Comments
Description
Transcript
プラントエンジニア漂流
私は今 プラントエンジニア漂流 化学工学科H4年卒 中島 秀治 私は今、横浜のみなとみらいにあるエンジ ニアリング会社に勤めています。先日、出身 研究室の先生より寄稿についてお取り計らい いただきましたので、卒業してからのことを記 すこととします。 ◆最初の就職先(1992∼2000) 卒業後に最初に就職したのは重工メーカで、 発電プラントに設置される機器の機械設計エ ンジニアを行っていました。メーカに発注し た機器をエンドユーザのプラントに設置する までのエンジニアリングのどこに専門性があ るのかピンときませんでした。メーカとエンド ユーザの間の技術面での橋渡しにあるものと 自分なりに認識していました。30歳手前になり 振り返ると、かなり忙しく働いていた割には技 術者としての実力がついていないと(当時は) 思い、とても焦っていた記憶があります。 ◆最初の就職先を辞めてから再就職するまで (2000∼2002) 前の会社を辞め、専門性を身につけたいと 思い、東京に出て国家資格(弁理士)を取得 すべく無職で勉強しました。しかし合格でき ず2年で断念し、再就職先を求め入社したの が今の会社です。 ◆再就職後(2002∼現在) 今の会社では化学・ガス・石油精製プラン トに設置される機器の品質管理エンジニアを 行っています。機器の品質管理計画を立てて それに基づき検査やトラブル対応を遂行する のが主な業務です。国内メーカやエンドユー ザに加え、欧米のメーカも何十回か訪問しま した。写真は私がまだ30代の時にイタリアの メーカで検査対象の大型圧縮機を背景に撮っ たものです。40代になり管理職になってから は社内での執務がメインになっています。先 に述べた“メーカとエンドユーザの間の技術 面での橋渡し”ですが、あれは認識が浅かっ たと思うようになったのは数年前です。自分に とってのプラントエンジニアの専門性は、上記 に加え機器の要素技術、関連法規・規格、ト - 34 ラブル事例などを十分に理解し付加価値を機 器に与えることにあると思うようになりまし た。この点で奥が深く、前職を含めたプラント エンジニアの経験が20年の今でもまだ知識が 及ばず、その習得の必要性を切に感じていま す。一方、組織の運営に関与し、後進の育成 を行い、家庭も持つようになり、自分のことだ けに専念すればよい時期は既に過ぎてしまっ ています。通勤電車の中などで技術書を読む 時間を捻出し、知識を深めることに努めてい るところです。 ◆山口大学訪問(2014年2月) 上記のような履歴を経ており、また、年齢 面からも自分がリクルータになることはないと 思っていましたが、自社の若手社員と共に訪 問しました(自社には山口大学出身は2名しか いません) 。22年ぶりの大学のキャンパスや宇 部の街並みがそれほど変わっていないのに驚 きましたが、それ故にとても懐かしく思いまし た。これが縁で執筆させていただいた次第で す。これからも大学関係者との交流は続けた いと思います。よろしくお願いします。 イタリアの回転機メーカ工場にて (背景:中東のメタノールプラント向け圧縮機)