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経営分析論Ⅱ⑤

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経営分析論Ⅱ⑤
カンブリア宮殿:富士フイルムHD
2011.9
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カンブリア宮殿:富士フイルムHD社長 古森社長の回を観て,
下記の点を整理してみよう。
32%
2000
経営分析論Ⅱ⑤
2007
・連結売上高の推移:2000年3月期から2011年3月期までの変化
5
・新たな稼ぎ頭を育てろ:化粧品,医療機器,液晶パネル
3
・ライバル
コダック社の存在
投下資本利益率とデュポンシステム(3)
・フィルムカメラからデジタルカメラへの急激な移行
事業改革と財務指標
・富士フイルムにあってコダックにないもの
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①日本の経営者と米国の経営者の考え方の違い
10,000
②多角化の幅と技術の深さ
・液晶テレビ生産に不可欠なタックフィルムの世界シェア
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フィルム業界の状況
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フィルムカメラとデジタルカメラの国内出荷台数の推移
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フィルム業界の状況
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フィルムの国内出荷本数の推移
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IT
「トヨタ自動車が自動車を作れなくなったら?」
デジタルカメラの出現により,フィルムカメラは過去の技術に
2009
2001
フィルムカメラの減少はフィルムの市場縮小につながる。
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フィルム業界の巨人 イーストマン・コダック
フィルム業界の巨人 イーストマン・コダック
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コダック社の倒産前3ヵ年の財務諸表:損益計算書
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米国のフィルム業界最大手 イーストマン・コダック社
写真フィルムの最大手であり,世界で初めてロールフィルムおよび
カラーフィルムを発売したメーカー
IT
9
また,デジタルカメラを開発したメーカーでもある。
•
イノベーションのジレンマ(米国の経営学者 クリステンセン)
-
1990年代後半から2000年代初頭に起きたフィルムカメラからデジタル
カメラへの移行は,過去の製品を販売することの意味を失わせた。
→ ある製品のトップ企業がその技術に固執するあまり,新技術に
対応できずに衰退していく様はイノベーションのジレンマという
言葉で説明される。
収益力の低下の一方で,売上原価の低減を図ることができず。
販管費・研究開発費は低減したが,営業赤字
9
フィルム業界の巨人 イーストマン・コダック
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富士フイルムの業績と経営戦略
•
コダック社の倒産前3ヵ年の財務諸表:貸借対照表
売上高減少,有形固定資産減少,総資産減少,株主資本減少
利益剰余金 → 自己株式の取得:株主への還元策を重視
ROEは中期経営計画の目標値5%の約半分
2011年度に急激な現金預金の減少
富士フイルムの業績と経営戦略
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日経新聞2012年1月30日「経営の視点 反面教師のコダック破綻」
富士フイルムの業績と経営戦略
•
富士フイルムとコダックの違いはどこから生まれたのか?
富士フイルムは多角化を図り,露光材料や感光材料,現像材料などの
コダック:株主還元(増配,自己株式購入)に使用したため,
周辺へ拡大。コダックに比して多角化における幅と深さがあった。
新規投資を困難に。
② デジカメ市場が立ち上がったときに,コダックには競争力のある
② 株主による短期的な収益極大化の要求 → 研究開発予算への影響
商品がなかった。
日本のカメラメーカー:新規事業(異分野)への展開
富士フイルムは1970年代からデジカメに必要な半導体素粒子の
→ キヤノン:複写機・複合機などのプリンター事業
CCD(電荷結合素子)の研究を進めていた。
オフィス向け機器が売上の過半を占める。
③ 多角化:富士フイルムは写真意外の分野を伸ばしてきた。
☞ 次の主力製品の技術,可能性を秘めた技術開発で手を抜かなかった。
2000年以降に投資を行い,医薬品,液晶用材料を強化したり,
研究開発の効率化を求める株主の意見に耳を傾けすぎれば,将来の
富士ゼロックスへの出資比率を引き上げる。
経営の展開力は落ち,発展の余地は狭められる。
富士フイルムの主力製品の変化
富士フイルムとコダックの戦略について古森社長はどのように
① 1980年代初頭に写真の世界にデジタル技術が登場したこと。
富士フイルム:事業買収,再編の原資として活用
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日経ビジネス2012年7月23日号「社長業は人生の通信簿」
語っているのか?
① 内部留保の活用
富士フイルムの業績と経営戦略
富士フイルム過去8年間の業績推移
コダックはデジタルカンパニーという目標を掲げ,現業回帰。
•
富士フイルムの業績と経営戦略
セグメント別売上高・売上比率・セグメント別営業損益
2001年(富士ゼロックス子会社化):ドキュメント分野が売上の4割
近年:医療用機器製品が主力のインフォメーション分野の売上比率増加
写真フィルムが主力であったイメージング分野は売上比率が低下し,2005年
以降,毎期営業赤字の状態。
富士フイルムの業績と経営戦略
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中期経営計画:創業80周年を迎える2014年に向けて
2011年10月から2014年3月期を最終年度とする中期経営計画VISION80を
策定。
各分野の重点事業の成長戦略の推進
(ヘルスケア,高機能材料,ドキュメント)と
グローバル展開の加速
(BRICs,トルコ,中東,東南アジア)に
継続して取り組む。
最終年度の売上高2兆5,000億円,
営業利益1,800億円,ROE 5%を目標に
設定した。
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