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11.ねじれテスト
11.ねじれテスト チェーンフレックスは、ケーブル保護管エナジーチェーン 内での直線動作の使用に特化して設計されており、その性 能は証明されています。 しかし使用方法や動作は複雑化し、捻じれ動作への需要が 高まってきました。 捻じれ動作のある場合、曲げ半径、走行距離などが一定で ないため、ケーブルの寿命計算は容易ではありません。 また、シールドケーブルは捻じれ動作での使用が大変難し いケーブルでもあります(シールドは通常編組構造をとっ ています)。ケーブルが捻じれに強いかどうかは、使用方 法とケーブル組付けにも大きく左右されます。 捻じれ動作時、シールドとその他の要素は逆方向に動きま す。編組構造のケーブルにネジレを加えると、シールドに ストレスがかかり、破断を引き起こします。 CF ロボット 10 x d 10m/s 非常に耐屈曲性に 優れた導体 シールド無しケーブル、特に束撚り構造のチェーンフレッ クスは、多くの捻じれ動作で使用することができます。 高圧押し出し成形の 内被、TPE混合材 非常に耐久性の高い レーヨン被覆 PTFE被覆 捩れに強い 銅製シールド 非常に耐久性の高い レーヨン被覆 プレミアムライン 高圧押し出し 成形の内被、 TPE混合材 178 イグスでは技術だけでなく、デザイン性も考えて製品を設 計しています。エナジーチェーン トライフレックスRの TRC、TREシリーズは、iFデザイン賞を受賞しています。 322 製品詳細 CF ROBOT P.178 イグスが新たに開発したねじれに強い、単心シールドケー ブルは、特殊設計とシールド構造によって、シールドへの 影響を最小限にしています。 下記テスト装置でCF ROBOTとCF310.250.01.の、製 品寿命の比較を行いました。 CF310.250.01.(シールド編組) 写真1:損傷があった編組シールド外観写真 25万回旋 回後 試験装置: CF ROBOT(特殊シールド)をイグスの試験場でテスト。 捻じれテスト専用装置を使用。 ケーブル長(2.5m)に対し捻じれ±270°。 (トライフレックスR内に敷設してのテスト) テスト装置取付ケーブル: ● CF ROBOT(特殊シールド)ケーブル 037 3本 ● CF310.250.01.UL(シールド編組)3本 ● シールド付きケーブル CF310.250.01 3本 シールド編組に大きな損傷が見られた CF ROBOT(25万、150万、300万旋回後にテスト装 置より取り出した)の分析サンプル(写真2) 。 CF ROBOT にはケーブル損傷が見られなかった。 ±270度の300万旋回後もシールドに損傷が見られませ んでした。 写真2:300万旋回のあとも、CF ROBOTには全く損傷 が見られませんでした。 シールドケーブル、繊維層、PTFE層の分析詳細(写真3) 。 目立ったダメージは見られませんでした。 寿命限界を調べるため、更にテストを継続中。 イグス試験場:± 270° の旋回テスト CF310(編組シールド)のテストサンプルと CFROBOT を±270度の旋回を25万回行った後、取り出しました。 ケーブル長に応じて3箇所で分析を行った結果、写真1の サンプルは、シールド全体に明らかな損傷が見られまし た。 写真3:±270度を300万旋回後の CFROBOT の写真 323 12.予測寿命の比較 機械の動作信頼性の向上には、定期的なメンテナンスが欠 かせません。イグスの社内試験場では、材料、お客様の依 頼による試験や実際の製品に合った検査を行っています。 イグスでは信頼性を高めるバッチテストの他、長期テスト も繰り返し行われています。 長期テストの中には、4年に及ぶものもあり、成長する市 場ニーズにあわせたテストを行うよう努力しています。 324 イグスではチェーンフレックス サーボケーブル CF21.UL、及びCF27.D等の長期テストを行っています。 曲げ半径100mm、走行距離約8m、加速度約6m/mm2、 速度約3.5m/sで、2年半以上テストを続けています。 多くの場合心数と断面積によってケーブルを選定します が、「ケーブル保護管用」をうたう他社ケーブルは、不具 合を招くことが多くあります。 CF21.ULケーブルを分解。外被のダメージはみられませ んでした CF27.Dケーブルを分解。外被のダメージはみられません でした CF21.40.10.02.01.UL:1千万回の走行試験の後もシ ールドの破壊は見られませんでした CF27.40.10.02.01.D、1千万回の曲げ試験の後もシー ルドワイヤーの破壊は見られませんでした 試験対象製品 CF21.40.10.02.01.UL(4x4 mm2 + 2x1.0 mm2) 及び CF27.40.10.02.01.D(4x4 mm2 + 2x1.0 mm2) 実際にケーブル保護管に敷設した装置でのテスト中、継続 的に電気的特性を測定。 結果: 1千万往復試験後、ケーブルを分解して検査。 写真上に示すとおり、導体、絶縁体に破損は見られません でした。長期間にわたる走行の後も、外被にはほとんど摩 耗が見られませんでした。 摘要: 充実押出し成形の内・外被の設計のチェーンフレックスを 他社製可動ケーブルを比較すると、イグスのチェーンフレ ックスで優位な寿命値が得られました。 実際の使用を想定して、様々なケーブルを敷設したテスト 製品詳細 CF21.UL CF27.D P.110 P.118 325 13.コンテナクレーンでの テスト クレーン業界では、給電効率とシステムの技術が重要視さ れています。省スペース化等、多くの要素が重要となって います。給電システムにはケーブルが必要であり、高い信 頼性を求められています。 イグスのチェーンフレックス試験場では、継続的にケーブ ルテスト行っており、製品寿命や、製品開発に役立ててい ます。 検査: 実際にコンテナクレーンで長年使用されたCF9.60.05 (ストローク 約47m)を、 40,000km以上の走行後取 り外して検査した。 取り外した CF9.60.05 を下記の要領で検査した 1.外被の摩耗、外観、その他の損傷 2.絶縁体、集合撚り、各心線の外観 3.素線の破損状態 さらに、実際のクレーンで使用されていたケーブルを取り 外して検査を行いました。 エナジーチェーンとチェーンフレックスを使用した給電システム、ステンレススチールのガイドチャンネル付き 326 エナジーチェーンシステムに、CF9.60.05他 複数のチェーンフレックスを敷設 結果1: CF9のTPE外被には、ほとんど摩耗が見られませんでし た。極端な温度変化、直射日光などにさらされても、外被 摩耗・破断による不具合を防ぐことができました。 結果2: 充実押し出し成形の外被により、集合撚りの心線で撚りピ ッチの変化は見られませんでした。 タルクにより滑りを向上させているため、TPE絶縁体の 心線間の摩耗も見られませんでした。高電圧テストでも経 年変化による異常は見られませんでした。 エナジーチェーンとチェーンフレックスを使用したイグス の給電システム 結果3: 最も負荷がかかった曲げ部分のケーブルを分解して、導体 を確認しました。 ここでも、40,000kmの走行後も、各心線で、不具合の 兆候となる疲労破壊は見られませんでした。 これをまとめると、STSクレーンの第2トロリーで使用さ れたCF9は、移動距離約26mを40,000km以上走行後 も、全く損傷が見られなかったといえます。 回収したCF9を分解 製品情報 CF9 P.24 無傷の導体の拡大写真 全長に対して調査を行った結果、導体及び各素線には全く 損傷がなかった。 327 14.耐油テスト イグスでは、顧客の要求に合わせた専用テストの開発により、 通常のテスト以上に有用なテスト結果を提供しています。 一般的な「耐油性」[耐クーラント性」ケーブルでは、オ イルや潤滑剤、クーラントの影響を受ける環境には役に立 たないことがあります。 DIN EN 60811-2-1やIEC 60811-1-1といった一般 的なテストに加え、できるだけ現場に近い連続稼動条件を 再現したテストが必要となってきます。 ケーブルをエナジーチェーンに敷設して、繰り返しオイル 槽に浸すテストを行いました。 テストでは、実際の使用と同様に外被が、オイル・クーラ ントと外気に交互に接触しています。 可動条件での耐油テスト 328 任意またはイグス指定の期間テスト後、素材特性(材料強 度、せん断、変形)をテスト前と比較しました。 これにより、顧客は各材料の特性以外も参考に選定するこ とができます。 材料のエイジングに対し、エナジーチェーン内で使用した 場合の製品寿命予測も可能となります。 15:ねじれテスト トライフレックスR用の捻じれに対応したチェーンフレッ クスケーブルは既にありますが、“ねじれ”に対する明確 な基準はありませんでした。 こういった要求に対応するため、イグスは「捻じれテスト 装置」を開発しました。各種ケーブルを、ケーブル長1m でテストしました。 基準テストは±180° ですが、任意の捻じれ角度を、テス トサンプルによって設定しました。 事前に設定したねじれ回数、または電気的・機械的不具合 を各サンプル毎に測定し、破損箇所を正確に特定しました。 イグスの、ロボット向けケーブルCFROBOTはこれらの 装置で行われたの標準テストをもとに開発されています。 製品詳細 CFROBOT P.178 イグス基準を元に開発した捻じれテスト装置 329