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工場ルポ №257 デジタルカメラの塗装 株式会社 サンキ 370
工場ルポ №257 デジタルカメラの塗装 株式会社 サンキ 〒370-0321 群馬県新田郡新田町木崎 1795-2 TEL(0276)56-2761 (1) 個人会社から株式会社へ 昭和 58 年 9 月、販売業から塗装業へと転身した佐藤光男代表取締役が「三喜工業」を興した。手吹 きラインによるプラスチック成型品の塗装を開始したのである。オーディオ関連部品の塗装を中心に 実績を上げた後、自動車部品のアッセンブリーを手掛けるなど徐々に事業を拡大し、昭和 60 年に有限 会社に変更する。そして、 昭和 63 年 4 月:小型塗装ロボットを導入し、ラジカセやワープロなどの部品を塗装。トロリ ーコンベヤーラインは 50m(既設手吹きラインの 30m から増設)。 平成元 年 6 月:自動車部品の受注量増加に対応するため、スピンドル型自動塗装ラインを新設。 塗装品質の向上を目指す。ライン全長 52m。 平成 3 年 10 月:塗装ロボット 1 台増設。 平成 10 年 2 月:株式会社サンキに社名変更。 平成 11 年 3 月:携帯電話機,カーオーディオ,デジタルカメラなどの増産のため、塗装ロボ ット 2 台のラインを廃止し、 スピンドル型自動塗装ラインを 2 ラインに改造。 ライン全長 64m。 平成 13 年 3 月:業務拡大を図るため 50t 射出成型機を設置。 というように順調に業績を伸ばしてきているのであるが、仕事量の増加に伴う節目ごとに、設備更 新を決断されていることがうかがえる。 (2) 本社工場の新設ライン 今年 4 月、平成元年より稼動していたスピンドル型ラインを更新し、新たなスピンドル型自動塗装 ラインが立ち上げられた。今回は、本社工場の新設ラインを主に取材させていただいた。 ① 新塗装ライン設置の契機 自動車やIT関連などの一部の産業に、ほのかな光が垣間見られるものの相変わらずの経済不 況下にあって、塗装企業も生き残りを賭(か)けた営業展開が繰り広げられている。現在、本社工 場における塗装の主流は、自動車およびデジタルカメラ,携帯電話機等の小型プラスチック成型 品であるが、最近では高輝度感やハイメタル感を強調した塗膜仕上げが要求されてきている。ま すます厳しさを増してきている塗装品質の向上を図るため同社では新設ラインの導入を決断し たのである。 ② 塗装設備の概要 コンベヤー全長:67m(ライン速度:2.0∼5.0m/min)。スピンドル数:430 本。遠赤外線乾燥炉+ UV 照射硬化炉(近い将来、ハードコートを行うために併設)。塗装装置:ガン固定式 2 ステージ。 ガン数:12 丁/第 1 ステージ 6 丁+第 2 ステージ 6 丁(このうち 8 丁はパールガン AGB40(旭サナ ック㈱)を装着)。対象塗装寸法:10∼480mm(大型製品は千代田工場で仕上げられている) デジタルカメラの高輝度塗装例では、 ワーク着荷→手吹きブロワー→自動ブラッシング→除塵(じん)・除電→第 1 ステージ塗装(正 転回:メタリックベース)→第 2 ステージ塗装(逆転回:同)→セッティング→遠赤外線乾燥 (70℃×30min)→ワーク脱荷 の順で進行する。複雑形状の製品をはじめ多品種少量の注文に応(こた)えて、効率的な作業工 程が推進されている。 このほかの本社工場における設備概要は次の通りである。 ① スピンドル型自動塗装ライン:64m ② トロリーコンベヤー:20m ③ 手吹き用塗装ブース 2 基:1.5m ブース+3m ブース ④ 固定式乾燥炉 1 基 ⑤ 50t 射出成型機 なお、今年 9 月に稼動した千代田工場には、トロリーコンベヤーライン(90m)、手吹き用塗装ブ ース 6 基、固定式乾燥炉 2 基、パット印刷機 4 台などが設置されており、自動車部品のバンパー やスポイラー、液晶テレビの枠など大型部品の塗装から印刷、サブアセンブリー等が行われてい る。 (3) 高品位塗装のための要件 確かに、最近のプラスチック成型品を見ると、金属メッキ調のハイメタル仕上げや高輝度感にあふ れた塗膜仕上げが目立っている。佐藤光男代表取締役は、当初の手吹きラインに始まり塗装ロボット からスピンドル塗装へと、自動塗装システムを使いこなしてきた体験を生かし、今回の新設ラインの 導入について次のよに要約されている。 ガンの選定:塗装ステージに装着されている 8 丁のパールガン(AGB40)は低圧霧化の自動ガンで、特 に塗料吐出量とエア霧化圧のバランスが図りやすく、塗料の微粒化に優れた性能を発揮させている。 また、パターン幅が 150φと広角な範囲を狙(ねら)うことができるため、塗膜厚の均一化および塗着 効率に効果を上げ歩留まりの向上にもつながっている。 空調設備室の設置:塗装ブースはクリーンルーム仕様の塗装作業室内にあり、作業者は防塵服を着 用しエアシャワー室を経て入室する。また、ブース内のエア流量や室内の湿度調整などの吸排気バラ ンスを安定化させホコリやゴミの付着を完全に防いでいる。 ▲12 丁のガンのうち 8 丁がパールガン(AGB40)で高品位塗膜の仕上げが行われている ▲ 除塵(じん)・除電の前にもホコリ付着防止のための拭(ふ)き取り作業が行われている