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スリランカの「高級カニ」で観光客を呼び込む
特別リポート インタビュー スリランカの「高級カニ」で観光客を呼び込む ~ミニストリー・オブ・クラブの挑戦~ ミニストリー・オブ・クラブ オーナー ダルシャン・ムニダーサ氏 スリランカン・クラブは、スリ ランカ産高級カニ。シンガポール などのレストランで人気が高い。 ─スリランカを象徴する レストランというが…… 中央はムニダーサ氏。両側は共同オーナーのク リケット選手のパネル この高級カニを提供するレストラ クリケットのスリランカ代表選 ン「ミニストリー・オブ・クラブ」 手でもある2人の友人がこのアイ が昨年12月にコロンボ市内に開 デアに賛同してくれたため、自分 店。外国人観光客を中心に人気を を含めた3人の共同経営でレスト 大きく四つに分かれる。具体的 博している。開店に至る経緯と戦 ランを始めることになった。実 には、①香港、マレーシア、タイ、 略について、共同オーナーのダル 質的な経営は自分が行っているが、 シンガポールからの華人系の観光 シャン・ムニダーサ氏に聞いた。 スリランカで絶大な人気を誇る2 客、②欧米、インドなどからの観 人のスター選手が加わってくれた 光客、③諸外国に住むスリランカ おかげで、レストランは国内外で 人、④地元富裕層で、ほぼ4分の 有名になった。 1ずつという割合。客の70%以 自分がプレゼンターを務める 店舗は、昨年12月に開業した 上は海外からの観光客だ。 「食」を紹介するテレビ番組の中 「 ダ ッ チ・ ホ ス ピ タ ル 」 と い う で、「シンガポールで食べられて ショッピングモールのテナントに 1日の平均客数は約100人。1日 いるスリランカ・カニ(スリラン 入居した。この建物は、約400 当たりで使用するカニは平均で約 カン・クラブ) 」を取り上げたの 年前のオランダ植民地時代の病院 50杯に及ぶ。客単価は約4,800 がきっかけだ。このカニはスリラ を政府(都市開発局)が改装したも ル ピ ー( 約2,900円 ) ほ ど。 一 ンカ産であるにもかかわらず、食 の。コロンボ市内に残る歴史的建 般のスリランカ人にとっては安い べられるレストランが国内にない。 造物の一つであり、観光スポット 金額ではないが、海外からの旅行 その情報を提供したところ、知人 にもなっている。 者にとってはそれほど高額ではな の米国人から「スリランカでスリ 主力食材のカニは、シンガポー いだろう。 ランカ・カニのレストランをやら ルに送られているものと同種のス 現在、シンガポール、香港、マ ないか」との誘いを受けた。自分 リランカ・カニを調達している。 レーシア、オーストラリア、英国、 もスリランカ・カニを自国で食べ 他の食材も含めて国産のものしか UAE(アブダビ、ドバイ)の企 られるものにしたいと思い、開業 扱っていない。つまり、スリラン 業から、フランチャイズ契約の依 を決意した。店名はインパクトの カを代表する「スポーツ選手(ス 頼が来ている。いずれも客として 強い名前にしようと「ミニスト ター)」 、 「場所」 、 「食材」を得て 当店を訪れた人々(事業者)から リー・オブ・クラブ」とした。 「ミ 実現したのがここ、ミニストリー・ の申し出であり、実現に向けフラ ニストリー(省) 」という単語を オブ・クラブだ。 ンチャイズ・マニュアルを作成中 ─スリランカ・カニのレストランを コロンボに開店した動機は 使ったことで政府からクレームも ついたが、最終的には許可を得た。 ─現在の客層は レストランは毎日ほぼ満席で、 だ。 (聞き手:崎重 雅英) 2012年12月号 55