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第1章 コミュニティパーソナリティの魅力 犬山市「まちの放送室」を舞台に

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第1章 コミュニティパーソナリティの魅力 犬山市「まちの放送室」を舞台に
中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 第1章 コミュニティパーソナリティの魅力 犬山市「まちの放送室」を舞台に 小林 将也・竹下絵梨奈・成田健人 斉藤有紀・田中隼人 Masaya KOBAYASHI Erina TAKESHITA, Kento NARITA
Yuki SAITO, Hayato TANAKA
中京大学現代社会学部現代社会学科 3年生(2011年度) 〈インタビューの実施日:2011年〉 6月24日(金)鬼頭先生 小林班(小林・竹下・成田) 6月30日(木)つのちゃん 斉藤班(斉藤・田中) 7月07日(木)つのちゃん 斉藤班 7月08日(金)鬼頭先生 小林班 1 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 平成 23 年 6 月 24 日、30 日、7 月 1 日、7 日に、我々は愛知県犬山市にあるコミュニティーFM ラジオ局「まちの放
送室」を訪れた。そこで 5 人のパーソナリティーの方々にインタビューを実施し、それぞれのパーソナリティー像
から見えてくる「コミュニティーパーソナリティーの魅力」について調査した。 ※ 私たち学生の調査にもかかわらず、貴重なインタビューの機会を与えてくださった、犬山市「まちの放送室」
(愛知北エフエム放送株式会社)に心から感謝いたします。 ◆1.はじめに <インタビュー対象者の紹介> ・鬼頭先生(鬼頭) ・かーちゃん(かー) ・みやびさん(みや) ・ウェイン先生(ウェ) ・つのちゃん(つの) <インタビュー実施者> ・小林将也(小林) ・竹下絵梨奈(竹下) ・成田健人(成田) ・斉藤有紀(斉藤) ・田中隼人(田中) ※かっこ内は話し手名前を省略したものである。 ◆2.インタビュー結果の分析・考察 5 人のパーソナリティーの方々にインタビューを実施し、それぞれの話から共通するカテゴリーごとに分けて分
析・考察を行った。これからパーソナリティーの魅力について考えていく。 ※注意 < >・・・カテゴリー名 【 】・・・小見出し ・・・分析・考察 2 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) <普段の仕事> パーソナリティー以外の仕事(本職)は何をしているのかを聞いてみた。 ①鬼頭先生 【知識の提供】 成田:鬼頭さんは他に仕事ってのは何をされているのですか。 鬼頭:本業が学習塾を僕はやっていますので、はい。なので学習塾のもちろん先生もやりますし、実際には学習塾
を運営してる側ですね。 ②かーちゃん、みやびさん 【癒しの提供】 斉藤:お二方は普段どういったお仕事をされているんですか? みや:私は自宅でエステを。全然(ラジオのように)話す仕事ではないんですけど。(笑)どちらかと言うと静か
な空間で、静かに接客して、癒しを提供しているので。こんなガーガーしゃべってないです。(笑) ③ウェイン先生 【技術の提供】 斉藤:普段はボクシングコーチと先生をやられているのですか? ウェ:僕は朝から小学校で英語を教えていて、そして夜の 17 時からボクシングを教えている。 「パーソナリティーは人が好き」 3 人のパーソナリティーはラジオのパーソナリティーの他に本職を持っている。3 人のパーソナリティーは職種
に違いがあっても、共通する点がある。人と接する職業だということである。黙々と仕事をこなすわけではなく、
エステも塾講師も先生も全て人にかかわることだ。それぞれのパーソナリティーが提供しているものは、みやびさ
んは「癒し」、鬼頭さんは「知識」、ウェイン先生は「技術」である。 ラジオは人と人が直接対面して話しているわけではないがラジオという媒体を通して、コミュニケーションをとっ
ている。私生活での本業では、直接的に人と関わりコミュニケーションをとっているのである。 <パーソナリティーになったきっかけ> まちの放送室のパーソナリティーの方々それぞれに、パーソナリティーになったきっかけを尋ねた。誰も同じき
っかけや動機があったわけではなく、それぞれの境遇が関係していたようだ。 ①鬼頭先生 【ずっとやりたかったこと タイミングが合って実現】 鬼頭:あのー大変こうあの現場にいたら、とんでもなく軽く決まったんじゃないかと思うような感じになるんです
3 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) けども、もともとでもやりたいなとは思っていたんでタイミングの問題ですよね。あの僕の塾の講師をやってる講
師として入ってきたばっかりくらい、かなの先生がいたんですよ。このまちの放送室と知り合いで、まあ話ができ
る人とかがっていう話をしてて、パーソナリティーをやれる人を探してるんですよっていう話がこう伝わってきて、
で、鬼頭先生やってみませんかみたいな話をされて、その場でいいよっとかっていう話をして。 小林:そのラジオをやりたいなと思ったのは、もうずっと小っちゃい頃からとかですか?1 回体験してみたい的
な? 鬼頭:そうそう、人前で話するのは嫌いじゃないので、そのラジオとか聴いてると、ああパーソナリティーとかっ
ていいよな∼と、だけど仕事してますんで自分も。職業としてやるっていうことはまあないだろうなとは思ってま
したけれども。仕事としてこう毎回やるとかっていう。どこかでいつかラジオに出ることはあるかもしれないくら
いで思っていたんですが。なんで、やってみたい 1 つ、いろいろやってみたいことがあるんで、そのうちの 1 つだ
ったんで、ぜひぜひということで。 ②かーちゃん、みやびさん 【偶然が重なって得られた 楽しさ 】 みや:これがね。きっかけがね。他のパーソナリティーの人たちはすっごく志をもってきっかけを話されたと思う
んですけど、私たちの場合はほんとに偶然が偶然を重なってなったんですよ。あるちょっとしたパーティに私たち
が参加したときに、たまたま隣に座ってた方がここの元パーソナリティーの方で日曜日をやられていた方なんです
けど、でちょっとお酒が入った状況で話が弾んでこういう放送局があるって知っていたんですけど、自分が参加す
る立場になるとはまったくこう考えてなかったんですけど、そのたまたま隣で話しているうちに やりたかったん
だよねそういうの!! っていうことになって、 じゃ 1 度ゲストの来て ということになって、最初 2 人でその
方の番組に参加さしてもらって、一応、番組として参加したのがそれが初めてで。でそれはそこで終わって、何ヶ
月か経ったときにここの局長から・・・。 かー:(パーソナリティーを)したくてしたくてとかね、やりたくて仕方がなかったわけでもなく。(笑)こう、
流れでね。 みや:流れ的な感じでやってしまったので。でもやってみると楽しくって。やってよかったなってのはあるんです
けど。 ③ウェイン先生 【もっと小学生に自分の英語を聞いてもらいたい】 ウェ:あー、まぁ (パーソナリティーに)どうですか? と聞かれて。僕 2 年前まで犬山市の小学校の先生だっ
たんだけど、たくさん小学校回っていたから、ここ(まちの放送室)の人たちに会う時間がなかなかなくて。英語
上手になりたいのなら何回も何回も英語聞かないとダメだから、じゃあ、1 ヶ月しか会えない小学生が僕の(ラジ
オでの)英語番組を聴いてくれたらもうちょっと英語を聞く練習になるかなって思ってやりました。 4 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ④つのちゃん 【上手く話が出来るようになりたい】 つの:きっかけはですね、5 年前にここを知ったのは、仕事でパーティーの司会をしているので、それも素人で、
バイトで始めたんですけど。・・・長くなるな∼!(笑)それでね、 しゃべること をちゃんと勉強したいなと
思っていたので、教えてくれる事務所に行って、それでそこの社長がこの放送室を開局するためにパーソナリティ
ーを募集しているっていう知らせを持って来てくれて。生徒さんたちに どうですか?しゃべらない? という感
じに誘ってくれて。それで、私はけっこう遅かったので、声がかかるのが。若い子が多いのよね、司会業の勉強を
する子たちっていうのは。私は先生よりも年上だったの。なのでその、ちょっと抵抗があったのか、一応声かけて
もらって。是非やりたいですって言って、最後の枠として月曜の何時からっていう風にやらせていただいたんです
けど。それがきっかけですね。 「ふとしたきっかけ、でも目的意識をしっかり持つ」 5 人のパーソナリティーの方々からのお話で、私は上にあるように考えた。きっかけはふとしたことからで、
実際に流された部分もあったかもしれないが、皆さんは何かしらラジオパーソナリティーの興味を持ってそこで
やりたいことなどの目的意識を明確にしていた。 英語を教えたい
人と話したい
上手く話が出来るよう
になりたい などの実現したいことを、ラジオというツールを通して成し遂げようとしているのだとインタビュ
ーから感じ取れた。やはりその目的意識が明確になっていることで、実際にパーソナリティーの方々は生き生き
とお話をしていたことが印象に残っている。だからふとしたきっかけでも、普段の仕事との両立でとても大変で
も、何年もパーソナリティーを続けているのだろう。 <番組について> 「祭食健美」というテーマをもとに番組を作っているが、なぜこの番組にしたのか、どのような番組なのか尋ね
た。 ①鬼頭さん 【テーマについての事前準備】 成田:(省略) こちらの番組のテーマはどういうものなんですかね。 (省略) 鬼頭:で、本来、本来であればっていうとおかしいんですけど、祭食健美ラジオ。で∼、サイがお祭り、ショクが
食べる、ケンが健康のケン、ビが美しいと言うことなので、そういったお祭りだとか健康だとか、食べること、美
しくなる美容だとか、そういうこと、なんかが。あの祭食健美ラジオとしては、全体的な感じではあるんですけど。
そのなかで、えっと個々の番組の中では、いろんなテーマがあっていていうこと何ですけどもね。どちらかという
と、全体の祭食健美ラジオ。この 3 時 5 時っていうのは、各曜日、祭食健美ラジオなので、そういうことがメイン
に話ができるパーソナリティーが多い。ですね。 小林:で、細かいテーマは、毎週変わっていくっていう感じですか 5 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 鬼頭:毎週ですね。だから、こ∼曜日によっては、たとえば整体師の方がいたり、接骨院の先生がいたりだとか。
まさに、健康のことですよね。で∼まあ僕は、微妙に祭りでも食でも健でも美でもないんですけどね。 ②つのちゃん 【日常からネタ探し】 つの:よく子どもたちには また俺のネタとかしゃべってんでしょ、お母さん っていうのは言われますね。しゃ
べってても、 あ、今のそれもらいっ!ネタにしよう って言ってね、書きとめたりしているから。 【「祭食健美」はすべて必要なもの】 斉藤:今までパーソナリティーのことについて質問してきたんですけども、次は祭食健美という番組について質問
させていただきたいんですけども。なぜこのような番組を作ったのか、教えてください。 つの:(省略)いろんな祭りと食、健康と美っていうのは、やっぱりかかせないものっていうか。犬山っていうのは
やっぱり犬山祭りでも有名だし、祭りっていう活気があって、みんなの心をね、なんて言うのかな。力ををくれる
パワーだと思うし。食っていうのは生きていく上で一番大事なことで興味を持ってもらいたいことだと思うし。(省
略)今回の地震でやっぱり何かがあったときに (省略) 改めて 当たり前じゃなかった ってことを見直しができ
たんじゃないかなってすごい思うんで。その食っていうのもすごい大事だと思うし、とにかく健康じゃないと何も
できないから。祭食健美っていうのは全て何も必要じゃないものはないっていうか。っていう風で、多分局長が考
えられたんじゃないかなと。私はすごくいい言葉だなって。 自然な会話のイメージ 前もって準備したのを話そうとするのではなく、自然な会話の流れわ意識して話そうとしたり、日常の話を親しみ
やすく聴いてもらおうとしたりしている。大きなテーマとして「祭食健美」とあるが、そのテーマにとらわれるこ
となく話している。そして、つのちゃんが話していたように、「祭食健美」は全て必要で1つでも欠けてはいけ
ず、 当たり前 を見直すことができる。 <メール> ラジオを聴いているリスナーからのメールがあり、そのメールはパーソナリティーにとって大切なでリスナーか
らの声である。 ①つのちゃん 【過去】 斉藤:はい、5 年パーソナリティーをやってみて、何か変わったことなどあったら教えていただきたいです。感じ
たことでもいいので。人生で変わったことなど。 つの:最初の頃は友達に メールちょうだい って言ってメール送ってもらっているパーソナリティーさんとかい
6 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) たんですね。最初はね、犬山の人でさえこのラジオを知らない方がばっかで。今はこの FM 局を知っている方がすっ
ごく増えたんですね。だからその、メールとかも最初は少なかったし、いろんな葛藤とかもあるし。 【現在】 つの:メールをもらえる大切さとか、そういう人たちの思いを伝えていきたいっていうのもそうだし。5 年やって、
大分最初の頃とかより、気持ち的にも変わったところはあるかなって思いますね。 【リスナーからメールが来る大切さ】 つの:(省略)普段メールくれない方とかが、私の誕生日にちょうど番組が重なったのね。そのときに初めて お誕
生日おめでとう ってメールが何件がきて。これって普通の主婦ではありえないことだなって思って。全然知らな
い人からお誕生日おめでとうって言ってもらえるのって。だからそれもすっごい嬉しかった(省略) 【パーソナリティーとリスナーの関係】 当初はメールも少なくて葛藤もあったようだが、あきらめず続けた結果リスナーも増えメールも増えた。メ
ールはリスナーからの生の声で、メールでのやり取りがパーソナリティーとリスナーを結び付けている。パー
ソナリティーの言葉によってリスナーは元気付けられ、リスナーのメールによってパーソナリティーが元気付
けられるという相互関係を生み出している。 <ラジオで気をつけていること> ラジオのパーソナリティーをするにあたり、各パーソナリティーは気をつけて、意識していることがある。 ①鬼頭さん 【誰に向けてラジオを伝えるのか】 竹下:あ、じゃあ、あのいろんな人がラジオを聴いていると思うんですけど、どんなことを考えてラジオ、パーソ
ナリティーをされてますか? 鬼頭:ん∼、やっぱりそうですね、この時間なので、時間で考えると、その∼やっぱりお母さんたちとか、そのま
あお店で聴いてらっしゃる方もいらっしゃるとは思うんですけれども、そういう方々に向けての部分がやっぱり多
いかなという話しに、イメージはしていますけれどもね。(省略)どちらかというとまあお家でこうゆっくり聴いて
いただいてるお昼下がりの時間に何か、というようなそんなイメージですかね。 【自然体への意識】 成田:まちの放送室のホームページでは、ライブカメラがあって、今も映ってると思うんですけど、やっぱ、音だ
けじゃないですか。やっぱ、映像としても流れてるので、振る舞い方とかジェスチャーとかで、気を遣っていると
7 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ことかってあるんですか? (省略) 鬼頭:なんともこればっかりはいいがたいですけど。そうですねえ、やっぱり、んー、逆に気にしてないのはよく
ないかもしれないですけどね。あのーCM 中なんか、音流れないんですよね。あのーインターネットのほうで見てい
るかたは。CM 中、音楽がかかっている時間ってのは、かかっているので、後ろにひいてこの辺で談笑しているのを
みてどう思われるかわかんないーですし、こう 何か食べてたりすると ちょっとと思われるかもしれない。そう
そこは気にしてないです。 ②かーちゃん・みやびさん 【リスナーからの返事】 斉藤:そうですよね。映像とかあるわけでもないですもんね。声だけで言う 。伝える相手は不特定多数の人に伝
えると思うんですけど、その中で特に誰に話しかけていますか? (省略) みや:そうですね。でも、私たちの場合メールを頂いてメールを読みながらのトークになるので。メールを送って
くれたリスナーさんに対して返事をしているっていう部分が、けっこうあったりしているよね。 かー:うん。メールを送ってくれた人に対してしゃべってるっていうところはあるよね。 みやびさん 【噛まない、間違えない、禁止用語を言わない】 斉藤:じゃその番組を放送しているなかでどういったことを心がけているとかありますか。考えていることなど みや:噛まないことなんだけどね。(笑) だんだんだんだん口が回らなくなってきて(笑) (省略) みや:まあでも、ニュースとかお知らせとか、間違ってはいけないとこは間違えないように心がけているし。なる
べく。あとね、禁止用語ではないけど言ってはいけない言葉はなるべく言わないように心がけているんだけど、つ
いポロッと言ってしまうときもあるので、そういうときは気をつけなくちゃいけないんだけどね。 かーちゃん 【言葉だけで伝える難しさ】 田中:言葉で伝える難しさ、言葉だけで伝える難しさとかありますよね。 かー:そうすると、そっちのほうが人数が少ないわけだから、ラジオで聞いている人には伝わってないのに、画面
で見えているぶん、自分たちは伝わっちゃっていると思うのがあるので、『ほらこれ!!』と言ってもここで こ
れ を見せてもわからない。言葉で言わないとわからないところがあるのでラジオはそこが難しい。 ③ウェイン先生 【ラジオの放送と気負わない】 8 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 斉藤:はい。ウェイン先生は番組の放送中、何か考えていることとか心がけていることはありますか? ウェ:自分あんまり、普段話しているときに、いろいろとはっきりしなくて。ちょっともごもごしてしまうから
(笑)ラジオではそれは良くないから、できるだけはっきりわかりやすく、しゃべろうと思う。そのことを頑張っ
て考えている。できているかわかんないけどね。(笑)でもいつもより多分、はっきりとわかりやすく話している
と思います。 ④つのちゃん 【1 人でもリスナーがいれば伝える】 斉藤:はい、5 年パーソナリティーをやってみて、何か変わったことなどあったら教えていただきたいです。感じ
たことでもいいので。人生で変わったことなど。 つの:(省略) 今は本当、生活の一つっていうか、週に 1 回の、一部のものになっているので。やっぱり出来る限
りは続けていきたいなっていう風に、1 人でも聴いている人がいれば、力が湧いたって言ってくれる人がいれば、
話をしていきたいなってのはすごい思いますね。 【リスナーと同じ目線になる】 つの:(省略) この時間(夕方ごろ)ですし、のんびりしながら、同じ悩みを、例えば私は主婦なので子どももいる
し、やっぱり同じ悩みを共感しあえればいいなと思います。なので、 パーソナリティー って感じではなく、同
等の母親だよとか、同じ悩みを抱えているよとか、旦那むかつくよねとか(笑)、そんな感じでやりたい 【聴き流せるラジオ】 つの:私はあんまり堅い話とかせずに、ほんとうに聴き流せるというか、テレビと違ってラジオっていうのは何か
しながら聴くじゃないですか、ずっとラジオの前にいるとかは別ですけど、ラジオの前にずっと声だけを聴く、何
もせずに声だけを聴く人は少ないと思うんで、家事をやりながらとか、運転しながらとか、そういうのは気にして
ますね。 【リスナーの年齢層を考える】 コミュニティパーソナリティにいえることは、ラジオというのは声だけで伝えなければならず、そこが難し
いところなのだが、パーソナリティごとに工夫している。 つのちゃん、鬼頭さんでみられることは、自分が受け持つ番組の時間帯を考え、どのような年齢層で、どの
環境にいる人かを考え、その人々に感心がある話題を提供しようとしていることである。 <キャラクター> パーソナリティーの方の素顔を知るために、実際のインタビューから<パーソナリティーとしてのキャラクター
>と<プライベートとしてのキャラクター>に分けて 2 つの側面から考察をしていく。 9 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ●<パーソナリティーとしてのキャラクター> ①鬼頭先生 【パーソナリティーを始めた時と現在では変わっていない】 小林:ラジオ初めてもう 2 年になる。 鬼頭:はい。 小林:言ってたじゃないですか。その始めた当初と今現在の自分を比べてみてどうですか、ご自身で。 鬼頭:僕自身は、まあ端で見てる人が一番分かるんでしょうけど、まぁあんまり変わってないようなイメージはあ
る。僕はこのまま僕だったんで。だけど、たぶん分かんないですね。あの初回、初めてはすごい緊張しましたよ。
これちょっと僕が悪いんですけどね、あれは。あの何回かアシスタントで入ったりだとか、見学に来て何回かなっ
たんですけど、僕 1 回しか、1 回 10 分か 15 分見学に来て、で忙しいからっていうことで、それでよーいドンだった
んで、次スタジオに来たのが初めてみたいな、やりますみたいなところだったんで、それはちょっとさすがに最初
の 10 分が緊張しましたね。そっからはそんなに緊張してないですけどもね。 【第三者からみても変化はない】 ミキサーの人:最初 、でもあんまり変わらないですよね、鬼頭先生は。もっと喋ってた。 【パーソナリティーとプライベートでのオンオフはない】 小林:ってことはやっぱりラジオ中の鬼頭さんとプライベートの時はオンオフの差がすごいはっきりしてるってこ
とですよね。 鬼頭:まあどっちがオンかはわからないですけどねえ、これに関しては。キャラクターなので塾にいったら塾に行
ったで違いますし、校舎に行く校舎によって僕は全然違いますので、人が。なのでたまたまこう、キャラクターに
なってるここの場所では、意識してこんなキャラクターでいこうみたいなのはないんですよ僕は。 鬼頭:自然にキャラクターが変わっていくっていう、その場の雰囲気に合わせて っていう。どら怖いときもあり
ますし、塾によっては。もう、だから、入ってった瞬間に雰囲気がてりつく感じの時もありますし、そうじゃない
ほんわかした感じで入っていくときもありますし。 ②つのちゃん 【ゲストに喋らせないほどのおしゃべり好き】 つの:そうだね。私はずっと ZIP を聴いているんだけど、FM と AM で私の周りにはけっこう AM を聴いている人が多
くて。でもその子の車に乗ると、音楽がかかっているのね。でもぱっと最初だけ AM がかかっているの。だから何だ
ろ。また違うじゃん?FM と AM って。FM って 1 人でばーっとしゃべっているけど、AM って必ず誰かいるでしょ。2 人
で掛け合いして。CBC ラジオでも東海ラジオとかでもやってるじゃん。あたし掛け合いってすごい難しいなって思
って。声が被さったりとか。だからあたしの前のかーちゃん、みやびさんって、すごい上手に掛け合いするの。重
10 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ならないのよ、あの 2 人って。私もずっと 1 人で喋っていたんだけど、アシスタントが入ったときとかゲストさん
が入ると、どうしても重なっちゃうんだよね。それで、ゲストさんに喋らせないパーソナリティーだって言われた
ことがある。ほとんど喋ってるよなって(笑)それはいかんよなーって。せっかく来てもらっているんだし、喋ら
せないといけないっていうのがあるから。ラジオってさ、映像がない部分、5 秒間何もしゃべらなかったら放送事
故みたいな感じに言われるのね。5 秒ってけっこう長いんだけど、もうもたないの、私が。何か喋らないとって。
そういうのがあるかな∼。 ●<プライベートとしてのキャラクター> ①鬼頭先生 【プライベートでは無口で話しかけられたことはない】 成田:例えば、なんかお店にいて、なんかこの声聞いたことあるって、振り向いたら「あっ、鬼頭さんだ!」みた
いな。なんか気づかれたこととかは。 鬼頭:一度もないですね。 一同:(笑い) 鬼頭:それは無いかも。そんな、そんな、そんな 気づきは無いかもしれない。あります?あっほんとですか。声
でっていうのはそうなのかもしれないですね。僕はもう普段から無口ですからね。 (省略) 鬼頭:もし仮にあれが鬼頭だと思っても、まず話しかけられないですね。 一同:(笑い) 成田:何でですか? 鬼頭:無言でだいたい、僕なんかそのお店にいる時は、なんでしょうね、お店にいる時に話しかけられるたぶんオ
ーラじゃないと思いますよ。雰囲気じゃないですよ。 一同:あー。 鬼頭:食事をしに飯屋に行ったとしたら、一心不乱に飯を食ってますからね。 一同:(笑い) 鬼頭:そうなんですよ。スポーツクラブさんにも行ってますけど、スポーツクラブさんももう 2 年半が経ちますけ
ども、1 人も友達できないですからね。僕は。 【環境に合わせたキャラクター作り】 鬼頭:そのね、僕ね、場所場所によってキャラクターが全然違うんですよ。 一同:(笑い) 鬼頭:だから小学校のときの友達と、中学校のときの友達と、高校のときの友達と、大学になったときの友達と、
社会人のときの友達と、全然僕の印象違うんですよ。だからそれが一堂に会すると、これはどういうかんじでもの
11 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) を喋っていいのか全く分からないんですよね。 【趣味は仕事】 小林:ちなみに趣味っていうのは何か? 鬼頭:趣味かぁ。趣味かぁ。趣味無いなぁ。 山崎:あー。痛い。 鬼頭:仕事かなぁ。仕事ですかね。仕事が一番趣味ですかね。 一同:(笑い) 鬼頭:完全に仕事が趣味ですね、僕は。 小林:もう仕事一本ってかんじですか? 鬼頭:いろいろやるんですけど、最近は地域の方に誘っていただいて釣りにいったりゴルフの打ちっぱなしで練習
に行って、いつかラウンドまわろうって話になるんですけど・・・いつかねっていう。 一同:(笑い) 成田:予定はないんですか? 鬼頭:ないです。打ちっぱなしにはだからいく。ゴルフセットも持ってます。釣竿も持ってます、きちんと。なん
だったらボウリングだってマイボウルも持ってますし。 一同:えー。 鬼頭:ビリヤードもマイキューも持ってます。 小林:すごい。 鬼頭:しかし趣味ではない。 一同:(笑い) 鬼頭:残念な感じ。 ②つのちゃん 【声と見た目のギャップ】 田中:じゃあ次の質問で、パーソナリティーをしている自分は、何かキャラクターとかイメージしているのです
か? つの:イメージですか?そうですね・・・私声がこういう声なので。声で想像するじゃないですか。 こんなタイ
プだろうな とかって。そうするとなんか、この局が流れているお店にぱっと入ったときに、 私この時間に番組
やっているんです って言ったら、 全然イメージと違った! って言われたりとか。どんな風にイメージされて
んだろ私の声はっていう感じでね(笑)そういうのはありますね。 【プライベート、パーソナリティー共にハイテンション】 斉藤:プライベートとパーソナリティーの自分っていうのは違いますか? つの:全く一緒です。何にも変わらないですね。 12 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 田中:普段もこのような感じで? つの:うん、普段も。普段は元気っていうかテンション高いですね。今もテンション高いですけど(笑)なんか嫌
なんだよね、ぼそぼそぼそってしゃべるの。ぽっぽっぽってしゃべりたくなるので。 「ありのままの自分」 「ありのままの自分」 〈パーソナリティーとしてのキャラクター〉と〈プライベートとしてのキャラクター〉の具体的なインタビュー
<パーソナリティーとしてのキャラクター>と<プライベートとしてのキャラクター>の具体的なインタビ
からも読み取れるように、パーソナリティーとして、あるいはプライベートとしてキャラクターを使い分けようと
ューからも読み取れるように、パーソナリティーとして、あるいはプライベートとしてキャラクターを使い分
意識しているわけではない。あくまでも、「自分」という軸はブレることなく、ありのままの「自分」で両方の時
けようと意識しているわけではない。あくまでも、「自分」という軸はブレることなく、ありのままの「自
間を過ごしている。だから、無理をすることなくパーソナリティーができる環境にあるからこそ、この仕事を続け
分」で両方の時間を過ごしている。だから、無理をすることなくパーソナリティーができる環境にあるからこ
られるのだと考えられる。 そ、この仕事を続けられるのだと考えられる。 <人脈> パーソナリティーをすることで変わった、人との関わりについて聞いた。 ①鬼頭先生 【ゲストとゲスト以外からの繋がり】 竹下:では、ラジオを始めたことで人脈が広がったとかありますか。 鬼頭:7 倍ぐらい広がったんじゃないでしょうかね。(省略)僕たちなんかは学習塾なので学習塾の業界の人間し
かあれだし。教育業界の人間しかしらないですけどもー。いろんな人がいますしー。やっぱりいろんな人と会いま
すしー。ゲストさんで来られる方もいらっしゃいますし。皆さんみたいに学生の方が来られることもありますし。
∼ここを通して仕事に繋がったこともありますし、中には。なので、ほんとにいろんなことが出会いとしては、も
のすごい、ほんと7倍ぐらい。 ②かーちゃん、みやびさん 【ゲストからの繋がり】 田中:そこからまた人の繋がりってのは増えたんですか?パーソナリティーをやられて。 みや:パーソナリティーをやることによって、いろいろなゲストさんを呼んで私たちやっているので、それで人と
の繋がりも増えたし、知り合いになった人も増えたし。 「パーソナリティーをやることで広がる人脈」 2 人の共通点は、人脈が広がったということである。パーソナリティーの仕事ではゲストとして、いろんな人が
訪れ関わる。そこから、また人づてに人びとの輪が広がってくるのだ。 13 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) <交流> パーソナリティーではないプライベートでの人との交流について聞いてみた。 ①鬼頭先生 【パーソナリティーとは違う自分を作る】 竹下:ラジオ以外の部分で交流をもったりとかっていうのはありますか。 鬼頭:なーい・・・ですかね。基本的にはやっぱりメールをいただける方は、いただける方で、それはラジオを通して
のお付き合いなので。 鬼頭:大学の友達がまぁ mixi やってるからやろうよっていうことでやってるんで、最初から匿名性ゼロですよね。
ま、その子たちの連絡を作るために mixi やってたんで。で、だから匿名性を高めるために、こうもう 1 個のほうで
やり始めたわけですけども、匿名性を高めて俺は何がしたいんだ。(笑)(省略)結構だから一応考えたら今の若
い子たちがやっていることってのは大概俺全部手出してるのよね。モバゲーにもグリーにもいるから、俺は。(省
略)フェイスブック探してくださいよ(笑)僕いますよ、フェイスブックは実名ですもんね。 ②つのちゃん 【パーソナリティーと分けたプライベート】 つの:私はね、このラジオを聴けれない地域に住んでいたっていうのもあるんですけど、パーソナリティーをやって
いるって一切他の人に言わなかったんですよ。なので最初の頃は友達に メールちょうだい って言ってメール送
ってもらっているパーソナリティーさんとかいたんですね。 「パーソナリティーとは違う個人」 プライベートでは 2 人とも積極的にコミュニケーションをとろうという姿勢はない。むしろ、鬼頭先生の場合は
匿名性を高めようとしている。自身でなぜ匿名性を高めようとしているのはわかっていないが、匿名性を高める理
由として、パーソナリティーの自分とは違う自分を作りたいのだと考えられる。また、つのちゃんの場合でも周り
の友人や知り合いはラジオをやっていることを言わなかった。それも、ラジオと違うプライベートの自分を守るた
めだと感じた。 <ラジオとの関わり> 実際にパーソナリティーをしている方々はラジオが好きなのか、ラジオをよく聴いているのか。日常とラジオの
関わりについて尋ねた。 ①鬼頭先生 【他のラジオ番組を聴くことは勉強になる】 鬼頭:(ラジオは)好き嫌いで言うと、特にどちらでもないですけど。車に乗るようになってからが、1 番多いで
14 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) すかね、僕は。ず∼っと。それまで、ラジオと言えば。あ∼まあでも、なんか朝起きると、あの∼我が家は、小さ
い頃からテレビをつけてご飯を食べてはいけないので、ラジオが流れていましたね。ニュースが。ニュースが流れ
てましたけどもね。 小林:じゃあ、そのパーソナリティーになったあとと、そのラジオに関わってなかった時期でラジオに対する、な
んか見方みたいなものは変わりましたか? 鬼頭:あ∼∼。まあ聴く回数は別に変わってない。結果として聴ける場所というか、聴けるポイントは車の中くら
いなので、結果としては聴く回数は変わってないんですけれども、勉強にはなるなとは思いますけどね。どの放送
局のやつ聴いているかっていうのは、場所によっても違いますけれども、このエリアで走ってればこの番組聴いて
ますし、このエリアの放送を聴けないところもやっぱり走ってくので、そうすると、他の番組聴きながら、あ∼な
るほどと、なるほどと。いうのは、すごく勉強になりますね。そういう考え方で聴くようにはなりましたね。 ②かーちゃん 【中学生の頃からラジオが大好き】 かー:私はね、ラジオが大好きで。ラジオ聴くのが大好きなので。テレビは普段あんまり見ないんですけど。ほと
んど見ない。ラジオはもう学生の頃から、中学生の頃からラジオがそばにある生活をしていました、はい。 ③つのちゃん 【プロから学ぶ ラジオでのしゃべり方 】 つの:車に乗っているときはほとんどラジオを聴いている。私は遠いんですよ。家が稲沢の方にあるので、電波が
入らないとこなので、他の局を聴いて、やっぱりプロじゃないですか他の局の人は。だからこういう風にしゃべる
と聴きやすいんだなとかというのは勉強したりとか、ここでこういう風にしゃべりをするとかっこいいとか、前は
自分の朝の番組は夕方から再放送が始まるので、録音してもらえたら録音してもらって聴いたりとかしたんですよ。 斉藤:何か好きな番組はありますか? つの:そうだね。私はずっと ZIP を聴いているんだけど、FM と AM で私の周りにはけっこう AM を聴いている人が多
くて。でもその子のに乗ると、音楽がかかっているのね。でもぱっと最初だけ AM がかかっているの。だから何だろ。
また違うじゃん?FM と AM って。FM って 1 人でばーっとしゃべっているけど、AM って必ず誰かいるでしょ。2 人で掛
け合いして。CBC ラジオでも東海ラジオとかでもやってるじゃん。あたし掛け合いってすごい難しいなって思って。
声が被さったりとか。だからあたしの前のかーちゃん、みやびさんって、すごい上手に掛け合いするの。重ならな
いのよ、あの 2 人って。」 15 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 「パーソナリティーとしての聴き方でラジオに接する」 3 人ともパーソナリティーだけでなくリスナーとして普段はラジオに接しているとおっしゃっていた。小さい
頃からラジオ生活を送ったり、今では車の中でラジオを聴いたりしているそうだ。特徴的だったことは、ただの
リスナーとしてラジオを聴いているのではなく、「パーソナリティーとしてのリスナー」という聴き方をしてい
たことである。他局のパーソナリティーさんの語りから聴きやすい話し方のテクニックや、場面場面で相応しい
話し方などを学んでいるとのことだった。これはやはりパーソナリティー独特の聴き方だと思う。 <プラス感情> ここでは、パーソナリティーの方々が自ら担当している番組を通して、普段感じている心情の中からポジティブ
でプラスな面のみをピックアップした。 ①かーちゃん 【知らない人とのやりとりの楽しさ】 斉藤:ずばり、パーソナリティーのどういった部分が楽しいのか。 (省略) かー:だからまったく知らない方が来て下さるので、そういう方とお話できる。全然知らない世界の人が。今日
(のゲスト)も画家の方がお見えになったんですけど。まったく面識のない方が、プラス、こう私たちが知らない
世界の方がお見えになるので、そういう方のお話が聞けるのはすごく楽しいですし。あとメールをくれるリスナー
さんとの会話、メールを通じての会話は楽しいですね。はい。 ②ウェイン先生 【人々との交流の面白さ】 斉藤:ウェイン先生はパーソナリティーをやっていて、どういうところが楽しいですかね? ウェ:他のパーソナリティーの方にも会えるし、ラジオのスタッフの方に会うのも楽しかったりするし。毎回来る
ときに歩いている人を見たり、たまに会ったり、それ 1 番面白い。 ③つのちゃん 【楽しんでもらえればいい】 田中:パーソナリティーのどんな部分が楽しいと感じますか? つの:とにかく私も素人なんで聴いて楽しければいいかなって、楽しんでもらえばいいかなって思ってためになる
ラジオというより、この時間(夕方ごろ)ですし、のんびりしながら、同じ悩みを、例えば私は主婦なので子ども
もいるし、やっぱり同じ悩みを共感しあえればいいなと思います。なので、 パーソナリティー って感じではな
16 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) く、同等の母親だよとか、同じ悩みを抱えているよとか、旦那むかつくよねとか(笑)。 【パーソナリティー特有の体験】 斉藤:はい、5 年パーソナリティーをやってみて、何か変わったことなどあったら教えていただきたいです。感じ
たことでもいいので。人生で変わったことなど。 つの:私のラジオを聴いて、元気が出たとかすごく楽しく聴いてますとか、あとすごく嬉しかったことは、普段メ
ールくれない方とかが、私の誕生日にちょうど番組が重なったのね。そのときに初めて お誕生日おめでとう っ
てメールが何件かきて。これって普通の主婦ではありえないことだなって思って。全然知らない人からお誕生日お
めでとうって言ってもらえるのって。だからそれもすっごい嬉しかったし、やっぱりいろんな方とお話できる。パ
ーソナリティー同士って本当すれ違いが多くて、私も挨拶するぐらいなんだけど、だけどゲストの人が来たりだと
か、この間は東国原さんの第一の弟子の方がこちらの方にみえて。本当にいろんな、たけしの話をしたりだとかす
ごいそういう系の話をさせていただいたりとかいうこともあって。今は本当、生活の 1 つっていうか、週に 1 回の、
1 部のものになっているので。やっぱり出来る限りは続けていきたいなっていう風に、1 人でも聴いている人がいれ
ば、力が湧いたって言ってくれる人がいれば、話をしていきたいなってのはすごい思いますね。 「パーソナリティーの楽しさは人との交流」 3 人のパーソナリティーが声をそろえて言うことは、パーソナリティーという役割を通じて、様々な
人たちと交流できることが楽しくて面白いということであった。普段の生活では、決して接すること
のない様々な分野の様々な人たちと交流できることで、パーソナリティーとして、また 1 人の人間と
して大きな影響を受け、人間的な成長に結びつけることができる。これがパーソナリティーという役
割の最大の魅力となっているのであろう。 <マイナス感情> ここでは、パーソナリティーの方々が自ら担当している番組を通して、普段感じている心情の中からネガティブ
でマイナスな面のみをピックアップした。 ①鬼頭さん 【1 人で喋れるかという不安】 鬼頭:(パーソナリティーは)1人だったんですよ、ずっと僕は。今、山崎さんがいらっしゃるんで、すごくやり
やすくなりましたけれども。1 人でひたすら喋る。1 人で音楽もかけずにひたすら喋るっていう。・・・(省
略)・・・今(1 人で)喋れるかなってちょっと不安ですもん、逆に。慣れでしょうかね。そんな喋ることあった
かなぁ。 17 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ②つのちゃん 【相手が見えない不安】 つの:相手が見えないじゃないですか、そういう不安とかはラジオはいっぱいあるね。一方通行なのでそういうの
がありますね。 田中:自分たちも前やってみて分かりました。 【何度も辞めようと思った】 つの:まあ 5 年続けれたっていうのは・・・どうなのかな。もう辞めようかなって思った時期もあったんですよ。
来るのもすごい時間かかるし。朝番組をやっていたので、もう 9 時から番組やってると 7 時半には家を出ないとい
けないんですね。子どもは学校に行ってるし、ラジオのときは本当に朝からバッタバタだったんですよ。だから気
持ちとかもピリピリしている部分もあったんですけど。 「パーソナリティーを取り巻く不安感」 パーソナリティーが感じている不安は、パーソナリティーそれぞれのようだ。それらを大きく 2 つの
カテゴリーに分けると、パーソナリティー自身のプライベート環境から来る不安や、自身の喋りのスキ
ルへの不安などから構成される「パーソナリティー自身の不安」と、パーソナリティーが喋ったことが
きちんとリスナーに伝わっているかという「聴き手に対する不安」となるのではないだろうか。 ラジオは、話し手と聴き手双方がいて成り立つものだと思うので、こういった双方に対する不安が生
まれるのも自然な流れなのだろう。 ◆3.まとめ 以上のように、各カテゴリーでそれぞれ分析・考察を行った。5 人のパーソナリティーの方々から様々なお話を
聞くことができた。そこから考えられたコミュニティーパーソナリティーの魅力は「コミュニティーFM ラジオ局と
リスナーとの距離感の近さ」ということである。 パーソナリティーとラジオ局が密接な関係にあるため、より地域に根付いた放送が可能である。ニュースや天気
予報などの情報はもちろん、各番組には地域のリスナーにより近く、同じ目線に立った内容が組まれている。また
リスナーとやり取りするメールも距離感の近さを実感させ、パーソナリティーの方々を応援するコミュニケーショ
ン手段となっている。キー局などではリスナーからのメールが番組内で読み上げられるのはごく僅か。それがコミ
ュニティーFM ラジオ局だとリスナー1 人ひとりのメールがより大切に扱われる。 また、パーソナリティーの方々は、普段の生活においては、地域住民の 1 人として生活をおくっている。つまり、
自らも地域の一部であり、普段から地域住民としての視点や考え方が自然と身についている。となれば、自身がパ
ーソナリティーを務める際には、リスナー(主に地元地域の方々)にどのような情報を提供すれば喜ばれるか、リ
18 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) スナーが欲しい情報とはどういったものなのか、ということがよりリスナーに近い感覚で、パーソナリティー自身
が把握できているのだろう。 このような距離感の近さから、パーソナリティーもありのままの自分で声を発していくことができるのだろう。
もちろんプラスな感情を抱くことばかりではない。「しっかりと話せるのか」「辞めた方がいいのか」などという
マイナスの感情も抱いたそうだ。それでもこれまでパーソナリティーであり続けられたのは、距離感の近さによっ
て築いてきた「たくさんのリスナー」「人脈」「目標」の存在だと思う。そこからやりがいが生まれ、ふとしたき
っかけで始めたパーソナリティーの仕事でも楽しんで取り組むことができている。我々は 5 人のパーソナリティー
の方々のとても素敵なお話を聞くことができたと思っている。魅力溢れる彼らから、我々も今後の大学生活を精一
杯有意義なものにしていこうという意欲をもらった気がする。 最後に、お忙しい中我々のインタビューを引き受けて下さったパーソナリティーの方々、まちの放送室の方々に
感謝したい。 そして最後に、このようなパーソナリティーの方々に出会える機会を設けて下さった加藤晴明先生にも感謝した
い。原則ゼミ担当教員の下で行うこの実習なのだが、我々の事情を理解して受け入れて下さり、本当にありがとう
ございました。 19 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 第2章 コミュニティパーソナリティの〈語り手意識〉(1) 犬山市「まちの放送室」を舞台に 戸島 由加里 Yukari TOJIMA
中京大学現代社会学部現代社会学科 3年生(2011年度) 〈インタビューの実施日:2011年〉 6月27日(金)大田医院長 戸島班(戸島・藪崎) 6月29日(水)大森さん・松本さん 片野班(片野・小川) 7月04日(月)大田医院長 戸島班 7月06日(水)大盛さん・松本さん 片野班 20 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ◆1.はじめに あなたは、「ラジオ」と耳にして、初めにどんな事を想像するだろうか。 有名なアーティストの音楽が流れているところだろうか。それともキレのある英語や、芸人が繰り広げるトーク
であろうか。私は今回それらの番組を担っている「パーソナリティー」に焦点を定めた。そして、その中でも私
たちと同じ一般の方がパーソナリティーを務めているコミュニティラジオ局に行き実際にそこのパーソナリティー
の方のお話を伺った。 一般の方だが、私たちよりもメディアに近い存在で、公共の電波を使い情報をたくさんの人に発信している。ど
のような経緯でこの場に立つようになったのか。彼らは特別な存在なのか。「人」とラジオとの関わりについて調
べていきたい。 ◆2.調査対象 2011 年 4 月の時点で日本のコミュニティ放送局は 246 局となりました。私はその中で犬山にある、「愛北FMま
ちの放送室」というラジオ局のパーソナリティーの方に協力していただき、インタビューを行った。 インタビュー対象者はまりっぺさん、太田医院長、大森さん、松本さん。 以上の4名である。 そして、質問項目は以下の通りだ。 ① 担当番組の概要、構成と狙い ② 町の放送室でのパーソナリティー経験期間 ③ パーソナリティー自身の、現在の「仕事」と「ラジオのパーソナリティー」としての関わりとは。 ④ まちの放送室でパーソナリティーをやる事になったきっかけ。 ⑤ ブースの中で考えていること、心がけていること。 ⑥ ラジオの中でのキャラ作りはしているのか。 ⑦ 自信の根源はどこからくるのか。 ⑧ ラジオをしていて、一番何が楽しいのか。 ⑨ ラジオを普段聴いているのか ⑩ ラジオ以外にツイッター、ミクシィなどメディアを通して、自己表現をしているか。 以上を基に、①∼⑥の会話の内容を主に使用する。 21 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ◆3.インタビュー対象者について まちの放送室は、江南、扶桑、大口、犬山をエリアとしている。ホームページからは、ライブで全国に放送をして
いる。日本一広告料金の安いラジオ局である。 まりっぺさん:日曜・犬山やっとかめラジオ(まりっぺさん含め3名) 「ありのままで」12時∼16時放送 大田医院長;月曜・祭食健美ラジオ「日高接骨院」 15時∼17時放送 松本さん&大森さん:水曜・祭食健美ラジオ「アドリブソング」15時∼17時放送 ◆4.コミュニティーパーソナリティーの特性(仮定) まずは、個人を細かく分析せずに「パーソナリティー」全体としての大まかなイメージから特性を出してみる。 パーソナル群 ・人前で話をする事がすき。 ・それぞれの趣味がある。(主にそれらのことを、トークテーマや、カラーにしている。) ・何か伝えたい事がある。(メッセージ性) メディア群 ・メディアという意識の差が大きい。 ・自己表現の場の意識という意識が、ある人ない人。 コミュニティーラジオ群 ・リスナーが固定化され、範囲が狭い。 ・「語る」ことに対しての対価の問題が少ない(ボランティア)。 ・職業よりも、趣味の一環。 パーソナル群はその人がラジオを始める前から持っている人間性や、性格、性質の事。 メディア群は、ラジオをメディアの一部としてどのように受け取っているかという事。 コミュニティーラジオ群は、全国放送ではないという点から以上の3つに分類化した。 ※他局のコミュニティ FM のパーソナリティーは、有給でパーソナリティーを行っている方も多数いるが、この町の
放送室のパーソナリティーの方々は、全員ボランティアでパーソナリティーを行っている事を念頭に置いておいて
ほしい。 ◆5.AM と FM の違いから ラジオは、FM と AM があるのはご存知の事かと思うが、そもそもこの二つの違いはどんなものか、そこからパーソナ
22 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) リティーに及ぼす影響とはどんなものか検証していく。FM を使用する一般放送事業者は「県域放送」と今回調査の
対象としている「コミュニティ放送」に区分されています。コミュニティ放送は、FM が使われる。そのため、コミ
ュニティ FM(CFM)と言われる。AM と FM の簡単な違いを以下の表にまとめた。 AM FM 放送範囲が広い 狭い 雑音がはいる 音が良い 情報番組が多い(適す) 音楽番組が多い(適す) コミュニティーラジオの特徴 ・放送エリアが地域(市町村単位)に限定されるため、地域の商業、行政情報や独自の地元情報に特化し、地域活
性に役立つ放送を目指している。 ・FM は音が良いため音楽番組が多く、AM は情報番組が多いと言われている。 ・交通状況や、災害放送は地域と緊密な連携を保つなどをして、地域に貢献している。 ・コミュニティ放送は、県域放送に比べ放送義務が緩やかである。 ・キーワードは「地域密着」 ・市民の参加が求められている。 ・ミニ FM よりも広い範囲で放送が可能。 ・県域放送では、情報は広いが詳細までは放送する事が難しい。一方、コミュニティは地域に特化した内容を提供
する事が可能。 ◆6.番組表から 今までの事から、AM,FM、県域(FM)放送の違いがそれぞれある事が分かった。 では番組の内容、構成などから、それぞれの違いを生かした特色は見られるだろうか。 番組表をもとに表にまとめた。 パーソナリティーの人
数(一日) 町の放送室(FM) 約12人 AM 放送 約35人 県域放送(FM) 番組数 5つ 約30 番組時間 2時間から3時間 (時間単位) 2時間のものから、20分
のものまで(分単位) 内容 地域の事がほとんど 娯楽(全国共通) パーソナリティー 一般人 芸能人 上記の表から、やはり違いが顕著にみられた。 23 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 一日に放送する番組の数が圧倒的に違う。それに伴い、一日の放送の中で登場するパーソナリティーの人数にも大
きく違いが見られた。その結果、当然の事ながら一人あたりが番組を担当する時間も限られてくるわけで、個々の
パーソナリティーが話す内容の趣旨(伝えたい事、伝えなければいけない事)変わってくるのではないだろうか。 そして、無名の一般人なのか、芸能人なのかという事も大きな違いである。 関係してきそうな要因として ・時間がたくさん設けられている。 ・地元をタイトルコールとした番組が多い。という事に注目したい。 ◆7.その他の特徴 ・番組ごとで完全に区切られているわけではなく、前時間の番組の内容を引き継いだものもある。 EX、朝の番組担当のパーソナリティーが、ある食材を使って今日の夕食のメニューに取り入れろというお題を出
す。それ以降の番組担当者がその日に答えていく。 →【一日一体型】 ・番組の会話中に、スポンサーの企業の名前を日常生活の一部として出す。 EX、今日○○のスーパーで買い物してきて∼。 ○○のお団子がすごく好きで最近よくたべて・・・。 →【地域密着型】 ・パーソナリティーがミキサーもしながら番組を進めていく場合もある。 →【少数協力型】 ・パーソナリティーは全てボランティアである。 →【無給型】 ・番組の最中でも、観光客とのコミュニケーションをとり、飛び入りでの参加も可能。 →【飛び入り参加型】 ◆8.インタビューの会話 以下は、実際に質問をした時の会話である。質問項目ごとに並べ、それぞれのキーワードとなるものを抽出した。 ①
担当番組の概要、構成と狙い。 ・まりっぺさん 戸島:それで一つ目の質問なんですけど、まりっぺさんは普段どんな番組をされているんですか。 24 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) まりっぺ:え、楽しい番組。日曜日の 12 時から 17 時まで 5 時間。犬山やっとかめラジオというのを担当しており
ます。基本のコンセプトとしては、犬山楽しいぞと、また来てねっていうのが基本のコンセプトなので、
観光客の方にお声がけをして楽しみたい。で、どっか中継にでて。 戸島:え、中継出るんですか? まりっぺ:出る出る出る。中継大好きよ。 戸島:ラジオ中にですか? まりっぺ:はい。 戸島:ブースを離れるんですか? まりっぺ:離れる離れる。もう一人いるから。で、行って来るーって言って、今は電話で取材とか。昨日なんかは
催しのリハーサルがあって私はそれに行って、この時間からぜひ来てくださいねって言うのをお知らせしたりとか、
モンキーセンターが好きなので、モンキーセンターのイベント中継とかっていうので、犬山楽しんでねって言う
感じでやっております。 戸島:いろんなとこに行っているんですか取材に。 まりっぺ:そう、だから私がやりたい、行きたいっていえば。 戸島:どこでもいいのですか? まりっぺ:犬山のことを紹介するんだから、出来るだけ多くの。こういう城下町も良いんだけど、犬山は城下町だ
けじゃないし、だから他のところにも行って。私も勉強になるし、まあそんなんで、犬山をもっともっと知って
もらいたいの。いっぱい遊びにきてもらいたいから。 キーワード ・楽しい番組 ・犬山をもっと知ってもらいたい。 ・犬山楽しんでね。 ・いっぱい遊びにきてもらいたい ・大森さん、松本さん 大森:そうですね、構成と狙いですか。私たちは二人とも音楽関係なんですよね。 松本:僕はシンガーソングライターをやってて、普通に名古屋とかで活動してるんですけど、大森ちゃんは
大森ちゃんでまた違うんだよね? 大森:私は北名古屋市の音楽学校・・違う、芸術大学の音楽学部に在籍してまして、二人とも音楽に絡ん
でいる。 松本:そうですね、ジャンルは違えど音楽をしている上で人を楽しませるというものに対して向き合ってい
ると。そんな二人が組んでいる祭食健美ラジオ水曜日なんですけど、元々祭食健美ラジオというのは祭
り・食べる・健康の健に美しいと、祭食健美ということで、この文字にまつわること全て OK っていう 大森:私は元々金曜日のアシスタントでやってたんですけど、その金曜日の先生は塾の先生をやってらっしゃるの
25 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) で特に教育に力を入れたラジオと。リスナーの方からウチの子供今、高校受験なんですけど、どうしたらいいです
かって質問を受けるっていうパーソナリティさんもいらっしゃいます。担当者によってこの祭食健美ラジオは本当
に色が違う。 松本:そうですね、ちなみに、僕達の番組の狙いとしてはですね、一応、基本は楽しく喋ろう。それと自分
達が選曲する曲も含めて、わりと、音楽にコアな人にも受けるように、僕は選曲していて。大森さんは逆
に今の若い人に受けるような曲を持ってきてくれるんですよ。 大森:先ほど前田敦子ちゃんの フラワー をかけたんですけど、大体最初の十分くらいに今売れてるオリコン1
位とか 2 位とかの曲をかけるようにしています。 松本:僕も祭食健美最初の 10 分を聞くとこんな歌今流行ってるんだっていうのがわかるというね。大森ちゃんのプ
チトークとともに楽しめちゃいます。 大森:ま、私が好きな曲しかかけないんですけどね。 松本:ま、若干偏りはありますね。そしてね、4 時代になりますと、僕が逆に大森ちゃんの座ってるところに移動
して、色んなコーナーをやるんですけど、例えば、他の特に面白いことやろうと思って考えていて十月、昨年の 10
月ですかね。 松本:半年ですかね、もう半年以上たってますね。で、僕も面白いこと考えたいなと思いまして、アドリブでお
客様からリスナーさんからもらったお題をその場で歌にするコーナーをやっているんですよ。犬山愛北 FM
放送やっているところに取材に行ってきましたというコーナーをしていまして外に向けて発信してる部分もある
し、自分達の好きなところをぶつけてるコーナーもあります。 キーワード ・音楽関係 ・シンガーソングライター ・芸術大学 ・人を楽しませることに向き合う ・楽しく喋ろう ・外に発信 ・自分の好きなところをぶつける・音楽にコアな人にも受けるように ・今売れて
る 共通キーワード ・楽しい、楽しく ②
町の放送室でのパーソナリティー経験期間 ・まりっぺさん 薮崎:まりっぺさんは、このラジオのパーソナリティーはどれくらいやられてるんですか? まりっぺ:開局からなので、もうすぐ5年。5周年でしょ。7月7日で。 藪崎:長いですね。めちゃくちゃ。 まりっぺ:一応、この局で行けば、一番長いかな。 26 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ・大田医院長 大田:僕はー、4ヶ月目ですね。 薮崎:そうなんですか。まだそんなに長くは? 大田:もう全然。もうぺーぺーですよ。 ・大森さん、松本さん 松本:色んなコーナーをやるんですけど、例えば、他の特に面白いことやろうと思って考えていて十月、昨年の 10
月ですかね。 大森:はい、そうです。 松本:半年ですかね、もう半年以上たってますね。 キーワード ・開局からなので、もうすぐ5年。 ・一応、この局で行けば、一番長い ・4ヶ月目 ・もう半年以上 ③
パーソナリティー自身の、現在の「仕事」と「ラジオのパーソナリティー」としての関わりとは。 ・まりっぺさん 戸島:今の仕事と、ラジオとの関わりっていうのは。 まりっぺ:歌い手とラジオとの関わりっていういみ? 戸島:はい。 まりっぺ:私の中でのイコール。伝えるって言うことに関しては、言霊として歌で伝えたいと思っているので、歌
はメロディーにのせて伝えるし、このラジオは喋りっていうことで伝えるし。ラジオっていうのはニュースの原
稿を読む時に、その時の感情で喋るのはよくないのかも知れないし、淡々と読まなきゃいけないのかもしれないけ
ど、やっぱり自分のそこだけは許せないっていうところっていう、まあさっきの自殺もそうだけどね、私の中では
それはあかんでしょっていうことを心から伝えたいなって思ってる。本当の言葉で。それは、歌はそこに来てく
ださった人とか、歌だからちょっとオブラートに包んだ表現だったりとかになっちゃうけど、こうやって喋ること
によってストレートに伝わると思ってるから幸せだったり、それから楽しみだったりっていうのをきちんと伝えた
いなって言うのは。 戸島:ああ、イコールなんですね。 まりっぺ:だからイコールなの。私てきにはね。 キーワード ・歌い手とラジオ ・イコール ・言霊、メロディー、喋り ・いけないことを心から伝える ・本当の言葉で 27 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ・大森さん、松本さん 松本:割と横のつながりが大きい仕事なので、それをさらに広げる役割にしてる。不特定多数の人に聞いて
もらえる為、外で繋がりのあった人をラジオに呼んだりもするため、宣伝の機会の無い音楽活動をしている人
とのつながりが出来る。 大森:大学で音楽のバンドをしている人を紹介してその人たちにとってプラスや刺激になればいいかなと思ってい
る。 松本:これから新しい人と一緒にできることについて期待をしている。 キーワード ・横のつながりを広げる ・宣伝の機会のない活動をしている人とのつながり ・大田医院長 大田:ああー、んーとねえ、祭食健美ラジオって字で見てくと面白いんだけど、祭りっていう字に食べるって
いう字に健康に美しい、みたいな?うちの会社は接骨院と、あとネイルアートと、あとはー美容矯正であったりと
か、ダイエットの部分もやっているのでこれ全部関わってくるんですよ。祭りっていう部分も実は夏祭り、江南
の夏祭りで子供達集めてイベントやったりとか、こないだあったドッヂボール大会であったりとかね、ひとつの祭
りの部分なんですよ。これ全部僕ら関わってなんか感じるものがあるなと思って、それでお伝えしていくうちにラ
ジオからの患者さんが見えたりとか、そういうこともありますね。 キーワード ・祭食健美に全部関わる ④
まちの放送室でパーソナリティーをやる事になったきっかけ。 薮崎:このまちの放送室で、パーソナリティーをやることになったきっかけっていうのを教えて頂きたい
んですけど。 まりっぺ:私はポンポコネットワークという、障害があるとか、高齢だからとか関係なく皆で手を繋いで生きてい
けたらいいよねっていう、NPO法人の仲間の一味というか、そこに協力しているんですけど、ここが開局する
ときに、犬山で頑張っているNPOだからということで、番組の枠が。1 時間やらないかということで。で、その
時に実は私パニック障害で心が病んでたのね。だからその時にこれを受けるかどうかすごい悩んだんだけど、
自分が変われるチャンスだって。人前で歌ったりすることはしていたので。やりたいことの一つだったのね。
パーソナリティーということも。だけど、躊躇したの。パニック障害になったことがある人は分かると思うんだ
けど、狭いところにいるということが、とてもしんどいのね。だから、それがまず出来るかどうかってことから入
28 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) って。それから、私の最初は公開リハビリ。私は、ここで育ててもらうということで。病んでますってカミン
グアウトしていくことからはじめたの。 戸島:じゃあ、一緒に成長したって感じですね。 まりっぺ:だから皆は、びっくりしてるんだけど、初めは電車もバスも乗れなくて。 戸島:全然そんな感じないですね。 まりっぺ:ないでしょ。だから、変われるっておもうのね。こんな私でも、変われるんだよって思いさえあれば変
わっていけるって思いがあるから。 藪崎:聞いてる人にも伝えられますよね。 まりっぺ:そうそう。心は病んでるなって思ってても私は、夜明けは来るよって言ってあげられるのよ。経験した
から。それは、症状の出方は違うと思うけど、でもピンポイントで、そうだよねって、心から言えるところがある
わけ。だから、そういうことを伝えたくてやってる。 戸島:あーまりっぺさんに言われると、説得力がある。変われるって言うのが。 まりっぺ:そう!絶対かわれると思うので。あと子どもが不登校だったので。下の男の子が、5年間。結構色々あ
るのよ。わたくしの人生。ほほほよ。それを、聞かれりゃ言うけど、隠すことじゃないし キーワード ・開局 ・NPO 法人 ・パニック障害 ・やりたいことの一つ ・公開リハビリ ・自分が変われるチャンス ・病んでますってカミングアウト ・大田医院長 大田:きっかけーはですね、ここのパーソナリティーのジャン君っていう人がいるんだけど、同じ職種っていう
かね。まあ彼は整体の先生なんだけど、僕は接骨院業界の先生で、その関係で会ったみたいな感じで。それで
なんかのきっかけで会ってくうちにちょっと同い年でもあるし、方向性もすごく一致していて、まあ心の部分です
ごく重なる部分があったので、感謝の気持ちとかそういった部分をわあっといろいろ喋っていくうちに実は僕ラジ
オで喋ってるんだよねっていう話から、なにそれ∼みたいな。なんでそんなことしちゃってんの?みたいな。 薮崎:ああ∼ちょっと羨ましい感じで。 大田:そうそう。なんか乗っかって。で、喋りなよー!って言われて。で、1回番組出させてもらってそれでなん
か気持ちを伝えるって大事だなって思って。っていう感じですね。 薮崎:じゃあ今のお仕事をしてるので、それを通じてこちらのまちの放送室と出会ったということですね。 大田:そうですね。 キーワード ・同じ職種 ・僕は接骨院業界の先生で、その関係で会った ・なんか乗っかって ・ 気持ちを伝えるって大事だなって思って ・松本さん、大森さん 大森:あのですね、これはわたしのラジオを始めたきっかけにもなるんですけど。まあ、知り合いが、去年かな、
29 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 水曜日、違うか金曜日の、えーと、どんでんラジオというのをやっていまして、そこでやってるからちょっと遊
びにおいでって言われたのがほんとにきっかけだったんですけど、それからどんどんどんどん、こう自分で調
べたりとか、web 放送を聞いて、より深く知っていったっていう感じですね。 小川:で、今パーソナリティをやっていらっしゃると。 大森:はい。気付けばパーソナリティで。 松本:なるほどね、僕はね、ちょっと違いまして。あるライブ会場で、お客さんで物販にきてくれた人がいて、
あの、わたし実はこういうところで、あの、パーソナリティをやっているんですけど、ラジオに興味ありますか、
て言われたんですよ。で、それがここで放送やってらっしゃるふーちゃんという人がいるんですけど、金曜日の朝
一、朝6時から9時という時間をやってるんですけど、その方がですね、誘ってくれまして。で、あ、今募集して
るんですかと言って。前から興味あったんですよ、その頃ね。パーソナリティできたらおもしろいよなと思
って。だけど、なんかきかっけなんかなかなかないからなと思ってたら、そういう話がきて。で、あのー、はい、
やりたいですって言って。で、やることになったんですけど、あの、同時に声かけてる子がいるから、二人組でや
ってくれないか、て話になって、大森ちゃん。 大森:そうだったんですか 松本:そう。そうなんです。 小川:そんな縁だったんですね、お二人は。 松本:僕はね、もともとは知らなかったんですよ。放送局の。 大森:わたしも知らなかった。 松本:この趣のある城下町のこのコミュニティで何故パーソナリティを努めているか。それはですね。 一言で言うのは難しいですが、好きだから。皆さんに情報や番組をお届けすることが好きだから。それで僕自身も
アーティスト活動をやっているので、そのコンテンツの 1 つとしていきたいなという気持ちがありました。 大森:私はなんか気がついたら今と言う感じでした。流れでやってみないかと言う形で今やっています。 松本:ラジオは声だけで伝えるメディアでしょ?二人の息が合わなくて最初は大変だった。最近は一人でやると逆
に違和感がある。 キーワード ・情報や番組を届ける事が、好きだから ・アーティスト活動のコンテンツの一つとして ・知り合い ・お客さん ・気がつけば流れで ・興味があった ・そこでやってるからちょっと遊びにおいでっ
て言われたのがほんとにきっかけ ・誘ってくれまして ・もともとは知らなかった 共通キーワード ・誘われて ・やりたいことの一つ、興味があった 30 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ⑤
ブースの中で考えていること、心がけていること。 ・まりっぺさん 戸島:メッセージを発信するということで、番組の中で考えていることとか、心がけていることっていう
のはどんなことですか? まりっぺ:上手く質問に答えられないかも知れないけど、思っている事をいうね。自分が病んでたって言うのは言
ってるから、皆知ってるし。パニック障害を今持ってる人が変われるんだって思ってくれることも凄い嬉しいし。
自分の子どもが小学校の4年生から、中学校の3年生まで不登校だったので今は笑って話せるけど、その時は泣い
てたからね。どうしてうちの子は学校行かんのやろって思ってからね。そういうこともあって変われるって。その
ことがちゃんと伝えたいなって事と。昔は歌を歌いながら、自分が枯渇すると思ってたの。ようはこんだけパワー
がある、自分の持っている物、アンパマンの頭よ。「疲れてるでしょ?僕のお顔を食べてよ!!」ってそんな感じ。 戸島:ああーどんどん減っていっちゃう。 まりっぺ:ね?でも私にはジャムおじさんがいないからさ。頭を取り替えてはくれないわけ。新しいアンパンマン
は来ないわけよ。そうすると、凄いしんどくなってくるわけよ。そうするとさ、やっぱり心も疲れてきちゃうし、
体も疲れてきちゃうしって思ってたんだけど、こうやってラジオをさせていただくときに、公開リハビリっていっ
たけど、自分も元気になっていく、いろんな人からメールもらって励ましてもらったりとか、まりっぺそれは違う
よって言って、自分も成長できる。で、もしかしたら私が言っていることで元気に慣れたりとか、そんな考え方
もあるんだねって事を気づいてもらえたらありがたいって考えるようになってから今は枯渇するって、アンパマン
のお顔のように減っていかないと思うの。 戸島:考え方が変わったんですよね。 まりっぺ:そうそう。だから変わったって言えるし、どんな風に変わったかっていうと私幸せのコップを持ってる
のよ。皆が持ってるんだけどその存在を気がついてない人はいっぱいいて、前の私はいつもなみなみについでたい
んだけど、そこから皆にどうぞどうぞってやってるから、減ってっちゃう。でも今はそのコップの下からどんど
ん沸いてくるの。だからあふれ出るじゃない?そうすると、その受け皿にあふれたものだったら、どれだけおく
ばりしても、私のコップは減らない。で、余ったものはさ、別にいいじゃない。差し上げても。 戸島:周りに幸せが まりっぺ:広がっていくわけだから。そう考えるようになったら、本当に楽しくて本当に楽になったの。だからそ
の楽しさだったり、怠惰に生きるわけじゃないけど努力は当然必要。だけど、努力をすれば確実に結果がでる。自
分の望んだ結果じゃないかもしれないけど、でもなにかしらの結果はでるじゃない。で、そこで今回このやり方は
間違ってたかもしれない。失敗したかな?でも失敗じゃなくて経験なんだから後悔することはない。反省すればい
いけど後悔することはないって。無駄なことって、本当に一個もないからって心から今思ってるの。全部の経験が。
だから病んだことも子どもが不登校になったことも、顔面ヘルペスになって顔がお岩さんみたいになった時もあっ
たんだけど、ある日子どもが来て、お姉ちゃんお顔どうしたのって聞いてくれたのね。なんて気持ちがいいんだっ
て。 戸島:素直ですね。 31 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) まりっぺ:だから人は素直であれば、聞く相手にもよるし、受け止める側の事もあると思うんだけど、ストレート
に素直な気持ちで、何も疑わずに、本当にどうしたのって思ってるからきいてるわけだからそういう気持ちって大
事だなって教えてもらったの。何かの時にそういえば私はあの時にこう感じてたなって言うのを、何かに絡
めてお伝えできれば、私は嘘を付かずに本当の言葉で喋れると思う 努力の幅が違うんだっていう事も、私子供に教えてもらったの。だから、どんなことからでも学べるから、こ
こにいる時もいるだけで学び。やってみようと思う気持ちを持ち続ければきっと次の道は開けてくると思うから、
そんな事も含めて発信していきたいと思っている次第でございます。 戸島:犬山市民の方だけでなく、どういう方に。 まりっぺ:みんな生きとし生けるものすべて。 戸島:生きている人全てにメッセージを発信してるということですよね。 まりっぺ:でも、一番はもしかしたら自分なのかもしれない。言葉って鏡だから、言ったことって全部返って
くるから、言いながら確認して自分にちゃんと返してる。そう思ってるよね?って。幸せだって思ってるよね?っ
て。そしたら、ああ、私幸せじゃんって思えることもあるから、それも含めて。 戸島:リスナーの方にも、自分にもつながってる。 まりっぺ:そうそう。 戸島:願いって言うのは、どんな願い? まりっぺ:放送を通じてのことでいい? 戸島:はい。 まりっぺ:幸せな世の中になればいいなって思うの。幸せって、人それぞれ感じ方が違うから一概に何が幸せと
はいえないんだけど、幸せを感じるアンテナが、今皆くすんでいると思うのね。特に子供たち。だからそれを、こ
んなところに幸せがあったんだって気づいて欲しいの。あたりまえじゃないんだよって。 戸島:それぞれが自分の幸せって。 まりっぺ:だって、毎日ご飯が食べられることが当たり前じゃないって事になかなか気づかないじゃない。今回み
たいに震災があって私たちは被害を受けてないから、ご飯を食べれてたじゃない。でも、買い物に行ったら、ご飯
が足りなくなってた時期あったでしょ?それでも凄く不便を感じたじゃない?それでも震災の被害を受けた方たち
は、食べ物があることが当たり前ではない。食べれる事が当たり前ではない、生きていることが当たり前ではな
いって言うところで、目の前にある幸せをちゃんと感じて欲しい。家族がいるのがあたりまえではない。そこ
を感じるの。アンテナを磨こうよみんなもっと。 それが私の願い。そうすれば、みんなが手をつないで、私はNPOに所属してるって言ったけどみんなが手をつ
ないでニコニコできる世の中にしたい。それが目的のNPOなんて早く潰れればいいの。言ってるうちはそれじ
ゃないってことだから。言わなくてもみんながそれをできる世の中にしたいって思ってる。必要じゃなくなってほ
しいの。それが願いです。 キーワード ・変われる事を伝えたい ・本当の言葉で伝える・アンテナ・生きとし生けるものすべて・ニコニコ
出来る世の中に 32 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ・大田医院長 大田:例えば僕なんかは興味あることないことですごく差はあるんだけども、ラジオ聞いててアドレスこちらっ
て言われてもなかなかメールとかできないタイプなの。僕自身がね。どうなったらできるのかなと、いうのはいろ
いろ考えていて。難しく考えすぎたりとか。あとは上手に喋ろうとかって思うとなかなかその勇気って出ないけど、
僕が例えばキャラ的に軽そうなキャラだったら、あ、この人だったらいいやみたいな、メール打てるかなって思っ
たから。 戸島:そうですね。気軽に。 大田:そうそう。そんなイメージを自分でつくろうとはしてますけど。もともと軽い男なんでね。 戸島:そうなんですか。そういうイメージをつくろうとして、心掛けて。 大田:そうそう。喋り方とか、あと声のトーンなんかはそういう気持ちでやってますけど。 戸島:そういうことなんですね。たくさんのパーソナリティーの方がいると思うんですけど、例えば女性の方とか
20代の方とかどういった方に向かって語ってるんですか? 大田:えーとねえ、年齢とか性別はあんまり区切りはないですね。はい。人っていう部分で。心っていう部分を狙
ってますけどね。 戸島:じゃあ願いとか、たくさんの人に向かってどんな願いで? 大田:自分の夢って心の中にあるんだけれども喋ったこと無いから上手に喋れないとか、人に伝えらんないとかそ
うった部分をどんどん掘り出すきっかけとか口に出すきっかけをつくってあげだいと思ってる。 戸島:代表が語るだけではなくて 大田:そうそうそう。 戸島:たくさんの人に語ってもらいたい、自分を出してもらいたいみたいな。 大田:そうそう。あとはねえ、自分でなんかリスナーの方が聞いてみえて、メール打たないんだけどご飯食べてる
ときとかに家族の前で、「今日ラジオでさあ、夢について喋ってたんだけどさあ」「実は私の夢さあ」とか。 戸島:あ、きっかけづくりとか。はい。 大田:あとは、まあ前もありがとうっていうテーマでやったんだけど、まあ、メールいただいたのが、あの、あり
がとうって普段言えなかった人、意外にそれがすごく身近な人であって、でそれが言えてよかった。ありがとう。
って逆に僕がありがとうもらったりとか。 戸島:ああ∼、つながってますね。 大田:そうそう。まあそういうのがすごく嬉しくて、気持ちよくて。うん、快感ですね。 キーワード ・気軽なイメージ ・声のトーン ・心を狙う ・きっかけを作ってあげたい ・ありがとう ・たくさんの人に
語ってもらいたい 33 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ・松本さん、大森さん 大森:私は喋っていると聞かれた内容や自分が何を喋っていたか忘れてしまうんですね、なので最近は
それを忘れないようにしています。あと自分の家で発声練習をしてかまないようにしています。 松本:僕もかまないように気をつけてます。声を張るように喋って、声のトーンが暗くならないように気をつけて
います。 大森:ラジオを聴いて一人でラジオごっこをしてますね。 片野:声を発信している側と言うことで、リスナーさんにこういうことを伝えたいと言った面はありますか? 大森:ラジオなので姿は見えないのでキャラ作れると言うことで、リスナーの皆様にキャラを見せているんですよ。
リスナーさんに伝えたいのはニュースなどと言ったものが大事だと思うのできちんと伝えて生きたいと思いますね。 松本:僕は楽曲のシーンで皆様からもらった御題でミスをしないように気をつけてますね。ニュースはその明るい
ニュースなど内容によってどう喋るかを気をつけてますね。 片野:キャラを作っているとのことでしたが。 大森:最初はキャラを作ってたんですが、今は大分素になっていますね。松本さんとの掛け合いもそのほうが自然
ですよね。 松本:僕の方の違いはそんなにないんですが、なるべくテンション上げて聞き取りやすいテンションなので10
0%素とは言いがたいですね。気持ちの面でも人に聞かれることを意識している、情報を発信している面はあ
りますね。 キーワード ・喋った内容を忘れないよう ・最初はキャラを作っていた ・どう喋るか ・人に聴かれることを意識 ⑥
ラジオの中でのキャラ作りはしているのか。 ・まりっぺさん まりっぺ:飾ってよく見られたい、失敗を突っ込まれたくないって人だったんだけど、やってくうちにありのまま
でいいじゃんってなれたのね。だから、今は、本当に楽。 TPO にあわせて喋り方をかえたりとか、そういうことはあると思うのね。取材に行ったりなんかした時に身だしな
みっていう意味では、気をつけたりってことはある。だけど、基本的に自分が何かを演じてるとか、オフだからこ
うだってのは、ほとんどない。 戸島:キャラを作ってるってことはないんですよね。 まりっぺ:素です。 藪崎:ラジオで喋るうえで、自分のラジオのイメージっていうのは別にお持ちではないんですか? まりっぺ:こうあらねばならぬみたいな?疲れるじゃん。いや、気取るときはあるのよ。でも今のこの状態だった
ら、楽しかったら楽しかったでワーって喋っちゃうからこれでいいのかと。喋る体力がなくなったきたらそのうち
静かになるだろうというぐらいの感じかな。だから作っていることもないし。作ってるとすれば、自分の中で気を
34 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) つけてることは、お会いした方と、お話している時にその人に今一番必要な言葉を話させてくださいってい
う事だけは、いつも思ってるそれだけは。そこははずさない。 キーワード ・ありのままで ・素 ・一番必要な言葉を話させてください ・疲れる ・大田医院長 大田:違いかー。あんまりないかもしれないね。 薮崎:全く一緒ですか? 大田:全くといったら、でもラジオは一緒かな?自分じゃない自分でいるのって疲れるじゃないですか?だから、
接骨院で現場出てる時から、なるべく自分じゃない自分を演じてお仕事するのは辞めようっていう意識があって、
普段とあんまり変わらない。そうじゃないと疲れちゃうから。しんどいよね。 戸島:そうですよね。先ほどちょっと、リスナーの皆さんがメールを送りやすいようなチャライ自分を。 薮崎:チャライじゃなくて、親しみやすいだよ。 戸島:っていわれてましたよね。それはどうですか?イメージみたいな。 大田:堅くない。柔らかい。この人だったら、なに言っても怒らなさそうだなとか、なに言っても聞いて
くれそうだなっていう状態はまさに自分。 戸島:それは代表自身ってことですか? 大田:普段からそういう感じだよね。 キーワード ・疲れる ・まさに自分 ・親しみやすい ・ ・松本さん・大森さん 松本:キャラ作りって前話したじゃん。大森ちゃんははじめ純キャラでいくとかって。僕はね、逆に、最初自分
で行き過ぎたんだよね。なんか、自分すぎちゃって。ノーマルな。で、逆に、ラジオ聞いてたらさ、いろんな人
の。すごいテンションあげてしゃべっててさ。なんか、あつかましい感じにも聞こえるんだけど、それがさ、よか
ったりするんだよね。なるほどねって思って。逆に大御所のミュージシャンだったりすると、淡々と喋ったりとか。
でもやっぱね、結構面白く喋ったりしてさ。ああ、これはこういうモードなんだろうなって。最近ね、不必要にテ
ンションあげて喋ってる。・ 大森:まあ、そうすると大森が無視するっていう事件が起こってるんだけど。 松本:そういうなんかさ、行き過ぎてしゃべったほうが、まあ、面白いんだろうなと思って。だから、やっぱりあ
る程度のキャラ作りは必要なのかもしれない。ここらまでもっていかなかんっていう気持ちのキャラ作り
かな。 大森:テンションはある程度、この放送向けのテンションってのは考えてるよね。 35 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 松本:だから、そう。僕は最近、調子こいて帽子かぶったり。毎回ちょっと違う感じにしてさ。なんか、調子のっ
てまーすみたいなさ、気分でさ、挑んでる。ほんと受けなくてもいいからさ、やりきろうと思ってさ。そしたら、
なんかそれっぽい、水曜日のラジオはなんかそれっぽいよねってことに。 キーワード ・自分すぎる ・不必要にテンションあげる ・ある程度のキャラ作り ・気持ちのキャラ作り ・やりきる ・
●●向けのテンション 共通キーワード ・疲れる ・素、ありのままの自分 ⑦
普段ラジオを聴いているのか ・まりっぺさん 薮崎:まりっぺさんは、情報を発信する側じゃないですか。逆に、普段ラジオを聴かれたりしますか? まりっぺ:車で運転している時は聴くかな。家にいる時は聴いている暇がない。車の運転が結構多いものだから、
喋り方とか、こういう言い回しがいいなっていう。 藪崎:勉強? まりっぺ:だけじゃないんだけど、それも気をつけて聴く様にしてる。特にここの局を聴いてるときは、同じ原稿
を読むパターンがあるわけだから、そうするとこの言い方どうかなとか。別にその人に言うわけじゃないけど、自
分はこう読もうかなとか、この言い方いいなと思ったらぱくったりする。 戸島:実際ラジオが好きで聴くってことではないんですか?元々ラジオは? まりっぺ:学生の頃聴いてた。オールナイト日本とか。所ジョージさんと、中島みゆきさんのやつね。でも、ああ
そんな喋りかもね。中島みゆきは、ギャップがすきで、聴いたことない?歌と全然違うのよねイメージが。ああこ
ういうのって面白いなっていうのが、潜在的にあったのかもしれない。ラジオ嫌いではないけど、ただ物凄く
ラジオをやりたかったとか、そこで喋りたかった時はなかったので、最初は本当にどうしたらいいのかわから
なかった。研修なんにも受けずにはいったから。 薮崎:凄い、それでこれだけ。 まりっぺ:続ければなんとかなるのよ。あきらめない事が大事だわ。そうだねえ、ただ楽しいだけ。 薮崎:やっぱり、このお仕事引き受けてよかったなって。 まりっぺ:はい。思うそれはね。出来ない経験をさせてもらってるかな。 藪崎:ゼミの先生も、色んなパーソナリティーの方にインタビューしてきたけど、この仕事をやらないほうが良か
ったっていう人はいないって、皆やってよかったっていうって言ってました。 まりっぺ:つづけてやれるっていうのは、ある程度、適正があってたってことでしょ?嫌ならきっと何回かで挫折
してると思うけど、病もうが何しようが私はある程度適性があってたと思うから、続けさせてもらったって思って
36 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) るのね。続けさせてもらえるのは、本当にありがたい。それを、見てて下さる方、聞いててくださる方がいるわけ
だから、それに答えるとまではいかないけど、そこに、本当の言葉で紳士に向き合えるかどうかって所が問われる。
私大失敗して禁止用語ではないんだけど、差別用語になるのかな?を一回言っちゃってそれが語源を知らずに言っ
ちゃって二回謹慎してるのね。放送を休んでるのね。一つの事例でね。失敗は一回ね。二週続けてお休みさせて頂
いて、事なきを終えたんだけど、知らないっていう事の恐ろしさは凄く感じてる。だから、喋る時は、ばーってむ
ちゃくちゃ喋ってるように見えるかもしれないけど、一応は考えてる。言葉は選んでる。だから、あまり断定的な
ことは言わない。断定するのなら、私は、こう思うって言う。私的な意見ですよって事を必ずつける。知ってるこ
とでも私は、手法としてね、知ってることでもどうだったっけてことは良くある。別にパーソナリティーは賢い必
要はないと思う。別にアンポンタンで、教えていただくっていうパターンでもいいと思う。 戸島:さっきブログをやってるって、おっしゃってましたよね。 まりっぺ:12日にはじめました。 藪崎:めちゃ最近。 戸島:自己表現っていう。 藪崎:あと歌もだよね。自己表現。 キーワード 車の中、しゃべり方、ラジオ嫌いではない ・大田委員長 大田:毎日じゃないけど聞くよ。 薮崎:それはどこでですか? 大田:車の中とか、おふろとか。 薮崎:それは昔から聞かれてたんですか?このパーソナリティーを始めてから? 大田:いや、昔から。あの、自分を無にする時に使ってる。頭を休ませるとき。なんか、色々案を考えなきゃいけ
なくて、仕事で。でも頭使ってるとなかなか浮かばなかったりするから一回リセットするために、頭を無にしよう
っていう。 戸島:じゃあ、この番組が好きで、この番組のこの部分をとかじゃなくて。 大田:全くない全くない。 戸島:どっちかっていえば、BGM 的なかんじで、流すって言う感じですね。 キーワード 車の中・無にする時・BGM 的 ・松本さん、大森さん 大森:聞きます。 37 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 松本:うん。こないだちょっと話したと思うんだけど、自分の喋りをちょっとよくしたいから、ほかの人はどうや
ってるのか、すごい人気のある人とかパーソナリティはどうやって喋ってるのかとか、聞いて、自分のいけるとこ
は真似するとか。 大森:自分だったらどうするのかなって考えたり。まあ、それこそこの愛北も、一応ウェブで聞けるから、インタ
ーネットで聞いたりもする。ほかのアーティストさんとかパーソナリティーさんとかたまに聞くし。あとは基本的
にわたしはすごい、ZIPPが、ZIPP‐FMがすごい好きだから。 松本:僕はエフエム愛知ばっかり聞いてる。ZIPPも聞くけど、おちけんさんとは直接ラジオやる前にお話でき
たってこともあるし。 大森:私、ちっちゃいときから車の中は絶対いつもZIPPだったから。だから自然とジッピーになっていて。 松本:俺は結局、スピッツの曲が流れて聞こえてきたのもエフエム愛知だったから。エフエム愛知ばっか聞いとっ
た。中学校の時さ、エフエム愛知聞いてとったやつがいて、で、けっこ喋ったりして、ネタを。あの、聞いた?昨
日のあれとか言って。ジェットストリーム流れたよね、とか言って。 大森:わかんないっていうね。私もわかんない。だってさ、それ、その、1995年、ロビンソンでしょ。わたし
7歳で、5歳でしょ。リアルタイムじゃないよね。 松本:その、いい時代に生まれて、1番音楽のい時代だったからさ。そういう時代に生きてこれたもんで。名曲も
そうだし、アーティストもそうだし。CDが売れた時代だったからみんな燃えてたよね。今は、消費時代、 大森:なんか形態が変わってきたよね。 キーワード 車の中・インターネット・ZIPP・エフエム愛知 共通キーワード 車の中 ◆9.キーワードのまとめ 項目ごとに抽出したキーワードをまとめた。括弧の中は、それぞれのキーワードの性質である。 担当番組の概要、構成と狙い。から ・楽しい番組 ・犬山をもっと知ってもらいたい(地域貢献) ・犬山楽しんでね。(地域貢献) ・いっぱい遊びにきてもらいたい(地域貢献) ・音楽関係(趣味、将来) ・シンガーソングライター(将来) ・芸術大学(一般人) ・人を楽しませることに向き合う ・楽しく喋ろう ・外に発信(メディア意識) ・自分の好きなところをぶつける(趣味) ・音楽にコアな人にも受けるように(特定) ・今売れてる曲 38 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 町の放送室でのパーソナリティー経験期間から ・開局からなので、もうすぐ5年。 ・一応、この局で行けば、一番長い ・4ヶ月目 ・もう半年以上 パーソナリティー自身の、現在の「仕事」と「ラジオのパーソナリティー」としての関わりとは。か
ら ・歌い手とラジオ ・イコール ・言霊、メロディー、喋り ・いけないことを心から伝える(願望) ・本当の
言葉で まちの放送室でパーソナリティーをやる事になったきっかけ。から ・開局 ・NPO 法人 ・パニック障害 ・やりたいことの一つ ・公開リハビリ ・自分が変われるチャンス ・病んでますってカミングアウト ・同じ職種 ・僕は接骨院業界の先生で、その関係で会った ・なんか乗っかって ・ 気持ちを伝えるって大事だなって思って ・情報や番組を届ける事が、好きだから ・アーティスト活動のコンテンツの一つとして ・知り合い ・お客さん ・気がつけば流れで ・興味があった ・そこでやってるからちょっと遊びにおいでっ
て言われたのがほんとにきっかけ ・誘ってくれまして ・もともとは知らなかった ブースの中で考えていること、心がけていること。から 変われる事を伝えたい ・本当の言葉で伝える・アンテナ・生きとし生けるものすべて(非特定)・ニコニコ出来
る世の中に(願望) ・気軽なイメージ ・声のトーン ・心を狙う ・きっかけを作ってあげたい ・ありがとう ・たくさんの人に
語ってもらいたい ・喋った内容を忘れないよう ・最初はキャラを作っていた ・どう喋るか ・人に聴かれる
ことを意識 ラジオの中でのキャラ作りはしているのか。から ・ありのままで ・素 ・一番必要な言葉を話させてください ・疲れる ・まさに自分 ・親しみやすい ・自分すぎる ・不必要にテンションあげる ・ある程度のキャラ作
り ・気持ちのキャラ作り ・やりきる ・●●向けのテンション 普段ラジオを聴いているのか。から ・車の中・しゃべり方・ラジオ嫌いではない・無にする時・BGM 的 39 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ・インターネット・ZIPP・エフエム愛知 共通キーワード ・楽しい、楽しく ・素の自分 ・疲れる ・車の中 ・誘われて ・やりたいことの一つ、興味があった 四人の共通点を読み解く 全てのキーワード抽出の中で、最終的に共通した点は「楽しい、楽しく」などの番組に対する意識に関する点。
「素の自分、疲れる」などの自己表現についての意識。「誘われて、やりたいことの一つ」などの転機について。
の3つのカテゴリーが浮かび上がった。 番組、メディアの中での自己表現意識、転機。これらの3要素はそれぞれのパーソナリティーを分析するにあたっ
て、重要な要素になるのではないか。 カテゴリー分けをするにあたって 今回は無給のパーソナリティーに焦点を置いたため、有給の方については仮定段階でしかないが、「有給、無給」
を始めの大枠とし分類していくものとした。次にAM、FM型に分類した。これは、どのような環境の下でパーソ
ナリティーをしているのかという、外的要因である。外的要因により、パーソナルな部分(きっかけ、意識など)に
影響をもたらすのかを検証した。そして、その分類にさらに局固有の要素(一日一体型、飛び入り参加型など)をプ
ラスする事により、さらに細かいカテゴリーに分類される。 きっかけは様々であったが、ラジオが大好きでどうしてもラジオパーソナリティーになりたくてなった方がいなか
った事も、浮き出たきた共通点である。 ラジオは車の中で聞く程度という意見が多かった。「嫌いではない、無にする時」などのキーワードからパーソナ
リティーの方自身も、ラジオは自分の中の主要なメディアではないようだ。そして他局に対するライバル意識もあ
まりないように感じられた。そして、「心がけている事、番組の狙い」からは、地域活性を試みる方、自分自身の
夢への一歩の為など相対的に思えるが、局自体を大きくしようという営利目的の方が見られなかったのも、コミュ
ニティーならではであろう。 ◆10.カテゴリー分け 抽出したキーワードをもとに、カテゴリーわけをした。 【有給】 AM 型 ●全国プロ指向型 40 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) FM 型 ●県域 「県域プロ指向型」 ●コミュニティ 「コミュニティーラジオプロ指向型」 「コミュニティーラジオ外プロ指向型」 【無給】(主にコミュニティ) FM 型 ●市民 「市民趣向型」「市民個人の願望型」「市民地域貢献型」「市民ラジオプロ指向型」 「市民ラジオ外プ
ロ指向型」 ●プロ 「ラジオプロ型」「ラジオ外プロ型」「ラジオ外プロ志向型」 パーソナリティー以外の要素 【一日一体型】【飛び入り参加型】【少数協力型】 + 【非特定語り型】 【非特定語り型】 市民(一般の市民、ラジオを始めたきっかけが芸能事務所などに関係していない人) 趣向(自分の趣味の一環) 個人の願望(こうなって欲しい、こういう思いを伝えたいなどのそれぞれの願望を伝えるために話している人) 地域貢献(コミュニティーラジオの趣旨にそった、地域貢献を目的としている人) ラジオプロ(元々ラジオを職業としている人) ラジオ外プロ型(モデル、芸人などメディアに関係しているが、ラジオパーソナリティーとしてのプロではない
人) ラジオ外プロ志向(ラジオではないが、メディアと関係するプロを目指している人) 41 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ◆.最後に 今回は、コミュニティーという点にはっきりと焦点を置くために、比較材料として簡単ではあるが全域放送の番
組表などを使用した。その結果やはり、コミュニティーラジオはビジネス色が薄く感じられた。メディアとしての
拡大や、ラジオを普及しようという事よりも、「より世界を豊かに、幸せに、一人一人の夢に向かって」などの、
パーソナリティー個人の思いのもとに日々発信されていると感じた。パーソナリティーの願いや、思いが源となっ
ているのだろう。 どのパーソナリティーも私たちと同じ一般の市民であることに変りはない。しかし、彼らが公共の電波を使って
話をする事でラジオというメディアの中の人となる。彼らは、利益を求めない形でメディアに足を踏み入れている、
ある意味とても貴重で重要な人物ではないかと感じる。大型のマスメディアとしてではなく、地元の相談室という
暖かい存在として揺るがない存在であってほしい。 今回の調査で、娯楽メディアとしてラジオを捉えるだけではなく、貢献メディアとしてのあり方を感じ取る事が
できた。生々しい、人間のドラマを発信できるコミュニティーラジオだからこそ、利益を求めず、大衆向けの番組
でなくとも必要とするリスナーがたくさんいるのだろう。 42 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 第3章 コミュニティパーソナリティの〈語り手意識〉(2) 札幌市「三角山放送局」を舞台に 半構造化インタビュー調査 片野未由希・岩瀬有紀乃・臼井沙織・重本菜摘 市川晃康・大倉拓也・岡井勇麿 1 Miyuki KATANO, Yukino IWASE, Saori USUI , Natsumi SHIGEMOTO
Akiyasu ICHIKAWA, Takuya OOKURA, Yuuma OKAI
中京大学現代社会学部現代社会学科 3年生(片野)・2年生(他6名)(2011年度) 43 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 以下のインタビュー調査は、担当教員(加藤晴明)が実施してきたコミュニティ FM パーソナリティのインタビュ
ー音源を素材にして、そのトランスクリプトとコーディング作業を実施したものである。基本的には、半構造化イ
ンタビューをベースにしながら、各班ごとに、コーディングを工夫してまとめている。インタビューの実施は以下
の期間である。 〈インタビュー実施:2002 年〉 ◆4 月 02 日(水曜日): 五十嵐礼子さん:「三角山ひろば/エッセイタイム読み語りグループ「トトロの会」」(水曜日) 新田郷子さん:「三角山タウンボイス アナタガ主役」(水曜日) コチェフ・アレクサンダーさん:「三角山ひろば/世界探検隊」(水曜日) 大和秀嗣さん:「三角山ひろば/歌謡クロニクル」(水曜日) ◆4 月 03 日(木曜日): 武田朱里さん:「三角山モーニング」(火曜日・木曜日) 山本陸美さん:「ぽかぽか・三角山ガールズレポート」(木曜日) 小山素子さん:「三角山タウンボイス アナタが主役」(火曜日) 深澤雅一さん:「魅惑のレディオショー三角山ゴールデン」(金曜日) 福田浩三さん:「三角山ひろば・耳をすませば」(木曜日) 藤原香奈さん:「魅惑のレディオショー三角山ゴールデン」(金曜日) ダニー千葉さん:「三角山ひろば・オールディーズバットグッディーズ」(火曜日) ◆7 月 13 日(土曜日): 志羅山美香さん:「三角山リレーエッセイ・花よりダンゴ」(土曜日) 小濱正道さん:「三角山リレーエッセイ・藻岩染」(土曜日) 山本 強さん:「三角山リレーエッセイ・サイバー塾」(土曜日) 永野善弘さん:「三角山リレーエッセイ・サヴァザヴァフレンチ」(土曜日) 小山 孝さん:「三角山リレーエッセイ・三角山音楽通信」(土曜日) 青砥 純さん:「三角山モーニング・懐かしの流行歌を訪ねて」(金曜日) 後藤祐次さん:「三角山リレーエッセイ・日本フォーク史」(土曜日) 丸山哲秀さん:「三角山リレーエッセイ・先生人生」(土曜日) ◆7 月 15 日(月曜日): 板垣敬子さん:「ぽかぽか・三角山ガールズレポート」(月曜日) 石川純子さん:「三角山タウンボイス アナタが主役」(月曜日) 山本 弘さん:「三角山ひろば・週刊ジャズ日和」(月曜日) 44 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ◆7 月 16 日(火曜日): 佐藤美伸さん:「ぽかぽか・三角山ガールズレポート」(火曜日) 相沢明子さん:「ぽかぽか・コンサドーレ GO WEST!」(火曜日) 小山素子さん:「三角山タウンボイス アナタが主役」(火曜日) 吉岡 学さん:「三角山タウンボイス アナタが主役・吉岡学のヒーリングタイム」(火曜日) 山本博子さん:「三角山タウンボイス アナタが主役・飛び出せ車イス」(火曜日) 浅沼 修さん:「三角山ひろば・時計台のある町」(火曜日) ◆12月13日(金曜日): 安田誠子さん:「魅惑のレジィオショー三角山ゴールデン・エッセイタイム」(金曜日) 成松郁子さん:「魅惑のレジィオショー三角山ゴールデン・エッセイタイム」(金曜日) ◆12月14日(土曜日) 遠藤美紀さん:「三角山リレーエッセー・独立指南」(土曜日) 庄田佳也乃さん:「三角山リレーエッセー・夢ゆうえんち」(土曜日) 樫田一恵さん:「三角山リレーエッセー・名作映画」(土曜日) 箭原 顕さん:「三角山リレーエッセー・MUSIC BOX」(土曜日) 45 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ◆1.はじめに 私とラジオの接点を強いて挙げようとするならば「車」しか思い浮かばない。若者とラジオとの接点はそれくらい
少ないのだ。私たちにとって決して身近とはいえないメディアであるラジオ。しかし、近年相次ぐ地震や豪雨などの
災害などによって、それは再び注目されつつある。特に地域に密着したコミュニティ FM への注目度は著しい。私たち
はその、コミュニティ FM のひとつである三角山放送局に注目。コミュニティパーソナリティを対象に分析を行った。
無償で定期的に放送をする彼ら。自分でネタを探し、苦労をしてまでパーソナリティをするのは何故か。そこには一
体どんな魅力が存在するのか。 ◆2.インタビュー項目 今回の調査では三角山パーソナリティ8名のインタビューを比較する。下記のものがインタビューの主な質問をま
とめたものである。 1.いまの仕事、番組について 2.これまでのキャリア 3.番組の 語り(声を発信する) 中で考えていること 4.パーソナリティを支えるもの/メディアの中に登場し語る魅力は? 5.リスナーとのコミュニケーション/ヒューマン・ネットワークは? 6.メディアの中の自分は 誰 ? 7.将来について これらの質問を参考に以下の点に着目して・・・ ①キャリア ②魅力/快感/快楽 ③リスナーとのコミュニケーション/ヒューマン・ネットワーク ④メディアの中の自分 ⑤自信/誇り ⑥継続願望 46 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ◆3.インタビュー内容より ●コチェフさん ①キャリア 加藤:あの、ちょっと戻りますけど、今までの自分の人生の中で、まあいろんなことやっておられるけど、そのメデ
ィアとか放送とかに関わって、喋ったとか、出演したとか、そういう経験ってあるんですか? コチェフ:えーとですね、それは私事と言いますか個人的な事情なんですが、私の母がテレビのプロデューサーをず
っと30年間位やってまして、 加藤:ブルガリアの? コチェフ:そうです。ドラマとかも作ってるんですけど、そういった関係で、出してって言ったら脇役とか道を渡る
人とかで出してくれるとは思うんだけど、そういうのじゃなくて、現場を見るのが好きだったんですよ。撮ってる現
場、撮影現場だとか。 加藤:喋る、でも自分が出て喋るのは今回が初めてなんでしょう? コチェフ:そうですね。今回が。はい。 加藤:そういう「放送」は、全然経験がない? コチェフ:ないですね。はい。 加藤:いきなりできちゃうものなんですね? コチェフ:いきなりできちゃうもんです。 ②魅力/快感/快楽 加藤:ちょっと難しい質問なんですけど、そうやって苦労してつくったとして、ただ読むだけじゃなくてそこに自分
が思いを込めて、解説して喋ってる。で、その一番の楽しさとか快感って何ですか? コチェフ:僕自身は、それはわりとはっきりしてまして。僕自身は、ある意味、できるだけずるく冷たく生きるって
いうことを、胸にしてまして、まあ普通の言葉で言えば、悩み事があるとすれば、金関係だっていうふうに考えてて
ですね。あんまり人間との触れ合いとかそういったもので、自分の生活や活動全般に、わざと取り入れないようにっ
してるっていう部分がありますよね。それに対する、つぐない、だと考えてます。要するに例えば僕は、ここで番組
やってるという事に対して、公衆もあってとか、そういうわけじゃないですよね。単純にものづくり精神なんですよ。
だから、 加藤:ものづくりか。番組という。 コチェフ:そうですね。これは俺の物だって、俺が作ったんだって。別に金でもなく、何でもなく、趣味なんだよね、
って、言えるようなものが。 加藤:その一番重要なところなんですが、快感の所では、先ほど言った自分がやってる人間関係のつながりとか、要
するに普段はビジネスライクな所を、ここだけでは唯一素を出している部分とか。物をつくっていく部分とか。別に
47 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 利害関係抜きに無しに物を作っているってことだよね? コチェフ:そうです。何の利害もないからね。 ③リスナーとのコミュニケーション/ヒューマン・ネットワーク 加藤:ブースの中で自分が考えていること、あるいは誰に向かって喋っているのですか?あそこに入っている時。リ
スナーが浮かぶ? コチェフ:浮かびますね。わりかし。わりかし浮かびますけど、どうなんでしょうね。 加藤:何考えてるの? コチェフ:わりと、うーん。それはすっごい難しい質問ですけど、 加藤:結構みんなに聞いてるんだけども。意外と知り合いのリスナーが浮かぶとか、だって、不思議じゃないですか。
目の前にいないんだから。 コチェフ:まあ。 加藤:ラジオとかNHKとか聞いても闇の中に喋ってるだけみたいな。 コチェフ:まあ、それはありますね。いや、だから、常にどういう人が聴いてるんだろうなーって。のは、あって。
なんか。ファックスを送って下さいとかリクエスト送って下さいってのは僕は本当に真剣に思って、まあくどく言っ
たら番組になりませんけど。ほんとに、たまにはもうしつこく言いたくなるんですよ。どんな人が聴いてるのかめっ
ちゃ気になるんですよほんとに。うん。 加藤:自分としては、なんかこう願いとか思いとかってあるんですか? コチェフ:ラジオに対して? 加藤:いや、聴き側に対して。伝えたいこととか。 コチェフ:僕は、できれば、理想郷って考えたらですよ。例えばファックスを送ったりメール送ったり、電話、リク
エスト?こういう情報を流して欲しいこういう曲を流して欲しい。 で、単純にあるべき姿っていうのは、喋ってる人なんてどうでも良くて、喋ってる人の思惑ってのはコメント的に伝
えればいいのであって、聴きたいものっていうのは、市場原理で作られるべきだと思ってるんですよそこは。 ④メディアの中の自分 加藤:この番組はやっぱり、見ていてそういう余計なこと考えずに、唯一の自分の世界観が。 コチェフ:そうですね。 加藤:唯一、素の自分の世界観が。唯一、素の自分を出すときなんじゃないですか。 コチェフ:そうかもしれないです。普通は、 加藤:自分が癒されてない? コチェフ:それはかなりありますね。 加藤:ねえ。 コチェフ:普段は、涼しい顔して自分が考えてないこと言わなきゃいけないじゃないですか。 加藤:ここでは自分を出せるわけだから。しかもさ、出す舞台としてはいい舞台だと思うんだ。 48 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 加藤:あの、ちょっとまた話変わるんだけれども、自分が喋ってる、これ本名ですよね? コチェフ:本名です。悩んだよ‐。悩んだ。 加藤:へへ‐。で、だってみんな、結構別の名前使ったりするし、そのへんの、聞いてる人はじゃあコチェフって言
ってるわけでしょう?そういう、まあこっちがキャラクターであるとすれば、それと、素の自分っていうのはかなり
もう一緒です? コチェフ:まあね。そうですね。はい。 加藤:ほぼ?自分と?まあ、作ってる、人間はまあ作って生きているけども、それでもかなり、別にラジオのなかの
コチェフと、普段の自分のコチェフとは、そんなに差はない? コチェフ:あんまりないですね。はい。 まとめ 自分でも話しているように、普段はフリーアナウンサーとして働いて仕事をしている。しかしそのビジネスを重視
した生活の中での反動でラジオでは好きなことを話している。コチェフさんがコミュニティラジオで話すことの一番
の魅力は、自分で好きなようにものづくりできることだと言う。しかしながら、その快感を、普段冷たく生きて生活
していることへの つぐない だと言っており、他のパーソナリティとは違った観点を持っていると言えるのかも知
れない。 キーワード ・勝手にやれるのがベストのメリット ・心の肥やしも必要 ・大きいマスコミを通したものではなく、ある種のマニアックなところに意味がある ・フリーアナウンサー ・私の母がテレビのプロデューサー ・現場を見るのが好きだった ・放送は全然経験がない ・(プロに)なる場じゃないと思うんですよ。コミュニティは。 ・どんな人が聴いてるのかめっちゃ気になるんですよほんとに。 ・ものづくり精神 ・適当な脱力感 ・自分が作ってる時には絶対、誰にも邪魔させない ・結局は自分のため ・このラジオはヒューマン・ネットワークというか人的ネットワークが広がりはあると思うんですけど、僕の場合は
ない ・ラジオの中のコチェフと、普段の自分のコチェフとは差はあんまりない 49 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ・自分が癒されている ・やめるのがもったいない ●遠藤さん ①キャリア 加藤:ずっとサイドビジネスをやっていて、どういうきっかけでこうゆう番組を持つようになったのですか? 遠藤:ここの社長が女性問題とかそうゆうのでセクハラ関係の問題とか喋る人がいない時によく出てって言われて、
ちょっと知り合いというか勤めていた時はマスコミに露出が多くて 。OL にも関わらず。 加藤:やってみたいという思いが? 遠藤:会社(銀行)辞めた時点で友達かなり減るよって言われて、仕事絡みで友達になった人は減るんじゃないかっ
て色々言われてて。だから別の分野で自分を表現できる部分を持ったら、逃げ道になるかなって。 加藤:高校とか中学の頃に放送部とかそうゆう経験は? 遠藤:小学校の頃から演劇人間。芝居をやっていました。 加藤:高校までは? 遠藤:大学のサークルは入ってないけど、外部劇団かなんかに所属していました。 ②魅力・快楽・快感 加藤:一番喋ってて楽しいというか快感なのはどのへん? 遠藤:1時間誰にも邪魔されないで喋れるのは気持ちがいい。だって、会社にいれば電話がはいり・・・授業員が質問し
てきたり、家に帰れば一人でしょ。喋る相手がいない。ここでは一人でも誰かが聞いてくれる。返ってはこないけど。
うなづいてくれるのはほっとする。笑ってくれるとよかったとか思ったり。まぁだから私が癒されるためにきている
かもしれないです。 遠藤:自分の精神的なバランスにいいんじゃないかなって。 ④メディアの中の自分 加藤:会社とプライベートと離れて? 遠藤:そうですね。また違った世界があるって感じで。そうですねぇ。 加藤:自分のキャラクターとかイメージみたいなものを意識することは? 遠藤:私ね、自分自身の役をつくる、意識するのが飽きたというか。そのほうが楽なんです。 ⑤自信・誇り 加藤:語りの自信っていうのは生きてきた自信ですよね? 遠藤:自信とか全然ないです。つっかえるし・・・ 50 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 加藤:よどみなく語っているなぁって思って・・・。演劇やってるからあがるってことはないですよね? 遠藤:そうですね。ないですね。アドリブとか多かったので。でもなんとなしにこなしてきたから。 まとめ 遠藤さんは金融機関に勤めていて OL をしていた時、リクルート担当や広報をやっていたせいか、マスコミに露出が
多かった。テレビは絶対出ないでほしいと言われたが、ラジオだけは出てもいいと言われていた。サイドビジネスと
してやっていた支店も増えて大きくなってきて、会社をやめて社長になった。別の分野で自分を表現できる部分をも
ったら逃げ道になるし、精神的なバランスにも良いからという理由でパーソナリティをやることにした。月2回1時
間番組で、時事問題やビジネスを語る女性は珍しい。若い頃から男女雇用機会均等法をつくるために活動をしていた
こともあり、経験豊富で自分のブランドがあるので、それが語りの自信に繋がると考える。 キーワード ・テレビ番組の BGM など普段から気にするようになる ・リクルート担当とか広報やってた ・マスコミに露出が多かった ・別の分野で自分を表現できる部分をもったら、逃げ道になるかなって ・自分の精神的なバランスにいい ・小学校から演劇人間 ・劣等感 ・表現者だけど堂々とできない表現者 ・普通が一番大変 ・中間管理職のおじさんにむけてしゃべってる気分 ・自分の情報発信のなかで気に入ってくれた人だけきいてくれればいいかな ・自信とか全然ないです ・1時間誰にも邪魔されないでしゃべれるのは気持ちがいい。 ・私が癒されるためにきている ・自分が聞きたいなと思った曲だけを選んでいる ・自分自身の役をつくる、意識するのが飽きたというか ・自然体 ●1と2 ※※と※※さん ②魅力・快感・快楽 加藤:でも、機材に詳しいのとMCとして語るのでは快感も違うもんですか、どうですか自分の番組を持って行く
っていう快感・・・。 51 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 2:快感ですか、やっぱり私なんかサラリーマンですからね、ストレス解消のためにやってるっていう。 加藤:それは別な世界? 2:ですねえ、会社に比べたら別な世界。 1:すべてにアバウトな部分と気持ちの持ちようが全然違いますよね。 加藤:気持ちの持ちよう? 1:持ちようって言うかなんか、結局日常生活では体験できない自分 ④メディアの中の自分 加藤:ですよね、ですよね、みんな素の自分で普通にやっているよって言うけれどやっぱり日常生活ではないです
よね。 1:ないですね。 2:わたしはかわらないほうかも。 ⑥継続願望 1:月曜日のぽかぽかのパーソナリティのツーギッペーさんと一緒にやってる板垣ケイコさん、お母さんで私より
ちょっとお姉さんなんですけどその彼女がいうには、ちょっと調子悪くても更年期のとかの時期なんでみんな体悪
くしてますけど、ちょっとくらい調子悪くても月曜日のこの時間があるから来ちゃったら直っちゃう。ちょっと頭
痛とか行きたくないなーと思っても、行かなきゃならないって言う使命感とそれから喋れる楽しさとみんなに会え
る楽しみってことで来ちゃうって行ってましたね、彼女きっとその話でるかもしれませんけど来ちゃう。来れば元
気になるってこととで、やっぱり 5 年間このコミュニティにはいってみんなが感じることは人が良い、人とのネッ
トワークで抜けられないんですよ。 だからもう、ここに関わったら関わったなりの大変さとかいろんな人間関係に絡んだりとかすることもありますけ
ど、やっぱりここのパーソナリティは同じ方向に向いて良い放送やろうとしたり同じ悩みを共有したり、そう言う
部分でやめられなくなりましたからね。 私も一回やめようかなって半年・八ヶ月くらいお休みしてたんですけど、でも、やっぱり、戻って来ちゃいました
からね。バカだなーって思いつつも戻って来ちゃいましたから。やっぱり抜けられないですね。 まとめ サラリーマンという一般的な人の生活に変化を与えるためにパーソナリティをしているため、ラジオブースの中
では普段体験できない自分を楽しんでいる。しかし、普段のありのままの自分を出しているようである。 コミュニティに属している人間関係が良いため、1回辞めようと思っても帰ってきてしまうアットホームなコミ
ュニティの特徴があるため継続している理由である。また外部の人と交流を求めて喋るのが楽しみということで継
続のエネルギーにしている。その反面自分が話す内容が人に通じているのかという不安もあるようだ。 キーワード 52 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ・ストレス解消のためにやってる ・会社に比べたら別な世界 ・日常生活では体験できない自分 ・行かなきゃならないって言う使命感とそれから喋れる楽しさとみんなに会える楽しみ ・不思議な世界 ・外部の人との交流が出来る場所 ・喋るのが楽しみ ・自分が喋ってることに聞いてくれてる人に通じるんだろうかっていう不安 ●青砥さん ①キャリア 青砥:ええ。それで、僕は文章がかけたから、けっこう。文科系のこういうことに載って、受験勉強して、大学に
行って。それで、それ以降は西洋史を勉強してきましてですね。それで、まず、教員をしてきたんですけど。今も、
ちょっと、通信教育のね、教員なんですけど。それで、その、教員をしてきてですね、歴史、高校で教えたことも
ありますけど。世界史でしたんでね。全然、そういう昔の歌手志望だったとか、そういう経験とか、全然、封印し
て、自分の中で封印っていうとかっこいいですけど、置き去りにしてきたといいますか。それで、自分の中にはあ
ったんだけど。あって、その、たまたま、ここに。そこに青い街っていうのがあると思うんですけどね。それで、
僕、編集に関わっていたんですよ。 ②魅力・快感・快楽 加藤:逆にこの番組が今までの自分の色んなものをある種集大成にするようなチャンスの場だと。 青砥:集大成までいかないけれども、人生の天涯ですよ。 加藤:そのキャリアを全部使いながら、それがあるからそういうふうに今はできる。で、いろんなつながりができ
てきたんですよね。 青砥:僕にとっては面白いことなんですよ。だからやっているんですよ。 ④メディアの中の自分 加藤:その喋っているときの自分、ってのはあんまり差が無い? キャラクターってのは。自分そのもの? 年配
者に思われたとかあります? 青砥:いや作ってますよ。穏やかな性格ではないわけなんですけれども、穏やかに穏やかに喋ろうと思っておりま
す。こんな喋り方じゃなくてもうちょい声も低くしてはんを落として、モリタミユキさんによると半音自分の声を
落とすと聴きやすくなるそうなので、半音自分の声を落として、『おはようございます。』って。 加藤:なるほど。半音落とす。 青砥:声違うと言われますね、電話なんかでリスナーさんと話すと。 53 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 加藤:我々、喋る職業してきてますからある程度自分の声なんか操作できちゃいますね。 青砥:できちゃいますね。穏やかに喋ることもできちゃいますね。だから性格、自分のひととなりも。 加藤:それはキャリアの一つですよね、喋ることに関してはね。僕らはね。できちゃうんですよね。 青砥:社会人としては経歴短いですけれども、喋ってきてるわけですから、発表してきてるわけですから。立派な
人のいる前でなんか緊張しながらやってきたわけですし、そういう意味では慣れ、ですよね。 加藤:それから自分のキャラを変えるっていうよりも、やっぱりラジオ用にある程度合わせて、編集するっていう
言い方もできますね。 ⑥継続願望 加藤:天涯の展開が、でも凄く自分の知見が生きてきて、僕ら心があるからできちゃうわけですよね。 青砥:できちゃいますね。だから半年って僕言われてましたけど、だから僕半年しかやらないですよ、どっかの 12
月の末にまで 98 年のね、25回の後、一回休講にして、台場の先生の二回くらい休んでやろうかなとで、最後忘れ
な草で締めくくろうかなとそう思っていたら、ずっと続けて欲しいということで、来たんですけど、僕にとって割
と面白いことでリスナーの人も楽しんでくれてるので、東京の方面にもテープがいったりしてやめられなくなって
しまったと、どうしようえらいこったと、思っておりますです。 まとめ 中学時代に歌手志望だったことを封印し、教員として働く。その後、北海道で雑誌の編集長になる。雑誌の広告
を誘いにラジオ局を訪れたことをきっかけにパーソナリティを務めることに。高齢者向けの番組をつくりたいとい
う意思から、流行歌番組を担当。歴史の教員をしていたことが関係して、自分が調べたことに思い出があり、事実
にこだわりを持っている。一回一回が真剣勝負。自分が一番だと思ってがんばっている。ラジオのパーソナリティ
は人生の集大成。リスナーが楽しんでいてくれるので、やめられなくなった。 キーワード ・歌手になりたくて ・教員 ・初めて。人生の予定になかった ・編集長 ・ここにあんまり興味なかった ・事実ってことにこだわる ・俺が一番だと思ってがんばっております ・ここ(西区)の人たちに対しても自分の持ってる能力の一つでも、返したいって気持ちがあります。 ・へんな気持ち、不思議な気分 ・一回一回真剣勝負 ・喋ってるほうと聴いているほうの認識のズレ 54 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ・(キャラは)作ってますよ ・性格、ひととなりも(操作できちゃう) ・人生の天涯 ・僕にとっては面白いこと ・人間関係は面白い ●後藤さん ②魅力・快感・快楽 加藤:パーソナリティをやっててブースで語るってことをやってるわけですけど、一番快感ってなんですか? 後藤:自分の好きなことがかけられる事ですかね。俺のしゃべりはいいから、もっと俺の好きな曲を聴いてくれっ
て感じですね。あんまり喋りは別に聞いて欲しいとは思わないですね。基本的に僕の番組は音楽番組、 加藤:自分の価値観とか言葉よりは。 後藤:ただ俺はこういう思いなんだっていう感想はいいます。あんまりしゃべる事に興味はないですね。で、しか
もただの音楽番組にしたくなかった理由っていうのは、CDの名盤だとかのガイドブックはいっぱい読みあさった
んですけど、どうしてこのアルバムが名盤かっていうよりも、歴史だとかをずらっと書いていて、このアルバムは
売れたからだから名盤なんだってそういう風に書いてるんですよ。そうじゃなくて、あなたはなぜこのアルバムを
名盤に選んだのっていう、個人的な熱い想いが伝わらないんですよ。だから、そういった事が知りたくて、この曲
のこのフレーズが好きだから聞いてみてっていう、紹介する音楽番組としてここを申し込んだっていう。 ③リスナーとのコミュニケーション/ヒューマン・ネットワーク 加藤:リスナーの反応っていうのは? 後藤:いつもファックスくれる人は2名ほどいますけど、それ以外は全く分からないです。 加藤:あんまり気にしないで、自分ペースで? 後藤:そうですね。誰か聞いてくれれば良いかなっていう。別にファックスがこないから、悔しいからっていうの
はないですね。だからある意味、自己完結でオワチャッテルところはあるのかもしれないですね。 ④メディアの中の自分 加藤:今聴いてて、素なんだろうなっていう。 後藤:あーそうですね。あんまり作ってないですね。 加藤:違和感ないですもんね、ブースの中でも。 ⑤自信/誇り 加藤:やっぱ自信がある? 55 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 後藤:自信って言うか、人にもよく言われるし、自分でも思うんですけど、後藤ワールドがあるっていうものが出
来てるんで、それに合わなければ、個人主義っていうか。アメリカで培った。だから、自分の音楽を無理やり押し
付けることは絶対にしたくないんで、僕のことを嫌いだって言う人は無理やり聞かせないし、他人の音楽を押し付
けられるのは嫌いなんで、他人が嫌いなものは自分も嫌いなんで、僕はフォーク好きなんですけど、パンク好きの
人に、フォークってのはねーっていうつもりはないし、興味なかったら別にいいし。だから、僕は宗教とかも嫌い
なんですけどね。 まとめ ラジオ経験はあまりない。アナウンサーに興味はなく、しゃべりよりも好きな曲がかけられることが快感。キャ
ラクターは作っておらず、自分のワールドを持っている。だからといってその考えを押し付けるのではなく、誰か
が聞いてくれていればいいと自己完結で終わっていたり、個人主義的な考えを持っている。誰かのためではなく自
分のためにラジオをやっているので、お金をもらうってことは考えていない。 キーワード ・日本の漫画を原作にハリウッドで映画つくりたいなって夢 ・(ラジオを聴くことは)あまりない ・この曲を聴いて、ああ良かったですって言ってもらったりすれば、すごく嬉しいなって ・自分の好きなことがかけられること ・俺のしゃべりはいいから、もっと俺の好きな曲を聴いてくれって感じ ・あんまりしゃべりは聞いて欲しいとは思わない ・しゃべることに興味はない ・誰か聞いてくれれば良いかな ・自己完結で終わっちゃってるところはあるのかもしれない ・(キャラは)あんまり作ってない ・後藤ワールドがある ・個人主義 ・自分のためにラジオをやってる、他人のためじゃなくて。 ・大手のラジオ局とかには興味ないですね。自分がかけたい曲かけられなかったら ・アナウンサーに興味ないんで全然 ・自分のやりたいことやらせてもらって、さらにお金をもらうって事は、考えてない ●4 ※※さん ①キャリア 加藤:2番目なんですけど、なんで今まで教員をやってきて、パーソナリティをやろうと思ったんですか? 56 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 4:もともとラジオのパーソナリティをやってたんですよ。STV 札幌テレビって言うところで。若いときに。 加藤:先生になる前? 4:そうそう。で、並行してたときもあったんですけど、で、業界から足をあらってですね。 加藤:20代のとき? 4:そうですね。27で先生になりましたから、26かそれくらいのときに、先生やりつつ、かぶってたんですけど。 加藤:随分違う世界、喋るっていうのは喋るけど。 4:違う世界っていうわけでもないんですよ。フォークの出始めの時に、フォークをやってたんですよ。 加藤:自分が? 4:自分が。 加藤:アーティスト? 4:アーティストじゃないんですけど、素人で。だから、あがたもりおとかが出てきた時代に。 ②魅力・快感・快楽 加藤:でもある程度は、キャリア的には動じないっていうか。自分の語りみたいなスタイルは結構できているんで
すか。その自信の源泉みたいなものはあるんですか?あともう一つは、先ほどは授業と変わらないって言ってまし
たけど、研究者からしてみたら、ブースの中で語るのは、やっぱり別の快感があるだろうって思う訳ですよね。そ
こらへんは。 4:やっぱりラジオ世代なわけですから、電波にのって出てくる、こうやって喋ってるのと、ここにマイクを挟んで
電波に乗って出て行くのはやっぱり快感はちがいますよね。だから、向こう側が、3人か、4人なのかは、あるい
は10人なのか、20人なのかはわからないですけど、せいぜいそんなものだとは思ってるんですけど、そこの面
白さっていうのかな、見えないけれど、そんな一人、二人ではなくて多分それ以上のリスナーに聴いてもらってい
るんだ、っていう責任感も含め快感ですね。 加藤:元々そういう事って、やってたわけですから、メジャーになろうと思ってたわけですよね。 4:よく50歳デビューっていうのを言ってたわけですけども、5年前に。だけど50歳になってもデビューせずに
ですね。そのまま今52になろうとしてるんですけど、まだ考えてますね。 加藤:これもやっぱ、一つのリベンジですよね。 4:そういうのってのは、快感じゃないですか。逆に。なるならないにかかわらず。だから、ラジオ世代の人間が、
感じる電波っていうのは、そういう一つの手がかりでもあったとおもうんですよ。メジャーへの。それが、快感だ
と思いますよね。 加藤:やっぱり、50歳ぐらいの方が多いんですよね。ある時は生活の為に中断してるのが、ここに来て出てくる
感じ。 4:そうですね。50代っていうのは。 加藤:そのリベンジができる最後の世代なのかもしれないですね。 4:仮にそれが、戯言で終わったとしてもいいんじゃないかと思ったりしますよね。 57 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ③リスナーとのコミュニケーション/ヒューマン・ネットワーク 加藤:リスナーからの反応っていうのはあったりしますか? 4:そこは、ポツポツとあったりしますけどね。 加藤:教え子からも。 4:はい。 加藤:それはブースの中で誰に向かって語っているのかいうのは、知らない人間からすると、不思議だったりしま
すけどね。ラジオって言うのは見えない闇にかたったりしますよね。それは、リスナーの顔は浮かべたりするんで
すか? 4:とくには思い浮かべたりしないですね。特にはね。だから、たとえば観客がいるライブでね、10代から30,
40,60代までいたとしててもいいんじゃないかっていう。そういう特定に絞ったりはしてないですよ。女でも
男でも。 加藤:逆に限定しないようにして。 4:限定してません。逆に、もっと限定した方がいいのかなって時々思いますけどね。でも、気持ち的には、若いつ
もりで喋ってるんですよ。っていったって、年齢は年齢ですんで。 加藤:どちらかというと、それよりは、自分のワールドを伝えるって言うのが 4:はい。そっちのが大きいと思いますね。 ④メディアの中の自分 加藤:その、キャラクターイメージなんですけど、ブースの中で喋る、自分が電波にのるっていう意味でのメディ
ア人になるわけなんですけど、そのイメージの自分と素でいる自分との距離っていうのは。自分の番組聴くことは
ありますか? 4:あります。 加藤:違いますか?これ、かなりパーソナリティの人で違っていて、多角形の自分っていいきる人もいるんですね。
色んなバージョンがあるんだっていう。それとも全然変わらない?。 4:あんまり変わってないと思いますよね。素の自分と。 加藤:意識もしないし。 4:意識はしてないですね。 ⑥継続願望 加藤:そういう意味ではこれからの事を考えた時にこういうチャンスっていうのはある意味では、辞めようとかは
思ったことはないんですか? 4:そうですね。追い出されるまではやりたいなって、気持ちはしてますけど。 加藤:人生の一部なんですかね。 4:そうですね。 58 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) まとめ もともとはラジオパーソナリティだった。その後、教員として働く。フォークをやっていた経験もある。自分の
喋りが電波に乗ることだけでなく、リスナーに聞いてもらっているという責任感も含めて快感だという。自分の言
いたいことがどのように伝わっているのか気になるともいう。キャラクターは意識もしないし、作ってることもな
い。逆に、教室にいるときのほうが作っていたり、学校よりもラジオのほうが楽しかったりと、リベンジが快感に
なっているようにも見える。 キーワード ・一応先生やってる ・もともとラジオのパーソナリティをやってた ・フォークをやってた ・自分が言いたい事がどういう風に伝わるのかなっていうか、正確に伝わったかなって言うのがいつも気になって
る ・特別な、特殊な喋りをしてるってことはないですね ・喋りのほうが多い ・電波にのって出てくる、こうやって喋ってるのと、ここにマイクを挟んで電波に乗って出ていくのはやっぱり快
感はちがいます ・リスナーに聴いてもらっているんだ、っていう責任感も含めて快感 ・そういうのってのは、快感じゃないですか。逆に。なるならないにかかわらず。だから、ラジオ世代の人間が、
感じる電波っていうのは、そういう一つの手がかりでもあったとおもうんですよ。メジャーへの。それが、快感だ
と思いますよね。 ・戯言で終わったとしてもいいんじゃないか ・(リスナーの顔は)とくには思い浮かべたりしない ・自分のワールドを伝えるほうが大きい ・あんまり変わってないと思いますよね。素の自分と。 ・意識はしてない ・追い出されるまではやりたい 59 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ●大和さん ①キャリア 加藤:そのへんは、ちょ、ちょっと、2番目なんですけど・・・これまでのキャリアなんですが、その・・・ラジオ
との関わりってのはあったんですか? 大和:いや、関わりというのは、もう、深夜放送聞いていたぐらいですね。 加藤:あぁ、世代ですもんね。 加藤:放送部にいたとかそういうことも全然なし? 大和:あ、放送部にはいました。小学校・・・と中学校・・・は放送部にいました。はい。ただ、それを、例えばア
ナウンサー目指すとか、なんか将来 DJ を目指すとか、そういう気持ちってのは全くなかったです。 加藤:そうなんですかキャリア適に音大とかそういうとこ・・・ 大和:いや、行ってないですね。 加藤:ずーっと音楽のある意味では会社勤めとかをなしでやってきたんですか? 大和:いや、あのー僕、高校中退したんですよね。中退してすぐ好きなピアノ弾いたんですけども、 加藤:できるの? 大和:食べれなかったです。そんなに仕事がたくさんなくて。それですぐ普通の仕事になって、会社勤めもしました
し、水商売もして、20・・・今36なんですけど、27の時にやっぱりもういっかいピアノで食べたいと思って、
それから、今・・・。 ②魅力・快感・快楽 大和:誰かが聞いてるとか、それが電波で流れてるとか・・・そういうことは快感はあんまり感じたことはな
い・・・ 加藤:自分の声が放送で流れるっていうのはそれは、快感なんじゃないですか? 大和:・・・・・・自分の声が流れるというより、僕の選んだ曲が流れるっていう方が快感ですね。 大和:「涙でいい」なんかは僕はリアルで聴いた曲もある。 加藤:私これ覚えてますよ。 大和:あ∼覚えてますか!!ありがとうございます。そういう、たとえばそういうなんかマニアックな曲かけたとき
に「知ってる」とか「好きだった」とかそういうこと言われるとすごい嬉しい。それが快感ですよね。 ③リスナーとのコミュニケーション/ヒューマン・ネットワーク 加藤:じゃああれですね、その、まぁ、リスナーとはそういった反響があったらやりとりするわけですけど、あんま
60 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) り人連れてくる訳じゃないから自分の個人的なヒューマンネットワークで情報仕入れるとか、そういうことはあんま
りないですね。 大和:ないですね、 ④メディアの中の自分 加藤:あと、その・・・これもみんなに聞いてるんですけどメディアのこの中に入ってる時の、自分の、大和さ
ん・・・ですよね 大和:はい 加藤:そのキャラクターっていうのはもうホント素の自分を・・・ 大和:素ですね。はい。 加藤:例えば、その友達とか知り合いが聞いててどうですか?おいおい別人だと思ったとかそういうの。 大和:あぁ!・・・職場の人は別人だって言いますね。 加藤:あぁ、そうですか 大和:えぇ。職場というか、仕事で携わってる人?あの、一緒に、あの僕、よく歌手のバックとかやってますから、
僕。よく歌手の人とか聞くと別人のようだって言いますけど・・・。でも普段はピアノ弾いてるだけで喋りませんか
ら。そういう面を知らないだけ、だと思うんですよね。 ⑤自信・誇り 加藤:あの、もう 3 年くらい経つと、かなり、自信みたいなもの・・・ 大和:いや、自信はないです。自信は全然ないですけど・・・ 加藤:皆さん聞くんだけど、皆さん自信がないって言うんですよね。 大和:うーん。 加藤:でも、やったぁ!っていうときと今日は上手くいかないなというときとかなりこう分岐点ってあるもんです
か? 大和:そうですね、ありますね。ただ一つだけ僕、自信があるのは選曲・構成・・・は、いつもかなり自信を持って、 加藤:あぁ、凝ってるなって? 大和:凝ってるというか、選んだ曲とか、その曲の並びとか・・・は自分なりにやっぱり自信を持って、臨まない
と・・・もう喋れない。 ⑥継続願望 加藤:あの、こういう番組を・・・、あの、というかパーソナリティ、インタビューしてて、途中で詰まってやめち
ゃう方と、凄く長く続く方がありますよね?それはあんまりそういうの・・・ 大和:や、僕は始めたときから・・・やれる・・・まぁ、降ろされない限りはやろう、という気持ちがやっぱりあ
る・・・ 61 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 加藤:ふーん。あぁ、いい話だな・・・。あの、やっぱり番組としてはこれからもこういうのじぶんでやってきたい
なって? 大和:はい、続く限りはやっていきたいです。 加藤:かなりそういう意味では、確かに一種の娯楽ではあるけれど自分の人生にとってかなり意味のあることですよ
ね。 大和:何が、意味のあるのかなって考えると凄い難しいんですけど・・・・今のところは継続は力だなと思ってやっ
てるのと、やっぱり楽しいなっていうのが大きいから。まぁ、聴いてくれる人がいる限り・・・まぁ、きてくれてる
人って本当ごくわずかなんですけどね。 まとめ 小学生の頃に放送部にいたくらいでラジオは深夜放送を聞いていた程度。小さい頃から歌手になりたいと思ってい
たが、誰かのバックに就くことが好きでピアノ弾きになった経緯がある。パーソナリティとしてボキャブラリーも少
なく喋りに自信はないが、これまでの音楽に携わってきた経験を基にして自分がお勧めするマニアックな曲の紹介や
構成に重点を置いた歌謡曲中心のラジオを作っている。 キーワード ・深夜放送聞いてた ・放送部 ・高校中退 ・水商売経験 ・音大には行ってない ・快感はあんまり感じたことがない ・自分の選んだ曲が流れるって方が快感 ・「知ってる」とか「好きだった」とかそういうこと言われるとすごい嬉しい。それが快感 ・ヒューマン・ネットワークで情報を仕入れたりはしない ・キャラクターは素の自分 ・職場の人からは別人 ・自信はない ・選曲・構成には自信を持っている ・降ろされない限りはやる ・継続は力だなと思ってやってるのと、やっぱり楽しいなっていうのが大きい 62 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ●庄田さん ①キャリア 加藤:いままでのキャリアを伺いたいのですが? 庄田:中学は放送部。アナウンサーになりたくて。で大学はコミュニケーション学があるようなマスコミに強い大学
で 加藤:どこですか? 庄田:早稲田大学。でそこで映画研究サークルがあって。で、司会放送部やサークルもあって。そこはアナウンス学
校に直結しているようなところで。で、私入りかけたんですが、このままだと小中高とずっと同じ世界だったのでち
がう視点でものを作ろうとして
。映画のサークルに入りました。道を踏みはずしまして。演劇をするようになっ
て。 ②魅力・快楽・快感 加藤:一時期中断していたわけですよね?逆にこれを景気にしてまたいろいろと 庄田:そうですね。精神安定剤のような感じでしょうかね。やってないと 加藤:自分にとって一番繋がってる長い間つづいてきた芯みたいなものなんでしょうかね 庄田:そうですね 加藤:仕事っていうよりも表現・・ 庄田:それで食べていけるかいけないかということではなくて、自分が生きる糧としてというか、なんでしょうね ③リスナーとのコミュニケーション・ヒューマンネットワーク 加藤:誰を対象に語っていますか? 庄田:最近はイメージしながら語っていますが、へえそうなんだってリアクションしてくれる人に向けてはなしてい
ます。 加藤:リスナーの反応はどうですか? 庄田:2 週間に 1 回なので定着はしていないと思うのですが、自動車関係の方からあったり。 ④メディアの中の自分 庄田:その方は変わっていて、芸術家ですよね、彼自身が。なので、実際に音楽もやってる方なんですが。一般の方
にもやっていて、その一般の方というのは精神的な病気で声が出なくなったかたとかで、プロとしてやっていくのに、
自分をさらけだすとか、上っ面じゃいけないというか、ある意味精神世界的な部分もないとその先にいけないってい
う感じることがすごく大事で、そのつらかったり、悲しいってことも全部感じればいいんだよ!って、いうのを当た
り前のことなんですけど、逆にプロとしてやっていくときは技術を教えられてきた気がするんですよ、いかに上手く
いうかとか、で、例えばエフエムだったら大人っぽい声とか、AM だったら、すごくトーンが高い声でいくとか、そう
ゆうとこで頭がいっぱいになってたところに、あっその前に人間としてとか、その前に表現者として感じることが大
63 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 事っていうのを思いださせてくれた。だから、そこで、自分はどう生きたいかと思ったときに、仕事に対して納得が
いってない、自分がもう一度逃げたところからやってみようって思ったんですよ。 ⑤自信・誇り 加藤:キャラクター的にはプロなので。最後に確認したいんですが、自意識だけ。キャリアを含めた自信を聞きたい
のですが。 庄田:使命感に近いですね。自分に対する。どこの道でも究めると行き着く先は一緒。私は行き方はこれなんだろう
な。自分がやってきたいことを忘れず、常に自分を中心において、自分の中心をみる。挫折した理由はそれ。振り回
されちゃったみたい。 まとめ この方は、表現することに喜びを感じているパーソナリティのように思える。キャリアからも分かるようにずっと
何かを創造してきたのである。そのせいもあってか、普通の生活だけでは満足できなかった。心から表現することに
貪欲で楽しんでいる人である。 キーワード ・中学は放送部 ・アナウンサーになりたくて ・演劇をするようになって ・何かを表現して、作ってないと不安で ・北海道の HBC のパーソナリティで ・イベントの司会とかをやって ・娘が生まれたのがきっかけ ・精神安定剤のような感じ ・自分が生きる糧 ・使命感に近いですね。自分に対する。 ・子育てと表現者の両立の覚悟 ・自分がないとだめ ●五十嵐さん ①キャリア 加藤:みなさんあれですかね、その、朗読はやっぱりたとえば子供たちを集めて朗読するとかそういうお母さんの会
とかありますけれども、そういう経験はありますか? 五十嵐:そうですね、朗読ではないですけれども絵本の読み聞かせを。 64 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 加藤:絵本の読み聞かせありますね、僕も押し入れの中でやっていますけれど。 五十嵐:えーと、この会の方皆さん図書館ですとか。 加藤:あー、やっぱそうですよね、 五十嵐:ええ、児童会館ですとかそういうところで読み聞かせを、経験がある方ですね。 加藤:ということはまあ、せめて人前でしゃべるということに関してはかなり慣れてらっしゃるかなと。 五十嵐:まあ慣れているというよりはまあそういう経験はちょっと、まあある程度何年かはですね。 加藤:それまで仕事はされてなかったんですか。 五十嵐:それまでずっと専業主婦だったんです、ええ。 加藤:何ですか、その専業主婦からそこに飛び込んで?うちのワイフも専業主婦なんですけれども・・・ 五十嵐:やっぱりね下地としては、昔はそう勝負していたわけではないんですけれども、子供が小さい時本を読んで
やるのが好きで 加藤:家で? 五十嵐:ええ、本が好きだったんで子供にも絵本を読んで読んで読んで読んで・・・読んでやってて、そしてある程度子
供たちがなったときに、朗読奉仕会という目の見えない方のところに所属して小説とかを読んであげていたんですけ
ど。 加藤:それも一つの社会参加ですよね。 五十嵐:ええ、それでマイクの前というのは慣れていたんですが、ただ本を読んでいたんです。 ②魅力・快感・快楽 加藤:一番なんかでも最初に戻りますけれど、自分が一番やっていて楽しいと思うこととか、やっていて良かったっ
て思うようなことは? 五十嵐:やっぱり今日はうまく自分がこの本で自分も楽しめたし、もしかして聞いている側にもこの私の楽しさが十
分伝わったなって言う実感をする時があるんですね。 加藤:ああ、自分も楽しめて? 五十嵐:うん、やっぱりそういう時は満足ですね。 加藤:そういう時は相手に伝わっているような感じが? 五十嵐:伝わっているんじゃないかなーっていう思いはありますよね。そういう時はやっぱり楽しいです。でもその
日によって、自分が何回も練習してくるのですが、結局もう一度そこで読んでいるときに、うーん、まあ、ちょっと
何か間違えたかなあって思う感じやする時があるんですね。 五十嵐:ええ、なんとなくできない、相手に伝わらないんじゃないかって思う瞬間があるんですね。 加藤:それはあとでなんか自分で分かるわけですね。 五十嵐:そうですね。やっぱりずっとやってると、分かるんですね。 加藤:そっか、じゃあ自分で今日はいけたなっていうときの快感 65 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 五十嵐:は、まあ楽しいですよね。 加藤:それは、なんか自分が社会のボランティアしているっていうっていうよりも、自分の快感ですか? 五十嵐:結局はね、みんなとも話するんですけれどもやっぱ自分ですよね。 加藤:ですよね。 五十嵐:そうです。やはり自分が最終的には満足とか、そういう楽しいとか、自分のためのものだという。最終的に
感じますよね。 加藤:基本的にしゃべるのが好きなんですね。 五十嵐:しゃべるのは好きですね。つまらないことを考えたりするのが。 加藤:でもやっぱりマイクでしゃべるのが快感なんですよね。 五十嵐:放送を聞いてくださる方が一緒に笑ってくださったりして、そこで FAX をくれたりして、そこで笑いました
よ、とか。私いつも腹黒いって言われているんですよ、放送でいっつもずるいこととか言ってるから。でもそういう
ことで笑ってもらえるというのが楽しいですよね。 ④メディアの中の自分 加藤:そのときに誰か相手を考えるんですか? 五十嵐:あ、もう今ではだんだん慣れてきますと、前にディレクターの方がいらしたら何かその方にこう向けて話し
てるような感じとか、日頃読み聞かせをやっている時の光景を思い浮かべてやるようにはしています。でもやっぱり、
ちょっとよそ行きにはなっちゃうんですよ。 加藤:あ、そうですか。でもやっぱり、人前でしゃべる時だって、それなりによそ行きなんじゃないですか? 五十嵐:そうですね、でも子どもたち相手ですと意外と普段の自分でいられるんですけどね。 加藤:あーそうですか。やっぱだいぶよそ行きになるんですか。 五十嵐:そうなんです。 ⑥継続願望 加藤:将来的にはやっぱりこれをずっと語り続けていきたいんですか? 五十嵐:はい、ずっとやりたいです。80になっても出来るなら喋りたいです。私あの日曜日の NHK の FM で8時半ぐ
らいからかなりのお年寄りがクラシックをやっているんですよね。毎週それをずっと昔から聞いているんですけど、
この方は幸せなんだろうなって。こんなお年でも毎週出てきて自分の好きなクラシックの話をして、許されるものな
ら私も・・ 加藤:やっぱり疲れよりも楽しさなんですかね? 五十嵐:でも疲れも出ると思いますけれど、やっぱりこれが無かったら自分も・・。 加藤:自分を支えているものなんですね? 五十嵐:はい、いまはそうですね。そしていっぱい人に出会ってここに出会った人が好きなのかもしれないです。 66 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) まとめ 五十嵐さんは今までは、子どもたちに読み聞かせをするぐらいでラジオの経験は一切無かった。だが、喋ったりす
るのが好きだったために、旦那の死を境にこの世界に入って地元のアシスタントやリポーターをやって来た経緯が有
る。日常的に素の自分を表現しており、生放送とかで突然起こる事態とかそのような臨場感に多少の怖さを持ちなが
らも快感を得ている。五十嵐さん自身の言葉で、リスナーのみんなを元気づけられるようになりたいと思っている。 キーワード ・絵本の読み聞かせ ・声を出すって事には、怖いながらも快感はあるんですよね ・伝わってるんじゃないかなっていう思いはありますね。そういう時はやっぱり楽しい ・自分が最終的には満足というか、そういう楽しいとか、自分のためのものだという。最終的には実感しますよね。 ・直接反応があるっていうのは、怖さもあります ・ずっと専業主婦だった ・マイクの前というのは慣れていた ・今放送している臨場感 ・いつかおばあちゃんのパーソナリティになりたいってふざけて書いたことがあった ・向いてるとは思わない ・私は話すことが好きなので、死ぬまでしゃべらしてと言っているんです ・楽しい ・やめようと全然思いません ・私は話すのが好きなので、死ぬまでしゃべらしてと言っているんです ・自分がいろいろ経験して辛かった事を言わなくても元気づけられるようになりたいと思う ・ずっとやりたい ・80になっても出来るなら喋りたい ・お金を頂かないことが気楽 ◆4.インタビューにより得たキーワードの分析 表現者 ・絵本の読み聞かせ ・ボランティア ・編集長 ・演劇 ・アナウンサー・DJ 経験なし 67 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ・司会 ・教師 ・ピアノ弾きの仕事 ・社長 ・マスコミへの露出が多い ・歌手になりたかった ・アシスタント ・放送部 ・ラジオのパーソナリティだった 過去のキャリアから、「表現者」という共通点を見出した。雑誌の編集も言わば誌面上での表現である。教師もまた
教壇という舞台でパフォーマンスをする役者と言い換えることができる。過去にどういう形にしろ、直接または間接
に表現をすることを経験している。ラジオがその表現の延長に有るか無いかは関係ない。他人に情報を発信すること
の魅力を知っている人、その魅力に惹かれた人。自分が表現することで他人が感化され、それが本人の原動力にもな
っているのだろう。ラジオという舞台で自己の内面・趣向を表現する役者になる。日常では味わえない経験である。
他人が自分の音声だけを聴く。ゆっくり誰にも邪魔されず話ができる、表現ができる喜び。これらの非日常的な経験
が魅力なのだろう。また過去に経験し表現することから離れていたが、再び舞台としてラジオを選んだ人もいる。 自己満足 ・自己満で終わっている部分もある(大和) ・自分が快感を求めている(五十嵐) ・自分が 1 番だと思って頑張る(青砥) ・勝手に作れる事が魅力である(コチェフ) ・誰にも邪魔されずに話す事ができる(遠藤) ・他人の為じゃなく自分の為(後藤) ・自己完結で終了してしまっている部分がある(後藤) ●見解 それぞれの人に共通していると思ったのは、結局の所は、自分の理想の為にこの仕事を続けている人がほとんどで
はないだろうかという事である。ラジオを通して、私という自分の存在をみんなに知らせたい、この声をたくさんの
方々の元に届けて聞いてほしいという思いが強いから、それが自己満足という部分にまで達したのではないのか。 また、ラジオ自体を自分なりにアレンジして、それを好きなように作っていけるというのも繋がっている一つの要
因ではないだろうかと考えられる。このような事は、自分の趣味などによる部分が反映されてくるからこそ、そう捉
えられるのではないのか。 そうして最終的には、それが完成される事によって自分なりの達成感・充実感などが味わう事が出来る。けれど、
68 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) そこで終了してしまっている人が多いのではないだろうか。自分自身が満足する為にこの活動をやっているのではな
いだろうか。 ●結論 人の為と思ってやっている事であっても、最終的には自分自身の欲求を満たす為にやっているのではないだろうか。
要するにみんなが自分自身の快感を求め、それが自己満足の方向へと傾いているのではないだろうか。 キャラクター ・キャラクターを作っている ・操作できる ・あんまり作っていない ・意識していない ・素でやっている ・プライベートの友達は普段と変わんないからあまり驚かない ・素の自分とあんまり変わっていないと思う ・逆にキャラを作ってみたい ・キャラを押すラジオはレベルを落としている 私はパーソナリティの人はラジオブースに入ると普段の自分とは違うキャラを意識的に出してラジオに臨んでいる、
または無意識だとはいえ違うキャラになってしまっているものだと思っていた。しかし、調査したパーソナリティの
人たちは意識的に自分のキャラを作ろうとはせずに、素の自分をありのままに出している人が大半だった。 私が推測していたようにキャラを作っている人は確かに存在していたが少数派で、ほとんどの人はキャラを作ろうと
する必要がないという事に気がついた。パーソナリティの人たちは元々教師、絵本の読み聞かせ、ピアノ弾き、編集
長、フリーアナウンサー、など表現活動の経験がある人たちばかりで、自分が表現活動する場をラジオに変えただけ
であって、自分のキャラはどの表現の場でもぶれることなく常備しているものだということが分かった。むしろキャ
ラを作っているラジオはレベルを落としているという厳しい指摘をする人さえいたくらいだ。 快感 ・誰にも邪魔されないのが快感 ・自分を表現できる部分は仕事をやめる自分にとって逃げ道。精神的なバランス。 ・自分が生きる糧 ・ストレス解消のためにやっている ・精神安定剤 ・自分の精神的なバランスにいい 69 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ・自分が元気に話すことが自分を元気づけられる ・会社にはない別世界 ・自分が最終的には満足というか、そういう楽しいとか、自分のためのもの 自分自身が、ラジオのパーソナリティを楽しんでいる。それは、喋ることが好き、声を出すことが楽しいと思って
いるからである。特徴としては、昔に演劇部、放送部などに所属していた経験があるパーソナリティや、メディアに
出る経験があったパーソナリティが多いことから、自己を表現することが好きということも言える。 また、「仕事にしようとは思わない」という意見が多いことから、【ボランティアでやっている】ということが、
パーソナリティを楽しむことができる要因の一つとして挙げられる。お金をもらうことによって生じる責任やプレッ
シャーからは逃れられることが、ある意味「気楽にできる」ということに繋がる。そして、自分の好きなように番組
の構成を作ることができたり、音楽をかけられているということが、「制約がないから好きなことができる」、「誰
にも邪魔されない」快感というものを得られる。 「誰かが聞いてくれていると考えることが嬉しい」という意見も多い。自分が話したことから、何かを感じとってく
れるリスナーがいるということを思い浮かべることによって、話すことの喜びや使命感が生じる。 また、「自分自身が元気に話すことで、自分も元気になる」ということから、パーソナリティを自分のためにやっ
ているという人も多い。 ラジオのパーソナリティを通して得られる【楽しい・快感・癒される】という感情は、パーソナリティ自身のスト
レスを解消させてくれ、精神を安定させてくれる。 ラジオ経験 ・深夜放送を聴いていた ・ラジオを聴くことは無い ・ラジオ・放送の経験はない ・ラジオに関心なかった ・ラジオをするまでラジオを意識して聴いていなかった ・大手のラジオ局に興味が無い ・アナウンサーに興味がない ・メディアに関わるのははじめて ・人生の予定になかった ほとんどのパーソナリティがこれまでラジオで話す経験はもちろん、ラジオを聴く経験すらなかった。もしかした
らラジオはそれまでのラジオ経験を必要としないメディア・お手頃なメディアなのかもしれない。TV という媒体の垣
根は大きい。他の表現媒体を考えてみると演劇は発声の他、身体表現を伴う。音楽ライブは演奏技術を伴う。絵画な
どの芸術は、レスポンスの面で見ると別物かもしれないが、長年の技術を伴う。更に大きく異なることが「場所」と
いうことだ。他人に見せるときは芝居小屋やライブ小屋、展覧会など特別な場所が必要とされる。確かに趣味の域な
70 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) らば知人を集めて小規模では行える。これらの点と比較するとラジオは簡単に多数の人に情報を発信することができ
る表現媒体ように思える。小さな一室からも多数の人に発信することができる。この点がラジオのお手軽さでもあり、
魅力なのかもしれない。そのためラジオに興味・関心がなくても関わることができるのではないか。 気楽さ ・お金を頂かないことが気楽 ・利害を考えずにやれる ・自分のやりたいことをやって、さらにお金を頂く事は考えていない コミュニティFMと県域FMでの大きな違いと言えるのが、お金を頂いているかいないかの違いである。コミュニ
ティFMでもお金を頂いてやっている人もいるが、ボランティアでやっている人などもいて様々である。 だから、コミュニティFMでは仕事としてやっているのではないという気楽さがあると言えるのではないか。仕事と
してやるならばもっと緊張感が生まれるし、制約も多いだろう。 自分のやりたいこと・話したい内容が言えることだけで十分だと考えているパーソナリティが多く、お金は頂くべき
ではないと考えている。 緊張感や真剣さが全く無いわけではないが、それが少ないことが逆に良いのだろう。 誇り ・語りの自信は生きてきた自信 ・継続は力である ・一回一回真剣勝負 ・一回一回がすごく貴重な財産 パーソナリティとして、話す内容から流す曲を選ぶところまでの番組の内容を用意するところから、実際に本番で
話すまで、真剣に取り組む。それを続けていけていることは自分にとっての自信につながっている。ラジオで話すこ
とは普段生活しているうちではあまり経験できることではない。ラジオをする、ということは自分自身の語りや喋り
の表現を鍛えられるとも言えるのではないか。したがって、語り・喋りの自信もついていると言える。 ラジオをすることで得られるこれらの経験を、パーソナリティは誇りだと言う。 再スタート ・リベンジ 再スタート ・子育てしてても不安になる。こんなことしてていいのか。 パーソナリティを務める人たちはもともと表現者であることが多い。しかし、自分が表現したいままを表現できて
いる人はほとんどいない。理想と現実とのギャップを感じることもあるだろう。ラジオは自分が元の表現者へと戻る
71 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) きっかけなのではないか。 人間関係 ・ここの人たちに対しても自分の持ってる能力のひとつでも返したいって気持ちがあります。 ・人間関係はすごく面白いです。 ・人がいてそして反響もある。 ・外部の人との交流が出来る場所。 ・ラジオをやっているがヒューマンネットワークは広がらない。 やめたくない、続けたいと言う人が多い。単純に話すことが好きだということもあるが、三角山の人間関係も関係
していると思う。人間関係に対してよい印象を持っている人は続けたいと話し、人間関係によい印象を持っていない
人はやめてもいいと話す。また、ラジオ局の雰囲気がよいからこそ、パーソナリティも素の自分で放送することがで
きているのはないか。 快感(曲重視派) ・ 聴きたい曲を流す・流せる ・ 自分の好きな曲を聴いて欲しい ・ 喋ることに興味はない 番組をやっていくうえでの快楽について、音楽系番組を担当している方は主に「自分の選曲した曲が流れること・
流せること」に快楽を感じている。また、自分の好きな曲をリスナーに知ってもらったり、好きになってもらったり
するのが嬉しい、という意見もみられた。 快感(喋り重視) ・ 喋るのが好き ・ ラジオが楽しい ・ 何かを表現していないと不安 音楽重視派とは異なり、喋り重視派は単純にお喋りが好きな人が多く、マイクを通して喋ることに快楽を感じてい
る。「自己表現の手段としてラジオをやっている。」「特別な喋りをしているわけではない。」という意見もあった。 リスナーへの気持ち ・ 気に入ってくれる人が聴いてくれればいい ・ リスナーの反応が嬉しい ・ 自分の喋っていることがリスナーにきちんと通じているのか、不安。 72 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ・ 中年を癒したい ・ 本当は若い人に聴いてほしい やはり、リスナーの反応をとても気にしている人が多い。自分のラジオを聴いている人がいるのか、言いたいこと
がちゃんと伝わっているのか、といった不安を感じると同時に、誰か気に入った人が聞いてくれればいい、といった
楽観的な意見もみられた。 継続願望 ・人生の天涯 ・追い出されるまではやりたい ・続く限りはやりたい。楽しいし。 ・死ぬまで続けたい ・元気づけられるようになりたい ・ずっとやりたい。80になっても出来るなら喋りたい。 ・ずっと表現できればいいんじゃない?みたいな 昔に演劇部、放送部などに所属していた経験があるパーソナリティや、声を出すことが好きという人達は、いった
ん主婦やサラリーマンを経験してもやはり「私は表現したい」という思いが生まれるようだ。それを満たしてくれる
のがラジオのパーソナリティ。パーソナリティになったことが人生のターニングポイントと語る人も多い。やはり、
会社や主婦をしている時に生じる義務感だけでは物足りなさを感じるようで、パーソナリティをやることでそこでは
味わえない快感を得ることができる。 「パーソナリティをやっている自分は楽しい」という意見が多い。それは「ずっと続けたい」ということい繋がる
。「あまりキャラは作っていない」と語ることが多いことから、素の自分、ありのままの自分を出しているので疲れ
ずに続けられる秘訣なのではないか。 パーソナリティの人達は、自分と向き合いながらやっている。人生とはもちろん、自分と向き合うことが大切であ
ることから、パーソナリティを「人生の一部」と考えている。 パーソナリティ=自分を支えてきれるもの、という考えによって、辞めたいとは思わないようだ。 ◆5.抽出したキーワードの関連性と大きなキーワード 我々がそれぞれのパーソナリティとのインタビューから抽出した共通点を表すキーワードは以下の通りである。 ・表現者 ・自己満足 73 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ・キャラクター ・表現する快感 ・ラジオ経験がない ・気楽にやっている ・誇り ・再スタート ・人間関係 ・曲を流すことへの喜び ・しゃべることへの喜び ・リスナーへの気持ち ・継続願望 キーワード自体の分析は第3章の(1)を参照していただきたい。ここでは抽出したキーワードの関係性や関連性を
分析していきたい。そうすることでキーワードを分類分けを行い、それぞれのキーワードに共通する大きなキーワー
ドを見つけることができると考えたからだ。 これらのキーワードの共通点はこの章の冒頭にも述べたとおり「パーソナリティへインタビューを行い、そこから
抽出したもの」ということである。それぞれのキーワードはパーソナリティをとりまく要素といえるのではないか。
そこで核を〈パーソナリティ〉と定めた。まず、パーソナリティを勤めるうえで重要なキーワードを並べてみた。 ・表現者 ・キャラクター ・ラジオ経験がない 以上が並んだ単語である。選出した理由としてほとんどのパーソナリティが語った要素であり、インタビュー内容
から察するに大事にしている点だったからである。〈表現者〉とは「表現活動を経験した」や「伝える/表現すること
の魅力を知っている」という内容である。 表現して伝えるといってもキャラクターを作る訳ではない。多くのパーソナリティはむしろ素の自分を大切にしてい
る。また多くのパーソナリティはラジオで話すことはもちろんラジオを聴く経験もなかった。ラジオ経験がなくとも
表現者としてたてるのだ。このようにこの3つのキーワードは関連している。共通点として、この3つのキーワード
は「自分に帰属する要素」という点が考えられる。表現者として自分が経験したことがこれらの要素に関係しているの
ではないか、という考えからだ。 次に〈自分〉を大きなキーワードとして、その他のキーワードとの関係やキーワード同士の関係を考えてみる。 〈表現者〉というキーワードから以下のキーワードが派生していくのではないか、と考えた。 74 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ・自己満足 ・表現する快感 ・曲を流すことへの喜び ・しゃべることへの喜び ・誇り ・気楽にやっている パーソナリティが語る〈自己満足〉とは、表現する(自分が好きな曲を流す/自分が好きなことをしゃべる)ことで感
じる快感であるように思えた。自分が表現していることが、面白い/素敵/誰かを夢中にさせているかは分からない。
気にしていても仕方ない。自分がしたいことをする。そのため給料はいらない。その分気楽にマイクの前に立つこと
ができる。かといっておざなりにすますということではない。自分がしたいことをする表現者としての矜持をもって
いるのだ。これら6つのキーワードの関連性から、「〈自分〉から発生するパーソナリティになる上での意識」とい
う共通点があるのではないかと考えた。 〈自分〉と〈意識〉の領域を通して活動していくことで、結果として〈再スタート〉となり、〈継続願望〉が形成
されていく。 ◆6.結論 コミュニティパーソナリティの特性は、<自分>という核をしっかりと持っていること、コミュニティパーソナリ
ティとしての意識を持っていることだと考える。 まず、<自分>という核をしっかりと持っているということについて、表現者であること、素の自分で伝えること、
ラジオ経験の有無は関係ないことの3つに分けられる。 今回のインタビューでは、何らかの表現活動を行っていたパーソナリティばかりであった。彼らは、伝えたいという
気持ちが強い。この強さの根源は、彼らがもともと表現者であったからではないだろうか。彼らが表現したいものは
<自分>なのである。だから、彼らはキャラクターを作ることなく、素の自分で放送をしている。素の自分で放送で
きることによって、疲れずに続けることができるのかもしれない。 コミュニティパーソナリティにとってラジオがそれまでの表現の延長の場であるかどうかは関係ない。ラジオ経験の
有無は関係ないのである。パーソナリティは、表現の場をラジオに変えただけであり、表現者であるという<自分>
はぶれることはない。ラジオ経験がなくとも、パーソナリティを務めることができるのは、コミュニティ FM 独特の在
り方ではないだろうか。 次に、コミュニティパーソナリティとしての意識は、快感、自己満足、気楽さに分けられる。 今回調査したパーソナリティのほとんどが表現していることに快感を得ていた。パーソナリティはもともと表現者
としての面を持っており、ラジオを始める前の生活に理想と現実とのギャップがあったり、何らかの不満や違和感を
75 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 覚えていたりすることが多い。その理想と現実を上手く繋げるラジオという場で、伝えたいことが伝えられるという、
人生の再スタートに対して快感を得ているのではないだろうか。しかし、その快感の中にリスナーからの反応はあま
り重要ではないように思われる。放送している以上、リスナーからの反応が気になり、反応があれば嬉しいという人
がいる一方で、聞きたい人だけが聞いてくれていればいい、という考えの人もいる。リスナーのため、誰かのために
放送するのではなく、自分のために放送していると語る人が多いことからも、リスナーの反応があまり重要ではない
と考える。このことは番組が自己満足になっていることにも関係がある。 コミュニティ FM では自由に番組を作ることが可能なため、表現の仕方も自由なのである。誰かのためではなく自分の
ために番組を作るため、番組内容が自己満足になる。今回の調査でも、誰かのためにラジオをやっていると話したパ
ーソナリティよりも、自分のためにやっていると話したパーソナリティの方が多かった。番組が自己満足になること
には、もうひとつ理由がある。それは、パーソナリティがボランティアとして活動していることである。インタビュ
ーの中でもみられたように、コミュニティ FM はお金をもらわないから気楽にできるのである。コミュニティ FM では、
仕事としてやっているのではないという気楽さがあり、聴取者を増やすという目的よりも、語る快感や好きな音楽を
かける快感がそもそもの目的であるように感じられた。 コミュニティパーソナリティとして重要なことは、<自分>と<意識>の二点である。コミュニティパーソナリテ
ィは、伝えたいことを強く持った一般人なのである。ラジオ経験がなくても、ラジオで語る才能がなくても、機会と
<自分>があれば、務まると言える。一般人がパーソナリティを務めているというパーソナリティの身近さ、自分の
住んでいる町にラジオ局があるというラジオ局の身近さから、コミュニティ FM は開かれたメディアだと感じた。 図1 コミュニティ FM のパーソナリティの意識(1) 76 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 図2 コミュニティ FM のパーソナリティ意識(2) 図3 コミュニティ FM のパーソナリティの意識(3) 77 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 図4 コミュニティ FM のパーソナリティが成り立つ要素 78 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 第4章 コミュニティパーソナリティの〈語り手意識〉(3) 札幌市「三角山放送局」を舞台に 犬飼真未・大澤志織・鈴木夏穂・塚本路恵 林 史弥・松岡真大・山崎愛子 Mami INUKAI, Shiori OSAWA, Michie TSUKAMOTO
Humiya HAYASHI, Masahiro MATSUOKA, Aiko YAMAZAKI
中京大学現代社会学部現代社会学科 2年生(2011年度) 79 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 以下のインタビュー調査は、担当教員(加藤晴明)が実施してきたコミュニティ FM パーソナリティのインタビュー
音源を素材にして、そのトランスクリプトとコーディング作業を実施したものである。基本的には、半構造化インタ
ビューをベースにしながら、各班ごとに、コーディングを工夫してまとめている。インタビューの実施は、2002 年 4
年である。 ◆はじめに 今や全国に 200 局以上も存在しているコミュニティ FM。このコミュニティ FM が人々に支持されている要素の一つと
して、語り手であるパーソナリティの魅力が深く関係していると私たちは考えた。彼らパーソナリティがコミュニテ
ィ FM というメディアを通じて語る中で、一体どのような要素がリスナーの心をつかんでいるのだろうか。私たちはコ
ミュニティ FM におけるパーソナリティの持つ特性、表現者像というものを彼らのインタビューの中から抽出し、メデ
ィア表現者としてのパーソナリティ像を調査した。ここからは私たちがインタビューの中からカテゴリー化した要素
を一つ一つ取り上げ、実際にインタビューから得られた発言を織り交ぜながらコミュニティ FM のパーソナリティ像を
考察していく。 最初に、今回調査の対象となったパーソナリティを紹介したいと思う。 初めに、ラジオに親しみがあり子供に向けた正しいラジオを目標にしている深沢さん。 子供のころから霊感が強くカウンセリングなども行っている吉岡さん。 ラジオには憧れがあり、ブース内で心がけていることは聞いてくれている人がいることという小山さん。 また、元放送部で放送経験に対しては誰よりも知識がある、小山さん。 元ミュージシャンで、ラジオ放送を通して音楽環境を変えていきたいと取り組んでいる箭原さん。 ナレーションの仕事を主にしていて、勉強のためにパーソナリティになった佐藤さん。 演劇部、映画、よさこいといった様々な経験を持った樫田さん。 レコード会社でアーティストの紹介のコーナーをきっかけにラジオの世界に入った相沢さん。 コミュニティ FM を通して地域をつなげるラジオを目指す千葉さん。 そして、最後に病気によって視力を失ってしまったが、ラジオによっていろいろな人とのつながりを見出すことに
成功した福田さん。 以上 9 人の個性あふれる面々のインタビュー結果をもとにトランスクリプトを行い、FM コミュニティのパーソナリ
ティについて考察してみた。 ◆パーソナリティになったきっかけ 三角山放送局パーソナリティの方々へのインタビュー結果から、パーソナリティになったきっかけとして、主に以
下の二つのグループに分けられる。 80 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) タイプの下は、インタビューの抜粋部分である。都合によりインタビュー内容を省略したり要約したりした方もい
る。※()内はインタビュアーの加藤の発言である。 ◇タイプ①:希望型 ●雑誌の募集から ●人との出会いを求めて ●ラジオは憧れの場であり、職としたい ●リスナーに届けたい思い・内容がある ●ラジオは勉強となる場(他の職にも繋げたい) 藤原さん<以前水産業に務めていたパーソナリティ> ・(ここに来るきっかけは?) 雑誌に募集が出てて。 たまたま放送局っていうか 「何かやりたい」って思った時にたまたま見つけて。 ・(ラジオで喋りたかった?) いや、何でもよかったんです。丁度会社を丸3年働いて、仕事に慣れてきて。でも今度は何か趣味のことをやろう
と思って。 なんでもいいからとりあえずいろんな人に出会ってみたい。 佐藤さん ・(なぜプロを目指したのか?) もともとナレーションの仕事をやっていて、いろいろな仕事司会などをしていて、ラジオはとっても勉強になる
から行ってきなさいと言われた。 ・(オーディションに行った理由は?) テレビを見ていたりとかして、そういうナレーションを聞いたりして、募集記事、フリーペーパーで 無料でア
ナウンス教えます を見て。 深澤さん ・子どもたちに向けてやりたいんですよ。 ・小中高生が聴ける。それで大人も聴ける正しいラジオはやろうと。 小山さん ・学生の時に旦那が放送部で、私は映画学科に。ラジオに興味はあった。 81 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ・ラジオは身近だった。ラジオに憧れていた。 小山さん<小中高校生の時に放送や司会の経験がある> ・もともとラジオがものすごく好きだった。 ・発信するならラジオっていうのがすごくあって、そのイベントの企画などをやっていた時に、何度かゲストでラ
ジオ出演をしていたときに、やっぱりこれが(ラジオ)一番好きなんだよなっていうのがあったんですよね。 ◇タイプ②人脈型 ●友人からの紹介 ●社長からの誘い(社長と知人である) ●三角山放送局関係からの誘い ●友人・社長両者からの誘い 千葉さん ・友達の紹介でね、僕はもう出るつもりはなくて、原稿でお手伝いをする、音源でお手伝いをするっということだっ
たんですね。でもパーソナリティいないからもうやっちゃってみようって。 相沢さん ・昔、ここの社長がSTVにいた時に、私も丁度STVに出ていたんですよ。1コーナーを担当していたりして。そ
ういう付き合いがあったので社長とは知り合いだったんです。 (それは社長から声が掛かってということですか?) そうですね。務めていた所がレコード会社で、アーティストを紹介するというコーナーで出てたんですよね。それ
で何度かコーナーに出て、この商売でやっていこうと思って。 会社を辞めてこの世界に入ったんですね。 樫田さん ・ある番組にゲスト出演した後にそれからしばらくたってプロデューサーの杉沢さんから電話がかかってきてラジオ
に出ないかい?って言うから。 福田さん<視覚障がいのあるパーソナリティ> ・所長がね、今度こんな放送局できたからちょっと見学に行かないかって誘われて、その時に入って、自分達が今ま
でやってきた甲斐があって、その会の話をちょっと喋らないかって。 ・この放送を通じて、病気のPRできないかという気持ちもあったわけさ。 82 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 吉岡さん ・自身の職であるカウンセリング・ヒーリングで三角山放送局の社長との接点があった。また、友人からもラジ
オの紹介を受けていた。 以上のインタビューから必ずしもアナウンサーや放送関係に携わりたいという理由だけでなく、全く放送関係に経
験がなくても放送局の社長との人脈や地域の人脈でパーソナリティになる人々もいる。 細かく見ていけば上記にあげたタイプの細分化したものが複合している人もいるが、大きくはこの希望型と人脈型
に分けられるだろう。 ◆コミュニティ FM への足の踏み入れ方 経験のない人がラジオをやることになったきっかけは以下のものがある。 ・紹介、勧めによる ・オーディション ・知り合い、関わりを持つ ・商売でやる ・スカウト ・現在のラジオに対しての不満 ・雑誌による募集 ・喋るのが好き(周りから思われる) ・ゲスト出演 ・何度か経験がある ・現在の仕事の延長線上 これらを踏まえ、以下の3つのパターンに振り分けることができる。 ・自分からやろうと決めた 『自発型』 (オーディション、雑誌による募集、商売でやる) ・他者からの勧め、紹介 『人脈型』→【人脈がある】 (知り合い・関わりを持つ、スカウト、勧め・紹介、喋るのが好きと周りから思われ る) ・その他 『異色型』 83 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) (現在のラジオに対しての不満、現在の仕事の延長線上、ゲスト出演、何度か経験が ある) 『自発型』には次のような傾向が見られる。 ・オーディション 加藤:あの最初のオーディションでわぁって集められた段階で、 小山:はい。そうです。オーディションでまいりました。 ・雑誌による募集 藤原:雑誌に喋りたい人大募集という募集が載っていたため。 ・商売でやろう 相沢:勤めていたところがレコード会社でアーティストを紹介するというコーナーで 出たんですね。それで何度かコーナーに出て、この商売でやっていこうと思っ て。会社を辞めてこの世界に入ったんですね。 このことから、自発型には自分の意思でラジオという世界に入っている。また、喋ることが好きな人であるとも考
えられる。 『異色型』には次のような傾向が見られる。 ・現在のラジオに対しての不満 深澤:子どもたちがこんな放送をきいていたら、やばいなぁと思ったんですよ。 →現在のラジオ番組のあり方に不満を持ち、自分がそれを変えていきたいと思う。 ・現在の仕事の延長線上 加藤:あの、それってあれですか、今回ラジオっていうのは仕事(シンガー、作曲、 ボイストレーナー)のやっぱり延長でというか、そういう形でもっているの かなと? 箭原:そうですね。はい。 →自分の現職を活かして番組に出演する。 このことから、異色型にはラジオに関して自分の考えをきちんと持っている人や現職と結びつけている人がいる。 『人脈型』には次のような傾向が見られる。 ・社長さんとの繋がり 加藤:先ほどキャリア20年とおしゃっていましたけど、なぜいまここにこうしてお られるんですか? 相沢:昔ここの社長がSTVにいたときに、私も丁度STVに出ていたんですよ。1 84 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) コーナーを担当したりして。そういうつきあいがあったので社長とは知り合い だったんです。 ・友人からの紹介 加藤:それは設立準備の段階で? 千葉:番組のオンエアの一週間から十日前ですね。それもまあ友達の紹介でね、僕が 紹介されて、何が出来ますか?ってなって、まあこんなことなら出来るんです けどっていう。僕はもう出るつもりはなくて、原稿をお手伝いする、音源でお 手伝いするということだったんですね。でも居ないからもうやっちゃってみよ うって。 ・所長さんの紹介 加藤:それはなんでここで番組を持つことになったんですか? 福田:当時はね、札幌市の視力障害センターへの点字の勉強をしてたの。 加藤:点字? 福田:うん。点字の。そうするとそこの所長がね、今度こんな放送局出来たからちょ っと見学に行かないかって誘われて、そのときに入って自分たちが今までやっ てきた会があって、その会の話をちょっと喋らないかって。 ・上司からの勧め 佐藤:元々ナレーションの仕事をやっていて、いろんな仕事司会などをやっていて、 ラジオはとっても勉強になるから行ってきなさいと言われた。 ・知人の紹介で知り合い、その家族とも関わりを持つ 吉岡:もともとは清原さんが体調を悪くて。そこから始まったんですけど。そしたら そのついででお父さんの話が出て、じゃあ行ってみようかと。ダメだったらし ゃーないけどと。一発目から受け入れてくれたんですよ。ホントはそういうの を受け入れないらしいんですけど。娘さんも不思議だと言っていました。すご く。そこからご縁が始まりましたね。 ・プロデューサーからのスカウト 樫田:プロデューサーの杉山さん、杉沢さんって居るんですけれども、その杉沢さん がちょうどそのときやってて、それで私よさこいのかっこうして出てって、す ごく印象があったらしくて、もうだからだいぶ前ですよ7年8年も前なんです けども。 加藤:杉沢さんの関係で? 樫田:そう、そうです やるからって、で、それからしばらくたって電話かかってき て、でないかいっていうからはじめゲストかと思ったんですけど、そしたら30 分、1 時間自分でしゃべれっていって。 85 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ここからわかることは、人脈型にも以下のような3タイプに分類することができる。 ・話す人が居ないから番組に出て欲しいなどの「頼まれるタイプ」 ・勉強になるから行きなさい、自分の話をしてみたらなどの「勧められるタイプ」 ・目立つかっこうなどをして自分を相手に印象づける「印象型タイプ」 つまり、人脈型と一括りにしてもその中には上記で示したようなタイプに更に分類し、当てはめることが出来る。
また、知人や友人だと紹介が多く、その他だと紹介もあるが、スカウトや勧め、繋がりなどもあることがわかる。 以上からわかることは、自分からやろうと決めたの『自発型』と、その他の『異色型』は自分の意思で行動をして
おり、他者からの勧め、紹介の『人脈型』は自分の意思ではなく、人脈を頼り、他者からの紹介・勧めなどを受けて
行動をしているということだ。「人脈」ということに関して、以下の考えがある。 小山:ラジオを自分がやっているどうとかではなくて、ここに来たら会えるんですよ。そ の会えた人との繋がり、ネットワークって本当に厚くて面白いんですよ。だから逆 の意味で放送させてもらっているような感じですね。 このことから、ラジオ局に行けばいろいろな人に出会える。そして、そこで出会えた人との厚く、面白い繋がり、
ネットワークが生まれ、出来上がることがわかる。ラジオで喋るパーソナリティの方々は、もしかしたらこの繋がり、
ネットワークを求めてラジオ局に足を運んでいるのではないか。そして、これもきっかけの一つに当てはまるのでは
ないか。 ◆これまでの放送経験 次に着目した点は放送経験についてである。もちろんラジオが大好きで、ラジオパーソナリティに憧れてコミュニ
ティFMに勤めている方もいる。しかし誰しもがそうというわけではない。ではなぜコミュニティFMなのか。それ
は過去の人生になにか共通するものがあるのではないかと考えた。 トランスクリプトをしてみて多くの人が次のようなことを多く述べている。 加藤:なるほど。じゃあ今まで吉岡さんとラジオやメディアっていうのは関わ りは?? 吉岡:なかったです。まったく。 加藤:ないですよね。ある意味まさか自分でラジオを語るなんて思わなかっ たですよね? 86 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 吉岡:全然。 加藤:遡って中学とか高校とかで放送の経験とかは? 吉岡:ないですね。放送とかで好きなレコードを聴くとかはありましたけど。 加藤:中学や高校での放送部とかのそういう経験も? 箭原:も、ないですね。 加藤:あー、これはある意味でも放送そのものっていうのもこれが初めて?そ の自分の番組を持つというのも? 箭原:そうですね。 ほとんどの人が、このように学生時代などに放送部などの放送経験はないと述べていた。確かに放送部の経験があ
る人は限られてきてしまう。ではどのような人がコミュニティFMに足を踏み入れるのだろうか。それぞれの人の経
験の部分を抜き出してみると、映画サークル、演劇部、生徒会、ボイストレーナー、元ミュージシャン、レコード会
社、ナレーション業、バスケット、ブラスバンド、OLなどさまざまであった。レコード会社やナレーション業をし
ていた人たちは声に携わる仕事ゆえ、ラジオと関連しているのは容易に想像できる。ここで注目したいのが、 マイ
クを使った自己表現 といった点である。 映画サークルに入っていた樫田さんは映画サークルで マイク でMCを良く行っていた。また生徒会では必然的
に生徒の前で マイク で話すことになる。音楽関連でも マイク は、外せない存在である。つまり、放送経験が
あるかないかではなく、マイクという媒介物を通して発言する機会に触れ合っていた量が関係しているように思える。
発言するということは、しばし勇気のいる行動である。マイクを通して発現するということは、いったって普通のよ
うにとらえられがちであるが、そうではない。マイクという媒介物を通して自己を表現するというのは、自分から発
した物は、相手に与える影響もさておきながら、周りの人々を通過して社会や環境にまで大きな影響を与え、そして
自分自身としてもかえってくる。つまり、自己そのものとなる。 人前に立って話すのは緊張するが、さらにマイクを持たされると 3 倍ぐらいに緊張するし、紙のアンケートは答え
るが街角インタビューのようにマイクを向けられると途端に言葉がうまく紡ぎだすことができなくなる。人は自然と
マイクを避けて生きてきたのである。このようにして、 マイクを通した自己表現の経験 がのちにコミュニティF
Mへとつながっていくように感じた。 しかし、このようにマイクと全く関わっていなかった人の中にも、ラジオパーソナリティを行う人はいる。その特
徴としてつかんだのが 癒し である。 吉岡:うーん、社長さんに直接言ったんですよ。人のために出来ることをやり たいという。治療だとか。去年までは完全にボランティアでやっていて 生活も苦しいぐらい。でもとことんやったときにそこに自分が生きてい る理由を見出したんですね。僕が 1 対 1 で話してその人の心をケアでき 87 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) たり、治療できたりは出来るんですけど、限りがあるじゃないですか。 なにかちがう形があるんじゃないかと。発信する僕の役目が有るんじゃ ないかと。それぞれ役目はあると思うんですけど。(以下略) このように、発信することが他の人の癒しになるといった理由の人もいる。他にも福田さんという方は自分の病気
について話すことによって同じ病気の人同士、心のケアができると述べている。ではなぜ 声だけ というラジオで
癒しを与えるという選択肢に至ったのか。声には力があると思う。人の声には安心させたり、イライラさせたり、言
葉一つで人は一喜一憂する。声にはその人の人生が詰まっていると思う。その人を見て、声を想像することはあまり
ないが、その人の声だけを聞くとその人を自然と想像してしまうように、より人に身近なものなのではないでしょう
か。声だけで発信するということに、より癒しの効果があるように思える。このように過去の経験がコミュニティF
Mに関係するという事実はもちろんのこと、経験がなくとも、発信したいという欲求がパーソナリティになるきっか
けなのではないだろうか。 ◆ラジオへの親しみから 私たちは、ラジオ好きから派生したパーソナリティは、ラジオを聞いていたからこそリスナー意識なのではないか
と考えた。これを私たちは「リスナー意識型」と称して仮定する。リスナー意識型のパーソナリティは自身が過去に
リスナーであったため、リスナーがどのようなラジオやトークを求めているかを常に意識したラジオを展開している
のではないだろうか。 そして私たちは、同じ「リスナー意識型」でも、個々のパーソナリティによってリスナーは違った見方で意識され
ているのではないかと考えたのだ。そこで、「リスナー意識型」という分類をさらに 3 つの「意識型」に細分化する
ことを試みた。 まず 1 つ目は「自己の世界を語る対象としてのリスナー意識型」である。これは箭原さんや福田さんによく見られる
傾向である。 加藤:やっぱこの番組を通じてむしろその自分の世界を伝えたいっていうことですね。 箭原:ええ、そういう気持ちは結構あります。 加藤:かなりリスナーにむけてこう静かに語っていますね。 このように、自分の趣味や好きなもの、つまり自己の世界を自分発信し、語る対象としてリスナーを意識している
のである。一般的に喋り手は、自分の好きなものや世界観をラジオという媒体を介してリスナーに知ってもらうこと
を強く望む傾向にあるのではないかと考える。これが最も主となる「リスナー意識型」の形である。 2 つ目は「自己を豊かにする対象としてのリスナー意識型」である。千葉さんと吉岡さんにこの傾向は伺える。 88 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 加藤:自分としてはこういう番組を持ててかなり夢の実現? 千葉:それはそうですね。生きている時間のやっぱりひとつの大変なきっかけですもんね。 人との知り合いも広がるし。50 年生きてきてラッキーだよね。 このようなやりとりに感じられるのは、人との出会い、自身の人生を豊かにするための対象としてリスナーを意識
しているということだ。また吉岡さんは、「人のために出来ることをやりたいという。去年までは完全にボランティ
アでやっていて生活も苦しいぐらい。何か違う形があるんじゃないかと。発信する僕の役目があるんじゃないかと。
自分の思っていることで発信するものが人に喜んでもらえるっていうのがやっぱりみんな持っているんだという。」
と述べている。これは千葉さんとは多少違い、情報を発信することが自身の役目であり、リスナーを通して役割を再
認識し、自己を豊かにするという形のリスナー意識の仕方である。人々との出会いや人生の生き甲斐、喋ることの楽
しさなどパーソナリティにはラジオに何かしらの楽しみを抱いている人がおり、そのような人々に多くみられる傾向
がこの「自己を豊かにする対象としてのリスナー意識型」である。 そして 3 つ目が「パーソナリティとしての自己よりも、リスナーを主役の対象として見ているリスナー意識型」であ
る。これは小山さんに該当するのではないかと考える。 加藤:先ほどプロデューサーやって、裏方をやってるときの話と違ってここでは表で喋るわけですよね。 小山:ええ。 加藤:だいぶそこら辺のズレは? 小山:でもどちらかというと話し手の方が 。 加藤:合ってる? 小山:もっと裏方ですよね。 加藤:裏方ですか? 小山:ええ。例えば今加藤さんはお話をお聞きになっていらっしゃいますけど、ゲストが主役ですから、中身が主役
なので。もともと本当に裏方気質で裏方の人間ですね。ただ声を発しているかどうかの違いであって、パーソナルな
部分での売りは私には一つもないと思っています。 このように、自己の世界やパーソナルな魅力を強く持ち合わせていないと語る小山さんのようなパーソナリティは、
パーソナリティである自身よりも本来語る対象であるリスナーをラジオの主役として意識しているのである。 同じ「リスナー意識型」という枠組みであっても、パーソナリティによってリスナーは違うとらえられ方をしている
のではないだろうか。これらの意識の違いは、個々のパーソナリティが過去にリスナーとしてどのようにラジオを見
ていたかに起因しているのではないかと考える。 またパーソナリティの中には、勿論喋るのも好きだが、本来は裏気質であるという人も多いのではないかと考えた。
パーソナリティという人前で喋る仕事である以上、喋りが好きというのは当然のことだが、本来は企画や機械操作を
好む人も多くみられた。これは樫田さん、小山さん、三角山の小山さん、吉岡さんなどにその傾向がある。例として
三角山の小山さん、樫田さんを挙げてみたいと思う。加藤先生との対談の中で三角山の小山さんは以下のように述べ
ている。 89 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 加藤:人前で喋る経験とかは? 小山:特に経験はない。学生の時に旦那が放送部で、私は映画学校に。興味はあった。映 画が好きで、脚本が書きたかった。表よりも裏方。これが初めての感じ。でも同好 会で番組を作ってみたり、ラジオは身近だった。ラジオに憧れていた。もともと喋 るよりも機械操作をしたかったんですよ。それができなくても構成とかをやりたか ったんです。結局番組構成をしたかったんですよね。 また樫田さんは「本当はですね、あの向こうではそういう上映会にコーディネーターってものがあるんですよね。
そういうのをやりたいんですけども。」と述べている。この言葉の通り、両者ともパーソナリティではあるが、本来
は脚本家、番組製作、機械操作を望んでいたことが見て取れる。また小山さんに至っては、加藤先生との対談の中で
「裏方です。」と断言してさえいる。 このように、本来自分は裏気質だと認識しているパーソナリティは、自分自身の世界観や喋りに自信がないが故に
裏気質だと感じている、または個々の裏方業務の夢を抱きながらパーソナリティをしているのではないだろうか。 ◆パーソナリティとしての意識、独自の世界観の有無 パーソナリティの方々のインタビューを分析していく中で、語り手である彼ら自身がパーソナリティとしての意識
をしているのか、また自分の世界を持っているのかという疑問が持ち上がった。当初私たちはパーソナリティが自己
語りを通じて、自分の世界観を形作っているという予想を立てていた。つまりパーソナリティはコミュニティ FM を自
己表現の場としており、語り手としての意識や独自の世界観をもっていると考えていたのである。 しかし、実際に分析を進めていく中で、この「パーソナリティとしての意識、独自の世界観の有無」の議論は私たち
の予想とは全く逆の結論にたどり着いた。ここからは実際のインタビューの発言を交えながら考察していく。 加藤:パーソナリティの意識は? 小山:ないですね。ほとんどない。 加藤:自分の世界をコーディネイトしているのだけども、あまり自分が表に出るっていう 意識はない? 小山:そうですね。出てしまっているんですけど、でもできれば出したくないところはあ りますよね。本来パーソナリティってすごくパーソナルなものなんでしょうけど。 このように、パーソナリティとしての意識を持っていないという発言が顕著に目立っていた。上記の小山さんのよ
うに、あまり自分を表に出したくないという意見や、自分の考えや世界観を通して語るという行為に抵抗があるとい
90 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) う意見なども見られた。なぜ彼らはパーソナリティのいわば売りともいえる独自の世界観を持ち合わせていないと答
えているのだろうか。インタビューの中で彼らはこのようにも語っている。 佐藤:パーソナリティって喋りがうまい下手っていうよりも自分の中になにか語れるもの を持っていますよね。 加藤:そうですね!何か自分の世界観を持っているというか。 佐藤:そうなんです。そういう物は自分の中にはないなって思います。 相沢:やっぱり番組を持つ人っていうのは自分の中に何か世界、ワールドがある人で、こ だわりがないとだめですね。自分は引き出しが少ないんで、ちょっと持たないかと。 加藤:自分の世界で番組を展開する人以外にもゲストで持たせてる人もいますが。相沢さ んはゲストを引き出すタイプの人なんですかね? 相沢:うーん、相沢ワールドを持っていないからね。たいして。色んな人を見ていると余計に 思うんですよ。ゲストを呼ぶにしても、インタビューとかは凄い好きなんですけど 。他の人を見ていると最後の言葉というか締め方が凄いうまかったりだとか。それ を思うとちょっと。 加藤:ある程度長くやっている人はコミュニティ FM では中途半端になるんですかね。 相沢:やっぱり素人がやると一生懸命さがある。自分はある程度ごまかしがきいてしまう ので、それはあるかもしれないですね。 このように、パーソナリティは自分の中に世界観がある人でなければならないという認識は共通して持っているよ
うである。この認識をもっている上で彼らは自分にはパーソナリティの意識や独自の世界観がないと語っていたので
ある。 ◆放送内でのパーソナリティーのキャラクター性 初めに私たちは、放送経験があるパーソナリティーは素ではないと仮定した。 インタビュー結果から三角山放送局のパーソナリティーの放送経験がない人のほとんどは、素のままのであると回
答している。 「素のまま」の長所はキャラクター意識しないことにより素人に語りやすさを感じさせ、その人らしさの個性が無
意識に出る点で、その違いからパーソナリティー自身のキャラクターが形成されるのではないか。 しかし、中にはラジオという公共に流れる場であるため、キャラクター意識を持つべきかもしれないという考えも
ある一方で、キャラクターを作ることは、素のままのではない自分を演じて貫き通すことへの重みを感じる、またキ
ャラを取り繕うことは失礼であるという意見がある。 91 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) パーソナリティー 放送経験 放送内でのキャラクター・考え 佐藤さん 無 ・ラジオ番組を本名で担当している→素のままの自分 ・時々取り繕うことはある ・ラジオはキャラを作ったらそのまま伝わるもの →失礼だと思うため取り繕うことはないように心がけている 相沢さん 無 福田さん 無 ・昔との繋がりもあるため、旧姓で担当している ・結構変わらないと言われる ・しっかりとした仕事の時は重々しくしようと思う ・キャラクターは早々変えられない ・理想はあるができない ・アイドル、声優などの経験はあるが長続きはしなかった ・語りの自信はない、思ったことはない ・(目が)見えないから分からないのはあるかもしれない 千葉さん 無 ・素のまま ・自然に出てしまう (1)樫田さん 無 (2)小山さん 有 (3)小山さん 無 ・きちんとした場所では恰好をつけた方がいいのではないかとは思う
時がある ・キャラを演じることは、ばれてしまうこともある ・逆に疲れてしまい、次にやらなければならないことに支障をきたす ・なるべく素のままでいる ・語りの自信はない ・素ではあるが素の自分ではない ・個人的なことは恥ずかしい ・パーソナルな部分での売りは自分には一つもない ・(三角山放送局は)その人の個性で話していることが多いため、ネ
タ的なものを拾う人はあまりいない →逆にそれを心掛けてきた ・キャラはない ・想像のまま ・違和感がないとよく言われる 吉岡さん 無 ・(キャラクターは)普段と全く変わらない ・普通に会って話すときも、お酒を飲んで話すときも話す内容は同じ ・一貫性しかない 放送経験のある(2)小山さんは素ではなく、あえてキャラを演じている。その理由は放送局ではキャラを演じる
パーソナリティーが少ないからである。しかし、「パーソナルな部分での売りは自分にはない」と述べていた。 キャラを演じることで自分の理想に近づき、足りないものを補うことができる点、違う自分を演じることにより日
常生活とラジオの境界線を作ることができる点、他のパーソナリティーとの差異を作り出すことで自分を作り出せる
点、これらが演じることの長所であると考える。しかし、演じている自分も自分であるため、素のようで素ではない
という曖昧な状況になるのではないだろうか。 92 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) したがって、放送経験の有無に関わらず演じることへのそれぞれの考え方から最初からもっている個性あるいは演
じたキャラクター性が生まれるといえるだろう。 ◆明確な伝えたいことの有無 さらに次に着目したのは、コミュニティFMのパーソナリティというよりは、自ら発信する立場として伝えたいこ
とや伝え方はあるのかどうかという点である。コミュニティFMのパーソナリティには色濃いパーソナル、すなわち
個性が必要であるように感じる。その典型的な例が以下のような対話でわかる。 箭原:僕は二つあります。ひとつは、自分が楽しんできて勉強になったものを 紹介したいっていう気持ちと、もうひとつは、今の僕は音楽環境ってい うものに、ほんのちょっとでも貢献したい。 深澤:子供に向けてやりたいんですよ。もうラジオをやりたい原因はすべて、やっぱ小中・・・、 これからの子供むけのラジオ。 深澤:もうちょっと大人のしっかりしたコンセプトで子供たちに向けた放送をしたいなっ て思うんですよね。 このように、特定の受け手に向けた強いメッセージ性を持った人がパーソナリティというものであると考えていた
が、実際はそうではなかった。先ほど述べたように、たいていのラジオパーソナリティの人々は自分のことを あま
り個性(パーソナル)はない と述べている。つまり、必ずしもパーソナル=コミュニティFMのパーソナリティで
はないのである。彼らにあるのはただの発信欲求である。コミュニティFMについて興味深い考えが対話の中でうか
がうことができた。 加藤:まぁ好きで、そのよくコミュニティ FM で、じゃあ逆にジャーナリズム の対局に地域のネタを徹底的に流していくことが、コミュニティの由縁 だってことで。あんまり、それに価値観あるわけでもないですよね? 小山:でも、そこが大事だと思っているので。大体、あの、うちのパーソナリ ティはその人の個性で話していることが多いので、ですから、あのネタ 的なモノを拾う人はあまりないので、なるべく、どちらかというと、私 はそれを心がけるコーナーとかをやっているつもりでいます。 ジャーナリズムの対局にあるものとしてコミュニティを大切にしていきたい。確かに報道は生活するうえで大切な
ものであるし、コミュニティよりも需要があるように思える。しかし、それは表向きに他ならない。実際我々が一番
93 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 知らないことは地域、コミュニティなのではないかと思う。TVのコメンテーターの発言は、万人受けするような物
を、万人受けするようなコメントで埋められていく。しかしコミュニティFMは違う。そのパーソナリティ自身の紹
介したい、伝えたいと思って発信するものである。このような基準では一人一人伝えたいことはもちろん違うし、自
分自身でさえも気付かないごく一部のマニアックなものが出てくるであろう。そのような部分をパーソナリティとい
うのではないか。パーソナルとは自分で生み出すものではなく、相手に伝えた瞬間に個性として生れ出るものなので
はないか。 ジャーナリズム (報道) コミュニティ 伝えなければならないという 義務 個々の伝えたいこと →伝えなければならないという 発信欲求 また、伝え方にしてもコミュニティ FM ならではの考え方があるように思われる。 加藤:ラジオをやって語りがどんどん上手になっていった? 吉岡:そうですね。最初は僕、自分で原稿作りましたもん。仲間が聞いてくれ てたんですけど、吉岡さんかたいって。今はもう、ほとんど原稿書かず に、伝えたいこと1行だけ。後は、中で感じたことをがーっとしゃべる。 何も整理はしてこないです。 加藤:音楽だけ用意してきて? 吉岡:はい。この言葉言おうって、テーマは決めるけど。中身は別に。 加藤:もうその時に? 吉岡:はい。もうずーっといつも持っている物をしゃべるだけですから。評価 するもの、判断する基準は一つなんですよ。世の中でこんな事件が起こ ったってことをどう評価する、何を伝えるかってことも一つしかない。そのことを ちゃんと伝える。 福田:もう、心をぶつけるしかないと。かっこいい話やけど。そういうしゃべり方やね。 福田:自分の心から喋ること。これが一番大事だという、僕は今の実感ですけどね。 つまり、自分の思う大切なことを、少しだけ、ひとつだけ、でもみんなに知ってほしい、というのがコミュニティ
FM の醍醐味なのではないか。必ずしも必要な情報ではないけれども、心を語るという部分がジャーナリズムにはない
94 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 大切なことのように思う。ただの発信欲求であるから心を語るができる。これがジャーナリズムのような義務的発信
になってしまうと,コミュニティの発言が自由というわけではないが、自分の個性を偽ってでも世間の目を気にした
発言がより求められるのではないか。 ◆ラジオとネットワーク ラジオに関わる上でのネットワークについて、たくさんのパーソナリティが語られていた。そこで、ラジオとネッ
トワークには何か深い関係性があるのではないかと考えた。よってネットワーク、人間関係についてみていきたい。 まず共通点としてとても多く挙げられていたのが、ラジオをするがゆえに自然にネットワークが広まっていったと
いうことであった。それがわかる発言として次の3つの発言があった。 一つ目に「番組の中で関わりあいっていう感じになっていたので」という発言があった。ラジオ番組を形成してい
く過程で、ネットワークというのは必要な要素であることが読み取れた。 二つ目に「一度発信者になるといろいろな人間関係ができるので」という発言があり、一度発信者になることでリ
スナーからの反響があったり、その番組の意図や訴えたいことに共鳴し、番組に直接参加する人達などがいたり、多
様な人間関係ができるのではないかと考えた。ラジオは発信者として一方的に発信しているのではあるが、やはり受
信者からの反響がないと成り立っていかないメディアであるということが分かった。 三つ目に「自然に長くやっていると、知り合いがいもずる式にできてきた」という発言があった。 このような発言からラジオとネットワークというのは密接に結び付いているというのが分かった。それにパーソナ
リティ自らがネットワークを求めているというわけではないということが読み取れた。ラジオというメディアが参加
可能なメディアであるからこそネットワークの形成が自然にできてしまうのではないかと考えた。職業柄ネットワー
クを深めていくということが例えばラジオ番組の充実につながったり、仕事の活性化につながったりする一面もある
ことがわかった。 それとは対照的に、そのネットワークを求めてラジオの世界に入るパーソナリティもいた。ラジオを、ネットワー
クを形成する場として利用するということである その特徴が表れている発言として、「どうしてここにいるのかって言ったら、いろいろな人に会えるから」という
発言と、「それ(ネットワーク)がほしくて逆の意味で放送させてもらってる」という発言があった。ラジオはネッ
トワークを築き上げる機能を持っているということが読み取れた。 それとは少し違うが、「何でもいいからいろんな人に出会って見たい」と答えたパーソナリティもいた。 このように、ネットワークを広げるのにこんなにいい場所はなかなかないのかもしれない。ラジオという職業の特
徴の一つであるといえるかもしれない。 その他に、リスナーとの繋がりからネットワークを形成するパーソナリティもいた。その発言として、「いまだに
あの時聴いていましたという声もいただけるので」という発言や「カセットをいつもいただくんですけども、それに
録音して聞けない方に送ってあげたり」という発言があった。 このネットワークは、リスナーがパーソナリティを求め繋がるネットワークであることが読み取れた。ラジオ番組
95 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 限定での番組上でのネットワークであり、ラジオでは一般的なものであるといえる。 次にパーソナリティがリスナーを求めて繋がるネットワークがあった。その発言として、「だからお互い(リスナ
ーと)友達になって心のケアをお互いしようと」という発言があった。ネットワークを基盤として番組を作っていこ
うとするパーソナリティであった。 パーソナリティの発言から、ラジオ関係の仕事をしているかぎりネットワークは職業柄おのずと広がっていくとい
うことが分かった。ラジオが参加可能なメディアであるからこそ多方面からのつながりが形成されていくのではない
かと考えた。ラジオにおいてネットワークというのは番組を作り上げていく、ある種の基盤になっているのではない
かということがいえるのではないか。ネットワークを広げることからラジオが始まると言える。 このように、ラジオを放送していく上でネットワークというのは必要不可欠であることが分かった。 以上の分類によってコミュニティ FM には独特の世界観が存在しており、それがリスナーにとって魅力的であるよ
うに思う。 ◆ 資料◆ ▼給料などの有償性をいとわないコミュニティ FM 加藤:かなりメッセージ性を重視しているんですね。これはあれですか?その番組的には局が許す限りやりたいです か? 吉岡:やりたいですね。どっちも自分が傾いていくかわかりませんけども。やっぱり時代の必要性で言ってるんだと 思います。 加藤:かなり時代に対する使命感がありますよね、話を聞いていますと。 吉岡:これもしもお金をもらっていたら、もっと受けるようにとか考えると思うんですよ。でもそれがまったくない。 100パーセントひとが感じることと自分が感じることが1つになってって自分は思っているんで。それがな ければ意味がないですよね。 加藤:やっぱりお金が絡まないって言うのはありますよね。組織自体はエフピーオーで会社だけでもやってることで すもんね。コアな番組とか。 吉岡:だからこそなんだろう,お金じゃないから、お金のことも大事にしてほしいと思うし。気を使って三角山聞い ているし、そんな口コミもありますし。 箭原:音楽を聴いていて。とくに日本では。多少外国に行ってみたことはあるんですけど、割と僕は外国の方がフィ
ットするんですよ。テレビ・ラジオとかで流れてる音楽が、街で流れてる音楽が「ああいいな∼」って。僕の
場合は。で、やっぱり日本のは、その∼まあ商業ベースって言うか、資本主義の中でものを生産して売ってっ
て、そして収益を得ると、いうシステムの中でいいものを作るっていうことと、売っていかなきゃいけないっ
96 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ていうことと、やっぱりあるんですね 加藤:そうですね。 箭原:だから日本の音楽業界もその狭間にいると思うんですね。日本の音楽業界だからこそということもあるんです
けど。で、あの音楽をかける側も、しょうがなくてかけてるというケースが非常に多いわけですね。例えば新
車の車を出したときに、その車を宣伝しなければならないわけですね。 加藤:そうですね。 箭原:新曲をセールスする場合も同じようですね。 加藤:今もう事前プロモートでかっちり作られますよね。 箭原:ええ、それは放送局やレコード会社や、出版関係や音楽事務所とかがこう一緒に絡んで、もう良い悪いという
よりはこれはもう売っていくんだという方向性ですよね。だから僕はそうでない音楽のかけ方をしたいってい
うか、小さいコミュニティ放送であるからこそできる部分もある・・・思いますしね。だからその三角山さん
だからじゃなく僕の音楽人生の中ではそこをやっぱり最後まで追求したいと思うんですね。 加藤:それはやっぱり日本のポピュラー音楽の環境に対する自分なりのそれがまたメッセージになるわけですよね。 ▼自己の中にある発信欲求(伝えたいこと) 加藤:なんで今こういった喋る番組をやっていらっしゃるんですか? 吉岡:うーん、社長さんに直接言ったんですよ。人のために出来ることをやりたいという。治療だとか。去年までは 完全にボランティアでやっていて生活も苦しいぐらい。でもとことんやったときにそこに自分が生きている理 由を見出したんですね。僕が 1 対 1 で話してその人の心をケアできたり、治療できたりは出来るんですけど、 限りがあるじゃないですか。なにかちがう形があるんじゃないかと。発信する僕の役目が有るんじゃないかと。 それぞれ役目はあると思うんですけど。で、僕は絵を描くんですけど絵が僕の 1 つのヒーリングの手法なんで すね。それが去年古典を開いたら、急に泣き出したり感動したりする人がいて。だから絵を描いたり詩を書い たりというようなことが急に始まったんですね。だから自分の思ってることで発信するものが人に喜んでもら えるって言うのがやっぱりみんなもっているんだという。でもどう使うかっていうのがわからないんで思った ことは言ってみようと。で、できればやっていいんだ、出来なければ、やらなければいいんだと。で社長さん に言ってみたらやってって素直に言ってくれて。期限もなにもなくて。必要なければ終わると思ってるんで。 でもそれでいいんです。 加藤:そう考えてみるとヒーリング番組ってなかなかないですよね。まぁ実際にはパーソナリティが喋ることが癒や しにはなっていると思うんですけど、それを全面に出した番組っていうのは、パーソナリティにそういう力が ないと出来ないかもしれないですね。 吉岡:そうですね。公共過ぎると批判も多くなるでしょうから。清原さんも最初どんな番組になるか不安だったみた いですよ。でも好きなように喋って良いよって。 加藤:だいぶ今までやられてこられて、自分の形が固まってきた感じですか? 97 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 吉岡:そうですね。変わってきましたし。去年は本当にリスナーに伝えなきゃいけないことをすごく意識していたん ですよ。世の中に伝えなきゃいけないことを。だから結構きついこと言っていましたよね。みんなが気づかな きゃいけないこと、違うよと言うこと。今は、今年に入った瞬間に流れが変わったんだと感じたんで。普通に 喋っていく中で、気づかせていくという形にしました。 加藤:なるほど。 吉岡:あの、親が子供に直接言えないことって多いじゃないですか。親の立場で言えないこととか。それは、聞かせ てあげたり、見せてあげたりすることの、そういう代わりはできますね。みんなが思っていることを、ただス トレートに言ってるだけだから。ただ精神世界っていうのも大体終わってきて、今は普通になってきています からね。あの精神世界の方々ほとんど分解していますから。おかしくなっていくか、フェードアウトして普通 に戻るか。もう、あれを追いかけたやつはだめですね。 小山:ブースの中でこころがけていることは、やっぱり聞いてくれている人がいるってことですかね。自分で好きな ことは言うが、自分の中のラインは心がけている。宗教や政治のことなどなど。原稿とかは創っていないので、 そのときの一発勝負なのですが。気持ちの一発勝負です。私たちと同じところにいる人々に、不況になってい くと一番になくなっていく物だから、だけどそういうものに私は救われてきたから、つきあってほしい。 加藤:じゃあ、一番の快感は何ですか? 佐藤:快感は、自分のコーナーで自分で考えた原稿を読むことですね。毎週毎週レポートを伝えるので何か自分で原 稿を創りますよね。ただ書けばいいって訳じゃなくて人に伝えなきゃ行けないので。そこはやっぱり自分の知 らない世界が有るしそれはすごい楽しいですけれど、好きなのは自分で何かを喋れるってコーナーが有るって 言うのが(いい)。 深澤:そうですね。中高生、小中高生が聴ける、それで大人も聴ける正しいラジオはやろうと思ってます 。なんで ラジオをやりたかったかというと、子供達がこんな放送を聴いていたら、やばいなぁと思ったんですよ。ラジ オもこうなっちゃったら、どうすんの?みたいな。想像力を高めて、やっぱり考えたり、こうさせてくれてた ものじゃないですか。それがいつの頃からか、身内のネタと、あとはもう、下ネタ。ほんとに下品な話になっ ちゃってるし、マニアしか聴かないようなものになってるし。でも、タクシーに乗ってて聴いてる人もいれば、 やっぱり受験勉強で聴いている人もいれば、病院のベッドで寝静まってから聴く人もいたり と考えたら、も うちょっと。 加藤:例えば今自分が情報発信したいとかいうのはどちらかというと自分が喋ったり書いたりするって話ではないで
すか? 小山:ではないですね。裏方です。 加藤:ああ。 98 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 小山:ええ。 加藤:そういう意味での。 小山:はい。大きく言えばプロデューサーで、小さく言えば何でも雑用、全て引き受けます。 →裏方気質。発信者側といっても、あくまで裏方でいたいと思う。 福田:そうねえ。最初は正直な話ね、何人聴いてくれるかと思うとね、喋れないですよ。そう思うと。 加藤:あんまり考えない? 福田:考えない。自分の心から喋ると。これが一番大事だという、僕は今の実感ですけどね。 加藤:心から喋るということですね。やっぱりそうでないと伝わらないでしょうね。もう4年やってきてだいぶ自信 というか? 福田:自信なんてそんなもの今もないですよ。思ったことないし。ただ見えないから分からないというのはあるかも しれないですね。 ▼パーソナリティ、自分の世界 佐藤:パーソナリティって喋りがうまい下手っていうよりも自分の中になにか語れる物を持っていますよね。 加藤:そうですね!何か自分の世界観をもっているというか 佐藤:そうなんです。そういう物は自分の中にはないなって思います。自分の中の世界を語るというのはできないで すね。 加藤:自分で番組をもちたいという意欲はあるんですよね? 相沢:いや私はこれだけで十分だと思ってるんですけどね。やっぱり番組を持つ人って言うのは自分の中に何か世界 ワールドがある人で、こだわりがないとダメですね。引き出しがすくないんで。ちょっともたないかなと。 加藤:自分の世界で番組を展開する人以外にもゲストで持たせている人もいますが。あいざわさんはゲストをひきだ すタイプの人なんですかね? 相沢:んーあいざわワールドをもっていないからねたいして。色んな人を見ていると余計におもうんですよ。ゲスト を呼ぶにしても、インタビューとかはすきなんですけど。他の人を見ていると最後の言葉というか締め方がす ごいうまかったりだとか。それを思うとちょっと。 加藤:ある程度長くやっている人はコミュニティFMでは中途半端になるんですかね 相沢:やっぱ素人がやると一生懸命さがある。自分はある程度ごまかしがきいてしまうので、それはあるかもしれな いですね。 加藤:(音楽について)選び方というのは考えるものですか? 樫田:考えますね。やっぱり例えば、自分が持っているものをやっぱりしなきゃいけないし今は新しいもの、若い人
が好むのものとか。そらから、若い子じゃなくて他の人が知っているものとか。日本映画のは、あんまり音楽
99 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) というのがないんですけども 加藤:やっぱり映画に関した音楽ということなんですかね。 樫田:そうです、そうです。 加藤:自分の世界を作っていく? 樫田:うん、そうですね。 箭原:例えば料理を食べておいしいっていうことを思われる方がいると思った時に、10人で同じものを食べて、10 人がおいしいって言うかどうかはちょっと分からないっていうことはあると思うんです。で、曲を聴いたときに 僕と同じように一つの音楽をみなさんがいいって思うかこれほんとに分からないし、自分の価値観、好み、価値 観、自分自身がその基準であるわけですよね。 ▼パーソナリティの内面、自己表現方法 加藤:キャラとかは? 小山:ないですね。そのまんまです。想像のままらしいですね。違和感がないってよく言われます。 加藤:パーソナリティの意識は? 小山:ないですね。ほとんどない。 加藤:パーソナリティーというかキャラクターイメージという物は全然普段と変わらないんですね。 吉岡:そうですね。全く変わらないです。でも普通に会って話すときも、お酒のんで話すときも全部話す内容は同じ ですもん。一貫性しかないですね。 加藤:キャラがかぶるとかそういう感じでは? 樫田:まったくないですね。 加藤:あぁ、そういう人のほうが続くみたいですね、コミュニティーというのは特に 樫田:あ∼そう。 加藤:自分を出せてる、素直に出せてる人のほうが。 樫田:自分がこうだから、作り様もない。格好は付けないし。わたしもいろんなことドジしますし。 加藤:素でほとんど自分ですね。 樫田:うんいや、本当はあのきちんとある場所に行ったらちょっと格好つけるとかしたほうがいいじゃないかって思
うときはあるんですけどね。そうしたらばれるじゃないですか。疲れるから。あんまり疲れると次にやんなき
ゃいけないところに支障ができるんで、なるべく素のままでやっていってるんですけど。はたしてこれがいい
のか。 100 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 藤原:ここは、だから 1 時間ごとが全然違う番組だったりするじゃないですか。自分が持っているものを、で、やっ てみたいっていうか。そういう人たちが、それぞれの個性が生かせる場所だと。すごいと思います。 →ラジオ番組=個々の個性を表現することが可能な場。 加藤:あの∼、あれですよね。普段家の中で喋ってる自分とラジオの中で喋ってる自分とそんなに変わらないですよ ね? 福田:全然違いませんね、僕は。 加藤:ですよね。素を出していこうと。 福田:そういう意味では上下分けた喋り方はまず止めとこうというところから始めました。 加藤:聞いててもリラックスして本当そのままですよね。話してる感じで。 加藤:あの∼、喋ってるときの、みんなに聞くんですけど、パーソナリティっていうのは何が楽しいかみんなに聞い てるんですよね。とってもしんどい仕事だし、人前で喋ると緊張もするし。それはどこが楽しいのかなって。 もう 4 年もやられてて。自分の番組って聞きますか? 福田:僕はだから必ずテープにとっておいて、それで家に帰って聞いてるんですよ。聞いて反省を含めて。(中略) 加藤:そうですか。やはり自分の番組で、今日上手くいったなとか、そういう時って嬉しいもんですか? 福田:喋り足らないというよりも伝え足りないということは多々ありますよね。 加藤:やっぱり伝えたい訳ですよね? 福田:そうですね。 加藤:自分が良い話だと思ったことを人に伝えて行きたい? 福田:そうですね。(中略) 加藤:かなりその中では自分の考えではないけど、その伝えたいことに対して自分の意とかっていうのは出てる訳で すか?僕はこんな風に感じたとか。 福田:うん。だからそういう意味では自分なりの考えを。 加藤:そうですよね。 福田:やっぱり出してますね。 加藤:それはあれですか?喋ってるときの自分は素を出せてるんですか?それともラジオの中で自分を作ってる感じ ですか? 福田:作ってるという意識よりもね、幅が広くなってきた気はするんですけどね。 →自然と自己が形成されていく。 加藤:自分としてはこういう番組を持ててかなり夢の実現? 千葉:ああ、そうですね。生きている時間のひとつの大変なきっかけですよね。人との知り合いが広がるし、50 年生 きてきてラッキーだよね。1 回の番組構成するのに毎週 4 時間くらいかかっているから、毎週やっているとしん どいなって思うときもあるけど。でも1時間半の時間を僕に与えてくれているわけだから。 101 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 加藤:でもやっぱり自分のことは出さない? 千葉:いや。出ちゃいますね。 →※ラジオから広がるネットワーク部分を含む 加藤:パーソナリティをやってて一番の快感ってゆうのは何ですか? 千葉:やっぱね、言葉で言うとね、俺はかっこいいのかどうか。 加藤:ああ。そうですか。それは一種のナルシスですよね。 千葉:ええ。そうですね。 加藤:矢印が自分の方を向いてる? 千葉:そうですね。ただこれは誰かに聞いたことも発したこともないけど。 加藤:そうでなければやってられないですよね。 ▼経験から見るパーソナリティ 加藤:学校時代からその希望をもってたんですか? 佐藤:いえ、全然ですね。今まで全く違う仕事をしていたんですけど、ふとある日、あっ私ってこういうナレーショ ンが好きだんだよなぁって思って。ちっちゃい頃に、小学校の卒論に将来なりたいものとしてアナウンサーと いうものは書いていたんですけども、やっぱり声を使って何かを届けるという仕事をやりたかったんだなって 言うのを事務所に入ってから思い出したんですけれども。 加藤:じゃあそれは眠ってたってことですよね 佐藤:そうですね。でもそういう仕事はしてこなかったんですけどね 加藤:例えば中学とか高校時代に放送部とかはやってなかったんですか? 佐藤:いや、全然 加藤:演劇関係の云々とかは?? 佐藤:いえ全然ですね。 加藤:先ほどキャリア20年とおっしゃっていましたけど、なぜいまここにこうしておられるんですか?? 相沢:昔ここの社長がSTVにいたときに、私も丁度STVに出ていたんですよ。1コーナーを担当していたりして。 そういうつきあいがあったので社長とは知り合いだったんです。それでここ2年ぐらいこのコーナーを担当し ています。 加藤:それは社長から声がかかってとういうことですか? 相沢:そうですね。 加藤:その前は放送の経験などは?? 相沢:なかったです。 加藤:ではなぜSTVに? 相沢:勤めていたところがレコード会社でアーティスト紹介をするというコーナーででたんですね。それで何度かコ 102 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ーナーに出て、この商売でやっていこうとおもって。会社をやめてこの世界に入ったんですね。 加藤:人前で喋る経験とか? 小山:特に経験はない。学生の時に旦那が放送部で、私は映画学科に。興味はあった。映画が好きで、脚本が書きた かった。表よりも裏方。これが初めての感じ。でも同好会で番組をつくってみたり、ラジオは身近だった。ラ ジオに憧れていた。映画の評論をラジオで聞いていた。演劇も好き。そのつながりで FM アップルに出た。演劇 に行きましょうというコーナーで。みんなに喋るのが好きと思われていたらしくて、番組にでた。で喋るのが 好きだとみんなから思われていたみたいで。それで普通に喋るだけでもラジオになるんだなーとは思って。そ のときとっていたテープと一緒にここに履歴書を出したんです 加藤:今まで吉岡さんとラジオやメディアっていうのは関わりは?? 吉岡:なかったです。まったく。 加藤:ないですよね。ある意味まさか自分でラジオを語るなんて思わなかったですよね? 吉岡:全然。 加藤:遡って中学とか高校とかで放送の経験とかは? 吉岡:ないですね。放送とかで好きなレコードを聴くとかはありましたけど。 加藤:ラジオはそれでもう全然自分の人生のキャリアの中で放送とかそういうものに関わったのは? 樫田:ないない、全然、初めてですよ。 加藤:そうですか、では語るのも? 樫田:そうですね。ボイストレーニングもしたことないし、ただ自分の ただあのいろんなとこで喋ったりするMC
とかはした。 ▼ラジオからはじまるネットワーク 加藤:じゃあむしろこの企画会社をやりだしてから何かやろうってことで人がバーって? 小山:いえ。企画会社なんていうのは全然ないです。もう組織も何もないので、ただ個人ですよね。 加藤:その段階で人の輪は広まっていくわけですか? 小山:そうですね。知り合いとか仲いい人とか、その都度その都度共鳴して下さる方たちとかで。だから全くの組織
はないんですよ。一切。こういう人に会って知り合っておもしろいから呼んでみたいんだけどどう?手伝って
くれない?ってその都度その都度声かけですよね。で、一度発信側になるといろいろな人間関係が出来てくる
ので。また出会いもあるのでそういうことやってるからこういうこともやってみない?ってゆう話も出てきた
り。やっぱりそういうものに関わるとすごく宣伝をしたいんですよね。で、宣伝したいけどあまりにも個人的
な発信及びネットワークでやっていると、非常にテレビとかで流れているそういうものがすごく嘘が多いし。 加藤:そういうのがマスコミ不信になったわけですね。 103 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 小山:そうですね。でもだからなるべく新聞に出てる-こと、テレビに出てることをあまり体の中に入れないように、
聞かないように、見ないようにする部分が一つあって。でも近い話題は欲しいし、自分も発信したいっていう
のがすごく強かったんです。 →自分が企画するなどの発信者側になることにより、人間関係が形成される。出会いが大切。 樫田:私は本当に聴いてほしい人だけいればいいから、別にその「是非聞いて聞いて。」なんて言わないです。私の
友達、ネットの友達はみんな聞いてくれるから、それでいいんです。 →ラジオネットワーク= 広く誰とでも というわけではない。 104 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 第5章 映画の中のラジオ 5つの映画作品を読み解く 『引き出しの中のラブレター』 『グッドモーニング ベトナム』 『ラジオデイズ』 『僕はラジオ』 『旅立ち 足寄より 』 藪崎 文奈 1 Ayana YABUSAKI
中京大学現代社会学部現代社会学科 3年生(2011年度) 105 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ◆1.はじめに 〈調査対象〉 作品中にラジオが登場する映画をピックアップし、 その作品の中でラジオがどのように描かれているのか、ラジオ
を作品に使用した意図はなんであるのか、物語に作用しているのかなどを調査する。 〈調査動機〉 もともとは指導教員の提案で、ラジオが組み込まれている他メディアの調査をするという方向から、調査者である
私が映画好きということもありラジオが描かれている映画について研究するに至った。 〈調査方法〉 ・インターネット検索 ・DVD視聴による研究 作品中の気になるセリフやシーンをトランスクリプトし、分析を進めていく。 ・文献収集 〈研究対象〉 「引き出しの中のラブレター」 「グッドモーニング,ベトナム」 「ラジオ・デイズ」 「僕はラジオ」 「旅立ち∼足寄より∼」 「ラヂオの時間」(参考として) ラジオが登場する映画は他にも・・・ 「トーク・レディオ」 「ラジオ☆スター」 「ラジオは笑う」 「ラジオ将軍」 「ブース/booth」 「オー・ブラザー!」 「笑撃生放送!ラジオ殺人事件」 「泣きたいときのクスリ」 「プライベート・パーツ」 「今夜はトーク・ハード」 等 ◆2.「引き出しの中のラブレター」の分析 106 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ラジオパーソナリティの主人公真生は父親とケンカ別れして、お互い気持ちを伝えられないままで父親が他界して
しまった。その後実家から、父親が伝えたくても伝えられなかった本当の気持ちが綴られた手紙が届く。その体験か
ら、ラジオを通じて心の奥にしまったままの想いを伝える「引き出しの中のラブレター」という企画を発案する。そ
の企画がリスナーの背中をそっと押していく。 ●作品中でのラジオの描かれ方 ž
人々の日常生活におけるラジオの位置 •
タクシーの中で1日中ラジオを聞いている運転手 •
ベンチでラジオを片手に休憩する男性 •
自分の投稿文が読まれるのを楽しみにする学生 ⇔J-wave(東京のFMラジオ局)を知らない学生 ž
人と人をつなぐ架け橋‥見えない相手との交流 ž
心の奥にしまった気持ちを伝える手段 ž
1 対 1 で向き合う→テレビより本音を出しやすい ž
段ボールいっぱいの手紙やはがき ●分析 作品中でラジオを聞いている人々は職業も立場もバラバラであることから、ラジオが幅広い人々に楽しんでもらえ
るということを伝えていることがわかる。その中で、中学生の会話に注目してみた。 友人 A:おい、直樹直樹。2組の早見ってやっぱお前? 直樹:聞いてたの。 友人 A:やっぱそう。やったじゃん。これで黒沢に近づけるっしょ。 直樹:ばか。 友人 B:何?なんの話? 友人 A:こいつのはがき、ラジオで読まれたんだわ。 友人 B:すごいっしょ!どこのラジオ局? 直樹:J-WAVE。 友人 B:J-WAVE?何それ? 友人 A:何それって、なあ。 黒沢:私も聞いてたよ。 直樹: そう。 黒沢:おじいちゃんを笑わせる方法思いついたら私も言うね。 友人 B:はいはいはいはい!私も考える! J‐WAVEは東京都を放送対象地域としたFMラジオ局のことだ。この中学生たちは北海道に住んでいるためJ‐
107 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) WAVEの存在を知らなくても不思議ではないのに、4 人中 3 人が聞いている。テレビや携帯電話などを楽しんでいる
若者が多い現代にも、ラジオを好んで聞いている若者がいるのだと肯定的に表現されている。 子どもの頃からの夢を叶えてラジオパーソナリティという仕事に誇りを持っている主人公の真生は、職業に対する
考え方の違いから父親との仲が悪化する。 父:お前どうする気や。 真生:へ? 父:もうじきに30やろ。ええ加減こっち戻ってきてみき(妹)みたいにええ相手探したらどうや。女の幸せは結婚
やで。遊びはやめにせえ。 真生:遊びって。中学の時からの夢やってんで。私の言葉でな、ラジオ聞いとる人が 父:その仕事、40、50になっても続けていけるんか。夢だけやったら食うていかれへんやろ。 ラジオのパーソナリティを夢見る若者は、今どれほどいるのだろうか。あまりラジオと関わりのない生活を送ってい
る私には少々現実味のない話に思えてしまうのだが、人々を楽しませたり癒したりすることで支えになる、華のある
職業だということが伝わってきた。恐らくラジオ自体の魅力だけでなく、ラジオパーソナリティについても知っても
らいたいという思いがあったのだろう。ちなみに父親は夢を叶えた娘のことを誇りに思っていたということが、父親
の死後に見つかった手紙から判明し、それが企画発案のきっかけになる。以下がそのシーンである。 真生:誰でも伝えたかったのに伝えられなかった想いってあると思うんです。そんな想いを募集して番組で紹介した
いんです。家族や恋人でもちゃんと話すことができず、関係がこじれてしまうことってあると思うんです。そんな言
えなかった言葉を伝えるには何かきっかけが必要です。その何かにこの番組がなればいいと思うんです。 AD:でもそれって伝えられる側もラジオを聞いていないと意味ないんじゃ 社長:いいんじゃないの。確かにラジオには不思議な力がある。テレビより1対1で向き合ってる気がするって言う
のかな。だからラジオの方が本音を出しやすい。なんだって、伝えたかったのに伝えられなかった想い。 真生:はい。 社長:ああ、なるほどね。なんでも明け透けに口にするようになった今の時代と逆行してて、実にいい! 真生:ありがとうございます。 社長:でもさ、これタイトルよくないよね、タイトル。うーんとね、そうだね、引き出しの中の ラブレター。これ
でいこう。 AD:ラブレターに絞るんですか。 社長:恋人宛の手紙だけがラブレターじゃないんだよ。家族、友人、恩師にしたためる手紙にしたって、まあ立派な
ラブレターなんだよ。 ラジオの優位性が社長の発言からわかる。確かにテレビ番組には司会者がいて、ゲストがいて、観覧客がいてという
形が多く、大勢で情報を拡散しているイメージがある。それに対してラジオ番組の出演者は少数で、リスナーと接す
る機会を設けることが多い。だから 1 対 1 で向かい合っている気がして本音を出しやすい。また、テレビを見る人よ
りもラジオを聞く人の方が少なく、匿名性を守ることができるから本音を言えるということもあると思う。 以下は真生が発案した企画の中で紹介されたラブレターを聞いて、1 人の女性が局を訪ねてきたシーンだ。 女性:放送を聞いて驚きました。もう忘れていたと思ってたことなのに、あの町の匂いまで思い出しました。 108 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 真生:潮と魚の匂い。 女性:いらっしゃったんですか。 真生:はい。 女性:思い出したら辛いだけだと思ってたんですけど、違いました。あの日鳴っていた鐘の音さえ懐かしく思いまし
た。ありがとうございます。 真生:いえ。 女性は手紙が読まれているのを聞いただけで当時の匂いや風景を思い出した。それができるのは得られる情報が音声
のみで、あとは自分の想像力や記憶力によって思い出を呼び覚ましているからだ。少ない情報だからこそ、相手に多
くの思い出を届けることができる。とても魅力的な方法だと感じた。 また、制作が2009年なので圧倒的に E メールでの投稿が多いはずであるにも関わらず、作品中では何箱もの段
ボールにいっぱいの投稿はがきが描かれている。さまざまなメディアが発達し、多機能化した現代に人の温かみを伝
えようとしている。全体として、J-WAVEが制作に関わっているためラジオをズームアップすることによって多く
の人にラジオのよさを訴えかけている。 ◆3.「グッドモーニング ベトナム」の分析 ●作品紹介 米陸軍放送の人気DJである主人公のエイドリアン・クロンナウアは泥沼化したベトナム戦争に出征している10
0万人の兵士の士気を鼓舞するという任務のために、本国から敵地であるベトナムのサイゴンに派遣される。そして
彼の強烈なジョークとロックミュージックによって兵士たちの心は癒されていく。戦争の残酷さとともに、ブラック
ジョークを多用したユーモア溢れるラジオDJの心情を描く。 ●作品中でのラジオの描かれ方 ž
戦地の兵士が現実を忘れられる数少ない手段 ž
放送は軍部のルールや常識によって規制 →主人公はそれらにとらわれず、自分のスタンスを保つ ž
下劣で非常識な放送に送られてくる多くの兵士からのファンレター →兵士のモチベーションを高める ž
情報操作によって一部のニュースしか読むことができない →真実を聴取者に届けたい主人公のフラストレーション ž
話し手の人柄を映し出す鏡 ●分析 まずはこのセリフに注目した。 109 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 「 靴、靴下。肌着情報は以上。さて重要事項です。天気がいつも通りなら歩兵各隊のソフトボール大会は――バン
ミート公園で続行。場所はサイゴン市のベトー通りです。失礼。先週の大雨で用具紛失の場合、シアー少尉に連絡を。
ただし、ねれグローブは――十分乾かして使うようにとのこと。サイゴンを楽しむ会HSASは――図書館運営でも
活躍中。米軍兵士への貸し出しはクバイ以下、国内6カ所で。遠隔地の兵士へは郵送サービスもあり、最寄りのHS
AS図書館へお問い合わせを。今は夏でもクリスマス。米国をカードする じゃなくて米国へカードを送るあなた、
締め切りは8月13日です。郵送ラッシュ緩和にご協力を。遺失物情報。荷物紛失の問題は軍も憂慮しています。軍
用お袋をなくしたら 失礼、軍用荷袋をなくしたら――クライナー少佐へ一報を。報告は4 5のカードで。荷袋は
中身を詳しく。色や形を説明しても荷袋は全部同じです。勝負は中身です。」 以下から、ラジオが戦地の兵士にとって情報を得るための重要なツールになっていることは間違いないだろう。内容
が戦争に関することでなければバラエティ番組だと思わせるような、非常に友好的で親しみやすい話し方である。こ
のセリフは最初のシーンで登場する。第一印象は作品全体のイメージに繋がる大事な要素である。「戦争に関するス
トーリーではあるが、あまり暗い気持ちで見なくても大丈夫ですよ」と伝えているのかもしれない。ラジオは話し方
ひとつで伝わるものが全く変わってしまうのだ。 主人公は戦争という非友好的な手段によって自らの命や自由を国に捧げた兵士たちに、ラジオという友好的な手段
で歩み寄っている。政府は彼を「兵士の士気を高めるため」という理由で派遣したが、彼自身はそのような目的で出
向いたのではなく、戦争のくだらなさや無意味さ、さらには国の指揮官たちの考え方がまちがっていることを現地の
兵士たちに伝えたかったのではないか。 少尉:おかしいのは好き!コメディとユーモアで笑おう。警察やコーヒーではなく。さらに選曲はあくまでノーマル
に。粗野はダメ。放送用に選定されてるのは――ウェイク、ネイバース、マントバーニ。 クロナウンア:パーシー・フェイス。 少尉:いいぞ。アンディ、ペリー・コモ シナトラはバラードだけ。 クロナウンア:ボブ・ディランは無理? 少尉:論外。 ここでは番組内で使用する曲が制限されている。ロックやフォーク、R&Bなどは禁止され、クラッシックやオーケ
ストラ演奏曲が推奨された。さらに制限は放送内容にまで及ぶ。 サイゴンの米軍首脳部はマクナマラ国防長官に―
―駐留軍認可を要請。現兵力を40万に増強 というニュースが届くが、検閲で却下されるシーンがある。 クロナウンア:なぜこのニュース読めない? 相棒:許可が出ません。 クロナウンア:検閲制度だ。反米的だ。 相棒:ここは米国じゃない。この話は後で。 クロナウンア:ハエのへみたいなニュースばかり。救いは ハンフリーの議会訪問 しかし童話のタイトルだね。カ
タいこと言うな。 相棒:規則です。 クロナウンア:規則破って我を通すのが男の子。これ何?たまにはぶっ飛べ。人生一度だよ。 彼は自分のDJという立場をうまく利用しようとした。しかし、このニュースを読んだことによって後に上層部から
110 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 厳重注意を受ける。事実を伝えたいという信念と検閲によって伝えられる情報が制限されている現実に挟まれ、抵抗
しきれない自分に苛立つ主人公。それが自らも現地で爆破事件に巻き込まれ危険な目に遭ったことで、より一層戦争
に対する嫌悪が大きくなり信念はより確固たるものになる。 検閲官:我々のチェックなしに読むな。ニュースは正規の手続きで発表される。 クロナウンア:この血はなんだ。ひげそりか?事実を報告する。気分転換だよ。(曹長が現われて)聞いてください。 曹長:公式じゃない。つまり事件はない。 クロナウンア:戦争の真実を隠すのか? 曹長:公式発表されてない! クロナウンア:平和の幻想を植えつけたいのか! 曹長:貴様には無関係だ! クロナウンア:そういうことね。 情報操作によって本土からの不安を払拭しようと必死な上層部の人間たちが生々しく描かれている。軍の不信行為に
耐えきれなくなった主人公は、自身の代名詞であるブラックジョークを用いて間接的ではあるが最も直接的に近い方
法で公共の電波から戦争に対する思いを訴えかけた。 クロナウンア:サイゴン、公式には平和そのもの。非公式には爆弾テロがあり、非公式にジミーの店を破壊。 曹長:やめさせろ! クロナウンア:3人が非公式負傷、2人が非公式死亡。消防隊は非公式に現場へ急行。 曹長:電源を切れ! クロナウンア:ただやはり事実を (電源が切れる) この一連の行動を問題視した軍は主人公からDJの座を奪う。しかし代わりにDJとなった少尉の番組は超がつくほ
ど退屈な自己満トーク。聴取者である兵士たちからは苦情とDJをもとに戻すよう要望が殺到する。数ヶ月間で兵士
たちの心を掴んだ彼らしいトークへの支持は絶大だった。それでも、真実を伝えるという本来の義務を果たすことが
できないのであれば自分が現地でDJをする意味はない、と言って本土に帰ろうとする。だが、戦地へ向かう戦車に
乗り込んだたくさんの兵士たちから大きな歓声を受け、彼らを見送りながら自分のすべきことが何であるのか、何が
できるのかということを考え、そして存在意義を知る。主人公は自分の立場に臆することなく、強い意志を持ってラ
ジオを続けた。だからこそ彼のラジオは現地の兵士たちに愛され、求められたのだと思う。話す内容やその作法によ
ってその人そのものが受け入れられる。つまり、語りは人柄を映すということが言える。 ◆4.「ラジオ・デイズ」の分析 ●作品紹介 ラジオが人々の生活の中心だった監督の幼少時代をもとにしている。祖父母や伯父伯母夫婦などの大家族ひとりひ
とりの日常にはいつでもラジオが溶け込んでいる。それは彼らに貧しくも楽しい美しい日々を与えていた。その生活
の中で起こる数々のエピソードと、華やかなラジオ界を夢見るサリーがパーソナリティになるまでのエピソードがラ
111 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ジオを背景にして描かれている。 ●作品中でのラジオの描かれ方 ž
ラジオで音楽のクイズ番組 ž
家ではラジオをつけっ放しにしている→ながらメディア •
母親の好きな番組 都会の洒落た住宅で優雅な朝食を食べながら夢のような 会話を放送するトーク番組『アイリーンとロジャー』別世界 •
少年の好きな番組 ヒーローが活躍する物語『覆面の騎士』 など、ひとりひとりが贔屓の番組を持っていた ž
学校の先生「ラジオは悪影響を及ぼす」「誤った幻想を与え、人を怠け者にする」 ž
ラジオドラマの中のニュースを本当のニュースと勘違い ž
ラジオ界に憧れを抱く女性、サリー → ラジオ界=華やか ž
真珠湾攻撃の臨時ニュース < 自分のラジオ出演のチャンス ž
多くの聴取者が同じニュースを聞いて被害者の無事を祈る → 一体感 ž
ナレーション:昔ラジオで流れていた音楽やフレーズを聞くと当時の情景が思い浮かび上がる ●分析 この作品は第二次世界大戦を背景としているが戦中とは思えないほど穏やかな時が流れていて、様々なエピソード
の裏にはラジオが存在している。以下のシーンから始まる。 ナレーション:昔々、何十年も前のこと。近所の家に2人の泥棒が侵入。夫婦が映画に出かけた留守中の出来事でし
た。 泥棒A:(電話のベルが鳴る)電話に出るか? 泥棒B:ばかな! 泥棒A:近所が起きるぞ。(受話器をとって)はいよ。 番組司会者:あなたは今、電話帳から選ばれました。 曲名当てクイズ ! 泥棒A:よせやい。 番組司会者:(オーケストラの演奏が流れて)今、演奏している曲名は何でしょうか? 泥棒A:聞こえない。ラジオをつけるんだ!(泥Bがラジオをつけるが何か言ったため)聞こえない。静かに。分か
りそうだ。 ダンシング・イン・ザ・ダーク 番組司会者:正解です!それでは第2問。3問正解なら豪華賞品。この曲です。(演奏が流れる) 泥棒A: チャイ マイ・チャイナタウン 番組司会者:その通り!いよいよ豪華賞品獲得のチャンスです。今度は易しくありませんからね。(演奏が流れる) 泥棒A:待てよ、知ってる。 泥棒B: セーラーズ・ホーンパイプ だ。 泥棒A: セーラーズ・ホーンパイプ ? 112 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 番組司会者:正解です!ニードルマンさんみごと賞品獲得です! 泥棒A:金持ちだ!(ふたりで大喜びする) ナレーション:その夜夫婦は帰宅して盗難にびっくり。被害は50ドルでした。でも翌朝トラックが到着。(大量の
賞品に驚く夫婦) 空き巣に入った家がラジオ番組のクイズコーナーの解答者として選ばれ、電話がかかってくる。そこに居合わせた2
人の泥棒がちゃっかり参加し、賞品まで獲得してしまう。泥棒がラジオに耳をこすりつけ夢中になって問題に答えて
いる様子は、私自身がラジオに聞き入っていた頃を思い起こさせる。まだテレビの普及が一般化していなかった時代
であるから誰もがラジオにかじりついていた時代だ。もし今の時代に同じようなことが起こったら、果たして泥棒は
ラジオ番組からの電話だと気づくだろうか。 現代のテレビ番組と同じように、ラジオ番組も子供に悪影響を与えるという考えがあった。主人公がラジオで放送
されている物語 覆面の騎士 に登場する秘密指輪(もちろん存在しない)を買うために、募金で集めたお金を盗ん
でしまい、学校に呼び出される。 母:この子は毎晩ラジオにかじりついています。海岸へ遊びに行けと言うのですが―― ローン・レンジャー だ、
覆面の騎士 だと 先生:感心せんね。この子にはしつけが必要だ。ラジオもたまにはいいが悪影響を及ぼす。誤った幻想を与えるし、
人を怠け者にする。ラジオでやる暴力的な物語は――少年に害毒を流しとる! まさに現代のテレビと同じ役割を果たしていたことがわかる。子供はラジオで耳にするヒーローを信じ、それになる
ことを夢見る。学校で友達とまねごとをして楽しむ。ラジオが生活の中で重要な役割を果たしていたと言われてもぴ
んと来ないかもしれないが、テレビに置き換えればわかりやすいだろう。戦隊ヒーローに憧れるのは映像上ではなく、
音声上だった。そう考えると、子供に限ったことではないが現代よりもずっと想像力を働かせることができ、むしろ
良い影響だったのではないかと私は思う。 また、そういった非現実を大人達は違う方法で楽しんでいた。 ナレーション:当時、家ではラジオをつけっ放しでした。母がいつも聞いていたこびいき番組は―― アイリーンと
ロジャー です。 アイリーン:お早う。ジュースを頂くわ。 ロジャー:いいとも。昨夜の初日はすばらしかったね。 アイリーン:すてきだったわ。ロジャース&ハートやC・ポーターも来て。 ナレーション:そこは全く別世界です。母が汚れた皿を洗ってるころ、ラジオでは優雅な朝食です。都会のしゃれた
住宅、そこで交わされる夢のような会話。 ロジャー:それでは明日の私たちの話題は――モス・ハートの新作戯曲についてです。 アイリーン:アイリーンと―― ロジャー:ロジャーでした。毎朝私たちと朝食をどうぞ。では、すばらしい一日を。 大家族の食べ終わった食器を片づけている現実。それをラジオから流れる優雅な朝食に自分自身を思い浮かべること
で振り払い、ほんの少しその素敵な気分に浸る。情報が音だけしか得られないラジオならではの楽しみ方である。し
かし、それがゆえに現実とフィクションの分別がつかなくなってしまうこともあったようだ。 113 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ラジオニュース:臨時ニュースです。大統領が非常事態を宣言しました。今ニュージャージーに――数百の謎の飛行
物体が着陸。火星人による全面的な侵略と確認されました。 レポーター:こちら現地です。とても信じられません。人間が踏みにじられ――電線も切られ放送も中断しそうです。 叔母:どうなるの? レポーター:空のかなたにまた新たな編隊が現われました。 ナレーション:空威張りもどこやら、彼(叔母のデート相手マヌリス)は車から飛び出して宇宙人の侵略におび、一
目散に逃げました。ビー叔母さんなど置き去りです。空から怪物が来ると信じてね。 現在であればニュースには音声と共に映像も使用され、報道の真偽を確かめることができる。しかし音声だけとなる
と情報量は少なく、そのまま鵜呑みにしてしまうこともあったようだ。一方で現代社会は情報量が錯綜して真実を捉
えられない。理由は真逆であるのに問題が同じという点が解決の難しさを表しているように思う。 ラジオドラマの内容が戦争の物語に変化したりラジオニュースで戦争の状況が放送されたりする場面もあったが、
娯楽番組を聞いている彼らのいきいきとした表情は戦争が起こっているという現実を払拭するほどだと感じた。家の
中での食事や夫婦げんか、叔母の恋愛話などすべての場面のBGMに必ずラジオ放送があった。それが平穏な雰囲気
を生み出す効果を持っている。そのためラジオが日常世界の不安や苦しみから人々を救っているように感じた。つま
り、ラジオは日常でありつつも時に非日常を生み出し、その変化が人々に安心を与える。当時のラジオは日常に花を
添えるだけでなく、異空間への入り口としての役割も担っていたのではないか。 ◆4.「僕はラジオ」の分析 ●作品紹介 グラウンドの横をよく歩いている知的障がいの少年がボールを持って行ってしまったためにフットボール部員から
暴行を受ける。そしてなぜかフットボール部のコーチがその少年にチームのサポートを依頼する。少年は常にラジオ
を持ち歩いていてコーチに初めて発した言葉が「ラジオ」だったということもあり、 ラジオ と呼ばれるようにな
った。コーチは彼にフットボールの練習だけでなく学校にも参加させるようになるが、批判も多く周囲の知的障がい
に対する考え方に不満を持つ。しかし少年がもつ明るさや人間性にまわりの人々も徐々に理解を示し、ついには高校
の生徒として認められることになる。 ●作品中でのラジオの描かれ方 ž
携帯ラジオを片時も離さない少年 →ひとりのメディア ž
母親からラジオを通じて音楽を教わり、好きになるきっかけに →音楽を発信するメディア、教養のメディア ž
もらったラジオを分解してその動きに感動する ž
フットボールのラジオ中継を聞きながら実際にフットボールをする →同じ場所にいなくても同じ時を共有 114 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ž
クリスマスプレゼントにAMを聞けるラジオをもらって喜ぶ ž
自分をいじめたチームメイトにラジオをプレゼント ●分析 少年は片親で母親が家計を支えているという家庭環境のためにいつもひとりでラジオを持って出歩いている点から、
ラジオはひとりで楽しめる内向的メディアとして表現されていた。それを外に向けるきっかけになったのがフットボ
ールやコーチとの出会いである。コーチは少年に使用していないラジオを譲る。少年はそれを分解し、構造に驚く。 ラジオ:(ラジオを分解しながら)見て! 母:あら。 ラジオ:これ。 母:新しいラジオだね。 ラジオ:ほら。 母:すごいじゃない。さっきの人から? ラジオ:そう、コーチ・ジョーンズ。これ見て! 母:彼はいい人? ラジオ:うん。 少年が他人と関わるようになってから、ラジオの描かれ方も徐々に内向的メディアから外向的メディアに変化した。
それを読み取れるのは、少年が試合会場に行けなかったときに学校のグラウンドでラジオ中継を聞いてゲームの状況
を同じように再現しているシーンだ。 ラジオ中継:試合時間は残りわずか。劣勢だったハナ高は――14対13と1点差に迫っています。マーカムがプレ
ーコール。パスを出した。しかし失敗です。セカンドダウン、最後の攻撃か。ドロープレーか。ミドルを突破 ファ
ーストダウンを取った!フィールドゴール成功なら逆転。残り1分を切った。ボールを キック!外れました!ジャ
ケッツの反撃も及ばず最終スコアはハンプトン14点、ハナ13点。 これは同じ試合会場にいなくても、ゲームをしているという空間の共有が可能であることを伝えている。また、母親
は知的障がいの少年にラジオを使って音楽を教えた。これはラジオが音楽を聴くメディアの王道であり誰もが音楽に
触れられるということと、教養のメディアでもあるということを表している。 この作品は少年が知的障がいを抱えているという設定のため、障がい者との共生がテーマになっているように感じ
た。しかしそのような中でもラジオの存在感はしっかりと描かれており、少年がラジオのある生活によって日々成長
していると感じた。 ◆5.「旅立ち∼足寄より∼」の分析 ●作品紹介 19歳の松山千春は真っ赤なニッカポッカという出立ちで全国音楽フォーク音楽祭・札幌大会に出場し自作の「旅
115 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 立ち」を歌う。そのギャップは観客を大いに惹きつけたが生意気な態度が原因で落選してしまう。しかし彼の才能を
見抜いたのが審査員でSTVラジオのディレクター、竹田だった。なんとかして松山を世に出そうと自社のラジオ番
組に出演させるために企画書を何度も提出することから始まり、周囲の逆風に耐えながら竹田は駆け回る日々を送る。
さまざまな困難を乗り越えながらも人気や名声は瞬く間に広がり、ついには単独でコンサートを開くまでになる。歌
手、松山千春の自伝小説をもとにつくられた作品。 ●作品中でのラジオの描かれ方 ž
有名性獲得のための伝達ツール 松山千春 というアイテムを世に広めるために利用した伝達手段 →ラジオが多くの人々に聞かれている ž
住民にとっての娯楽 公開放送会場にできる長蛇の列 ž
地域密着型ネットワーク 『今週の公開予定』が書かれた大きな掲示板にタイムスケジュールが掲載 →近隣住民の興味をそそる工夫 地元にこだわる松山 ●分析 この作品は言うまでもなく松山千春の軌跡がストーリーの軸になっている。しかし竹田とラジオなしに語ることは
できない。松山に目をつけたのが偶然STVラジオのディレクターである竹田だったため、彼を広めるために用いた
られたツールがラジオだった。しかし、これがもしテレビだったら松山は現在のように有名になっていたかはわから
ない。なぜなら情報を直接受け手に伝える公開放送という手段を用いたからこそ松山の良さが引き立ち、有名になっ
たと考えたからだ。 司会:続いては、今日から新コーナーが始まります。題して、千春のひとり唄。紹介しましょう。このコーナーを担
当する松山千春さんです。さあ、お願いします。(観客の拍手)千春さんは足寄出身なんですよね。 松山:足寄はさ、日本一大きな町なんだ。広さは大阪府と同じくらいでな、でかいべえ。人口1万3千人、牛1万 7
千頭。それが明日な、地図から消えてもだーれも気付かない、そんなところです。(観客席から笑いが起こる) アーティストというよりも、田舎の青年という親しみやすい風貌とトークが観客の心を引き付けたのではないだろう
か。画面上で見るのと実際に自分の目で見るのでは感じるものが違う。それに歌も歌うからラジオを聞いている人で
も耳につく。だから、公開放送は松山千春の名を広めるのにとても有効な手段だったと思う。このように、北海道か
ら有名人を輩出したいという夢があった竹田は、自分を犠牲にしてでも松山千春を世に広めようと奮闘した。 常務:竹田、会社というのはなあ、みすみす損をするようなことには手を出さん。堅物で冒険しない男と言われてる
お前ならそれぐらいわかるだろ。 竹田:松山千春は北海道のヒーローになります。 常務:なんでそんな男にそこまでいりあげるんだ? 116 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 竹田:可能性を感じるんです。それより何より、彼の歌は北海道の大自然を思い浮かばせます。そんな歌い手をずっ
と探してました。会社の金がだめなら自分の退職金を使ってでもレコードを作らせて下さい。お願いします! 常務:お前がそこまでかけてるんなら考えてみる価値はあるかもしれんな。まあ会社にとってはなあ、冒険だがな。 竹田:常務、これは冒険ではありません。 そんな中、ラジオでのみ活動している松山にテレビでの仕事を持ちかけてくる人々が出てくる。 ①
芸能プロダクションのプロデューサーのセリフ 松山君、これからもっといろんな人紹介するからな。あと、テレビにもバンバン露出してもっと顔売った方がいいよ、
顔を。君はフリーの立場なんだから誰に気兼ねすることなく好きなことやればいいんだ。ああどうした、黙りこくっ
て。いつもの調子出てないんじゃないのか。ん?なんでも相談してくれよ、力になるからさ。 ②
他社からの引き抜き A:STVのギャラってたったそれだけ? B:うちならその5倍は出すよ。 A:確かに竹田さんにはいろいろ世話になったかんもしんないけどさあ、君はシングル5万枚売った実績があるんだ
から、竹田さんとはそろそろ潮時なんじゃないか。 B:それに北海道にいちゃあだめだ。やっぱり東京のプロダクションに入らないと。 A:このまま竹田さんにくっついてても仕事のパスマークするだけだよ。これからの時代ラジオなんかよりテレビな
んだから、なあ。早いところ手切らないと竹田さんに飼い殺しにされちゃうぞ。 確かに有名になってしまえば、その後はテレビの方が顔を露出することで覚えられやすい環境にある。しかし、その
代わりの役割を担っていたのが公開放送である。ラジオと聞くと、耳だけで楽しむものだと思ってしまいがちである
が、公開放送があれば出演者を直接見られるし、生歌を聞ける場合もある。出演者に会いたいから公開放送を見に行
く。手が離せない状況ならばラジオで楽しむ。そのときの状況によって受信方法を選べるというのもSTVラジオの
魅力だったと思う。また、松山は地元を離れたくないという想いを強く持っていた。その想いは地域に根差したラジ
オの活動に繋がり、地道な努力によって北海道に名を広める結果になったと感じた。 ◆6.「ラヂオの時間」の分析 ●作品紹介 とあるラジオ局で平凡な主婦の鈴木みやこが脚本を手掛けたラジオドラマが生放送されることになった。しかしそ
の裏で生放送ならではの様々なハプニングが起こってストーリーが次々に変化し、しまいには脚本の跡形もなくなっ
てしまう。これにみやこは抗議するが受け入れられず、ストーリーは進んでいく。ディレクターは彼女のまわりに惑
わされない純粋な姿に心を打たれ、軌道修正をしようと努力していく。 ●作品中でのラジオの描かれ方 ž
ラジオドラマとテレビドラマの違い 117 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) •
SFX(特撮・特殊効果)や CG(コンピュータグラフィックス)が 必要なく、「ここは宇宙だ」と言うだけで宇宙空間にできる •
ž
人間の想像力がある限りラジオドラマは無限 (ラジオドラマでの)生放送のおもしろさ •
アドリブ ハプニングからの放送事故を防ぐためにその場を繕う •
スポンサーとの関係 スポンサーのイメージを悪くしない番組づくり •
キャストのわがまま 配役に不満をもち、より目立たせようとする ž
音のみでモノを伝える •
機械に頼らずあるもので音を作り出す ●分析 この作品はラジオ局が舞台になりストーリーの中心にラジオドラマがおかれてはいるものの、ラジオドラマを放送
する舞台裏にスポットライトがあてられ、そこで起こるハプニングを視聴者に伝える道具としてラジオドラマが使用
されている。つまりラジオそのものが映画で使用されているわけではないので、ラジオがストーリー内で影響を及ぼ
しているようには感じられなかった。よって「ラヂオの時間」は研究対象外とした。 ◆6.まとめ 全体の共通点としては、①日常に華をそえる効果がある、②人と人を結びつける役割がある、この2点だと結論
づけた。まず①について、「ラジオ・デイズ」「グッドモーニング ベトナム」のようにラジオを聞くことによって、
日常を忘れて異世界にいるような気分になれる場合と、「旅立ち∼足寄より∼」のように実際に新しい世界へ飛び込
むきっかけになる場合がある。だが、どちらの場合もラジオの存在が普段の生活に変化をもたらしている。作品によ
ってラジオの存在感の大きさはさまざまであったが、作品中でいかにラジオが重要な役割を担っているかがわかった。
②については、ラジオを通じてさまざまな言葉・想いを伝えることで人々がつながっていく様子がよく描かれていた。
メールやインターネットによる簡易コミュニケーションが常態化している今の時代で、私たちが失いかけていた本当
の「伝えることの大切さ」を教えてくれている。ラジオが描かれている映画を見ることによってコミュニケーション
の 原点 に立ち戻ることができるはずだ。 ラジオにはどんな作用があるのだろうか、そんなことを考えながら映画を見るだけでいつもと違った見方ができ
る。新しいメディアが続々と世を席巻していく中でも、ラジオが持つ魅力をもっと伝えていければ興味を持つ人も増
えていくのではないだろうか。今後もより多くの作品を見て、自分の考えを深めていきたい。 118 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 第6章 インターネットに溶けるラジオ 小川 洋平 1 Yohei OGAWA
中京大学現代社会学部現代社会学科 3年生(2011年度) 119 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ◆1.はじめに まず結論を書いてしまうと、インターネットを利用してラジオが往年の勢いを取り戻すことは無いと思われる。イ
ンターネットは既にラジオを一コンテンツとして飲み込んでしまった。ただ、転じて言えばインターネット上にラジ
オがコンテンツとして生きる道はあるということである。以下にラジオが隆盛できない理由とインターネットに馴染
んだとされる事象を述べていく。 ◆2.ラジオは再浮上できるか? 今、人々の趣味・価値観は細分化している、かつての国民的ブームや国民的アイドルというものは存在していない
に等しい。特に若者の間でブームと言ってもそれは、人によっては辛うじて名前を知っている程度のものでしかない。
もちろん、それは魅力的なコンテンツが無くなったからではない。むしろ、魅力的なコンテンツが増えすぎて、個人
がその魅力的なコンテンツ全てを追いかけるには体も時間も足りないために、より自分の趣味にあったコンテンツを
選択して専門的に打ち込む必要性が出てくる。(無論、浅く広くコンテンツを楽しむ人もいることは否定できないが、
それにしたって世の中には楽しみが多すぎる。)究極的には個人の空間であるインターネットはそれを助長している。
その中で、ラジオが再ブームを巻き起こすのは難しいだろう。多種多様な価値観・趣味が存在し、専門にしている人
がいるということは、確実にある種のコンテンツには需要があるということだ。そのいった人たちを引き付けるには、
その種のコンテンツを題材にするだけではダメで、宣伝して見ようとする気にさせることが必要である。『わざわざ
ラジオを聴く』それだけの事をさせるのも他の娯楽が転がっているインターネット上では大変なアピール力が必要な
のである。そして、聴取者の減ったラジオにそこまでの力は無い。ただし、元々、ラジオが好きな人はインターネッ
トラジオにも時間を使ってくれる潜在的な可能性はあるので、インターネットラジオがその魅力を示せるのならラジ
オ好きにとってひょっとしたら本来のラジオ以上に魅力的なコンテンツとなるだろう。 ◆3.ラジオは保守的なメディアか? ラジオというメディアは少なくとも現在は主流のメディアではない。その地位は現在テレビ及び、急速に普及して
きたインターネットに今はあるだろう。古いメディアは保守的かつ保守化していくと言われる。新聞は間違いなくそ
うだし、テレビは黎明期に比べれば、規制も進み、過激な番組は少なくなっている。それとは逆にもっとも新しいメ
ディアと言われるインターネットが革新的であり次々と新しい試みが成されているのは疑いない。 では、ラジオはどうか? ラジオはテレビよりもずっと古いメディアである。新聞よりは新しいが、現在の高齢者
以上の年代の人が幼いときから、ずっとずっと長くラジオは日本のメディアの主役だった。だが、前述したようにラ
ジオは主流のメディアの座を既に失って久しい、そのために、ラジオは生き残りのために洗練・先鋭化され、よりニ
ッチなニーズを開拓する必要に迫られた。そのために、ラジオは旧きメディアでありながら革新的な活動をしている
120 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) メディアとも言えるだろう。 その結果が、活動の場をインターネットに移しての、インターネットラジオである『radiko』やアニラジなのだろう。
厳密に言えば、サイマルラジオやアニラジなどは番組を電波で飛ばしているわけではなく、インターネット回線で提
供しているので、いわば、ラジオ風コンテンツではある。特に、通常のラジオと兼業しているわけでもなく、完全に
インターネット上限定のものが多いアニラジなら尚更である。そのアニラジはラジオの弱みであって強みである映像
が見られないという欠点を長所として最大限に生かしている。(声優はキャラになりきれるし、言葉だけでシチュエ
ーションも自由に設定できる。)ラジオという設定を上手く利用しているともいえる。また、それこそ音楽中心のコ
ンテンツ構成でもラジオの名である、ラジオ=ミュージックのイメージはネット上でも通用するようだ。 また、ラジオは他のメディアに比べれば、ずっと低コストで運営できるメディアである。それは実際に電波を飛ば
さずインターネット上でラジオ風のコンテンツを提供するだけなら尚更である、参入と運営のしやすさはよりラジオ
がこれからも多種多様になっていくことを示す。もちろん、インターネット上の自己表現の方法はラジオ発信が一番
手軽というわけではない、文章表現の方がより手軽であるし、主流でもある。しかし、言葉で語る方が得意な人もい
るし、ラジオという形態でこそ引き立ちうる表現もある、そういった中でラジオは音声メディアとしての魅力を遺憾
なく発揮できる道具でもある。 ただでさえ、インターネットは自由の空間である、それに個人運営が加わるとなればもはや何でもアリである。お
そらくラジオ風のコンテンツだけなら探しきれないほどに存在し、多種多様なニーズに答えている。もちろん、これ
を持って、インターネットにおけるラジオの隆盛という訳ではない、インターネット上のコンテンツならそれこそ星
のように存在し、もともとインターネットはその時流行流行の物はあったとしてもそれが全体に飛び火して盛り上が
るケースはまず無いからだ。それこそ、サイト内だけのブームはいくらでもある。そのような細分化されているのが
ネットであるからだ、だが、ラジオ風コンテンツがインターネットに受け入れられたコンテンツであることは否定し
ようが無い、インターネットラジオが消えないのは、インターネットラジオは一過性ブームなどではないことの証明
でもある。 ただ、比較的簡単に個人で製作されるということはチェックが無いということでもある。早い話が二人が趣味につ
いて喋っているだけのものであっても、ネット上でラジオとされることもある。多くのものがあるということは玉石
混合ということでもある、面白ければ問題ないという考え方もあるし、多種多様な価値観があるだろうが全体の質と
言う点では統制されたメディアの方が言うまでも無く上となる。 もちろん、旧来からの電波のラジオは、音楽・トークを主流とした番組も存在する、これらも常に一定の需要があ
るからこそ、生き残ってきたのである。だが、主流を外れたことで特に若い人になるほど、ラジオをあまり聴いたこ
との無い人も多い。だからこそ、若年層には新しいメディアとしてラジオをアピールして伝える必要があるのではな
いだろうか。ラジオは多種多様な需要にこたえられるメディアである、全体的に多趣味傾向にある若者を取り込めな
いはずはないのである。将来テレビは衰退するとも言われている、テレビはテレビであるが故の皆で見るという習慣
のアドバンテージから、家族という存在がなくならない限り、おそらく主流を離れるほど廃れるとは思わない。だが、
テレビの影響力が幾らか減り、聴取者が別のメディアに目をむけたそのときラジオはテレビから零れた聴取者をある
程度汲めるのではないだろうか。そしてそのニーズに答えられるなら間違いなくラジオは革新的なメディアのはずで
あり、これからのメディア世界の中を生き抜いていくことは可能だろう。 121 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ◆4.ラジオ形式の特徴 ラジオはインターネットラジオという形態を持って、インターネット上にも展開している。そのために、既に技術
的には通信電波を使って発信しているわけではないので、ラジオとは言いがたい、ただし、既に前項でも触れたとお
り、ラジオ形式というものは既にインターネット上で広く使われており、電波を使っていないからラジオではないの
ではないかといった類の無粋な、あるいは純粋な質問はまずでない。それは介するもの(メディア)が電波であって
も、インターネット回線であっても、聴き手にとっては結果であるラジオ番組に違いはないからだろう、媒介するも
のの違いはどちらかと言えば作り手にとっての問題であり、コンテンツの内容自体は本質的に変わりないためである。 それでもなお、両者のコンテンツの中でラジオとインターネットラジオの違いを挙げるとすれば、最も大きな違い
は時間である。これは聞き手がいつ聞くかの違いでもあり、どれだけ長いコンテンツを作っても良いかの両方の意味
での違いである。 通常のラジオはリアルタイムの時間で行うため、挨拶やひょっとしたら時事的なニュースを流すこともあるかも知
れない。そして、前後の番組との時間配分も考慮してコンテンツが組まれている。そのため、よほど、掘り下げたい
話題であっても多く時間を取ることは難しいし、番組が延長されることも少ない。しかし、インターネットラジオだ
とコンテンツを小分けにして配分することも可能なので、極端に長い番組や極端に短い番組も作られる、また、人気
があるからということでコンテンツの延長がその場で決定されるといったこともある。(それも演出かもしれない
が)また、アニラジだと、その番組自体が一種のコマーシャルのため CM が入らないことがある。こういった傾向は個
人発信であったり、ラジオを主にしていないものであるほど、その傾向はより強くなる。そういったある種時間的自
由、タイムスケジュールから開放されたコンテンツであり、また聴く側も、同じ番組であっても聴きたいものを選別
できるため、好きなものを好きなだけ発信できる自由、好きなものを好きなだけ聴ける自由こそが、インターネット
ラジオ特有の特徴と言っていいかも知れない。そして、その自由はインターネットを余暇として使用する人の需要に
マッチしている。 ◆5.インターネットラジオの多様性とは 良く言えば多様性があり、悪く言えば雑多だとされるのがインターネットラジオ、特に主要なコンテンツであるア
ニラジの特徴である。 アニラジは個人でやっているものではなく、少なくともスポンサーが存在し、核となるテーマがある。その核とな
るテーマは文字通りアニメであったり、人気声優であったり、あるいはゲームであったり、その複合であったりする。
(特にゲームがアニメ化し、人気声優が演じるパターンなど。)珍しいケースでは企業そのものがテーマであったり
もする。それは、そのテーマが好きな人、そのマニアックな趣味を更に満たすために使われているとも言える。勿論、
そのマニアックなテーマを企業がスポンサーとなり、行っているからには営利が絡んでいるのではあるが、少なくと
も需要があり、利益が見込めると思っているから行われるのであり、後々の商品展開が見込めるものがテーマになっ
ているとも言える。 122 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 間違っても、商業展開が打ち切られたコンテンツはアニラジとしては成立しないわけで、アニメという世間から診
ても狭い範囲の世界であっても、その中である程度でも流行らなかったものはラジオとしても生きていけないという
ことになる。その意味では、ラジオの多様性というのは何でもあるといった類のものでなく、テレビや現実のブーム
と大して変わらないのかもしれない。ただし、唯一つ決定的に違うのは自分で発信できる場があるということである。
注目されていないコンテンツでも自分でテーマを作ってしまえて発信できることがインターネットラジオの世界では
比較的容易である。実際に行うかは別としてその選択肢があり、また実際に実行している人はいるというのは、ラジ
オの多様性として特筆すべき点である。 ただ、実際に特定のテーマは深く取りあげている個人ラジオはさほど無く大多数の個人ラジオは広く浅くが大多数
であることは注意しておきたい。 ◆6.最近のラジオ 最近、ラジオはインターネット上で新たな試みを見せている。それは、もちろん、昨日今日の話ではなく、数年前
からラジオ好きの中では話題には上がっていたとされるのは、『rajiko』である。 日本のラジオ放送をインターネット上でも聞けるようにするこのサービスは、2011 年 3 月から中京地区でも開始さ
れた。ただ、惜しむらくはこの rajiko、ラジオ電波でも本来聞けるはずの地区でしか聞くことができない。これは技
術的問題などではなく、言ってしまえばラジオ業界の権利のしがらみの問題であり、理解はできるのだが、その他の
サイマルラジオなどは全国どこでも地域関係無しに聞けるものもあるだけに、残念と言わざるを得ない。地域が違う
人気の番組を聞くのを楽しみにしていたラジオファンは少なくないと思われるだけに尚更である。 そんな、rajiko だが、注目される出来事があった。それは主に東北に被害をもたらした東日本大震災であり、この
ときは緊急用メディアとしてラジオが再注目され、rajiko も特別復興のためのサイトを立ち上げるなど、サポートに
回った。テレビではカバーしきれない被害を報道し、そのための避難指示や炊き出し、避難区域の伝達など、草の根
の FM コミュニティーなどが大いに活躍したとされる。 そんな rajiko であるが、今もなお試聴可能区域を徐々に増やし全国に向けて広げている、どちらかと言えば、rajiko
はインターネットラジオというよりは電波ラジオの番組をインターネット上にも流している呈ではある。しかし、そ
れも含めてインターネットラジオとできる土壌の深さこそがラジオの無限の可能性を生み出しているのかもしれない。 また、最近のメディアとしては Twitter との連携も見られる。例えば、NHK ネットラジオ『らじる★らじる』では公
式アカウントをフォローすることでお勧めの番組を時間ごとに告知している。こういった新しいメディア利用にも積
極的である。また、人気のラジオパーソナリティがブログやツイッターをはじめる例はますます増えて、またラジオ
局のサイト内でもユーチューブやポッドキャストなど他のメディアとのコラボを推奨したり、田メディアとの繋がり
はより増えているといえよう。 また、ニッポン放送では、ラジオショッピングとしてラジオ CM 内で紹介された商品を購入できるシステムを構築す
るなどこれまでに無かった新たな試みも成されている。 123 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ◆7.インターネットの中の地域メディア 人は住む、育った地域によって価値観が異なるし経験が異なる。生まれた場所が日本とアメリカなら環境がまるで
違うのだから当然だ。日本国内でも、例えば田舎生まれだとか、都会生まれだとかで環境は違うといえよう。インタ
ーネットは少なくとも同じ言語帯においては、地域差の少ない均質化された、よく言えば平等化された空間であるが、
悪く言えば無機質で冷たい空間である。その中でもラジオはインターネット上にあっても、地域を色濃く反映したメ
ディアであり、インターネットの世界において自らの地域と密接に関わっているコンテンツとしてラジオが再評価さ
れることもあるのではないだろうか。これはネットから通常のラジオに対してのアピールポイントであり、インター
ネットに密接になりつつあるラジオの珍しい点と言えよう。 ◆8.検索サイトで見るラジオの注目度 はじめに断っておくが、検索サイトの検出数は同じサイトの別項目を参照していたり実質的には同じものを重複し
てカウントしていたりするため正確ではない。また、検索機能上短ければ短いほど多く検出され、またアルファベッ
トであると、英語圏のページも含まれるために大幅に増える。そのため、日本語のみに限定している。以上のことを
踏まえて目安として欲しい。他検索サイトでも調べたが、大きな違いは感じられなかったので、今回は Google のサイ
トを使わせていただいた。 Google の 検索による検出件数 ラジオ 約 137,000,000 件 テレビ 約 604,000,000 件 新聞 約 723,000,000 件 雑誌 約 369,000,000 件 インターネット 約 517,000,000 件 インターネットラジオ約 12,500,000 件 ネット 約 806,000,000 件 参考:ポケモン 約 61,400,000 件 (単語としては非常に多い部類。) TV 約 9,770,000,000 件 (英語圏ではテレビジョンという意味は無い。) t 約 23,960,000,000 件 (アルファベットは基本的に膨大。) twitter 約 11,550,000,000 件(英語圏のページ数もカウントしているため。) 124 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) これを見るとラジオはいわゆる 4 大メディア(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)の中では、検出数が一番低いことが
わかるだろう。ちなみにテレビより新聞の方が、検出数が多いのを意外に思われるかも知れないが、ネット上では、
ニュースサイトの文章がソースとして引用されることが多い上に検索サイトに直接引っかかる文字文化である新聞・
雑誌は有利である。そもそも文字自体を検索される関係でインターネットはネットを含め略称が多く文字数が多いこ
ともあり、参考記録となる。 それは、さておき、4大メディアの中でも検出数が少ない=注目されていないということであるが、それはまあ他
メディアとの比較であって、やはり 1 億を越える検索数は十分に大きな数字である。勿論、その検出数の中には、ア
ニラジとか、インターネットラジオだとかニコニコ生放送の個人ラジオ等、狭義の意味では本来のラジオではないも
のも含まれているわけだが、テレビは厳密なテレビ番組しか テレビ としか扱われないのに対して、それらを引っ
括めて ラジオ と言えるのがこれからのラジオの強みなのではないかと私は思う。 ちなみに、このインターネットラジオの検索結果、このように文字数が長い単語としては異例の検索数と言える。
インターネットラジオが浸透している証拠とも言えるものだろう。これからの潜在力共々、ラジオ自体もインターネ
ット自体も魅力的なコンテンツが注目される土壌は十分にあるといえる。しかし、土壌があってもそれ以上の新規獲
得は新しいラジオの形が出ない限りはそれ以上の伸びは望めないということでもある。インターネットは注目される
コンテンツはより、それそのものが注目される契機になる、インターネットとラジオのためにも新たなラジオの魅力
を発見される必要があるのかもしれない。 ◆9.総論 インターネットの中でラジオは一コンテンツとしかされない。それは、かつて国民的メディアであったラジオの姿
としてはあまりに寂しいと思われるかも知れない。だが、趣味・価値観の細分化は既に起きてしまった過去であり避
けられないものである。だが、インターネット上にあってもラジオの本質は変わるどころか、それまでのラジオを維
持しつつアニラジ・ネトラジ等の新たな文化を登場させるに至った。かつての大メディアとして浮上することはかな
わないだろうが、インターネット上に輝き続けるラジオの新たな試みを見ることができるのは間違いないと断言でき
る。それは、既にラジオが水に溶けるように、インターネット上に溶け落ちて馴染んでしまったからである。そして、
ラジオはネット上で従来のラジオの枠を超えた、新しい文化を築き続けていて、その多様性はインターネットラジオ
という媒体の中でもう一つのインターネットが広がっているかのようである。 125 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 126 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 【特別寄稿・卒業論文】 第7章 ラジオCMとは スポットCMからみる声の世界 村上 美緒 Mio MURAKAMI
中京大学現代社会学部現代社会学科 4年生(2011年度) 127 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ※この研究は、2010 年度の社会調査研究において、著者が「ラジオCM論 良いラジオCMとは何か 」を卒業研究
として発展させたものである。ラジオ研究の継続ということで、本報告書に掲載することとした。(担当教員) ◆要旨 最近は、過去のテレビ CM をまとめた DVD が発売され、また動画サイトが発達したことにより昔は困難だったテレビ
CM の収集が容易になった。そのことによりテレビ CM の研究はされるようになってきた。しかし未だラジオ CM の研究
はほぼされていない。本論文ではスポット CM に的を絞り、ラジオ CM 研究とは何に注目するべきなのか、どのように分
析するのか、まずはその枠組みを考えてみたいと思う。 第一章では昨年私が研究したデータをもとに構成からみえるラジオ CM の分類を考え、第二章では「語り」に注目し
た分類を考える。 ラジオは音だけのメディアである。声と音楽と効果音だけで聴衆者にイメージをふくらませさせる。音の使い方に
特化したメディアである。広告業界は厳しさを増している。民間放送である限り、広告収入がないとラジオ局でも潰
れてしまう。Radiko の本格放送も昨年から始まり一年余り。今後のラジオ業界をも見据える第一歩、半歩にでもなれ
ば良いと思う。 もくじ 第 1 章 分析の手掛かり 第 2 章 新たな分類の仕方∼「語り」の文法 2-1. 語りの文法「読み上げ口調」「呼びかけ口調」「語りかけ口調」 2-2. 語りの文法と、「人間距離」「コミュニケーションの文体」 2-3. 語りの文法と放送されているラジオ CM 2-4. 語りの要素「速さ」「高さ」「間」 第 3 章 まとめと今後の課題 3-1. 音の世界を文字の世界に表す難しさ 3-2. 本研究結果と今後の課題 128 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ■第 1 章 分析の手掛かり ラジオ CM を研究するにあたって、まずぶつかった壁は先行資料のなさだった。何を基準に分類すればよ
いのか、全てが手探りだった。 昨年の個人研究では「良いラジオ CM とは何か」というテーマで以下の項目に注目した。 ①
音楽(歌・BGM) ②
効果音(SE) ③
出演者の人数 ④
伝えたい情報の位置 ◆1-1.現状からみたラジオ CM の特徴と優れた CM の条件 まず放送されている CM からその特徴を見いだすことによって「良い CM」とは何か考えていくこと
にする。 調査対象:FM愛知 期間:平成 23 年 2 月 7 日(月)5 時∼29 時の 24 時間 方法:録音/番組・CM表作成 ⇒別紙資料参照 平成 23 年 2 月 7 日(月)5 時∼29 時の 24 時間の間に放送された CM は 305 本。 平成 23 年 2 月 7 日(月)5 時 29 時の 24 時間の間に放送された CM は 305 本。そのうち、BGM が使
用されているものは 270 本であり、約 89%もの CM に BGM が使用されていた。それに対して SE は 40 本
と予想に反して少なかった。また、出演者は一人が 169 本で約 55%、二人が 93 本で約 30.%、三人が
38 本で 13%、四人が 4 本、5 人以上が 2 本となり、出演者一人の CM が半分を超えた。 図2 図1 129 図3 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 図4 続いて、④伝えたい情報の位置である。
引きつけ力(小)
最初から最後まで伝えたい情報のみを伝
えている CM(伝達型 CM)が 305 本中 221
情報量(少)
・後だしCM
・小出しCM
本で約 73%。続いて、始めは宣伝したい
・論文型CM
ものとは関係ないまたは関係があっても
直接的な宣伝にならない情報を述べ、最
引きつけ力(大)
情報量(多)
・伝達型CM
後の最後で重要な情報を述べる CM(後だし CM)が 65 本で 21%。この二つで約 8 割を占めており他
は、途中から大切な情報を徐々に述べていく CM(小出し CM)が 13 本で約 4%。最初と最後に大切
な情報を述べる CM(論文型 CM)が 6 本で約 2%であった。 また、番組の宣伝や局主催のイベント、コンサート情報などのほとんどは伝達型 CM である(伝達
型 CM221 本中 89 本)。伝達型 CM は伝えたいことだけを発信するため、情報量が多く、伝えたい情
報をたくさん伝えることができる。しかし単調になりやすく耳に留まりづらい。それに対して後
だし CM は最初にインパクトを与えたり、気になるシチュエーションを演出したりすることで、リ
スナー(聴衆者)を引きつけることができる。しかし情報量が少ない上に失敗すると最後まで聞
(図5 いてもらえなかったり、最後まで聞いていても大切な情報を聞き逃してしまったりする可能性が
ある。この間を取っているのが、小出し CM と論文型 CM である。しかし小出し CM ではリスナーを
引きつける力が落ちる上に情報量も伝達型より少ない。論文型も最初と最後に大切なことを述べ
るためわかりやすくはあるが、その分だけ耳に留まりづらくなってしまう。この点から考えると
良い CM とは「情報量」と「引きつけ力」のバランスの良いものなのではないだろうか。 また、CM は基本的に5つの形式によって分類することができる。 (1)読み上げ形式 (2)語りかけ形式 (3)歌形式 (4)列挙形式 (5)ドラマ形式 130 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) (1)読み上げ形式とは伝達型 CM の中でもフォーマルな文体で話されていて、一から多に向けてのコミュ
ニケーション方式をとっているものである。局主催のイベント、コンサート情報に多く見られ、CM の
出演者が一人で BGM が使用されていうことが多いことも特徴である。例えば、民放FM同時生放送ライ
ブの CM(図 6)や NTT 西日本の CM(図 7)。 続いて(2)語りかけ形式では、読み上げ形式と比べてより親しみを込めた略式の文体が使用されている。
一対多というよりは、一対一のコミュニケーションに近い印象を持つ。例えば、株式会社 TOP の CM(図
8)。この形式は伝達型 CM に限らず、小出し型、後だし型、さまざまな形をとる。 (3)歌形式とはその名の通り CM の大部分が歌によって占められているものである。伝達型でも歌にの
せて伝えているので、耳に残りやすい。例えば、キャッシングのユニーファイナンスの CM(図 9)や AC の
あいさつ(図 10)の CM など。 続いて(4)列挙形式とは、こんな時はこれ、あんな時はそれ、のように事例を挙げてイメージさせる手
法を使用した CM。関連した事例を挙げて最後に商品名や企業名をあげる場合が多いが、まさかのどん
でん返しもできる形式である。例えば NDS ソリューション(図 11)や東海東京証券(図 12)、ブルボンのア
ーモンドラッシュ(図 13)の CM など。 そして、(5)ドラマ形式。これが一番想像しやすいと思うが、背景やキャラクターの設定があり、ラジ
オドラマ形式になっている CM のこと。例えば、ワンダモーニングショット(図 14)や森永のチャリチョ
コ(図 15)、聖教新聞(図 16)などの CM で使われている。2,3 人以上の会話を中心としたものが多いが、
一人での回想シーンのように出演者が一人の場合も多い。背景や情景をイメージさせるために BGM や SE
が使用されることが多い。 <同時生放送ライブ>
BGM
↓
ナレ(男)
↓
↓
↓
↓
0:00:20 ↓
図6 3月20日、全国の民放FMが一つになる
スペシャルライブ番組の同時生放送が決定。
「全国民放FM&KDDI present
MEET THE MUSIC LIVE with Superfly」
只今レポーターを募集中。
詳しくはお聞きのFM局のホームページをチェック。
①読みみ上げ・伝達型 CM 131 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) <NTT西日本>
BGM
↓
↓
↓
↓
↓
0:00:20
ナレ(女) NTT西日本では愛知、岐阜、三重、静岡の東海四県で
「さあ光はじめようキャンペーン」を実施中。
詳しくはNTT西日本フレッツ光地域別キャンペーン
ホームページもしくはFM愛知ホームページのバナー
からアクセスしてください。
《NTT西日本》
図7 ①読み上げ・伝達型 CM <株式会社TOP>
BGM
↓
↓
↓
↓
↓
↓
0:00:20 ↓
ナレ(男) nobodyknows+のHIDDEN FISHです。
地元名古屋の会社を元気にする会社、株式会社TOP
をみんな知ってますかー?
CSフォン、ファックス、プリンター、セキュリティ、
みんなまとめて株式会社TOPに聞いちゃって!
nobodyknows+と株式会社TOPで名古屋の大須を
熱くするぜー!
図8 ③語りかけ・伝達型 CM <キャッシングのユニーファイナンス>
歌
♪キャッシングのユニーファイナンス∼
↓
ナレ(女) お問い合わせは
↓
♪0120 2929 57
↓
ナレ(女) 上限金利17.5%にダウン。
↓
♪ありがとね∼よろしくね∼
↓
♪キャッシングのユニーファイナンス
↓
ナレ(女) ご利用はご計画的に。貸し付け条件などをご確認
0:00:20 ↓
ください。
③歌・伝達型 CM 132 図9 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) <AC・あいさつ>
歌
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
0:00:40
女1
女2
女3
男1
女4
女5
男2
男3
女6
女7
♪こんにちは
こんにちわん
♪ありがとう ありがとうさぎ
♪こんばんは
こんばんわに
♪さよなら
さよならいおん
♪魔法のことばで楽しい仲間がポポポポーン
♪おはよう
おはよううなぎ
♪いただきます
いただき、ます
♪行ってきます
いってきますかんく
♪ただいま
ただいまんぼー
♪ごちそうさま
ごちそうさまんさ
♪おやすみなさい
おやすみなさい
ナレ(女) あいさつするたび友だち増えるね。
《AC》
図10 ③歌・後だし CM <総合人材サービスNDSソリューション>
女
職場の環境を重視したい、あなた。
男
プライベートな条件が譲れない、あなた。
女
経験がないけどチャレンジしたいごとがある、あなた。
男
身近に相談相手が欲しい、あなた。
BGM
↓
0:00:20 SE
ナレ(男) さっそく、人材派遣登録してみませんか。
人を大切にする企業です。
総合人材サービスNDSソリューション
図11 ④列挙・後だし CM <プレミアハウス:東海東京証券>
BGM
ナレ(女) 例えば、お客様のあらゆるニーズに最適な
↓
ソリューションでお答えすること。
↓
例えば、お客様のライフステージに合わせた
↓
質の高いサービスをご提供すること。
↓
↓
ナレ(女) ようこそ、プレミアハウスへ。
0:00:20 ↓
私たちは東海東京証券です。
④列挙・後だし CM 133 図12 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) <アーモンドラッシュ:ブルボン>
桐谷美鈴 アーモンド、切りマッシュ、入れマッシュ
アーモンドラッシュ。
パリッ
オシャレッシュ、開けマッシュ、(ES)食べマッシュ
パリッ 3
アーモンドがラッシュ(ES 3)
ナレ(男) 風味がラッシュ、触感がラッシュ。
板チョコに初めてアーモンドがラッシュラーシュ!
桐谷美玲ちゃんも初めてラッシュラーッシュ!
ブルボン アーモンドラッシュ。
図13 0:00:20
桐谷美鈴 ベリーナイッシュ。
④列挙・小出し CM <これでもか!朝専用!!ワンダモーニングショット:アサヒ飲料>
BGM
課長
君のぬくもり、はぁ。あったか∼い。
↓
ずっと包まれていたいんだ。
↓
もう僕は君を離さない、離さないよ
女
課長、毛布にくるまってないで仕事してください。
課長
はーい
缶を開ける音
BGM
ナレ(男) さむーい季節にホットな一杯。
↓
これでもか!朝専用!!ワンダモーニングショット。
0:00:20 ↓
⑤ドラマ・後だし CM 図14 <チャリチョコ:森永>
BGM
↓
0:00:20 BGM
男
あ、またチョコ食べてるー。
女
チャリチョコよ。
ナレ(女) 今、ダースなどの森永チョコレートを買うと
カカオの国の教育支援に寄付されます。
女
チャリティだから、チャリチョコ。
男
じゃあ一粒俺に寄付しない?
女
甘いわよ、チョコだけに。
図15 ナレ(女) 森永ダースでワンチョコforワンスマイル
⑤ドラマ・小出し CM <聖教新聞>
BGM
↓
↓
↓
0:00:20
男
《聖教新聞》
テンションが下がってめげていた時、先輩が言った。
「どんなに小さなことでもいい、うまくいった時
のことを思い出してごらん。」
その言葉に励まされた。元気とやる気が出た。
《聖教新聞》
図16 ⑤ドラマ・論文型 CM 134 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ◆1-2.CM コンテスト受賞作品からみる「良いラジオ CM」 全日本シーエム放送連盟/編集(2008)『ACC CM 年鑑 2008』宣伝会議 調査対象:2007 47th ACC CM FESTIVAL 入賞作品 40 本 ①.BGM(音楽)の有無 ②.SE(効果音)の有無 ③.出演者の人数 ④.伝えたい情報がいつ入っているか に注目した。 図17 図18 図19 まず①BGM の有無である。先に挙げたFM愛知の分析では 9 割近くの CM に BGM が使用されていた
が、ACC フェスティバルで受賞した作品 40 本のうち BGM を使用しているのは半分の 20 本であった。
「音」しかないラジオだからこそ音楽が重要だと考えていたが、必ずしも音楽が入っている CM が
優秀であるわけではない、ということがここからわかる。 次に②SE の有無。これは BGM とは対照的に 40 本中 24 本が使用しており、約 60%であった。
FM愛知分析では 13%と低かったのに対して半分以上の CM が効果音を使用している。これは
ドラマ形式やその他情景を想像させるような CM が多いことも影響しているように思われる。
「良い CM」の特徴の一つとして挙げられるのではないだろうか。 続いて③出演者の人数。一人が 11 本で 27%、二人が 12 本で 30%、三人が 13 本で 33%、四以上
が 4 本で 10%であった。これも 24 時間分析と比較すると大きな違いがある。前者では半分以上が
出演者一人であったのに対し、受賞作品では全体の 1/4 程度である。出演者が二人である割合はど
ちらもほぼ同じであるが、一番多いのが出演者三人という点は注目すべきであろう。必ずしも出
演者が多ければ良いというわけでもないが、「かけ合い」のある CM が多く評価されているようで
135 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ある。出演者が一人である作品が劣っているわけではないが、その場合にはより構成や台本の面
白さが必要となるようだ。 図20 そして④伝えたい情報の位置である。FM愛知の分析では 73%もあった終始伝えたい情報を述べ
る CM は、受賞作品では 40 本中 2 本の 5%であった。その上この際の「終始」というのもただ情報
を読み上げる形ではなく、「テレビ CM をナレーションする」(図)という形や「広告代理店の人が
企画を説明する」という形での間接的宣伝である。ゆえに、先の分析で挙げた「伝達 CM」の伝え
たい情報のみ伝えるという特徴には当てはないが、情報量を多く伝えられる点は一致いる。先程
述べた「情報量」と「引きつけ力」両方に特化した素晴らしい CM だと言えよう。 また受賞作品では、最後に伝えたいことを述べる「後だし CM」が 40 本中 24 本の 60%であった。
FM愛知の分析では 24%であったのに対し、全体の半分以上を占めている。何の CM だろう?と興
味を引かせて最後に「なるほど」と思わせる CM が多く、お笑いのようにオチのある CM も目立った。
先程は「後だし CM」の弱点として、一番大切な情報を聞き逃す可能性を挙げたが、この点も最後
まで聞き逃さないほどリスナーに興味を持たせる「引きつけ力」がある。また情報量の少なさを
カバーするほどのインパクトがあった。そして大切な情報を徐々に出していく「小出し CM」は 13
本で 33%とこれも 1/4 を超える割合となった。全体として聴衆者に「耳を傾けさせ、聴かせる」
CM が選ばれているように感じる。 図21 136 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) また ACC フェスティバルでは①読み上げ形式の CM は選ばれておらず、代わりに⑥物語形式の CM が
4 本選ばれている。物語形式とは、読み上げ形式のように一方的に情報を伝えるわけでもなく、語
りかけ形式のように一人一人に伝えようとするわけでもなく、淡々と物語を語るように進める CM
のことである。そしてドラマ形式が 32 本で 8 割を占め、続いて物語形式の 4 本、列挙形式 2 本、
語りかけ形式と歌形式が 1 本ずつとなっている。 ◆1-3.2つの事例からみる優れた CM の条件 今まで見てきたラジオ CM の特徴と優れた CM の条件を確認することにしよう。 キーワードになるのが「情報量」と「引きつけ力」である。「引きつけ力」は面白さ、斬新さ
とも言い換えることができるだろう。「情報量」については多ければ多いほど良いと考えていた
が、どうもそうではないらしい。量そのものよりもリスナーの意識に残るかどうかの方が重要な
ようである。 また、読み上げ形式と語りかけ形式のところでも少し述べたが、フォーマルな文体で話すより
も親しみを込めた略式の文体で話しかけるように宣伝した方が効果的だと考えられる。 下の図はFM愛知の 24 時間分析と ACC CM フェスティバル分析をまとめた表である。表に沿って
優れた CM の条件を考えていこう。 BGM
SE
出演者
の人数
ACC
50%
60%
27%
30%
33%
10%
73%
7%
21%
60%
4%
33%
2%
0%
終始:
伝達型
1) . あり
あり
1人
2人
3人
4人以上
FM愛知
89%
13%
55%
30%
13%
2%
伝えた
い情報
最後:
後だし
途中から:
小出し
最初・最後
:論文型
BGM 入っていれば良いというわけではない。情景や雰囲気を表現する際、また歌や CM ソングと
して印象づける際に効果を発揮する。 2).SE 情景を想像させる力がある。ドラマ形式だけでなく、お酒の CM ならグラスと氷の音を入
れて商品を印象づけたり想像させたりすることも可能。 3).出演者の人数 それ自体で良し悪しが決まるわけではなく、台本次第である。 137 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 4).伝えたい情報 あからさまに宣伝をするよりは、最初にインパクトを与えたり、気になるシ
チュエーションを演出したりすることで、リスナーを引きつけてから伝えた方が効果的だと考え
られる。藤竹暁『環境になったメディア―マスメディアは社会をどう変えているか―』に信用さ
れる情報を提供するために、という文がある。 信頼される情報を提供するためには、相手に強要しないこと、つまり相手と無理やりに関係を
もとうとしないことが重要になる。(中略)効果的な説得を行うためには、自分が主張している
状況をあからさまにみせないことが必要である。(中略)なにゆえ説得者は自分を表面にだして
はいけないのか。それは、信じるかどうかを決めるのは、聞き手だからである。(中略)情報が
信じられるためには、まず、相手に信用されなければならない。 [藤竹暁, 2004『環境になったメ
ディア―マスメディアは社会をどう変えているか―』北樹出版、17‐18 頁] ここでは相手に信用されるためには「ささやきのコミュニケーション」が効果的だと述べら
れている。またその道具として電話を取り上げているのだが、ラジオも「ささやきのメディ
ア」だと言える。音だけの世界を持ち、パーソナリティとリスナー間やリスナー同士の間に絆
が生まれる、絆のメディアだと呼ばれている。そんなラジオならではの CM、「ささやく CM」が
できるのではないだろうか。 ここで述べている中で面白い点は、伝えたい情報の位置によってラジオ CM が分類できたことである。そ
してそれに付随して、ラジオ CM の形式の話に触れている。 (1)読み上げ形式 (2)語りかけ形式 (3)歌形式 (4)列挙形式 (5)ドラマ形式 の 5 つである。 しかしここで述べている形式とは、台本のシナリオから分かる部分のことである。同じ形式であっても、
言葉のニュアンスや聞こえ方が明らかに違う。声の質や語り。違うのに文字にできない歯がゆさを感じた。 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 2010 年度社会調査実習報告書 村上美緒(2011)「ラジオ CM 論∼良いラジオ CM とは何か」より抜粋 138 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ■第 2 章 新たな分類の仕方∼「語り」の文法 ◆2-1. 語りの文法「読み上げ口調」「呼びかけ口調」「語りかけ口調」 先にも述べたが、ラジオ CM はシナリオから読み取れる形式の他にも要素をもっている。それが「語り」
である。明らかに「読み上げている」のと「呼びかけている(語りかけている)」のは違う。とはいえ、
語りの要素とは何なのだろうか。録音していた 305 個のラジオ CM と新たに追加したラジオ CM をひたすら聞
き直し、見えてきたことがある。以下がそのメモである。 「読み上げ」 スピード:わりと一定。早口なものが多い。=情報量が多い 聞きとりやすさを重視。感情なし。 「台詞」自体は呼び掛けるような書かれ方でも読んでいる
なと感じるものがある。 「呼びかけ」 その人の言葉で話しているように聞こえる。 パーソナリティによる番宣に多く見られる? でも声を作っているなという感じるものもある。 「語りかけ」 ラジオの前にいる人に向かって語りかけているように聞こえ
る。 感情豊か。 まず、ラジオ CM の語り口調を 3 種類に分類した。「読み上げ口調」「呼びかけ口調」「語りかけ口調」
である。アナウンサとラジオパーソナリティの話し方に注目すると違いがわかりやすい。アナウンサは
「聞きとりやすい(美しい)」声で話そうとするが、それに対しラジオパーソナリティは地に足がついた
話し方で、できるだけ自分の言葉で話そうとしている。「読み上げ口調」は、アナウンサ口調とも言え、
一定した速いスピードでも聞きとりやすい口調である。短い時間内に多くの情報を伝えようとしている際
に使われている。「呼びかけ口調」はラジオパーソナリティの口調に近い。「読み上げ口調」と比べると
声に個性があり、やや早めのスピードでも聞きとりやすい口調である。「語りかけ口調」は他の二つの口
調に比べて、短い時間内に多くの情報を伝えるのには向いていないが、感情豊かで心に届きやすい口調で
ある。 この三つの口調の違いは、ラジオ CM 原稿(シナリオ)を読むときにどこに意識を向けているのかが関係
する。「読み上げ口調」は誰に向けて発しているかというと<みなさん>であり、特定の誰かに向けてと
いうよりも情報そのものに重きを置いている。「呼びかけ口調」では<あなたたち>であり、ラジオの向
こう側にいる人に向けて呼び掛けているように感じる。「語りかけ口調」はラジオを通して目の前の<あ
なた>に声を届けようとしている。 139 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ◆2-2. 語りの文法と、「人間距離」「コミュニケーションの文体」 またこのラジオ CM の語り口調の分類は、エドワード・T・ホールの「人間距離」とマーチン・ジョーズ
『五つの時計』における五つのコミュニケーションの文体(スタイル)に関連づけることができる。 エドワード・T・ホールは、人間が自分の肉体を用いてコミュニケーションを行うことができる距離を
「人間距離」としてとらえ、次の四つの距離帯で論じている。(1)人間にとってもっとも身近な距離帯は
密接距離帯である。そして順次、(2)個体距離帯、(3)社会距離帯、(4)公衆距離帯となるにしたがっ
て、人間からの距離は遠くなっていく。人間距離は、ただ単に人間からの物理的距離によってだけで、決
められるものではない。人間距離は、目で見ることができたり、声を聞くことができたり、あるいは触れ
ることができるという物理的状態の変化によってのみ決まるものではない。その距離帯を人間がなんらか
の形で意味づけているからこそ、それぞれの距離帯は人間コミュニケーションにとって重要になる。 (1)密接距離帯は、愛撫、格闘、慰め、保護の距離から、手で相手に触れることのできる距離までを含
む。密接距離帯では、いわゆる言葉によるコミュニケーションは、かえってお互いの密接な距離感覚(親
密性)を薄める効果をもっている。したがって声が使用される場合でも、一般的には、ささやきとして行
われる。この距離帯における重要なコミュニケーションの手段は、人間の肉体である。いわゆるスキンシ
ップである。 (2)個体距離帯は、相手を抱いたり、つかまえたりできる距離から、お互いがともに腕をのばせば指が
触れ合うまでの距離帯である。人間は一般的に、この距離体内には親しい人しか入れたがらない。この距
離帯でもスキンシップの要素は残されており、「目は口ほどにものを言う」ことができるが、多くの場合、
コミュニケーションは親しみを込めた言葉による親密な会話である。 (3)社会距離帯は、特別な努力をしないかぎり、相手に触れたり、触れようとしたりはできないけれど
も、普通の声で言葉のやりとりができる距離帯である。この距離帯では、あまり親密ではない人々が、さ
まざまな社会的な交渉を行う。したがって、仕事の(オフィスでの)距離帯であり、フォーマルなコミュ
ニケーションがなされる距離帯である。 (4)公衆距離帯は、最大の音量ではないけれども、声を大きくしないとコミュニケーションが行えない
距離帯であり、したがってインボルブメントの範囲の十分に外側にある距離帯である。演説の距離帯とい
うことができる。 [藤竹暁, 2004『環境になったメディア―マスメディアは社会をどう変えているか―』北樹出版、20‐22 頁] 140 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 薄 親
密
さ
図) 同書 20 頁から抜粋 濃 距離(近) 距離(遠) また、藤竹は同書で以下のようにエドワード・T・ホールの「人間距離」とマーチン・ジョーズ『五つの
時計』における五つのコミュニケーションの文体(スタイル)が対応していると述べている。 人間距離の考え方は、マーチン・ジョーズ『五つの時計』における五つのコミュニケーションの文体
(スタイル)と対応している点が興味深い。ジョーズは五つのコミュニケーションの文体を考えた。(1)
凍結の文体、(2)フォーマルな文体、(3)協議的な文体、(4)略式の文体、(5)親密な文体である。 親密な文体が主として使われるのは、密接距離帯である。略式の文体が主として使われるのは、個体距
離帯である。社会距離帯では協議的な文体とフォーマルな文体が使われ、そして公衆距離帯ではフォーマ
ルな文体と凍結の文体が使われる。ジョーズによると、日常会話は、協議的な文体と略式の文体で行われ
る。そこでは、参加者が随時、会話の進行に参加する点に特質がある。これに対してフォーマルな文体は、
話し手のコミュニケーション展開になかなか参加できない。したがって未知の間柄での会話は、フォーマ
ルな文体からはじまることになる。そして凍結の文体は、活字にするための文章や宣言のコミュニケーシ
ョンに用いられる。[藤竹暁, 2004『環境になったメディア―マスメディアは社会をどう変えているか―』
北樹出版、22 頁] 以上が、「人間距離」「コミュニケーションの文体」の説明である。 これにラジオ CM の語りの分類を当てはめていくと「読み上げ口調」は、フォーマルな文体と凍結の文体に
当たり、公衆距離帯に存在する。「呼びかけ口調」は協議的な文体で、社会距離帯。「語りかけ口調」は
略式な文体で、個体距離帯となる。 141 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 要素
読み上げ
呼びかけ
語りかけ
誰に向けて発しているのか
みさなん
あなたたち
あなた
距離感
公衆距離帯
社会距離帯
個体距離帯
文体
フォーマルな文体・
凍結の文体
協議的な文体
略式な文体
声の
意識
◆2-3. 語りの文法と放送されているラジオ CM 先にFM愛知の平成 23 年 2 月 7 日(月)5 時∼29 時の 24 時間から抽出した 305 個のラジオ CM を改めてこの
語りの文法に合わせて分類した。ドラマ形式と歌形式のラジオ CM だけは「語り」に含められなかったため、
そのまま表記する。 ラジオ CM305 個中、読み上げ CM が 50 個で全体の 16%。呼びかけ CM が 139 個で全体の 46%。語りかけ CM は
36 個で全体の 12%。そしてドラマ形式の CM が 55 個で 18%。歌形式の CM が 25 個で 8%であった。 また、提供主別に「ラジオ局」と「一般企業」とわけて見るとラジオ局側の CM は、ドラマ形式の CM と
歌形式の CM が一つもなく、90 個の CM 中読み上げ CM が 33 個で 37%。呼びかけ CM が 44 個で 49%。語りか
け CM が 13 個で 14%であった。それに対して一般企業のラジオ CM は 212 個中、読み上げ CM が 17 個で 8%。
呼びかけ CM が 95 個で 45%。語りかけ CM が 23 個で 11%であった。ドラマ形式の CM は 52 個あり 24%を占
め、歌形式の CM も 25 個で 12%を占めている。 142 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ラジオ局の CM にはドラマ形式の CM や歌形式の CM がないのにも関わらず、一般企業の CM では多くを占
めていることが興味深い。 さらにラジオ局の CM をメッセージ内容で分類すると ①ラジオ局主催のイベントやコンサート ②番組の宣伝 に分かれる。 ラジオ局主催のイベントやコンサートは読み上げ CM が 64 個中 33 個で 52%。呼びかけ CM が 22 個で 34%。
語りかけ CM が 9 個で 14%と、呼びかけ CM が一番多く、続いて呼びかけ CM、最後に語りかけ CM となって
いる。 それに対して番組の宣伝は読み上げが一つもなく、呼びかけ CM が 26 個中 22 個で 85%。語りかけ CM が
4 個で 15%であった。 つまりラジオ局の CM で三分の一以上を占めていた、読み上げ CM はラジオ局主催のイベント・コンサート CM だった
ということである。 番組の宣伝が呼びかけ CM が多いのはラジオパーソナリティが自身のメイン番組を宣伝しているからだ
としても、ラジオ局主催のイベントやコンサートに読み上げ CM が集中しているところが興味深い。一般
企業の CM も業種や伝えたいメッセージ(企業名・商品名・イベント名・イメージなど)によって語りが
変わってくるのかもしれない。今後の課題である。 143 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ◆2-4. 語りの要素「速さ」「高さ」「間」 ここまでは語りの文法として挙げた「読み上げ口調」「呼びかけ口調」「語りかけ口調」がどうしてそ
う分類されるのか発話者の声の意識に注目して分析してきた。しかし、具体的にどのような要素によって
聞き手が違いを感じるのか。それがなかなか見えてこない。「速さ」「高さ」「間」という三つの要素に
注目して以下のような仮説を立てた。 要素
声の
要素
読み上げ
呼びかけ
語りかけ
速さ
速い(一定)
やや速い
遅い
高さ
一定
やや変化あり
変化あり
間
短い(一定)
やや長め
長め(変容的)
しかし「速さ」はともかく、「高さ」「間」をどのように文字におこせば良いのかわからず、手が止ま
った。加えて「速さ」を基準にして「語り」に見ていっても、予想通りの結果が出なかった。 <◆NTT西日本>
BGM
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呼びかけ口調 114 文字/20 秒 144 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) <◆総合人材サービスNDSソリューション>
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職場の環境を重視したい、あなた。
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呼びかけ 123 文字/20 秒 <□ジャパンFMネットワーク>
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福島県のとある自動車教習所。そこで合宿に来る生徒のために
ご飯をつくるおばちゃんたちは、たった三週間で帰ってしまう生徒の
名前を一人残らず覚えている。
きっともう会うこともないのに。
きっと戻ってくることもないのに。
なんでわざわざ。
おばちゃんの答えはこうだ。
だって名前を呼んでもらえたら嬉しいだろう。
名前を呼んでもらえればもちろん嬉しいし、ほっとするし、安心もする。
シンプルに嬉しいことをしてるだけ。そんな風に聞こえた。おばちゃんの
声でした。
ヒューマンコンシャス ジャパンFMネットワークです。
語りかけ口調 241 文字/60 秒⇒80.3 文字/20 秒 この敗因は、音楽の間やジングルの間などをのぞかず、CM 自体の時間に対する文字数で考えたからかも
しれない。しかし同じ時間内の情報量が読み上げ CM よりも呼びかけ CM の方が多いとなると、当初の「読
み上げ口調は、短い時間内に多くのメッセージを伝えることに適している」という仮定がひっくり返って
しまう。そしてもし、読み上げ CM よりも語りかけ CM の方がメッセージ量が多かったとすると、「耳で聞
いた感じでは読み上げ CM の方が早口に聞こえる」という不思議が出てくる。本研究内では正確な数値を出
せなかったが今後、より丁寧に分析する必要があるだろう。 145 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ■第 3 章 まとめと今後の課題 ◆3-1. 音の世界を文字の世界に表す難しさ ラジオは、音だけの世界である。それを文字におこそうと試みた今回の研究であった。しかしこの作業
は途方もなく難しい作業であった。「語りの文法」を考えた後、実例を挙げながら「この CM はラジオの前
にいる<あなた>に向けた語りをしている」と説明していきたいと考えていたが、そのためにどのような
言葉を尽くせば伝わるのか、見つけることができなかった。 オングが『声の文化と文字の文化』で述べたように「声の文化」は「聖なるもの」であり、「文字の文
化」は人間がそれを受けとる過程で、「聖なるもの」を解体して再構築したものである。 「声の文化」では、それが話されている時空間を双方が共有しているので、はなされている「ここ」が
どこで、「いま」がいつかは、表現されなくとも、会話者が互いに自然に理解している。しかし、「文字
の文化」は、その情報が時空間を超えていくので、情報の受発信者がそれぞれ自分の場の文脈において、
その意味を読み取る。この結果、情報の表面的なメッセージとしては同一であっても、それがいったん解
体されて、受け手の内部で再構築されないと、理解されない。この過程で、その情報が相互に理解可能な
ものだとしても、お互いの条件に基づいて理解されるので、話し手と聴き手はそれぞれ別の社会に引き裂
かれる。 [奥野卓司(2009)「声から文字へ」井上俊・伊藤公雄編『メディア・情報・消費社会』世界思想社、16
頁] 今回は、声の世界を文字におこし、さらにその文字を使って、声の世界(語り)を研究しようとしたの
である。 ◆3-2. 本研究結果と今後の課題 その中で、今回の研究ではラジオ CM の分類の仕方を二通り見いだすことができた。一つ目が、伝えた
い情報の位置による分類である「伝達型 CM」「小出し型 CM」「後だし型 CM」「論文型 CM」の四分類。そし
て、「語り」に注目した「読み上げ CM」「呼びかけ CM」「語りかけ CM」の三分類である。 今後の課題は大きく二つ。 ①「語りの文法」とメッセージの関係性について ②「語りの文法」について ①の「語りの文法」とメッセージの関係性についての課題は、ラジオ CM をメッセージ別に分類すると
ころから始まる。CM は伝えたいメッセージが存在するからこそ意味がある。そのメッセージと「語り」に
法則性が見えてくると、面白いだろう。伝えたいメッセージによって「語り」が違うとすれば、どのよう
な「語り」をすれば、メッセージが伝わるのかわかるかもしれない。 146 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) ②の「語りの文法」についての課題はまず、「速さ」「高さ」「間」をどう文字に表現する方法を見つ
け出すこと。語りの要素を追求すること。そしてラジオ特有の語り、ラジオ CM 特有の語りの文法を見つけ
出すことである。これが解き明かされることで、ラジオの魅力である「語り」を見つめ今後のラジオ CM の
あり方に光が差すのではないだろうか。 ◆〈引用文献〉 藤竹暁(2004)『環境になったメディア―マスメディアは社会をどう変えているか―』北樹出版、17-18 頁、20-22 頁、
22 頁 奥野卓司(2009)「声から文字へ」井上俊・伊藤公雄編『メディア・情報・消費社会』世界思想社、16 頁 ◆〈参考文献〉 全日本シーエム放送連盟編集(2008)『ACC CM 年鑑 2008』宣伝会議 藤竹暁(2004)『環境になったメディア―マスメディアは社会をどう変えているか―』北樹出版 相賀徹夫編(1989)『日本大百科全書』小学館 波田浩之(2006)『図解でわかる広告入門』日本能率協会マネジメントセンター 奥野卓司(2009)「声から文字へ」井上俊・伊藤公雄編『メディア・情報・消費社会』世界思想社 147 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) FM愛知2011年2月7日(月)番組・CM表
5時の時報(マクドナルド)
5:00
ジングル
トーク
【Your Song】
スポットCM
□ライブツアー
◆AC
5:55
【FM AICHI POWER
PLAY】
ジングル
トーク
スポットCM
□公開録音
◆民放連
6時の時報(マクドナルド)
6:00
ジングル
トーク
FM愛知ジングル
スポットCM
6:30
◆チャレンジ25(環境省)
○ハートフル・オブ・サンデー
ジングル
提供(日本赤十字社)
トーク
【LOVE in Action ∼
献血は愛です!∼】
□FMフェスティバル2011 未来授業
◆KURE 5-56(呉工業)
スポットCM
◆新曲発売
◆ニチイ・エブリデーサンクス
6:40
【コスモ アースコン
モ シャス アクト ずっと
地球で暮らそう。】
番組CM ◆コスモ石油
ニ
ン
◆ていちゃん(競艇振興会)
スポットCM
グ
□同時生放送ライブ(民放FM)
6:45 ・
グ
ル
【あぐりずむ】
生CM? (電話インタ)ザ・ライフストック
ジングル
提供(コスモ石油)
トーク
ジングル
ジングル
トーク
ジングル
トーク
ブ
スポットCM
◆大川隆法『救世の法』
□コンサート(イーグルス)
6:55
ジングル
トーク
【MY OLYMPIC 】
番組CM
◆ロッテ キシリトールネオ
トーク
監修(オリンピック委員会)
提供(ロッテ)
スポットCM ◆FMケータイ
FM愛知ジングル
◆創価学会
スポットCM ◆コロナの日(パチンココロナ)
○ハートフル・スタイル
FM愛知ジングル
148 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 7時の時報(マクドナルド)
7:00
【WONDAモーニング
ショット WAKE UP
NEWS】
番組CM
スポットCM
スポットCM
スポットCM
7:10
モ
【リポビタンD Sports
Nonfiction】
ニ
ン
7:19 グ
・ 【ジブラルタ生命 あり
グ
がとう、先生!】
ル
番組CM
スポットCM
ブ
7:20
番組CM
【追跡】
スポットCM
〈FM愛知トラフィック〉
スポットCM
〈FM愛知ヘッドライン
ニュース〉
スポットCM
スポットCM
FM愛知ジングル
ジングル
提供(WONDAモーニングショット)
トーク
◆ワンダモーニングショット1(アサヒ飲料)
◆ワンダモーニングショット2(アサヒ飲料)
提供(WONDAモーニングショット)
◆聖教新聞
◆治部坂高原スキー場
FM愛知ジングル
◆タイヤ流通センター
◆コロナの日(パチンココロナ)
□同時生放送ライブ(民放FM )
◆フジドリームエアラインズ
○ラブリー・ストリート
FM愛知ジングル
◆ヤナセ(中古車ディーラー)
ジングル
提供(大正製薬)
トーク
◆リポビタンD1(大正製薬)
トーク
◆リポビタンD(大正製薬)話題がない
◆リポビタンD(大正製薬)白鳥
提供(大正製薬)
ジングル
提供(ジブラルタ生命)
トーク
提供(ジブラルタ生命)
◆ラッキー一番
◆三河ホーム東海
FM愛知ジングル
ジングル
トーク
◆日本税理士会連合会(上戸彩)
◆スピードラーニング
◆くもんの英語
◆コロナの日(パチンココロナ)
◆鷲が岳スキー場
◆ダイケンホーム
トーク
提供(名古屋トヨペット)
◆名古屋トヨペット
提供(NTT西日本)
◆NTT西日本
FM愛知ジングル
◆ニッショー
◆東海ろうきん
◆UR賃貸 中部
◆ホームワン
トーク
FM愛知ジングル
149 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 7:40
【三井住友アセットマ
ネジメント 「マーケッ
トレポート」】
番組ジングル
提供(三井住友アセットマネジメント)
トーク
※提供企業からゲスト
番組CM
◆三井住友アセットマネジメント
提供(三井住友アセットマネジメント)
モ
ニ
ン
グ 〈FM愛知トラフィック〉
・
7:45 グ 【名古屋小牧空港フ
ル ライトインフォメーショ
ン presented by
ブ
FDA】
◆浜名湖ボート
◆志賀高原スキー場
スポットCM
◆朝日新聞
◆プレイランドキャッスル熱田店
FM愛知ジングル
ジングル
提供(フジドリームエアラインズ)
トーク ※電話ゲストがFA
番組CM
◆フジドリームエアラインズ
トーク
◆ホワイトピア高須
◆キャッシングのユニーファイナンス
スポットCM
◆中日スポーツ
○ハートフル・スタイル
ジングル(FM愛知)
8時の時報(マクドナルド)
ジングル(FM愛知)
スポットCM ◆郵貯銀行
8:00
ジングル・提供(SUZUKI)
トーク
【SUZUKI Breakfast
News】
番組CM
◆新型ソリオ(スズキ)ソリオな5人
〈ヘッドラインニュース〉
番組CM
◆ラパン(スズキ)
トーク
提供(SUZUKI)
◆イメージングスクエア(カシオ)
スポットCM
◆プレイキャッスル大曽根店
8:09
【Weather Guide】
FM愛知ジングル
ジングル
トーク ジングル
8:10 モ
ニ
ン
グ
・
グ
ル
【Honda Smile
Mission】
番組CM
◆ホンダ
番組CM
◆ライフ(ホンダカーズ)
◆インサイト(ホンダカーズ)
トーク
ジングル
スポットCM □ジャパンFMネットワーク
ブ
FM愛知ジングル
◆大和エネルフ
スポットCM ◆みずほインぺスター証券
◆ファニチャードーム
<FM愛知トラフィック>
〈FM愛知ヘッドライン
ニュース〉
トーク
提供(カローラ愛知)
番組CM
◆カローラ愛知
番組CM
◆ハートホーム
提供(ハートホーム)
FM愛知ジングル
◆フジフドリームエアラインズ
◆UR賃貸中部
スポットCM
○パラダイスビート(プレゼント.C1000)
◆C1000ビタミンレモン
150 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 8:25
【愛知県 Honda
Cars ワールドトピッ
クス】
ジングル
提供(Honda Cars)
番組CM
ジングル
トーク
番組CM
モ
◆愛知県ホンダカーズ(チョコレート)
◆愛知ホンダカーズ(アフターサービス)
FM愛知ジングル
◆コロナの日(パチンココロナ)
◆Hakuba47(白馬スキー場)
スポットCM ◆ジャパンレンタカー
◆就職フェア(中日新聞)
◆プレイランドキャッスル大曽根店
ニ
ン
グ
・
グ
ル
〈FM愛知トラフィック〉
ブ
トーク
提供(ジャパンレンタカー)
スポットCM ◆ジャパンレンタカー
FM愛知ジングル
◆ラッキー一番
スポットCM
◆スピードラーニング
トーク
◆コロナの日(パチンココロナ)
スポットCM
□Do! Safety(JASS)
8:54
【快適生活ラジオショッ
パー】
スポットCM
◆コロナの日(パチンココロナ)
□寺井直子ツアー
9時の時報(マクドナルド)
スポットCM ◆JA愛知尾東
9:00
ジングル
トーク ※Doセーフティ
ジングル
提供(TOP)
トーク
9:10
【TOP presents
MUSIC ENERGY】
番組CM
◆TOP
ジングル
提供(TOP)
〈FM愛知トラフィック〉
◆聖教新聞
◆東海ろうきん
スポットCM
ハ
◆毎日文化センター(毎日新聞)
◆アクサダイレクト
ト 〈FM愛知ヘッドラインニュース〉
フ
トーク・ジングル
ル
生CM(名3グランプリ)
生CM
・
FM愛知ジングル
ス
◆ダイケンホーム
スポットCM
タ
◆ジャイアンツVSタイガーズ(読売事業)
イ
FM愛知ジングル
ル
トーク
9:45
ジングル
提供(東邦ガス)
【東邦ガス
トーク
MORNING
番組CM ◆リベナス(東邦ガス)
ESSENCE】
ジングル
提供(東邦ガス)
ジングル・トーク
FM愛知ジングル
◆オリデコ(阿部製菓)
◆婚約指輪(ロイヤルバロン)
スポットCM
◆法律事務所ホームワン
○FM愛知ラジオショッピング
151 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 10時の時報(キリンフリー)
10:15
10:53
11:00
11:00
11:13
11.27
11:30
ハ
ジングル
トーク
【FM AICHI ラジオショッピング】
FM愛知ジングル
ト
トーク
フ
<FM愛知トラフィック>
ル
◆タチヤ(生鮮食材激安スーパー)
・
スポットCM ◆東海ろうきん
ス
◆名進研
タ
〈FM愛知ヘッドラインニュース〉
イ
FM愛知ジングル・トーク
ル
※プレゼント・花束/花キューピット
FM愛知ジングル
ジングル・提供(EcoRing)
トーク※ゲスト・EcoRing店長
【Eco Ringのコーナー】
ジングル・提供(EcoRing)
番組CM ◆コロナの日(パチンココロナ)
スポットCM □吹奏楽によるドラゴンクエスト
11時の時報(キリンフリー)
FM愛知ジングル
ジングル・トーク
提供(CASIO)
トーク
※ゲスト・コンサート宣伝
【CASIO The
ジングル
Focus】
スポットCM ◆イメージングスクエア(カシオ)
企画
(ゲストの絵画変換)
プレゼント (デジカメ)
提供(CASIO)
◆ガリバー
デ
スポットCM □チャレンジ25(環境省)
□FMフェスティバル2011 未来授業
ア
提供(ニチイ)
・
トーク
【ニチイ Everyday
フ
※クオカード・花束(花キューピット)
Thanks】
レ
番組CM ◆ホームヘルパー講座(ニチイ)
ン
提供(ニチイ)
ズ
◆ホリデー車検
スポットCM ◆ガリバー
◆アイダホバーガー(マック)
【ディア・フレンズ インフォメーション】
◆アースコンシャス JFN
◆バイク王
スポットCM
◆ジャパンFMネットワーク
◆ラビット
FM愛知ジングル
◆映画「パラノーマル・アクティビティ2」
スポットCM
□FMフェスティバル2011 未来授業
ジングル
トーク
ラ
ブ 〈FM愛知トラフィック〉
リ
トーク
(C1000ビタミンレモン)プレゼント
生CM
・
スポットCM ◆法律事務所ホームワン 電話編
ス
ト
ジングル
リ
トーク
FM愛知ジングル
ト
◆ミサワホーム東海
スポットCM
◆ネットオフ
152 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 12時の時報(キリンフリー)
スポットCM ◆ビオジアス(天野製薬)
ジングル
トーク
〈FM愛知ヘッドラインニュース〉
ラ
ブ
リ
トーク
FM愛知ジングル
スポットCM ◆スピードラーニング
ジングル
トーク
・ 〈FM愛知トラフィック〉
ス
スポットCM ◆アクサダイレクト
ト
ジングル
リ
トーク
◆法律事務所ホームワン
スポットCM
ト
□コンサート(ザ・クロマニヨンズ/サンデーフォーク)
ジングル
トーク
FM愛知ジングル
◆アイダフォバーガー(マクドナルド)
スポットCM
◆プレイランドキャッスル大曽根店
13時の時報(エネオス)
13:00
スポットCM ◆NTT西日本
FM愛知ジングル
ジングル
トーク
※プレゼント・C1000
ジングル
トーク
◆中部白アリ研究所
スポットCM
◆ネットオフ
ジングル
提供(C1000・ハウスウェルネスフーズ)
番組CM ◆C1000ビタミンレモン
【C1000元気色リクエ
プレゼント・C1000
パ スト】(2週間限定)
番組CM ◆C1000ビタミンレモン(おでん編)
ラ
ジングル
ダ
提供(C1000・ハウスウェルネスフーズ)
イ
ジングル
ス
トーク
・
〈FM愛知トラフィック〉
ビ
〈FM愛知ヘッドラインニュース〉
FM愛知ジングル
ト
◆タウンページ・義純が行く編
◆・ファニチャードーム・やたらめったら編
スポットCM
◆東海ろうきん
◆クモン
ジングル
トーク
生CM? ※電話(ベル薔薇園)
ジングル
◆名進研
◆ラッキー一番
スポットCM
◆朝日新聞
○FM愛知ラジオショッピング
トーク
153 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 14時の時報(エネオス)
スポットCM ◆株式会社TOP
ジングル
トーク
スポットCM
◆国際セントラルクリニック
□エコメンド
ジングル
トーク
14:30
【FM AICHI ラジオショッピング】
〈FM愛知トラフィック〉情報センター
スポットCM
スポットCM
14:55
【Japan Furusato
Network】
番組CM
スポットCM
スポットCM
FM愛知ジングル
◆アットホーム加盟店・相武紗季編
◆アットホーム・名古屋南営業所編
◆毎日新聞
ジングル
トーク
◆ダイケンホーム
◆東海東京証券
□同時生放送ライブ(JFN)
○ニチイ Everyday Thanks
ジングル
◆バイク王
ジングル
トーク
◆ガリバー
FM愛知ジングル
□ラジオミュージカル「本能寺が燃える」
◆半生ミルクキャラメル(阿部製菓)
15時の時報(エネオス)
スポットCM ◆日生産業・おやじが家に来た編
ジングル
トーク
スポットCM ◆ドモホルンリンクル
ジングル
トーク
(お知らせ) 名進研・プレゼント
生CM
ジングル
トーク
(電話)・UR賃貸中部
生CM
パ
ラ
ダ
〈FM愛知レポート〉
イ
〈FM愛知トラフィック〉
ス
〈FM愛知ヘッドラインニュース〉
・
◆東海ろうきん
ビ
スポットCM ◆就職フェア(中日新聞)
□坂本真綾ライブツアー(サンデーホーク)
ト
ジングル
トーク
※曲・コンサート情報
◆コロナの日(パチンココロナ)
スポットCM
□渡部陽一文化講演会(エムズホプロドゥース)
トーク
FM愛知ジングル
154 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 16時の時報(エネオス)
16:00
スポットCM ◆TOP・ノーバディーノーズ
ジングル・トーク・ジングル
◆アベッコラムネ(阿部製菓)
黒
◆総合人材サービスNDSソリューション
スポットCM
ち
□TOTO名古屋公演
○FM愛知ラジオショッピング
ん
ジングル・トーク・ジングル
の
小牧空港(FDA)
生CM
オ
FM愛知ジングル
ン
スポットCM ◆アクサダイレクト
16:30 リ 【FM AICHI ラジオショッピング】
FM愛知ジングル・トーク
ワ 〈FM愛知トラフィック〉
提供(ジャパンレンタカー)
ン
番組CM ◆ジャパンレンタカー・ヒップホップ編
ダ
FM愛知ジングル
フ
スポットCM ◆ハローチューリッヒ
ル
ジングル・トーク
◆名進研
スポットCM ◆コロナの日(パチンココロナ)
○エンタメ・コング
17時の時報(イエローハット)
スポットCM ◆バンベール星ヶ丘(矢作地所)
ジングル・トーク・ジングル
17:12
ジングル・提供(JA共済)
トーク
【安心めっせーじ】
※交通安全Do!セーフテx
※電話・愛知県警
◆JA尾張(JA共済)
番組CM
〈FM愛知トラフィック〉情報センター
FM愛知ジングル
◆小牧空港(FDA)
スポットCM ◆ファニチャードーム・やたらめったら編
◆プレイランドキャッスル大曽根店
黒
ジングル・提供(スキー場各社)
ち
生CM
(電話)
※プレゼント
(FM愛知ゲレンデイ
※積雪情報
ん ンフォメーション>
◆ホワイトピア高須(スキー場)
番組CM
の
ジングル・提供(スキー場各社)
オ
ジングル・トーク
ン
FM愛知ジングル
リ
【快適生活ラジオショッパー】
17:34
◆UR賃貸住宅(UR賃貸中部)
ワ
スポットCM ◆ラッキー一番
ン
□MR.BIG来日 名古屋公演
ダ
提供(ゴルフクラブ大樹)
フ 〈FM愛知トラフィック〉
番組CM ◆レスポ大樹(フィットネスクラブ)
ル
FM愛知ジングル
◆ホワイトピア高須(スキー場)
スポットCM ◆プレミアハウス(東海東京証券)
◆クモン・真の英語力編
〈FM愛知ヘッドライン
提供(NEXCO中日本)
ユース〉
番組CM ◆雪色.com(NEXCO中日本)
ジングル
トーク
◆JAバンク・松下奈緒編
○パラダイスビート/プレゼント・C1000
スポットCM
◆C1000・間違い電話編
◆ガリバー
155 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 17:50
ジングル
提供(東京海上日動)
トーク
ん
番組CM ◆グリーンギフトプロジェクト(東京海上日動)
の
オ
ジングル
ン
提供(東京海上日動)
リ
スポットCM ◆バイク王
ワ
FM愛知ジングル
ン
ダ
◆FDA
フ
スポットCM ◆ミサワホーム東海
ル
◆プレイランドキャッスル熱田店
18時の時報(イエローハット)
スポットCM ◆北の湯
ジングル・提供(TOP)
トーク
【TOP presents TOP
※電話(企業のトップ)
TO TOP】
※プレゼント・キリンビール
番組CM ◆(株)TOP・名古屋を元気にする会社
提供(TOP)
ジングル
トーク
ジングル
〈FM愛知トラフィック〉
◆フジパン本仕込み(フジパン(株))
スポットCM ◆ほおのき平スキー場
黒
◆ラッキー一番
ち
ジングル
トーク
ん
スポットCM ◆ガリレオ(テクノロジー集団)
の
FM愛知ジングル
オ
◆映画「パラノーマル・アクティビティ2」
ン
スポットCM ◆プレイランドキャッスル大曽根店
リ
□坂本真綾コンサート(サンデーフォーク)
ジングル
ワ
トーク
ン
ジングル
ダ
NDS日本電話施設
フ 〈FM愛知トラフィック〉
番組CM ◆NDSグループ
ル
FM愛知ジングル
スポットCM ◆ファニチャードーム・読み上げ編
ジングル
トーク
FM愛知ジングル
◆ガリレオ(テクノロジー集団)
スポットCM ◆UR賃貸中部
◆プレイランドキャッスル熱田店
ジングル
トーク
FM愛知ジングル
◆コロナの日(パチンココロナ)
スポットCM
□大人のためのコンサート・稲沢サウンドサーカス
黒
ち
18:54
【東京海上日動
presents
Humanglobe
Traveler】
【快適生活ラジオショッ
パー】
スポットCM
◆大川隆法『救世の法』幸福の科学出版
□スターダストレビュ30周年記念ツアー
156 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 19時の時報(イエローハット)
19:00
ジングル
トーク
〈FM愛知トラフィック〉
【Aim at Wedding!!】
□同時生放送ライブ
エ
スポットCM
□コンサート・イーグルスジャパンツアー名古屋公演
ン
〈FM愛知ヘッドラインユース〉
タ
トーク ※応募・試写会
メ
ジングル
・
〈Let's エコメンド〉
トーク
コ
FM愛知ジングル
ン
スポットCM □渡辺陽一文化講演会
グ
ジングル
トーク
◆毎日新聞・歌う編
スポットCM
□TOTOコンサート
20時の時報(ヨドバシカメラ)
ジングル
トーク
20:10
ジングル
提供(東海ケーブルチャンネル)
【らじおで!東海うま
トーク
いもん本舗】
生CM
ケーブルテレビの宣伝
エ
トーク
ン
提供(東海ケーブルチャンネル)
タ
FM愛知ジングル・トーク
メ
FM愛知ジングル
・
◆中日スポーツ
コ
スポットCM ○カキピーのバレンタイン大作戦!!
ン
□Let's エコメンド
グ
〈FM愛知ヘッドラインニュース〉
FM愛知ジングル
トーク
FM愛知ジングル
○奥華子のアスナルトレジャー
スポットCM
□吹奏楽によるドラゴンクエスト
21時の時報(板野知美)
21:00
ジングル
提供(THE GRAND CREER)
協賛(アルファ国際学院)
番組CM ◆ビアンカーラ(結婚式場)
トーク
番組CM ◆THE GRAND CREER
ジングル
<広瀬紀子のビュー
協賛(Nセントラルクリニック)
ティダイアリー>
トーク
協賛(Nセントラルクリニック)
トーク
ジングル・提供(グッドイヤー)
〈中野重夫のキープ
番組CM ◆エコタイヤ(日本グッドイヤ―)
オンロッキン〉
トーク・提供(グッドイヤー)
トーク
◆THE GRAND CREER
番組CM
◆アルファ国際学院
トーク
提供(THE GRAND CREER)
協賛(アルファ国際学院)
□THE CRO-MAGNONSツアー
スポットCM
◆パラダイスビート・C1000
157 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 21:55
【SUPER MUSIC
EXPRESS】
スポットCM
□Do! Safety!(ホンダカーズ)
○スーパーリラックスタイム
22時の時報(ヨドバシカメラ)
22:00
オープニング
提供(au by kddi)
(ブルボン)
(レオパレス21)
トーク
ジングル
番組CM
【SCHOOL OF LOCK!】
22:15
◆アーモンドラッシュ(ブルボン)
□同時生放送ライブ
スポットCM
□エコメンド・黒ちゃん編
ジングル
【GIRLS LOCKS!】
〈生放送教室〉
22:55
ジングル
トーク
◆LISMO WAVE(au by kddi)名古屋の社長編
番組CM ◆レオパレス・グアム編
◆チャリチョコ(森永)甘いよチョコだけに編
スポットCM ◆東海大学・一般入試
ジングル
トーク
□同時生放送ライブ
スポットCM ◆映画「パラノーマル・アクティビティ2」
◆AC(親切)・受取り編
【ゆらいゆらい帝国】
スポットCM
23:00
□中島美嘉コンサートツアー
□バレンタイン公開録音
23時の時報(板野友美)
【キャッシュ & リリース】
○マクドナルドHOT SHOT PARTY
スポットCM □渡辺陽一文化講演会
◆AC・文字活字文化推進機構
【SCHOOL OF LOCK!】
23:05
【BUMP LOCKS!】
【FM AICHI POWER
PLAY】
ジングル
◆桜咲かそうプロジェクト(au)・親孝行編
番組CM
◆アーモンドラッシュ(ブルボン)
◆チャレンジ25
スポットCM
□FMフェスティバル2011・未来授業「明日の日本人たちへ」
ジングル
トーク
提供(au by kddi)
(ブルボン)
(レオパレス21)
トーク
スポットCM ◆MUSIC BIRD(ミュージックバード)
ジングル
トーク
○エレクトリカルサタデーナイト「中村正人の夜は庭イヂリ」
スポットCM
□セントラル愛知交響楽団 第111回定期演奏会
158 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 24時の時報(ヨドバシカメラ)
0:00
番組CM
スポットCM
【JET STREAM】
番組CM
スポットCM
スポットCM
【キャッチアップ2011】
スポットCM
ジングル・トーク
提供(ドリーム スカイワード JAL)
トーク
◆JAL・人類の空を飛びたい(ジブリ)編
◆アイダフォバーガー(マクドナルド)
トーク
◆成田空港・世界をつなぐ編
トーク・提供(JAL)
◆もてなしの心(ジャパンエフエムネットワーク)茶道編
○KIRIN BEER Good Luck LIVE
FM愛知ジングル
□同時生放送ライブ
○パラダイスビート・C1000プレゼント
ジングル
トーク
※寺井直子コンサート情報
○奥華子のアスナルトレジャ―・公開録音
□FM愛知メール会員募集
1時の時報(板野友美)
1:00
トーク
ジングル
【扉】
□同時生放送ライブ
スポットCM □假屋崎省吾 横山幸雄
◆AC・手当(あなたの手で伝えられること)
トーク
ジングル
○カキピーのバレンタイン大作戦!
スポットCM □ラジオミュージカル「本能寺が燃える」(メニコン・プレゼンツ)
◆AC・あいさつ・友だち
トーク
ジングル
○モーニンググルーブ
スポットCM □坂東玉三郎「海神別荘」
◆AC・心は見えないけれど編
トーク
ジングル
○SUNSHINE SAKAE presents RADIO SPLASH
スポットCM
□スターダストレビュー
2時の時報(ヨドバシカメラ)
トーク
ジングル
【扉】
○ハートフル・スタイル
スポットCM □稲沢サウンドサーカス
◆AC(日本脳卒中協会)・オシム編
トーク
ジングル
○やまだひさしのラジアンリミテッドF
スポットCM □ミスタービッツ・全国横断ツアー
◆AC(国境なき医師団)
トーク
ジングル
○ラビリー・ストリート
スポットCM □Do! Safety
◆JARO(日本広告審査機構)
トーク
ジングル
○ハート・オブ・サンデー
スポットCM
□セントラル愛知交響楽団 第111回定期演奏会
159 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 3時の時報(板野友美)
トーク
ジングル
□エコメンド・ラブリーストリート
スポットCM □渡辺陽一文化講演会
◆AC・リサイクル
【扉】
ジングル
トーク
ジングル
○未来授業「明日の日本人たちへ」(三菱商事プレゼンツ)
スポットCM □イーグルスジャパンツアー名古屋公演
◆AC(アイバンク)未来が映る目
ジングル
トーク
□同時生放送ライブ
スポットCM □三遊亭円歌・桂春團治 東西落語名人会
◆AC(おせっかい)開ける編
ジングル
トーク
□村治佳織ソロコンサート
スポットCM
○メニコン ミュージック・トライアングル
4時の時報(アースコンシャス)
4:00
【FM AICHI POWER
PLAY】
ジングル
トーク
スポットCM
○エンタメ・コング
□假屋崎省吾 横山幸雄
ジングル
トーク
4:05
【Your Song】
スポットCM
○モーニング・グルーブ
◆AC・子どもにあなたの手当てを
5時の時報(マクドナルド)
5:00 ⇒火曜日
□ラジオ局主催のイベント・コンサートの CM ○ラジオ局の番組宣伝 ◆一般企業の CM 160 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) 2011年度 「社会調査実習」・「調査研究法」履修者一覧 (目次順) ●「社会調査実習」履修者 小林 将也(コバヤシ・マサヤ)3年生 竹下 絵梨奈(タケシタ・エリナ)3年生 成田 健人(ナリタ・ケント)3年生 斉藤 有紀(サイトウ・ユキ)3年生 田中 隼人(タナカ・ハヤト)3年生 戸島 由加里(トジマ・ヤカリ)3年生 片野 未由希(カタノ・ミユキ)3年生 藪崎 文奈(ヤブサキ・アヤナ)3年生 小川 洋平(オガワ・ヨウヘイ)3年生 ●「調査研究法」履修者 岩瀬 有紀乃(イワセ・ユキノ)2年生 臼井 沙織(ウスイ・サオリ)2年生 重本 菜摘(シゲモト・ナツミ)2年生 市川 晃康(イチカワ・アキヤス)2年生 大倉 拓也(オオクラ・タクヤ)2年生 岡井 勇磨(オカイ・ユウマ)2年生 犬飼 真未(イヌカイ・マミ)2年生 大澤 志織(オオサワ・シオリ)2年生 鈴木 夏穂(スズキ・カホ)2年生 塚本 路恵(ツカモト・ミチエ)2年生 林 史弥(ハヤシ・フミヤ)2年生 松岡 真大(マツオカ・マサヒロ)2年生 山崎 愛子(ヤマザキ・アイコ)2年生 ●卒業論文 村上 美緒(ムラカミ・ミオ)4年生 161 中京大学現代社会学部加藤晴明研究室 社会調査実習報告書(2011年度) =================================================================================================== 社会調査実習報告書 「メディア文化研究」 第16号 ラジオパーソナリティ研究 コミュニティ FM パーソナリティの〈語り手意識〉 執筆者:中京大学現代社会学部3期生・4期生(執筆時3年生と2年生) 編集発行:中京大学現代社会学部・加藤晴明研究室 発行年月:2012年3月31日 〈問合せ〉〒470-0393 愛知県豊田市貝津町床立 101 電話:学部事務室 0565-46-1211 研究室直通:0565-46-6514 携帯:080-3656-7255 メール:[email protected] HP http://openweb.chukyo-u.ac.jp/~hkato/ ※ 研究用に引用される場合の通知は不要ですが、営利目的あるいは、資料として転用・公開されるかた
ちでのご利用の際にはご一報くださるようお願いいたします。 『メディア文化研究』(『メディア文化研究報告書』改題) ■バックナンバー紹介(HP からダウンロード可能) 第1号 『電子ゲームの文化 人は電子メディアで何を消費しているのか 』 第2号 『電話コミュニケーション 若者はなぜ電話するのか 』 第3号 『電子ゲーム世代 僕たちはゲーム第一ジェネレーション 』 第4号その1 『音楽・メディア・こだわり 歌詞の中の現代社会 』 第4号その2 『音楽・メディア・こだわり 歌詞の中の現代社会 』 第5号 『メディア・フレンド
愛 と 失望 のネット恋愛 』 第6号 『メディア文化の饗宴』 第7号 『変身というメディア行為』 第8号 『携帯電話のコミュニケーション』 第9号 『メディア・リテラシー』(未刊) 第10号 『マイ・テリトリー 農村メディア調査と8つの「居場所」の景観から 』 第11号 『愛知万博の社会学 キャンパスの近くに〈祝祭メディア〉がやってきた! 』 第12号 『ディープ・アイデンティティ
ハマる 人間の社会学 』 第13号 『音声メディアの可能性 サウンドスケープによる音声コンテンツ制作 』 第14号 『ディープ・アイデンティティ
ハマる 人間の社会学 Part.2』 第15号 『ラジオの未来を考える』 第16号 『ラジオパーソナリティ研究』 162 
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