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健常人ボランティアおよび抗血小板剤療法 を毎日
健常人ボランティアおよび抗血小板剤療法 を毎日受けるドナーにおける 5 つの血小板 機能検査の精度および信用度 Brad S. Karon1,*, Nicole V. Tolan2, Christopher D. Koch1, Amy M. Wockenfus1, Randall S. Miller1, Ravi K. Lingineni3, Rajiv K. Pruthi1, Dong Chen1 and Allan S. Jaffe1 Author Affiliations 1 Department of Laboratory Medicine and Pathology and Division of Biomedical Statistics and Informatics, Mayo Clinic, Rochester, MN; 2 Current address: Department of Pathology, Beth Israel Deaconess Medical Center and Harvard Medical School, Boston, MA. 3 * Address correspondence to this author at: Department of Laboratory Medicine and Pathology, Mayo Clinic, 200 First St SW, Rochester, MN 55905. Fax 507-538-7060; e-mail [email protected]. 用紙 背景:機械的循環補助の間使用される抗凝固療法は、抗血小板剤の用量設定を必要とする。私た ちは、健常人ボランティアおよび毎日抗血小板療法を受けるドナーにおいて 5 つの血小板機能 検査の精度および信用度を比較し、抗血小板療法の用量設定に対する有効性を区別した。 方法: 私たちは、アラキドン酸によって惹起される血小板機能を光透過凝集測定法 (LTA)、マル チプレートインピーダンス凝集測定法、VerifyNow およびトロンボエラストグラフィーによる 血小板マッピング (TEG PM) によって評価した。私たちは、ADP によって惹起される血小板機 能も同様の方法およびフローサイトメトリによって評価した。40 人の健常人ボランティアおよ びアスピリンもしくはクロピドグレル治療を毎日受けている 10-13 人のボランティアを評価し た。私たちは、検査内および検査間の精度 (二つの異なる採血サンプル) および信頼度係数を比 較した。 結果: 健常人ボランティアにおいてアラキドン酸によって惹起される血小板凝集能の検査内お よび検査間 CV は、すべての測定法で≤10%であった。毎日アスピリンを服用しているドナーで は、検査内および検査間の精度は、LTA (38%検査間 CV)、TEG PM (95%検査内 CV および 104%検査内 CV) を除くすべての測定法で≤30%であった。ADP によって惹起される血小板機能 において、検査内および検査間精度は、すべての測定法でそれぞれ≤10%および≤30%であっ た。マルチプレートのみすべての被験者間でアラキドン酸によって惹起される血小板機能の信 頼係数は、中程度より大きく(R > 0.40) なった。ADP によって惹起される血小板機能のすべての 測定法は、TEG PM を除いてすべての被験者においてかなり高い信頼度係数 (R > 0.60) を示し た。 結論: TEG PM は、抗血小板剤の影響をモニターするのに最も適していない。マルチプ レートインピーダンス凝集測定法は、健常人ボランティアおよび毎日アスピリンやクロ ピドグリル治療を受けているドナーにおいて許容できる信頼係数を示す唯一の方法であ った。 長期間の機械的循環補助 (MCS)4 は、心臓移植への橋渡しや心筋損傷患者における回復 への橋渡し、心臓移植の候補とならない末期の心疾患患者への最終治療として使用され る (1)。左心補助心臓(LVAD)と完全人工心臓のような MCS は、多くの合併症を生じ るが、成人および子供において移植時の生存率を劇的に増加させた (2,3)。術中時、患 者の 60%が、大量出血を経験し、歴史的に血栓塞栓症もしくは発作を経験する (1)。い くつかの新規の連続流動 LVAD 装置は、全身性血栓塞栓症もしくは出血の確率を低く 抑えることが出来るが、装置血栓症の問題は相変わらず起こり得る (4)。出血や血栓塞 栓症は、装置移植後の長期間普遍的にみられる合併症でもある (5)。 術中出血と装置血栓症と血栓塞栓症のリスクとのバランスを取るために、MCS 装着法 において血小板機能の臨床検査 (アスピリンの用量設定するためにアラキドン酸によっ て誘導される血小板機能検査やジピリミドールやクロピドグレルのような薬品の用量を 決定するためのアデノシン 2 リン酸 (ADP) によって誘導される血小板機機能検査) を行 い抗血小板試薬の用量決定を必要とする。しかしながら、血小板機能の臨床検査は、短 い時間で抗血小板薬の用量を決定することが出来る正確でかつ十分信頼できるかを示唆 するような証拠はほとんどない。最近のコンセンサスのとれたガイドラインは、ADP によって誘導される血小板機能を検査することで治療による血小板の反応性を推測する ことで発展してきたが、これらの結果を解釈するとき生物学的かつ分析的による検査の 可変性を考慮していない (8, 9) いくつかの研究で血小板機能検査の分析精度を調べた (10-13)。しかしながら、血小板 の活性化は、血液サンプリングおよび処理中に生じ (14-17)、一つの血液サンプルから 複数回分析を行うと全体の定量の精度が低下する。短い期間で集められた多くの血液サ ンプルを使用する事で血小板機能の精度を測定した研究がわずかながらある (13, 18, 19)。以前の研究は、血小板機能検査の信頼度係数を用いて血小板採取および処理に関 連する血小板機能の変化を測定した (18)。これらの著者は、より低い信頼度係数 (高い 個人内変動) を示す血小板機能検査は、リスクファクターや病気がもたらす結果と相関 しないと結論付けた (18)。 この研究において、私たちは、5 つの血小板機能検査の検査内の精度 (一つの血液サン プルから複数回分析を行う)、検査間の精度 (24-28 時間内 2 つの血液を採取し分析を行 う) および信頼度係数を測定した。私たちは、健常人ボランティアと毎日アスピリンも しくはクロピドグリルを服用するドナー両方で血小板機能を測定した。健常人ボランテ ィアと血小板阻害剤を服用する患者の血小板機能の分布を比較し、正常血小板機能およ び血小板機能が阻害されたボランティア間の検査内精度、検査間精度、信頼度係数を計 算することによって、私たちは、短時間で抗血小板治療の用量決定するための 5 つの血 小板機能検査の相対的な効率を比較した。 マテリアルとメソッド 研究対象群 少なくとも 4 日間 OTC、10 日間アスピリン含有製品もしくは研究を行う前に処方薬を 服用していない 40 人の断食中の健康成人ボランティア (20 人の男および 20 人の女性) が集められた。血液は、静脈穿刺によって 2 ml 捨てた後、3-ml シリンジ 1 つに、2.0-ml Vacuette 3.2%クエン酸チューブ (Greiner Bio-One) 4 つ、2.7-mL バキュテナー 3.2% クエ ン酸チューブ (BD) 3 つ、4.0-mL リチウムヘパリン (75 USP units) チューブ (BD) 1 つ、 そして 3.0-mL, 25-μg/mL ヒルジンチューブ (Verum Diagnostica) 1つに回収した。40 人 の健常人ボランティアのうち 23 人は、断食中の血液採取を 24-48 時間以内に繰り返し 行った。さらに、13 人の治療中のドナー (8 人男、5 人女性) が、診療所の周りに“ボラ ンティア募集”の広告により集められた。これらのドナーは、入院中、急病、もしくは 研究期間中に医療サービスを求めていない人たちであり、アスピリンを毎日服用してい る (80-325 mg)。毎日クロピドグリルを服用している 10 人の同様なドナー (6 人男性、4 人女性)は、上記のように、24-28 時間以内に 2 回の血液採取が行われた。8 人のドナー は、毎日アスピリンおよびクロピドグリルを服用しているので両方の治療群に含められ た。 全ての 40 人の健常人ドナーからのサンプルは、アラキドン酸および ADP によって惹起 される血小板機能の評価に使用された。治療群のため、アスピリンを服用しているボラ ンティアは、アラキドン酸によって惹起される血小板機能のみの評価に含められ、クロ ピドグリルを服用する患者は、ADP によって惹起される血小板機能のみで評価した。 すべての血小板機能検査は、血液採取 2 時間以内に完了した。研究のデザインは、 Mayo Clinic Institutional Review Board によって承認を受けた。 血小板機能分析 血小板機能検査は、PAP-8E 血小板凝集計(Bio/Data Corp.)で血小板を多く含む血漿を用 いることによる透過凝集測定法 (LTA)、マルチプレート全血インピーダンス血小板凝集 計 (Multiplate, Verum Diagnostica)、VerifyNow 全血血小板凝集計(VerifyNow, Accumetrics), TEG PM (Haemonetics)や血管拡張因子刺激リン酸化タンパク質 (VASP)の フローサイトメトリ分析で行った。血小板機能測定法については、Supplemental Appendix 1 を見よ。この論文のオンライン版に掲載する http://www.clinchem.org/content/vol60/issue12。 統計解析 私たちは、健常人ボランティアや毎日アスピリン (アラキドン酸によって惹起される機 能のみ)やクロピドグリル (ADP によって惹起される機能のみ)を服用するドナーにおけ るアラキドン酸および ADP によって誘導される血小板機能の検査の平均 (SD) 値を計算 した。最初の血液サンプリングで観察された (2 回の) 平均値を用いて私たちは ROC 感 受性分析を行い、健常人ボランティアと毎日アスピリンもしくはクロピドグリル治療を 受けるドナーとの違いを区別する能力をもつ検査方法を比較した。 私たちは、健常人ドナー間の検査内精度をすべて 63 人分の繰り返し行った結果の標準 偏差の平均を取り (初日の 40 人の健常人ドナーおよび 2 回目の血液採取を行った 23 人 の健常人ドナー) 、63 人の平均値で割った。私たちは、24-28 時間以内で 2 回繰り返し て分析を行うことで血液採取された 23 人の健常人ドナー間の 4 つのサンプルから分析 間の精度を計算し、4 回の分析から平均 (SD)を平均値で割った。検査内精度は、平均の 個人内変動 (分析前、分析および生物学的変動) で表した。24-28 時間以内の繰り返し分 析によって、生物学的変動は最小化され、検査全体の変動性 (分析前および分析) を得 た。 同様の方法で、私たちは、毎日クロピドグレルを服用する 10 人のドナーおよびアスピ リンを服用する 13 人のドナーの分析間および検査内精度を計算した。健常人ボランテ ィアと毎日アスピリンもしくはクロピドグレルを服用するドナー間の血小板機能を測定 することによって、私たちは、正常もしくは血小板機能が抑制された患者で予想される 血小板機能レベルで分析精度を計算した。 私たちは、23 人の健常ドナーおよび 10-13 人の治療中のドナーの 4 回の分析結果 (2 つ の血液サンプルそれぞれ 2 回ずつ)から得られた総分散(σTOT2) を個人間(σBP2)および個人 内(σwP2) 分散に分割し信頼係数 (R) を算出し、線形混合効果モデルにおけるランダム効 果を想定した。分析前 (血液採取間および処理中における血小板活性化)、分析および生 物学的変動は全て個人内分散に寄与し、個人間分散は、基本的な血小板活性化や抗血小 板試薬への反応性に対する個々の違いを反映する。ヒト間の変動もしくは信頼度係数(R = σBP2/σTOT2) に起因する総分散の割合は、ペアの測定値間の相関として解釈することが 出来る (異なる 2 日間によって得られた測定値)。より低い R 値は、個人内の分散源が、 総分散により寄与していることを意味し、個人間のそのような観察された違いは、リス クファクターや病気と有意的に相関がないことを示す。クラス内係数の計算にともない 信頼度係数の解釈のためのガイドラインは、0-0.20 を低い信頼性、0.21-0.40 を適度な信 頼性、0.41-0.60 を中程度な信頼性、0.61-0.8 を相当な信頼性 0.81-1.00 を非常に良い信頼 性として定義した (18)。以前の研究を基に (18)。中程度もしくはそれ以上 (R >0.40)の信 頼度は許容できると考えた。 結果 健常人ボランティアおよび抗血小板療法を受けるドナーの血小板機能検査結 果の分布 40 人の健常人ボランティアから得られた 64 サンプル (各 2 回繰り返し) および毎日アス ピリンを服用する 13 人のドナーから得られた 26 サンプル (各 2 回繰り返し) における アラキドン酸によって誘導される血小板機能を 4 つのアッセイ法で測定した。TEG PM、マルチプレートおよび LTA では、健常人ボランティアの平均値は、少なくともア スピリンを毎日服用するドナー間の平均値に比べ 5 倍高かった (Fig.1)。反して、健常人 ボランティア間の平均 VerifyNow 値は、アスピリン投与ドナーの平均値に比べ <2 倍ほ ど高かった (Fig. 1)。最初の血液サンプルからの平均値を用いて行われた ROC 感受性分 析は、マルチプレートや TEG の AUC は、1.000 であった。その検査は平均初期値を用 いることで健常人ボランティアをアスピリン治療を受けるドナーから分離することが出 来た。しかしながら、全ての個々の値を用いた時、マルチプレートではなく TEG PM は、健常人ボランティアとアスピリン投与ドナー間で重なりがあった (Fig. 1)。LTA や VerifyNow の AUC は、それぞれ 0.959 および 0.998 出会った。検査間の AUC 値の違い は、統計学的に有意ではなかった (χ2 P value >0.05)。 Fig. 1 健常人ボランティア(•)および毎日アスピリン治療を受けるドナー(×)における TEGPM、LTA、VerifyNow やマルチプレートインピーダンス凝集測定法によるアラキドン 酸によって惹起される血小板機能の散布図 TEG PM および LTA において各点は、パーセント活性として表される 1 つの血小板機 能値を示す。VerifyNow やマルチプレートにおいて、値は、任意の反応単位 (ARUs)も しくは、任意の凝集単位 (AAU)としてそれぞれあらわす。研究期間 (一日もしくは二日 目) で得られたそれぞれ個々の測定値をプロットする。図の下で、健常人ボランティア や毎日アスピリン治療を受けているドナーの平均 (SD)を示す。 同様の方法で、ADP によって惹起される血小板機能は、64 人の健常人ボランティアサ ンプルおよび 20 人のクロピドグリルドナーサンプルを TEG PM、LTA、VASP、 VerifyNow、そしてマルチプレートで評価した。健常人ドナー [85% (14%)] や毎日クロ ピドグリルを服用しているドナー [72% (23%)]の TEG PM の平均 (SD)値にほとんど違い はなかった。反して、健常人ドナー間の LTA、VerifyNow やマルチプレートの平均値 は、毎日クロピドグレルを服用するドナー間の平均値より 2 倍ほど高かった。VASP フ ローサイトメトリによる健常人ドナーの平均値は、クロピドグレルグループに比べ 5 倍 ほど高かった (Fig.2)。ROC 感度分析により、TEG PM において健常人ボランティアを クロピドグレルドナーから分離するための AUC は、0.589 であり、マルチプレート (0.930)、LTA (0.892)、VerifyNow (0.950)そして VASP (1.000)による AUC より有意に低 かった (χ2 P value <0.05)。マルチプレート、LTA、VerifyNow や VASP の AUC は、有意 な差はなかったが、VASP は、平均初期値(ACU 1.000)の用いることで健常人ボランテ ィアとクロピドグリル治療を受けるドナーとを区別する唯一の方法であった。 Fig. 2 健常人ボランティア(•)および毎日クロピドグレル治療を受けるドナー(×)における TEGPM、LTA、VASP フローサイトメトリ、VerifyNow、マルチプレートインピーダンス 凝集測定によるアラキドン酸によって惹起される血小板機能の散布図 TEG PM、LTA や VASP において各点は、パーセント活性もしくは血小板活性指数 (VASP)としてあらわされる 1 つの血小板機能値を示す。VerifyNow やマルチプレートに おいては、値は、任意の反応指数 (ARUs)もしくは、任意の凝集単位 (AAUs) をそれぞ れあらわす。試験間 (1 日や 2 日)で得られた測定値それぞれをプロットする。図の下 に、健常人ボランティアおよび毎日クロピドグレル治療を受けているドナーの平均 (SD) 値を示す。 アラキドン酸によって惹起される血小板機能の検査内および検査間精度 VerifyNow は、健常人ボランティアや毎日アスピリン治療を受けるドナー間で検査内お よび検査間精度を<10%にする唯一な方法であった (Table 1)。マルチプレートは、健常 人ボランティアで<10%の検査内および検査間 CV を示し、毎日アスピリンを服用して いるドナーでは、検査内および検査間 CV は、<25%であった。他の方法と比べて、 LTA (38%検査間 CV)や TEG PM (95%検査内 CV および 104%検査間 CV) は、毎日アス ピリン治療を受けているドナーでは精度が低いことが実証され (Table 1)、その理由の一 つとしてアスピリン服用ドナーの LTA および TEG PM の絶対値が低いことが考えられ る (Fig. 1)。 Table 1. 健常人ボランティアおよび毎日アスピリン治療を受けるドナーとのアラキドン 酸によって惹起される血小板機能検査による検査内および検査間精度 ADP によって惹起される血小板機能の検査内および検査間精度 健常人ボランティアにおいて全ての検査法は、<10%の検査内および検査間精度を示し た。VASP フローサイトメトリーを除いたすべての検査法は、クロピドグリル治療のド ナーにおいて<15%の検査内および検査間精度であった (Table 2)。 Table 2. 健常人ボランティアおよび毎日クロピドグレル治療を受けるドナーの ADP によ って惹起される血小板機能検査における検査内および検査間精度 血小板機能検査における信頼度係数 健常人ボランティアのアラキドン酸によって惹起される血小板機能において、マルチプ レートおよび LTA ともに中程度の信頼度であった (R = 0.41–0.60) が、VerifyNow は、わ ずかであり、TEG PM では、乏しい信頼度であった (Table 3)。血小板機能が減弱したド ナーにおいては、VerifyNow やマルチプレートは共にアラキドン酸によって惹起される 血小板機能において高い信頼度(R = 0.61–0.80) を示したが、LTA や TEG PM は、わずか な信頼度を示した (Table 3)。 Table 3. 健常人ボランティアのアラキドン酸および ADP によって惹起される血小板機能 および毎日アスピリンを服用するドナーのアラキドン酸による血小板機能検査もしくは クロピドグレルを服用するドナーの ADP による血小板機能検査の信頼度係数 (R)a。 同様の方法において、マルチプレート、LTA、VerifyNow や VASP のすべての検査法で 健常人ボランティアにおける ADP による血小板機能を評価する際に高い信頼度を示し たが、TEG PM においては信頼度はわずかであった (Table 3)。クロピドグレル治療中の ドナーにおいては、ADP による血小板活性化の測定は、高い信頼度を示した (Table 3)。 ディスカッション MCS 装着法において術後期の抗血小板療法のモニタリングおよび用量決定が必要であ る (2, 6, 7)。数日間にわたる血小板機能の変化を理解し、MCS 期間において抗血小板治 療の用量決定するかもしくは、他の急性患者に対して治療をモニターするかは、短期間 の定量の精度の知識を必要とする。血液採取間の血小板の活性化 (検査前の変化の原因) は、採取するチューブのタイプ (15, 16)、血液の保管および処理の温度や時間 (14-16)、 採取用チューブの真空度 (17)や他の要因に依存し、血小板機能の検査のための分析およ び生物学的変動を独立して測定することは不可能である。 この研究において私たちは、健常人ボランティアおよび血小板阻害薬を投与されている ドナーとの血小板機能の結果の分布を調べた。私たちは、また、アラキドン酸および ADP によって惹起される血小板機能のための検査内精度 (分析の変動性)および検査間 精度 (検査前、分析中の変動および生物学的変動)や信頼度係数 (試料間の分散と全体の 分散の比) を測定した。検査間精度は、試料内変動の予測値であるが、信頼度係数を計 算するために使われる試料内分散は、すべての試料内変動の総和である。24-28 時間以 内で繰り返し血液採取を行うことによって私たちは、生物学的変動を最小限に抑え、正 常および血小板機能が抑えられた試料間の検査結果の分析前および分析による変動を直 接測定することが出来た。 VerifyNow は、健常人ボランティアおよび毎日アスピリンを服用するドナー両方におい て検査内および検査間精度を<10%にする唯一の方法であった (Table 1)。VefifyNow は、最小の検査間および検査内精度を持つが、健常人ボランティアにおいてアラキドン 酸によって惹起される血小板機能の信頼度係数は、わずかしかなかった (R = 0.23)。 VerifyNow の低い信頼度は、特定の健常人ボランティア (20 人中 5 人) の検査間変動が 他の 15 人のボランティアよりかなり高かったことに起因する (Data not shown)。その結 果、(信頼度係数の算出に使われる) 全体の個人内変動が(検査間精度を示す) 個人内の変 動の平均値よりかなり大きくなった。反してmVerifyNow は、アスピリンを毎日服用す るドナーにおけるアラキドン酸によって惹起される血小板機能においては高い信頼度 (R = 0.78) を示した。 LTA は、アスピリンを毎日服用するドナーにおいてアラキドン酸によって惹起される 血小板機能に対してわずかな信頼度 (R = 0.25) を示し、これは、高いアッセイ間 CV (37.6%)と部分的に 1 回の検査から得られた 2 回の値が、基準値とほぼ一致しているド ナーが一人いたことによる(Fig. 1)。 健常人ボランティアは、アラキドン酸および ADP による凝集において異常に低い値を持つようなものはなく (Fig 1 および 2)、その現象 は、以前にも報告されている (19)。LTA は、全血から血小板を除いた血漿の調整を必 要とし、それは人為的な結果を生じる原因となり、低い検査間精度および信頼度とな る。VerifyNow や LTA の検査間精度に関する私たちの結果は、アスピリンを服用する ドナーにおける LTA の day-to-day CV が、33%に比べて VerihyNow の day-to-day CV が、3%であった以前の結果のものと一致する (13)。 TEG PM は、アスピリンを毎日服用するドナー間でわずかな信頼度 (R = 0.26) を示し、 高い検査内および検査間 CV と一致する (Table 1)。以前の研究では、大抵の TEG PM の パラメーター [最大値 (MA) thrombin, MA ADP, MA AA] が、<10%であったが、4 番目の パラメーター (MA フィブリン)の検査間精度が、45.8%とかなり高かった (20)。別の研 究では、 “thrombin breakthrough”を提唱し、MA フィブリンが、急速にプラトーに達す ると言うよりは、時間ごとに増加し続け、その結果、MA フィブリンが不正確になる原 因となる (21)。TEG PM を 2 回繰り返して 91 ペアの追跡調査を行うことで、私たち は、4 人の追跡調査で thrombin breakthrough を観察し、他の 6 つの追跡調査で thrombin breakthrough ではない 2 回の繰り返し間での不正確 (MA フィブリンの>5 mm の違い)を 観察した。Thrombin breakthrough や MA フィブリンの変動を与える他の要因は、TEG PM 検査の低い精度および信頼度の理由になりそうだ。 マルチプレートは、アラキドン酸によって誘導される血小板機能の唯一の測定法であ り、健常人ボランティアおよびアスピリンを毎日服用するドナー両方で中程度もしく は、高い信頼度を示した (Table 3)。マルチプレートインピーダンス凝集測定法は、健常 人ボランティアおよびアスピリン服用ドナー両方において素晴らしい精度を持ち、全て の健常人ボランティアの値をアスピリン服用ドナーのものと区別することが出来 (Fig. 1)、治療の初期においてアスピリンの影響を調べる唯一の最良な検査法であった。反し て、VerifyNow は、血小板機能が強く阻害された患者においてアラキドン酸によって惹 起される血小板機能をモニターする最適な検査法である。 同様な方法で、私たちは、結果の分布、健常人ボランティアおよび毎日クロピドグレル を服用するドナー間の ADP 依存的な血小板機能の 5 つの検査法の検査内および検査間 精度、信頼度係数を測定した。TEG PM 値は、健常人ボランティアおよびクロピドグレ ル服用ドナー間でほとんど違いはなく (Fig. 1)、両方のグループで高い信頼度を示さな い唯一の検査法であった (Tabel 3)。TEG PM はまた、健常人ボランティアをクロピドグ レル服用ドナーから区別する AUC (0.589) がかなり低かった。このように、TEG PM は、ADP 阻害剤を服用する患者に短期間で血小板機能をモニターするのに最も適して いない。 LTA、マルチプレートや VefihyNow の検査法で健常人ボランティアおよびクロピドグ レル服用ドナー間で ADP によって惹起される血小板機能において<10%の検査内精度と <15%の検査間精度を示した (Table 2)。同様に、これらの方法全てが、健常人ボランテ ィアおよび毎日クロピドグレルを服用するドナー間で ADP によって惹起される血小板 機能に対してかなり高い信頼度を示した (Table 3)。LTA、マルチプレートや VerifyNow の検査法で ADP によって惹起される血小板機能を阻害するジピリダモールやクロピド グレルのような薬物の短期間の影響をモニターするために適している。 VASP フローサイトメトリは、健常人ボランティアの血小板機能をクロピドグレル服用 ドナーのものと最もよく区別することが出来 (Fig. 2)、平均初期量 (AUC 1.000) を用い ることで健常人ボランティアとクロピドグレル服用ドナーを分けることが出来る ROC 感受性分析における唯一の検査法である。クロピドグリル服用ドナーの検査間 CV は、 他の検査に比べ VASP は高いが (Table 2)、VASP の信頼度係数は、健常人およびクロピ ドグレル服用ドナーにおいてかなり高い (Table 3)。VASP は、ADP によって惹起される 血小板機能が正常から抑制されているものに変化することが予想される場合、適した方 法であるかもしれない。しかしながら、VASP は、全血の固定および染色、フローサイ トメトリのノウハウを必要とし、適応に制限がある。 私たちの研究の限界は、測定の精度である。他の研究者は、LTA と比較した血小板機 能検査の精度を測定した。しかしながら、LTA は、血小板機能の定量性に参照となる 標準として使用することに適していることがこれまで実証されていない。アラキドン酸 および ADP によって惹起される血小板機能の評価のためのコンセンサスのとれた標準 法がないためにこれらの検査の正確性の測定が難しい。 結論 マルチプレート装置のみが、健常人ボランティアおよびアスピリンを毎日服用するドナ ーにおいてアラキドン酸によって惹起される血小板活性の測定に対して中程度もしくは 高い信頼度を示した。VASP フローサイトメトリー、マルチプレートインピーダンス凝 集測定法、VerifyNow や LTA の検査法は、健常人ボランティアやクロピドグレル服用 ドナーにおける ADP 依存的な血小板活性化を測定するためにとてもよい信頼度をしめ す。TEG PM は、抗血小板療法を始めた患者の短期間のモニタリングに適さない。 Footnotes 4 Nonstandard abbreviations: MCS, mechanical circulatory support; LVAD, left ventricular assist device; ADP, adenosine diphosphate; LTA, light transmission aggregometry; TEG PM, platelet mapping by thromboelastography; VASP, vasodilator-stimulated phosphoprotein. (see editorial on page 1469) Author Contributions: All authors confirmed they have contributed to the intellectual content of this paper and have met the following 3 requirements: (a) significant contributions to the conception and design, acquisition of data, or analysis and interpretation of data; (b) drafting or revising the article for intellectual content; and (c) final approval of the published article. Authors' Disclosures or Potential Conflicts of Interest: Upon manuscript submission, all authors completed the author disclosure form. Disclosures and/or potential conflicts of interest: Employment or Leadership: None declared. Consultant or Advisory Role: A.S. Jaffe, Beckman-Coulter, Alere, Abbott, Critical Diagnostics, Ortho Diagnostics, Trinity, ET Healthcare, Radiometer, Roche, and Amgen. Stock Ownership: None declared. Honoraria: None declared. Research Funding: None declared. Expert Testimony: None declared. Patents: None declared. Role of Sponsor: No sponsor was declared. Received for publication May 2, 2014. Accepted for publication September 5, 2014. © 2014 American Association for Clinical Chemistry References 1. Barnes K. Complications in patients with ventricular assist devices. Dimens Crit Care Nurs 2008;27:233–41. 2. Ensor CR, Cahoon WD, Crouch MA, Katlaps GJ, Hess ML, Cooke RH, et al. Antithrombotic therapy for the CardioWest temporary total artificial heart. Tex Heart Inst J 2010;37:149–58. 3. Fraser CD Jr., Jaquiss RD, Rosenthal DN, Humpl T, Canter CE, Blackstone EH, et al. Prospective trial of a pediatric ventricular assist device. N Engl J Med 2012;367:532–41. 4. Menon A, Gotzenich A, Sassmannshausen H, Haushofer M, Autschbach R, Spillner J. Low stroke rate and few thrombo-embolic events after HeartMate II implantation under mild anticoagulation. Eur J Cardiothorac Surg 2012;42:319–23. 5. Hasin T, Marmor Y, Kremers W, Topilsky Y, Severson C, Schirger J, et al. Readmissions after implantation of axial flow left ventricular assist devices. 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