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自然の克服から適応へ - 東北大学 生態適応グローバルCOE

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自然の克服から適応へ - 東北大学 生態適応グローバルCOE
生態適応グローバルCOEホームページ
http://gema.biology.tohoku.ac.jp
詳しくは下記へお問い合わせください。
東北大学大学院
自然の克服から適応へ
生命科学研究科
生態適応グローバルCOE支援室
〒980-8578 仙台市青葉区荒巻字青葉6-3
TEL: 022-795-3637 FAX: 022-795-3638
e-mail: [email protected]
東北大学 生態適応グローバルCOEの活動概要
GCOE
この印刷物は、
グリーン基
準に適合した印刷資材を
使用してグリーンプリンテ
ィング認定工場が印刷し
た環境配慮製品です。
Tohoku University Ecosystem Adaptability Global COE
2011.1.2000
Tohoku University Ecosystem Adaptability Global COE
生態系や生物が本来持つ力を活かす
産業革命以来、
人類は自然をコントロールし、
その脅威を克服することを人類の進歩としてきまし
た。
しかし今、
温暖化や人間の活動そのものによって地球環境が変化し、
重大な問題が起きて
います。
資源をもたらし、
気候を調整するといった自然のめぐみ
(生態系サービス)
が低下してい
るからです。
2010年10月、
名古屋において生物多様性条約第10回締約国会議(CBD-COP10)※1が開
Research
Education
生態適応科学の確立
生態環境人材の育成
研 究
育 成
研究基盤体制
基
教育体制
基盤教育
プログラム
社会
システム
礎
先端研究者
育成プログラム
保全技術
PEM育成
プログラム
環境機関
コンソーシアム
持続可能な利用、
また遺伝資源のアクセスと利益配分(ABS)
を目的として、
先進国と途上国
間との激論の末、ABSに関する名古屋議定書ならびに2020年までの戦略目標「陸域17%、
海域10%の保護地域を設ける」などを含む愛知ターゲットが採択されました。
この目標を達成するためには、
企業をはじめとし、
あらゆる組織が生態系サービスの恩恵と影響
について自らのリスク回避と資源戦略としてとらえ積極的に行動すること、
と同時に科学者にはそ
の行動の基礎となる研究開発、
および評価手法の開発を早急に確立することが求められてい
ます。
生態系や生物には、元来、環境変化に適応する力が備わっています。
この適応力を利用した
ほうが、
はるかに効果的で社会的コストパフォーマンスもよいという可能性があります。環境の変
化が起こってもその機能を損なわない、
あるいは早期に回復するような適応策、
また環境の変
化による影響をより小さくする緩和策をもちいた順応的管理への期待が高まっています。
生態適応GCOE3つのミッション
国際研究
機関
NGO
催されました。
日本が議長国を務め、
この自然のめぐみの保全、
すなわち生物多様性の保全と
企業
行政
東北大学の生態適応グローバルCOE ※2
(GCOE)
は、
このような生
態系や生物が持つ適応力を活かしながら生態系サービスを維持し
Practice
実 践
生態適応の社会への普及・定着
ていく―新しい生態適応科学の確立をめざし、
学内の国際高等研
究教育機構と連携するとともに、国内、
マレーシア、
中国において国
際モデルフィールドを設置し、基礎研究、技術開発、社会システムを
考慮した融合研究の基盤を整えました。
生態適応GCOEのミッションは3つ、
すなわち生態適応科学の確立
をめざす「研究」
とそれを担う視野の広い人材の「育成」ならびにそ
の成果を社会に還元する
「実践」。
この3つがバラバラに存在するの
ではなく、互いに共鳴しあいながら深化していくために、大学、企業、
行政、国際研究機関、NGOなど多様な主体とともに環境機関コン
ソーシアムを設立し、実社会の生態系管理や環境保全対策の提
案と実現をめざして、
チャレンジしています。
生態適応GCOE拠点リーダー
中静
透
※1 生物多様性条約第10回締約国会議(CBD-COP10):COP=Conference of the Parties。1993年に発効した「生物多様性に関する条約」締結国が
国際的な枠組みを策定する会議で、2010年が第10回目。2010年12月現在、締結している国と地域は193にのぼる。
日本の締結は1993年5月。
※2 COE:center of excellence(卓越した研究拠点)。国際競争力のある世界最高水準の研究教育拠点を形成し、研究水準の向上と世界をリー
ドする創造的な人材育成を図るため、文部科学省が2002(平成14)年度より推進しているプログラム。現在、東北大学大学院生命科学研究
科では生態適応GCOEを含め、4件が採択されている。
Research
最先端科学で生態系の解明に挑む
研究 ● 研究基盤体制
生態適応科学の研究基盤体制
生態適応科学は、生態系・生物メカニズムの解明
などを目指す基礎的研究分野から、生態系の適
先端の研究者による生態適応科学の研究と確立
生態適応科学とは、生態系や生物の環境変化応答機構を解明し、生物多様性や生態系機能
の維持、高い適応力を保つための条件を明らかにすることにより、適応力を利用した生態系管
社会に必要な対策の提案
基礎的研究
応力を活かす保全技術の開発研究、
さらには生
社会システム研究
態系保全対策の経済性や社会的な合意形成に
○ 生物システムの頑健性に関する理論
○ カタストロフリスクの経済評価
関する社会システム研究までを含む、一体的、学
○ 生物群集の安定化機能と進化的応答
○ 生態適応のための意思決定
○ 生物多様性と生態系サービス
○ 生態適応による社会システム運営
際的かつ複合的な学問であり、
分野横断的に取り
○ 環境変化に対する反応予測
生物撹乱の
影響緩和
組む必要があります。
温暖化に強い
生態系管理
生物・生態系の適応力を生かした
保全対策の実施
理や環境保全対策の提案と実現をめざす新しい学問領域です。
生態適応GCOEの第1のミッションは、
この生態適応科学を体系化し、早期に確立することで
土地改変や気候
変化に強い
水循環システム
す。現場の状況にはさまざまな要素がからんでおり、現実には生態学だけで問題を解決できる
安定・安全な
生物生産
システム
生態系機構を示唆
ものではありません。
したがって、体系化に際しては工学や農学、環境経済学など各分野間の
融合と連携を図り、
実態にマッチした体制で現実の複雑な課題にチャレンジしていきます。
保全技術の提案
保全技術の開発研究
○ 生体防御機構を利用した生物制御
○ 適応性強化のための環境修復
○ 温暖化に対する生態系管理
○ 生態リスクの低い生物生産技術
生態適応科学の体系化に向けて
教科書の作成
国際フォーラムの開催
体系化に向けた検討のため、年に1度、各分野の最先端で活
躍する研究者を国内外から毎回20名程度招致し、
フォーラム
を開催しています。
第1回
生態適応科学とは:生物と生態系の頑健性と
安定性(2010年2月)
第2回
生態適応科学を活かした技術(2010年11月)
第3回
適応型社会へ向けた経済と社会システム(2011年準
備中)
若手を中心とした専門分野の異なる研究者が集まり、
①生物学的・生態学的な適応のメカニズム
②適応型の保全技術
③技術導入のための経済・制度・社会の構築
の3つの切り口で生態適応科学の教科書作りを進めています。
これまで、定期的に教材開発ミーティングを行い、
「 生態適応
科学」および「生物・生態系の適応力」の定義をより明確にす
るための議論を続けています。
さらに、
「 適応力を活かした技
術」や「経済・社会システム」に関して理解を深め、項目として
取り上げるべき内容を吟味するため、生態工学、農・林・水産
学、薬学、経済学のそれぞれのそれぞれの分野で活躍する
研究者を招致し、
セミナーを開催しています。
これらの活動に
より、
教科書の構成が完成し、
執筆が開始されています。
Tohoku University Ecosystem Adaptability Global COE
4-5
Research
研究 ● 研究基盤体制
7つの分野融合研究が進行中
国際共同と発信
◎ 国際シンポジウム
異なる分野にまたがる融合研究を促進するため、生態学・農学・工学・薬学・経済学など、様々な分野の研究者が
生態適応科学の枠組みを広く社会へと還元するために、本
集まり、
毎年1回、
コロキウムを開催しています。生態適応GCOEで実施可能な共同計画の策定を行い、
現在は以
GCOEの環境機関コンソーシアムと共同し、
海外から講演者を
下の7つの分野融合研究が進行しています。
招致し、
一般向けのシンポジウムを開催しています。
3 農林畜産生態系における生物多様性が
生態系機能の発揮に及ぼす影響
1 湿地の浄化機能を利用した
無エネルギー排水処理システム
自然の湿地における水質浄化原理に基づいて、エネルギーを使わ
ずに水質浄化を行う人工湿地の有用性に関する研究。湿地植物の
遺伝的多様性や、甲殻類や藻類も含めた生物群集の階層構造が、
水質浄化能力に与える影響を明らかにする事を目的としている。
広大な敷地をもつ川渡フィールドにおいて、草地生態系(放牧
地)、畜産環境系(汚水処理)、耕地生態系(水田)、森林生態系(苗
畑)、流域系(流域全体)の5つの系を対象として大規模な野外操
作実験を行ない、各系における生物
多様性の違いが生態系機能の発揮
に及ぼす影響を明らかにする。
6 6.流動制御による湖の水質改善と生態系管理
富栄養化が深刻な問題となっている浅い閉鎖性水域(宮城県伊豆
沼、中国太湖など)をフィールドとして、流動(波や流れ)が水質・底
質環境、生物・生態系に与える影響を解明し、水質改善や水圏生態
系の健全化のための流動制御手法を開発する。
東北大学生態適応グローバルCOE キックオフシンポジウム
(2008年6月)
Tilman博士国際生物学賞受賞
記念シンポジウム
(2008年12月)
環境機関コンソーシアム設立記念シンポジウム
「気候変動と生態適応」
(2009年2月)
環境機関コンソーシアム主催国際シンポジウム
「生物多様性オフセットと生態適応」
(2010年1月)
環境機関コンソーシアム主催国際シンポジウム
「生物多様性を測る」
(2011年2月)
図1-1:人工湿地
図3-1:空機観測により作成した
川渡フィールドの土地利用図
分配パイプ
発泡
コンクリート層
発泡濾過層
遮水シート
処理水
ドレインパイプ
礫層
図1-2:人工湿地の構造
2 生態系サービス評価システムの構築
社会・経済システムが生態系サービスに与える影響を、経済評価
や数理モデリングの手法を使って定量的に評価するシステムを構
築する。仙台市を例に、空間情報を用いた数値シミュレーションに
よって、政策や経済活動、土地利用が地域の生態系サービスに及
ぼす影響を明らかにする。
広域経済モジュール
各国から選抜された22名の若手研究者が生態・適応に関す
る最新の知見と問題を論文にまとめ、国際誌に掲載する事を
4 高CO2環境での植物の適応
目的として、
ワークショップを開催。5日間のワークショップ期間
分子生物学と植物生態学の手法を用いて、CO2濃度が高い環境
で、高いCO2吸収能力や種子生産能力を示す遺伝子を探索し、環
境変動化で優れたパフォーマンスを発揮する遺伝子型の作出を
目指す。
高CO2での電子伝達量子収率
ヨシ
畜産排水
◎国際若手フォーラム
図3-2:ヨシによる水質浄化機能の操作
実験
図6-1:流動制御手法の概要
(2009年8月)
4編の論文が掲載されました。
7 7.沿岸環境における地球環境変動指標生物の
査定と分布変動機構の解明
女川フィールドを中心として、
日本近海で蓄積されている海洋観測
データや生物分布データを解析し、海洋環境の長期変動の指標と
なる生物を査定するとともに、それら指標生物の集団の動態を予
測する。
ポリネーター
群集
注目する植物の
ポリネーター
ポリネーション
サービス
景観構造
植物群集
地域経済・土地利用
モジュール
本GCOEのメンバーは、様々な国際的組織や検討委員会に
委員として参加し、科学的知見を国際社会に活かす枠組み
作りに貢献しています。
国際森林研究機関連合(IUFRO)
長期生態研究国際ネットワーク
(ILTER)
低CO2での電子伝達量子収率
地球観測システム(GEOSS)
図4-1:異なるCO 2濃度でクロロフィル 図4-2:4000個体のスクリーニング
蛍光によるスクリーニングを行うため 結果
のチャンバー
生物多様性条約(CBD)における地球規模生物多様性概況(GBO)
5 自然免疫を利用した疾病や病害虫の制御
生物的・無生物的
要因
撹乱
◎国際的枠組みへの貢献
生物多様性に関する政府間パネル(IPBES)
経済活動・
政策
土地利用・
管理
内に、4つのチームがそれぞれ論文を執筆し、国際誌Oikosに
生物的・無生物的
要因
ミレニアム生態系アセスメント
(SGA-MA)
生物が本来備え持つ病気に対する抵抗性(自然免疫)に着目し、害
虫の免疫機能を抑制する事による疾病制御の可能性を探る。ま
た、自然免疫遺伝子と空間構造の関係を明らかにし、病害虫の拡
大を防ぐ土地管理を提唱する。
国際モデルフィールド
生態適応科学に関する分野複合的な研究体制を推進する
注目する
植物
ために、国際モデルフィールドを整備しました。
そこでは複合生
態フィールドの国際ネットワーク形成やシンポジウム、共同研究
生態系モジュール
が行われています。
(▶詳細はp12)
図2-1:ポリネーションサービス評価の概念モデル
図5-1:自然免疫制御による伝染病対策
図7-1:アゴハゼの各クレードおよびサブクレードの地理的分布と
遺伝的集団構造
Tohoku University Ecosystem Adaptability Global COE
6-7
Education
変革を担うリーダーの育成
育成 ● 教育体制
生態適応GCOE、
2つのタイプの人材育成
国際的視野を持ち、国際機関で活躍できるような人材を育成
社会
高度な人材が教育の成果を社会に還元
するため、拠点に所属する大学院生には、海外連携大学へ
企業
国際環境機関
自治体・NGO
高度な専門知識と実践力をもった人材が必要
生態適応GCOEでは二つのタイプの人材育成を目標としています。
ひとつは生物・生態系に関
連する環境分野で国際的に研究をリードする先端研究者。
もうひとつは、環境に対する緩和と
適応をめざした環境管理を担うことのできる高度な専門家として、国際機関、環境関係の企業
およびNGO、
自治体などで、問題解決型のプロジェクトを企画運営できる生態環境人材(PEM:
Professional Ecosystem Manager)
です。
これまでの大学院教育では、狭い専門分野での問題探究能力に重点が置かれてきましたが、
実社会が直面している環境問題に対応するには、専門性だけでなく、マネジメント能力、国際
性、実践力、問題解決能力を持った人材が求められています。そこで生態適応GCOEでは博
士課程後期の学生を対象としてPEMを新設し、
育成しています。
海外派遣
の短期派遣、留学、国際会議参加・発表のいずれかを義務づ
けています。
また、短・中期滞在の留学生にもシンポジウム参
加・発表などに対し支援を行っています。
生態適応セミナー
大学院
社会ニーズに応える
環境人材育成
問題の探究
問題の探究+社会性
先端研究者育成プログラムの一部として、
また、研究交流、研
究推進の目的で生態適応セミナーを実施しています。生物シ
ステムの構造、安定性、
ダイナミクスをテーマとして、国内外の
著名な研究者に講演を依頼、多様なテーマで最新の研究成
博士
博士
先端研究者
果が紹介され、
活発な議論が展開されています。
生態環境人材
生物・生態系に関連する環境
分野で、国際的に研究をリー
ドする先端研究者
生態環境人材:国際機関や
環 境 問 題に取り組む企 業、
NGO、
自治体などで、問題解
決型のプロジェクトを企画運
営できる人材
英語教育
ネイティブの科学者により、個別指導を含む少人数制で英語
の科学コミュニケーション講座を実施しています。各自の実際
の研究テーマをモチーフに、
プレゼンテーションの構成、
パワー
ポイントの作り方、
発表の仕方のスキルアップをめざします。
教育体制とプログラムの特徴
キャリアガイダンスセミナー
教育プログラムは基盤教育、先端研究者育成、PEM育成の3
つのプログラムから構築されています。
いずれも以下の成果を
めざして、
カリキュラムが設計されています。
1.
国内外で活躍する高度な環境人材の育成
2.
生態系管理・環境保全の科学的基盤と方策の提示
3.
教育成果の社会への還流
4.
日本が世界の生態環境対策において中心的な役割を担う
将来的な展望として、生態環境適応センターの設立、生態系
の分野での人材キャリアセンターのサポート、国内外関係組
織とのアライアンスなども視野に入れ、教育に取り組んでいま
す。世界に通用する高い専門性を磨くために、海外派遣やセ
ミナー開催など随時、
プログラムの支援を行っています。
環境機関コンソーシアムおよび東北大学「高度イノベーション
博士人財育成センター」
と連携をとり、企業や国際機関、NGO
の職員など、高度な専門家としての新たなキャリアパス形成を
サポートしています。卒業生、内定者による体験談、企業から
の講師を招いてセミナーを実施しています。
学生研究発表(ポスターセッション)
国際フォーラムにおいては英語によるポスターセッションの時
間が設けられ、海外の研究者との情報交換、英語のコミュニ
ケーションスキルアップにも役立っています。
また、環境機関コ
ンソーシアム交流会は学生が主催し、
企業やNPOなど一般向
けに、
ポスターセッションを実施。参加教員や企業による投票
でアカデミック部門と企業部門、
それぞれ賞を設け表彰してい
教育体制
ます。発表は企業サイドにも好評で、学生が一般向けのコミュ
ニケーション能力を磨くよい機会となっています。
基盤教育
プログラム
先端研究者
育成プログラム
PEM育成
プログラム
Tohoku University Ecosystem Adaptability Global COE
8-9
Education
育成 ● PEM
新しい生態科学の資格 _ PEM
Professional Ecosystem Manager
環境対策を社会で幅広く実践していくためには、生態学・環境
■ PEMを取得すると・
・
・
学に関する高度な能力と、解決プロジェクトを企画し、実践し
・いろいろな分野、立場を理解した解決策のアプローチができる
ていくマネジメント能力を兼ね備え、世界的に活躍できる、幅広
い視野と知性、先見性、洞察力などを備えた人材が不可欠で
す。
生態適応GCOEでは、我が国における生態学トップクラスの
研究者の特色ある業績の活用、大学と社会との連携を図り、
さらに、基礎(生態学・生物学)
・技術(工学・農学)
・社会システ
ム
(環境経済学・法学)
という広い学問分野にまたがる融合的・
学際的な教育・研究体制を通して、生物・生態系の適応力を
Professional Ecosystem Manager
・問題解決に必要な考え方とスキルがアップする
・生態系の管理に関する社会的、国際的なニーズ分析力がつく
・英語でのコミュニケーション能力がアップする
・環境関連のネットワークで人脈が広がる
・新しい仕事場の開拓とビジネスチャンスが広がる
・人間が真に豊かな生活をおくるために何を優先すべきか、
とも
に考える力がつく
利用し、それを社会的、国際的にマネジメントできる人材を育
成します。
この新しい生態科学の資格としてPEM資格を新設
しました。
PEMの授業風景
PEM資格認定証書授与式。初年度3名、次年度前期に2名、合計5名のPEMが誕生
PEM取得へのカリキュラム
PEM取得のための前提条件
生態環境人材育成プログラム
生態適応科学を基盤として、
環境問題解決のためのマネジメント、
コミュニケーションなどの実践能力を育成します。
講
座には、
社会人にむけて、
土日の集中講義および e-learningを活用します。
PEM取得のためには、
下記のプログラムを修了し、
博士号を取得していることを前提としています。
基盤教育プログラム
容
科目名
サステナビリティ概論
サステナビリティに向けた動きに関して、主要な地球環境問題が企業・行政運営に与
える影響について体系だった理解を得ることを目的とする。
生態系適応科学基礎
生態適応科学の基盤となる基礎的な分野の知識と考え方を、履修者の専門分野の講義から修
得する。
(他大学より博士課程後期へ編入する場合は免除)
環境マネジメント概論
資源・環境制約に人間社会がどう向き合ってきたかを歴史的に振り返ると共に、環境
マネジメントシステムの実態と将来に向けた課題について理解する。
生態系適応科学Ⅰ
生態適応科学の考え方を修得するために、基礎分野、技術分野、社会システム分野それぞれを、
分野間のつながりや融合の必要性の観点から理解が深まるような講義を実施する。
ソーシャル・
レスポンシビリティ学Ⅰ
持続可能な社会を構築するために先進国だけではなく、途上国の環境に与える影響
も含め、各主体が果たすべき責任を、企業や行政を中心に考える。
生態系適応科学Ⅱ
全学的に実施されている生態学合同講義では様々な分野の講義が行われている。複数の保全
問題テーマに応じて受講すべき講義と順番を設定し、体系的な講義を実施する。
ソーシャル・
レスポンシビリティ学Ⅱ
実際に活動に携わっている企業・官庁・NGOなどの担当者を講師に招いて各主体の社
会的責任について、実例を紹介する。
環境マネジメント手法
生態系や生物多様性の管理やその問題解決に必要な、順応的管理の考え方、
シナリオ
作成とオプション選択、および、合意形成などの手法を具体的に学ぶ。
国際フィールド実習
環境問題を抱える海外現地で集中的な講義とともに、学生グループにテーマを与えて
その解決を探る実践的実習を行う。
国際インターンシップ
海外の研究機関や企業、国際機関、NGOなどで大学院生のインターンシップを行う。
科目名
内
内
容
マネジメント科目
生態環境
ソリューション科目
生態環境
環境学実践マネジメント講座
先端研究者育成プログラム
科目名
内
容
実践科目
特別研修Ⅰ
海外への短期留学、国際学会発表など、
その実績に応じた単位を認定する。
特別研修Ⅱ
国際フォーラム・ワークショップへの参加。
課題研究
課題研究の中で、国際共同研究を推進する。
Tohoku University Ecosystem Adaptability Global COE
10-11
Education
育成 ● 国際モデルフィールド
国際モデルフィールドでの研究と教育
国際フィールド実習
共同研究において分野複合的な研究体制を促進するため、
サラワク
(マレーシア)
、
太湖(中国)
、
東北(川渡実験
生態適応GCOEのPEMプログラムには実践科目として、国際フィールドにおける実習が義務付けられています。
フィールド・女川実験所・鳴瀬川流域など)
の3か所を国際モデルフィールドとして拡充し、
整備しました。
そこでは複
海外の自然環境に問題がある地域で集中講義をうけ、与えられたテーマに対する問題解決を体験します。現場
合生態フィールドの国際ネットワーク形成やシンポジウム、
共同研究が行われています。
で自らが行動し、問題点を理解し、解決策を考える。現実的にはこうした問題点はサイエンスだけでは解決でき
これらのモデルフィールドでは、海外の研究者たちとの交流や意見交換が活発に行なわれ、
こうした国際共同研
ず、研究と政治、経済などとの関係、宗教や人種問題など様々な要素が自然環境に立ちはだかる実体を学生達
究の場での、
多くの英知との触れ合いが人間としての向上にもつながり、
教育面でも大きな成果が期待できます。
は肌で感じ、
解決の道を探ることになります。
■ 国際モデルフィールド・サラワク熱帯雨林(マレーシア)
■ 国際モデルフィールド・太湖(中国)
◆ 国際フィールド実習(マレーシア)2009.9.23-10.4
マレーシア連邦サラワク州のランビルヒルズ国立公園の熱帯雨林
を中心としたフィールドステーション。原生的な熱帯雨林が国立公
園として保護されているほか、周辺では現地住民が焼畑をおこな
っています。
近年は、熱帯雨林の伐採は減少したものの、
ミリ市が石油産業を
中心に発達したことにより、伝統的焼畑耕作がやや衰退する傾向
にあるほか、オイルパームのプランテーションが拡大しつつありま
す。生物多様性の減少や熱帯林生態系の変化が重要な環境問題
となっています。現地には、宿泊施設や簡単な実験設備、
クレーン
やウォークウェイなど林冠アクセスのための研究施設が完備され、
国際的な分野横断的研究が展開されています。
中国江蘇省と浙江省の境にある中国で3番目に大きい淡水湖であ
る太湖を中心としたフィールドステーション。太湖周辺の経済発展
にともない、水質汚染や富栄養化が深刻な問題になり、湖沼生態
系は壊滅的な打撃を受けています。富栄養化,藍藻の大発生(アオ
コ)は世界各国に共通する課題であり、さらに地球温暖化、水温上
昇が富栄養化を助長する可能性があります。
現地には、国際共同研究を行う中国東南大学の宿泊施設や実験
設備があります。2009年10月、中国東南大学の学長が東北大学を
訪問し、中国での太湖の環境研究に対してGCOEとの共同で生態
適応研究センターの設置に合意、調印をしました。湖沼生態系の
観測施設,生態工学による環境修復実験施設などの整備が進んで
います。中国国家プロジェクトである863計画(ハイテク技術研究発
展計画)における水汚染制御研究と本GCOEをベースとして教育研
究が推進されています。
◆ 国際フィールド実習(中国)2 0 1 0 . 0 9 . 1 5 - 0 9 . 2 2
サラワク州ランビルヒルズ国立公園内の熱帯林の中に高さ80メートルのクレー
展望台から眺めた三峡ダム。大型重力式コンクリートダムで、堤体の長さは約2
ンから林冠部に直接アクセスして研究を行う
キロメートル、高さは185メートル。通常水位は175メートル
熱帯林に隣接するサラワク・パームオイ マレーシア大学の学生と持続的な森林
西安で水質汚染が深刻な黄河二級支
ル工場でオイル精製工程を視察
管理について討議
西安建築科技大学の研究室を訪問
流を見学
■ 国際モデルフィールド・東北野外実験フィールド
東北大学大学院農学研究科附属複合生態フィールド教育研究センタ
ーは、陸域および海域での生物生産研究を行なってきた附属農場と附
属海洋生物資源教育研究センターを統合し、統合的に環境非破壊型
生物生産システムを構築するとともにその教育を行なうことを目的と
して、平成15年4月に設置されました。
本センターは、広大な森林域から中山間域にかけての林地 - 草地 - 耕
地がバランス良く配置された複合陸域生産システム部(旧附属農場:
大崎市鳴子温泉)
と寒流と暖流が交錯する世界三大漁場の一つである
三陸海岸に位置する複合水域生産システム部(旧海洋生物資源教育
研究センター:女川町)、並びにセミメガポリスの仙台に位置する複合
生態フィールド制御部から構成されています。
また、この三点を結ぶ領域を農学研究科のキャンパスの延長上と考
え、隣接する国公立試験研究機関の生物生産フィールドと地域連携フ
ィールドを形成し、さらには生態系を異にする海外学術交流協定校の
生産フィールドとの間に海外フィールドネットワークを構築することに
よって、さらに効率的な複合生態フィールドの教育研究を展開すること
を目的としています。
サバ州で持続可能な森林管理の技術、課題を学び、FSC認証林を伐採する現場に
川の汚水を引き込み、湿地の生態系が
ろ材を用いた水質浄化方法について
立ち会うPEM受講生
持つ水質浄化機能を利用して、水質改
説明を受ける。
ろ材には使用済の石炭
善を図る大規模な人工湿地実験施設
(廃材)が再利用されていた
サバ州森林局による森林管理の講義
サバ州キナバタンガン川流域でオラウ
ータンなどの野生生物を観察
人工湿地を用いた生活汚水処理施設
東南大学の学生らとのディスカッション
(「三峡ダム」
グループ)
Tohoku University Ecosystem Adaptability Global COE
12-13
Practice
多様な分野、
人材のコラボレーション
実践 ● 環境機関コンソーシアム
環境機関コンソーシアムの概要(2011年1月現在)
① 生態系評価指標研究
研究成果
生態適応
GCOE
環境機関
コンソーシアム
社会ニーズ
インターンシップ
科学と社会の融合をめざす環境機関コンソーシアム
先端研究
人材教育
化、成功事例の研究、人材の交流、研究成果や情報の発信などを行っていけば、今できること、
やるべきことがみえてくるはずです。
またそのために社会で必要な人材育成手法の改善など、
教育面への具体的な提案も的確なものになるでしょう。
それぞれ立場の異なる事業体が理解しあい、連携を深めながら、地球規模で激変している環
境への対応策を構築すべき時にきています。やがて訪れる資源の枯渇などのリスク回避と資
生物多様性や生態系の状態をモニタリングするために、国内外で
様々な評価指標が開発され使用されている。
それらの指標を整理し、
妥当性や一般性について科学的な分析を行う。
国際研究
機関
社会人大学院生
NGO
共同研究
企業
② 企業緑地を対象とした生物多様性緑化ガイドライン作成
行政
特任教員
生態適応科学の研究成果で現実の社会における課題解決にあたるには、国際的な研究機
関、企業、NGO、
自治体などとの協働が不可欠です。志をともにするものが集い、課題の共有
共同研究活動テーマ
企業の持つ事業所や工場などの土地を対象に、企業と生物多様性
イニシアチブ(JBIB)持続的土地利用ワーキンググループとの共同
で、生物多様性に配慮した土地利用のガイドラインを作成する。企業
緑地の通信簿やモニタリングシートを作成し、
有効活用を狙う。
設 立 日:2008年2月19日
会
長:国際環境NGOバードライフ・アジア特別顧問
事務局長:東北大学大学院
市田則孝
生態適応GCOE特任教授
③ 生物多様性オフセット研究会
竹本徳子
運営委員:株式会社レスポンスアビリティ代表取締役 足立直樹 (当GCOEアドバイザー)
株式会社インターリスク総研
原口 真
発 起 人:(50音順・敬称略)
・
(所属・役職は設立当時のもの)
源戦略として、
自社(自組織)
の生態系への影響について、最新の知見をしっかり把握して対策
国際環境NGOバードライフ・インターナショナル副会長 市田則孝(代表)
株式会社レスポンスアビリティ 代表取締役
を打てるよう、
共に考え行動する組織です。
NPO法人アサザ基金
サラヤ株式会社
代表理事
代表取締役社長
三井住友海上火災保険株式会社
飯島
足立直樹
国際NGOナチュラル・ステップ・ジャパン 代表
株式会社一ノ蔵
主任研究員
代表取締役社長
⑤ 生物多様性に配慮したグリーン購入ガイドライン作成
喜秋
グリーン購入ネットワーク技術委員会において、家具をはじめとする生
物多様性に配慮した商品ガイドライン改訂に協力する。
高見幸子
株式会社リコー 理事/社会環境本部本部長
株式会社インターリスク総研
秦
谷
④ 企業の森林保全プロジェクトサイト評価
企業の取り組みを評価する手法を研究する。
博
更家悠介
取締役会長
生物多様性オフセットに関する海外の事例をもとに日本へ導入する
際に注意すべき事項を抽出・分析するために実証実験、経済評価、
社会システムのワーキングチームに分かれて研究を行う。
達雄
原口 真
松本善文
国際自然保護連合(IUCN)
日本委員会会長
吉田正人
会
費:入会金・年会費等無料 (交通費、資料代など参加に関わる実費のみご負担ください)
特
典:希望者はPEM(Professional Ecosystem Manager)育成プログラム
の講義を聴講することができる。
メンバー: 42団体(個人加盟を含む・2011年1月20日現在・主体別50音順)
(企業23社)
アジア航測株式会社・株式会社一ノ蔵・いであ株式会社・株式会社インタ
ーリスク総研・大阪ガス株式会社・鹿島建設株式会社・サラヤ株式会社・
株式会社ジェーアンドビー・株式会社七十七銀行・積水ハウス株式会社仙
台支店・株式会社竹中工務店・東亜建設株式会社東北支店・東北緑化環
境保全株式会社・株式会社フジタ・株式会社復建技術コンサルタント・三
井住友海上火災保険株式会社・三菱マテリアル株式会社・株式会社
リコ
ー・株式会社レスポンスアビリティ・株式会社渡辺コンサルタンツ・日本環境
株式会社・日本ヘルス工業株式会社・Change Makers
(国際機関・NGO/NPO
10団体)
国際自然保護連合日本委員会・NPO法人アサザ基金・ウォーターワッチネッ
トワーク・グリーン購入ネットワーク・NPO法人サステナブル ソリューション
ズ・NPO法人田んぼ・国際NGOナチュラル・ステップ・ジャパン・国際環境
NGOバードライフ・インターナショナル・NPO法人水環境ネット東北・Think
the Earthプロジェクト
(学術・個人
共同人材育成
① 国際フィールド実習のサポート
(サラヤ株式会社/三菱マテリアル株式会社によるPEM実習支援)
② コンソーシアム交流会ポスターセッション
(▶p9参照)
③ ナチュラル・ステップ日本語化事業
(国際NGOナチュラル・ステップ・ジャパンと共同)
④ 外来種調査研究発表
(学都仙台・宮城サイエンス・デイ参加の親子を対象にPEM学生がゲーム形式で授業を実施)
⑤ JBIB企業とGCOE教授陣・学生との懇談会
10名)
跡見学園女子大学・独立行政法人科学技術振興機構・能登半島里山里海
自然学校・宮城教育大学・環境教育実践研究センター・東京農工大学大
学院・日本自然環境専門学校・北海道大学・横浜国立大学
Tohoku University Ecosystem Adaptability Global COE
14-15
事業担当教員
透
河田雅圭
教授
森林生態学の基礎的研究から生物多様性、持続的な森林管理まで幅広い研究を
陸上植物は、周囲の環境に適応するために、様々な環境刺激に応答し、体制を制御
行っている。具体的な研究テーマは、森林動態と自然および人為的撹乱、熱帯林の
してストレスを回避する。例えば、植物は光・温度・水・重力・接触・振動などを感受し、
林冠生態学、植物と動物の相互作用、人間の森林利用と生物多様性など人間と自
伸長方向や形態を制御することで、生存に必要なエネルギーや水を効率的に獲得
然の関わりである。国内外のフィールドでの研究を中心として、生態系の特質を生か
する。
こうした環境適応力の遺伝子的背景・分子機構を解明し、植物が激変する環
した森林管理の研究に取り組んでいる。
境に適応できるしくみを明らかにする研究を行っている。
教授 (生態適応GCOE拠点サブリーダー)
生態適応GCOEのプロジェクトとして生態系の頑健性に関する理論的および実証的
研究を目指している。具体的な研究テーマは、環境変動に対する生態系の進化的応
答、生物分布境界の進化、
メタ解析をもちいた生物多様性と生態系機能研究、種多
様性におよぼす生態的・進化的要因解析、生態系機能を維持する空間構造と土地
利用などである。
占部城太郎
高橋秀幸
教授 (生態適応GCOE拠点リーダー)
教授
地域や地球規模の環境変化は、個体群特性や生物間相互作用にどのような影響を
及ぼすのか、
またそれらは、生態系の機能や物質循環系をいかに変質させるのか。
さらに、生物多様性は生態系機能の維持や物質循環の駆動にどのような役割を担っ
ているのか。河川や湖沼生態系を対象に、個々の生物が持つ生態化学量を視点とし
生命科学研究科 生命機能科学専攻
生命科学研究科 生態システム生命科学専攻
中静
研究テーマ紹介
牟田達史
教授
感染微生物に対する生体防御機構の理解は生態系の適応力・頑健性を考える上で
不可欠である。植物から哺乳動物まで、すべての多細胞生物がもつ自然免疫系の活
性化機構・生理機能について、
ヒト・マウス培養細胞や遺伝子改変マウスを用い、生
化学・分子生物学・細胞生物学・免疫学・発生工学等の手法を駆使して、解析を行っ
ている。
田村宏治
教授
生物はさまざまな環境に適応するための適応力、応答力をもつが、その能力には種
間差がある。その能力の解明のために、生態適応力の根本を成す生物個体の柔軟
性と頑健性を理解する研究に取り組んでいる。
なかでも、動物のもつ多様な形態とそ
れを作り出す能力の種間差について、脊椎動物の体幹部形態の発生・再生現象を
モデルシステムに用いて研究を行っている。
て研究を進めている。
教授
植物の地球環境応答の理解・予測につながる研究を行っている。植物の物質生産プ
ロセス
(光合成・成長・繁殖)
に、温度変化やCO2上昇が与える影響を様々な空間ス
ケール
(葉緑体から個葉・個体・個体群・群集まで)
と様々な時間スケール
(瞬間的応
聡
教授
生物適応力を理解するための手がかりを求め、
「 発生・再生」
と
「自然免疫」に見られ
る個体レベルでの頑健性がもたらされる分子機構について、遺伝学的解析に優れる
ショウジョウバエを用いて研究している。
また、昆虫の自然免疫に作用する化合物を、
環境変動によりその拡大が懸念されている昆虫媒介性伝染病の対策の一つとして
CO2環境に生育する植物の進化について研究している。
活用する取り組みも行っている。
准教授
人間活動が、直接あるいは間接的に動物に与える影響に対し、動物はどのように進
化的応答や群集レベルの応答、そして生物間相互作用の変化を示すのか、の研究
を行っている。
また、外来種の侵入、進化過程やそれに対する在来種の応答の研究
津田雅孝
倉田祥一朗
答・順化的応答・進化的応答)で解析している。近年は、火山性ガスが噴出する高
農学研究科
千葉
薬学研究科
彦坂幸毅
木島明博
教授
温暖化に対する三陸沿岸における生物分布変動とその要因の解明をテーマに研究
を重ねている。暖流と還流の混合域であり、多くの生物種の南限・北限になっている
三陸沿岸を調査フィールドに、近年の地球温暖化による各生物種の分布変動と地域
のほか、島嶼をモデル系として、環境激変に対する影響緩和や生態系保全の研究を
適応の実態、およびそのメカニズムを明らかにする研究に取り組んでいる。
またその
行っている。
結果から、将来のリスク評価を行うとともにその対策を探る。
遠藤宜成
教授
教授
環境微生物は種々の難分解性化合物分解能をもっている。環境微生物の遺伝情報
地球温暖化が深刻になりつつある現在、海でも成層強化による栄養塩欠乏やpH低
が示す、細胞内での再編成や種を越えた水平伝播、そして環境変動に伴う遺伝情
下による炭酸カルシウムの殻や骨格を持つ生物の減少が心配されている。当研究室
報の調和的発現制御ネットワークについて解明するため分子遺伝学、分子生物学、
では、海洋プランクトンの基礎的研究に加え、
この環境激変によってどのような影響を
ゲノム科学、
そして分子生態学の手法を用いて研究を行っている。
受けるのか、
また、生き延びるためにどのような戦略を用いるのかを生理学的、生態
学的に研究している。
Tohoku University Ecosystem Adaptability Global COE
16-17
事業担当教員
教授
温暖化は沿岸岩礁域でコンブ目海中林の崩壊と紅藻無節サンゴモ群落の拡大によ
る
“磯焼け”
を引き起こし、海中林はコンブ目からヒバマタ目へと交代し、群集構造が大
きく変化している。
コンブ目海中林を食物としてきた北日本の主要な食用ウニは生物
生産を大きく低下させている事実も見いだされている。消費者と交代した生産者との
経済学研究科
農学研究科
吾妻行雄
研究テーマ紹介
林山泰久
教授
私たちが営む社会経済活動は、生態系を含めた自然(Law of Nature)
の一部分に
過ぎず、その活動が原因となり、環境問題を引き起こしていることは周知の事実であ
る。
このような社会経済活動と自然との相互作用を経済学的視点から分析する。具
体的には、環境の貨幣的評価や環境政策の実施が社会経済に与える影響を理論
経済学に立脚したモデルを用いて分析を行う。
種間相互作用を通じて適応システムを探る。
准教授
森林植物を対象とした、遺伝的多様性と生物・生態系の適応力、生態系機能との関
係、多様性の維持メカニズムとその保全対策などについて、分子生態学的アプロー
チによる研究を推進している。国内外でのフィールド調査と、
ラボでの高精度なDNA
分析技術によるアプローチが特徴である。
また、生物多様性と生態系機能との関係
解明を図る大規模野外操作実験も予定している。
情報科学研究科
福本潤也
環境科学研究科
藤崎成昭
工学研究科
西村
修
生命科学研究科
陶山佳久
竹本徳子
特任教授(シニアビジネスアドバイザー)
生態系サービスの低下をくいとめ、その恩恵を誰もが享受できる社会を次世代に残
すことが私たちの使命である。経済優先の戦略から脱却し、環境配慮型商品の開
発・販売、CSR調達、
自然エネルギーの利用など、
いかに本業に密着したエコシフトが
できるか、消費者の意識を変えられるか、
ビジネスの現場で研究を行う。産官学・NGO
とのコンソーシアムを通し、生態適応の実践にあたる。
吉本
准教授
敦
客員教授(統計数理研究所)
生態環境の急激な変化に適応するための社会的な仕組みのあり方(生態環境ガバ
社会現象、
自然現象を対象にした決定論的及び確率論的な統計数理モデル、経済
ナンス)
について研究している。生態環境に関する人類の英知を集約しながら相互に
活動、
自然成長を通した予測モデル、更には最適化による制御モデルの構築を中心
対立する多様な主体の利害を調整するための新しい仕組みを構想し、
その実装化
に、
フィールドワークを通して循環型社会経済システムにおける持続的森林資源管理
に向けて解決が必要な課題の解決に取り組んでいる。現在は、特に発展著しい情報
に関わる研究を行っている。具体的な研究テーマは、持続的森林資源管理における
通信技術を利活用した新しい仕組みに注目している。
リスク評価モデルの構築・経済分析などである。
足立直樹
教授
(アドバイザ−) 株式会社レスポンスアビリティ代表取締役,博士(理学)
水問題の諸相を学際的、包括的に明らかにするために、
インドネシアのバンドン地域
生態学の研究者として国立環境研究所、マレーシア森林研究所に勤務の後、
コンサ
水系に焦点を当て調査研究中である。上流部における流域生態系(森林)の荒廃、流
ルタントとして独立。2006年に株式会社レスポンスアビリティを設立。多くの先進企業
水量の変動、水質悪化の実態を自然科学的観点から、同時に、産業の分布、都市域
に対して、環境経営とCSRのコンサルティングを行う。特に「企業による生物多様性の
の拡大とインフラ建設、法律や条例、行政機構、各種環境管理サービスの整備状況
保全」や「CSR調達」を専門に取り組んでいる。
「企業と生物多様性イニシアティブ」
などに焦点を当て、社会科学的観点から研究している。
の事務局長も務めている。
教授
人間に様々なエコロジカルサービスをもたらしている河川、湖沼、干潟、藻場などは、
地球規模での環境問題に繋がる水域生態系として、
その保全が求められている。そ
スタッフ・支援メンバー
の解決策として、太陽エネルギーの活用を基本とし、水中の有害物質を処理・無害
化・資源化する技術、多様な生物の生育・生息を可能とする人工生態系創出技術の
研究開発を行っている。
中野和典
准教授
自然界にはエネルギーを必要としない優れた浄化機能が存在する。湿地浄化法は自
然の機能を人工的に強化して低エネルギーで効果的な水質浄化を実現する技術で
ある。現在は、川渡フィールドセンターに設置する実験用人工湿地を対象とし、根圏微
稲垣雅一
COE助教
牧野能士
COE助教
大槻信夫
支援室長
金成安慶
COE助教
石田聖二
COE連携助教
千葉
恵
事務
会計係
黒川紘子
COE助教
加藤広海
COEフェロー
赤坂葉子
事務
教務係
後藤
彰
COE助教
木村幹子
COEフェロー
鈴木真由美
事務
富松
裕
COE助教
佐々木雄大
COEフェロー
野原克仁
COE助教
山
COEフェロー
誠和
生命科学研究科 庶務係
生物生態系および植生の存在と、人工的な水理学的操作による高度な水質浄化機
能のメカニズムを明らかにすることを試みている。
Tohoku University Ecosystem Adaptability Global COE
18-19
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