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満足度 - サイエンティフィックシステム研究会

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満足度 - サイエンティフィックシステム研究会
サイエンティフィック・システム研究会合同技術分科会 2012年度会合
ビッグデータ、どう使う?
教育環境分科会代表報告
いかに私たちの学生を知り抜くのか
- 山形大学エンロールメント・マネジメント部の
真のIRへの挑戦 –
エンロールメント・マネジメント部
福
YAMAGATA University
島 真
司
[email protected]
EMとは何か
EMの定義
科学的マーケティング手法による大学マネジメント・サイクル
EMは、大学調査などによって支えられ、
戦略的なプランニングによって組織され、
学生の大学選択、大学入学、
在学中の教育サービス、休学・退学の阻止、
(卒業後も含めた)学生の将来などに関わる支援諸活動を
総合的にマネジメントすること。
「大学調査」とは、機関別認証評価、国立大学法人評価等、公開を前提とする調査ではなく、
大学の課題発見、課題解決に資するための調査のことで、公開を前提としないものも多く含む。
EMとは何か
大学EMの要諦
学
オリエンテーション
入
マーケティングそのもの
履
修
学
生
生
活
就
職
活
動
EMをマーケティングそのものとすることは、矮小化した定義ではない
EMは、学生価値創造、学生価値最大化のための
組織一体となったダイナミックな活動
EMとは何か
EMは、学生価値創造、学生価値最大化のための
組織一体となったダイナミックな活動
スタッフ(アドミニストレーター)
学生のフロントライン、ステークホルダーのフロントライン
アドミッション(プロモーション、入試実施)
学生サービス(窓口業務)
同窓会サービス
バックヤード
人事にマーケティングマインドは必要か? 言うまでもない
総務にマーケティングマインドは必要か? 言うまでもない
財務にマーケティングマインドは必要か? 言うまでもない
会計にマーケティングマインドは必要か? 言うまでもない
契約にマーケティングマインドは必要か? 言うまでもない
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・etc
この会議に、学生、保護者が参加していたら、
今の結論になったのか?を常に考え続ける
EMとは何か
学生の「ため」に考えるのではなく、
学生の「立場になって」考える姿勢を貫く
そのためには、分析的な視点で学生を捉える
そのためには、会議で学生のニーズを決めない
そのためには、学生をわかったつもりで議論しない
そのためには、学生を知ることを決してあきらめない
個人的な考えや憶測をベースに議論するのではなく
データやFACTを中心に議論する組織文化を醸成する
EMとは何か
科学的調査分析
DBの存在は不可欠
我々はなぜ選ばれ、
なぜ選ばれないのか?
我々の学生は、何に満足し、
何が不満なのか?
なぜ大学を去るのか?
受験区分と
学生の意欲との相関等
在学生や卒業生に関する
「満足度」等リサーチ
DB
社会の大学教育に対する
期待や要望は、どこにあるのか?
市場・競合に関するリサーチ
高等教育グローバル市場のトレンド
我々は
どのような人材が
欲しいのか?
どうやったらそれが
実現されるのか?
我々の学生は、
大学で何を実現し、
将来何を実現したいと
思っているのか?
山形大学EM部の挑戦
マーケティングの要諦
科学的分析結果
STP
YAMAGATA University
マーケット調査
自分の大学に興味を持った層のプロファイル
志願、受験、合格、入学者 それぞれのプロファイル
在学時の満足度
満足度等でセグメントしたグループのプロファイル
休・退学者のプロファイル
卒業時の満足度
フォーカス・グループ・
卒業後の満足度
インタビューは、
卒業後ニーズの存在
極めて重要!!
S(セグメンテーション)
T(ターゲティング)
P(ポジショニング)
山形大学EM部の挑戦
山形大学型EMのコンセプト:
私たちの学生を知り抜くこと
YAMAGATA University
山形大学EM部の挑戦
山形大学入試情報等調査分析チームの業務サイクル
業務内容
0
調査内容・実施計画の設計
1
前年度からの引き続きの調査
2
在学生を対象とする調査
3
卒業生を対象とする調査
4
保護者を対象とする調査
5
ターゲットエリアの
高校生等を対象とする調査
6
高等学校教諭を対象とする調査
7
企業等を対象とする調査
8
入試広報に関連する調査
平成20年度
平成21年度
平成22年度
平成23年度
前
前
前
前
後
後
後
後
3年ごと
調査設計の見直し
入学時・セメスターごと・1年ごと・卒業時
入学者アンケート
3~4年ごと
15ー20歳web調査
1年ごと
4年ごと
1年ごと(高校訪問時)
本学『大学案内』・HPに関するweb調査
YAMAGATA University
5年ごと
1年ごと
山形大学EM部の挑戦
組織の沿革と発展
室長1、室員2
設置(2006.7.1)~
教授1、室長1
室員3
(業 務)
入試対応
ファクトブック
大学情報DB
財務改善計画
調査統計総括
オープンキャンパス
入試緊急対策
入試広報
(業 務)
入試対応
ファクトブック
大学情報DB
財務改善計画
調査統計総括
オープンキャンパス
入試緊急対策
理事1、
教授1、室長1、
室員3
(業 務)
入試対応
ファクトブック
大学情報DB
財務改善計画
調査統計総括
オープンキャンパス
入試緊急対策
入試広報
入学者選抜調査研究
【EM室設置理由】
① 環境激変への対応
② マーケティングの重要性
③ 大学マーケティングはEM
校友会
入試情報等調査分析T
入試情報交換ミーティング
校友会
2007.7.1
事務組織改編
2007.9.1
EM担当理事
山形大学EM部の挑戦
組織の沿革と発展
理事1、
教授2、
室長1、室員4
(業 務)
入試対応
ファクトブック
大学情報DB
財務改善計画
調査統計総括
オープンキャンパス
入試緊急対策
入試広報
入試情報等調査分析T
入試情報交換ミーティング
校友会
総合的学生情報
データベース
2010.6.1概算要求事業対応
~現在(2012.6.1)
理事2、
教授2、
部長1、課長1、
副課長1、係長2、
主任1、係員4、
校友会担当2
理事2、
教授2、助教2、
部長1、課長2、
副課長1、係長2、
主任2、係員4、
校友会担当2
(業 務)
EM担当
入試担当
校友会担当
(業 務)
EM担当
入試担当
校友会担当
EM部へ昇格
2011.4.1
事務組織改編
2012.4.1
事務組織改編
山形大学EM部の課題
山形大学EM部のビジネス・システム
入学前
学生募集
①
学生募集に関する戦略的
なプランニングとその運営
卒業後
在学中
卒業生のコミットメント醸成
及び 寄附募集
調査分析(EMIR)
②
発足当初の業務量の比重
現在
学生募集関連の諸調査、学生
満足度調査、保護者、卒業生調査
等のプランニングとその運営
③
卒業生満足度向上のためのプランニングと
その運営、寄附に関するニーズ調査
学生満足度向上のためのプランニング
(一部運営)
①:②:③=6:3:1
①:②:③=5:3:2
学生募集については、調査分析を元にしたプランニング業務により中心を移し、
実務は、各学部等に中心を移す。奨学金政策と学生募集をミックスさせる等、
より戦略的プランニング業務を行う。EMIR業務を軌道に乗せる。
中・長期的な理想
①:②:③=3:4:3
諸満足度調査・分析結果をもとに、満足度向上の戦略的プランニングを行う。在
学中の高い満足度が、卒業生の大学へのコミットメントを高め、有形無形の寄附
や関係者の入学につながる。在学中から卒業後の大学との強い関係性を構築する。
山形大学EM部の挑戦
■2010年度概算要求事業(3年間)
■事業名
学生の大学への期待、満足度、成長の自覚、
目標達成感等を向上させることを中心においた
教育改革マネジメント・サイクルの実現
財務会計的IRではなく、
管理会計的IRを志向するEMIR統合システムの構築
< 意思決定に資するIR >
YAMAGATA University
学生の大学への期待、満足度、成長の自覚、目標達成感等を
向上させることを中心においた教育改革マネジメント・サイクルの実現
1 高等教育を取り巻く環境と対応策
・少子化
・大学全入時代
・
・
・
・
・
・ユニバーサル化
・グローバル化
大学の個性化・特色化
多様化した学生への対応
職業人としての基礎能力の育成
創造的な人材の育成
国際的通用性を備えた人材の育成
3
「教育の質」の保証の重要性
これまでの取り組みと課題
・
・
専門部署(部局)毎の個別の検証
GPAやアウトカム評価のような結果・成果
にのみ着目した評価
・ 大学の一方向的な教育改革
公的 及び 自主的な
質保証の仕組みの強化
・
全学一致した方向性による教育改革の
欠如(部局間のベクトルの相違)
・ 教育データ分散による総合的観点からの
検証の欠如
・ 学生視座による教育改善の欠如
平成20年12月24日
中央教育審議会
「学士課程教育の構築に向けて」(答申)
4
・
・
・
2
教育改革マネジメント・サイクルの実現
教育データの統合による総合的な教育改革
全学一致した方向性による教育改革
学生視座も含めた教育改善
学外アクセス
卒業後、大学教育
の有用度、要望調
査等
入試情報
学務情報
就職情報
卒後情報
・
入学から卒業後までの情報を一貫して管理する
ことによる、総合的観点からの検証
・ 大学教育に関する情報を全学的に共有すること
による、全学一致した方向性の教育改革
・ GPAやアウトカム評価に偏らない、学生自身の
満足度、成長の自覚、達成感等の把握による検証
総合的学生情報
データベース
学内アクセス
Internet
学内LAN
入学時、在学中、
卒業時、期待度、
満足度、達成度等
調査等
これまでの山形大学のIRに関する取り組み
■平成22年度~平成24年度概算要求事業
学生の大学への期待、満足度、成長の自覚、目標達成感等を向上させることを
中心においた教育改革マネジメント・サイクルの実現
総合的学生情報データ分析システム
入試情報等調査分析チーム・EM部による分析
・・・
・・・
入学前 入試
入試
接触
成績
学生ID 入学前
入学前
入試
接触 情報
成績
学生ID 情報
接触 情報
成績
学生ID 情報
情報 情報
入学時
在学中
卒業時
卒業後
入学後 相談
授業 課外活動 奨学金 就職 卒業時
入学時
在学中
卒業後
目標
有用度の
満足度
満足度
入学後
相談
授業
課外活動
奨学金
就職
入学時
在学中
卒業時
卒業後
履歴
情報
情報
目標 認識等情報
有用度の
満足度 成績
満足度 評価
入学後
相談成長自覚等
授業 等記録
課外活動
奨学金
就職達成感等
期待等
成績
履歴
評価
等記録
情報
情報
目標 認識等情報
有用度の
満足度
満足度
期待等
成績 履歴 成長自覚等 評価 等記録
情報 情報 達成感等
達成感等 認識等情報
期待等
成長自覚等
各部局の持つ情報DBから必要情報だけの抽出
入試
入試
教務課
入試
EM部
情報等
YU
情報等
個人情報含め 情報等
入試
教務課
調査分析
サポート 調査分析
管理担当部署 調査分析
担当
チーム
チーム
担当
チーム
接触者
ごとの
詳細
受験者
ごとの詳細
履修履歴
の詳細
相談等
の履歴
学生ごと
の詳細
教務課
学生課
授業
学生ごとの
ごとの
詳細
詳細
入試
情報等 EM部・
就職課
調査分析 EM担当
チーム
求人DB 学生
学生ごと ごとの
の詳細 詳細
ニーズ
寄附履歴
ボランティア履歴
振り返り
有用度
これまでに構築したシステムの概要
5つのモジュールからなるデータ分析システムを構築
学内ネットワーク
各学部実施
アンケートデータ等
⑤
学務情報
システム
分散している
様々なデータ
出欠情報
収集
出席情報
管理
Reader
ICカード学生証
③
アンケート
全学
部局等
④
ダッシュボード
アンケート作成
②
データストア&分析
分析
学部別
分析
データ
ストア
学科別
分析
個別
分析
分析可能な
最小単位を設定
入試情報等調
査分析チーム
アンケートデータ等
データ抽出
就職・
進路情報
① データ収集
個人IDの変換
入試システム
View
学部
学科
教員
職員
EM部
各種レポート
平成22~24年度概算要求事業での構築範囲
①データ収集:既存データから必要な部分を抽出し、個人情報との連結を外す処理をし、データストアへデータを格納。
②データストア&分析:既存データの格納部分とデータを分析する部分で構成。
③アンケート:学内外で実施するアンケートの作成や集計が簡易にできる機能。
④ダッシュボード:情報分析やアンケート作成を活用する個別Viewの提供。
⑤出欠情報収集:出欠情報を収集する仕組み。
データの受け渡しは、各学部等で希望した項目のみ。データの受け渡し方法は、最もセキュリティが高く、
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担当者の負担が最小限になる方法を利用。
分析パターン・サンプル①(学生満足度の向上について)
大学にとって必要な視点:全ての学生の全ての項目における満足度を上げるのは困難である。山
形大学はどのタイプの学生の満足度を、どのように向上させるべきであるのか?
現状:満足度調査が単体で分析されており、その他の情報とリ
ンクして分析されていない。
出欠情報
GPAの推移
課外活動や
留学等の経歴
全国的な
ベンチマーク
調査
満足度
達成感
山形大学の独自指標による
学生満足度の効果的な向上
問題点:
満足度調査を単体で分析しても、あらゆるタイプの学生の平均
しかわからない。また、山形大学は、どの項目に対する満足度を
優先的に上げるべきなのかというプライオリティが不明で、何から
対策をとるべきかわからない。
解決策:
・GPA等の他のデータとの相関の分析
例えば、GPAの段階、卒業研究の成績段階、出席状況等のタ
イプ別に学生を分類した上で、タイプごとの満足度を分析するこ
とにより、山形大学は、どのタイプの学生の、どの項目の満足度
を上げるべきなのかが議論され、対策も明確になる。
さらなる展開:
データ分析を継続し、これらの議論を積み重ね、具体的な対策
をとることで、山形大学は、どのタイプの学生のどの項目の満足
度を上げることが得意なのかという強みを明確にできる。
分析パターン・サンプル②(休学・退学について)
大学にとって必要な視点:休学者と退学者の理由の把握をどのように行い、効果的な対策のプラ
ンニングをどのように実施すべきであるのか?
現状:個々の授業単位でしか出欠情報が把握されていない
休学率
退学率
出欠情報
GPAの推移
入学時の入試区分
課外活動や
留学等の経歴
他大学等情報
満足度
達成感
学習目標
休学・退学における傾向分析と
効果的な対策の明確化
問題点:
全ての授業を休みがちなのか、単体の授業を欠席しがちなのかの
見分けがつかない。いつ欠席する傾向が始まり、どのタイミングで休
学・退学に至るのか、休学・退学理由との関連についても、傾向
が明確ではない。また、休・退学者の割合が、問題とすべきレベル
なのか、一般的なレベルなのか判別がつかない。
解決策:
・出欠情報の一定の体系性を持った収集
・一般的な指標(他大学の公表値等)との比較分析
・原因となっていると予測される要因の検証データの収集
さらなる展開:
収集された情報に基づき、リスクの度合いが明確になり、適切なタ
イミングで、学部等ごとに対策を取ることができる。その結果として、
休学・退学者の比率を減少させることができる。
分析パターン・サンプル③(山形大学に対する卒業生の評価について)
大学にとって必要な視点:山形大学の教育を経験し、社会人となっている卒業生の大学に対す
る評価は重要である。これらの情報をどのように有効に活かすべきか?
入学時の入試区分
在学中出欠情報
在学中GPAの推移
在学中満足度の推移
在学中の課外活動や
留学等の経歴
全国的な
ベンチマーク
調査
卒業生の満足度
卒業生の有用感
山形大学の強み、弱みの把握と
実績に基づいた山形大学独自の
AP、CP、DPの構築
現状:卒業生調査が単体で分析されており、その他の情報とリ
ンクして分析されていない。
問題点:
卒業生調査を単体で分析しても、被調査者である卒業生全
体の傾向しか理解できず、調査のコストに対し、結果の利用価
値が小さい。
解決策:
・在学中のGPA、満足度、出欠情報、入学時の入試区分等
のデータとの相関の分析
例えば、卒業後に大きな満足を山形大学に感じている卒業生
が、在学中に、どのような成績、満足度、出欠、課外活動の状
況だったのか等との相関を分析をすることにより、例えば、山形
大学で成功した学生等のプロファイルが明確になり、山形大学
卒業生を軸にした、山形大学の強み、弱みが把握される。
さらなる展開:
データ分析を継続することで、山形大学で成功した学生等のタ
イプが明らかになり、実績データという事実に基づいた山形大学
独自のAP、CP、DPの構築が可能になる。
分析パターン・サンプル④(就職活動支援について)
大学にとって必要な視点:本学の就職に関する競争力はどの程度なのか?また、本学の卒業生
にとって、どのような状況の就職率や就職先等が望ましいのか?
現状:山形大学単体の就職率のみの推移を分析している。
入学時の入試区分
出欠情報
GPAの推移
課外活動や
留学等の経歴
採用動向
経済指標
企業情報
就活への態度
活動内容
就職活動の競争力に関する
指標の確立と対策の明確化
問題点:
山形大学単体での就職率の推移を見ているだけでは、景気変
動の要因に左右される部分が大きく、大学の成果指標として見
ることが難しい。また、企業等データを分析することなしに、就職
率だけを指標にしても、就職状況の実態が把握されない。
解決策:
・外部環境と比較/学内データとの比較
例えば、同規模/同学部/同一設置形態の平均就職率と、山
形大学の就職率の差分を指標として、経年変化を追うことで、
山形大学の就職競争力を把握する。
・企業等データの分析
企業情報をリンクさせ、山形大学卒業生の就職の質を分析し、
経年変化を見ることで、山形大学の就職競争力を把握する。
さらなる展開:
就職競争力が高かった年度の卒業生の在学時のデータ等を分
析することで、就職競争力を高める支援の方法を効果的に見
出すことができるようになる。
大学マネジメントの課題
必要とされる
マネジメント・スタイル
限られた経営資源
教学
ガバナンス
全学的な方向性
プライオリティを
定めた戦略策定
大学のもつ合意形成文化
迅速な意思決定
各部局の自治による部分最適
新たな解決すべき課題
課題への対応
リーダーシップ強化
公的質保証システム
(ベンチマークや大学間比較)
自学の分析によるPDCA強化
法制
マネジメント
人材の育成
法制(認証評価等)・
大学ポートレート構想
IR
分野分散的な
IRシステム
IRの専門特化による
ブラックボックス化
合意形成&意思決定支援
ツールの必要性
内部質保証の
必要性
管理会計的
指標の必要性
IRの人的システム設
計の困難さ
平成25年度以降の新規プロジェクト
戦略的意思決定のための全学統合型IRシステム構築による
大学教育マネジメント・サイクルの持続的発展
ー教育・研究・社会貢献及び財務データを統合した内部評価システムによる教育の質の向上ー
新規プロジェクトの目的
「学生教育」データを中心に、「研究」「社会貢献」を含めたデータを統合し、財務的な切り口
を加えてパフォーマンス分析を行い、学部や部署の部分最適に留まらない全学的な戦略立案や成
果の分析を実施することで、学生教育を中心とする本学の価値を持続的に向上させる
既存プロジェクトの概要
日本の大学では初めての先駆的な取り組み
財務的な制約等など厳しい環境下においても、戦略的な計画のもとに教育改善を行い、
教育的な質の向上を持続するための極めて重要な取り組み
「学生の大学への期待、満足度、成長の自覚、目標達成感等を向上させることを中心においた教育改革マネジメント・サイク
ルの実現 -総合的学生情報データベースを利用した教育プロセス管理による大学教育の質の向上-」
<目的> 教育改善のPDCAサイクルをFACTベースで発展させる
<方法> 学内に点在する受験生、在学生、卒業生に係わるデータを統合して分析することで、
学生を知り抜き、本学教育の持つ強みや課題を発見し、効果的に改善やその評価を実現する
既存プロジェクトの問題点
本学教育の強みや課題が把握され、戦略を立案、実施する段階においては、
必要とするそれぞれの施策に対し、プライオリティを定めることが必要
→ 財務的な視点を外し、施策のプライオリティを定めることは困難
大学の役割は、「教育」「研究」「社会貢献」の3本柱
→ 学生教育視点だけでの戦略立案では、大学の長期的な価値を損なうリスクが存在
新規プロジェクトにおいて構築するシステム概要
教育に関するデータ
研究に関するデータ
大学情報データベース等
総合的学生情報
データ分析システム
社会貢献に関するデータ
共同研究・外部資金・
地域からの評価等データ
既存プロジェクト部分
山形大学
全学統合型IRシステム
財務に関するデータ
(教育等の必要な
分析に関する部分)
財務会計システム
新規プロジェクトの分析パターン・サンプル①(教育サービス活動の向上について)
大学にとって必要な視点:学生に対する様々な教育サービスについて、コストの見える化や、それら
に対する学生の成長や満足度等の成果を追うことで、さらなる向上を図ることが出来ないか?
現状:学生に対する教育サービスの活動に対して、コスト的な
観点での見える化ができていない。
事業費等のコストに
関する情報
活動プロセスの情報
コストや
プロセスに
関する評価
学生の成長度
学生の満足度
教育サービスで生みだされる
学生の成長や満足度の
より一層の向上
問題点:
さまざまな学生サービスについて、それらの活動に対するコストが、
学生の成長や満足にどのように結びついているのかを見える化す
ることが、出来ていない。そのため、努力に対する明確な指標が
なく、費用対効果がはっきりとは見えない。
解決策:
サービス活動のプロセスを5W1Hで整理し、かかるコストを配賦
することで、活動コストの見える化を図る。分析手法は、企業や
行政サービスを効率化するために用いられるABC(Activity
Based Costing:活動基準原価計算)等を用い、費用対
効果に関する明確な指標を作る。
さらなる展開:
サービス活動を一定の指標で見える化することで、教育サービス
活動の改善を図り、教職員が、効果的な新規教育サービス活
動を創出することに対する支援につなげる。
新規プロジェクトの分析パターン・サンプル②(施設・設備の利活用の向上について)
大学にとって必要な視点:山形大学の施設・設備への投資が、学生教育、研究成果、公開講
座や学外向けセミナー開催などを通した社会貢献へと、具体的につながっているか?
現状:学内の施設・設備への投資に対して、効果の見える化
ができていない。
施設・設備の
投資に関する情報
利用率
論文・特許
本数等
利用者の満足度
施設・設備の利活用効果の
見える化による利活用の促進と、
活動の品質向上
問題点:
施設・設備投資に対して、その利活用効果が学生教育、研究
成果、社会貢献に、どの程度寄与しているのかが、明確にでき
ていない。そのため、施設・設備への投資が最適な配置となって
いるのかを評価する軸がない。
解決策:
・教育、研究、社会貢献活動と投資との相関分析
学内の施設・設備への投資に対して、教育、研究、社会貢献
活動と、施設・設備を利用した満足度、学内外の活動による施
設・設備の利用率、研究施設から生産された論文や特許の本
数等を可能な限り紐づけ、設備の利活用の度合を分析する。
さらなる展開:
短期的に効果を生むものと長期的に効果を生むものとを分類し、
管理会計的な投資効果の見える化を図ることで、全学での施
設・設備の利活用を促進し、利活用の質を向上させる。
戦略的意思決定のための全学統合型IRシステム構築による
大学教育マネジメント・サイクルの持続的発展
内部質保証の
必要性
管理会計的
指標の必要性
外部向け
財務会計的指標
内部向け
管理会計的指標
評価分析室
エンロールメント・
マネジメント部
分野分散的なIR
システム
IRの専門特化によるブ
ラックボックス化
IRの人的システム設計
の困難さ
全学統合型
IRシステム
合意形成&意思決定
支援ツールの必要性
マネジメント
人材の育成
見える化による合意形成及び
意思決定のためのIRシステム
データダウンロード機能
データ分析ツールの実装
他の分析ツールとの連携
マネジメント層・実務者層、
部局等に応じた
デジタル・ダッシュボード及び
多様なテンプレートの配置
IRの人的システム・モデル
3階層に分けたIR人材育成
①「IRデータの分析人材」
(IR専門教員あるいは部局等の
分析を担当する専門性を持つ教員)
②「IRデータ活用を推進する人材」
(シニア教職員)
③「IRデータを活用する人材」
(一般職員、専門以外の教員)
実績・経験・見識等と
データ分析結果とに
もとづく意思決定
大学ガバナンス強化
大学マネジメント支援
FACT(データ分析)に
もとづく迅速な
合意形成
国立大学法人山形大学 御中
APPENDICES
大学独自の内部質保証システム
重要業績評価指標にもとづく評価システム・モデルの確立のために
大学の戦略可視化と評価KPIについて
バランスト・スコアカードを活用した財務視点での戦略可視化
富士通株式会社 統合マーケティング本部
ソリューション推進統括部ソリューション推進部
×
山形大学 エンロールメント・マネジメント部
大学の戦略評価KPI
本プロジェクトでは、全学ベースでの大学の戦略評価KPI(キー・パフォーマンス・インディケーター:重要業績
評価指標)について、本学独自のモデルの構築を目指す。
従来、企業で用いられてきたBSC(バランスト・スコアカード)による業績評価の考え方では、利益創出を目
標とするため、低層から高層へ、「社員教育の視点」→「業務プロセスの視点」→「顧客の視点」→「財務の視
点」が位置づけられている。大学の戦略評価KPIでは、財務(予算)や施設設備への投資を起点に、最上層
に「学生の成長の視点」を位置づけ、その効果を可視化することを目的とする。
【大学用 BSC】
学生の成長の
視点
・学生教育と成長との費用対効果を測定・評価する
・グローバル視点から、留学生の国内学生への影響や教育的
な効果などを測定・評価する
・正課外の活動と学生の成長との費用対効果を測定・評価
する
教育・研究・
社会貢献業務
プロセスの視点
・学生に対する教育内容を測定・評価する
・正課外での大学の学生サービスの内容を測定・評価する
・教員の研究論文・特許などの費用対効果を測定・評価する
教職員研修の
視点
・教職員に対するFDやSDの実施内容及び効果(授業評価
のスコア、論文数、学位や資格の取得、社会貢献度等)を
測定・評価する
財務の視点
・教育等に関する予算/施行実績等を測定・評価する
施設設備の
視点
・施設設備の投資が、学力の伸びや満足度の向上、出願者
数の増加等に与える影響を測定・評価する
【参考:企業用 BSC】
財務の視点
・損益の目標を設定し、予実/
施策の評価を行う
顧客の視点
・財務目標に対して、顧客への
サービス視点での評価を行う
業務プロセスの
視点
・効率化や改善を行うことで、
お客様の満足度(CS)向上
や利益への貢献を目指す
社員教育の視点
・業務プロセスに必要な社員教
育を実施する
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Marketingの潮流
CSからCEへ
満足した顧客は、再び訪れる(リピーター)
ロイヤルカスタマー
感動した顧客は、その感動を人に話し、新しい顧客を創出する
(口コミ効果)
共感、感動マーケティングの時代
期待を超える商品・サービスが感動を生む
ハイコンセプト・
ハイタッチの時代
顧客(学生)の期待を科学的調査分析手法(定性・定量)によりDB化する
学校規模の大小に関わらず最重要のコンセプト
(規模の小さい方が、DBの構築や学生のメンテナンスには有利。スピード経営の確立。)
Marketingの潮流
Marketingの新潮流
マーケティング1.0
マーケティング2.0
マーケティング3.0
製品中心のマーケティング
消費者志向のマーケティング
価値主導のマーケティング
目的
製品を販売すること
消費者を満足させ、
つなぎとめること
世界をよりよい場所に
すること
可能にした力
産業革命
情報技術
ニューウェーブの技術
市場に対する
企業の見方
物質的ニーズを持つ
マス購買者
マインドとハートを持つ
より洗練された消費者
マインドとハートを精神
を持つ全人格的存在
主なマーケティング・コンセプト
製品開発
差別化
価値
企業のマーケティング・
ガイドライン
製品の説明
企業と製品の
ポジショニング
企業のミッション、
ビジョン、価値
価値提案
機能的価値
機能的・感情的価値
機能的・感情的・
精神的価値
消費者との交流
1対多数の取引
1対1の関係
多数対多数の協働
フィリップ・コトラー『コトラーのマーケティング3.0』より
大学の戦略評価KPI
【大学用 BSC】
社会変革の
視点
・世界のどの部分を、大学の教職員や学生、社会人、そして学外の
ステークホルダーが、価値を共有して、変革したのかを評価する
学生の成長の
視点
・学生教育と成長との費用対効果を測定・評価する
・グローバル視点から、留学生の国内学生への影響や教育的な効果
などを測定・評価する
・正課外の活動と学生の成長との費用対効果を測定・評価する
教育・研究・
社会貢献業務
プロセスの視点
・学生に対する教育内容を測定・評価する
・正課外での大学の学生サービスの内容を測定・評価する
・教員の研究論文・特許などの費用対効果を測定・評価する
教職員研修の
視点
・教職員に対するFDやSDの実施内容及び効果(授業評価のスコ
ア、論文数、学位や資格の取得、社会貢献度等)を測定・評価する
財務の視点
・教育等に関する予算/施行実績等を測定・評価する
施設設備の
視点
・施設設備の投資が、学力の伸びや満足度の向上、出願者数の増
加等に与える影響を測定・評価する
31
EMIRまとめ
最も重要なことは、学生を知り抜くこと
社会(企業、保護者、高校)の期待を知り抜くこと
・
マーケティング手法に、フレームワークはあっても統一手法はない。
・
各大学に即した手法を、トライ&エラーで、見つけ出すべき。
・
EMは、各大学それぞれの考え方で実施すべきもの。
・
機関調査(IR)は、全国統一規格で行うものではない。
それでは、各大学が固有に持つ本質的な問題の発見や解決につながらない。
・
特に、学生調査は、「学生を知り抜くため」に行うもので、
論文を書くため、科研を取るため、広報に利用するため、認証評価のために
行うものではない。それが中心になると、問題の本質に絶対にたどり着けない。
・
「~のために考える」のではなく、「~の立場になって考える」
・
Marketing2.0<CS> →
<CE>
→
<SV> Marketing3.0
ステークホルダーの価値を創造し、
組織一体となって、価値最大化を実現し続ける活動
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