こうした専門教育を支える教養教育充実の
取組を、
「教養教育の大学内連携・大学間連携」「外国語教育の多様化と方向性」「学生の社会性を涵養
する教養教育」の3つのテーマから取り上げ、事例報告をいただくとともに、参加される皆様の活発な
意見交換、情報交換を期待したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
14
全体テーマ
総会Ⅰ
分科会テーマ
第1分科会テーマ ~教養教育の大学内連携・大学間連携~
全体会Ⅰ
(趣旨)
この分科会では、教養教育の充実と多様化をめざす大学内・大学間連携の取組に焦点を当てて、事例
の交換と、意見の交流を図ります。
第1分科会
高等教育における人間性教育への社会的要請が高まる中で、教養教育の役割の見直しが進み、教養教
育の充実と多様化が喫緊の課題となっております。いっぽうで、単位の実質化・成績評価の厳格化の流
れの中で教員の教育負担は増大し、教養教育の充実に向けられる時間には限界があります。そうした状
況の中で教養教育を充実・多様化するためには、組織や専門を超えた教員間の連携が重要になると同時
に、地域コンソーシアムなどを軸とした地域連携、大学間の連携が課題となっており、そうした連携を
活かした授業内容、授業計画、履修の方法などについて、各大学、各地域でさまざまな取組が展開され
ています。そうした教養教育の充実・多様化を目指した連携の取組について広く話題提供をいただけれ
ば幸いです。
第2分科会
第2分科会テーマ ~外国語教育の多様化と方向性~
第3分科会
(趣旨)
この分科会では、外国語教育の充実を目指す多様な取組に焦点を当てて、事例の交換と、意見の交流
を図ります。
高等教育にグローバル人材の育成が強く求められる中、学生の外国語コミュニケーション能力を向上
させるためのカリキュラムや教育方法の改善にすべての大学が取り組んでいますが、そのいっぽうで、
各大学で外国語教育を担当する教員の数や教育のためのリソースは限られており、とくに英語以外の言
語の教育を実施し維持することにはさまざまな困難があります。限られた条件の中で外国語教育を充実
し多様化するために、ネイティブによる授業、ネットやITを活用した授業方法など、各大学でさまざ
まな教育努力が展開されているものと思われます。
全体会Ⅱ
この分科会では、英語教育、英語以外の外国語教育のそれぞれの面から、外国語教育の多様化を目指
した取組について広く話題提供をいただければ幸いです。なお、この分科会では日本語以外に英語によ
る事例報告、討論も可能です。
総会Ⅱ
第3分科会テーマ ~学生の社会性を涵養する教養教育~
(趣旨)
この分科会では、教養教育を通じて学生の社会性、対人関係能力、倫理観などを涵養しようとする取
組に焦点を当てて、事例の交換と、意見の交流を図ります。
産業構造の変化に伴い、社会が大学卒業者に求める能力として専門的な知識や技術に加えて社会性や
参加者名簿
対人関係能力、コミュニケーション能力が強く求められるようになっており、それに対応した教育の試
みも進んでいます。また、そうした能力や人間性の評価を入学試験に導入しようという取組を進めてい
る大学もあると思われます。一方で科学研究における不正が社会的に注目されるなか、試験やレポート
における「コピペ」の問題など、知識や技術の利用にかかわる倫理観を育てる教育も大学に求められる
ようになっており、それに対応した授業内容の改善も課題になります。こうした専門的知識以外のスキ
ルや社会性を育成する教養教育を目指した取組について広く話題提供をいただければ幸いです。
15
第1分科会
テーマ ~教養教育の大学内連携・大学間連携~
【第1分科会】教養教育の大学内連係・大学間連携
話題提供1
話題提供1
話題提供2
話題提供3
話題提供4
話題提供5
【第1分科会】教養教育の大学内連携・大学間連携
東日本大学間連携組織“つばさ”プロジェクトによる教養教育の改革
山形大学 小田隆治、橋爪孝夫、時任隼平
1 はじめに
平成20年3月に、山形大学はそれまであった山形県内の大学間連携組織「地域ネットワークFD“樹
氷”
」を東日本全域に拡大するために、主に私立の大学・短期大学、そして国立の高専に声掛けをし、
これに賛同した34校によって「FDネットワーク“つばさ”」を設立した。平成26年9月末日現在にお
いて、
“つばさ”の加盟校は51校にまで増加している。
FDネットワーク“つばさ”は、その名が示す通り、大学間連携を基盤として、公開・共有・相互研
鑽による教育改善や教育改革を目的としている。
山形大学は、平成24年度の文部科学省「大学間連携共同教育推進事業」に申請するために、“つばさ”
の加盟校に声を掛け、我々のプロジェクトに賛同してくれた18校と一緒に申請を行い、採択された。本
事業にはステークホルダーとの連携も求められ、北海道・山形県・神奈川県の市町村がステークホルダ
ーになってくれた。我々のプロジェクトの正式名称は「東日本広域圏の大学間連携による教育の質保証・
向上システムの向上」であるが、我々はこれを短く「“つばさ”プロジェクト」注1と呼んでいる。表
1に“つばさ”プロジェクトの連携校とステークホルダー(連携機関)を示す。
本論では、
“つばさ”プロジェクトが平成25年度に実施したFDとSD、IR(機関調査)の概要を
述べ、それに加えて平成26年度に実施した「大地連携ワークショップ」の内容を紹介する。
表1 “つばさ”プロジェクトの連携校と連携機関
連携校(19校)
山形大学、会津大学、札幌大学、北翔大学、青森中央学院大学、石巻専修大学、東北芸術工科大学、
東日本国際大学、明海大学、国際武道大学、了徳寺大学、東京家政学院大学、東京造形大学、日本女
子大学、札幌大学女子短期大学部、北翔大学女子短期大学部、青森中央短期大学、羽陽学園短期大学、
いわき短期大学
連携機関(14機関)
北海道教育委員会、釧路市、平取町、NPO法人阿寒観光協会まちづくり推進機構、新庄市、金山町、
最上町、舟形町、真室川町、大蔵村、鮭川村、戸沢村、川崎市、相模原市
2 “つばさ”プロジェクトの大学間連携 FD と SD
“つばさ”プロジェクトは、年間を通して、①FDワークショップ、②FD合宿セミナー、③公開授
業と検討会、④学生による授業評価、⑤学生FD会議、⑥大学間連携SD研修会、⑦教職合同ワークシ
ョップを実施している。
“つばさ”加盟校は各校独自のFDを推進しているが、それとは別に“つばさ”の大学間連携による
FDを実施している。①と②は山形大学主催でそれぞれ平成11、12年度から毎年実施しているが、その
初期から他大学の参加を促し、これまで“つばさ”の加盟校はもとより全国の大学から多数の参加者が
あった。
①においては、午前10時から午後4時半という丸一日山形大学で実施している。平成25年度は9月3
18
総会Ⅰ
日に実施し、午前2時間は国際基督教大学の元学長の絹川正吉氏に「なぜ教養教育化?」というタイト
ルで基調講演を行っていただいた。午後は次の3つのラウンドテーブルを実施した。1)サイエンスボ
ランティアから教育現場へ、2)大学教育における学習コミュニティの形成、3)学生による学生支援。
北海道から四国まで全国29大学から85名の参加があった。ポストアンケートでは5点満点で4.16点とい
う高い満足度を得た。
全体会Ⅰ
②においては、毎夏山形大学の蔵王山寮で一泊二日を2回開催している。平成25年度は、8月26・27
日と27・28日に行った。内容は、授業設計・シラバスの作成・学生との双方向性・プレゼンテーション・
授業改善などについてである。青森県から広島県にわたる全国26大学から74名の参加があった。
③においては、“つばさ”プロジェクトの主要な事業である「学生主体型授業」と「大地連携ワーク
ショップ」の普及のために、山形大学で実施している複数の学生主体型授業と山形県金山町で実施した
パイロット版の大地連携ワークショップを公開し、そこに連携校から多数の教職員の見学者が参加した。
第1分科会
山形大学では、ベストティーチャーの授業を公開し、その後で懇談会を実施している。“つばさ”加盟
校においても、授業の公開と検討会はかなり普及している。
④は、山形大学の教養教育で平成12年から実施していた「学生による授業改善アンケート」を、平成
16年に山形県の“樹氷”の加盟校に利用してもらうことから始まり、平成20年から“つばさ”の加盟校
の中で利用を求める大学等に広がっていった。このように統一フォーマットによる「学生の授業評価」
第2分科会
の実施は、
“つばさ”の大きな特長となっており、日本国内はもとより海外の高等教育機関からも高く
評価されている。平成25年度は“つばさ”加盟校のうち17校で活用され、219,000枚のアンケート用紙
が利用された。アンケート結果は公開されている。
⑤においては、“樹氷”の時代から毎年山形大学で開催してきたが、平成24年度からは北海道の大学
で開催するようになり、24年は札幌大学で、25年は北翔大学で開催した。この結果、北海道全体から多
数の大学生が参加するようになり、北海道が関西地域に並んで学生FDのメッカになるまでに発展した。
第3分科会
平成25年度は、全国20大学から76名の参加があり、テーマ「企業が求める社会人になるために大学生活
で学ぶこと」で行った。満足度は4.47と非常に高いものであった。
⑥においては、①から⑤までがFDであったが、⑥は職員の研修となっている。大学間連携SD研修
会は、それまで筆者の一人である小田が中心となって平成15年から山形大学で実施してきたSD研修会
を基盤とし、平成21年度から毎年実施しているものである。平成25年度はそれまで一日で実施していた
全体会Ⅱ
ものを、過去の参加者の声を反映して一泊二日で実施した。テーマは「大地連携(大学と地域の連携)
の可能性と事務職員の役割」であり、北海道から鹿児島まで全国27大学37名の参加があった。満足度は
4.73であった。限られた時間の中でプロダクトを作り出す充実した研修会と高い評価を得ている。
⑦においては、④を除いてこれまでのものが決して“つばさ”に閉じられた活動ではないのに対して、
“つばさ”だけに閉じられた活動となっている。“つばさ”と“つばさ”プロジェクトは、6月と2月
総会Ⅱ
の年二回、同日同会場にて年間の予定やその結果を審議するための協議会を開催している。その後、90
分程度の教職合同ワークショップを開催している。平成25年6月8日に山形大学で実施した協議会には
27校72名の教職員が参加し、1)大学教育と地域連携、2)大学教育の質的向上を目指すFD、3)大
学教育と就職の3つの分科会に分かれて、教職員が一緒になって情報交換と議論を深めていった。ポス
トアンケート結果より満足度は4.42点と非常に高いものであった。
参加者名簿
3 “つばさ”プロジェクトの連携 IR
“つばさ”プロジェクト独自の取組として統一フォーマットによる「学習成果等アンケート」の共同
実施がある。こうしたアンケートの実施はすでに統一フォーマットによる「学生による授業評価」を実
施している経験があるので、比較的スムーズに進んでいる。平成25年度は初年次学生だけを対象に行っ
た。
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【第1分科会】教養教育の大学内連係・大学間連携
話題提供1
話題提供2
話題提供3
話題提供4
話題提供5
「学生による授業評価」が個々の授業に対する評価なのに対して、「学習成果等アンケート」は一年
を通した大学や学部、学科、コースの教育システムの総合評価と言ってよい。18歳人口の減少に伴って、
入学者確保の問題もあり、すべてのデータを無防備に公開するわけにはいかないと考えていたが、それ
ほど案じることはなかった。
こうしたデータは学内の構成員に公開し、共有することによって組織的な改善を図ることができるし、
大学間の比較によってそれぞれの大学のおかれている状況を把握することができる。有効活用するため
の方法をこれから検討する必要がある。図1は山形大学の初年次学生の「学習成果等アンケート」の集
計結果の学部間の比較の一部である。
「学習成果等アンケート」の内容と結果を教職合同ワークショップで発表すると、“つばさ”の加盟
校からも多大な興味が寄せられ、これから実施する大学も増えてくるかもしれない。
【2】授業について
2-1興味がもてる授業が多い
2-8授業や学生指導に対して
熱心な教員が多い
2-2ためになる
授業が多い
山形大学平均
A学部
B学部
2-7授業がよくなるよう工夫
をしている教員が多い
2-3わかりやすい
授業が多い
C学部
D学部
E学部
F学部
2-4主体的に考え行動する
授業が多い
2-6国際性を養うことが
できる授業が多い
2-5就職に役立ちそうな
授業が多い
図1 “つばさ”プロジェクトにおける「学習成果等アンケート」の集計結果の一部
4 大地連携ワークショップ
山形大学は平成18年度から毎年、「山形大学エリアキャンパスもがみ」で教養教育の授業として「フ
ィールドワーク共生の森もがみ」を実施してきた。この授業の特色は、①現地体験宿泊型、②現地の講
師、③少人数教育、④寄付授業、⑤地元の子どもの参加である。この授業をプロトタイプとして、“つ
ばさ”プロジェクトの一大事業として、山形に加えて北海道と首都圏で夏季休業中に3泊4日(前後泊
あり)で「大地連携ワークショップ」を実施することにした。
平成25年度はその準備のために、山形県金山町でパイロット授業を実施した。8大学22名の学生が参
加し、教職員も22名が見学して、平成26年度の本格的実施を目指した。
平成26年度は表2に示したように、北海道と神奈川県でそれぞれ2か所、山形県で1か所、合計5か
所で実施した。
20
総会Ⅰ
表2 平成26年度大地連携ワークショップ
テーマ
厳しい北海道の自然を生き抜いた
アイヌの人たちの知恵から学ぶ
阿寒湖周辺の森を活用した森の学校
開催場所
担当大学・機関
札幌大学・平取町
北海道・釧路市阿寒湖
北翔大学・釧路市・
NPO法人阿寒観光協会
まちづくり推進機構
日本女子大学・川崎市
東京家政学院大学・
相模原市
山形大学・戸沢村
8月18日
~22日
8月18日
~22日
8月28日
~31日
第1分科会
都市の産業・文化の多様性を探ろう!
神奈川県・川崎市
最先端から伝統、そして未来へ
首都圏の里地里山をつなごう
神奈川県・相模原市
-今そして未来へ-
モノづくり体験と触れ合い交流から、
山形県・戸沢村
次につなげるために!
8月5日
~8日
全体会Ⅰ
北海道・平取町二風谷
日時
8月5日
~8日
担当した大学と地域の人たちの尽力によって、すべての大地連携ワークショップは学生の教育と地域
活性化の両面共に大成功だったと総括できる。各ワークショップを担当した教職員や参加した学生、地
域の人たちの声は“つばさ”プロジェクトの「FD/SD NEWS Vol.8」を参考にしていただきたいが、
ここに少し記しておこう。
第2分科会
「大地連携ワークショップで自分自身を成長させることができました。(学生)」
「どうすれば人はよりよく生きられるのか考えていきたいと感じた4日間でした。(学生)」
「学生諸君から発せられる英知とエネルギーで、これまで開かずの扉を開けようとする力が、古希間
近の私の想いに新風を吹き込んでくれた。(地元講師)」
「地域としては半年以上に亘る準備期間を経てこの偉業にとりくんだ。自治会、婦人会、各種団体な
第3分科会
どまさに地域内総力をあげて結束できたと思います。(地元講師)」
5 おわりに
現在の大学教育には様々な課題が横たわっているが、その解決に当たって、大学の制度化された学校
化が急速に進んでいる。そうした一方で、我々はそれから逃れるかのように新しい試みにチャレンジし
全体会Ⅱ
ている。従来なかった大学間連携はその試みの一つであり、こうした新たなチャレンジが大学をいつま
でも創造的な大学たらしめていくものと信じている。
注1 “つ ば さ ”プ ロ ジ ェ ク ト の 詳 細 に つ い て は、Web サ イ ト(http://www.yamagata-u.ac.jp/gp/
tsubasa-p2012/)を参照のこと。
総会Ⅱ
質疑応答
Q:
「大地連携」ワークショップについて、目的や趣旨などを実施者である学生に伝えるタイミングは
あるか?
A:DVD・サイボウズ等を使用した、事前学習を設けている。
参加者名簿
Q:IRについて、各連携機関からのニーズはどの程度のものか?
A:ニーズは機関によって様々ではある。しかし、IRが「アリバイ作り」ではなく、有用なもの
であるという認識を広めることに主眼を置いた結果、多くが取り入れていることを鑑みるとニ
ーズはあるといえる。
Q:統一様式アンケートについて、その現代的な意義とは?
A:アンケートの高止まりなどについては、経年変化を追ってみないとわからない。現在はまだそ
の蓄積段階である。
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【第1分科会】教養教育の大学内連係・大学間連携
話題提供1
話題提供2
話題提供2
話題提供3
話題提供4
話題提供5
【第1分科会】教養教育の大学内連携・大学間連携
今日の教養教育の困難性と未来的教養:郡山女子大学を起点として
郡山女子大学 石堂常世
1 教養教育変革の困難性について
今日の教養教育は、かつての大学に求められていたリベラル・アーツ教育の伝統を受け継ぎながらも、
もはやそれに止まっていることは難しくなって久しい。そのことについては、第1に、大学進学が2人
に1人の割合となり進学率は限界に達したといわれるこの時代に、大学へ入学してくる若者の意識変化
に注目したい。第2に、この動向に並行している専門学校の進出であるが、大学、短大入学者の意識と
合わせて、若い世代や保護者における実学志向性、資格取得という明白な目的意識に留意しなければな
らない。第3に、文部科学省をはじめ多くの機関の提言において強調されて久しいが、「新たな時代に
おける教養教育」への取り組みの促進、すなわち時代の変化に即応した教養の創出とそれらへの各大学
における積極的かつ多様な取り組みへの奨励促進の動向である。
かつて、
「人文系」「社会科学系」「自然科学系」の3領域から3科目づつ選択することで一般教養を
履修したとみなしていたその教養観は、学問の専門化・細分化・あるいは学際化・総合化の進展によっ
て絶対的な意味を失ってしまったといえるし、他方また、大学の自主性、自律性といったように高等教
育機関に対する要望や、各大学の学科編成に現れている大学像(大学の理念)の多様性からしても、も
はや踏襲にはおよばないのである。
かつてのように哲学を諸学の中核としていた学問体系は、今は過去のものとなり、先述の学問の専門
化、細分化の流れのなかで、社会のエリートたる者がもつべき教養のアイデンティティは失われたか彷
徨しているかである。また、社会生活全体が個別化・多様化を強めており、そのことは、公共性の確立
という課題を深刻な問題としているとともに、大学における教養教育の軸を見えにくくしてしまうこと
になっているといえよう。
このような時代的背景の中で、あえて大学における教養教育のあり方を問うことは、有意義ではある
が、きわめて困難でもある。知識基盤社会に至ったといわれる現在、一般に、教養とは、知識の総体で
はなく、
「個人が社会と関わり、経験を積み、体系的な知識や知恵を獲得する過程で身につけていく考
え方、見方、あるいは、主体的に行動していく力の基盤」であると提言されることがある。リベラル・
アーツ型の一般教養時代にあっては、大学で獲得した「知」とそういった応用的諸能力に調和がみられ
ていたとも言える。現在では、不確実性を特色とする変動生の高い社会の中で、「あえて志をもって自
己を位置づけ、積極的な社会変革をも果たしうる力量を!」となるのであるが、どのようにしてその力
量への接近を大学の共通カリキュラムの中に組み込んでいけるのか、ことははなはだ困難である。
教養教育をめぐるこうした課題は、4年制大学に関して向けられるのみならず、短期大学の場合、あ
るいは短期大学部を併置している大学にとってはさらに深刻になっている。短期大学では、教養教育ど
ころか、専門学校との競合をいかに切り抜けて志願者を確保し、いかに資格取得と出口成果(就職状況)
において差をつけるかが死活問題である。短期大学では専門学校と違って「人間としての教養」が身に
付いていきますよ、といった宣伝文句は、絵に描いた餅のごとく、もはや若い世代には説得力がないの
である。
高等教育というものは、就職という垣根を越えてもっと高邁な次元での人間形成が行われるアカデミ
ックな機関であるのだが、大学の受けとめ方が社会において変化してしまった以上、そうした期待に耐
えるだけの内実あるカリキュラム編成や教育方法を設定しなければならない。そのことはまた、志願者
22
総会Ⅰ
が下降傾向にある大学や短大の学科編成の改革をも迫ることになり、新しい教養教育の樹立の道は幾層
にも険しいものである。
2 郡山女子大学の教養教育を起点として
全体会Ⅰ
昭和25年の短期大学設置からまもなく70周年を迎えようとする郡山女子大学・同短期大学部の教養教
育は、その基軸として「建学の精神」を強調する点では徹底しているのであるが、近年の高等教育をめ
ぐる状況変化には未だ抜本的新構想は出せないでいる。その点を、本学の教養教育の指標である「共通
基礎科目」群の改訂過程を追いながら概説してみたい。それはまた、大学の特色の堅持とその発展的再
構築の難しさの問題にもつながってくる。
(1)戦後まもない新学制化で、女子教育に遅れをとっていた福島県に郡山女子専門学校を創設し、
第1分科会
1950年には全国初の短期大学として認可されたとき、本学は家政学を設置した。創設者の故関口富佐は、
戦前から羽仁もと子の教育観に深く共鳴するところがあり、戦後は昭和22年公布の教育基本法に接して、
精神の自由を謳う新しい息吹に感激し、歓喜の気持ちをもって女性の教養の向上と人間的独立を推進せ
んとし、
「尊敬」「責任」「自由」を建学の精神とする女子の教育機関たることをめざしたという。1966
年に4年制大学を設置して短大をこれに併設し、特に短大部には幼児教育学科や文化学科等を増設して
第2分科会
今日に至るが、大学全体の特質は創設から理解できるように、家政学を基盤とした女子高等教育機関で
ある。但し、本学の特色は、創設者の抱く人間形成への理想から醸成された「哲学」、
「宗教学」、
「芸術」
の3柱を学生指導の基礎におき、人間としての豊かな感性を磨くこと、その場合、自然の摂理を師とし
て仰ぐ生き方を身につけるという、敬虔な情操教育の上に成立している。それらは、短大部から大学そ
して大学院の授業科目にまで反映し、宗教系大学ではないのではあるが、宗教学が必修科目として置か
れていることからも分かる。また学内のあちこちに、そういった精神を静かに表出して観る者に語りか
第3分科会
けてやまない絵画、書画、彫刻が掲出されている。「自然を師とする」という創設者の哲学は、「ここも
世界の空の下、この学舎に人類の光、ひかり、光をかざす」という言葉にもなっている。
建学以来のこの精神は、実存哲学の虚無性を克服しようとして、「住むということ」の意味を追及し
たドイツの教育哲学者、ボルノーOtto Friedrich Bollnow(1903-1991)との出会いによって集大成され、
それはまた彼女の家政哲学となり、女性の豊かな感性を育成するという信念となって実り、それが現在、
全体会Ⅱ
本学の学生指導、学問研究に共通する教養観となって打ち出されている。「尊敬」「責任」「自由」とい
う建学の精神は、このような創設者の家政哲学と一体なのである。学生たちがこれを意識して入学して
くるかどうか、キャンパスに学んでこの精神を会得するかどうかは別として、郡山女子大学の共通教養
観として押さえておかなければならない。
(2)昭和41年当時、大学の教養教育科目は「一般教育科目」と称されていた。本学でも、他大学のそ
総会Ⅱ
れと同様、①人文科学系、②社会科学系、③自然科学系の3部門からなっており、①には哲学、宗教学、
倫理学、文学Ⅰ、Ⅱ、音楽、美術が、②には法学、経済学、社会学が、③には自然科学概論、化学、生
物学、地学が設置されており、この中から必修科目として5科目(20単位)の履修が指定されていた。
(3)時代が大きく下るが、周知のように、平成3年の「大学設置基準」の改定で、一般教育と専門教
育の区分の廃止や、一般教育内の科目区分の大綱化が発せられた。平成10年度の本学の教育課程を調べ
るならば、かつての「一般教養科目」三分野にわたる36単位は、「家政学基礎科目36単位」という、本
参加者名簿
学の学部名を直載に反映させた教養教育名に刷新させられた形跡がある。但し、この家政学基礎科目群
に「人間論ゼミナール」、「生活系ゼミナール」、「生活科学系ゼミナール」という3区分をつけていた点
からすると、哲学系・社会学系・自然科学系の関係諸学からなる、今に通じる本学独特の家政学部教養
観の起点をうかがうことができる。
(4)大きく下り、「共通基礎科目」(各学科・専攻共通)と称することになった平成25年度の本学教養
教育の構造に目を転じるならば、教養教育の枠組みを7区分からつくっている。それは、①人間学系、
23
【第1分科会】教養教育の大学内連係・大学間連携
話題提供1
話題提供2
話題提供3
話題提供4
話題提供5
②生活学系、③生活科学系、④語学系、⑤健康学系、⑥キャリア系、⑦特別科目(芸術鑑賞講座・教養
講座)の7つであり、このうち④⑤⑥⑦が、平成10年当時の「家政学基礎科目」の3区分領域に(新設
や移動により)プラスされて加えられた科目群である。とくに、⑦は共通科目に正式に位置させて全学
生必修とし、⑥のキャリア系は時局に応じた実践的科目である。この時期から、共通基礎科目の理念と
して、
「わたしがいるとき、わたしが役立つ」というスローガンが提唱され、「個の確立」と「他との協
調」が強調されるようになった。
この7区分の「共通基礎科目」群は、各系に並ぶ授業科目数を大幅に減らしたうえで短期大学部にも
充当されている。短期大学部に関しては、とりわけ、④の語学系、⑦の特別科目系の科目数を大きく削
減している。
1年後に就職活動期が迫ってくる短期大学部の学生たちに、いかにして専門科目の履修とともに教養
教育の履修を成就させるかは、知恵を要するところである。中には教職課程科目をも履修している者が
少なくない。したがって、履修すべき共通科目の単位数は、学部生の必修14に対して短大生4、学部生
の選択47に対して短大生29である。さらに、選択科目の多くには、情報処理士履修科目や教職履修科目
の振り替えをもって充当している。短大生の教養教育に関しては、履修可能な科目数が制約されるため、
人格形成や社会的視野の拡充に役立つような授業の質をいかに確保してやるか、考え処である。
以下は、平成26年度の、大学の共通基礎科目群である。(特記以外は2単位)
人 間 学 系 宗教学的人間論、哲学的人間論、倫理学的人間論、心理学的人間論、
生物学的人間論
生 活 学 系 生活学的政治論、生活学的法律論、生活学的社会学論、生活学的経済学論、
日本国憲法
生活科学系 生活生物学、生活化学、生活物理学
語
学
系 国語表現法(4単位)、総合英語コミュニケーションⅠ、Ⅱ、Ⅲ、
コンピューター英語、インターネット英語、TOEIC Ⅰ、Ⅱ、
クリエイティブ・イングリッシュⅠ、Ⅱ、
キャリア・イングリッシュⅠ、Ⅱ
健 康 学 系 運動健康論
キャリア系 キャリア・デザインⅠ、Ⅱ
特 別 科 目 芸術鑑賞講座・教養講座 Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ(各1単位)
(5)本学では、ある時期からヨーロッパ言語の授業を削除していること、中国語の授業の設置はない
などからしても、グローバル化への対応が大きく遅れている。この点は、たとえ地方大学であるとして
も、対応を急がねばならない。目立つ点としては、人間学系をみても明確であるが、先述したように、
哲学系の設置科目が多いのは、創設者の家政哲学へのこだわりからであろうと思われる。動態的な国際
社会の変動に立ち向かうための人材育成の基礎教養科目としては、学際的あるいは総合的な新科目の設
置が待たれる。
反対に、近年、キャリア系の授業(キャリアデザインⅠ、Ⅱ)を、資格取得や専門教育と連動させて
教養教育内に設置し、就職支援と効果的に結びつけて人生を切り開いていける素地を養っている点は注
目されてしかるべきであろう。
(6)最後に、⑦の特別科目系であるが、これが本学独自の教養講座である。日本ではもとより世界的
に著名な芸術家や演奏家の魂に触れることのできる芸術鑑賞講座や教養講座は、昭和54年から始められ
ており、185回を数える。著名な芸術家や芸人を招いての演奏、公演、映画の鑑賞、貴重な芸術作品や
写真の展示、著名な学者や文化人を招いての講演、あるいは学生生活の上で心得ておくべき内容の研修
など、の機会提供がなされている。実はこの科目は、選択ではなく全学生必修参加としており、感想文
提出を義務づけている。趣旨としては、「若いときに高度な芸術に接して得た感動」は、「人間として最
24
総会Ⅰ
も大切な感性を磨き、豊かな人間性を育てる」というもので、建学の精神に呼応した企画とされている。
まさに教養への誘いそのものなのだが、映像文化が高度に発達し、都会への鑑賞の旅も安易になった今
日では、必修の教養科目として置いていることの意義の再検討、また資格取得に関わるような授業を休
講にしてまでの鑑賞義務の措置は、教養という概念を遊離しているかもしれず、教務上、発展的な取り
扱いが求められる。せっかくの優れた芸術家たちの演奏や上演だが、市民の入場も認めていないこの全
全体会Ⅰ
学的授業方式を、今後どのようにして新しい時代の要請に符号させるか、学園の理念にかかわるが故に
検討が待たれる。
第1分科会
質疑応答
Q:質疑応答なし
第2分科会
第3分科会
全体会Ⅱ
総会Ⅱ
参加者名簿
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【第1分科会】教養教育の大学内連係・大学間連携
話題提供1
話題提供3
話題提供2
話題提供3
話題提供4
話題提供5
【第1分科会】教養教育の大学内連携・大学間連携
大学間連携・単位互換を主目的とした新システム・教材(DVD)開発上の諸課題
青森県立保健大学 浅田 豊
1)はじめに~研究開発の背景~
青森市内計7大学による大学コンソーシアム青森への参画・運営においては、青森地域大学間連携協
定・協議会及び青森市内学長会議の活動を基礎とし、文部科学省の戦略的大学連携支援事業の採択(「現
代の北のまほろば 青森に根付く 知の循環型社会の形成」)を背景にもち、これまで単位互換、合同
講義システム構築、学生間交流、研究シーズ連携、市民公開講座等の事業展開がみられた。その中で発
表者は、自分の学部での教養教育(人間総合科学科目群)の授業(1年次後期配当2単位「教育と人間」
15コマ)を、映像として収録し、単位互換に向けてDVD化する試みに参画した。既に実績として、こ
のDVDを用いて、実際の単位認定も行われた。
2)研究開発上の特徴と留意事項
この単位互換の特徴は、合同講義システムを設置し、大学間の相互交流並びに教養教育の充実を展開
することであった。合同講義システムは、教室で学生が受講している発表者の講義を、ごく自然な授業
風景としてまずは1コマずつ順番に撮影し、後の公開に向けて、全体的に編集を加えるものである。初
回の授業の前に、同じ撮影機材を用いて、別の講義科目で一度練習撮影(予行演習)をした場合、本番
では緊張なくいつもどおりの講義ができるため、計画的な諸準備は不可欠である。また一つの方法とし
て、学生の顔は映さない等の一連の配慮を施すことで、終始学生もリラックスして受講することができ
ると考えられる。
3)システム・教材開発の前提(※表1~2)
ここで、システムや教材を開発するに当たって、その前提となる、即ち一定の考慮が必要な、学力の
要素・領域を確認できればと思う。今日、知識やスキルの側面はもとより、情意、さらには創造性、高
度な思考能力についても、講義や学習の中で涵養することが求められるため、必然的に使用する教材に
おいてもそのことの考慮が不可欠である。またカリキュラム上の、大学におけるいわゆるリベラルアー
ツあるいは基礎教育の位置づけも、コンピテンスの概念の観点から、確認が必要である。
4)教材開発面の工夫とシステムの効果
前述の諸前提を踏まえた上で、教材開発の段階に入る際、当然、講義の目標・内容・方法・評価の基
準・あり方を検討する。その後、創意工夫を積む段階に進む。目の前でライブにより、ボディラングエ
ージを用いて熱く語る教員から講義を聞く学生とは異なり、DVDを見て学習する学生にとっては、受
け止め方・感じ方が異なってくると考えられることから、決して退屈させずに学習できるよう、各コマ
には、DVD中の板書部分、練習問題、小テストを豊富に盛り込んでいる。発表者のレジュメをPDF
化したものが画面の左上に同時に見える状態で、DVDを見ながら自分のノートに練習問題の答えを書
き終わった頃に、発表者が映像中でその問題の解説を話しているという流れに仕上げた。
26
総会Ⅰ
本システムを活用することにより、配信された他大学の授業を取り入れることで、授業の内容を充実
させることができるほか、学生としては所属大学で授業が受けられ、移動時間解消となり、単位互換が
促進される。教員は講義を映像化する過程において種々の工夫をし、それが教育の質向上に繋がると考
えられる。
5)FD実施上の提案(※表3)
全体会Ⅰ
教材開発上の工夫が、教育の質向上につながるかどうかという点についてであるが、この点はFDと
いう用語を用いることで、容易に推察・理解可能である。つまりDVDであれパワーポイントスライド
であれ、紙資料の配布であっても、板書・口述方の一斉授業であっても、用いる教材開発上の工夫は、
それが体系的・科学的に行われる場合、FDに結び付くことは大いに考えられよう。そういった視点か
ら、教材開発の実践記録を、チィーチングポートフォリオと共に、所属機関内で教職員同士、発表・相
第1分科会
互共有していくことは価値があると考えられる。
6)DVD型教材をよりよいものにするための指導上の留意点と課題(表4~5)
DVD型の教材により講義を円滑かつ効果的に行うには、各表に示すような、指導上の留意点・課題
第2分科会
が認められる。
7)単位互換の成果・メリットと大学間連携における期待(表6~7)
単位互換ならびに大学間の教育上の連携は、各表に示すような成果や期待が大きいため、各高等教育
機関の理念や社会的ニーズに基づいて、多角的で入念な検討のもと、適宜推進・奨励されることが求め
第3分科会
られよう。
8)おわりに
青森市内大学間はもとより、他の地域においても、今後、このシステムを参考にしていただくことで、
高等教育の充実発展に少しでも貢献できるよう、教育研究者の立場で普及啓発・工夫改善をさらに図っ
全体会Ⅱ
ていきたいと考える。
表1 教材において考慮が必要な、涵養すべき学力の要素・領域
1)知識・理解:
総会Ⅱ
人類の文化、社会、自然に関する知識・理解…幅広い教養につな
がる。
2)汎用的技能:
コミュニケーション、数量や情報の処理、論理的思考、問題解決
…大学の共通基礎科目を基盤とする。
3)態度・志向性:
参加者名簿
自己管理、チームワークやリーダーシップ、倫理観、社会的責任、
生涯学習…情意並びにソーシャルスキルに関連する。
4)統合的な学習経験と創造的思考力:
自らが立てた新たな課題を解決する能力…段階的・計画的な学習
の積み重ねや研究活動と関連する。
27
【第1分科会】教養教育の大学内連係・大学間連携
話題提供1
話題提供2
話題提供3
話題提供4
話題提供5
表2 高等教育におけるコンピテンスの類型
◇コンピテンス:コンピテンシー概念(高業績者行動特性)がベース
である。
1)「 学術的 」 かつ《一般的》なコンピテンス:
学問分野共通の教養系科目をさす。
2)「学術的」かつ《特定的》なコンピテンス:
学問分野固有の専門科目群をさす。
3)「社会的」かつ《一般的》なコンピテンス:
汎用的スキルに相当。
4)「社会的」かつ《特定的》なコンピテンス:
各種職業に固有の技術、免許・資格などに関連。
表3 教材づくりとFDとの関連性
◇DVD教材づくり(その営為)は、FDにつなげることが可能では
ないだろうか。
(教材における指導上の要点(DVDであるからこそとくに注意が
必要な各点)は、汎用性が高い
⇒いずれの授業においても重要なポイントである。)
1)既習事項と新しい学習内容との統合
2)受講学生の注意喚起と持続
3)到達目標の、受講学生との共有
4)練習問題による思考力向上と振り返り機会の保障
5)講義前後での学習変化の確認
6)ティーチングポートフォリオによる省察
表4 指導上の留意点と課題
1)興味関心の向上:
導入の部分で最新のトピックスを挿入する。(例:『教育原理』の
家庭教育の回で、身近なことを話題にする)
2)理解促進の工夫:
具体例や経験談を挿入していく。練習問題を解かせる。
3)中間課題の提示:
思考の深化と集中力の持続。
4)レポート返却時にコメントを添える:
学生の自己満足の回避。次なる発展課題の認知。継続学習への連結。
5)学生の意見を生かす:
講義中の対話またはペア・グループでの討議。やる気の向上。学
習の共有。
28
総会Ⅰ
表5 指導の具体例
◇予習、復習の指導:
何をどのようにすればよいか、できる限り具体的に示すことが効果
的。
全体会Ⅰ
⇒例:1)○月◇日までには、プリントの□~■頁までを読んでおき
ましょう。
2)次のプレゼンに備えて、発表の前日までに、自分の原稿は
3回以上(1回目:まずは大きな声で読んでみる、2回目:
時計を見て時間を計って読む、3回目:誰か友達に聞いて
第1分科会
もらう)、読みあげ練習をしておきましょう。
表6 単位互換の成果やメリット
1)自分の大学では学べない領域を学習できる。
第2分科会
2)幅広い視野を培う。
3)新たな学習意欲を喚起する。
4)他大学の学生との意見交換や交流が可能。
表7 大学間連携における期待
第3分科会
1)単位互換の充実と促進(カリキュラムの充実等)
2)大学間連携による合同講義の充実と促進
3)授業・教材の共有を発端とする、教授方法の改善や教育の質の向上
4)授業・教材の共有を発端とする、共同研究への発展
全体会Ⅱ
5)授業・教材の共有を発端とする、地域貢献事業への発展
6)学生間による、部活、ボランティア活動の共同開催
7)図書館相互利用、他各種イベントの合同運営
8)経営面での効果
総会Ⅱ
質疑応答
参加者名簿
Q:DVDを用いた講義は何コマあるか。利用の制限はあるか?
A:単位互換に関しては10科目程度あるが、DVDを利用している講義は1科目である。
Q:オンライン等ではなく、なぜDVDを選択したのか?
A:環境要因とFDの考え方により、DVDを選択するに至った。
Q:単位互換について、学習成果の判定方法は?
A:練習問題による、15枚のミニレポートと総合レポートを課している。
29
【第1分科会】教養教育の大学内連係・大学間連携
話題提供1
話題提供4
話題提供2
話題提供3
話題提供4
話題提供5
【第1分科会】教養教育の大学内連携・大学間連携
多様な学力に対応する大学英語教育の実践
北海道科学大学 秋山敏晴
はじめに
入試制度の多様化にともない、大学に入学してくる学生の英語の学力に大きな差が生じるようになっ
た。自信をもって海外研修に挑む学生から、本格的にリメディアルが必要な学生まで、その差は極めて
大きいと言わざるを得ない。また、総じて英語の学習に取り組む時間が不足しているのも問題を大きく
している。こうした問題の解決は、教員個々人が教室の中でする努力だけでは十分と言えず、大学とし
て組織的に取り組む必要がある。
本論は、多様な英語の学力を有する学生に対応する北海道科学大学の英語教育の実践報告である。
Ⅰ 本学の状況
北海道科学大学は、平成26年4月、これまでの工学を中心とした4学部9学科体制から、保健医療学
部を新設して、3学部12学科へと学部・学科の改変を行った。同時に、大学の名称も「北海道工業大学」
から現在の名称に変更した。新しい学部、学科は以下の通りである。
1)工学部(機械工学科・情報工学科・電気電子工学科・建築学科・都市環境学科)
2)保健医療学部(看護学科・理学療法学科・義肢装具学科・臨床工学科・診療放射線学科)
3)未来デザイン学部(メディア・デザイン学科・人間社会学科)
Ⅱ 実践の概要
新学部の教育課程編成に当たり、上述のような入学生の学力差は、保健医療系の学生が入学すること
で、より一層拡大することが予想された。そこで、英語教育においては、以下のような視点に立ったカ
リキュラム編成に取り組んだ。
1)入学生の英語の学力の把握
2)学力差拡大に対応したカリキュラム作り、および授業方法の改善
3)英語学習支援室(以下、支援室)を活用した基礎教育の充実
4)英語によるコミュニケーション能力の一層の伸長
5)国際経験を豊かにする研修や留学の充実
以下、1)~3)について、その内容を詳述する。
30
総会Ⅰ
Ⅲ 新入生の英語の学力の把握
新入生の英語の学力を把握するため、入学直後のガイダンスの中で、基礎学力調査を実施した。これ
は、英語のみではなく、数学、国語とともに3教科で実施された。調査問題として採用したのは、「学
習成果到達度システム・基礎学力テスト英語A」(旺文社)である。
年 度
対象者数
高3レベル
高2レベル
高1レベル
中学レベル
平成25年度
664名
 8.4%
43.0%
38.9%
9.7%
平成26年度
973名
18.4%
43.7%
31.7%
6.2%
全体会Ⅰ
試験の結果を、平成25年度(北海道工業大学の最後の入学生)と平成26年度を比較しながら、示してみる。
(表1)
第1分科会
2か年のデータを比較してみると、平成26年度の新入生は、前年度に比して、「高3レベル、高2レ
ベル」と判定された新入生が10%増加し、この増加はすべて「高3レベル」の増加であることが分かる。
また、
「中学レベル」と判定された新入生は、率としては3.5%の減になっているが、新入生の増加に伴
い、その実数は前年同様60名を超えている。
第2分科会
Ⅳ 習熟度別クラスの編成
前述の調査結果からも明らかなように、新入生の英語の学力は「高3レベルから中学レベル」まで大
きな差があり、機械的なクラス編成では、指導に困難が生ずること、また、受講生が学習内容について
不満をもつことが予想された。そこで、英語Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ(1年次と2年次前期の科目)は、学部ごとに、
基礎学力調査の結果に基づいた習熟度別のクラスで行うこととした。
第3分科会
1.クラスレベル
学部ごとに、Advanced Class(上級)、Intermediate Class(中級)、Primary Class(初級)の3つの
レベルのクラスを設定し、Advanced Class(上級)には「高3レベルと高2レベルの上位層」を、
Intermediate Class(中級)には「高2レベルの下位層と高1レベルの上位層」を、そして Primary
Class(初級)には「高1レベルの下位層と中学レベル」の学生を配した。
全体会Ⅱ
2.クラスの目標
Advanced Class(上級)は、英語に関する知識や理解が進んでいることから、英語の運用能力を高
めること、即ち英語の4技能を向上せさせることを最大の目標とし、授業はすべて英語で行っている。
また、日常的な英語学習を促すため、e-learning による学習を課外で課し、学習状況を担当教員がモニ
ターしながら、成果を成績評価に組み入れることにしている。
総会Ⅱ
Intermediate Class(中級)は、英語の語彙、文法・文型といった、英語に関する知識や理解が十分
とはいえないことから、この部分を充実させることに授業の多くの時間を割り当てている。もちろん、
英語の運用能力を高める活動にも取り組むが、Advanced Class(上級)に比べると少ない量である。
したがって、使用言語も英語と日本語が半々で授業が進められる。また、Advanced Class(上級)同
様に e-learning による学習を課外で課しており、必要に応じて、授業中に e-learning の学習内容に解説
を加えている。
参加者名簿
Primary Class(初級)は、英語の基礎学力に不安を抱えている学生が多いことから、英語の基礎と
なる事柄を理解させ、定着させることを主眼に授業展開をしている。主たる教材として、Advanced、
Intermediate の両クラスが課外で取り組んでいる e-learning の教材を授業でも使用し、内容を解説し、
合わせて演習問題に取り組ませる。更に、最も習熟度の低いグループは、支援室での補習を促し、授業
の予習に相当する教材とその補助教材に取り組ませている。
31
【第1分科会】教養教育の大学内連係・大学間連携
話題提供1
話題提供2
話題提供3
話題提供4
話題提供5
3.設置したクラス数
Advanced Class
Intermediate Class
Primary Class
工学部(5学科 320名)
3 クラス
4 クラス
5 クラス
保健医療学部(5学科 320名)
4 クラス
4 クラス
設定なし
未来デザイン学部(5学科 320名)
1 クラス
2 クラス
1 クラス
(表2)
保健医療学部に入学した学生に、Primary Class での受講が適当と思われる学生は存在しなかったため、
同学部に Primary Class は設置しなかった。
Ⅴ 基礎教育の充実
1.英語学習支援室
支援室は、毎日、概ね午後4時~6時の時間帯にオープンし、専任の教員2名とチューター2名で指
導に当っている。
支援室での指導は、Primary Class の授業の補完を目的としており、授業と連動した内容の学習を積
み上げることで単位取得が容易になることから、通室率も高いものとなっている。
支援室利用の学生
支援室は全ての学生に解放されているが、前述の基礎学力調査で「高1レベルの下位層、中学レベル」
と評価された学生は、支援室に通室し、英語Ⅰ、Ⅱの学習内容を補完するプログラムで学ぶよう促され
る。平成26年度は、11%に当たる110名がその対象者となった。
2.基礎学力支援プログラム
支援室での指導は、教員から授業で取り上げる e-learning の課題について文法的な解説を受け、演習
課題に取り組む。取り組んだ結果は教員、チューターが個別に評価し、必要に応じて更なる説明を行う。
続いて、課題となっている文法等の定着を図るため、応用教材に取り組ませる。この取り組みについて
も教員、チューターが個別に評価し、受講生が理解した事柄を確認している。
また、支援室では、受講生に毎回、自己評価表に「支援室の学習で理解した事柄」を書かせて提出さ
せ、教員がコメントを書き入れて返却するシステムをとっている。これにより受講生が英語の基礎的な
知識や技能を獲得し、その積み上げが進んでいることを理解させている。また、教員によるコメントは、
受講生と教員の交流を促進させる役割を担っている。
Ⅵ 実践の評価
平成26年度前期が終了した時点で、習熟度別クラス編成については、全学で行う「授業評価アンケー
ト」に質問を設定し、ほぼ全受講生からの回答を得た。また、支援室の指導については、対象学生の出
席率、および英語Ⅰの単位取得状況を調査した。
1.習熟度別クラス編成について
質問1 自分が配属されているクラスは合っていますか。
合っている
どちらとも言えない
合っていない
未回答
60%
27%
7%
2%
(表3)
32
総会Ⅰ
質問2 使用している教科書のレベルはどうですか。
最適である
普通である。
適切でない。
未回答
33%
50%
10%
7%
(表4)
大変満足している
ほぼ満足している。
不満だ
32%
61%
7%
全体会Ⅰ
質問3 総合的に判断して、あなたはこの授業に満足していますか。
(表5)
学生による「授業評価アンケート」結果によれば、習熟度別クラス編成による授業は、概ね順調に行
第1分科会
われたと判断してよいであろう。しかし、いくつか改善しなければならない事柄がいくつかあるのも事
実である。これらの点については、次章で述べることにする。
2.支援室における指導の成果
平成26年度前期、支援室は50日間オープンし、延べ852名の受講者があった。その内訳は、支援室で
の学習を指示された学生が812名、自主的に参加した学生が40名であった。支援室での学習を指示され
第2分科会
た学生の出席率は74%であった。
また、支援室での学習を指示された学生の英語Ⅰの単位取得率は99.1%になり、この支援活動が有効
であったことを示している。
支援室でのマン・ツウ・マンの指導、自己評価表の記入とそれに対する教員コメントを通じて、学生
と教員の間で交流が深まったこともよい結果につながっているもの考えられる。
第3分科会
まとめ
まとめに代えて、今後の課題を示しておきたい。
現行の取り組みは効果的であり、継続をしていくことが望ましいと思われるが、いくつか改善すべき
点がある。
全体会Ⅱ
第一に、習熟度別クラス編成、支援室での指導のベースになっている新入生基礎学力調査(英語)の
テスト問題について検討が必要である。前述の「学習成果到達度システム・基礎学力テスト英語A」
(旺
文社)は、極めて基礎的な問題で構成されており、支援室の対象になる学生を抽出するのにはふさわし
いが、Advanced Class のクラスにふさわしい学生を抽出するのにはやや難があるといえる。本学の英
語教育の基盤となる新入生基礎学力調査(英語)のテスト問題としてよりふさわしいものを検討する必
総会Ⅱ
要がある。
二つ目は、習熟度別クラス編成で配属されたクラスがふさわしくないと感じ、クラス変更を希望する
学生への対応である。基礎学力調査(英語)の結果のみでクラス編成を行っているため、配属されたク
ラスが合っていないと感じる学生が出ることは予想された。その数は、全体の7%に当たり、実数とし
ては60名程である。9名の担当教員一人当たり6~7名の該当学生がいるもの思われる。この数は個別
の対応が可能であり、学生の考えを聞き取りながら、より適切なクラスへの配属を指導できると考える。
参加者名簿
三点目として、支援室で指導を受ける学生への配慮をあげておきたい。英語で支援室対象となってい
る学生は、数学か国語、あるいは両教科で支援室での指導対象となっていることが多く、学習時間の確
保を保証する必要がある。三教科の中で、対象学生の情報を共有すること、学習時間の融通をすること
などをして、支援を受けやすい環境を作ることが大切であろう。
33
【第1分科会】教養教育の大学内連係・大学間連携
話題提供1
話題提供2
話題提供3
話題提供4
話題提供5
大学教育における「学習の質の保証」は、近年、極めて重要な課題となり、衆目を集めている。本報
告は、基本教育科目である「英語」の指導について、学習者の習熟度に応じた教育を提供することによ
り、この課題への取り組み方を示したものである。本年度(平成26年度)取り組みを開始したばかりで
あるが、実践とその評価を積み上げることで、より質の高い取り組みとなるよう努力していきたい。
質疑応答
Q:習熟度別にクラスを編成することで「上位クラスであるがゆえに成績が悪くなる(もしくはその逆
パターン)」といった、学生にとって思わぬ不利・有利が働いていないか?
A:上位クラスの方が、より高い成績を取ることができるという方法を選択している。その中でも
個人の努力や、「伸び」を考慮して成績判断を行っている。
34
【第1分科会】教養教育の大学内連係・大学間連携
話題提供2
話題提供3
話題提供4
話題提供5
話題提供6
総会Ⅰ
話題提供5
話題提供1
【第1分科会】教養教育の大学内連携・大学間連携
生物多様性問題の世界を生き抜くための教養動物学
全体会Ⅰ
酪農学園大学 浅川満彦
背景
2014年、酪農学園大学獣医学類(旧・学科)の専門科目「野生動物医学概論(旧・野生動物学)」
(2015
年からは専門基礎科目から専門科目へ移行)を兼務することになって、20年目となった。専門は寄生虫
第1分科会
(病)学なので、この二足草鞋体制は、個人としては研究人生上の危機であったかも知れない。一方、
危機は最大の好機ともいう。実際、野生動物医学センター(以下、WAMC)が創設、その施設担当と
なり今年で運用10年目、学内外連携の拠点施設と見なされている(後述)。
実践・実感と本稿の目的
第2分科会
第64回東北・北海道地区大学等高等・共通教育研究会全体テーマ「大学の専門性を支える教養教育」
の趣旨(抜粋『』)は次であった。すなわち、「教養教育はリベラルアーツと専門基礎教育の機能を有し
多様な専門分野に所属する『学生に幅広い知識や思考力を与えることと、専門教育の基礎となる知識を
与えることの両面から、その大学の専門性を支える』が、本学のように『単科大学では教養教育のため
だけに多くの教員を確保することが難しく』、『専門基礎教育にリベラルアーツ教育の機能を加味』に加
第3分科会
え、本学のような『小規模の大学・短期大学で多様な教養教育を充実するため、地域を基礎にした大学
間連携』などの取組は『今後非常に重要なものになる』」という。また、著者が参加する分科会は、「教
養教育の大学内連携・大学間連携」で、少なくとも、これは下記で述べるように、演者が参画する教育
活動で、既に実践し、そして実感されていた。
全体会Ⅱ
大学間および地域連携:この問題、すなわち、自然生態系や生物多様性の健康を獣医学の側面から守る
知識と技術の体系を担う分野が野生動物医学である。当該学問分野の責任学術団体、日本野生動物医学
会が立ち上がって、今年で約20年と若い分野であるため、研究・教育活動と同時に、啓発活動にも力を
入れている点で、ほかの獣医学分野と異なる。そのために、著者のゼミ生は、彼ら自身が主体となって
教えるこの学会のサマー・ショート・コース(以下、SSC)、公開講座「獣医の卵達シリーズ」、文科省
総会Ⅱ
科研費還元事業「ひらめき☆ときめき
サイエンス」(図1)などを実施して
きた(浅川、2013、2014a)。この結果、
副産物的に地元江別・札幌の地域住民
や大学間連携は強化された。
参加者名簿
図1.文科省科研費還元事業ひらめき
☆ときめきサイエンス、「獣医の卵達
と一緒に、野生動物保護とその病気の
関係について考えよう!」(2014年8
月7日、WAMC 正面玄関にて参加者
と伴に;著者は最後列左端)
35
【第1分科会】教養教育の大学内連係・大学間連携
話題提供1
話題提供2
話題提供3
話題提供4
話題提供5
学内連携:しかし、肝心の学内における他の学群学類との連携は達成したのだろうか。著者は本学では
循環農学類全学類の専門基礎科目「生物分類学」(1単位のうち5コマ担当)のほか、環境共生学類の
野生動物の感染症に関するいくつかの科目を受け持っている。また、大学院教育としても、基本となる
獣医学研究科博士課程の指導教員のほか、酪農学研究科修士課程の指導教員も兼任することから、特別
講義も実施している。2013年度までは学芸員課程の座学と学内実習も担当した。自分の研究を基軸に教
育してはいるが、もともと動物に興味のある学生が多いので、好意的に受け入れられていたようである。
WAMC が創設されて運用10年目となり(前述)、学内の教員にも影響を与えたが、特に、同じ大講
座のメンバーに与えた影響は少なくない。たとえば、本稿執筆前日に、本学類感染・病理学分野(大講
座に相当)の研究論文(卒業論文に相当)発表会があったが、26本の論文のうち、半分の題名に野生動
物あるいは動物園水族館動物の名称があった(酪農学園大学獣医学類、2014)。また、家畜を対象にし
た研究であっても、野生動物による媒介について言及されていた。獣医学の中核で、病態を直接扱う大
講座にあって、このような状況になることは、著者自身も予想をしていなかった。野生動物を含む生物
多様性問題からは逃れられないという証左であろうが、WAMC の存在が大きく影響を与えているはず
である。
本稿の目的:したがって、問題の所在は、上記の専門科目の研究、教育および啓発活動に根ざした教育
活動が教養教育に昇華たりえるのかどうかである。そこで、下記では、野生動物学の基本中の基本で、
かつ、汎用性を具有する動物学を主軸に論考をしたい。
野生動物医学の現状と動物学との関連性
論議の前に、専門教育である野生動物学の現状について、ごく簡単に触れたい。野生動物医学の英名
zoo and wildlife medicine が示すように、まず、医療 medicine の学問である。だが、本学会機関誌投
稿規定・希望審査分野にはお馴染みの臨床獣医学である内科と外科が含まれるものの、それら分野の掲
載論文が少ない。一方、多様な動物の臨床を支えるための基礎・病態獣医学(解剖・生理・感染病理な
ど)や予防に力点を置いた応用獣医学(公衆衛生)、さらに畜産・動物看護・保護管理など獣医学以外
からの投稿が目立ち、実際、日本の獣医学斉一教育を規定したコア・カリキュラム科目(1単位15コマ
想定)では、野生動物学は応用獣医学に分類され、その規定した教育項目は下記である。
①から④の項目分けは、2014年8月、八王子で実施された SSC の中で、獣医学の大系を参照に著者
が披瀝した試案である。すなわち、①は基礎獣医学(解剖学、生理学、分子生物学など)に相当する正
常な状態を知るもの(正常が判らなければ異常、すなわち病的状態が察知できない)、②は病態獣医学(病
理学、ウイルス学、細菌学、寄生虫学など)に相当する病気の要因や診断に関わるもの、③は臨床獣医
学(内科学、外科学、繁殖学など)に相当する異常から正常に戻す治療に関わるもの、④は応用獣医学
(公衆衛生学、家畜衛生学など)に相当し、予防を目的とするものである。各コマは「=」以降に示さ
れた。このほかのコマに動物園学(水族館も含む)というものもあるが、これは①から④全てを包含し
ている。
① 正常・健康な自然生態系とは何か?=生物多様性、野生動物の系統進化・分類(以下、
「野生動物の」
略)
、形態、生理・行動、生態・生息環境
② 自然生態系の異常とは何か?=疾病・病理、環境汚染、攪乱・破壊、外来生物
③ 自然生態系の異常を取り除くには、どのようにすればよいのか?=捕獲・不動化、リハビリテーシ
ョン、絶滅危惧種の保全、管理
④ 自然生態系が異常にならないようにするのは、どのようにすればよいのか?=法制度・政策
36
総会Ⅰ
このように、学術団体の現状やカリキュラムが示す今日の野生動物医学は、medicine とは言いながら、
一般にイメージされるような臨床面は全面には立っておらず、動物学と深く関わる非臨床系獣医学と応
用動物学との寄り合い所帯的なものである。したがって、当然ながら、この学問分野をより深く、体系
的に理解し、発展させるためには、その基盤・リテラシーとして、最低限の動物学 zoology 的な素養が
必要になる。
全体会Ⅰ
動物学とは動物を対象とする生物学である。が、起源的には自然史(誌)に由来することから、動物
の形態、分類、生態、進化、そして動物地理などの総合学問分野である。理学にはこの専門教育が用意
される。しかし、動物を扱う総合商社のような獣医学では、動物学が教育すべき内容から完全に欠落し
ているのである。多くの獣医学徒の憧れである「動物園」が、zoological garden であるにも関わらず。
このような状況は、専門科目である野生動物医学を取得する上で大変な支障がある。したがって、条件
の整った教員・施設を備えた基幹校との単位相互股間などで対応することで対応することが、まず、考
第1分科会
えられる。
獣医動物学の可能性
幸いにも、本学では体制が立ち上がりつつある。著者の獣医学類では寄生虫(病)について学ぶ研究
第2分科会
単位(ユニット;かつての小講座に相当)は実験動物学と寄生虫病学があり、それぞれの守備範囲は原
虫が前者、残り(蠕虫、節足動物)が後者である。著者は後者に所属している。また、前述したように
野生動物医学も兼務しているので、動物界全タクサを扱う立場であったので(図2)、専門基礎(動物学)
から専門科目(野生動物学)への円滑な移行が可能である。
医学には、類似した分野に医動物学がある。これは寄生虫に加え、ヒトに害をなす動物(クラゲ、ヘ
ビ、ネズミなど)、あるいはなすであろう不快動物を守備範囲とする分野である。しかし、獣医学で想
第3分科会
定されるものは、このような医動物学的な内容に加え、野生動物医学で対象となる動物を網羅したもの
が想定される。その体系化されたものが「獣医動物学」(浅川、2014b)である。
全体会Ⅱ
総会Ⅱ
参加者名簿
図2.獣医動物学で中心的に扱う動物界の門レベルのタクサ群(系統樹は
リン・マルグリスとカーリーン・V・シュヴァルツ、1987改変)
37
【第1分科会】教養教育の大学内連係・大学間連携
話題提供1
話題提供2
話題提供3
話題提供4
話題提供5
獣医動物学の(冠である「獣医」を除く)内容は、一専門科目である獣医学に留まらず、生物多様性
問題が喧しい今日にあっては、大学教育の教養レベルに位置づける性格も含まれる。生物多様性あるい
は様々な野生動物問題が健在化した今をより深く、かつ楽しく理解するためにも、その基盤に教養とし
て動物学 zoology の基礎は欠かせない。これはどのような分野であっても密接に繋がってしまうので、
専門基礎教育と誤解されるかも知れない。確かに、実利的な部分もあるが、動物学を知ることは、人生
を愉快にさせるので、やはり、教養教育であるし、そうであるべきである。
再び本大会の趣旨抜粋であるが、「『高等教育における人間性教育への社会的要請が高まる中で、教養
教育の役割の見直しが進み、その充実と多様化が喫緊の課題』で、その『充実・多様化するためには、
組織や専門を超えた教員間連携』と『地域コンソーシアムなどを軸とした地域連携、大学間の連携が課
題』が必要」という。これまでに述べたように、新興的な専門科目である野生動物医学は、若い学問で
あり、それを担うものも、数は多くはないが、皆、柔軟性に富む。いや、富まないとやってこられなか
ったはずである。したがって、このような機会を生かし、教養教育実施組織へ積極的に取り入れるよう
に働きかけては如何であろうか。
文献
浅川満彦、2013.獣医学部生による市民への保全医学啓発活動の実践.第62回東北・北海道地区大学等
高等・共通教育研究会研究集録、酪農学園大学:78-82.
浅川満彦、2014a.2013年度における酪農学園大学野生動物医学センターWAMC の活動報告(その3).
北海道獣医師会誌、58:92-97.
浅川満彦、2014b.野生動物医学の現状と獣医学教育における望ましい動物学 Zoology.日本野生動物
医学会ニュースレター、(38):19-20.
酪農学園大学獣医学類、2014.酪農学園大学獣医学部獣医学科 第二回感染・病理学分野研究論文発表
会講演要旨集、酪農学園大学獣医学類、江別市 : pp26.
質疑応答
Q:野生動物学と既存の生物学との差異、およびそれらは住み分ける必要があるか?
A:例えば、獣医学部は動物を扱う「総合商社」であるにも関わらず、動物学についてそれを教養
レベルで学ぶという環境がない。専門分野の多様性によって、その教養教育の内容は異なり、
特に野生動物学を教養レベルで学ぶことが、生物多様性問題の世界を生き抜くために必要なこ
とである。
38
第2分科会
テーマ ~外国語教育の多様化と方向性~
【第2分科会】外国語教育の多様化と方向性
話題提供1
話題提供3
話題提供4
話題提供5
話題提供6
総会Ⅰ
話題提供1
話題提供2
【第2分科会】外国語教育の多様化と方向性
1年生必修科目「基礎英語」における習熟度別クラスとIT機器の利用
全体会Ⅰ
北海道情報大学 竹内典彦
1.はじめに
北海道情報大学では、英語の卒業要件となる単位数が、通年4科目8単位または通年5科目10単位で
ある。情報系の大学における、英語の修得単位としては多いほうである。なお開講科目は6科目であり、
第1分科会
全て通年(30コマ×90分)で2単位である。そのうち1年生の必修科目である「基礎英語」は、習熟
度別クラスを実施している。大学入学直後に英語教員が作成したプレースメントテストを実施していて、
その成績により、7つのレベルに分けて授業を展開している。また、一番下のレベルの学生を主な対象
としてリメディアル教育も実施している。情報系の学生は、TOEIC の平均点でも学部別平均で、工学部
と並び低いとされている。本学に入学する学生もご多分に漏れず、英語が苦手で学力が低いものが多い。
第2分科会
「基礎英語」では、その7つのレベルを同時展開していて、異なる教員が担当している。1年生と再
履修生(過去の年度で単位を未修得の学生)を合わせて約400名を2つのブロックに分けて展開してい
るので、全14クラスであり、1クラスの履修者は平均で30名弱である。教員はレベルに合わせた教材を
独自に決めていて、現在のところ共通しているのは、民間の e ラーニングコンテンツ(チエル社)の
みである。担当者は常勤教員が2つのレベルで4クラスを教え、非常勤教員が5つのレベルで10クラス
を教えている。ちなみに常勤教員は最上位と最下位のレベルを担当している。
第3分科会
最上位のレベルは、常時PC教室を使用していて、授業の一部を適宜 e ラーニングにあてている。
他の6つのレベルは、普段は一般教室を使用していて(PC教室の数に限りがあるため)、ローテーシ
ョンで前期後期2回ずつ、PC教室で e ラーニングを実施していて、e ラーニングのみ全て筆者が担当
している。授業では、英検レベル診断テストとディクテーションの課題を与えているが、取り組みは総
じて熱心である。情報系の学生だけにPCへの親和性はかなり高いと言える。e ラーニングの評価は「基
全体会Ⅱ
礎英語」全体評価の20%(英検レベル診断10%、ディクテーション10%)を占める。本発表は、2013年
度に実施した、最上位を除く6つのレベルについて、その e ラーニングの成果を報告するものである。
2.2013年度の取り組み
総会Ⅱ
2013年度では、4回の e ラーニングで、毎回ウェブ上で英語検定用のレベル診断テストを実施した。
このテストは語彙問題25問とリスニング問題25問からなるテストであり、所要時間は30分程度である。
判定は実際の英語検定の判定よりも厳しいものである。このことは、多くの学生が「英検の級を持って
いるのに、1つ下の級に判定された」と不満を言ってくるので、やはり「厳しい判定」だと了解してい
る。受験者ごとに問題はランダムに出題されるので不正の心配がないことも、安心してこのソフトウェ
アを利用できる理由である。
参加者名簿
学生がこの診断テスト(正式名称は「英検レベル診断」)を受験する際、合格ラインを習熟度別クラ
スごとに設定して、合格しないと診断テストを補習として再度受けなければならず、合格すれば終了と
し、合格しない場合はもう1回補習に出ることを義務づけた。また合格ラインは回を追うごとに1ラン
クずつ上がるというシステムにした。
その結果、診断テストの成績のクラス平均は、夏休み後の最初の回に停滞するクラスもあったが、第
1回と第4回を比較すると一貫して上昇した。それは全レベルの全クラスで確認できた。このように、
41
【第2分科会】外国語教育の多様化と方向性
話題提供1
話題提供2
話題提供3
話題提供4
話題提供5
話題提供6
ある種のペナルティを設定することで、学生のモチベーションが顕著に向上するという現象が見られた。
なお、普段の授業で、この診断テストのための対策は行われていない。したがって、厳しさを伴う指導
が効果を上げたと考えている。
2012年度では、回を追うごとに合格レベルを上げていくということはせず、合格最低レベルを決め、
それに達しないものは補習とした。結果的に2012年度も、平均は上がったが、2013年度ほどではなかった。
レベル
回数
第1回
第2回
第3回
第4回
1
4級バナナ1本
4級バナナ2本
4級バナナ3本
3級バナナ1本
2
4級バナナ1本
4級バナナ2本
4級バナナ3本
3級バナナ1本
3
4級バナナ2本
4級バナナ3本
3級バナナ1本
3級バナナ2本
4
4級バナナ2本
4級バナナ3本
3級バナナ1本
3級バナナ2本
5
4級バナナ3本
3級バナナ1本
3級バナナ2本
3級バナナ3本
6
4級バナナ3本
3級バナナ1本
3級バナナ2本
3級バナナ3本
表1 レベルと合格ライン(バナナ1本は当該級下位、同2本は中位、同3本は上位)
最下位レベルから上から2番目のレベルまで(最上位レベルは別の教員が担当して、指導内容も異な
り条件が違うので除く)、仮に1~6とする。そのレベルと回ごとの合格ラインは表1のとおりである。
表1のバナナの本数であるが、1本はその級の下位、2本は中位、3本は上位の意味である。この合格
ラインに達しないと補習を受けなくてはならないので、学生も全力を尽くしている。一見してたいへん
低い合格レベルだと感じるだろうが、それでも合格に至らないものがいるのが現状である。なお、2つ
のレベルを1つの合格ラインにまとめているのは、1つのレベルの違いで、そこまで学力差が大きくは
ないからである。この合格ラインの設定が妥当と考えている。
補習のルールであるが、
ア 「英検レベル診断」で合格ラインに達しなかった者や欠席者は放課後補習(英検レベル診断の再
受験)を義務づける
イ 補習で合格しない場合は、次回の補習(再々受験)を受ける。2回補習を受けても合格しない場
合は打ち切りとする
ウ 5級判定の場合は、補習打ち切りがない
エ リメディアル補習(リメディアル専門教員による特別授業)を受けている者は e ラーニング補
習を中断することがある
オ 補習で合格したり、「打ち切り」になった者は、その後、合格に達しなくても補習は免除する
以上のように定めた。
特にオの、補習免除についてであるが、「甘い」という批判があると思う。しかし、できない学生に
してみれば、毎回合格ラインに達せず補習となれば、かえって英語学習へのモチベーションを下げてし
まう可能性がある。回を追うごとに合格レベルが上がるので「がんばれば合格する」と思えず「あきら
め」が生まれるからである。授業で合格すればもちろんだが、補習で合格しても一定の達成感を感じて
いることが、学生の表情や感想文から読み取れるので、現状のルールにしている。
次に、実際にどのくらい平均点が向上したかを見ていくことにする。表2をご覧いただきたい。1つ
のレベルに2クラスあるので、数字はその2クラスの平均である。レベル1と3と4の2回目と3回目、
レベル2の3回目と4回目のように停滞したところもあり、レベル6の2回目と3回目では少し下降し
た例もあった。つまり、総じて夏休みをはさむことによる成績低下が見られるのだが、他は順調に平均
が伸びていっている。この理由はいろいろ考えられるが、「回を追うごとに合格ラインを上げていく」
ことで、補習を免れようと努力した学生たちが多かったからだと主に考えられる。
また、どのレベルも、第1回と第4回を比較すると、バナナ1本ちょっと上昇したことがわかる。し
42
総会Ⅰ
たがって平均で英検級の0.3級分向上したと言える。この数字が大きいか小さいかは意見が分かれると
ころだと思うが、今後もさらに向上するように指導を工夫していきたい。
レベル
回数
第2回
第3回
第4回
1
4級バナナ0.6本
4級バナナ0.9本
4級バナナ0.9本
4級バナナ1.7本
2
4級バナナ1.0本
4級バナナ1.4本
4級バナナ2.1本
4級バナナ2.1本
3
4級バナナ1.7本
4級バナナ2.7本
4級バナナ2.7本
4級バナナ2.8本
4
4級バナナ2.0本
4級バナナ2.9本
4級バナナ2.9本
3級バナナ0.2本
5
4級バナナ2.9本
3級バナナ0.7本
3級バナナ0.8本
3級バナナ1.0本
6
3級バナナ0.5本
3級バナナ1.4本
3級バナナ1.3本
3級バナナ1.6本
全体会Ⅰ
第1回
第1分科会
表2 レベルと平均点
3.あとがき
この実践をふりかえってみて、学生の「達成感」を感じることができた。つまり、合格ラインを越え
て、補習を受けずにすむ結果が出ると「助かった」という声と表情がそこかしこで見られたことである。
第2分科会
また、補習に来て、合格して、喜んで帰る姿も大勢見てきた。感想を一言書かせるのだが、合格できて
よかったという感想がとても多かった。また、「リスニング問題では、とにかく集中すること。話して
いる人の表情や口元まで想像するようにすると集中しやすい。」という受験前のアドバイスを実行して、
実際に合格できたという感想を書いた者もいた。事前に練習でテストを受けてきたものも大勢いた。5
級の判定になると、「打ち切り」がないので、7回も8回も放課後補習に残る学生もいる。リメディア
ル補習を受けている学生は、普通中断するのだが、本人が「どうしても合格したい」と自発的に補習に
第3分科会
参加する場合もある。そうした学生が4級判定になり合格すると、こちらもうれしいが、本人が何より
喜んでいるし、誇らしげでさえある。
eラーニングは、個人個人のレベルを変えたり、自分のペースで学習するのに適しているわけだが、
今回のような「目標を持たせる指導法」にも適していると言える。2014年度も引き続きこの方法で「基
礎英語」を指導しているが、今のところ昨年度以上に数値が向上している。今年度は、「主体的学びの
全体会Ⅱ
世界パスポート」という冊子を持たせて、「英検レベル診断」の結果を書き込めるようにした。このよ
うに学生のモチベーションをさらに高めていけるように、今後も工夫を施していきたい。
総会Ⅱ
質疑応答
Q:一番下のレベルの学生に対する補習授業の内容について、何か工夫をしているか?
A:授業時間外のリメディアル専門教員による補習授業の受講を課し、その後、再度評価テストに
臨ませることにしている。
参加者名簿
Q:逆に、現評価方法よりも高いレベルを目指す学生について、特別な配慮はあるか?
A:
(
「英検レベル診断」は1級判定まであり、上位者にも対応できる。したがって)今のところ特
別な手段を講じていない。
43
【第2分科会】外国語教育の多様化と方向性
話題提供1
話題提供2
話題提供2
話題提供3
話題提供4
話題提供5
話題提供6
【第2分科会】外国語教育の多様化と方向性
東北大学の中国語学習に関する基礎調査について
東北大学 張 立波
1.はじめに
本稿では、まず東北大学の初修中国語のカリキュラムについて説明する。次に2010年12月に行われた
東北大学の初修外国語学習に関する基礎調査について説明する。最後に中国語学習に関する基礎調査の
結果について他言語の結果と比較しながら、顕著な傾向が見られる場合には一教員として教育現場の実
感から分析・検証していく。
2.中国語のカリキュラム
以下は東北大学全学教育・共通科目・中国語の一覧表である。基礎中国語Ⅰ、Ⅱは週2コマをペアで
履修して2単位認定となる。展開中国語Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳは週1コマを履修して2単位認定となる。基礎
中国語の授業目的と概要は共通であるが、授業方法・教材・評価方法は、各教員が自主的に決定してい
る。展開中国語Ⅰ、Ⅱ 、Ⅲ 、Ⅳについては、各教員が全て自主的に授業目的・概要、授業方法・教材・
評価方法を決定している。専任教員(平成26年現在)は3名で非常勤講師は11名である。
3.2010年12月に行われた東北大学の初修外国語学習に関する基礎調査について
3-1.調査の目的
大学教育、学士課程教育の中における外国語教育、特に初修外国語教育の位置づけは長らく関心を集
めてきた問題の1つである。初修外国語の実態把握とその分析は、東北大学の外国語教育の提供を前進
させていくための基盤でもある。
それは、全学教育の円滑な実施について中核的な役割を担う東北大学高等教育開発推進センター(現:
高度教養教育・学生支援機構)において、重要な課題の1つでもあった。
3-2.東北大学の初修外国語調査の枠組み
東北大学の初修外国語調査の枠組みについて名称は「東北大学の初修外国語学習に関する基礎調査」
である。目的は東北大学の初修外国語の学習状況を調べる目的である。実施時期は2010年12月である。
回収数(回収率)は861人分(25.6%=861人/3,358人)である。調査主体は東北大学高等教育開発推
進センター(現高度教養教育・学生支援機構)である。
3-3.分析・記述の枠組
本調査の質問項目は大きく、
「いま学んでいる外国語とその選択理由」、
「語学力と目標」、
「授業外学習」、
「属性情報」
、「今後の履修希望」、「授業の希望」6つの領域に分けられる。次節より、上記の枠組みに
則って調査結果を記述、分析していく。尚、紙面の都合上「属性情報」、「今後の履修希望」についての
記述を省略する。
44
総会Ⅰ
4.中国語学習に関する基礎調査の結果について
4-1.中国語の履修率
中国語の履修率中国語の回答者は全体の回答者と同様に一年生が主であり、総回答者数の8割を占め
ている。
全体会Ⅰ
2010年現在、中国語の全履修者数は1,527人である。これまで最も多かったドイツ語のほぼ倍になっ
ている。
4-2.中国語を履修した理由について
下図表1が示すように、「この外国語を選んだ理由は何か」という質問について、他言語では、「その
言語を使っている国の文化・歴史などに興味があるから」という回答が最も多く、全体の55.9%を占め
第1分科会
ている。一方、中国語において、回答が最も多かった回答は「政治的・経済的に重視されている国の言
語だから」であり、2番目に多かったのは、
「働く上で役に立つ言語だと思うから」という回答であった。
これら2つの項目はどちらも大学生の就職と関連があると思われる。なぜならば、今日、日本または他
の国で政治的・経済的に重視されている国の言語こそ、学生が将来働く上で使用する可能性が高いと考
えて選択していることが推測されるからである。
第2分科会
0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0%
専門分野の研究を行うのに必要だと思うから
その言語を使っている国の文化・歴史などに興味があるから
働く上で役に立つ言語だと思うから
政治・経済的に重視されている国の言語だから
その外国語を使っている人と交流したいから
楽に単位が取れそうだったから
友人や先輩に勧められて
その他
25.7%
23.6%
12.7%
6.4%
8.0%13.9%
2.3%
3.1%
13.0%
17.0%
4.1%10.1%
55.9%
48.9%
49.8%
中国語(N=436)
他言語(N=424)
29.1%
第3分科会
入学前に学習したことがある言語だから
5.3%
40.1%
図表1 外国語を選んだ理由
全体会Ⅱ
外国語学習の動機づけには、制度的要因・実用的要因・文化的要因・知的要因の四種があると言われ
ているが、中国語がブームになったのは、まさに、この実用的要因が主であると考えられる。現在、在
日中国人は10万人と言われており、中国経済の発展につれ、来日中国人観光客の増加、中国へ進出する
日本企業の増加、中国との取引の増加等はますます顕著化している。そのため、近年、国家及び地方、
更には、企業まで予算を捻出し、職員・社員に中国語を学習させている。
総会Ⅱ
三菱東京UFJ銀行が発行している《経済レビュー》の2010年6月18日版における、<拡大が予想さ
れる中国人観光客と、わが国経済への好影響>というテーマの報告書によれば、訪日中国人数は近年大
幅に増加したという。このような状況から、日本国内で就職しても、中国語を使う可能性が益々高くな
っていると考えられる。さらに、近年増加している日本企業の中国への進出によって、日本人が中国に
派遣されるケースも増加している。さらに、近年の円高で、日本企業の中国を含めた海外への移転が加
速するだろう。
参加者名簿
また、社会の変化と就職傾向の変化に緊密に連動していることがわかっている大学生も、テレビやイ
ンターネットに接することで、中国の事柄や言葉に敏感になってきているのが感じられる。
3番目多かった回答は、「楽に単位が取れそうだったから」というものである。これは、同じ漢字圏
の国であるということが理由の一つだと考えられる。「専門分野の研究を行うのに必要だと思うから」
という回答が他言語の25.7%に対して、中国語の場合は5.3%である。この数字は、東北大学の中国語
履修者にとっては、中国語は専門分野の研究を行う為のものではないことを物語る。
45
【第2分科会】外国語教育の多様化と方向性
話題提供1
話題提供2
話題提供3
話題提供4
話題提供5
話題提供6
「その言語を使っている国の文化・歴史などに興味があるから」という回答は、他言語では55.9%と
最も高い。しかし、中国語では、23.6% である。これは、他大学の調査結果と最も異なるところである。
多くの東北大学の学生は、中国の文化・歴史に対してある種の複雑な感情を持っていることが窺える。
意外なことに「その外国語を使っている人と交流したいから」と答えた学生は、他言語も中国語も低
い。中国語学習は他言語よりさらに低く、わずか8.0%でしかない。特に、中国は地理的に近い国である
のに、なぜ交流したくないと考えるのだろうか、或いは、大学の初修外国語授業に対して、交流できる
ほどの勉強を期待していないのだろうか。この点については、今後さらに詳しい調査が必要と思われる。
4-3.中国語の語学力と目標について
4-3-1.
「読む」力と目標レベル
0%
読む=現在
中国語(N=431)
読む=現在
他言語(N=415)
読む=目標
中国語(N=431)1.6%
3.5%
読む=目標
10%
20%
26.5%
33.3%
他言語(N=417)1.4%
7.2%
30%
40%
50%
60%
58.7%
53.3%
48.0%
48.7%
70%
80%
41.3%
31.7%
90%
100%
13.9% 0.5%
12.5% 0.5%
第1段階 よく知っている単語や名前、単純な文を理解できる
第2段階 ごく短い簡単な文章を理解できる
第3段階 日常的に使う言葉や出来事、感情が書かれた文を理解できる
第4段階 現代の問題について書かれた記事や報告を読解できる
第5段階 抽象的で複雑な記事や文学作品を読解できる
図表2 現在の水準と目標とする水準<読む>
4-3-2.
「書く」力と目標レベル
0%
書く=現在
他言語(N=413)
書く=目標
中国語(N=432)0.5%
9.0%
20%
30%
28.3%
34.1%
中国語(N=431)
書く=現在
書く=目標
10%
40%
50%
70%
80%
62.6%
53.3%
55.6%
52.8%
他言語(N=417) 2.6%8.6%
60%
90%
100%
7.7% 1.2%
0.2%
6.5%0.2%
0.5%
6.7%
7.4%
28.2%
28.5%
第1段階 名前や住所といったデータを書き込むことができる
第2段階 短いメモやメッセージを書ける
第3段階 つながりのある文章や、手紙・メールを書ける
第4段階 自分の興味・関心について明瞭で詳細な説明を書ける
第5段階 複雑な話題について適切な結論を導きながら論述できる
図表3 現在の水準と目標とする水準<書く>
4-3-3.
「聞く」力と目標レベル
0%
聞く=現在
中国語(N=431)
聞く=現在
他言語(N=415)
聞く=目標
中国語(N=431)
聞く=目標
他言語(N=416)
10%
20%
1.4%13.2%
2.2% 18.8%
30%
55.7%
63.1%
40%
50%
60%
70%
52.9%
52.2%
90%
40.1%
33.5%
24.4%
17.5%
第1段階 知っている単語を聞き取れる
第2段階 短くて簡単なアナウンスやメッセージを聞き取れる
第3段階 身近な話題について要点を理解できる
第4段階 長い会話や講義を理解できる
第5段階 母語話者の速いスピードでも、どんな話題も理解できる
図表4 現在の水準と目標とする水準<聞く>
46
80%
100%
0.7%
0.7%
2.8%
0.5%
2.9%
0.0%
8.1%
9.4%
総会Ⅰ
4-3-4.
「話す」力と目標レベル
0%
10%
20%
30%
話す=現在 中国語(N=428)
話す=現在 他言語(N=406)
話す=目標 中国語(N=431)1.9%
話す=目標 他言語(N=417)
5.0%
20.4%
26.1%
40%
65.4%
72.4%
50%
60%
70%
80%
90%
32.5%
25.9%
18.3%
13.9%
52.4%
48.4%
100%
0.5%
1.2%0.5%
1.2%0.0%
7.0%0.5%
6.5%
第2段階 会話を続けることは困難だが、短い社交的なやりとりはできる
第3段階 日常生活や自分の関連することについて準備せずに話せる
第4段階 母語話者と、流暢で自然な会話ができる
全体会Ⅰ
第1段階 相手が助けてくれれば、簡単なやりとり会話ができる
第5段階 状況に応じて表現を変えながら、流暢に会話ができる
図表5 現在の水準と目標とする水準<話す>
第1分科会
上図表2、3、4、5が示したのは中国語の語学力と目標についてである。ヨーロッパ言語共通参照
枠を参考に、
「読む」、「書く」、「聞く」、「話す」の4技能について、現在の水準と目標とする水準を尋
ねた。図4にあるように、自分の現在の「読む」力については、第2段階の「ごく短い簡単な文章を理
解できる」と答えた人は他言語の学習者では53.3%であり、中国語の学習者は58.7%を占めている。
「読
む」力の目標レベルについて、第3段階の「日常的に使う言葉や出来事、感情が書かれた文を理解でき
第2分科会
る」と回答した者は、他言語は48.7%であり、中国語学習者も48.0%と同程度である。つまり、学生は
ごく基礎的なレベルであると現状を認識し、いわゆる日常生活が送れるレベルを目標とし ている。 こ
の傾向は、他のスキルである「書く」、「聞く」、「話す」のいずれにおいても同様である。中国語は、表
記が日本語と共通な部分があるため、「読む」、「書く」については中国語を学習する前にある程度でき
ている。しかし、両言語の音組織、つまり発音がほとんど異なるため、その上達が学習者の大きな障害
になっている。調査結果からわかるように、「聞く」力と「話す」力について、5~6割以上の学生は、
第3分科会
自分の現在のレベルが第1段階だと思っている。しかし、7~8割の学生は、第3、4段階を目指して
いる。以上のことから、学生の中国語学習の意欲が窺える。つまり「聞く」力と「話す」力のレベルア
ップを実感させることによって、中国語学習のモチベーションを高めることにつながるのではないかと
推測される。
4-4.中国語学習の難しさについて
5.0%
10.0%
読む
書く
聞く
20.0%
25.0%
30.0%
24.1%
35.0%
27.4%
30.3%
30.4%
27.8%
26.2%
40.0%
45.0%
中国語(N=436)
42.4%
他言語(N=424)
41.1%
総会Ⅱ
話す
15.0%
全体会Ⅱ
0.0%
図表6 難しいと思ったこと
図6に示したように、中国語においては、「聞く」が最も難しいと答えた学生は42.4%で、他言語の
27.8%という数値をはるかに上回っている。また、「話す」が難しいと答えた学生は41.1%で、「聞く」
参加者名簿
とほぼ同じくらい難しいと思っているようである。その原因は、中国語の発音が難しいことによるもの
だと考えられる。ちなみに調査対象は調査を行った時点で、一年生は九ヶ月、二年生は一年九ヶ月中国
語を習った状態である。
47
【第2分科会】外国語教育の多様化と方向性
話題提供1
話題提供2
話題提供3
話題提供4
話題提供5
話題提供6
4-5.授業外での中国語の学習状況について
4-5-1.授業時間以外での中国語の学習時間数について
図表7 授業時間外での学習時間(各言語の比較)
図表8 授業時間外での学習時間
図表7に示したように他語種に比べ、中国語では学習時間が短く、平均して0.9時間である。さらに、
図8示したように、授業時間外で全く学習をしていないと答えた中国語履修者は34.6%に上る。学生は
1週あたり2単位の初修中国語を履修しているため、授業外学習時間は最低3時間に上っていなければ
ならない。しかしながら、図9が示す通り、授業外学習時間が1時間以下の学生が83.8%を占める。
4-5-2.授業外で中国語を使って行った学習活動について
図表9に示すように日常的に予習・復習していると回答している学生は5.7%しか占めていないため、
中国語を履修している学生は殆ど日常的に予習・復習していないという実態が窺える。それから授業を
除けば予習・復習くらいしか中国語に触れる機会がないことがわかる。
0%
授業の予習・復習 中国語(N=423)
留学生や同級生との会話 中国語(N=431)
20%
12.3%
9.5%
語学サークルでの活動 中国語(N=431)
当該言語で書かれた書籍の購読 中国語(N=432)
ラジオ講座の視聴 中国語(N=431)
テレビ講座の視聴 中国語(N=432)
語学学校への通学 (N=433)
当該言語を使用している国への旅行 中国語(N=432)
その他 中国語(N=47)
全く経験がない
2
40%
53.9%
41.3%
74.9%
79.7%
98.1%
99.3%
91.7%
89.1%
94.2%
93.7%
85.6%
84.7%
98.8%
99.3%
94.0%
96.6%
89.4%
78.9%
3
図表9 授業外での学習活動
48
60%
80%
100%
28.1%
33.0%
19.3% 4.9%
15.7% 3.6%
1.4%
0.5%
6.5%
8.5%
4.2%
5.1%
12.0%
12.6%
0.7%
0.5%
3.5%
1.7%
8.5%
7.9% 10.5%
日常的に行っている
総会Ⅰ
4ー6.授業方法と教材への希望について
0.0%
10.0%
0.2%
1.2%
20.0%
30.0%
40.0%
50.0%
60.0%
70.0%
80.0%
66.5%
68.2%
61.5% 66.0%
55.4% 64.9%
62.0% 71.6%
47.9%
59.9%
11.7%
8.5%
14.9% 21.2%
13.0% 22.2%
中国語(N=436)
他言語(N=424)
全体会Ⅰ
読み方の解説・練習
書き方の解説・練習
聞き方の解説・練習
話し方の解説・練習
その言語を使っている国・地域の文化・歴史
日本の文化・歴史
自分の専門分野に関連する事柄
将来の仕事・職業に関連する事柄
その他
図表10 授業に対する希望
図表10に示すように授業に対する希望について、中国語を履修している学生は、4つの技能をどれも
第1分科会
重視しているが、その中でも特に、「話し方の解説・練習」の重視度が高いと窺える。教材内容への希
望については、「中国の文化・歴史」を47.9%の学生が望んでいる。
4-7.現在の授業概要(シラバス)について
75%
80%
85%
90%
84.8%
他言語(N=415)
2.3%
8.8%
7.0%
いまのままでよい
改善してほしい点がある
100%
第2分科会
88.9%
中国語(N=431)
95%
8.2%
読んでいないのでわからない
図表11 シラバスに対する意見
授業概要に満足している学生は8割強に達している。実際の授業を授業概要に沿って行えば、学生の
第3分科会
授業への期待(4技能の習得を中心とする授業)とマッチしていると推測できる。
4-8.授業の適正人数について
40
33.1
24
20
中国語(N=377)
全体会Ⅱ
0
平均値
他言語(N=377)
図表12 授業の適正人数
「授業の適正人数は何人くらいだと思うか」という質問に、他言語学習者は24人、中国語学習者は
総会Ⅱ
33.1人と回答している。
実際、中国語の場合は、20人未満のクラスもあれば、100人以上のクラスもある。学習機会という観
点からは、人数が少ないほうが発音の練習の回数は増えるだろう。中国語の場合は、発音が一番難しい
という調査結果があった。各クラスの受講者数の調整は、今後の課題である。学生は30人前後の規模を
希望している。クラス規模の縮小は現状では難しいので、よりいっそう授業への工夫が求められるだろ
う。
参加者名簿
4-9.終わりに
4-9-1.発音の徹底指導とモチベーション維持の両立
「聞く」
、
「話す」が難しいと思う理由は、中国語の発音が難しいことによるものだと考えられる。中
国語の発音の学習は、初修外国語としての中国語学習において、最初の課題でもあり、最も難しい課題
でもある。学習者に、入門の段階で挫折感を味あわせたら、二度とやりたくないと感じる恐れがあると
思われる。いかに学習者にモチベーションを維持させながら、徹底指導するか、よりいっそうの工夫が
49
【第2分科会】外国語教育の多様化と方向性
話題提供1
話題提供2
話題提供3
話題提供4
話題提供5
話題提供6
必要だと考えられる。
4-9-2.授業時間以外で中国語の学習の喚起
日本の単位制度は、1単位あたり45時間学習が前提とされているので、2単位科目であれば週4時間
程度の授業時間外学習時間が必要となる。今回の調査結果を見ても、授業時間外学習が十分に行われて
いるとは言い難い。
今後、効果的な授業を模索するだけでなく、授業外も視野に入れて学習を促進するコース設計が思わ
れる。
質疑応答
Q:外国人留学生が多いキャンパス内で、学生交流を促進するような場はあるか?
A:日本人学生との交流の場は、特に設けられていない。
Q:将来的に外国語授業のネット配信はあり得るのか?
A:現段階で具体的な計画はない。
50
【第2分科会】外国語教育の多様化と方向性
話題提供1
話題提供2
話題提供4
話題提供5
話題提供6
総会Ⅰ
話題提供3
話題提供3
【第2分科会】外国語教育の多様化と方向性
Integration of Cultural Issues in the Syllabus of Spanish Classes
Silva
全体会Ⅰ
東北大学 Cecilia
Abstract
The focus of this work is on the integration of culture in the syllabus of Spanish classes for
students in level A1 (beginners) at Tohoku University. The following two issues are discussed:
第1分科会
views on culture and intercultural communicative competence. Since language and culture are
interwoven in the teaching and the learning of languages, the main challenge is to integrate
cultural topics in the development of language skills in such a way that the students work with
their new language skills in the context of cultural topics.
第2分科会
Key words: foreign language teaching, culture, intercultural competence, intercultural
communicative competence
Introduction
The present work is focused on the introduction of culture - several aspects of Hispanoamerica
第3分科会
culture and also the students’culture - in didactic material for students of Spanish as a foreign
language level A1.
Byram (2001) maintains that despite the many syllabi and course guidelines which refer to
the importance of cultural learning, there is still a lack of practice. Particularly, classes for
beginners in level A1 are frequently rich in grammar, vocabulary and oral practice while
全体会Ⅱ
insufficient attention is paid to the cultural/intercultural dimension. This can be observed in a
great number of textbooks, which contain just a small cultural reference at the end of each
lesson, or no reference at all. A concerted effort was made by the author to include cultural/
intercultural references in Spanish classes at beginners’level (A1 level), and the design,
implementation and results are reported herein.
総会Ⅱ
This article is divided into two parts. In the first section, the theoretical background, five views
of“culture”are presented with the aim of showing the intricate relation between language and
culture. In the second part an attempt is made to define the relationship between the linguistic
and the cultural components of language learning from a practical perspective. To do so we
present a model used for including cultural elements in the linguistic contents of the classes,
and discuss how this model was put into practice in one unit of the syllabus.
参加者名簿
I. Theoretical background
This section provides definitions of the main concepts related to culture and language, and also
five points of view about the relation of those two concepts.
Concepts related to culture in Second language teaching and learning
51
【第2分科会】外国語教育の多様化と方向性
話題提供1
話題提供2
話題提供3
話題提供4
話題提供5
話題提供6
In this section, a synthesis of the key concepts of the theoretical framework is provided, with a
focus on culture, intercultural competence, and intercultural communicative competence.
Geertz (1973, in Saville-Troike, 2003) pointed out the interactional character of culture: while
knowledge is confined to the individual, culture is something shared among individuals who
participate in the way of life of a community.
“In fact, there is not much point in trying to say what culture is. What can be done, however,
is to say what culture does. For what culture does is precisely the work of defining words, ideas,
things and groups (…) Culture is an active process of meaning making and contest over
definition, including its own definition. This, then, is what I mean by arguing that Culture is a
verb”(Street, 1993, p.25 in Hall, 2012, p.17).
The notion of Intercultural Competence, introduced by Hymes (1966, in Saville-Troike, 2003),
and defined by the Common European Framework of Reference for Languages, stresses the
encounter of the culture of origin and the target culture: “Knowledge, awareness and
understanding of the relation (similarities and distinctive differences) between the world of
origin and the world of the target community produce an intercultural awareness”. Bennet et
al (2003) maintain that this awareness requires sensitive knowledge, a motivated mindset, and a
skillset. Besides, the authors make clear that developing intercultural competence is not just
teaching about culture in the language classroom but teaching language with a variety of
approaches to culture wherein teaching about culture is one step.
Byram (1990), who stresses the importance of acquiring not only linguistic skills but also
those abilities and attitudes necessary for smooth communication in the target society and its
culture, defines Intercultural Communicative Competence as“ … the complex of abilities needed
to perform effectively and appropriately when interacting with others who are linguistically and
culturally different from oneself…”
Five views related to culture and language
Holme (2003) proposes five principles to rationalize the introduction of culture into the
curriculum.
The communicative view, derived from the communicative approach with its accent on
furnishing students with language and tools for using the language in context. Culture, when
introduced, is at the same time a content carrier and a tool. For example, if the teacher
introduces a film in class, the primary purpose would not be to acquaint students with the
theme of it but to acquaint students with some language point peculiar to the situation being
shown.
In the classical-curriculum view the language is viewed as an access route to the culture of a
particular community and this culture can enhance the intellectual potential of the language.
The third perspective, the instrumental of culture-free language view, carries a concern
regarding the hidden political and cultural agenda of a language. Implicit in this argument is the
view that a language will promote the values and contents of its host culture against those of
the place to where it is exported or where it is taught. Thus, such a belief adheres to an objective
view of language, free of cultural values.
The fourth deconstructionist view embraces the thought that the cultural construction of texts
means that the language student may be manipulated by those texts implicit messages. The
interpretation made by authors like Fairclough (1989, in Holme, 2003) and Halliday (1993, in
52
総会Ⅰ
Holme, 2003) moves language from its more neutral representation of a social context towards
the perpetuation of the system of values and beliefs implicit in the use of a language.
The fifth classroom approach to language and culture is the competence view (Byram, 1990,
2001), which maintains that the knowledge of a language’s culture is rendered essential to the
understanding of a language’s nuances of meaning.
全体会Ⅰ
One point of departure for linking language and culture in the classroom is that language is
part of culture and is at the same time a tool for transmitting it. Damen (2003) states that
communication involves more than words, it involves non-verbal codes, patterns, products,
topics among individuals, and warns against the risk of isolating language and culture in the
class:“ … to ignore the interplay between language and culture is to play the game of language
without knowing the rules (p. 72). In successful interaction, all the following come into play: the
第1分科会
goals of the interactive activity, the roles of the participants, the topics of the interaction, the
optional linguistic patterns to be used to unfold the interaction, and the ability to recognize
situations where the patterns apply and to use them effectively in new situations (Hall, 2000;
Saville-Troike, 2003). In the classroom, such interaction should include two related activities:
guided practice in those grammar aspects considered significant for the level of learners, and
第2分科会
the inclusion of conventional resources and typical meanings defined by social uses.
II. Culture in practice
This section offers a practical view of how language and culture are linked in the classroom. An
explanation of the model used for including culture in the Spanish syllabus for beginners is
provided, and one unit of the Spanish syllabus for Tohoku University is described. A discussion
第3分科会
is also included reflecting on what has been learnt, the shortcomings of the approach
considering the accomplishments, and a suggestion for the controversial issue of how to assess
students’intercultural competence.
Model for integrating language and culture in the Spanish syllabus
全体会Ⅱ
In an attempt to contribute to the organization of cultural issues in the context of learning
engagement and to integrate them into a syllabus, Byram’s model (1990, 1997, 2001) was
chosen in this instance because of its applicability in combining language and culture at level
A1.
The model proposed by Byram (p.19) combines the teaching of the foreign language as a
総会Ⅱ
subject of study and as a medium of cultural phenomena using the learners’mother tongue to
compare meanings in the students’own language and that of the target language. The
components of Byram’s model can be summarized as follows:
a) Language learning is considered skills acquisition, with special stress on the notion of
language as a social phenomenon. This provides students with the opportunity to use and
practice material based on language produced by native speakers.
参加者名簿
b) Language awareness is the element which draws learners’attention to the similarities and
differences between their own language and the target language. Thus, learners start to
understand the link between language and other cultural phenomena, for example, the
relationship between salutation formulae and degrees of formality according to age, and social
status, etc.
c) Cultural awareness: this aspect is concerned with the non-linguistic aspects of language and
53
【第2分科会】外国語教育の多様化と方向性
話題提供1
話題提供2
話題提供3
話題提供4
話題提供5
話題提供6
or provides an opportunity to reflect on the use the target language in its culture and to compare
the culture of the target language with that of the learner.
d) Cultural experience is the direct experience achieved through exchange visits, educational
trips, the participation in courses abroad and the such-like. However, since it is not possible for
much cultural experience to take place in a foreign country, teachers and institutions should
make every attempt to provide such experiences in the class by means of contact with native
visitors and dialogues with teacher assistants.
Byram et al (2001) stated that the components of intercultural competence are knowledge,
attitude, and skills.‘Knowledge’in this context refers to knowledge of social groups, their
processes of interaction and their products.‘Attitude’refers to curiosity and openness, a
willingness to recognize one’s own culture as not the only one possible and not the only one
with value, and open the mind to other cultural elements and styles.‘Skills’include various
linguistic abilities necessary for interaction, and the use of those linguistic skills for acquiring
new knowledge of other cultures, for interpreting and accepting other social and cultural
practices.
The development of intercultural competence requires the use of linguistic skills to acquire
knowledge of other cultures, their processes and products and, at the same time, using that
knowledge for developing and enhancing linguistic skills. For Byram (2001), accomplishing
intercultural work in the classroom is a matter of seizing opportunities that arise from specific
situations, or topics or materials. Kramsch (1998), whose emphasis is on the social dimension of
language learning, points out that communicative activities and grammar exercises can become
meaningful opportunities for intercultural dialogue. Kramsch (1998) also maintains that the
language class should be seen as a privileged field for intercultural work during which there are
two kinds of dialogue: one basically instructive and meant for practicing forms, and the other an
interchange of ideas by means of language. These two authors’perspectives have become the
points of departure for organizing material for linking language and culture in Spanish classes.
Byram (1997) pointed to the following features of the model of intercultural communicative
competence:
- it proposes the intercultural speaker as an attainable ideal and leaves aside the notion of the
native speaker as a rigid model for foreign language learners;
- it is a model intended for the acquisition of intercultural communicative competence in the
educational context;
- as it is a model with an educational dimension, it includes specifications of the roles of the
teacher and learner.
In an attempt to introduce intercultural competence in the syllabus for classes of Spanish we
applied Byram’s model (Figure 1).
54
総会Ⅰ
Language
learning
Language
awareness
Skill-oriented
FL focus
oriented
F1medium
comparative focus
Knowledge-
Knowledge-
oriented
oriented
FL medium
focus
F1 medium
comparative focus
Cultural
experience
第1分科会
Foreign culture
全体会Ⅰ
Mainly FL focus
Knowledge-
Cultural
awareness
Figure 1. The language and culture teaching process (Byram, 1993, p. 20)
第2分科会
Integrating culture in the contents of Spanish classes
In this section, the fourth and fifth units of the Spanish syllabus for first year students of
Engineering (90 students) and Economics and Law (40 students) at Tohoku University are
explained.
The task of intertwining language and culture implies using“ … artifacts from target cultures
第3分科会
so that students might see, touch, or experiment with a product”(Phillips, 2003, p. 166). Also, as
described by Byram et al (2001, p.3) the task“ … is to facilitate learners’interaction with some
small part of another society and its cultures, with the purpose of relativizing learners’
understanding of their own cultural values, beliefs and behaviors, and encouraging them to
investigate for themselves the otherness around them, either in their immediate physical
全体会Ⅱ
environment or in their engagement with otherness which internationalization and globalization
have brought into their world”.
In introducing culture and intercultural competence in the syllabus, the following questions
need to be carefully considered: what is the purpose of introducing culture in a language
syllabus, how will culture be linked to language, and what aspects of culture will be included
Practice, enhance, and relate linguistics skills to cultural topics
How?
Relate cultural topics to the grammar points: design activities, videos with native
speakers and dialogues with Spanish speaking teaching assistants introducing
cultural topics.
What?
Culture with big C: elements of history, literature, art and music. Culture with small c:
products (pop music, folk art), ideas (beliefs, values), and behavior (habits such as
eating, clothing, and others) (Tomalin and Stempleski, 1998, p. 7).
参加者名簿
Why?
総会Ⅱ
(Table 1).
Table 1. Aspects to be considered for including culture in the Spanish syllabus
55
【第2分科会】外国語教育の多様化と方向性
話題提供1
話題提供2
話題提供3
話題提供4
話題提供5
話題提供6
Unit 4 Family, professions, and. descriptions of people
Language learning
Language awareness
Language: Spanish (Japanese for grammar
explanations and instructions)
Language: Spanish (Japanese if needed)
Grammar points: To be + adjectives,
professions. Revision of numbers.
The adjective“old”for things and people.
Is it appropriate to ask someone’s age?
Salutations: formal and informal
Description of comics characters (Sazae,
Chibimaruko, Mafalda, and others)
Penelope (song in Spanish) and a Spanish TV
show featuring Penelope in Japanese. Imagine
and describe Penelope, the girl in the song.
Revision of numbers: Female students answer
the question“How long are you willing to
wait for the love of your life? How many
years/months/days?
Introduction of Gabriel Garcia Marquez
F i l m “L o v e i n t h e t i m e o f c h o l e r a ” .
Description of the main characters.
Revision of numbers: Male students answer
the question“How long are you willing to
wait for the love of your life? How many
years/months/days?
Song of the film:“Hay amores ”by Shakira.
Listening activity and sentences related to
Shakira’s family.
56
Cultural experience
Cultural awareness
Language: Spanish
Language: Spanish and Japanese
Video-clips (“Do you have a boyfriend? Do
you have a girlfriend?”) for practicing
listening skills, presenting conversation
models and furnishing students with several
speech characteristics (hesitation, redundancy,
and others) and colloquial expressions.
Description of Sazae’s and Mafalda’families.
Differences in the personalities of Mafalda
and Chibimaruko (in Spanish).
“Like water for chocolate ”(film). Traditions
in the family, past and nowadays, in Japan
and Mexico.
Controlled and semi-controlled dialogues
between the students and the teaching
assistant: in Spanish, to practice linguistic
skills.
Informal dialogue between the students and
the teaching assistant: in Japanese, about
young people dating, differences between
Japan and Spanish speaking countries.
総会Ⅰ
The main challenge when designing activities for each unit of the syllabus is to consider the
components of the model above described. In many cases, during the development of activities,
the components of Byram’s model overlapped and in some cases one component naturally
followed another. For example, after the dialogue between the teaching assistant and the
students to practice linguistic skills, the students might spontaneously ask the teaching assistant
全体会Ⅰ
about aspects related to customs and habits that are not included in the video that provided
them with a model for conversation.
The video-clips (1), specifically made for classes at Tohoku University, are records of people of
Spanish speaking countries, and provide students with authentic language and a sense of
regional varieties.
One important aspect to consider is that activities integrated culture for A1 level learners who
第1分科会
are taking Spanish for only one year and in some cases these classes might be their only contact
with the culture of Spanish speaking countries.
Discussion: assessment challenges
第2分科会
One difficult issue is how to assess whether the cultural dimension and the intercultural
communicative competence have been sufficiently considered in the syllabus and internalized
by the students. It is necessary to define a model for assessment. However, as several authors
(Paige et al, 2003; Byram, 2001) have indicated, since the content and methods of teaching
culture are not adequately defined, assessing culture learning is also problematic. That is,
assessing culture learning is difficult precisely because culture is not a concrete concept.
第3分科会
One main issue related to the difficulty in assessing culture learning is choosing which
aspects of culture to teach. In many cases, more than one culture and one language exists
within the borders of one country, and in other cases the same language, is spoken in many
countries which do not share the same cultural heritage, or have the same local particularities.
Some teachers choose to teach the Big C culture (architecture, artistic traditions, and literature)
全体会Ⅱ
rendered representative of the target culture. As Byram (2001) has pointed out, the other two
components of intercultural competence, attitudes and behavior, often tend to be excluded from
the classroom because of their intrinsic complexity and the difficulty of assessing them.
If we consider culture learning as something which should not have a measurable outcome,
then traditional concepts of testing simply do not apply. In the promotion of culture learning,
総会Ⅱ
teachers are advised to consider it rather as a process, or a continuous exercise, and not as
learners digesting information.
Conclusion
The present work involved a combination of theory and practice and, with all its shortcomings,
the author considers it a first step towards formulating a syllabus that integrates culture at a
参加者名簿
beginners’level, defining clear objectives and designing a pattern for assessment. This paper
has suggested that language educators can benefit from the various theories put forward by
cultural researchers in the preparation of material which includes cultural and intercultural
content designed to enhance classroom interaction and to enrich the learners’views of the
target culture as they practice their linguistic skills.
57
【第2分科会】外国語教育の多様化と方向性
話題提供1
話題提供2
話題提供3
話題提供4
話題提供5
話題提供6
Acknowledgement
The present article is part of the project
「スペイン語初級者のための補助教材の作成-リスニング能力習得のためのビデオ教材およびスペイン
語圏の文化に基づいたアクティビティの導入-」平成24年度高等教育の開発推進に関する調査・研究経
費」
「特別経費(PFFP・18054010)」
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Byram, M. (2001). Introduction. In M. Byram, A. Nichols and D. Stevens (Eds.) Developing
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Curriculum. A Sociolinguistic Perspective. In D. Lange and M. Paige (Eds.). Culture as the Core.
Perspectives on Culture in Second Language Learning . Connecticut: Information Age Publishing.
1) Annotation. The video-clips are produced as part of the didactic resource project proposed by
Professor Mitsuhiro Shigaki: 志柿光浩、セシリア・シルバ(プロジェクト代表)「実践的初修外国語
コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 養 成 カ リ キ ュ ラ ム 開 発 」Mitsuhiro Shigaki & Cecilia Silva, project
coordinators“Development of a Curriculum Aimed at Formation of Practical Communication
Skills in Second Foreign Languages”, which is part of the general program of the Center for the
Advancement of Higher Education「2011年度大学教育力開発事業(特色ある教養教育内容開発)
58
総会Ⅰ
質疑応答
Q:報告内で言及される「文化」の具体的な内容とは?
A:まずは料理や家族など身近な話題から始め、より広い文学、歴史、映画や音楽といった話題へ
導く方法を取っている。
全体会Ⅰ
第1分科会
第2分科会
第3分科会
全体会Ⅱ
総会Ⅱ
参加者名簿
59
【第2分科会】外国語教育の多様化と方向性
話題提供1
話題提供2
話題提供4
話題提供3
話題提供4
話題提供5
話題提供6
【第2分科会】外国語教育の多様化と方向性
Encouraging Cellphone Use in the Classroom
北海道教育大学旭川校 Andrew
Komasinski
Abstract
In this presentation, I suggest that there is a place for cellphones in the classroom as a type of
CALT (Computer-assisted Language Testing) or CALL (Computer-Assisted Language Learning)
system. In comparison with using desktop or laptop computers, advantageously your students
generally come equipped with the technology themselves. This enables implementation
regardless of whether you are teaching in CALL classroom and whether your university even
has a CALL classroom. This presentation builds on my experience implementing such a system
at Hokkaido University of Education’s Asahikawa campus during the Spring 2014 Semester. I
used this system to deliver both quizzes and homework assignments to students using Google
Forms, QR codes, and URL shortening. Due to certain limitations of this system, I later integrated
some proprietary code and re-implemented some of the features in PHP, but this presentation
looks at the above model.
This presentation has three foci. First, I will explain what I did, the data I accumulated from my
implementation in Spring 2014, and some general impressions from my experience with this
technology. Second, I will provide step-by-step instructions for implementing your own quizzes
and homework using Google Forms and QR codes. Third, I will lay out some of the difficulties I
encountered in using this sort of system, the steps I took to resolve these problems, and the
solutions I recommend.
Key words: Cellphones, CALT, CALL, technology in the classroom
At the beginning of the Spring Semester 2014, I began teaching as a tokunin koushi at the
Asahikawa campus of Hokkaido University of Education. Having previously taught smaller
courses in America in my discipline (philosophy), the number of classes and students seemed
difficult to manage using conventional means (seven classes and two hundred and fifteen
student-classes, including students taking multiple courses from me). Moreover, I like to track
how well I teach and learn more about my students, so I can use examples they know and
understand their interests in the courses. Consequently, I do an intake survey to better
understand my students, but accumulating that much data on paper is highly time-consuming.
But time is precious and resources were limited
To meet these challenges, I considered Moodle as a resource for a rapid-deployment cellphonebased CALT or CALL platform, but three barriers prevented me from implementing it. First, it
was not entirely clear if it would work on cell phone since you need to add a smartphone
module which seems to have gone through many transitions as Moodle development takes
60
総会Ⅰ
places. Second, some of the documentation I read indicated students would need to install a
smartphone app, which could lead to support-related problems and narrow the number of
students who could use the interface. Third, I did not have my own server upon which to host
the site. Moreover, I did not have the time to figure out how its system worked in time for the
beginning of the semester when I intended to use it to learn more initial information about my
全体会Ⅰ
students.
Consequently, I decided to look at easier to implement methods for bringing technology into the
classroom. Already being familiar with Google Forms, I knew that it could enable me to rapidly
deploy questions to my students, which they can answer if they know the URL. There were
still, however, two problems. First, the classrooms I do not have computers or other equipment
第1分科会
for CALL. Many of my students do not even own computers let alone laptops that they could
bring to class. Consequently, it was not immediately evident how my students could answer
questions on Google Forms. At the same time, I knew that students in general would own
cellular phones and the majority of these would be smartphones. Fortunately, modern
smartphones contain web browsers that can access URLs easily. One problem, however, is that
第2分科会
the URLs generated by Google Forms can be somewhat unwieldy.
Rather than asking students to enter a complex URL on their cell phones, I decided to see how
difficult it would be to implement QR codes - the small square codes that are ubiquitous in
advertising. The patents related to the QR code are owned by Denso Wave, a Japanese company,
but the company has promised not to enforce its patents making it a widely available
第3分科会
technology. Consequently, I was easily able to find a QR code generator online. Initial tests
showed that this was the easiest way to open a URL with a cellphone. Thus, using a Google
Form and QR code generator, I was able to provide students with an intake form for the class
that they could do on their cellphones.
全体会Ⅱ
Based on those results, I decided to keep using cellphones as a method for doing homework and
taking quizzes. One barrier, however, is that we often view the in-class cellphone as a bane to
teaching. Thus, there is a large volume of literature in which college instructors explain how
distracting cellphones can be to students (See Valois, Michelle,“Views Differ on use of
cellphones in the college classroom,”and Young, Jefferey for three such examples). I too have
総会Ⅱ
seen students distracted by whatever worthless text messages they are reading, and I have felt
the same urge when someone drones on about a topic that does not interest me. I have also
included participation grade warnings specifically related to cellphone usage.
What I want to suggest, however, is that we should moderate our thoughts on this. The problem
is not cellphones themselves but students who are distracted from education since they are
参加者名簿
using cellphones. Thus, there is no in-principle reason that cellphones could not be co-opted for
teaching.
Strange times make for strange bedfellows, so I decided to go ahead with my first QR code and
Google Form survey.
61
【第2分科会】外国語教育の多様化と方向性
話題提供1
話題提供2
話題提供3
話題提供4
話題提供5
話題提供6
Data from Spring 2014:
#
*
Item Name
Entries
Fields
#
Item Name
Entries
Fields
1
Intake Survey
195
32
12
English 1 Final
42
28*
2
English Comm. Quiz 1
51
9
13
Eng. 2 Chapter 10 HW
26
18
3
English Comm. Quiz 2
51
9
14
Eng. 2 Chapter 12 HW
33
18
4
Eng. Comm. Midterm
54
29
15
Eng. 2 Chapter 13 HW
25
19
5
English 1 Quiz 1
40
11
16
Eng. 2 Chapter 15 [Not Graded]
15
22
6
English 1 Quiz 2
41
8
17
Eng. 2 Chapter 16 HW
29
20
7
English 1 Quiz 3
30
22*
18
Eng. 2 Chapter 7 HW
36
9
8
English 1 Quiz 4
38
4
19
Eng. 2 Quiz 1
39
11
9
English 1 Quiz 5
39
12
20
Eng. 2 Quiz 2
39
7
10
English 1 HW Week 10
35
10
21
Engl.2 Quiz 3
41
6
11
English 1 HW Week 11
30
12
22
End-Class Survey
124
22
Not every item required an answer (depending on the student’s answers).
Totals: 1503 student-gradable instances (an individual student’s quiz or homework for a single
assignment) including the ungraded intake and exit survey. 13,999 student-answers (a single
student’s answer to a single question). Also 184 of 195 students agreed to allow their data to
be used in research studies.
Moreover, using a proprietary system, I was able to group text answers that are fundamentally
similar. Through this, I hope at a later point to work on identifying problem areas for students
and try to trace why certain types of English errors were common for all students.
I now to turn to the second practical phase showing how you can implement such a quiz or
homework delivery method in about ten minutes. For a video of me explaining it, please go to
the references at the end of this presentation. In order to use this method, you will need a
modern web browser and a Google account (both are available for free). After creating your
Google account, browse to http://forms.google.com. This should take you to a new Google Form.
Click near the top on the text“Untitled Form”/「 無 題 フ ォ ー ム 」and change it to the title you
want. Then click on“Untitled Question”/「 無 題 の 質 問 」 and change the question to whatever
text you want. After this, click on“Add Item”/「アイテムを追加」. Choose“Multiple Choice”/「ラ
ジオバタン」. Enter a question title, then type in the box labeled“Option 1”/「オプション 1」. For“Option 2”/「 オ プ シ ョ ン 2」, type in the box below. I also generally check“Required
Question” /「必須の質問」to make sure students will answer the questions. Then click“Done”
/「完了」. Since I generally use these for quizzes, I unclick the checkbox that says“Show link to
submit another response”/「別の回答を送信するためのリンクを表示」. Finally, click“Send Form”
/「フォームを送信」. Copy the URL in the box entitled“Link to Share”/「共有するリンク」. This
URL enables anyone in the world who has it to take your quiz.
To make this quiz easier to take with a cellphone, I recommend two steps. First, go to http://bit.
ly. In the box that says“Paste a link to shorten it,”enter the URL you copied from the Google
Form. Then click“Shorten.”After you do so, copy the URL it generated. Take this URL and go
62
総会Ⅰ
to https://www.the-qrcode-generator.com/. Here, click on URL. Then, enter this URL in the URL
box. Test the QR code by using a QR code reader on your cellphone to make sure it goes to the
quiz. If it works, click“Save.”This will give you a file that you can download and print.
To view results from the quiz, go to drive.google.com and click on the Form you created. Near
全体会Ⅰ
the top, click on“View Responses.”This will show you a Google Sheet that contains the
answers to your quiz. Again, it might be easier to watch the procedure than to read this many
instructions.
Finally, while I do think the procedure is easy and useful, I want to share four challenges one
should be aware of if trying to use this system for giving quizzes. First, not every student has a
第1分科会
cellphone or is willing to use a cellphone to take a quiz, so you will still need to provide some
printed versions of the quiz or homework. In my case, I chose to type the questions students
which depending on the class size can take a good deal of time. On the average, I would say less
than 15% of the results required manual entry, and this takes time.
第2分科会
Second, not every smartphone works well with Google Forms. I found that almost all phones
were capable of handling“Text”questions but some stumbled on dropdowns, multiple-choice,
and multiple checkbox questions. ガ ラ パ ゴ ス 携 帯 (Cellphones built exclusively for the Japanese
market) had the worst compatibility problems, but I also saw some difficulties in the use of older
Android phones. In my context, all iPhones and all modern (2013 or later) Android phones were
fully compatible with the quizzes through Google Forms.
第3分科会
Third, even if a student has typed everything, if they have not submitted the quiz, then when
they navigate away from that page, the Google Form will lose all of their data. Over the course
of the semester, for homework and quizzes, I had approximately eight instances of this through
the semester. One student had this happen twice in a single day. This can happen quite easily
全体会Ⅱ
on a iPhone with certain finger motions on the screen. After such an event, students tended to
shy away from using the system whenever possible. While some students retook that quiz using
their cellphone, others immediately opted for paper quizzes. In both cases, they would request a
paper quiz on all subsequent days.
総会Ⅱ
Fourth, students can accidentally submit the same quiz twice. This produces two rows in the
Google Spreadsheet. On each assignment, this tended to happen, and it often was the same
students who would end up submitting multiple times. One reason might be that the cellphone’
s browser window tries to refresh the next time it opens and consequently resubmits the same
data. A second reason might be that students did not understand they had successfully
submitted the quiz and resubmit to be sure.
参加者名簿
I will conclude here with my own impressions and plans for continued use of technology in the
classroom. My experience with this testing platform was rather positive. Due to certain
limitations with the approach, related to testing, however, I am forging ahead with the
development of a proprietary system that implements the same features but resolves some of
the attendant problems with Google Forms. Probably, the largest problem here is that grading is
63
【第2分科会】外国語教育の多様化と方向性
話題提供1
話題提供2
話題提供3
話題提供4
話題提供5
話題提供6
a little difficult to do inside a Google Sheet whereas the process is simplified in my own
framework. Moreover, moving to a proprietary system will enable a move from a primarily
evaluative CALT model to a CALL model that can optimize the content delivery to help the
student learn (Cf. Hubbard 12 for the distinction between the two types of systems).
References
Denso Wave Incorporated,“History of QR code”[sic] http://www.qrcode.com/en/history/
(accessed 13 September 2014)
Hubbard, Philip.“A general introduction to computer assisted language learning”in Computer
Assisted Language Learning: Critical Concepts in Linguistics (accessed 15 September 2014).
Komasinski, Andrew.“Cellphones in the Classroom [Video]”http://www.komasin.com/englishteaching/cellphones-classroom/ (accessed 13 September 2014).
Valois, Michelle.“The Professor's Inner Bitch”Chronicle of Higher Education, 4/20/2012, Vol.
58, Issue 33 (accessed 20 August 2014).
“Views Differ on use of cellphones in the college classroom”McLean Bennett Leader-Telegram
http://www.leadertelegram.com/news/front_page/article_0ea9ed30-79fb-11e0-9e17001cc4c002e0.html (accessed 20 August 2014).
Young, Jefferey“The Fight for Classroom Attention: Professor vs. Laptop”Chronicle of Higher
Education, 00095982, 6/2/2006, Vol. 52, Issue 39 (accessed 20 August 2014).
質疑応答
Q:受講学生全員に QR コードを配布する方法や、学生が QR コードを利用する方法について、技術
上の問題はないか?
A:報告者がテクノロジーに熟達しているため、配布には特別な困難はなく、また、学生にもその
利用に大きな支障はない。
64
【第2分科会】外国語教育の多様化と方向性
話題提供1
話題提供3
話題提供4
話題提供5
話題提供6
総会Ⅰ
話題提供5
話題提供2
【第2分科会】外国語教育の多様化と方向性
Online Intercultural Exchange using Student-made Videos
Claro
全体会Ⅰ
北見工業大学 Jennifer
Abstract
In a recent intercultural online exchange (IOE), university students in Canada and Japan made
videos of themselves speaking as well as cultural videos and posted them in a private Moodle
第1分科会
website. In an IOE, language learners in different countries communicate with each other in the
target language(s), with improvement of language ability and an increase in cultural
understanding being the main goals. In this project, students recorded videos of themselves and
their environments instead of communicating by text only. Recorded videos may be better than
text only for online communication because: 1) Videos contain multimodal information like facial
第2分科会
expressions, intonation, etc., which can help to increase understanding; 2) Live video chat is too
fast for many beginning and intermediate students. With student-made videos, students have
time to reflect and to prepare; 3) Students can take videos of not only themselves but of the
culture they live in. These culturally rich videos can be used to explore the daily life and
traditions of another country, deepening cultural understanding. In this article, reasons for doing
an international online exchange will be explored and the first International Communication
第3分科会
Experience (ICE) project will be described.
Introduction
In Japan, students study English for many years1 but most have not used it for communication
全体会Ⅱ
(Johnson & Brine, 2000). Because English is studied in Japanese public schools largely for the
purposes of passing university entrance exams (Butler & Iino, 2005), there is very little focus on
speaking, listening, and cultural aspects of communication (Johnson & Brine, 2000). To address
this problem, universities in Japan have increased the number of communicative English classes
(MEXT, 2002, cited in Butler & Iino, 2005). Thus currently it is in university that students in
総会Ⅱ
Japan have the opportunity to improve their English communicative skills. However, even in
university classes with a focus on English communication, there are a number of challenges.
One major problem is motivation. After studying English for many years, with the main goal of
passing exams, many Japanese students are suffering from burnout by the time they enter
university (Berwick & Ross, 1989). University English teachers often have to deal with large
参加者名簿
classes of students who do not know why they should study English, now that they have
entered university, and who may have little interest in it (Benson, 1991). Another problem is
that there is a lack of authentic communicative partners for students to communicate with.
An intercultural online exchange (IOE) addresses the access problem by providing
communicative partners. In an IOE, language learners in different countries communicate with
65
【第2分科会】外国語教育の多様化と方向性
話題提供1
話題提供2
話題提供3
話題提供4
話題提供5
話題提供6
each other in the target languages, and the main goals are to practice and improve language
ability and to increase cultural understanding (see, e.g. Belz, 2002; Guth, Helm & Farrah, 2012).
In an IOE, students may be experiencing authentic communication in the target language for
the first time. The realization that they can use the language that they have studied to
communicate may be motivating. Intercultural contact has been found to be a motivating factor
for language learning in many studies (see, e.g. Kormos & Csize'r, 2007).
In the International Communication Experience (ICE) project 2, students communicated by
making and posting videos in a private Moodle website posts. Video posts provide the following
advantages over text posts:
1.M ultimodal information like facial expressions and intonation helps to prevent
miscommunication. When students can see the faces and hear the voices of their partners,
misunderstandings are less likely to occur than in text-only interaction. Video
communication also increases social presence, making the students’partners seem more
“real”(Richardson & Swan, 2003).
2.Video communication is more authentic than text only as it is more similar to face-to-face
communication. Video chat is too fast for most language learners at the beginning and
intermediate levels (Lee, 2007), while recorded videos could be seen as a slowed-down
discussion that allows students time to process input and prepare their own replies.
3.V ideo communication with accompanying scripts allows for the practice of all four
language skills: speaking, listening, reading, and writing. In text-based communication,
there is no chance for speaking or listening practice.
4.Students can make cultural videos of their environments too. Learning about culture from
a video recorded by someone living in that culture is more authentic than learning about
it in a book.
The goals for this first ICE project were practice using the FL (foreign language) for authentic
communication and an increase in the understanding of a foreign culture. The first ICE project
took place from October 2012 to January 2013. Forty students at a university in Japan who
were studying English communicated with thirty-six students at a university in Canada who
were studying Japanese.
1
Until 2011, students in Japan had started studying English in Grade 7 (Fukada, 2011). They now start
studying English in Grade 5.
2
This project name was nominated by students and voted on.
66
総会Ⅰ
Procedure
Students first wrote what they planned to say. The students in Japan were asked to write
furigana (a phonetic alphabet) after difficult kanji (Chinese characters) to enable comprehension.
In this way, students were able to watch their partner’
s video and then use the text to decipher
全体会Ⅰ
any parts they couldn’
t understand.
Students had two partners each (three in some cases), and were asked to make one video for
one partner within three days, and one for the other partner (in the other language) three days
later. Thus, there were two discussions going on at the same time, one in English with one
partner, and one in Japanese, with the other partner. Discussions lasted two weeks. In the third
第1分科会
week, students were asked to complete an online bilingual survey and write in their online
journals. Journal writing was done in English by both groups.
Our 3-week cycle
第2分科会
Week 1 - Introduction to the topic, 1st round of videos
Week 2 - 2nd round of videos
Week 3 - Survey questions and journal writing (no videos)
Week 4 - Start again at Week 1
There were 3 phases to the ICE project, with the following topics:
第3分科会
Phase 1: Getting to know you/ 自己紹介
Phase 2: University Life/ 大学生活
Phase 3: Winter Celebrations/ 冬の祝賀イベント
全体会Ⅱ
Students were asked to look at the camera when speaking, to use intonation and facial
expression, to speak slightly slower than usual and use easier vocabulary when using their L1
(first language), and to answer questions and ask their own.
Task Design
総会Ⅱ
The three discussion topics of this IOE were: Getting to Know You, University Life, and Winter
Celebrations. All content was generated by the students. Students also used the Internet to get
more information on topics before posting.
The goal of the first task was ice-breaking and starting a good partner relationship. This activity
参加者名簿
was perhaps the most important of the entire ICE project, as all subsequent discussions are
based on the relationship that builds between the dyads. The goals of the second two tasks
were to learn more about each other’
s cultures.
67
【第2分科会】外国語教育の多様化と方向性
話題提供1
話題提供2
話題提供3
話題提供4
話題提供5
話題提供6
Table 1. Phases, Topics, and Tasks
Phase
Topic
Tasks
Phase 1
Getting to Know You
◦ Post self-introductory videos
◦ Make video post replies to
partners
◦ Discuss topics of mutual interest
(course of study, hobbies, sports,
movies, music)
Phase 2
University Life
◦ Respond to a survey about
university life
◦ Analyze survey results
◦ Discuss results with partners by
video posts
Phase 3
Winter Celebrations
◦ Describe local traditions
◦ Describe your own family’s
traditions
◦ Discuss winter celebrations with
partners by video posts
◦ Make a card for each partner
In Phase 3, one task was to make a Christmas card (students in Canada) or a New Year’
s card
(students in Japan) for each partner. Teachers sent all the cards and some snacks to each other,
and in the first class of the New Year, students read their cards and ate the snacks. A New
Year’
s gift was also sent from Japan, a traditional New Year’
s door ornament called a
shimenawa kazari. Cards, snacks, and the ornament added to the authenticity of the project.
Student Perspectives
Students generally reported a positive experience in the ICE project. Following are some student
observations on their language improvement, on using videos, on cultural understanding, and on
improvement in motivation to learn a foreign language. Following are some comments from
students’journals regarding their language improvement.
This project is great for improving our speaking ability, especially because videos require more
than one take. (Student in Canada)
Listening many time partner's video is so precious time hear native English. (Student in Japan)
I think that this project is good for reading and writing. Because before we take a video, we
carefully consider content of sentences. (Student in Japan)
Students were very pleased to realize that they could communicate in another language.
Finally, I could study practical command of English. I have studied English since
68
総会Ⅰ
junior high school, but I hardly have any experience communicating in it. (Student in Japan)
Students preferred using videos over text only.
全体会Ⅰ
Communication isn’
t simply just relaying words to someone - intonation, emotions and
pronunciation is all crucial for the other person to understand the message… video
communication is way superior to text only since one can understand their message more
clearly. Through videos I can understand what emotion my partner has with regards to what is
being talked about. Even just a smile can set a whole different tone to the video. (Student in
Canada)
第1分科会
Students also commented on the cultural aspect of the project.
私は、このプロジェクトによって文化理解が深まったと思います。例えば、カナダの大学生との学生生
活の違いを知り、今後外国の人々の文化を尊重したいという気持ちを抱きました。
第2分科会
I think that my cultural understanding deepened through this project. For example, I learned
the difference in students’life between Canada and Japan. I feel that I would like to respect
foreign cultures from now on. (Student in Japan)
Finally, students found that the project motivated their language study.
第3分科会
[Making] videos that someone other than your teacher sees gives one an additional motivating
factor to try harder. I personally feel the incentive to improve my communication so that I can
convey my thoughts more clearly to my sister classmates in an attempt to form a good
friendship. (Student in Canada)
全体会Ⅱ
Honestly, I really like this project. One side I feel my Japanese improve by this project, on the
other side, I feel happy to talk to my partners. They always provided interesting topics to light
my passion for Japanese study. (Student in Canada)
総会Ⅱ
It is very precious for me to talk with foreign student of the same generation. I am studying
English after a long time. I was inspired to see students who are studying Japanese hard. But,
the best point of this project is glad to get the student’
s message for me. (Student in Japan)
I notice the difference between before and now. In junior high school and high school, I studied
English to get a good score on tests. But now I study English to speak to Canadian students. I
think this is a big difference. (Student in Japan)
参加者名簿
Conclusions and Implications for Future Research
In this first iteration of the ICE project, we were pleased to see our students enjoying authentic
communication in another language and learning about another culture. Students believed that
they improved their FL skills, became more motivated to learn the FL and deepened their
cultural understanding through the video exchange. Their comments also affirmed that students
69
【第2分科会】外国語教育の多様化と方向性
話題提供1
話題提供2
話題提供3
話題提供4
話題提供5
話題提供6
found video posts to be preferable to text only. In future ICE projects, we plan to study: 1) the
effect of an IOE on motivation and 2) how an IOE may be experienced as an online community
of practice.
Note:The author would like to thank her co-researcher, Sawako Akai, for her contribution to
this collaborative research project.
References
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Technology, 6 (1), 60-81. Retrieved from http://llt.msu.edu/vol6num1/belz/default.html
Benson, M.J. (1991). Attitudes and motivation towards English: A survey of Japanese freshmen.
RELC Journal 22 (1), 34-48.
Berwick, R. & Ross, S. (1989). Motivation after Matriculation: Are Japanese Learners of English
Still Alive After Exam Hell? JALT Journal 11 (2), 193-210.
Butler, Y.G. & Iino, M. (2005). Current Japanese reforms in English language education: the 2003
“action plan”. Language Policy 4(1), 25-45.
Guth, S., Helm, F. & Farrah, M. (2012). Promoting Dialogue or Hegemonic Practice: Power issues
in Telecollaboration. Language Learning & Technology, 16 (2), 103-127. Retrieved from http://llt.
msu.edu/issues/june2012/helmguthfarrah
Johnson, E.M. & Brine, J.W. (1999). Design and development of CALL courses in Japan. CALICO
Journal, 17 (2), 251-268.
Kormos, J. & Csize'r, K. (2007), An interview study of inter-ethnic contact and its role in language
learning in a foreign language environment. System, 35 (2), 241-258.
Lee, L. (2007). Fostering second language oral communication through constructivist interaction
in desktop videoconferencing. Foreign Language Annals, 40 (4), 635-649.
Ministry of Education, Culture, Sports, Science, and Technology (MEXT). (2002). Developing a
strategic plan to cultivate "Japanese With English Abilities". Retrieved from http://www.mext.
go.jp/english/news/2002/07/020901.htm
Richardson, J. & Swan, K. (2003) Examining social presence in online courses in relation to
students’perceived learning and satisfaction. Journal of Asynchronous Learning Networks, 7 (1),
68-88.
70
総会Ⅰ
質疑応答
Q:学生がビデオを作成するときの指導について,どのようなことに留意しているか?
A:ゆっくり明瞭に話す、ビデオの中でトピックに関する物を見せるなどの点に気をつけるよう指
導している。
全体会Ⅰ
Q:パートナーの組み合わせ方について,取り決めがあるのか?
A:学生の趣味や興味に合わせて、教師がパートナーを選ぶ。
第1分科会
第2分科会
第3分科会
全体会Ⅱ
総会Ⅱ
参加者名簿
71
【第2分科会】外国語教育の多様化と方向性
話題提供6
話題提供1
話題提供2
話題提供3
話題提供4
話題提供5
話題提供6
【第2分科会】外国語教育の多様化と方向性
Experiencing Geography in English at Junior College
北星学園大学短期大学部 Kurt
Ackermann
Abstract
The goal of the presentation is to introduce a course being taught in English, as opposed to a
course about English. Hokusei Junior College English Department has a long-running curriculum
incorporating content-based courses as a key component. These range from Anthropology to
Life Science and World Music. Instructors for the courses are chosen based on their familiarity
with the topic, as well as experience teaching English as a foreign language. In the case of the
course being introduced in this presentation, the instructor's background is Geography and
Environmental Management. The concept behind the content-based courses is similar to that
embodied by the CLIL (content and language integrated learning) approach within the European
Union's executive body, the European Commission (EC) and its Common European Framework
of Reference for Languages (CEFR). In Hokusei's case, the teaching style is not prescribed per se
and each instructor has relative freedom in determining course content and delivery.
Key words: CLIL, Content-based, Geography, Moodle
Background
The approach of teaching subject matter in a language other than the native tongue of the
students is not new. For centuries universities, or their predecessors, in Europe held classes in
Latin for students who may have been German, French or English native speakers. Students in
countries such as India or the Philippines often take lessons conducted in English even though it
may not be their first language. However, the idea of using this approach in situations where
the original goal is to teach English to students is relatively recent.
The concept, as CLIL, is promoted by the EC, by stating that:
Content and Language Integrated Learning (CLIL), in which pupils learn a subject
through the medium of a foreign language, has a major contribution to make to the
Union's language learning goals. It can provide effective opportunities for pupils to
use their new language skills now, rather than learn them now for use later... It
provides exposure to the language without requiring extra time in the curriculum...
(EU, 2003, p. 8)
The British Council describes CLIL as“a competence-based teaching approach that is gaining
ground in European education systems”where the target language is used to teach the subject
and indirectly the language itself, with“using language to learn, learning to use language”used
as a catchphrase to illustrate the concept (British Council, n.d.).
72
総会Ⅰ
The chance to use learned language skills in a practical context has the advantage of reinforcing
the idea that a language itself is not simply a subject of study, but also can be the means by
which to study any other subject. Though relatively obvious at first, the idea can be a revelation
to those who may have previously only encountered the language as one of a set of subjects to
全体会Ⅰ
be studied and tested upon, and who may not yet regard it as something representative of the
means to gain access to other information and knowledge.
Implementation of content-based classes at Hokusei JC
Hokusei Junior College English Department (hereafter Hokusei) currently offers seven general
第1分科会
education courses in English: Anthropology, Geography, History, Life Science, Psychology,
Sociology, and World Music. This curriculum was introduced around 20 years ago, and has
received high praise. In 2000, the program was recognized by Japan's Ministry of Education,
Culture, Sports, Science and Technology (MEXT) when Hokusei's concept of“Fundamental
English Education for Future Professionals”was awarded funding under MEXT's“Support
第2分科会
Program for Contemporary Educational Needs (Gendai GP)”for a three-year period starting in
fiscal 2005. Class sizes are comparatively small with an average of 35 students per class though Geography is often larger - meaning that instructors can flexibly respond to the varied
learning styles of individual students. The subjects are generally taught with the help of
textbooks that are in wide use overseas. Originally, these textbooks were purchased with funds
provided by the GP program to be used as teaching tools in the lectures (Christensen, n.d.).
第3分科会
Hokusei is a junior college where students follow a two-year curriculum. The content-based
classes are second-year classes, so students taking them have already completed one year of
studies, which include instruction in subjects that span the range of the four skills of reading,
writing, speaking and listening. The classes are divided into first and second semester units,
全体会Ⅱ
with the result that the students choose from a range of 15 two-credit classes. These classes are
designated as“compulsory electives”meaning that students must take some of them, but have
choice as to which ones they select. Out of a total 66 credits necessary for graduation, at least
12 of those credits must be obtained from the content-based classes.
総会Ⅱ
Common features of the classes are instruction in English and a focus on content. The class
structure or approach is left up to the instructor and thus students are exposed to a variety of
approaches and evaluation methods, as would be the case in a standard university setting.
The classes originated as liberal arts core courses in the Hokusei curriculum of 1994 (Allison,
1995, p. 95). In addition to the second-year content-based classes, first-year reading and
参加者名簿
vocabulary building classes were established with the goal of preparing students for the allEnglish classes they would be taking in their second year of studies (Allison, 1995, p. 97).
The same study also outlined the possibility of the classes being used as non-EFL transfer
credits to other universities, foresaw the diversification of classes on offer, yet also noted
challenges ranging from the difficulty for the students of understanding native-English level
73
【第2分科会】外国語教育の多様化と方向性
話題提供1
話題提供2
話題提供3
話題提供4
話題提供5
話題提供6
text books to motivational factors given that students are in the final year of their program
(Allison, 1995, pp. 115-116).
Geography
In Geography the goal is not so much to have the students digest and regurgitate the material,
but rather to encourage them to think about it actively through in-class tasks, cooperative work
with classmates, assignments that require them to develop an understanding of the material and
open-book test-like quizzes. Thus, memorization is minimized in favor of having the students
perform pre-lesson reading of the text followed by a mix of lecture and activities in class and
then the opportunity to apply their knowledge in projects, assignments or quizzes.
The course also utilizes the Moodle LMS (Learning Management System), which provides a
platform for making reference materials available to students, but more attractively offers a
platform that allows the instructor to offer short quizzes to be attempted in class, assignments
(to be used in or outside of class), and more extensive test-like quizzes that students take outside
of the classroom.
The current text book is one that is used for Geography courses taught to native Englishspeaking students. In recent years some publishers have begun producing text books targeting
the content-based market, which may offer an attractive option for institutions considering
incorporating content-based courses into their curriculum.
Audiovisual materials are also used to further deepen the students' exposure to the course
content. These include commercial DVD resources that present topics in an appealing and
captivating manner, as well as more directly focussed educational resources. The goal is to
encourage understanding and engagement in the content by providing the students with
reading assignments in advance of lectures and following up with the audiovisual resources.
Efforts are also made to link content with other courses offered at Hokusei. An example would
be encouraging students taking Hokusei's extensive reading second-year course to read a
graded reader about climate change. Doing so allows students to fulfill part of their reading
requirement for that class, while at the same time furthering their understanding of an issue
that is one of the topics in the first semester Geography I course.
Collaborative projects are assigned to have students interact with their classmates productively
to utilize learned concepts in a hands-on manner. The topics of these projects include issues
related to Hokusei's home prefecture Hokkaido, such as food production and tourism, which is a
field that many students are considering for their future employment.
Considerations/Conclusions
There are many considerations to be made and issues taken into account when implementing
content-based courses and CLIL-related research highlights many of these. Llinares, Morton,
74
総会Ⅰ
and Whittaker (2012) point out that the use of more“complex language and other cognitive
engagement”by students, such as through appropriate implementation of the IRF (initiation -
response - follow-up) pattern, is necessary to“support effective learning”in CLIL contexts
(Llinares, 2012, p. 79). They also highlight that group or project work can facilitate IRF occurring
amongst students and that is certainly a goal of the Geography class, with its frequent group
全体会Ⅰ
tasks and projects.
Other research notes evidence suggesting that“the CLIL approach allows students with average
ability to achieve higher levels of skill than they have typically attained in traditional classes”
(Lightbown, 2014, p. 13), which, if true, is good motivation for implementing such instruction.
However, the type of skill or skills being improved also needs to be considered and other
第1分科会
research suggests that this type of instruction may tend to be more effective for receptive skills
than productive skills (Zarobe, 2009, p. 83).
Hokusei's approach to using content-based classes can be seen as one where they are one tool
in a toolbox made available for the students to further their English education. The role is
第2分科会
described well by Coyle, Hood, and Marsh when advocating CLIL:
The language classroom is essential for the learner to understand the“nuts and bolts”
of language - the grammar, vocabulary and so on. But there is rarely enough time
in the classroom for the language teacher to go beyond this essential part of the
learning process. Learners need time to build things with these“nuts and bolts”- to
put into practice the things which they see in theory on paper.
第3分科会
(Coyle, 2010, p. 11)
Hokusei's content-based classes are an opportunity for the students to do some building of their
own.
全体会Ⅱ
References
Allison, J, Bokhari, A, Browning, C, Gettings, R, & Iwasaki-Goodman, M. (1995). An exercise in
content-based courses at Hokusei Junior College. Journal of Hokusei Gakuen Women's Junior
College , 31, 95-118.
総会Ⅱ
British Council. (n.d.). Content and Language Integrated Learning (CLIL). Retrieved September
20, 2014, from http://www.britishcouncil.org/europe/our-work-in-europe/content-and-languageintegrated-learning-clil
Christensen, T. (n.d.). Gendai GP: Gendaiteki kyouiku niizu torikumi shien puroguramu. Retrieved
参加者名簿
September 20, 2014, from http://www.ipc.hokusei.ac.jp/eibun-jc/gendai-GP/report/index6.html
Coyle, D., Hood, P., & Marsh, D. (2010). CLIL: Content and Language Integrated Learning.
Cambridge: Cambridge University Press.
European Union, Commission of the European Communities. (2003). Promoting language
75
【第2分科会】外国語教育の多様化と方向性
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話題提供5
話題提供6
learning and linguistic diversity: an action plan 2004 - 2006. Retrieved from http://ec.europa.eu/
transparency/regdoc/rep/1/2003/EN/1-2003-449-EN-F1-1.Pdf
Lightbown, P. (2014). Focus on content-based language teaching. Oxford: Oxford University
Press.
Llinares, A., Morton, T., & Whittaker, R. (2012). The roles of language in CLIL. Cambridge:
Cambridge University Press.
Zarobe, Y., & Catalan, R. (2009). Content and language integrated learning evidence from
research in Europe. Bristol, UK: Channel View Publications.
質疑応答
Q:評価の際に重視していることはあるか?
A:授業内容の理解が評価の対象となるため、クイズの答えと英語理解度のチェックで判断してい
る。
76
第3分科会
テーマ ~学生の社会性を涵養する教養教育~
【第3分科会】学生の社会性を涵養する教養教育
話題提供2
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総会Ⅰ
話題提供1
話題提供1
【第3分科会】学生の社会性を涵養する教養教育
地域と連携した高年次教養科目の取り組み
全体会Ⅰ
岩手大学 江本理恵
1.はじめに
岩手大学では、平成19年度に、全学共通教育の教養科目の中に「高年次課題科目」という科目区分を
立ち上げ、3年生以上の学生のみが履修できる教養科目としていくつかの科目を開講している。この「高
第1分科会
年次課題科目」の教育目的は「専門性を習得しつつある高年次学生(3年生以上)が現代社会の諸問題
とりわけ地域社会にある具体的な問題の解決に向けて、身につけた専門的知見を実践活動と結びつける
ための考え方や方法を学び、問題解決に必要な総合的判断力を養うことを目的とする。」となっており、
当初より、地域の具体的な課題をテーマとし、学生たちが解決策を考える PBL 型の科目として位置づ
けられている。
第2分科会
しかし、最近では開講される授業の数が少なくなっており、科目区分の維持が難しくなっている。そ
の理由として、授業を実施するのに手間がかかる上、共通教育の枠で開講している科目であるため、授
業を履修する学生の履修動機や人数の問題が考えられる。履修する学生の多くが「その科目に興味があ
るから」ではなく「単位が足りないから」という理由で履修し、また、人数制限をかけていないので、
クラスサイズが大きくなってしまうケースもある。つまり、学生を活動させるのには手間がかかるにも
関わらず、事前に人数の予想ができず、かつ、学生の履修動機も低いため、担当教員にかかる負担が非
第3分科会
常に大きいのである。
岩手大学では、平成25年度に文部科学省の COC 事業に採択され、その事業計画に、3~4年次の学
生を対象として、全学共通教育の中に「地域課題をテーマとした PBL 科目」を開講することが位置づけ
られている。そこで、現在の「高年次課題科目」の枠組みをベースに、上記「地域課題をテーマとした
PBL 科目」の組織的な開講のための準備として、予算的な支援を受けて、平成26年度は PBL 科目を試
全体会Ⅱ
行として実施した。本報告では、試行として実施した授業について報告する。
2.高年次課題科目特別講義
筆者は、地域の団体と協力して、平成23年度から「高年次課題科目特別講義」という科目名で、試行
総会Ⅱ
的に授業を開講している。当初は、岩手の歴史や文化を座学で学び、その後、盛岡にある特徴的な題材、
例えば「盛岡だんご」などに関して探求的に学ぶことを想定して試行し、24年度には正式な科目名で開
講する予定であったが、平成23年3月11日に東日本大震災・津波が発生したことにより、この科目の内
容が大幅に変わることになった。その一番大きな理由は、連携を予定していた地域の方々が、復興支援
活動に携わることになったからである。震災後、連携を予定していた方々により、被災地支援を目的と
した一般社団法人 SAVE IWATE が設立され、現在も精力的に活動をしている。また、この時期に岩
参加者名簿
手県で学生生活を送る学生にとって、「被災地支援」という題材を扱うことが意味のあることだと考え
られるので、平成23、24、25年度については、当初予定していた「盛岡」に関する題材を扱うとともに、
3月11日からの SAVE IWATE の活動の紹介やそれに関連したボランティア活動を行う内容で実施し
ていた。
平成26年度は、COC 事業の「地域課題をテーマとした PBL 科目」の試行としてこの科目を位置づけ
ることとし、予算的な支援も得られることから授業内容を一新して取り組むこととした。授業を実施す
79
【第3分科会】学生の社会性を涵養する教養教育
話題提供1
話題提供2
話題提供3
話題提供4
話題提供5
るにあたっては、一般社団法人 SAVE IWATE と、SAVE IWATE が盛岡市から委託されて運営して
いるもりおか復興支援センターを連携団体とし、「盛岡における復興支援」として、地域の課題につい
て提案してもらった。
授業の構成は以下の通りである。授業を構成するにあたって、個人での活動、グループでの活動、学
外の人たちとの接触を伴う活動の組み合わせに工夫を行った。個人の「学び」からスタートし、グルー
プ活動を経由して学外に出て学外の人たちから「学び」、グループ活動を通して最終的にはまた個人で
考えを深める構成になっている。
表1:高年次課題科目特別講義Ⅰ講義内容
1.SAVE IWATE 代表理事寺井氏による授業
(ア)
被災当初の様子
(イ)
被災後半年
(ウ)
被災後1年間
(エ)
被災地の現在と抱えている問題
2.
「復興支援を考える」ワークショップ
(ア)
テーマ1:被災者・支援者が抱えている問題
(イ)
テーマ2:学生の立場でできるこれからの復興支援
3.学外での活動
4.グループでの活動の振り返り、今後に向けての議論、発表
5.個人レポートの作成
今年度実施した学外での活動は表2の通りである。学生はA~Eのうち、1つを選んで、現地に出向
いて活動を行い、クラス内で共有するために発表し、授業の内容とあわせて課題について考察を深めて
レポートを作成する。
表2:学外活動一覧
A:陸前高田の視察:実際に陸前高田に出向き、現地で活動する若い人(桜ライン 311、SAVE
TAKATA、SAT 等)たちと意見交換を行った。
B:内陸避難児童生徒の学習支援:復興支援センターで毎週日曜日に行っている児童生徒への学習
支援活動に参加し、学習支援を行った。2時間ほど児童生徒への学習支援活動後に、1時間ほどの
支援者たちによるミーティングがあり、そこにも加えていただいて、学習支援活動が抱えている問
題点等について、支援者たちと共有した。
C:内陸避難者サロン活動支援:復興支援センターが行っている内陸避難者を対象としたサロン活
動(お茶っこ飲み会、羅針盤など)に参加した。お茶っこ飲み会では、参加された被災者たちと話
をするボランティア活動に取り組み、羅針盤では、11の整理や加工業務に被災者たちと取り組んだ。
D:内陸避難者支援活動:
(大学のある)上田地区の町内会の方々と避難者の方々を大学にお招きし、
避難者の方々が地域の一員として生活していくための方策について意見交換を行った。その結果、
「陸前高田の花壇の花を盛岡でお預かりする」プロジェクトが立ち上がり、実際に花の移植が行わ
れた。
E:復興支援活動体験:SAVE IWATE が担っている「三陸の和ぐるみプロジェクト」の活動に
参加し、ぶどうの木の皮からかごバックを作る作業を手伝った。講義の内容と密接に連携しており、
三陸地域に新たな産業を起こす活動の一端を担うこととなった。
80
総会Ⅰ
上記活動は2回を基本単位にしているが、Aの陸前高田の視察やEの復興支援活動体験は1回の活動
時間が長かったため、1日のみの実施となった。
発表およびレポート作成にあたっては、以下のように指示を出した。
表3:レポートの構成
全体会Ⅰ
1.活動内容:今回行ったグループ活動の具体的な内容について
2.活動を通して考えたこと:今回の具体的な活動を通して考えたこと
3.復興支援活動の課題:授業内容、今回関わった活動、他グループの活動等から見えてきた復興
支援活動の「課題(問題点)」
4.今後の復興支援のあり方について:今後の復興支援のあり方についてのあなたの考え
第1分科会
5.今回の授業を通して:この授業を通してあなたが学んだこと
4.実施結果
平成26年度の履修者は以下の通りである。実際には、4名が履修放棄をしたので、42名を対象として
第2分科会
実施した。
表4:履修者の構成
2012年度入学(3年生)
2011年度入学
人文社会科学部 11名
工
教
部 1名
2010年度入学
学
工
学
部 26名
工
農
学
部 2名
2008年度入学
工
学
部 2名
学
第3分科会
育
学
部 2名
部 2名
全体会Ⅱ
組織的に調査は行っていないが、この構成からも「共通教育の単位が足りない」ために履修した学生
が多いことが推測される。
各活動のグループ編成は、履修者の希望に基づき行った。グループごとに人数に差がでてしまったが、
すべてのグループが2つ以上の学部の学生から構成された。実際のグループ活動や発表準備の場面では、
それぞれの特性を生かした協力体制がとられており、複数学部の学生による取り組みの強みが活かされ
総会Ⅱ
ている。
成績評価は、前半の講義に対する毎回のミニレポート、最終レポートが評価の6割をしめる。残りの
4割は、活動への参加状況、発表の相互評価結果等を加えることとした。
最終レポートを分析したところ、学生の履修動機と学外活動によって差がでているのがわかった。
「こ
の授業の内容に興味があったから」という積極的な履修動機の学生のレポートは、やはりよく書けてい
た。学外活動による違いをみてみると、Cグループなど、「参加」にとどまった活動ではレポートでの
参加者名簿
考察が浅い傾向が見られた。逆に、当初はDグループの活動に不安があったが、参加者が持ち込んだ新
聞記事をきっかけに、「陸前高田の花壇の花を盛岡で一時的にお預かりする」という活動が実現したこ
ともあって、学生の考察も鋭いものがあった。大まかに、「参加」にとどまったグループの考察は浅く、
少しでも企画・運営側の一員として活動に関わることができたグループの考察が深い傾向が見られた。
履修動機はそう簡単に変えられないだろうが、学外での活動に企画・運営側の一員として関わらせるこ
とが、学生の学びを促すのに必要だと考えられる。
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【第3分科会】学生の社会性を涵養する教養教育
話題提供1
話題提供2
話題提供3
話題提供4
話題提供5
今回の試行では、
「参加」にとどまった活動もあり、
「授業」として考えた場合には、前述の通り企画・
運営側の一員として活動に携わらせる必要があるだろう。また、履修者全員を一度は陸前高田等の被災
地に連れて行きたかったのだが、結局、全員を連れて行くことはできなかった。実際、42名の学生を活
動させるためには、担当教員による引率や引き受ける側の連携団体の負荷が高く、今回以上の活動をさ
せるのは難しい。各グループの活動が2回だとしても、5グループあれば、引率の教員や引き受け側に
とっては10回の活動となるからである。今後、COC 事業で組織的に PBL 科目を実施するとすれば、
PBL 科目を担当する教員に対する組織的な支援体制も整備しなければならないだろう。
5.まとめと今後の課題
本報告では、全学共通教育の3年次以上学生を対象とした「地域課題をテーマとした PBL 科目」の
試行授業の実施結果について報告した。
いわゆる「教養教育」で PBL 型の科目を開講する時の問題点として、学生の履修動機の問題、クラ
スサイズの問題、クラスサイズが大きくなった場合に活動させるのにかかる手間の問題、活動にかかる
費用の問題等が発生する。組織的に PBL 科目を実施するためには、これらの問題に対する組織的な支
援体制の構築が必要であろう。また、PBL 科目を単なる「体験」ではなく「授業科目」として成立さ
せるためには、科目全体のデザインが重要であると考えるが、そのデザインのあり方についても、研究
を進めていかなければならない。
しかし、上記のように問題があったとしても、大学外の人との関わりによって学生が学ぶ「学び」は
得難いものがある。すべての科目をこのような形にする必要はないが、在学中に1科目ぐらいはこのよ
うな科目を受講できるように、組織的な整備を行う価値は十分にあると考えられる。
質疑応答
Q:やる気のない学生に、どうやってやる気を出させているのか。
A:できるだけ早い時点で「おもしろいかもしれない」と思わせる工夫をしている。グループワークを取
り入れ、具体的に何らかの活動をさせると効果がある。
Q:この高年次課題科目は、どんな専門の教員が担当しているのか。
A:様々な分野の教員が自分の専門分野を生かして担当している。例えば、農学部の教員が里山の再生に
関するワークを取り入れた科目を立ち上げたりしている。
Q:社会を見る眼をどう養わせるのか。1、2年生と3年生以上での違いは何か。
「探求」力をどう深めるのか。
A:今年度は現地に連れていくので、私自身が精一杯だったところがあるので、来年度は履修人数を絞る
などして工夫をしたい。このような活動を通して学生に学ばせるための「学びのデザイン」の研究は
まだまだ発展途上なので、これから取り組んでいきたい。ただし、同じように活動をさせても、1、
2年生と3年生ではでてくる結果のレベルが上がっていることは感じた。
Q:体験活動の費用はどうしているのか。引率での問題はないのか。
A:COC事業に採択されたこともあって、そこからバス代などの費用を出してもらった。今回、履修人
数が多くてグループが5つだったので、引率は大変だった。5つのグループが2回活動を行うとすると、
10回の引率が必要になるので、日程の調整も難しかった。
Q:評価はどのように行うのか。
A:個人の評価とグループの評価を組み合わせて行っている。最終レポートは個人の評価だし、グループ
発表はグループ単位での評価になる。また、グループ発表はグループ相互で評価してその点数を元に
している。
Q:学生が活動に出るのはいつか。
A:平日は授業時間を使った。陸前高田の支援など、時間がかかるものについては、土日を使った。学生
は意外といやがらず、各グループにバランス良く分かれてくれた。
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総会Ⅰ
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【第3分科会】学生の社会性を涵養する教養教育
サイエンスコミュニケーション 学生が身につける力
全体会Ⅰ
山形大学 栗山恭直
2010年より基盤教育の教養セミナーとして開講しています。サイエンスを題材にコミュニケーション
能力を培うことを目的としています。講義は、一人一台のPCが使える先端学習ラボ1)で行います。
電子黒板等のICT機器が設備してあります。LMSとして webClass2)を使用します。グループワー
ク(GW)での記録や意見交換できる会議室を使用します。昨年、LINEで意見交換したグループが
第1分科会
あり、GWの活動を観察出来ないので、今年から、LINEの使用を禁止しました。講義中は、ネット
を使用する機会がありますが、関係ないサイトを開いていることはほぼありません。
前期は、GWに慣れてもらうために地球温暖化について調べてもらいます。地球温暖化の事実を提示
することが、課題なのですが、温暖化による影響を提示する班がほとんどで、地球が温暖化している事
実を明らかにすることの難しさを知ってもらいます。小中高において調べ学習等で温暖化の知識がある
第2分科会
のですが、科学的な考え方について問いかけをします。地球の温暖化と言うが地球の温度の定義は何で、
どのように測っているのか。二酸化炭素が増えているが、地球上同じように増えているのか。都市での
ヒートアイランド現象との違いはあるのか。定義に基づいて考えることの練習をします。科学的なこと
を理解してもらうには、データーを提示して説明することが必要で、なんとなくはありえないことを考
えてもらいます。科学的事実の提示の大切を学びます。学生は、戸惑うこともありますが、科学的な説
明を理解してくれます。それらのGWの次が、オープンキャンパスの準備のGWです。半年前の自分を
第3分科会
思い出し、何を知りたかったか。入学後半年、大学生活を過ごし、後輩である高校生に何を伝えたいか
を考えてもらいます。必ず、各学科の教員の研究紹介をインタビューで行うようにしています。メール
等で連絡をして、インタビューに行きます。ネット等でわかることは聞くことが無いように指導してい
ます。教員の大学受験や大学生活、研究での葛藤などの話を聞き出せば、大成功です。高校生へのメッ
セージをもらうようにしています。今までは、一人の教員にインタビューしていましたが今年は複数の
全体会Ⅱ
教員にインタビューする班がありました。教員の人柄を伝える企画が保護者にも評判が良いようでした。
今年は、初めてアンケートを使う班が出てきました。大学入学前後での意識の違いをその学科の一年生
で調査しました。事前に当該学科の教員と内容を相談し、行い、結果を紹介していました。過去4年間
にない試みで良かったと思います。内容によっては紹介できないことになる恐れもありましたが、理解
のある教員の対応で行うことができました。オープンキャンパス当日は、15分説明5分質疑の20分を6
総会Ⅱ
回繰り返します。オープンキャンパスの参加者も増えてきて、発表を聞いてもらう高校生を探しに行く
こともなくなりましたので、多くの人を前にプレゼンします。以前は、自分たちの発表を聞いてくれる
高校生が少ないと探してつれてきて説明することもありました。説明した高校生の人数によって評価は
しません。内容について説明後、アンケートをとりますが、厳しい意見はほとんどありません。保護者
の方の優しい言葉が学生にとってうれしいようです。
今年のアンケート結果からの抜粋です。
参加者名簿
・受験の体験談が参考になりました。
・説明者の熱意が伝わってきてとてもよかったです。
・息子にも聞かせたかったです。
・授業の一環ということで質問に対して答えるのが難しい内容もあり大変だったと思います。ご
苦労様でした。
・体験談なども大変参考になった。
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【第3分科会】学生の社会性を涵養する教養教育
話題提供1
話題提供2
話題提供3
話題提供4
話題提供5
・学生生活を楽しんでいるのが伝わりました。
・大学選びに教授の人柄も大切だと感じた。
・質問責めでごめんネ! がんばって下さい。
・質問について 的確にお答えいただいた。
2時間がすぐに過ぎてしまうようで、終了後も説
明する班もあります。
昨年の学生の講義に関する感想で、自分がグルー
プワークにおけるリーダーとしての資質に関する記
述があり、こちらが予想する以上に意識の高い学生
にとってのグループワークの役割分担を明確にし、評価についても考慮する必要があることに気づかさ
れました。今年は、一回目終了後、相互評価を行いました。合議制で評価します。その時に13点などの
全員が同じ点数にできない点で評価するように指示します。ある班では一人で発表資料を作ってくる学
生がいて、班員がその学生の評価はするのですが、その人以外は、必然的に点数が低くなるの納得でき
ないと言ってきました。次のGWでは、班換えをしますので二回目の活動に関しての評価は高くなって
いました。相互評価については、学生の意見は、賛成と反対の五分五分でした。講義時間外の活動の様
子も反映するので、相互評価は、教員に対しては評価の助けになると思います。問題は学生が、相互評
価になれていない点が挙げられます。GW後の発表会においては、各個人に評価表を配布し、個人で評
価します。学生はメモを取りながら発表を聴き、質問するので高校時代に経験していることがわかりま
す。発表を聞くことに慣れていることが判明します。発表後、質問する学生も現れてきています。
平成22年の前期から学内の学生主体型講義の学生成果発表コンテストが開催されています。3)昨年
のコンテストを紹介する記事の学生のコメントで、「この講義でリーダーの資質について考えた。自分
でなんでもやろうとすることでなく、他人をうまく導くことだ」と、意識が高い学生の受講生がいるこ
とは非常にうれしいことでした。講義の雰囲気も良くて、そのような学生が非常に大切なことを再認識
した。他の学生に良い刺激を与えてくれていた。選べることはできないので、残念なことです。
後期:10月はノーベル賞の発表の時期なので、昨年は、ノーベル賞を大学生に紹介するプレゼン作成
で最初のGWを行いました。すでに前期でGW(他の講義で)を経験している学生もいるので、ファシ
リテーターを勤める学生も現れます。後半は企画とその実施です。毎年、小学校への出前実験が人気で
す。教員希望の学生も受講しています。大学近くの市立第八小学校が受け入れてくださいます。最初は、
私も同行しますが、それ以降は学生たちが先方と連絡し、日時、実験内容、対象学年を詰めていきます。
実験の注意点等、先方の先生が丁寧に対応頂き、本当に感謝するばかりです。学生は当日、朝早くから
準備を行い、実施します。実験の実施は、一回だけでなく、一コマ空けてもう一回行います。その間に
振り返りを行い、改善点を話し合います。もう一度行います。終わると、子どもたちと給食を取り、昼
休みに遊んで終了です。学生は、非常に満足し、貴重な経験をさせていただいています。左の写真は、
静電気を理解してもらうために、プラスちゃんとマイナスくんでのコントをしている様子です。理解し
てもらうためにいろんなことを考えて実施してくれ
ます。今までの企画でいくつか紹介します。一つは
ラジオドラマです。音に関する内容のシナリオを作
り、配役を決め手作成しました。時間外の活動が多
く、大変だったようです。もう一つはサイエンスカ
フェの企画です。仙台で行われる東北大学主催のサ
イエンスカフェに参加してきて、主催者に運営方法
やその注意点をインタビューしてきました。テーマ
を決めて、講師を探しました。テーマに「出生前診
84
総会Ⅰ
断」と少し難しいテーマでしたが、医学部の先生に講師をお願いし、日時と場所を決めました。宣伝の
ためにポスターを作製し学内や高校に配布しました。当日新聞社の取材もあり、記事になり学生にとっ
ていい経験になりました。企画はやりっぱなしでなく、最後にまとめとして企画から実施までの内容に
関する成果発表会を開催します。単に「楽しかったです」の発表会でなく、自分たちがこの経験を通じ
て成長したと感じたことや、反省することなどを発表します。客観的に活動を分析させます。また、ほ
全体会Ⅰ
かの班の発表を聞くことにより、ほかの班はどのように課題を解決したか、あるいは問題が残ったか、
自分たちならどう解決したかなど、経験を共有することによりよい理解が深まると思います。受け入れ
側の先生の大学生を育てる思いに成り立っているので、担当される先生の異動後も同じような企画が成
り立つか心配ですが、今後も学生の企画をサポートしていきます。後期は、時間外の活動が多く、評価
することが難しく、今後も検討していくことが大切です。活動記録などの提出も考えられるし、相互評
価も取り入れていきながら検討していく予定です。
第1分科会
参考)
1)先端学習ラボは、平成20年度文部科学省「質の高い大学教育推進プログラム(教育GP)」に採択
された「学生主体型授業開発共有化FDプロジェクト」を推進するために整備した教室。先端学習ラボ
には、学生との双方向のコミュニケーションを高める最先端の教育機器や可動式の机・椅子を配備する
第2分科会
ことにより、グループワークをはじめとした多様な授業形態に柔軟に対応できる学習環境が整えられて
いる。
http://www.yamagata-u.ac.jp/gakumu/kyouiku/labo/about.html
2)webclass について http://www.webclass.jp/
第3分科会
3)以前の様子
http://www.yamagata-u.ac.jp/gakumu/kyouiku/katsudo.htm
今後の予定等について
http://www.yamagatau.ac.jp/gp/tsubasap2012/poster/H26koukaijyugyo.pdf
全体会Ⅱ
質疑応答
総会Ⅱ
Q:受講者構成はどのようになっているか。
A:工学部・理学部・教育学部などバラバラ。25名程度。多ければ抽選。
Q:リーダーシップの概念の明示と発達モデルの提示、教員の役割のモデル化が必要なのではないか。
A:あまり考えていなかった。今後積極的に取り組みたい。
参加者名簿
85
【第3分科会】学生の社会性を涵養する教養教育
話題提供1
話題提供2
話題提供3
話題提供3
話題提供4
話題提供5
【第3分科会】学生の社会性を涵養する教養教育
キャリア教育におけるコミュニケーション教育の内容を考える
秋田県立大学 渡部昌平
1.はじめに
キャリア教育の中でのコミュニケーション教育は盛んに行われており、CiNii(NII 学術情報ナビゲ
ータ:国立情報学研究所)で「キャリア教育」「コミュニケーション」というキーワードで検索すると、
実に62件がヒットする。一方でそれら研究の多くは実践研究であり、「どういう内容が必要なのか」「な
ぜその内容でなければならないのか」の意味づけは少ないのが現状である。例えば小川(2010)は「大
学生が思い描いているコミュニケーション」について調査しているが、それでは学生にとって本当に必
要なコミュニケーション教育の内容は分からない(ただし同論文のインターンシップ後の変化について
は興味深いものがある)。
そうした中、山田(2012)は女子学生で発信することに対する自信のなさ、人見知りに代表されるコ
ミュニケーションに対する恐れ、自分からの働きかけに対する躊躇等があること、船木・高村(2013)
は女子大生で肯定的な自己概念を持てないこと、他者の内面まで深く意味を聞き取れないこと、自分の
声が相手に与える影響には気づき難いこと、自分の感情を抑えているほうが相手とのつきあいが上手く
いくと思い込んでいること、自分の重要な話を他者に伝えることを避けていること等を指摘している。
即ちコミュニケーションに対する「自信のなさ」と、コミュニケーションの「必要性・重要性に対する
理解の低さ」等があることが推察される。ただ残念ながら2つの先行研究とも女子学生に対する調査と
なっている。また田中・春川(2013)はコミュニケーション教育の初期に「毎回人前で話す授業が怖く
てやめようと思った」という感想があったものの、「回数を重ねるごとに人前で話すことに慣れ、最後
にはとても好きになっていた」「自分に自信が持てるようになった」等の反応を得たことを報告し、大
和(2010)も「(グループディスカッションを)繰り返し訓練していくことによって、苦手とする人前
での発表やプレゼンテーションも上達」すると報告しているなど、「自信のなさ」に対しては実践(繰
り返し)が効果があることが示唆されている。
そこで本研究では、女子大でない共学の大学において、学生がコミュニケーション教育にどういう期
待をしており、コミュニケーション教育 ( 実践 ) を行った後にどのような変化を感じ、それがどういう
理由によるものなのかを調査することで、今後、学生にどういったコミュニケーション教育を行うべき
なのかについて探索的に調査・検討することを目的とした。
2.方法
平成25年4月及び平成26年1月に、A大学B学部の教養科目「コミュニケーション入門」において、
質問紙調査を実施した(N=64)。(1)平成25年4月の第1回目の講義の冒頭で「講義で教えて欲しいこ
と」(2) 平成26年1月の第13回目の講義後に「講義を受ける前と後で変わったこと」「その理由」につ
いて自由回答で聴取した。
同講義はコミュニケーションに関する知識を座学で伝達するとともに、毎回の席換えによる2人又は
4人1組でのグループワークを含む講義である。「挨拶・自己紹介をする」に始まり「自分と相手の違
いを知る」
「反応の違いによる話しやすさを理解する」「グループの共通点を見つける」「協力して知識
を増やす」
「協力しないと課題解決できない」等のグループワークを行った。
86
総会Ⅰ
3.結果
(1) 講義で教えて欲しいこと(第1回目の講義前)
・会話の上手な聞き手になるコツ
・会話の間がもたないときはどうすればいいのか
全体会Ⅰ
・言葉のキャッチボールをうまくする方法が知りたい
・初めての人とも上手くコミュニケーションをとれる力
・会話のネタが乏しいので、会話の展開の仕方
・自分の意見・考えを相手に伝えられるようになりたい
・共通の趣味がない人との会話の仕方
・就職に役立つような情報を教えて欲しい
第1分科会
・人見知りを克服するきっかけ
(2) 「講義を受ける前と受けた後で変わったこと(その理由)」(第13回目の講義後)
・初めて話す人ともすぐに仲良くなれるようになった(講義中に自己紹介などを何度もすることに
よって)
・より多くの人と話したいと思うようになった(席替えでいろいろな人と話して、それが面白いと
第2分科会
思うようになったから)
・あまり話したことのない人に対して、勝手なイメージを持って壁を作らないようになった(話し
たことのない人でも、以外と自分と共通点があって親しみが湧くことがあったから)
・話している相手のことを考えるようになった(講義で「否定的な態度を取る」ワークをやったと
きに悲しくなったから)
・話を聞くときの表情に気を付けるようになった(講義を受ける中で表情が大切だと思ったから)
第3分科会
・周りの人をよく見るようになった(人には価値観の違いがあることを講義で知ったから)
・自分について考えるようになった
4.まとめ
全体会Ⅱ
第1回の講義受講前の段階では「(汎用的な)テクニックを教えて欲しい」という希望が多いことが
分かる。また多くの学生がこの時点で「コミュニケーションが苦手」「人見知り」と言っていた。
第13回目の講義後に聴取した「講義前後で変わったこと」は、謂わば講義受講前には出来ていなかっ
た・意識できていなかったことである。即ち、具体的には当初、
・初めて話す人とは仲良くなれない
総会Ⅱ
・多くの人と話したいと思えない
・あまり話したことのない人に対しては、勝手なイメージを持って壁を作る
・話している相手のことを考えない
・話を聞くときに表情に気を付けることはない
・周りの人はよく見ない
という状態・
「思い込み」があったことになる。これらを修正するような教育内容が望ましい、という
参加者名簿
ことになる。
コミュニケーションに関する座学や各種グループワークを通じて、これらのことができるようになり、
コミュニケーションの楽しさや意味、重要性を理解できるようになっていった。実際にコミュニケーシ
ョンができたことで、今後の学生生活ひいては社会生活にも良い効果をもたらすことが期待される。
学生には、経験を通じたコミュニケーション理解が必要である。学生は知識やスキルが足りず、経験
も少ない。だからこそ自信がなく、「友人でない他者」とのコミュニケーションの繰り返しの練習が不
87
【第3分科会】学生の社会性を涵養する教養教育
話題提供1
話題提供2
話題提供3
話題提供4
話題提供5
可欠である。
またその教育内容としては、学生の不安や思い込み、今できていないことを盛り込む必要がある。そ
れにより、コミュニケーションの楽しさや意味、重要性を理解できるようになるのではないだろうか。
例えば伊藤(2012)はコミュニケーション不足による早期離職に触れ、自校におけるアサーション(自
分の考えを相手に伝える力)の欠如について触れている。また石川(2011)は卒業生に対する職場適応
調査から必要なコミュニケーション力等を分析している。このように学校種や個別の状況に応じて、コ
ミュニケーション教育の内容を設計することが必要である。
核家族化や地域の崩壊、ネット社会の進展等により、
「赤の他と面と向かってコミュニケーションする、
触れあう」機会は大幅に減少している。大学だけでなく小中高においても、児童・生徒・学生の実態を
踏まえた実践的なコミュニケーション教育が求められているのではないだろうか。
作田・中山(2012)はコミュニケーション行為による自己肯定感の向上について検討しているが、引
きつづき「必要な教育内容」「教育内容に合致した効率的・効果的な教育方法」についての実践・研究
が蓄積される必要がある。
【参考文献】
小川一美(2010)大学生にとってのコミュニケーションカとは 電子情報通信学会技術研究報告 .
HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 109(457), 17-18
山田雅子 (2012) コミュニケーション教育の課題─日本人女子学生の自己評価を踏まえて─ 埼玉女
子短期大学研究紀要第26号
船木幸弘・高村由莉 (2013) 対人コミュニケーション教育実践上の留意点:女子大生のコミュニケーシ
ョン2007-2012年の様相 人間生活学研究 20, 13-48
田中まみ・春川修子(2013)大学におけるキャリア教育の重要性─コミュニケーション演習授業を通し
た人間教育の実践報告─ 京都ノートルダム女子大学研究紀要43, 65-77
大和里美(2010)キャリア教育における参加型授業の有効性に関する検討:テキストマイニングによる
効果分析 太成学院大学紀要12, 139-149
伊藤政治(2012)高等学校(工業)における将来に向けたキャリア教育の在り方―専門教育の充実とコ
ミュニケーションスキルの向上をめざして― 愛知教育大学教育実践研究科(教職大学院)修了報告
論集 .271-278
石川保志(2011)卒業生調査にみる本学におけるキャリア教育への示唆 筑波技術大学テクノレポート
18-2, 83-87
作田澄泰・中山芳一(2012)コミュニケーション行為による自己肯定感向上に関する研究―キャリア教
育の視点からみた道徳授業実践を通じて― 岡山大学教師教育開発センター紀要2, 14-23
質疑応答
Q:メディアを使用したコミュニケーションはやっていないのか。
A:やっていない。教養科目として、そういう科目はなく、専門の授業で実施。
88
【第3分科会】学生の社会性を涵養する教養教育
話題提供1
話題提供2
話題提供4
話題提供5
総会Ⅰ
話題提供4
話題提供3
【第3分科会】学生の社会性を涵養する教養教育
「ふれあい」と「自他発見」
全体会Ⅰ
東北薬科大学 杉山雅宏
1.はじめに
筆者は心理学の講義を担当するかたわら、学生相談を兼任している。相談活動を通じてみえる最近の
学生の課題として、資格取得という視点を重視して気軽に入学する学生が増加した、家族の大きな期待
第1分科会
を背負って入学する学生も多い、医療側に立つことにこだわる学生の中には自分が受診することに抵抗
を示すものが多い、クラスが4年間固定のため人間関係のトラブルでメンタル不調に陥る学生もいる、
等数え上げると枚挙にいとまがない。少しがっかりする話ではあるが、「サークルに入る目的は、試験
に関する情報を得るため」
「自分よりも成績のいいクラスの仲間には、絶対に過去問情報を渡したくない」
「自習室のごみの処理、清掃業者の人たちの仕事でしょ」など、学習ストレスに起因するとはいえ、あ
第2分科会
まり口にしてほしくない発言もときには聞こえてくる。
医療の現場では確実に、目の前にいる患者さんは自分たちよりも苦しい立場にある。そうした人たち
の気持ちを、
「わかろうとする」ためには、自分さえよければという対人関係の構えは好ましくない。
日ごろより、身近な仲間に生への意欲を与えることのできるようなコミュニケーション能力を身につけ
させる必要性を痛感している。
国家試験合格という6年後のゴールは皆同じである。そうであるならば、「私は、今日はあなたを助
第3分科会
ける人ですが、明日はあなたに助けてもらうかもしれない人間です」という助けたり、助けられたりの
カウンセリング、いわゆる、ピア・カウンセリングが学生間で展開できるきっかけを、入学直後に仕掛
ける必要性を痛感した。
今回の話題提供では、本学で入学式翌日に実施している、新入生オリエンテーションの1コマ、「新
入生交流会」の実践を紹介する。この交流会の目的は、新入生がクラスの仲間や担任との交流を図る中
全体会Ⅱ
で、彼らの緊張をほぐし、不安を解消することを第一義的なねらいとしている。方法は、「ふれあい」
と「自他発見」を目標とした構成的グループエンカウンターの手法を活用し、「バースディライン」「質
問じゃんけん」「他己紹介」「アドジャン」など、誰でも気軽に楽しめるエクササイズを童心に帰り味わ
い、気づいたことを語りあう「振り返り」を体験し、学生同士、担任-学生間の交流を促進するもので
ある。また、
「大学生になってやりたいことベスト5」というオリジナルのエクササイズも実施し、学
総会Ⅱ
生間の交流を深めるだけでなく、自由な雰囲気の中で、学生の悩みをさりげなく引き出す取り組みも実
践している。
2.新入生交流会の目的
新入生交流会の目的は、以下の3つである。
参加者名簿
1)新入生が、クラスの仲間や担任との交流を図る中で、彼らの緊張をほぐし、不安を解消することを
第一義的なねらいとする。
2)学生参加型のワークショップを実施し、これからの大学生活の主人公としての自覚を促し、大学生
活全般の動機づけの一助とする。
3)身近な仲間に生への意欲を与えることのできるようなコミュニケーション能力を身につけさせる
89
【第3分科会】学生の社会性を涵養する教養教育
話題提供1
話題提供2
話題提供3
話題提供4
話題提供5
3.方法
「ふれあい」と「自他発見」を目標とした構成的グループエンカウンターの手法を活用する。
「時間」、
「メンバーの数」等制限された枠の中で、各自与えられた「課題」に主体的に取り組む。そして、課題
を通じて感じたこと、気づいたことを語り合う「ふりかえり」によるふれあい体験を通じ、学生同士・
担任―学生間の交流促進を図る。
「エンカウンター」は出会いである。心と心が通い合う「私」と「あなた」との人間関係をさりげな
く体験させることにより、相手の身になり考え、お互いが固有の存在であることを認めあえるふれあい
体験を味わう。
4.構成
ワークショップ1は筆者が担当する。講義の枠組みを意識した2クラス単位のワークショップ。講義
を共にする仲間同士の交流を目指す。
ワークショップ2はクラス担任が担当する。クラス単位の枠組みでの実施。クラス内での小グループ
ディスカッションによる交流促進、後の担任との面談に役立つ情報収集等を意識したワークショップ。
ワークショップ3は学生主催で実施する。立食パーティーでのワークショップ。ゲーム感覚で参加し、
クラスの仲間とのコミュニケーションを促進する。
(1)ワークショップ1について
ワークショップ1は、自由歩行(ウォーミングアップ)、バースディライン(非言語によるコミュニ
ケーション)
、質問じゃんけん(2人1組のコミュニケーション)、他己紹介(4人1組のコミュニケー
ション)から構成される。
「自由歩行」は、ひとり旅をする感覚で、無
言で自分の歩きたいように空間を歩き回る。時
間を1分とし、「すれ違った人を無視する」「目
と目だけで挨拶をする」「“こんにちは”と声を
出して挨拶をする」など課題を与え、
「不自然だ」
「緊張する」
「照れくさい」などの感情にひた
りながら歩く。
「バースディライン」は、非言語のコミュニ
ケーションを体験する課題。各クラス(約50人)
ごと、担任教師を基準に、1月1日から12月31
日までの誕生日順に円を作り並び直す。その際、一切しゃべってはいけないため、ジェスチャーとして
の非言語のみを活用する。無邪気な子ども心を丸出しにして、雰囲気を作るのが目的。 「質問じゃんけん」は、2人1組でじゃんけんをして、勝った人が負けた人に1問だけ質問し、2分
経ったらパートナーを交換するという自己紹介ワーク。友だちの話を聴き、自分のことを話すことで、
友だち同士が肯定的に認めあえる雰囲気作りをし、交流の促進を図る課題。
「他己紹介」は、2人1組のペア同士で、4人1組を作り、新しい2人にそれぞれのパートナーを紹
介しあうという課題。パートナーについて知りえたことをもとに、気持ちをこめて紹介するようにする。
他者理解を促進し、交友関係の輪を広げることを目的とする。
(2)ワークショップ2について
ワークショップ2は「大学生になってやりたいことベスト5」というオリジナルのワークである。ク
ラス単位で実施し、担任がファシリテーターを務める。まず、ブレーンストーミング形式で「大学生に
なってやりたいこと」を思いつくままに書き出す。次に、書き出した内容を吟味し、5つだけ選び、や
90
総会Ⅰ
りたい順に並び替える。5つの選びだしたもの
をじっくりながめ、卒業後(4年後または6年
後)
、どんな自分になっていたいか、思いつく
ことワークシートにまとめ、グループのメンバ
ーに開示する。グループは4人から6人程度と
全体会Ⅰ
する。その他、大学生活を送る上で、不安に思
っていること、心配なことがあればシートに記
入し、事後の担任面談の資料とする。
このワークショップは、担任が実施するため、
運用マニュアルを作成し、事前に研修も行うよ
うにした。
第1分科会
(3)ワークショップ3について
自由に室内を歩き回って、できるだけたくさんの人からサインをもらうワーク。出会った人とジャン
ケンをして、勝ったら相手のシート(大きな四角と小さな四角がいくつもあるシート)の大きな方の四
角の欄に、負けた人は、相手のノートの小さな四角の欄に、自分の名前を全部「ひらがな」でサインを
する。ジャンケンに勝っても負けても、サインをもらったら自分なりにお礼の言葉や動作をする。その
第2分科会
とき、よく相手の顔と名前を見る。
5.学生・教員の反応
(1)学生課のアンケート結果
学生課で実施したアンケートでは、「ワークショップ1」については、とてもよかった・よかったが
第3分科会
88%、
「ワークショップ2」では、とてもよかった・よかったが75%と、概ね良好な結果であった。
(2)クラス担任の反応
一部ではあるが、クラス担任からの声を紹介する。
・
「担任が介入することなく、早期にグループが形成された(担任としては少し気が楽になった)」
・
「学生間の距離がぐっと縮まった感じが、見てわかった」・「気軽に小グループが出来上がり、そこか
全体会Ⅱ
ら仲間が増える ( グループの拡大 ) までの時間が短縮された」
・
「学生のフットワークが軽くなった」
・
「
“大学生になってやりたいことベスト5”の資料は実際面接で活用したわけではないが、入学時の
不安は資料として活用している。」
・
「
“入学時は○○だった”と書かせることにより、振り返りが可能になり、後の面接に活用できる」
総会Ⅱ
6.考察
(1)ふれあいの必要性について
ふれあいは自他受容をもたらす。人が本音で話しをしていると、それを好意の念をもって真剣に聴い
てもらえると、話し手は嬉しくなる。話を聴いてもらえるだけで、人は勇気づけられる。逆に言えば、
勇気づけられるとは、話を聴いてもらえたという体験のことである。「このような私が受け入れてもら
参加者名簿
えた」
「受け入れるに値する人間なんだ」と思えるようになるのである。
こうした体験が自己肯定感を高める結果となる。聴いてくれた相手に対して好意の念を抱き、相手を
受容するようになる。
本学の学生は、「勉強についていけるか」「単位がとれるか」「進級できるか」「留年しないだろうか」
という、
「学習不安」を入学早々に抱えている。ワークショップ2「大学生になってやりたいことベス
ト5」の「大学生活を送る上で、不安に思っていること、心配なこと」の46%は「学習不安」である(杉
91
【第3分科会】学生の社会性を涵養する教養教育
話題提供1
話題提供2
話題提供3
話題提供4
話題提供5
山、2013)
。こうした不安を抱いた学生同士が「私は、今日はあなたを助ける人ですが、明日はあなた
に助けてもらうかもしれない人間です」という、助けたり、助けられたりのカウンセリング、いわゆる、
ピア・カウンセリングが学生間で自然に展開できるきっかけを、入学直後に仕掛ける必要性があること
を痛感した。
「質問じゃんけん」は、自分から話せない学生や人間関係づくりが苦手な学生でも、ゲーム感覚で抵
抗なく友だちと交流ができる。入学直後の緊張をほぐし、楽しい雰囲気を作ることが可能である。
教示する際に、「自分が質問されたら答えにくいような質問はしないこと」「聞かれたら嬉しくなるよ
うな質問を心がけること」という介入を事前にするようにした。そして、上級学年の先輩ボランティア
の学生に、デモンストレーションを実施してもらった。こうした配慮をすることで、新入生は出会った
仲間に配慮をしつつ、リラックスした雰囲気の中で、ふれあい体験を味わうことができたのではないか
と思う。
「はじめは、じゃんけんなんて幼いと思いましたが、やっているうちに夢中になった」「1問1
答方式だから、気楽に取り組める」「短い時間だから、話を集中して聴くことができた」「色々な友だち
と童心に帰りふれあうことができた」など、学生の反応は、概ね良好であった。
(2)自他理解
ふれあいによって人は、今まで気づくことができなかった自分に気づくことができる。そして、他者
とふれあうことにより、相手のことが深くわかるようになる。ふれあいとは、「本音と本音で交流する
こと」であり、自他発見とは、ふれあいを通して自他のかけがえのなさを確認し合う一方で、自己盲点
に気づくことである。
ワークショップ1では、誰でも簡単にできるじゃんけんという手法でふれあい、「自己紹介」を促す
課題で「自己開示」を無意識に体験することを試みた。ここで、十分なふれあいを体験することで、ワ
ークショップ2に橋渡しすることができた。
ワークショップ2では、グループのサイズを拡大し、さらに自己開示を促すワークである。自己開示
しあうとは、複数の人間が1つの世界を共有することであり、個々は共有の世界の中での個であること
を宣言することである。つまり、これこそ、人間の原点にふれることである。自己開示の意義は、人の
つながりの中にいる自分を実感することで、人生を肯定的に生きる源泉ともいえる。
「音楽系のサークルに入りたい」「規則正しい生活をしたい」「アルバイトをしてみたい」「温泉など
旅行がしたい」「海外に行ってみたい」「ライブに行きたい」「語学の勉強がしたい」「仲の良い先輩を作
りたい」
「髪の毛を染めてみたい」「自動車免許を取得したい」「ボランティア活動がしたい」「料理がで
きるようになりたい」など。
「同じ目標を持って大学に来ているのに、やりたいことはみんな違う」「自分とはまったく感覚の違
う人がいて驚いた」「勉強以外のことにも興味があるのは、自分だけではなく安心した」「自分の考えて
いることを聴いてもらえただけでも安心した」「あらためて、自分が案外真面目であることに気づいた」
など、学生相互の交流で、自己理解・他者理解は深まった手ごたえを得ることができた。
(3)
「学生同士の学びあいの場の提供」の布石
学生をより能動的に学習させる講義を今後展開していくためには、学生同士が学びあう対話中心の講
義を展開することが有効であると考える。学生を孤立させることなく、学生同士を繋げ、学生同士が互
いに学びあえる場を演出することが大切である。そのためには、入学後早い段階で、学生同士がふれあ
うことが望ましい。
今後の講義で、学びあい、教えあい、励ましあうことの素晴らしさを体験させるための布石になるの
ではないかと考える。
7.今後の課題
学生間の交流については、学生からのアンケートや担任の声を分析する限り、かなり促進されたもの
92
総会Ⅰ
と考えられる。しかし、担任―学生間の交流促進の部分ではまだ十分でない。
また、広く教職員の理解を求めるという意味で、ファシリテーターの養成をどのようにしていくのか
が問題となる。
研修体制の充実や、ピア・サポーター制度の導入等の問題も含め、上記2点が今後の課題であろう。
全体会Ⅰ
<引用文献>
杉山雅宏 2013 学生の“自分心”を鍛える講義実践 東北薬科大学一般教育関係論集27 73-86
第1分科会
質疑応答
Q:
「授業を受けてない子にノートは見せない」といった学生が、この取り組みでどう変わったか。変
えるにはどうしたらよいか。
A:成績上位者に多い。成績上位者数名に月額の奨学金付与の制度で加速。とりくみの意図を伝え
て、やんわりと進めている。
第2分科会
Q:資格取得メインで、社会性育成(大学全体で位置付けるべき大事な内容)がどうして薬学の中心に
ならないのか。
A:国試に対する危機感が強かった。しかし、実習先でおこられるという現状。保健管理センター
から薬学教育センターにフィードバックして、徐々に広まっている。
Q:この取り組みを科目とすると評価の問題がでてくるのではないか。
A:この取組みは継続しつつ、学習に対する動機付けなど、新たにポートフォリオを使用したり、
第3分科会
課題解決学習を行う授業を考案中。
Q:相談業務をしながらでは大変なのではないか。
A:業務だからやっている。
全体会Ⅱ
総会Ⅱ
参加者名簿
93
【第3分科会】学生の社会性を涵養する教養教育
話題提供1
話題提供5
話題提供2
話題提供3
話題提供4
話題提供5
【第3分科会】学生の社会性を涵養する教養教育
科学技術史を用いた教養教育の意義と展開
酪農学園大学 山田大隆
1.はじめに
現在、日本の基礎科学研究界では、2014年6月の理化学研究所のスタップ細胞作成論文捏造問題(ネ
イチャー掲載論文成否)を契機として、多くの研究機関で研究のモラルが深刻に問われる現況となって
いる。これは世界的な科学技術立国日本の将来に関わる重要問題で、科学者の科学倫理、制度論の根本
的問題、2011年3.11福島原発事故での歴史系70学会共同声明以来の日本科学史学会の重要テーマとなっ
ている。
結論的には、2003年に生起した国際的論文捏造事件「シェーン事件」(ショックレーのトランジスタ
ーを生んだ世界的ベルテレフォン研究所の副所長シェーンによる常温超伝導研究の論文捏造事件)を背
景とするもので、この歴史の教訓があるならば、今回の理研論文捏造問題は生起しなかった。これは大
学教育の問題である。
筆者はこの研究モラル常識を涵養する最良基盤が歴史性科学技術の本質理解を目的とする総合的一般
教育進展にあると考える。この研究会では第62回(会場校酪農学園大学、2012年8/31~9/1)に、北
海道開拓技術文化史を「教職課程3年総合演習」科目で5年間実施結果を報告したが、今回はその総括
として、本学旧カリキュラムで実施された、地域環境学科、生命環境学科、食品科学科での科学技術史
実践結果を報告した。
2.本学の科学技術史教育の内容と結果
本学では、現行の新カリキュラム(平成23年開始、4年学生が1期生)が開始されるまで、旧カリキ
ュラムに環境システム学部地域環境学科・生命環境学科1年次に「科学技術史」(各110名)、酪農学部
食品科学科1年次に「科学史」(70名)が必修(半年2単位、15回)として設置されていた。
筆者山田は、日本科学史学会(会員数900名、本部東京都)、日本産業技術史学会(会員数300名、本
部大阪府)
、産業考古学会(会員数660名、本部東京都)の科学技術史専門学会の役員を永く務めている
経歴、研究実績と、北海道教育大学札幌校産業技術学科「産業技術史」科目授業の非常勤講師を15年間
務めた教授経験から、本学のこの科学技術史系授業を、学外非常勤講師、平成19年から学内講師として、
新カリキュラム開始まで、地域環境学科、生命環境学科では5年間、食品科学科では2年間授業担当し
た。
その授業目的と結果内容と評価は以下であった。
・目的として、1.本学の該当学科の教育目的に則した一般教養の総合的自然観を涵養する自然科学概
論としての授業、2.学術の形成史による学科内容の歴史的、人文的、社会機能性を深める科目、3.
技術者、科学者の人間性、成果への努力過程に触れ、今日の技術離れ、理科離れへの有効対応とする。
4.日本の技術の特色と価値を歴史的風土的教育的に考察するもの、であった。
・授業方法としては、科学技術史教育の一般的方法に準じ、歴史学の意義から科学技術史教科書(指定)
講読と板書のほか、歴史文献(原典)講読、総計30本の歴史的映像視聴、科学技術史の教育映画視聴
と毎回の授業感想分作成を行なった。
・評価としては、原典、指定科学史書の読後感想文提出のほか、10テーマから5テーマほどを選択させ
94
総会Ⅰ
る科学史、技術史事例とこの学問学習の今日的意義を論ずる小論文作成(定期試験日)で行なった。
(総合的評価は大方の受講者が S,A 段階であった)
受講学生の反応は毎年大変良好で、小論文内容も高質のものが多く、大学教育の開始となる1年次総
合科目として適切であった、といえる。本学の新カリキュラム改定で、1年次基盤教育での復活を含め、
他大学と本学の今後の学生の社会性、総合性を涵養する教育科目・方法として大いに有効と考える。
全体会Ⅰ
3.理科離れ対策への科学技術史利用教育の有効性(本学での科学技術史教育の内容)
日本の技術教育離れとその危機が叫ばれてから久しい(筆者の総説は「日本理科教育学会北海道支部
会誌2008年にある」。その対策に、科学技術の哲学と歴史的教訓に学ぶことは、いつの時代でも有効で
ある。筆者は、北教大札幌校産業技術学科が廃止された後も、現在の職場(酪農学園大学教職センター)
第1分科会
で、以下の科学技術史授業を担当して(指定テキスト使用解説と配布歴史資料解題、30本以上の参考歴
史映像視聴中心、評価は課題提出でのレポート採点)、筆者の学問的良心を実践している。
各授業では、遠藤一夫(故人、元北海道大学教授、北海道産業考古学会第2代会長)氏監修の映像(1991
年 HBC 作成カラー、25分)『北海道の風土と文化』を必ずイントロ上映して、興味喚起している(筆
者の所蔵する科学技術史資料映像は約3000本)。
第2分科会
(1)生命環境学科(1年前期)科学技術史(100人)2006~2008年夏季集中講義内容(環境科学の基
礎としての物質科学、生物地学史。ギリシャ科学と物質観、中世錬金術と現代化学、顕微鏡望遠
鏡の発明と科学的地平拡大、DNA ラセン構造発見と科学者の感性、女性と科学、科学法則の発
見のプライオリティ確保、原子物理学の装置発展と元素観の変遷、核物理学と原子爆弾・技術の
価値、蛋白質科学と装置開発の意義、日本の技術の特徴と発展、北海道開発技術と産業考古学)
(2)地域環境学科(1年後期)科学史(100人)2007年冬期集中
第3分科会
・内容(同上、特に環境問題に関係する技術史、化学工学史、核技術史を強調する)
(3)食品科学科(1年前期)科学史(40人)2009年夏季集中
・内容(同上、特に食品科学の基礎となる科学技術史、蛋白質科学と研究技術、環境問題、食品技
術、食料問題、高分子科学の内容と特色、製造技術史に注目する)
(4)総合演習(3年後期)北海道産業技術史(20人)2007~2009年)通常総合的学習教材開発のため
全体会Ⅱ
の演習で、座学(10回、資料解説と資料映像視聴)と3回(2009年度は5回)の現地見学バスツ
アーを行なった。
・内容(総合的学習の意義と方法、北海道産業開発史、各産業史(漁業、林業、水産業、鉄鋼業、
石炭業と金属、非金属鉱山業、機械化農業、電力業、鉄道と土木、レンガ)
・講義目的(食品科学科)(2009年度酪農学園大学シラバスによる)
総会Ⅱ
(1)現代の食品科学や酪農技術の基礎となる人間の自然科学観の発展史を概観する。
(2)物質科学(物理学、化学)の歴史的知識、方法を獲得する。
(3)環境科学(生物学、地学天文学)の歴史的知識、方法を獲得する。
(4)科学と技術との関連の総合的理解を進める
(5)科学者の人間性の時代背景との関連を総合的に捉える
・講義内容(2単位15回、食品科学科、他科もほぼ同様)は以下の通りである。
参加者名簿
第1回:科学史とは何か(バナール、ダンネマンの著書)、歴史的名著、研究者の養成と学会、科学史
と言語、科学史研究の二大方法(内的科学史と外的科学史)、現代での科学史学習の意義(市民科学、
大学での総合科学、自然科学概論として、国の科学技術政策への助言機能)
第2回:古代の科学(イオニア派の科学、デモクリトス原子論、ピタゴラス数学、エンペドクレス元素
観、アルキメデス技術)
第3回:アラビア科学と技術(古代と中世の架け橋、ラテン文献のアラビア語訳、実学と対数と錬金術)
95
【第3分科会】学生の社会性を涵養する教養教育
話題提供1
話題提供2
話題提供3
話題提供4
話題提供5
第4回:古代と中世、近現代の天文学(プトレマイオスの天動説、ケプラー、チコの天文学、コペルニ
クスの地動説、2大説をめぐる中世の異端論争と宗教裁判、ハレーの天文学とニュートンの宇宙論、
ラプラス星雲論、ハッブルの観測と傍聴宇宙論、ガモフのビッグバン、現代宇宙論での宇宙の年齢と
広がり)
第5回:力学、運動学の発展(古代中世の落下法則、ガリレイの落下法則、デカルトの慣性法則、ニュ
ートンの運動法則、ラグランジュとオイラーの解析力学、現代の宇宙工学)
第6回:熱学、気体論の発展(ランフォード、ジュールの熱の実験と分子運動論、ボイル・シャルルの
法則、マクスウエルの気体論、カルノー・サイクル、ボルツマンとエントロピー、非可逆過提と宇宙
の熱的終焉、アインシュタイン、ぺランの分子検証実験)
第7回:電磁気学の発展(ターレスの静電気、ギルバートの磁石論、エルステッドの電流の磁気作用発
見、ファラディの電磁誘導法則、マクスウエルの電磁場理論、ヘルツの電波発生と検証実験、マルコ
ーニの電波工学)
第8回:錬金術と化学の発展(錬金術の内容と本質、イアトロ化学、ラボアジェの熱素と化学理論確立、
ドルトン、アボガドロの原子分子論、メンデレーエフと周期率表、ウエーラーと有機化学、錯体化学、
現代の錬金術核分裂と核融合)
第9回:医学、生物学の発展(ガレノス、ヒポクラテスの医学、中世の瀉血治療と人体観、生命の自然
発生説否定とパスツールの実験、コッホ、北里の病理学と免疫学、野口とウイルス学、利根川の生物
学、現代の脳科学)
第10回:進化論と遺伝学の発展(ライエルの進化論、ダーウインの進化論、ウオレスとダーウンンの進
化論先取権競争、ラマルクの獲得形質遺伝論、カンメラーのサンバガエルの実験、メンデルの実験と
遺伝法則、ワトソンとクリックの DNA の二重ラセン構造)
第11回:原子論の発展(古代の原子論と物質観、中世の粒子説、ニュートンの粒子論、ドルトンの原子
論、キュリー夫妻のラジウム発見、レントゲンのX線発見、ラザフォードの原子核発見、ボーアの原
子模型、湯川の中間子論、原爆開発史)
第12回:科学史と技術史(科学と技術の本質と関係、技術の本質をめぐる論争、ベックマンの技術史、
技術者伝(エジソン、ライト兄弟、ベンツ、ワット、本田)、産業革命と技術革新、戦争と科学動員、
現代の先端技術)
第13回:農学と環境技術(日本の農書、総合科学技術としての農学、政界と日本の農業開発、今日にお
ける外交問題としての食料、エネルギー問題、日本農業の未来と北海道農業の役割、今日の環境科学
の発展)
第14回:高分子科学の発展(コロイド化学と高分子、スタウディンガーの高分子物質の発見と概念、ゴ
ム弾性の本質、カローザスとナイロン合成、高分子溶液の特徴(ワイセンベルグ効果、チキソトロピ
ー、粘弾性、曳糸性)と生命、現代の高分子科学と技術)
第15回:日本と北海道の技術史(日本技術の特徴、カラクリ人形とロボット、日本の築城技術と鉄砲技
術、戦中の航空機と造船技術と戦後の移転技術、今日のハイテク、北海道の開拓技術、産業遺産の利
活用と北海道遺産運動、産業考古学)
ちなみに、生命環境学科での試験内容は、科学と技術の関連を重視して、以下のようになっている(8
題課題事前提出、答案を作成し、うち5題必修、90分で資料持ち込み可で解答)
・使用テキスト:佐藤満彦『科学史こぼれ話』(恒星社厚生閣、2002年)
(1)古代ギリシャ科学について、年代、地域、科学者名、研究内容をまとめ、それらが後世どんな諸
科学にどう継承されていったかをのべよ。
(2)中世の錬金術について、その発生、特徴、欠陥と後世への成果内容をのべよ。(化学史、薬学史、
仮泊思想史、化学道具史)
(3)科学研究上の実験・観察道具の開発とそれによって得られた新たな知見が、その社会や戦後の世
96
総会Ⅰ
界の発展に与えた影響について具体例を挙げてのべよ。(近代実験科学史)
(4)歴史上の科学者について、その人間的特色(個性、知的好奇心、研究方法、先取権争い、女性と
科学、ひらめき、興味あるエピソード等)を何人かについて挙げよ。
(5)歴史的に見て、科学と技術の関係(科学、技術とは何か、その違いは何か)の内容を述べ、また、
科学技術の発展が未来社会に与える影響と内容、望ましい科学技術の在り方について、環境問題
全体会Ⅰ
を中心に自身の見解を述べよ。
(6)日本の技術開発の特色、典型的な考え方と内容を歴史的発展の視点から述べ、今日日本の技術離
れ対策を含めた今後の日本の技術の在り方について自身の見解を述べよ。
(7)北海道の開拓と技術の関わり(産業考古学)、
(8)特定の自然科学発展史例(進化論史、電磁気学史、原子論史、力学史、天文学史、麻酔技術史等)
の1について歴史事実、歴史の教訓、今日の科学史を学ぶ意義を述べよ。
第1分科会
・試験の結果は、生命環境学科、地域環境学科、食品科学科いずれも同様内容で、S,A 段階が2/
3を占め、B,C 段階は1/3以下であった。
・授業評価(FDアンケート)は平均4.2(5点満点)の好評を得た。毎時間提出の出席カード記
載の授業感想は殆どの受講者が記入し、頗る好評の授業内容で高評価を得て、北教大札幌校同様
に酪農学園大学でも、高度科学技術社会にあっての大学での社会性を涵養する教養教育として歴
第2分科会
史的手法による科学概論授業の今日的重要性を検証することが出来た。
引用参考文献
(1)山田大隆「日本理科教育学会北海道支部会誌」21号(2010.2)p1~11
(2)山田大隆「同上」24号(2013.2)p35~45
第3分科会
(3)山田大隆「同上」23号(2012.2)p1~7
(3)山田大隆「第62回東北。北海道地区大学等高等・共通教育研究大会研究収録」(酪農学園大学第
3分科会提言6、2013.2)p100~104「教職課程演習『北海道技術文化史』の実践と学士力形成」
(4)
「北海道教育大学札幌校教育課程、産業技術学科」(平成5年度版)
(5)
「日本産業技術教育学会北海道支部研究論文集」第16号(2003)
全体会Ⅱ
(6)前田清志(編)『技術史教育論』(玉川大学出版、1995)
質疑応答
Q:理系なのに理系が好きじゃないという学生が増えてきた。学生に興味をもたせることが大事。この
総会Ⅱ
授業によって別の専門教科能力の向上の波及はあるか。
A:ヨーロッパでは歴史や人類文化史をセットで教えている。これが日本では欠落していることが
理科離れを生んでいるのではないか。人間性を含んだ科学史は学生のモチベーションをあげる
のにもってこい。バランスのとれた教授課程の必要性がある。
Q:科学技術史のビデオはどのくらいの時間のものか。
A:30分もの。リストがある。
参加者名簿
Q:単純に科学を追及することの危険性をきちんと伝えられる人がいない現状である。大学に科学史を
教えられる大学教員がいない。どのように実施していくべきか。
A:調査によると、全国で10数校でしか科学史の授業がやられていない。日本科学史学会では積極
的に扱っている。
Q:使えるコンテンツはどんなものがあるか。
A:教員をふやせればよいのだが。
97
全体会Ⅱ 事例報告
全体会Ⅱ 事例報告
国立大学教養教育コンソーシアム北海道 ―2014年10月開講に向けて―
北海道大学 高等教育推進機構 副機構長・全学教育部長 大学院文学研究科 教授 和田博美
大学間のコンソーシアムは、すでにいろいろなところで始まっています。東北地区では各県ごとに、
あるいは県を越えてコンソーシアムが構築されています。それに比較して我々の国立大学教養教育コン
ソーシアム北海道はこれからスタートするところです。やってみなければわからない点や不安な点も抱
えております。本日はコンソーシアム北海道について事例報告させていただきますが、すでにコンソー
シアムをスタートさせている先生方からコメントやアドバイスをいただけるとありがたいと思っており
ます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず「国立大学教養教育コンソーシアム北海道」とは何かといいますと、学士課程の教養教育を充実
強化することが目的です。そのために北海道地区の国立大学間で単位互換協定を結び、教養教育を連携
して実施する事業のことです(スライド1)。今年度の後期がスタートで、22科目の授業が開講されます。
本日は、この事業の概要について説明したいと思います。
北海道地区国立大学教養教育連携実施事業の概要
大学間連携実施の効果
・連携教育機構の設置
・単位互換協定締結
・連携大学から授業の提供(遠隔授業・通学による対面授業)
・遠隔授業を効果的に実施するための授業方法等の開発
・授業支援スタッフの育成
学生への効果
・多様な授業の履修が可能
・理系・文系の様々な学生との共学
・授業の質の向上
連携大学への効果
・教養教育の充実強化
・連携大学の改革・機能強化
1
まず北海道内の国立大学の特徴として、北海道大学を除き単科大学になっているという事情がありま
す。このため専門教育は充実しているのですが、多様な教養教育を提供することが困難となっています。
また北海道は広大ですから、各大学が遠く離れているという地理的要因もあって、非常勤講師の確保に
も苦慮しています。私も特急で2時間半かけて札幌から帯広に来たところです。こういうことで、特定
の分野の授業が不足している、あるいは授業を開講できないといったケースがあります。さらに人気の
科目に履修者が集中することで大人数クラスとなるケースもあって、授業の質の確保という点で問題と
なっています。これらの問題の解決方法として、道内の国立大学7校が連携協定を締結して、単位互換
制度を利用した双方向による遠隔授業、あるいは可能な範囲で通学による対面授業を提供し合って、教
98
総会Ⅰ
養教育を実施する新たな仕組みを構築することにいたしました。連携することによって、不足する分野
の授業科目を補完し合い、あるいは多様で効果的な授業を提供し合うことで教養教育の充実強化を図る
ものです。
具体的には、連携大学から提供される授業をコーディネートする連携教育機構を設置します(スライ
ド2)
。この連携教育機構が各大学から提供された遠隔授業や対面授業と履修希望学生との間を調整し
全体会Ⅰ
たり、TAなどの授業支援スタッフの育成を行ったりします。学生は多様な授業を履修したり、文系・
理系の様々な学生と共に学んだりすることが可能となります。これらを通して、授業の効率的な実施や
連携大学の教養教育の充実強化を図るものです。
北海道内国立大学の機能強化について
北海道地区国立大学教養教育連携実施事業の体制
道内国立大学の教養教育連携実施(3)
3
第1分科会
遠 隔 授 業 シ ス テ ム の 整 備
北 大
北教大
室工大
帯畜大
旭医大
北見工大
樽商大
(協力)
第2分科会
・遠隔授業(双方向授業)の実施
・通学による対面授業の実施
提供可能な授業の連絡
運 営 委 員 会
連 絡 会 議
授業方法開発・普及
提供する授業の提示
第3分科会
連携教育機構
FDの実施
連絡
コーディネート
調整
2
全体会Ⅱ
本事業を実施するために、平成25年6月27日に「北海道地区国立大学の教養教育連携実施に関する協
定書」を締結いたしました。この連携協定により、連携大学で構成される運営委員会と連絡会議を設置
して、教養教育の連携実施に係る検討事項を協議する体制を整えるとともに、各大学が提供する授業を
コーディネートする機関として連携教育機構を設置することになっています。
この協定の締結に伴いまして、同日付けで連携教育機構を設置し、第1回目の運営委員会を開催して
総会Ⅱ
検討の方向性を確認しました。また第1回連絡会議を開催して、具体的な検討を開始しました。
運営委員会は、各学長が指名する理事・副学長から構成されており、教養教育連携実施に伴う業務運
営、予算・決算など重要事項を審議します。一方、連絡会議は各学長が指名する教員や事務職員から構
成されており、概ね月1回のペースで教養教育の連携実施に係る課題の検討を進めています。基本的に
は、運営委員会で審議した方策等について、連絡会議で調整し、連携教育機構が各大学と連携して実施
することになっています。これまでの連絡会議では、学事暦や履修登録期間の取扱いなど、双方向遠隔
参加者名簿
授業の実施に必要な課題を洗い出して、担当レベルでの意見交換を行ってきました。また連絡会議にお
いて調整を進めてきた「北海道地区国立大学における教養教育の単位互換に関する協定書」が、平成26
年2月17日開催の第3回運営委員会で審議、了承され、2月28日に執り行われた締結式において、各学
長が協定書に署名いたしました。今後の予定としては、この10月から試験的に双方向連携授業を実施し、
来年平成27年度からの本格実施を目指しています。
連携教育機構は便宜上北海道大学に置かれており、機構長及び副機構長のもとに3名のコーディネー
99
全体会Ⅱ 事例報告
ター(特定専門職員)及び2名の非常勤職員を配置して運営しています(スライド3)。このうち機構
長は、運営委員会の委員長をもって充てるとされており、北海道大学の新田孝彦・教育担当理事・副学
長が兼ねています。副機構長は、機構長の職務を助けるため、連絡会議の座長をもって充てるとされて
おり、北海道大学工学研究院の小林幸徳教授が兼ねています。コーディネーターは提供可能な授業科目
に関する履修調整、新たな授業方法の普及、遠隔授業担当教員向けのFDの開発・企画・実施、TA等
授業支援スタッフ研修の企画・実施、その他連携教育機構が担う業務を担当しています。各連携大学に
も非常勤職員1名を配置し、教養教育の連携実施に係る業務や連携教育機構との連絡調整を行っています。
北海道地区国立大学教養教育連携実施の体制図
道内国立大学の連携協定による運営委員会・連絡会議
機 構 長:新田孝彦(北海道大学理事・副学長)
副機構長:小林幸徳(北海道大学大学院工学研究院教授)
連携教育機構
サポート
コーディネーター 3名
北海道大学学務部
(特定専門職員)
(特定専門職員)
FD研修の実施
授業方法開発・普及
遠隔授業・対面授業開講調整
(協力)
道内各大学
樽商大
各大学受講学生
各大学担当教員
(協力)
授業支援TA
北大
北教大
室工大
帯畜大
旭医大
北見工大
3
連携教育機構の機能としては、3つの柱となる業務を実施しています(スライド4)。1点目は、連
携大学に提供できる授業科目を照会し整理する、授業科目ごとに履修人数が決まっているため、履修者
を調整する、遠隔授業システムを運用管理する、など授業・履修者調整に関わることを行います。2点
目は、遠隔授業に関するFDを開発・企画・実施する、遠隔授業を担当する教員向けのFDを企画・実
施する、TA等授業支援スタッフの研修を企画・実施する、などFDの実施に関わることを行います。
3点目は、アクティブ・ラーニングなどの新たな授業方法や遠隔システムによる効果的な授業方法の開
発・普及など、新たな授業方法の開発・普及に関わることを行います。これらの業務のほかに、ホーム
ページによる広報活動や運営委員会・連絡会議の運営などを担当しています。今後、連携教育機構の活
動が軌道に乗り、これらの機能が実現されますと、道内国立大学において多様で効果的な授業を実施す
ることが可能となり、授業の質の向上が図られて教養教育の充実強化が推進されることになると期待し
ています。
100
総会Ⅰ
連携教育機構の機能
連携教育機構の業務
FDの実施
• 大学間の提供授業の整理
• 履修希望学生数の調整
• 遠隔授業システムの運用・調整
•
•
•
•
遠隔授業に関するFDの開発・企画
遠隔授業担当教員へのFDの企画・実施
TA等授業支援スタッフ研修の企画・実施
FD・研修の実施支援
第1分科会
新たな授業方法の
開発・普及
全体会Ⅰ
授業・履修者調整
• アクティブラーニングなどの新たな授業方法等の開発
• 遠隔システムによる効果的な授業方法の開発
• 開発された新たな授業方法等の普及
第2分科会
4
これは国立大学教養教育コンソーシアム北海道のホームページです(スライド5)。コンソーシアム
北海道の概要、開講科目や時間割、シラバス、履修の手続き、FD・SD事業、授業紹介など様々な情
報を発信していきます。今後さらに充実した内容にしていく予定です。
第3分科会
国立大学教養教育コンソーシアム北海道のHP
全体会Ⅱ
総会Ⅱ
参加者名簿
5
連携教育機構が担う事業実施計画ですが、平成24年度に本事業が採択されて以来、実施体制を構築し
てきました(スライド6)。平成29年度末までに約200科目の単位互換科目の提供を目指して準備を進め
ています。本事業が採択された平成24年度は、副学長級の会議を行い、大学間の連携協定や実施体制に
101
全体会Ⅱ 事例報告
関する協議を進めるとともに、遠隔授業システムの仕様検討に取り組みました。平成25年6月には連携
教育機構が発足し、8月にはコーディネーターを採用しました。さらに、先行して遠隔授業を実施して
いる大学コンソーシアムの実地調査を行うとともに、単位互換制度の構築、遠隔授業に係るFD等の事
業を実施し、新たな授業方法の開発に着手しました。平成26年度以降は、引き続き授業方法の開発を行
うとともに、教職員や授業支援スタッフを対象としたFDやTA研修会を実施するなど、各種事業を本
格的に進めています。また連携授業の実施要項及び募集要項を作成して、履修申請方法や試験及びレポ
ートの実施方法など履修に必要な手続きを定めるための検討を進めました。連携授業開始に備えた模擬
授業の実施計画についても策定し、5月から8月にかけて実施しました。この10月からは、トライアル
として22科目の連携授業を実施し、平成27年度以降は本格実施として年度毎に授業科目を拡大する計画
となっています。
連携教育機構の事業実施計画
平成24年度
平成26年度
平成25年度
平成27年度
平成28・29年
度
運営委員会(構成員:理事・副学長)(25年度は3回開催)
事業
内容検討
連絡会議(構成員:責任教員,教務担当) (25年度は9回開催)
連携教育機
構の発足
実地調査:
遠隔授業,
単位互換
制度
H26.2. 単位互換協定
とその覚書の締結
単位互換科目の履修者の調整・管理
遠隔授業システムを効果的に活用する授業方法の開発
遠隔授業に携わる教職員へのFD・SDの実施
実施要項及び
募集要項等の
作成
双方向遠隔授業
システム
機器決定と導入
H26後期.双方向
遠隔授業の開始
前期:模擬
授業(兼,配
信テスト)
後期:トライ
アル科目配
信
本格実施
科目数を増加
6
今年の2月28日には、道内7国立大学による単位互換協定及び覚書が締結されました(スライド7)。
単位互換協定により、各大学は所属学生が他大学の授業科目を履修し、単位互換科目として修得するこ
とを認めます。ただ学生が履修できる科目は、その学生が所属する大学が指定することになります。単
位互換科目を履修し修得した単位は、学生が所属する大学の授業科目の単位として認定されます。授業
が開講される期間、学生は受講を希望する大学の特別聴講学生として授業を履修することになります。
履修に係る検定料、入学料及び授業料はもちろん徴収しません。この単位互換協定に基づき、今年度10
月から連携授業がスタートします。覚書については、協定書に基づき、単位互換を実施するために必要
な細目を定めたものです。双方向による遠隔授業あるいは学生の通学による対面授業を、単位互換科目
の授業形態として認めています。さらに単位互換科目に係る履修調整等を行う役割を、連携教育機構が
行うことを定めております。
102
総会Ⅰ
単位互換協定書と覚書(要点を抜粋)
協定書
3.単位互換科目履修時の身分:
科目提供大学の特別聴講学生
全体会Ⅰ
1.各大学は所属学生が単位互換科目を
履修することを認める。
(履修できる科目は,学生が所属する大
学が指定)
4.単位互換科目を修得した時:
所属大学の授業科目として単位認定
2.単位互換科目の履修資格:各大学の
学部学生
1.履修の取り消しを認めない。
2.単位互換科目の授業形態
遠隔授業,対面授業
第1分科会
覚書
3.試験:
◯科目提供大学が定めに従う。
◯所属大学の試験と日程が重複したと
きは,単位互換科目を優先する。
第2分科会
4.成績評価:所属大学の定めに従う。
7
次に双方向遠隔授業システムについて説明します(スライド8)。双方向遠隔授業では、配信側の教
室に設置したモニタカメラ2台とテレビ会議用カメラ1台の3台のカメラによって、授業の映像を配信
することができます。受信側教室では、教室正面のスクリーンや60インチ、80インチの電子黒板に配信
第3分科会
側教室の授業映像が映り、目の前で教員が授業をしている様子を見ることができます。受信側教室の学
生の様子は、全景モニタカメラを通して配信側教室に送信されます。授業担当教員は電子黒板やテレビ
会議用画面で受信側の学生の様子を確認することができます。配信側教室には機器を操作するTA等授
業支援スタッフがおります。たとえば教員が黒板の前から教壇横のスクリーン前に移動した場合は、T
Aがモニタカメラを操作して、受信側の学生が常に教員の姿を見ることができるように映像を調整しま
全体会Ⅱ
す。なお、モニタカメラにはプリセット機能がついているため、操作画面をクリックするだけで簡単に
行うことができます。配信側のTA等授業支援スタッフは、配信側と受信側が電子黒板画面を共有する
場合や、クリッカーを使用する場合、あるいは質問をした学生の顔をテレビ画面に映す場合などに、教
員の補助を行ないます。受信側にも機器操作をするTA等授業支援スタッフがおります。配信側からの
映像を投影するモニタの切替え等を行います。これらの映像はすべて、学術情報ネットワーク(SINET:
総会Ⅱ
サイネット)を利用して配信されます。
参加者名簿
103
全体会Ⅱ 事例報告
双方向遠隔授業システムの概要
ネットワーク回線
電子黒板
正面モニタカメラ
全景モニタカメラ
映像の配信:
ネットワーク回線で接続された正面・
全景モニタカメラの映像。
テレビ会議装置のカメラも配信。
プロジェクタ
全景モニタカメラ
TV会議装置
TA操作
電子黒板
ネットワーク回線
正面モニタカメラ
電子黒板用 PC
授業配信側:A大学
教材提示用
プロジェクタ
ネットワーク回線
受信側の学生は,主に正面モニタカメ
ラが映した映像を見る。
教員は,受信側教室の様子を全景モ
ニタカメラで確認できる。
TA操作
TV会議装置
電子黒板用PC
教材提示用
ネットワーク回線
授業受信側:B大学
8
各大学には複数の遠隔授業システムが設置されております。このため同じ授業時間帯に複数の遠隔授
業を配信・受信することが可能です。学生は、各大学の双方向遠隔授業システムが設置された教室で単
位互換科目を受講することになります。それでは、北海道大学において双方向遠隔授業システムが設置
されている教室を、いくつか紹介したいと思います。これは300名収容できる大教室の写真です(スラ
イド9)
。この教室には、9面のマルチディスプレイを配置して、高画質の映像を映すことができるよ
うにしました。
北海道大学:高等教育推進機構S2教室(大教室)
・黒板の後ろに,60インチの電子黒板を9枚合せたマルチディスプレイを設置
・正面モニタカメラを天井から吊り下げ,受信教室の学生が配信元の学生と同じ目線に
した。
9
104
総会Ⅰ
このスライドは、双方向遠隔授業システムが設置されている情報メディア教室を映したものです(ス
ライド10)
。主に、情報学等の教育を行うために使用する教室になります。正面には、電子黒板が2つ、
大型のホワイトボード、単焦点のプロジェクタを設置しております。また、机上が広く利用できるよう、
PCを収納できるようにしたデスクを導入しています。
全体会Ⅰ
北海道大学:高等教育推進機構E213教室(情報メディア教室)
・写真左:正面には電子黒板2つ,大型のホワイトボード,短焦点プロジェクタを設置
・写真右:机上の広い使用を可能にする,PC用モニタ収納デスクを導入
第1分科会
第2分科会
10
第3分科会
これはアクティブ・ラーニング用の教室です(スライド11)。グループワークに適した机やいすを新
たに導入し、壁掛け電子黒板、可動式電子黒板、単焦点プロジェクタ、ホワイトボードを備えています。
大学間を繋いだアクティブ・ラーニングも可能です。
全体会Ⅱ
北海道大学高等教育推進機構N273教室
(アクティブ・ラーニング教室)
・グループワークに適した机・椅子を導入
・壁掛け電子黒板,可動式電子黒板,短焦点プロジェクタ,ホワイトボードを備え,アク
ティブラーニング等様々な授業実施形態に対応可能。
総会Ⅱ
参加者名簿
11
105
全体会Ⅱ 事例報告
先ほども説明しましたが、授業の配信は配信側教室の正面モニタカメラにより撮影された映像が主と
なります(スライド12)。配信側教室の正面モニタカメラにより撮影された映像①が受信側教室②に送
られ、その映像を正面スクリーンに投影して受講することになります。一方、受信側教室前方に設置さ
れた全景カメラの映像③を配信側へ送ることで、授業担当教員は受信側教室の様子を確認することがで
きます。この様子は④のテレビ会議システムでも確認することができます。
模擬授業の映像から
配信側
受信側
①
②
④
③
③
12
授業開始に向けて、この7月末からTA研修会を2回実施しました(スライド13)。双方向遠隔授業
システムを使用して、全キャンパスのTA、SA、職員を対象に、機器操作の説明や遠隔授業実施時に
発生する問題点について、ワークショップで議論も行いました。授業の円滑な進行には、配信側・受信
側双方の授業支援スタッフの協力が不可欠であり、2学期からの連携授業開始に向けて、同様の研修会
を今後も実施する予定です。
106
総会Ⅰ
TA研修会
・双方向遠隔授業システムを使用して,各大学に同時配信
・各大学のTA,SA等に機器操作の説明やワークショップを実施
全体会Ⅰ
第1分科会
第2分科会
13
授業を担当する教員を対象としたFDも実施しました(スライド14)。この写真は、今年の2月に、
双方向遠隔授業を実施している全国の大学コンソーシアムの教職員を招いて、双方向遠隔授業を実施す
る上での教授法についての講演や、遠隔授業を実施する上での問題点についてディスカッションを行っ
第3分科会
たときのものです。本年9月3日にもFD研修会を実施し、授業担当教員等に、双方向遠隔授業システ
ムの概要や遠隔授業を実施する上での留意点等について研修を実施する予定です。この研修は、北海道
大学の少人数教室に集合して行うほか、テレビ会議システムを活用して各大学に配信し、多くの教員が
参加できる環境を用意しました。また授業開始前に、授業担当教員と授業支援スタッフが連携して授業
を実施する研修会も開催する予定です。
全体会Ⅱ
FD研修会
・授業担当教員を主対象に,実施
・遠隔授業を実施している大学コンソーシアムの事例について講演やシンポジウムを開
催
総会Ⅱ
参加者名簿
14
107
全体会Ⅱ 事例報告
最後に、この北海道地区国立大学教養教育連携事業の1つに、新たな授業方法の開発があるので紹介
します。平成25年度から3年計画で、新たな授業方法の開発に係る事業を北海道地区国立大学連携教育
機構から北海道大学に委託しました。平成25年度は北海道大学情報基盤センターに委託しましたが、今
年度からは北海道大学高等教育推進機構教育支援部に新たに設置されましたオープンエデュケーション
センターに委託しています。
この事業においては、Open Educational Resources(OER)と呼ばれるインターネット上で公開さ
れるデジタル教材の開発を行っています(スライド15)。具体的には、授業で利用することを前提とし
たオープン教材の開発を行っています。現在、北海道大学の教員の協力の下、「応用倫理学」、「環境放
射能基礎」
、
「地球惑星科学」、「情報社会」の4つの授業科目を対象に開発を行っており、これら4つの
授業科目についてはモデル授業を開発し、反転授業やアクティブ・ラーニングを実施する予定です。ま
た右下の図のとおり、開発したオープン教材を蓄積できるデジタル教材レポジトリを作製して、各大学
がこれらの教材を利用できるようにします。教材の共有によって、連携大学の教養教育の多様化を図る
とともに、教育の質の向上を目指します。
委託事業の概要(1)
• OER(Open Educational Resources)の開発
– 授業利用を前提としたオープン教材
– 応用倫理学/環境放射能基礎/地球惑星科学/情報
社会
• 教育方法の開発
– オープン教材を用いたモデル授業
– 反転授業と
アクティブラーニング
を実施
15
オープン教材の開発ですが、具体的には、
「MOOC(Massive Open Online Course)型のオープン教材」
として、テーマごとに短いビデオ教材を作成し、知識確認のためのテストを受講者に行えるようにしま
す。教材の作成に当たっては、教材設計に精通した専門職員によるアドバイスのもと、教員と専門職員
が話し合いながら教材作製を行っていきます。教材は、授業の様子をそのまま撮影するのではなく、専
用のスタジオで撮影します。これらの教材は、授業利用を前提に作成しており、反転授業の予習教材と
して使用することができるように設計されています。また、学生のレベルに応じた補助教材として、こ
れらの教材を利用することも考えております。
この委託事業の名称を Academic Commons for Education(ACE)プロジェクトと呼びます(スラ
イド16)
。現在、下記の URL から、授業の受講者が利用できるようになっています。具体例として、
授業科目「応用倫理学」のなかの「応用倫理学の考え方」というテーマの回を取り上げると、「イント
ロダクション」、「正義とは」、「倫理テスト」、「事実と価値の区別及び理由付け」、「まとめ」という項目
から構成されています。項目ごとに5分程度のビデオ教材を視聴できるようになっており、視聴後、ビ
デオの内容に関連した問題が画面上に出てきます。学生は問題に解答し、すぐにその正誤及び解説を見
108
総会Ⅰ
ることができます。このように、ビデオ教材を視聴した後で問題を用意し、答えをすぐにフィードバッ
クできるよう教材を構成することで、学習内容の定着化を図ります。
委託事業の概要(2)
全体会Ⅰ
• Academic Commons For Education (ACE)
• オープンソースソフトウェアOpen edXによる
プラットフォーム
第1分科会
第2分科会
http://ace.iic.hokudai.ac.jp/ (教材視聴にはログインが必要)
16
以上、この北海道地区国立大学教養教育連携実施事業はスライド17のようにまとめることができます。
第3分科会
これから実際の授業がスタートするわけですが、学生のニーズに合った授業科目を提供する、円滑な双
方向遠隔授業を実施するなど、まだまだ山あり谷ありです。問題が起こったらどうしようとハラハラし
ている自分とワクワクしている自分がいます。いずれにしてもこの連携事業の成果について検証し、将
来ご報告させていただきたいと考えています。
全体会Ⅱ
まとめ
・単位互換制度に基づく教養教育の連携実施
-多様で効果的な授業の実施,教養教育の充実強化
総会Ⅱ
・遠隔授業を主体とした授業を実施
-双方向遠隔授業システムを設置した教室の整備,TA等授業支
援スタッフの育成,FD研修会の実施
参加者名簿
・新たな授業方法の開発
-オープン教材を活用した反転授業やアクティブ・ラーニング等の
開発
17
109
全体会Ⅱ 事例報告
以上で、私の講演を終わらせていただきます。ご清聴どうもありがとうございました。
質疑応答
Q:協力校との開講期・開講時間の調整はどのように行っているか?
A:いずれも原則として配信大学に従う。開講時間は履修しやすいように、例えば朝一限、昼一限、
午後の最後に入れる等の工夫をしている。
Q:遠隔授業に参加していない小樽商科大学の位置付けは?
A:現在は協力校だが、将来的には参加していただきたい。
Q:サーバーの価格、サーバー維持・管理費はどの程度か?
A:正確な数字は手元にないが、億単位ではないかと思われる。
Q:実際の授業は大学間でどのくらいズレがあるのか?
A:最大でも15分程度。旭川医大の場合は1コマが60分のため、2コマ続きの枠で対応する可能性
がある。
Q:試験は統一基準で行う一方、成績評価は各大学に任せるとしたのはなぜか?
A:大学によって評価方法が異なるためである。〇〇点満点の素点で出してもらい、各大学が自校
の基準で成績をつけることになる。
Q:所属大学の基準で成績をつけるということと、単位互換制の枠組みとの間に齟齬があるのではない
か。
A:その内容で合意したので、当面はこの体制で実施するが、今後の検討したい。
Q:提供できる授業を持ち寄った結果、同じような内容の授業が出たらどうするか?
A:連携教育機構で調整する。
Q:連携授業は「学生のニーズに合っている」というが、他大学から科目の要望があったらどうするか?
A:対応する努力をしたいと考えている。
Q:アクティブ・ラーニング教室が遠隔授業で使えるか?
A:人数が少数だと難しいが、各大学でグループができていれば可能だと思う。また大学をまたい
で異質の学生が論議できることに価値があるのではないかと考える。
Q:私立の短期大学では、人材面や予算面等から独自でFD研修を行うことは難しいため、地方の国立
大で開催する際に参加できると助かる。
A:連絡会議に諮ってみる。
110
総会Ⅱ
総会Ⅰ
総 会 Ⅱ
司会:帯広畜産大学 時岡 裕純
全体会Ⅰ
議長:福島大学 神子 博昭
1.開会
司会(時岡裕純委員)から、総会Ⅱの開会が告げられた。
第1分科会
2.次期当番大学の決定について
議長から、次期当番大学として山形大学の内諾を得ている旨の報告があり、承認された。
第2分科会
3.次々期当番大学の決定について
議長から、次々期当番大学として北海道教育大学の内諾を得ている旨の報告があり、承認された。
次期当番大学を代表して小田隆治先生(山形大学)から、次々期当番大学を代表して青山眞二先生
(北海道教育大学)から挨拶があった。
第3分科会
4.次期役員の決定について
議長から、次期役員として次のとおり提案があり、承認された。
委
員
長 山形大学 学長 小山 清人
副 委 員 長 山形大学 教育開発連携 須賀 一好
全体会Ⅱ
支援センター長
帯広畜産大学 理事・副学長 金山 紀久
会計監査員 山形大学 教授 小田 隆治
東北文教大学 教授 渡邉 孝男
北海道教育大学 教授 青山 眞二
総会Ⅱ
5.閉会
議長から、総会Ⅱの終了が告げられた。
参加者名簿
111
参加者名簿
2
3
北海道大学
北海道教育大学
小樽商科大学
4 旭川医科大学
5 北見工業大学
6 弘前大学
7
8
9
10
岩手大学
東北大学
山形大学
福島大学
11 札幌市立大学
12 名寄市立大学
13 札幌医科大学
14 青森県立保健大学
15 岩手県立大学
16
17
18
19
112
秋田県立大学
福島県立医科大学
天使大学
道都大学
職 名
氏名
教授
教授
教授
教授
教授
准教授
講師
教授
教授
特任講師
学務部教務課教務企画グループ
准教授
教授
教授
講師
教授
教授
准教授
教授
准教授
教授
教授
准教授
学務部長
教務企画課長
教務企画課主査
教授
講師
講師
地域教育文化学部 教授
理学部 教授
基盤教育院 教授
人文学部 教授
人文学部 教授
人文学部 准教授
COC 推進室コーディネーター
小白川キャンパス事務部教務課長
小白川キャンパス事務部教務課副課長
小白川キャンパス事務部教務課 係長
小白川キャンパス事務部総務課 係長
教育・学生支援部 学務課 係長
教育・学生支援部 学務課 係長
教育・学生支援部 学務課 教務補佐員
理事・副学長(教育担当)
教授
准教授
准教授
特任准教授
教務課 主査
講師
教授
准教授
准教授
センター長
准教授
准教授
准教授
講師
主事
主事
准教授
准教授
講師
講師
准教授
教授
教授
和田 博美
山田 義裕
西川 克之
青山 眞二
高橋 伸幸
作田将三郎
佐藤 淳一
中川 雅仁
中村 和雄
Komasinski Andrew James
酒井 清成
佐藤 雅浩
尾形 弘人
林 要喜知
Jennifer Claro
木村 宣美
中村 裕昭
田中 正弘
脇野 博
江本 理恵
松岡 勝実
菊池 孝美
寺崎 正紀
渡部 徹
山崎 義夫
大須賀和貴
羽田 貴史
張 立波
Silva Cecilia Noemi
小田 隆治
栗山 恭直
千代 勝実
渡辺 文生
是川 晴彦
鈴木 明宏
佐藤 和志
齋藤 秀昭
川上 豊
庄司由紀彦
五味 康信
上野 和男
鈴木 啓伸
尾形 睦
神子 博昭
垣見 隆禎
浅田 隆志
丸山 和昭
高森 智嗣
古関 英雄
松井 美穂
小古間甚一
山口 和彦
浅田 豊
佐々木民夫
伊東栄志郎
高橋 英也
熊本 哲也
佐々 智将
伊藤美希子
簗田 智子
渡部 昌平
宮本 雲平
安達 隆
末永 恵子
新井 英志
由水 伸
河野 善文
担
当
科
目
心理学
英語
英語
知的障害児の心理教育アセスメント
基礎情報
日本語学
器楽(管楽器)
物理学
美術
外国語(英語)
社会学Ⅰ・Ⅱほか
フランス語ほか
生命科学(一般生物学及び人類遺伝学)
英語
英語
英語
教養教育
○
情報
交換会
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
大学の歴史と現在
市民生活と法
現代社会と経済
物質の世界
○
○
○
○
○
基礎中国語、展開中国語
基礎スペイン語、展開スペイン語
生物学
化学
物理学
言語学、日本語学
理論経済学、公共経済学
ゲーム理論、意思決定論
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
ドイツ文学
地方自治法
環境衛生科学
専門職の社会学
高等教育論、大学評価論
英語等
英語、基礎演習
英語
教育と人間、調査と科学的方法他
○
○
○
○
○
○
○
英語、教養科目
英語、教養科目
フランス語、教養科目
英語
キャリア教育
数学
数学
人文社会科学
教職概論・化学
キャリア支援演習
スタートアップ演習
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
全体会
29日
29日
29日
○
○
○
○
○
○
第1
第2
第3
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
28日
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
28日
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
話題
提供
事例報告
第2
○
○
○
○
第2
○
○
○
○
○
○
○
○
第3
○
○
○
○
○
○
○
○
第2
第2
第1
第3
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
第1
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
第3
通番
1
大 学 名
委員
№
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
52
53
54
55
56
57
58
59
60
61
62
63
64
65
66
67
当
科
目
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
第3
話題
提供
○
○
○
○
○
第1
第2
第1
○
○
○
○
第3
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
第3
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
28日
28日
28日
28日
28日
28日
28日
○
○
○
○
○
第1
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
基調講演
記録
記録
記録
記録
記録
司会
記録
司会
司会
○
参加者名簿
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
第2
○
68
69
70
71
72
73
74
75
76
77
78
79
80
81
82
83
84
85
86
87
88
89
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
100
101
102
103
104
105
106
107
108
109
110
111
112
113
114
115
116
117
118
119
120
121
122
123
124
125
126
127
128
129
130
総会Ⅱ
生物学
全学農畜産実習ほか
哲学ほか
心理学ほか
体育実技ほか
ドイツ語会話ほか
教育原理、学校教育論、職業指導ほか
法学
体育実技ほか
文学、日本語表現論ほか
Call English Iほか
経済学概論ほか
Current English Iほか
English Iほか
English Iほか
スペイン語、中南米の言語と文化ほか
家畜栄養学Ⅰ
○
第2
全体会Ⅱ
○
○
○
○
○
○
第1
第3分科会
病害虫学、環境科学
エクステンシブ・リーディング、Geography(地理)
企業と経営・労働と経済
「経済と生活」等
統計学他
本学の教育
全体会
第2分科会
スタートアップ演習
情報機器操作、日本語表現 ○
中小企業論
○
国際経済論
○
健康・運動科学
○
経済学
英語、医療英語
○
英語
○
寄生虫病学、野生動物医学
資源管理論
○
理科教育法、教育実習、教育方法論
材料力学
○
災害看護学、国際看護学 ○
現代福祉と環境
○
教職
○
生涯学習論
○
社会心理学
○
政治学原論
○
ドイツ語、文化論
○
心の科学
キリスト教学 他
○
情報検索 他
○
情報倫理と知的財産 他
哲学的人間学特論、家政学原論Ⅰ、教育思想等 ○
自然科学(生物)、解剖生理学実験等
政治学・歴史
○
保育内容総論
食品衛生学
○
日本民俗学
英語
○
音楽
情報
交換会
第1分科会
青山 浩之
小杉 直美
山田 誠治
柳川 博
森田 勲
櫻井 潤
秋山 敏晴
竹内 典彦
浅川 満彦
押谷 一
山田 大隆
鈴木 寛
矢嶋 和江
高橋 栄幸
大内 悦夫
水谷 修
大江 篤志
松山 恒博
萩野 寛雄
松山 雄三
杉山 雅宏
新免 貢
依田 平
中林 幸子
石堂 常世
金子 依里香
石川 敬史
滝澤 真毅
石井 洋
岡庭 義行
吉田 稔 進藤 信子
金田かおる
田澤 央
福崎 覚
戸田有妃子
八谷 祐里
八谷 和彦
Kurt Ackermann
松木 靖
堤 静子
池田 展敏
阿部 正
長澤 秀行
金山 紀久
前田 龍一郎
小池 正徳
杉田 聡
渡邊 芳之
江刺家 邦彦
佐々木 洋子
平舘 善明
岡崎 まゆみ
村田 浩一郎
柴口 順一
時岡 裕純
楠田 尚史
Marshall Smith
Glen Hill
David Campbell
Romero Hoshino Isami
西田 武弘
髙見 守亮
小田 賢一
大瀧 恵二
夏井 恵太
担
全体会Ⅰ
准教授
教授
教授
教授
教授
講師
24 北海道科学大学 教授
25 北海道情報大学 教授
26 酪農学園大学
教授
教授
教授
基礎教育研究センター長・教授
27 八戸工業大学
28 弘前医療福祉大学 教授
29 富士大学
教授
30 仙台大学
教授
31 東北学院大学
教授
教授
32 東北生活文化大学 教務主任
33 東北福祉大学
教授
34 東北薬科大学
教授
准教授
35 宮城学院女子大学 教 授
36 東北文教大学
准教授
講師
37 郡山女子大学
副学長・教授
講師
38 東京理科大学
講師
39 帯広大谷短期大学 教職課程委員長、准教授
教務委員長、准教授
副学長(教育研究担当)、教授
40 釧路短期大学
教授
教授
教務・学生課長
教務・学生課 係長
教務・学生課 主事
教務・学生課 助手
教務・学生課 助手
41 拓殖大学北海道短期大学 教授
42 北星学園大学短期大学部 専任講師
43 北海道武蔵女子短期大学 准教授
44 八戸学院短期大学 准教授
45 東北生活文化大学短期大学部 教授
46 福島学院大学短期大学部 教授
47 帯広畜産大学
学長
理事・副学長
基盤教育主任・教授
教育支援室長・教授
人間科学研究部門・教授
人間科学研究部門・教授
人間科学研究部門・准教授
人間科学研究部門・准教授
人間科学研究部門・准教授
人間科学研究部門・講師
人間科学研究部門・助教
人間科学研究部門・教授
人間科学研究部門・教授
人間科学研究部門・准教授
人間科学研究部門・准教授
人間科学研究部門・講師
人間科学研究部門・講師
人間科学研究部門・講師
畜産衛生学研究部門・准教授
学務課長
学務課課長補佐
学務企画係長
学務企画係員
20 北翔大学
21 北海学園大学
22 北海商科大学
23 北海道医療大学
氏名
総会Ⅰ
職 名
通番
大 学 名
委員
№
113
東北・北海道地区大学等高等・共通教育研究会会則
(名 称)
第1条 本会は、東北・北海道地区大学等高等・共通教育研究会と称する。
(事務所)
第2条 本会は、その事務所を委員長の所属する大学または短期大学内に置く。
(目 的)
第3条 本会は、大学及び短期大学における高等教育並びに共通教育に関する研究を行うことを目的と
する。
(事 業)
第4条 前条の目的を達成するために次の事業を行う。
1 研究会の開催
2 資料の交換
3 その他の事業
(組 織)
第5条 本会は、東北・北海道地区所在の大学及び短期大学をもって会員とする。
ただし、大学が短期大学を置く場合は、それぞれ独立した会員となることができる。
第6条 本会は、毎年1回総会を開き、重要な事項の報告及び審査を行う。
第7条 本会は、総会の決議により部会及び分科会を置くことができる。
第8条 本会会員である各大学及び短期大学に1名以上の委員を置く。委員は会務の運営にあたる。
2 委員長1名、副委員長2名及び会計監査員3名は、総会においてこれを定める。
3 委員長は、委員の中から庶務委員、会計委員若干名を委嘱する。
4 委員の任期は1年とする。ただし、再任を妨げない。
(会 計)
第9条 本会の経費は、会費及びその他の収入をもってあてる。
2 会費は、年額15,000円とし、毎年総会の当日までに納入するものとする。
3 会計年度は、毎年4月1日に始まり、翌年3月31日に終る。
(雑 則)
第10条 本会に顧問を置くことができる。
第11条 本会則の変更は、総会の議を経なければならない。
付 則
この会則の一部改正は、昭和48年9月13日から施行する。
付 則
この会則の一部改正は、昭和53年4月1日から施行する。
付 則
この会則の一部改正は、昭和63年4月1日から施行する。
付 則
この会則の一部改正は、平成4年4月1日から施行する。
付 則
この会則の一部改正は、平成7年4月1日から施行する。
付 則
この会則の一部改正は、平成23年4月1日から施行する。
114
総会承認事項
第51回研究会総会承認事項
1 当面の本研究会の実施方法等を協議するための組織として、幹事大学会議を設定すること。
2 その幹事大学会議への参加大学として、前年度、当該年度、次期及び次々期の当番大学とすること。
3 この会議に参加する大学を明確にするため、次々期の当番大学についても、総会において提案すること。
第52回研究会承認事項
「全体会・分科会等における質疑応答等の討論時間の確保」に関して
委員会・総会については、可能な限り事前の書面協議・資料配付を行う等の工夫により時間短縮を図り、
全体会・分科会における質疑応答等実質的な討論時間をできるだけ多く確保する。
1 委員会について
委員会の開催については、研究会当日は行わず、書面協議で行う。具体的には、次のとおりとする。
(1)当番大学は、研究会開催通知と併せて委員会資料を会員大学へ送付する。
(2)会員大学は、会則に基づき1名の委員を選出し、委員において、意見・要望等がある場合は、研究会
申込みと同時に当番大学に提出する。
(3)提出された意見・要望等については、当番大学の判断により実施計画上可能な範囲で当該年度に反映
させるが、できないものについては、次年度に引き継ぐ。
2 総会Ⅰ・Ⅱについて
これまで総会の中で行ってきた内容については、儀式的な要素はあるものの、研究会等開催における一般
通念上必要な事項であり、基本的にこれまで同様に行うことが適当である。
また、総会Ⅰ・Ⅱを一本化してはとの意見があるが、研究会開催前に行うべき事項、研究会終了後に行う
べき事項があり、特に、総会Ⅱについては、研究会を終えて次年度以降に向けての意見等を出してもらう場
としても必要であり、総会Ⅰ・Ⅱを一本化することはできない。
ただし、時間短縮の観点から、総会Ⅰにおける庶務・会計報告及び会計監査報告については、研究会開催
通知時に事前に資料を配付し、当日は、総会次第には盛り込むが、改めて報告することはせず、質問・意見
等があれば出してもらう程度にとどめるものとする。
第59回研究会総会承認事項
「高等専門学校の研究会への参加」に関して
高等専門学校は、本会会則においては会員とはなっていないが、当番大学は、研究会の開催について、東
北・北海道地区所在の高等専門学校に通知し、参加を希望する教員等がいる場合は、研究会への参加を認める。
第60回研究会総会承認事項
「東北・北海道地区大学一般教育研究会の名称変更」に関して
東北・北海道地区大学一般教育研究会会則第1条に定める本会の名称「東北・北海道地区大学一般教育研
究会」を「東北・北海道地区大学等高等・共通教育研究会」に改める。
また、名称の変更に伴い、会則も「東北・北海道地区大学等高等・共通教育研究会会則」と改め、条項に
ついても齟齬の無いよう変更する。
115
東北・北海道地区大学高等・共通教育研究会開催開催大学一覧
116
回数
年度
01
昭和26
02
開催大学名
回数
年度
開催大学名
山形大学
33
昭和58
福島大学
昭和27
山形大学
34
昭和59
北海道教育大学
03
昭和28
北海道大学
35
昭和60
秋田大学
04
昭和29
東北大学
36
昭和61
北海道教育大学
05
昭和30
弘前大学
37
昭和62
山形大学
06
昭和31
福島大学
38
昭和63
札幌大学
07
昭和32
岩手大学
39
平成元
東北大学
08
昭和33
北海道学芸大学
40
平成2
北見工業大学
09
昭和34
秋田大学
41
平成3
弘前大学
10
昭和35
帯広畜産大学
42
平成4
小樽商科大学
11
昭和36
山形大学
43
平成5
岩手大学
12
昭和37
室蘭工業大学
44
平成6
北海道大学
13
昭和38
東北大学
45
平成7
秋田大学
14
昭和39
小樽商科大学
46
平成8
北海道教育大学
15
昭和40
弘前大学
47
平成9
福島大学
16
昭和41
北海道大学
48
平成10
北星学園大学
17
昭和42
東北学院大学
49
平成11
山形大学
18
昭和43
北海道教育大学
50
平成12
帯広畜産大学
19
昭和44
福島大学
51
平成13
東北大学
20
昭和45
札幌医科大学
52
平成14
北海道教育大学
21
昭和46
岩手大学
53
平成15
東北学院大学
22
昭和47
北見工業大学
54
平成16
小樽商科大学
23
昭和48
秋田大学
55
平成17
岩手県立大学
24
昭和49
北海道教育大学
56
平成18
北海学園大学
25
昭和50
山形大学
57
平成19
弘前大学
26
昭和51
帯広畜産大学
58
平成20
北海道大学
27
昭和52
東北大学
59
平成21
岩手大学
28
昭和53
室蘭工業大学
60
平成22
札幌大学
29
昭和54
弘前大学
61
平成23
秋田大学
30
昭和55
小樽商科大学
62
平成24
酪農学園大学
31
昭和56
岩手大学
63
平成25
福島大学
32
昭和57
北海道大学
64
平成26
帯広畜産大学
東北・北海道地区大学高等・共通教育研究会開催開催テーマ一覧
第58回(2008年開催)
第59回(2009年開催)
当番大学
北海道大学
岩手大学
全体テーマ
新たな学士課程教育の構築
学士課程教育の構築と一般教育:何のための学士力か
基調講演
新たな学士課程教育の構築-FDの義務化をめぐって-
筑波大学 特任教授 小笠原正明
「キー・コンピテンシー」
(OECD) が「学士力」に示唆するもの
大阪大学大学院人間科学研究科 教授 平沢安政
分科会1
初年次教育・導入教育・キャリア教育
授業の質を高める努力
話題提供1
中教審報告「学士課程の構築に向けて(審議のまとめ)
」における
《教養教育》の位置づけをめぐって
八戸工業大学 松浦勉
畑から人の健康を学ぶ
−食品科学科「食と健康論」の実践から−
酪農学園大学 岡本吉弘
話題提供2
北海道工業大学における「学習支援室(数学)」の取り組み
北海道工業大学 総合教育研究部 木村信行
学生主体型授業の創造−授業改善から授業開発のFDへ−
山形大学 酒井俊典、杉原真晃、栗山恭直、佐藤慎也、小田隆治
話題提供3
東北大学のキャリア教育の取り組み
-全学教育「ライフ・キャリアデザイン」-
東北大学 高等教育開発推進センター 千葉政典
授業評価等による授業改善の取組
富士大学 高橋榮幸
話題提供4
北海道大学における初年次学生に対する英語オンライン授業の試み
北海道大学 大学院メディア・コミュニケーション研究院 土永孝
能動的生産者としての学生を育成する-山形大学教養教育科目
「なせば成る!〜大学生活事始め〜」における3つの PBL -
山形大学 高等教育研究企画センター 杉原 真晃
話題提供5
理科実験による導入教育の展開
-理系及び文系学生向けの「自然科学総合実験」-
東北大学 高等教育開発推進センター 関根勉 田嶋玄一
小林弥生 猪股歳之/大学院理学研究科 須藤彰三
教養基礎教育授業評価における形成的評価
秋田大学 教育推進総合センター 細川和仁
分科会2
高大連携・地域連携・国際連携
授業改善を目指す組織的取組
話題提供1
「世代間交流」を軸とした高大連携・地域連携
小樽商科大学 岡部善平
専門科目連携を目指す看護学部FD研修会の取り組み
札幌市立大学看護学部 大野夏代、保田玲子、松浦和代
話題提供2
山形大学の挑戦
-大学連携「山形大学エリアキャンパスもがみ」における学びの分析-
山形大学 杉原真晃 小田隆治 山際良弘
大学間連携による授業改善ビデオの作成と活用
山形大学 小田隆治、杉原真晃/静岡大学 佐藤龍子
/東京工芸大学 大島武/北星学園大学 田実潔
話題提供3
推薦及びAO入試による入学予定者を対象とした入学前教育の試み
岩手大学 大学教育総合センター 江本理恵
岩手大学人文社会科学部
「イーハトーブ・ミニマム・プログラム」の取組
岩手大学 五味壮平
話題提供4
酪農学園大学における自作クリッカーシステムによる授業
北海道大学 山田邦雄
東北大学全学教育の課題検討 PDCA サイクルと「課題解決型」FD
東北大学 関内隆
話題提供5
情報教育に関する高大連携の取り組み
札幌学院大学 皆川雅章
3年目を迎えた「基礎ゼミナール」
(工学部の事例報告)
岩手大学 藤代博之
分科会3
検証・改善・研修
初年次教育における授業の工夫
話題提供1
札幌市立大学(新設大学)におけるFD活動報告
-デザイン学部・看護学部協同による全学FD、および学部FD実践-
札幌市立大学 デザイン学部 城間祥之、吉田恵介、望月澄人、矢部
和夫、三谷篤史、片山めぐみ/看護学部 松浦和代、大野夏代、髙室
典子、保田玲子
酪農学園大学「初年次教育を考える会」の取組み
酪農学園大学 大和田秀一
話題提供2
学生との協働によるFDワークショップの実施
秋田大学 教育推進総合センター 細川和仁
理数系少人数教育のための e‑Learning システムの開発
-ポータブルゲーム機を用いた実験実習支援システム-
東京理科大学 竹内謙
話題提供3
学生参加型のFDワークショップ-効果的な授業シラバスの作成-
弘前大学 木村宣美
初年次での自然科学系教科における
リメディアル教育カリキュラムの編成と実践
岩手医科大学 共通教育センター 中島理、三枝聖、小松真、
寒河江康朗、岩渕玲子、八島洋一/総合情報センター 齊藤匡俊
話題提供4
大学間連携FDネットワーク“つばさ”
-地域から全国規模の教育改善へ-
山形大学 酒井俊典 杉原真晃 小田隆治
スタートアップセミナーと基幹科目を軸にした初年次教育の改革
山形大学 立松潔
話題提供5
学生応答システム“クリッカー”による双方向性授業
北海道大学 大学院理学研究院 鈴木久男
医療系総合大学における初年次教育:
3つの教育機能の効率的調和をめざして
岩手医科大学 共通教育センター 松政正俊、高橋敬、佐藤洋一
単位の実質化-小レポートと学習の記録を用いた一つの試み-
北海道大学 大学院文学研究科 教授 新田孝彦
大学間連携の時代とESD-北欧の取組にも触れて-
岩手大学 理事・副学長 玉真之介
フィンランド オーボアカデミー大学
生涯教育センター所長 ポーラ ・ リンドローズ
話題提供6
話題提供7
話題提供6
話題提供7
話題提供6
話題提供7
事例報告
117
第60回(2010年開催)
118
第61回(2011年開催)
当番大学
札幌大学
秋田大学
全体テーマ
学士力はどのように保証されるか
学士課程教育における教養教育の意義を問う
基調講演
「学士力保証と共通教育」
~地方都市にある中規模私立大学の改革の取り組み~
札幌大学 学長 宮腰昭男
「学士課程教育における教養教育の位置と意義:再考
-「政策」
「カリキュラム」
「学生の能力」の視点から-
立教学院 本部調査役 寺﨑昌男
分科会1
学生の自律性を育む取組
高校と大学の接続性に着目した取組
話題提供1
山形大学における到達目標を明確にした自己実現システム
山形大学 中島勇喜 松田岳士 蜂屋大八
秋田県立大学の初年次英語教育:特に CALL 教室の利用について
秋田県立大学 総合科学教育 研究センター 高橋守
話題提供2
北海道大学における学生の自律性育成プログラム
北海道大学 教育担当役員補佐 大学院工学研究院 近久武美
入試「小論文」の答案分析を媒介としての高大連携のあり方の再検討
旭川医科大学 藤尾均
話題提供3
千葉科学技術大学における
「自ら成長する教養人の育成支援プログラムの取り組み」
千葉科学技術大学 角田敦
「移行」から見た教養教育の再構築
山形大学 基盤教育院 杉原真晃
話題提供4
学生参加型FD活動について
~学生FD委員会による主体的取り組み~
札幌大学 梶浦桂司
プレゼンテーション学習の動機づけ
~ビデオ制作と試行~
北海道情報大学 経営情報学部 先端経営学科 穴田有一
話題提供5
山形大学の挑戦 学生・教員の自律性を重視する
「学生主体型授業開発共有化FDプロジェクト」
山形大学 基盤教育院 杉原真晃
推薦及びAO入試合格者を対象とした入学前教育の試み
岩手大学 江本理恵
話題提供6
~『選択』から『主張』へ~
次世代型クリッカーへの取り組み
北海道大学 山田邦雅
話題提供7
自律的な学生プロジェクト「理科工房」の活動を通した学生教育
千葉科学技術大学 総合光科学部 長谷川誠
分科会2
他者・異者と協力する力を育む取組
学習や教育課程の充実に着目した取組
話題提供1
地域医療支援を目指した他職種連携学部一貫教育
札幌医科大学 医療人材育成センター 教育開発研究部門 苗代康可
山形大学における到達目標を明確にした自己実現システムの進捗状況
山形大学 長沼将一、石橋嘉一、松田岳士
話題提供2
岩手大学における高大連携事業の課題
岩手大学 大学教育総合センター 山崎憲治
教養教育の改革における「外部評価」
秋田大学 高野篤子
話題提供3
臨床能力を育む地域体験型学習とその支援
北海道薬科大学 島森美光
仙台大学における新教養教育について
仙台大学 大内悦夫
話題提供4
地域の人たちと交流する現地体験宿泊型授業
-山形大学「エリアキャンパスもがみ」の試み-
山形大学 高等教育研究企画センター 小田隆治、杉原真晃、酒井俊典
酪農学園大学における理解度調査と学習支援室の現状
酪農学園大学 丸山明
話題提供5
The Elusive Goal of Academic Internationalization
帯広畜産大学 Ryuichiro Maeda, Marshall Smith, David Campbell
The ALL Rooms(英語自律学習設備)による学生の自律学習の促進
秋田大学 Joe Sykes, Yo Hamada
話題提供6
東北大学・全学教育における武道教育の実践
東北大学 高等教育開発推進センター 藤本敏彦
話題提供7
札幌大学ウレシパ・プロジェクトについて
札幌大学 文化学部 本田優子
分科会3
学生のリテラシーを高める取組
大学と社会の接続性に着目した取組
話題提供1
質保証を志向した情報リテラシー教育システム構築の試み
札幌大学 副学長 大森義行
地域と連携するキャリア科目の開発
岩手大学 玉真之介、中村謙一
話題提供2
大学間連携による自然科学実験の実施と科学リテラシー育成の試み
北海道大学 小野寺彰、佐藤久志、池田昌隆、細川敏幸、
/北海道薬科大学 中野善明/札幌医科大学 松嶋範男
東北大学における進路決定後支援プログラム
東北大学 千葉政典
話題提供3
大教室でのリテラシー教育の可能性:
札幌学院大学「論述・作文」科目の事例
札幌学院大学 山越康裕、白石英才
大地連携による初年次教育
「フィールドワーク」の教育成果と地域貢献
山形大学 渡邊真弓、佐藤友美子、小田隆治
話題提供4
学生と“デジタル社会のリテラシー”を探求する
-山形大学基盤教育科目:情報環境・学習環境デザイン論Ⅰの試み-
山形大学 酒井俊典
大学と校友の「相互支援関係」を考える
「卒業生サービス」の意義と課題
岩手大学 大川一毅
話題提供5
大人数グループワーク科目は初年次生に何をもたらすか?
-初年次教育とキャリア教育の両立を目指す試み-
小樽商科大学 教育開発センター 辻義人
日本語リテラシー・元新聞記者が教壇に立つと
秋田大学 高橋康弘
話題提供6
北海道大学における初年次学生の主体的学習を支援する活動
北海道大学 高等教育推進機構 アカデミック ・ サポートセンター 斉藤準
話題提供7
「札幌大学スタンダード」(共通科目)の基本方針と概略
札幌大学 外国語学部 鈴木淳一
事例報告
関東学園大学におけるコンピテンシー教育
関東学園大学 経済学部 教授 瀧上豊
全学基礎教育課程『武蔵野 BASIS』について
武蔵野大学 教養教育部 准教授 北條英勝
社会連携センター 事務部長 遠山久敬
第62回(2012年開催)
第63回(2013年開催)
当番大学
酪農学園大学
福島大学
全体テーマ
誰のための学士課程教育か?
-学生・教職員・大学それぞれの自己実現の観点から-
高等教育における主体的な学びを求めて
基調講演
高いキャリア意識が学習を促し、就業パフォーマンスを規定する
京都大学高等教育研究開発推進センター
准教授 溝上慎一
「東日本大震災と若者達の学び・挑戦」
福島大学 人間発達文化学類 教授 三浦浩喜
分科会1
学生の自己実現を支援する取組み(学習・学生支援)
学生が「自ら学ぶ授業」
話題提供1
東北大学における全学教育学習支援プロジェクト
- SLA(スチューデント・ラーニング・アドバイザー)システム-
東北大学 足立佳菜、鈴木学、関内隆
演習授業による学習意欲の向上の試み
秋田県立大学 廣田千明
話題提供2
北海道大学における初年次学生への修学支援と学習支援
北海道大学 高等教育推進機構 日吉大輔
学生の“自分心”を鍛える実践
東北薬科大学 杉山雅宏
話題提供3
多様化した学生にやる気を出させる多様な学習支援の試み
北海道情報大学 経営情報学部先端経営学科 穴田有一
初年次ゼミの開講 ―会津大学の取組み
会津大学 青木滋之
話題提供4
話酪農学園における学習支援室に対する意識調査
酪農学園大学 丸山明、小糸健太郎、
社会調査実習履修生(武藤洋史、木村敦、小島健太)
北海道情報大学における数学リメディアル教育の取り組み
北海道情報大学 森山洋一
話題提供5
講義の中で実践できるささやかな学生支援活動を模索して
東北薬科大学 杉山雅宏
自律的学習組織の形成を目的とした授業「生活環境科学入門」の工夫
山形大学 小田隆治
話題提供6
学生の自己実現を支援する教養教育の在り方の検討
山形大学 基盤教育院 杉原真晃
「国際共修ゼミ」の開設とその成果
東北大学 佐藤勢紀子
分科会2
大学の自己実現を目指す取組み
※合同開催 学生の自己実現を支援する取組み(英語教育)
主体的な学修を促す環境
話題提供1
薬剤師養成のための ESP プログラム構築へ向けて
-北海道の地域医療をになう薬剤師養成の一環としての
北海道薬科大学英語教育-
北海道薬科大学 山田惠、大野拓恵
課外活動支援と学生の実践体験
東京理科大学基礎工学部 高井 茂
話題提供7
International Cooperation Studies Unit at Obihiro University of Agriculture and
話題提供2 Veterinary Medicine: Fostering international understanding and community
帯広畜産大学 Marshall T.S. Smith
企業・社会情報提供の効果と課題(学年による効果の違い)
秋田県立大学 渡部昌平
話題提供3
東日本広域圏の大学間連携「FDネットワーク“つばさ”
」の重層化に
よる教育改善の取り組み
山形大学 地域教育文化学部 小田隆治
基礎演習を中心とした建学の精神の体得
酪農学園大学 押谷 一
話題提供4
共通化による多様性の追求:
1学群13専攻と女子短期大学部の新たな可能性
札幌大学・札幌大学女子短期大学部 山田玲良
山形大学小白川キャンパスにおける修学サポート環境
山形大学 栗山恭直/橋爪孝夫/時任隼平
話題提供5
教学IRシステムの活用
北海道大学 高等教育推進機構高等教育研究部 細川敏幸
福島大学附属図書館における自律的学習支援
福島大学 門間泰子
話題提供6
基盤教育の振り返りを全学的に行うしくみ-1年次の進級認定会議から- 遊休農地を活用した地域連携による主体的な学修の促進
酪農学園大学 山舗 直子
福島大学 塩谷弘康
話題提供7
分科会3
教職員の自主的な取組みと、それを促す取組み
※合同開催 学生の自己実現を支援する取組み(地域連携)
学修成果の「見える化」
話題提供1
獣医学部生による市民への保全医学啓発活動の実践
酪農学園大学 獣医学群 感染・病理学分野 浅川満彦
岩手大学における「学位授与の方針」
「教育課程編成・実施の方針」の
策定について
岩手大学 江本理恵
話題提供2
東北大学バレーボール連盟主催による審判講習会
及び JVA 公認審判員審査会
-生涯スポーツ参加への自発的な取組みの支援-
東北薬科大学 佐々木克之
FDネットワーク“つばさ”プロジェクトにおける学修成果の「見える化」
山形大学 杉原真晃
話題提供3
「バリアフリー映画上映会開催事業による自己実現」発表報告
秋田県立大学 渡部諭
弘前大学における基礎ゼミへのラーニング・ポートフォリオ導入の試み
弘前大学 田中正弘
話題提供4
地域における学生の学びから
北海道教育大学旭川校 小出高義
ふくしまの未来を拓く「強い人材」づくり共同教育プロジェクトの取組
福島大学 高森智嗣
話題提供5
リアルタイム添削授業の実現に向けて
北海道大学 山田邦雅
学類広報活動における主体的学習の可視化の取り組み事例
福島大学 上野山達哉
話題提供6
教職課程演習「北海道技術文化史」の実践と学士力形成
酪農学園大学 教職センター 山田大隆
話題提供7
事例報告
初年次教育における教育目標をめぐる問題
~法政大学『基礎ゼミ』の実践例を通して~
法政大学 教授 藤田哲也
「GPA, IRからチューニングへ - 一橋大学の事例から」
一橋大学 大学教育研究開発センター 教授 松塚ゆかり
119
第64回東北・北海道地区大学等高等・共通教育研究会 運営組織
◆委
員
長 帯広畜産大学 学長 長澤 秀行
◆副 委 員 長 福島大学 理事・副学長 神子 博昭
帯広畜産大学 理事・副学長 金山 紀久
◆委
員 各大学から1名
◆会計監査員 帯広畜産大学 准教授 楠田 尚史
帯広大谷短期大学 学長 田中 厚一
山形大学 教授 小田 隆治
◆準備委員会(帯広畜産大学)
◇委
員
長 理事・副学長 金山 紀久
◇副 委 員 長 基盤教育主任 前田龍一郎
◇庶 務 委 員
人間科学研究部門 杉田 聡 渡邊 芳之 江刺家邦彦
佐々木洋子 平舘 善明 岡崎まゆみ
村田浩一郎 柴口 順一 時岡 裕純
楠田 尚史 Marshall Smith Glen Hill
David Campbell Romero Hoshino Isami
教 育 支 援 室 小池 正徳 加藤 清明 松井 基純
河合 正人 橋本 靖 木下 幹朗
耕野 拓一
◇会 計 委 員 柴口 順一 村田浩一郎 杉田 聡
◆事務局(帯広畜産大学) 事
務
局
長 多田 晴観
教育研究支援部長 野並 雅章
学
務
課
長 髙見 守亮
学 務 課 長 補 佐 小田 賢一
学 務 課 長 補 佐 大橋 穣
学 務 企 画 係 長 大瀧 恵二
学 務 企 画 係 員 夏井 恵太
120
第 6 4 回 東 北・北 海 道 地 区 大 学 等
高 等・共 通 教 育 研 究 会 研 究 集 録
平成27年2月1日発行
第64回東北・北海道地区大学等高等・共通教育研究会
委員長(帯広畜産大学長)長澤 秀行
連絡先:〒080-8555 北海道帯広市稲田町西2線11番地
帯広畜産大学 学務課 学務企画係
TEL : 0155-49-5293 FAX : 0155-49-5319
E-mail : [email protected]
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