...

4.12「ケアマネジャーのための後期高齢者医療制度学習会」

by user

on
Category: Documents
17

views

Report

Comments

Transcript

4.12「ケアマネジャーのための後期高齢者医療制度学習会」
よりよい介護をめざすケアマネジャーの会ニュース
NO.57(2008.5.15)
事務局/大阪社保協(電話 06-6354-8662/ファックス 06-6357-0846)
4.12「ケアマネジャーのための後期高齢者医療
制度学習会」に 112 人が参加! ! 診療報酬の内容と負担軽
減のための「世帯分離」などについて学ぶ。
4 月 12 日、よりよい介護をめざすケアマネジャーの会主催「ケアマネジャーのための後期高齢者医療制
度学習会」を開催、会員はじめ大阪府内の介護支援事業所よりケアマネジャーが多数参加し、熱心に学習
しました。
以下は、特にケアマネジャーとして知っておいていただきたい後期高齢者医療制度についての情報を
以下掲載します。
★後期高齢者医療制度の加入者は
なる。また被用者保険(サラリーマンの医療保険)
の本人または扶養家族となっている方も同様です。
ただし、生活保護受給者は除外となります。
さらに、3 月 31 日現在、65~74 歳で一定の障害
がある方はこの制度の加入者となります。
高齢者の多くは国民健康保険に加入していま
すが、2008 年 4 月 1 日以降、75 歳以上のすべて
の高齢者はそれまでの医療保険を強制脱退させら
れ、そしてこの後期高齢者医療制度に強制加入と
〔一定の障害のある人とは(旧老人保健法の対象者)〕
・身体障害者手帳1~3級所持者
・身体障害者手帳4級のうち音声・言語障害の方と下肢機能障害の一部の方
・知的障害の程度が重度(A)の判定をうけた方
・精神障害者保健福祉手帳1級又は2級所持者
・国民年金法による障害の程度が1級及び2級の方(障害年金受給者)
★「撤回届」とは
から脱退できます。その場合は、後期高齢者医療
制度以外の医療保険に加入しなければなりません。
「撤回届」は75歳のお誕生日の前日まではいつで
も出すことができます。
また、4月1日以降65歳になる障害者は申請しな
い限り後期高齢者医療制度には加入しません。
「高齢者医療確保法」は「老人保健法」に準じる
ため、そのまま対象も移行します。
3月31日現在65歳以上障害者で老人保健法の
加入者となっていた方は「みなし」で自動的に後期
高齢者医療制度に移行となりますが、市町村に
「撤回届」(脱退届)を出せば後期高齢者医療制度
★「撤回届」を出すべきか、出さざるべきかの選択について~「撤回届け」はいつでもだせる。
「撤回届」を出すかどうかについては、検討の要
素としては以下の点を検討する必要があります。
①その方がどのような医療保険にはいっていたの
か
1
・国民健康保険の本人か家族か、被用者保険の
本人か扶養家族か。
・後期高齢者医療保険料は本人の所得に応じて
課される。
・本人が障害年金のみの場合、単身であれば、月
額 1185 円。しかし、別に世帯主がおり、世帯主
の所得が高ければ、均等割全額を支払わなけ
ればならなくなり、月額 3951 円となる。被用者
保険の扶養家族であれば、半年無料でその後
半年月 395 円、その後1年間は月 1975 円。
国保の家族であれば軽減策はなく全額 4 月 15
日の年金支給日から天引き。
・国民健康保険料か被用者医療保険料か無料か
④ その方がどれくらい医療が必要か
当面2年間は、医療内容については制限はあま
りない。
⑤ その方が都道府県独自助成制度を使っている
のかどうか
身障手帳 1 級 2 級、療育手帳 A または B1など
であれば大阪府医療費助成制度(1回 500 円、月
上限 1000 円)の適用となっている。
⑥ その都道府県が独自助成制度を継続して使え
るかどうか
大阪府は当面、医療費助成制度を現在使って
おられる方は、引き続き後期高齢者医療制度に入
っていても、撤回しても使えることとした。しかし、橋
下知事は、現在7月までの暫定予算でしか制度続
行を決めていない。
② その方の医療費は何割負担だったのか。
・原則、65-69 歳は 3 割負担
・原則、70-74 歳は 1 割負担。2008 年 4 月からの 1
年間は「凍結」で1割負担のまま。
③ その方が現在保険料をどれくらい払っていたの
か
撤回届を出した場合と出さない場合の比較 (65 歳以上で比較したものです。)
撤 回 届
後期高齢者
資 格
国民健康保険被保険者
後期高齢者医療制度被保険者
被保険者証
70~74歳 +高齢受給者証
資格証明書発行あり
資格証明書発行あり
(滞納1年経過後)
限度額減額認定証
低所得ⅠⅡ該当は申請で発行
低所得ⅠⅡ該当は申請で発行
保険料
国保保険料
後期高齢者保険料
非課税
2,000円前後
非課税
1,187円
保険料徴収
基本は 年金天引き
基本は 年金天引き
一部負担金
65~69歳 原則3割
原則1割 上位所得者3割
70~74歳 当面1割(原則2割)
府の助成制度 1回500円×2
府の助成制度 1回500円×2
自己負担限度額
65~69歳 高額療養費
高額医療費
個 人
上位所得 150,000円+1%
現役並所得 44,400円
(多数該当 83,400円)
一般
12,000円
一般
80,100円*
低所得ⅠⅡ 8,000円
(多数該当 44,400円)
低所得
35,400円
(多数該当 24,600円)
70~74歳
現並所得 44400円
一般
24600
低ⅡⅠ
8000
自己負担限度額
65~69歳
70~74歳
世帯・入院
(上記の「個人」 現並 80,100円*
現役並所得 80,100円*
と同じ)
(多数44,400)
(多数該当 44,400円)
一般 62,100
一般
44,400円
(多数44,400)
低所得Ⅱ 24,600円
低Ⅱ 24,600
低所得Ⅰ 15,000円
低Ⅰ 15,000
2
年間負担上限
医療・介護合算
医療内容
65~69歳
上位 126万
一般
67万
低ⅠⅡ 34万
70~74歳
上位 67万円
一般 62万
低Ⅰ 31万
低Ⅱ 19万
従来と同じ算定方式(いわゆる出来高)
現役並所得
67万円
一般
56万
低所得Ⅱ
31万
低所得Ⅰ
19万
外来での一部定額報酬
*とりあえず現状の医療を確保
入退院時の定額誘導報酬
★後期高齢者の医療内容は74歳までとはまったく違う医療内容が!!
後期高齢者医療制度の診療報酬を簡潔にいうと
75歳になったら・・・・
「なるべく医者にいかないように」
「できるだけ入院しないで」
「入院したら早めに退院」
「薬をできるだけ少なく重ならないように」
「慢性疾患は定額の医療で」
「死ぬときは病院ではなく在宅で」
「生きているときに死に方(=死ぬときの医療)を考えておくこと」
★後期高齢者の医療内容(概要)とは・・・
① 外来
象にしようという思惑があるといえる。
実際には高齢者は上記慢性疾患をいくつも持
っている人が多く、現在は医療機関も一ヶ所では
なく、数ヶ所いっているケースが多くある。
「後期高齢者診療料」の創設
老人性慢性疾患の病気を持っている患者は、主に
診療所で診てもらうことになる。
後期高齢者診療料という新しい診療報酬が設
定され、1月の医療費は定額の 6000 円。
このなかに医学管理等、検査、画像診断、処置
が含まれまるが、薬代は含まれない。この金額に、
診察を行った際には再診料 710 円と外来管理加
算 520 円がプラスされ、毎月 7230 円、お年より
はその1割の 723 円を医療機関で支払う。(現役並
所得とされた後期高齢者は 3 割負担)
この 1 ヶ月 7230 円という金額は月1回の採算ラ
インとのこと。
つまり、月 2 回きてもらうと赤字になるという金額。
後期高齢者診療料だと、後期高齢者は1カ月に1
回しか診てもらえないということになる。
「後期高齢者診療料」は「1患者につき1医療機関」
厚生労働省は今回の告示で後期高齢者診療料
を算定するのは「1患者につき1医療機関」という
考え方をはっきりと打ち出している。いくつもある慢
性疾患のうち「主たる慢性疾患を診療している医
療機関のみ」が後期高齢者診療料を算定するとい
うこととなる。
しかし、今回後期高齢者は医療機関にかかった
ら必ずこの包括(定額)医療である後期高齢者診
療料で診てもらわなければならないという縛りはな
く、いままでどおり、出来高払い(医療行為ごとに
診療報酬を積み上げていく方法)で診てもらっても
いいとうことになっている。
この後期高齢者診療料をとる場合は、医師は患
者の同意を得て、診療計画書を作成。また、後期
高齢者診療料を算定できる医師は研修をうけた医
師。
「老人性慢性疾患」とは
老人性慢性疾患とは、結核、心不全、甲状腺障
害、脳血管疾患、糖尿病、喘息、脂質異常症、気
管支拡張症、高血圧性疾患、胃潰瘍、不整脈、ア
ルコール性肝疾患、で、これに認知症が加わる。認
知症はもちろん慢性疾患ではない。しかし、厚生
労働省は当初、便秘症までもこの中にいれようとし
ていた。つまり、後期高齢者がもつ病気を全部対
②薬の管理の強化~「お薬手帳」が必携に
「お薬手帳」が必携となる。これは、薬が必要以
上に多くだされていたり、高い薬がつかわれていな
3
いかを、医師や薬剤師がチェックすることで、薬に
かかっている医療費を縮小しようというもの。
た場合にそれぞれに地域連携退院時共同指導料
が支払われ、医師・歯科医師には 3,000 円が、薬
剤師には 6,000 円と高く支払われる。
これは退院後に訪問薬剤師が医師の情報提供
によって薬剤の管理指導を担うため。今後は、末
期がんの患者さんも在宅療養させる方向にもって
いこうとしているので、当然「疼痛ケア(痛みをとる
ケア)」重視となるため、モルヒネもどんどん在宅で
投与されることとなる。モルヒネは麻薬なので麻薬
取扱いの免許をもつ薬局の薬剤師が訪問してモ
ルヒネ(点滴)の投与を行うということを想定。
また、末期の悪性腫瘍の患者も退院させて在宅
看護に移行させるため、訪問看護ステーションの
看護師には地域連携退院時共同指導加算 6,000
円が2回まで加算。
また、悪性腫瘍の患者や医療機器を使用する
患者等が退院して在宅療養に移行する場合には、
訪問看護ステーションから退院日に訪問看護師が
出向き、退院支援指導加算 6,000 円が訪問看護
ステーションに支払われる。
退院した患者がまた、入院前に後期高齢者診
療料を算定していた診療所で診察をうけた場合は、
その初日に医師に後期高齢者外来継続指導料
2000 円が支払われる。
③入院
入院については、これまでどおりだが、ただし、
診療所において後期高齢者診療料を入院の月又
はその前月に算定している患者さんを入院させた
病院には後期高齢者外来患者緊急入院加算
5,000 円が加算。さらに、在宅医療を 24 時間態勢
で支援している「在宅療養支援診療所」等の医師
の求めに応じて患者さんをあらかじめ定められた
連携医療機関に入院させた場合は、病院に
13,000 円が加算。
加算というのは通常の医療費の上に加わる金額
という意味。
これは病院にとって、連携している診療所でか
つ後期高齢者診療料を算定されている患者さん
や医療機関や在宅療養支援診療所からの患者さ
んを受け入れると多く診療報酬がもらえるということ
になるので、連携していない診療機関からの患者
さんよりは連携している医療機関からの患者さんを
多く受け入れるというということとなるはず。
④入院から退院にむけて
⑤終末期(死ぬとき)の医療について
患者さんの病状が安定したら、できるだけ早い
時期に、基本的な日常生活能力、認知機能、意欲
等について総合的な機能評価を行い、その結果を
患者及び家族等に説明する。そして、総合的な機
能評価の結果等を踏まえ、退院困難な要因がある
とされた(退院が難しい)患者さんに対しては、専
任の看護師や社会福祉士が退院支援計画をつくり
退院調整を行ったら(つまり、退院させたら)、後期
高齢者退院調整加算 1,000 円が退院のときに病
院に支払われる。
さらに、退院後スムーズに在宅療養に移れるよう
に、入院中の医療機関の医師、歯科医師、薬剤師、
看護師等と、地域での在宅療養を担う医師等医療
関連職種が共同して指導(カンファレンス)を行っ
これは 2 月 13 日の「平成 20 年度診療報酬改定」
についての答申の原文のまま紹介する。
「医師が一般的に認められている医学的知見に
基づき回復を見込むことが難しいと判断した後期
高齢者について、患者の同意を得て、医師、看護
師、その他関係職種が共同し、患者及びその家族
等とともに、終末期における診療方針等について
十分に話し合い、その内容を文書等にまとめた場
合に評価する。」
これらにかかわった医療関係者には後期高齢
者終末期相談支援料 2,000 円が支払われる。
厚生労働省は終末期医療については「ガイドラ
イン」まで策定している。
★保険料はどうなるのか
(1)保険料は後期高齢者医療制度加入者(75 歳以
上高齢者と 65~74 歳の一定の障害のある障害
者)一人ひとりの所得に応じて課される。
(2)年金年額 18 万円以上で、介護保険料と後期高
齢者医療保険料合算で年金の半分を超えなけ
れば 4 月 15 日の年金から天引き。
(3)大阪府保険料は包括化診療報酬のもと、給付が
大幅におさえられるという前提のもとで計算された
4
★後期高齢者医療保険料の計算の仕方
□保険料は、被保険者(ご本人)の所得のみで算定。他に家族がいてもその所得は合算されない。
①所得割
年金収入
円 ―公的年金等控除
※ 公的年金等控除は年金 330 万円未満なら 120 万円です。
―基礎控除
33 万円 =
=
円
円×0.0868
円
② 均等割 =47,415 円
ただし、均等割は所得が低いと軽減される。ただしその時には世帯主の所得が合算。
後期高齢者医療保険料の政令軽減
世帯(世帯主と同一世帯内の被保険者)の総所得金額と軽減割合
区分
均等割額
基準額
①7 割軽減
14,225 円
基礎控除額(33 万円)
夫婦とも後期高齢者
153 万円
(168 万円)
②5 割軽減
23,707 円
基礎控除額(33 万円)+24.5 万円×
177.5 万円
(世帯主除く被保険者数)
(192.5 万円)
③2 割軽減
39,327 円
基礎控除額(33 万円)+35 万円×(被 188 万円
223 万円
保険者数)
(203 万円) (238 万円)
※ 公的年金等控除をうけている場合は上記の式に当面 15 万円が加算されるため実際は(
)内の収入
保険料は①+②=
単身
153 万円
(168 万円)
使えない
円
【 公的年金等控除額】
65歳以上(昭
和18年1月1
日以前生)
公的年金等の収入金額(A)
~
1,200,000 円
1,200,001 円 ~
3,299,999 円
3,300,000 円 ~
4,099,999 円
4,100,000 円 ~
7,699,999 円
7,700,000 円 ~
公的年金等の所得金額
0円
A-1,200,000 円
A×0.75-375,000 円
A×0.85-785,000 円
A×0.95-1,555,000 円
※年金以外に雑所得などがある場合は、確定申告で確定した所得で計算。
★所得が低ければ均等割が政令軽減(国で決めた軽減)されるが、世帯主所得を合算。
所得が低い場合は、均等割が政令軽減される
が、その際の「基準額」は被保険者の所得に世帯
主の所得が合算されたものになる。
つまり、ご本人の所得が低くても、世帯主の所得
が高ければ、均等割全額を払わなければならない。
たとえ、無年金であっても、扶養家族になっており、
世帯主に所得があれば、政令軽減されなくなるケ
ースがある。
★所得の低い人は世帯分離をしたほうが保険料は低くなる
所得が低い(所得 168 万円以下)方で家族と同
居の場合は、世帯主の所得が合算されるので政令
軽減がうけられなる。ただし、その方が、被用者保
険(サラリーマンの保険)の扶養家族の場合は、4
5
月から半年は無料、10 月から半年は均等割の 1 割
という与党の凍結策があり、さらに来年 4 月から 1
年は均等割の半額というもともとの減返緩和措置
がある。
ただし、国保だった方は経過措置は全くなく、4
月から均等割全額。
★被用者保険の扶養家族の場合は与党の凍結と経過措置で2年間は軽減される
本人が、制度施行日の前日(今年3月31日)に
被用者保険(サラリーマンの保険)の扶養家族の
場合は、2年間は所得割額は免除され、均等割額
が5割軽減される。また、08年度特例措置として 4
月から半年は無料、10 月から半年は均等割の 1 割
という与党の軽減策がある。
※3月31日時点で被用者保険の扶養家族である
ことが要件
※住民票上の世帯と健康保険上の扶養はイコー
ルではない。ただし、各保険者によって取り扱い
が異なるので確認が必要
〔具体的な保険料額は・・・〕
2008 年 4 月~9 月
月0円
2008 年 10 月~2009 年 3 月 (半年間で 2,370 円)
1か月 395 円
2009 年 4 月~2010 年 3 月 (1 年間で 23,707 円)
1か月 1,975 円
2010 年 4 月~(均等割全額 つまり 47,415 円以上)
★大阪府の保険料はこうなる 単身者の場合
政令軽減
7割
所得 33 万円 以下
5割
33 万円+24.5 万円×(世帯主のぞく被保険数)以下
2割
33 万円+35 万円×被保険者数 以下
※単身の場合は 5 割軽減が使えない
※当分の間公的年金受給社には 15 万円プラス
政令軽減 年金収入 所得割
均等割
年額保険料
月額保険料
7割
500,000
0
14,225
14,225
7割
800,000
0
14,225
14,225
7 割 1,000,000
0
14,225
14,225
7 割 1,200,000
0
14,225
14,225
7 割 1,600,000
6,076
14,225
20,301
2 割 1,800,000
23,436
37,932
61,368
2 割 2,000,000
40,796
37,932
78,728
なし 2,200,000
58,156
47,415
105,571
なし 2,400,000
75,516
47,415
122,931
なし 3,000,000
127,596
47,415
175,011
なし 3,500,000
170,996
47,415
218,411
なし 4,000,000
214,396
47,415
261,811
なし 5,000,000
301,196
47,415
348,611
1,185
1,185
1,185
1,185
1,692
5,114
6,560
8,798
10,244
14,584
18,201
21,818
29,051
★所得の低い人が課税所得の世帯主の扶養家族になっていると負担が重くなる~「世帯分離」
をしよう
■医療で「世帯」が問題となる場合は・・・
①保険料(均等割額)の「政令軽減」のとき
②自己負担減度額の所得区分のとき
③入院時食事代軽減の所得区分のとき
④自己負担割合(3割)の現役並所得の判定のと
き
■介護保険で「世帯」が問題となる場合は・・・・
①保険料の所得段階区分のとき
②高額介護サービス費の所得段階区分のとき
③負担限度額(施設の食費・部屋代)軽減の所得
区分のとき
■住民票と「世帯」を考える・・ここでいう「世帯」は
住民票での「世帯」です。
6
後期高齢者医療制度も国民健康保険や介護
保険と同様に、住民票で「住所」、「世帯」を判断し
ます。
■「住民基本台帳」の意義
住民の居住関係を公証する権利義務に関する
公正証書の原本です。
住民の利便、行政の合理化
1) 正確な選挙人名簿の作成が容易
2) 国民健康保険、介護保険、就学など各
種行政の対象者の把握が容易
3) 日常生活上、住民の居住関係を把握
し証明する場合に有用など
■「戸籍謄本」と「住民票」はちがいます
・戸籍は「身分」が基本
・住民票は「住所」が基本
■それぞれ別物(混同しないように)
①住民票の「世帯」(居住と生計を共にする)
国保(世帯単位)は①の住民票の世帯と連動
②税の扶養家族(親族で生計を一にする、所得
38 万円以下の人)
③被用者保険(サラリーマンの保険)の被扶養者
(被扶養者に生計依存)
■住民票での「世帯」とは
「居住及び生計を共にする者の集まり、又は
単独で生計を維持する者」(昭和42.10.4
民事甲第2671号)要するに 1)一緒に住ん
でいること
2)生計が一緒であること
■「世帯」は住民基本台帳法に規定
・個人を単位とする住民票を世帯ごとに編成
・住民票の記載は「届出」または「職権」による
■「生計」が別であれば居住が一緒であっても「別世帯」です。
〔政府見解〕
事例1 父も子も世帯主
同一の家屋に住んでいるが世帯員が所得を得るようになり、事実、生計を別にしていれば、世帯分離
することは可能である(参考-昭和 49.4.18 東京都行政部指導課あて電話回答)
事例2 夫も妻も世帯主
同一の住所地で生活している夫婦については、民法第752条により、夫婦間には協力扶助義務があ
ることから、一般的には同一世帯と考えられるが、
夫婦間であっても、生計を別にしているという実態があれば、世帯を分離することは可能である(参考-
平成 12.7.14 東京都行政部指導課あて電話回答)
■「世帯主」とは 世帯を構成する者のうちで、そ
の世帯を主宰する者
1) 主としてその世帯の生計を維持する者
2) その世帯を代表するものとして社会通念
上妥当と認められる者
■世帯分離の方法
① 住民基本台帳法25条 「世帯変更届」
・変更があった日から14日以内に届け出 る
・世帯員が届出をすることができない時は世帯
主が届け出る
②実際の届出
届出用紙の名称は市町村で異なり、「世帯分
離届」「住民異動届」「異動届出書」などの名
称に。
第 25 条 第 22 条から第 24 条までの場合を除くほか、その属する世帯又はその世帯主に変更があつた者(政令
で定める者を除く。)は、その変更があつた日から 14 日以内に、その氏名、変更があつた事項及び変更があつた
年月日を市町村長に届け出なければならない。
■対応の基本~主権者としての権利及び義務を
堂々と行使しよう
(行政手続法 37 条)
・役所に対して一定の事項を通知する(知らせ
る)行為(「申請」を除く)であって、そのことが法
令で義務付けられているもの
・「届出が届出書の記載事項に不備がないこと、
届出書に必要な書類が添付されていることその他
の法令に定められた届出の形式上の要件に適合
①「生計が別」 この判断は一律の基準などない
主権者である住民がその生活実態と価値観で
「生計が別」として届出たもの
②「届出」の意味~役所は「届け」を拒否できない
7
している場合は、当該届出が法令により当該届出
の提出先とされている機関の事務所に到達したと
きに、当該届出をすべき手続上の義務が履行され
たものとする。」(行政手続法37条)
②住所・世帯をどうするかは、憲法に基づく人権
憲法22条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
■世帯分離は行政(制度)が勝手に「世帯概念」を
持ち込むことに対する国民の側の権利行使
■住所を移す場合は生計・扶養に関係なく「別世
帯」
■世帯分離によって得られるメリット
①低所得者は後期高齢者医療保険料が安くなる
②低所得者は介護保険料が安くなる
③低所得者は介護保険施設のホテルコスト(部屋
代、食事代)、病院への入院時の食事代が安く
なる。
④低所得者は介護保険料や医療費の限度額が低
く設定される。
★家族が後期高齢者医療制度に移行することによっておきる、残された家族の保険料の問題
□被用者保険の被保険者が後期高齢者医療に移
行して、被扶養者が国保になった場合
75 歳以上の夫が働いていて 3 月末まで被用者
保険の本人だったが、後期高齢者医療制度に移
行し、扶養家族だった妻が 75 歳未満で、国保に新
たに加入しなければならないというケース。
この場合、妻の国保料は 2 年間軽減される。た
だし、妻の年齢が 65 歳以上の場合のみ。
①妻の所得割は無料
②妻の均等割は半額(7 割、5 割軽減に該当する
場合はのぞく)
③他に国保加入者がいなければ、世帯割は半額
(7 割、5 割軽減に該当する場合はのぞく)
国保加入者のうち後期高齢者医療制度に移行
したために被保険者数がへった場合は、5 割軽減、
2 割軽減を減少前の被保険者数で 5 年間計算。
たとえば、夫 75 歳、妻 70 歳で国保加入だった
場合は、2008 年 4 月以降所得 33 万円+(35 万円
×1 人)=68 万円以下を、所得 33 万円+(35 万円
×2 人)=103 万円以下と計算。
□国保世帯の一部が後期高齢者医療に移行した
場合②・・世帯割の軽減
後期高齢者医療制度への移行で国保世帯の被
保険者が単身となってしまった場合、単身者の世
帯割(平等割)を 5 年間半額に。
たとえば、夫 75 歳、妻 70 歳で国保加入だった
場合は、2008 年 4 月以降、妻のみの世帯の国保
料世帯割(平等割)金額を半額にする。
□国保世帯の一部が後期高齢者医療に移行した
場合①・・低所得者に対する軽減
★一部負担はどうなるのか
□原則 1 割負担、現役並所得者は 3 割負担
〔現役並所得の判定基準〕
・市町村税課税所得
145 万円以上
※かつ世帯収入後期高齢者複数世帯 520 万
円以上
後期高齢者単身世帯 383 万円以上
※現役並所得者の判定は同一世帯に属する被
保険者の所得及び収入により判定。
③低所得者Ⅱ(住民税非課税世帯)24600 円
④低所得者Ⅰ(年金収入 80 万円以下)15000 円
□自己負担限度額
〔世帯限度額〕
①一般所得者 44400 円
②現役並所得者 80100 円+(医療費-267000)×
1%
※多数該当の場合 44400 円
〔公費負担医療に関する限度額〕
入院 44400 円 外来 12000 円
〔外来・個人単位〕
①一般所得者
12000 円
②現役並所得者 44400 円
③低所得者Ⅱ
8000 円
④低所得者Ⅰ
8000 円
〔長期にわたり継続して著しく高額な治療が必要と
なる疾病(特定疾病)に係る広域連合の認定を
受けたもの(人工透析など)〕 10000 円
8
★高額医療・高額介護合算制度における自己負担限度額が09年8月からはじまる
新たに、高額医療・高額介護合算制度が設けら
れる。同一世帯かつ同じ医療保険の被保険者に
おいて、医療保険の患者負担と介護保険の自己
負担の両方が発生している場合に、これらを合わ
せた額について、自己負担限度額(年ごと)を設け、
負担額を軽減する。毎年、8 月から翌年 7 月までの
年額が適用。ただし、平成 20 年 4 月から 21 年 7
月については、通常より対象機関が 4 か月ながくな
るため、自己負担限度額が変わる。この場合は、2
1年7月の所得(つまり、20年の所得)での区分を
適用する。具体的にこの合算制度を使う場合は、
まず毎月の本人の限度額適用をし、その後世帯で
の限度額適用した上で残ったものに対する適用と
なる。※国保+介護保険の場合において、70 歳~
74 歳で子が 70 歳未満の世帯については、70 歳~
74 歳の父母の分と 70 歳未満の子の分をそれぞれ
自己負担に応じて別計算し、世帯全員分を合算。
後期高齢者医療制度+
介護保険
現役並み所得者
67 万円(89 万円)
一般
56 万円(75 万円)
低所得Ⅱ(住民税非 31 万円(41 万円)
課税世帯)
低取得Ⅰ(年金 80 万 19 万円(25 万円)
円以下)
国保+介護保険(70-74
歳の者がいる世帯)
67 万円(89 万円)
56 万円(75 万円)
31 万円(41 万円)
国保+介護保険(70 歳
未満の者がいる世帯)
126 万円(168 万円)
67 万円(89 万円)
34 万円(45 万円)
19 万円(25 万円)
ニューストピックス
★介護認定調査、23 項目が削除候補に
厚生労働省は 5 月 2 日、要介護認定の調査項目(82 項目)から削除する候補として「皮膚疾患」や
「飲水」など 23 項目を決めた。これに伴い、市区町村の介護認定審査会が一次判定する際の認定ロジ
ックも新たに開発し、来年度の実施に向け認定ソフトを完成させる。
このほか削除候補として決まったのは、▽拘縮(肘関節、足関節)▽じょくそう▽作話▽幻視幻聴▽
暴言暴行▽大声を出す▽落ち着きなし▽外出して戻れない▽一人で出たがる▽収集癖▽火の不始末▽
物や衣類を壊す▽不潔行為▽異食行動▽環境等の変化▽電話の利用▽指示への反応▽感情が不安定▽
同じ話をする▽日中の生活―の 21 項目。
要介護認定における一次判定の仕組みについて検討している「要介護認定調査検討会」(委員長・開
原成允国際医療福祉大大学院長)は、昨年度に「買い物」や「調理」など 6 項目を加えた 88 の調査項
目によるモデル事業を 141 市町村で実施している。
2 日の同検討会では、調査員が現場で悩むことが多かった項目や、削除しても認定結果への影響が少
ない項目について、厚労省と委員から削除項目案が提案され、決定した。
調査項目が変わると、介護認定審査会で一次判定する際の認定ロジックも変更になるため、5 月か
ら 6 月にかけて新ロジックを開発し、夏をめどに試行認定ソフトを使った第二次モデル事業を実施する。
11 月には新ロジックを組み込んだ最終版認定ソフトを完成させ、来年度から実用化する。
また、介護認定審査会は 2006 年度から、一次判定で「要介護 1 相当」と示したものについて、二次
判定でさらに認知機能や心身の状態などを判定して「要介護 1」と「要支援 2」に振り分けている。厚
労省は、心身の状態の判定について蓄積しているこれまでの判別結果のデータをロジックに組み込んで
振り分けられるようにするなどの新たな認定ロジックの方向性も提案し、了承された。
(05/02 キャリアブレイン)
★充足率 6 割切れ?介護福祉士養成校
日本介護福祉士養成施設協会の田中愽一副会長兼理事は 5 月 8 日、国内に 2434 校(定員計 2 万 5577
人)ある介護福祉士養成施設の充足率について、
「2008 年度には 60%を切るのでは」と述べ、介護職に
就くために養成施設に入学しようとする学生がさらに減るとの見方を示した。厚生労働省の「介護労働
9
者の確保・定着等に関する研究会」
(座長・大橋勇雄中央大大学院教授)でのヒアリングで述べた。
介護福祉士の資格を取得するには、高校を卒業後に 2 年以上(福祉系大学などを卒業の場合は 1 年)
養成施設に通う方法と、国家試験を受験する方法とがある。養成施設ルートの場合は卒業と同時に資格
が得られ、学費は 2 年制で約 200 万円。
同協会の調べによると、養成施設の定員に対する入学者の割合(充足率)は、介護保険制度が発足し
た 2000 年度には 90%にまで上がったが、以降は年々低下し、07 年度には 70%弱にまで下がった。今
年度はまだはっきりした数値は出ていないが、田中副会長は「60%を切るのでは。大変厳しい状況だ」
と述べ、養成施設への入学を考える学生が減っている現状に懸念を示した。
田中副会長は学生の応募が奮わない理由として、低賃金やそれに見合わない重労働など、介護職の現
場が労働環境として厳しいという認識が高校の指導現場に行き渡っており、進路に選択しないよう教師
が勧めていると指摘。「社会的認識を変えなければ、なすすべがない」と述べた。
田中副会長は介護職に対する社会的認識を変えるための方策として、▽介護福祉施設の定員の半数以
上を介護福祉士にするなどの配置基準の新設▽資格給のアップ▽実習費用の個人負担の免除-などが
考えられるとした。
職場への定着促進策については、「夜勤は宿直ではない。おむつ交換や徘徊(はいかい)への対応が
あり、亡くなる人もいる。2,3 人で何十人を見るのは不可能」と訴え、夜間の介護職の配置を増やせる
ような介護報酬上の評価を求めた。また、介護職には若い女性が 7-8 割を占めているものの、小規模
事業所などでは産前・産後休暇や育児休暇などが取れないため、出産や育児への支援体制の整備も要請
した。また、厚労省が昨年度から検討を開始した、認知症など専門分野で認定する上級資格の「専門介
護福祉士」の創設について、「ぜひやってほしい」と述べ、介護福祉士のキャリアパスに組み込むよう
要望した。
(キャリアブレインニュース 5/9 付)
★介護保険制度:給付抑制案 「軽度は対象外」「自己負担2割に」--財政審提示
財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は13日の会合で、給付が急増する介護保険制度の抜本的見
直しを6月にまとめる意見書(建議)で提言する方針で一致した。同審議会の西室泰三会長は会合後「建
議には明確に書き込む」と語った。
財務省は同日の会合に、介護保険見直しの三つの試算を提示した。ドイツにならい、軽度の要介護者
を保険制度の対象から外せば、給付費を年間2兆900億円抑制できると指摘。一方で、軽度の要介護
者の自己負担を現行の1割から2割に引き上げた場合には、年間の給付費を2300億円抑制すること
が可能とした。08年度の介護給付費は6兆6559億円(当初予算ベース)。このうち5割を40歳
以上の被保険者が負担。残りの5割を国と地方の負担で賄っている。高齢化の進展に伴い、給付費が毎
年数千億円規模で膨らむことが見込まれており、3年に1度の保険料の見直し時期となる09年度は大
幅アップが必至の情勢だ。
(毎日新聞 2008 年 5 月 14 日)
給付適正化事業学習会
~「ケアプランチェック」など不当なサービス制限をさせないために~
2006年度の介護保険制度が改悪以来、「予防重視」と「給付の適正化」を名目として、介護サービスの利用制
限が強められています。2008年度から3年間の「給付適正化事業」が全自治体で開始されます。また、2009年度
は介護報酬改定の年でもあり、各自治体の第4期介護保険事業計画策定に向けた検討も今年行われます。私たち
ケアマネジャーには、こうした動きを見据えながらも、利用者の生活に必要なサービスを確保するために努力することが求
められています。
給付適正化事業の内容を学び、不当なサービス制限を許さない力をもつために標記の学習会を開催します。ぜひご
参加ください。
★日時
★会場
2008年6月21日(土)午後2時~4時
大阪民医連会議室(地下鉄堺筋本町 9 番出口下車徒歩1分)
★講師 日下部雅喜・大阪社保協介護保険対策委員
★参加費 1000 円(2008年度よりよい介護をめざすケアマネジャーの会会員は無料です)
※学習会終了後、よりよい介護をめざすケアマネジャーの会2008年度総会を開催します。
10
Fly UP