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隔年交互結実栽培は点滴かん水同時施肥により施肥

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隔年交互結実栽培は点滴かん水同時施肥により施肥
佐賀県研究成果情報
(作成
平成19年7月)
隔年交互結実栽培は点滴かん水同時施肥により施肥量を50%削減できる
[要約]青島ウンシュウにおける隔年交互結実栽培の結実年において、点滴かん水同時施肥によ
り、結実年の生育期間中窒素量を慣行の50%まで削減しても果実品質、収量は変わらない。
佐賀県上場営農センター・研究部・畜産果樹研究担当
部会名
上
場
営
農
専門
果
連絡先
樹
0955-82-1930
対象
温州みかん
[背景・ねらい]
隔年交互結実栽培は遊休年に樹勢回復、強化を図り、結実年に高品質な果実を生産するため充分量
の果実を着果させる栽培法である。この栽培法では結実年に強い水分ストレスを樹体に付与し、高糖
度な果実を生産することが可能となる。また、この栽培法の利点に遊休年と結実年を明確に区分する
ため、省力化に取り組みやすいことが挙げられる。しかし、結実年の省力化は進んでいない状況であ
る。
そこで、結実年に点滴かん水同時施肥をおこなうことにより軽労働化が図れ、根圏へ集中的に供給
することによる減肥の可能性について検討した。
[成果の内容・特徴]
1.葉色は30%削減で慣行と同程度で推移するが、50%削減ではやや低く推移する。(図1)。
2.葉中窒素濃度は6月から12月までいずれの時期も慣行より高く推移する(図2)。
3.土壌中の硝酸態窒素は30%削減で慣行と同等、50%削減で低く推移する(表1)。
4.50%削減は慣行施肥と糖度、酸度にほとんど差がなく、収量の低下もみられない(表2)。
[成果の活用面・留意点]
1.点滴チューブの目詰まり防止のために、点滴施肥後に10L/樹程度通水する。
2.即効性泡状高度化成肥料の溶解は粒がほとんどなくなるまで丁寧に行う。
3.この技術は上場地域の玄武岩土壌に適用できる。
[具体的データ]
90
3.0
70
2.5
T−N(%)
葉色(SPAD)
80
60
50
2.0
点滴施肥30%削減
点滴施肥30%削減
点滴施肥50%削減
12
月
11
月
9月
10
月
8月
7月
12
月
20
06
年
6月
11
月
9月
10
月
8月
7月
11
月
20
05
年
6月
9月
10
月
8月
7月
20
04
年
6月
40
点滴施肥50%削減
有機配合慣行量
1.5
7月
8月
9月
10月
11月
12月
有機配合慣行量
第2図 葉中窒素濃度の推移(2005年)
第1図 隔年交互結実栽培における点滴施肥の葉色推移
点滴かん水装置および施肥条件
①点滴かん水装置:K社製重力式PVチューブ、25cm ピッチ、4 穴/樹。
②点滴区:遊休年は有機配合肥料(NPK=12:10:8、商品名:みかん美人 1 号)の通常施肥、結実
年は2月から即効性泡状高度化成肥料(NPK=16:16:10、商品名:アサヒマイクロポーラス)の点滴施肥。
2月下旬から6月下旬まで約 20 日間隔で7回、一回に 10 a当たり窒素量を 30%削減 2.1kg、50
%削減 1.5kg とし、施肥かん水量は 20 L/樹。
③慣行量区:有機配合肥料( NPK=12:10:8)の通常施肥、春肥を2月下旬に 10 a当たり窒素量
で 12kg、夏肥を5月下旬に 6kg 施用。かん水は2月から7月まで約 20 日間隔で充分量散水。
④すべての処理において7月以降はマルチを被覆し、収穫まで無かん水。
第1表 土壌中の硝酸態窒素の推移 (2006年)
施肥窒素量 2月23日 2月27日
点滴施肥30%削減
20kg
LO
0.6
点滴施肥50%削減
15kg
LO
1.9
有機配合慣行量
30kg
0.7
2.1
5月22日
3.8
2.0
4.1
7月3日 11月16日
2.8
1.9
2.1
1.1
4.1
1.7
硝酸態窒素濃度 mg/100g
測定法 RQフレックス
点滴施肥開始直前(2月23日)、以後は点滴直後(7月まで)、収穫前(11月)
採土地点は点滴孔より30cm離れた、深さ10cmの地点
第2表 隔年交互結実栽培における点滴施肥が果実品質と収量に及ぼす影響
2004年 2005年 2006年 酸度 収量(樹/kg) 糖度
酸度 収量(樹/kg)
糖度
酸度 収量(樹/kg) 糖度
点滴施肥30%削減
12.1 0.87
70.6 12.2b
0.92
109.5a 12.4
0.92
75.3a
点滴施肥50%削減
12.9a
0.95
100.6a 12.9
0.92
65.5a
13.1 0.90
44.6 13.4a
1.06
72.5b 12.5
1.13
20.0b
有機配合慣行量y
z
**
NS
**
**
NS
**
NS
NS
**
有意差
y :連年結実栽培
:Fisherの最小有意差法により異符号間に**:1%水準で有意差あり,NS:有意差なし
z [その他]
研究課題名:上場土壌の特長を生かした完熟みかん生産技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2003∼2007年度
研究担当者:中島貞彦、岩城雄飛
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