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中世ヨーロッパの祝宴(発表要旨)
中世ヨーロッパの祝宴(発表要旨) 山代宏道: 中世ヨーロッパにおける祝宴 ― バイユー=タペストリーの事例から ― 祝宴を「多数の人々が集合して,多様な要素を共有しながら,それを楽しむ場であり, また,そのための機会」と定義するなら,バイユー=タペストリーが,聖俗にかかわらず, そうした場を提供したことを明らかにする。 水田英実: 中世ヨーロッパにおける祭りと宴 ― ミサ聖祭の場合 ― ヨーロッパ中世における祝宴として,教会で行われるミサ聖祭を取り上げる。教会は復 活の秘儀を祝うためにともに集まることを欠かさなかったと言われるからである。ミサ中 の聖体祭儀におけるパンとぶどう酒の拝領について考察する。 原野 昇: フランス中世文学にみる祝宴 文学作品のなかで祝宴の場面がどのように描かれているか,それは作品全体のなかでど のような効果を発揮しているかを,宮廷風騎士物語を中心に具体的な作品をとり上げてみ ていく。 中尾佳行: ヨーロッパ中世における祝宴 ― ガウエイン詩人とチョーサーに見る祝宴と罠 ― 『ガウエイン卿と緑の騎士』とチョーサーの『トロイラスとクリセイデ』にある宴会は, 一見楽しい会に見せられてはいるが,そこには罠がしかけられ,物語の中での重要な転換 点になっていることを明らかにしたい。 地村彰之: チョーサーの酒と『カンタベリー物語』 ― ワインとエールを中心に ― 『カンタベリー物語』の中で使われている酒に関する表現を調べる。『カンタベリー物 語』「総序の詩」で扱われている酒を含めた食卓,物語における酒の表現,物語全体の中 での酒の役割について見ていきたい。