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1.概要 後期研修の到達目標は、産婦人科専門医取得である。卒後2
1.概要 後期研修の到達目標は、産婦人科専門医取得である。卒後2年間のスーパーローテーショ ン後、当院産婦人科後期研修プログラムを3年間終了(卒後5年)し、かつ日本産婦人科学 会入会後5年経過した時点で日本産婦人科学会専門医制度に基づく産婦人科専門医認定医の 申請資格を得ることができる。仮に、卒後すぐに学会に入会していれば、後期研修3年間を 終了した時点で卒後5年、学会入会後5年の両条件を同時にクリアすることになり、後期研 修3年終了と共に産婦人科専門医認定の申請資格を得ることができることになる。なお、大 学院への進学、学位(博士、医学)の取得については札幌医科大学医学部産婦人科を連携し て行う予定である。 2.研修目標 (1)一般目標 1.女性特有の疾患による救急医療を研修する 女性特有の疾患に基づく救急医療を的確に鑑別し初期治療を行うための研修 を行う。 2.女性特有のプライマリケアを研修する 女性の加齢と性周期に伴うホルモン環境の変化を理解すると共に、それらの失調に起 因する諸々疾患に関する診断と治療を研修する。女性特有の疾患を有する患者を全人的 に理解し対応する態度を学ぶことは、リプロダクティブヘルスへの配慮あるいは女性の QOL向上を目指したヘルスケア等、21 世紀の医療に対する社会からの要請に応えるも のである。 3.妊婦褥婦ならびに新生児の医療に必要な基本的知識を研修する 妊娠分娩と産褥期の管理ならびに新生児の医療に必要な基礎知識とともに、育児に必 要な母性とその育成を学ぶ。また妊娠褥婦に対する投薬の問題、治療や検査をする上で の制限等についての特殊性を理解する。 (2)行動目標 A.経験すべき診察法・検査・手技 (1)基本的産婦人科診察能力 1)問診および病歴の記載 患者との間に良いコミュニケーションを保って問診を行い、総合的にかつ全人 的に patient profile をとらえることができるようになる。 1.主訴 2.現病歴 3.月経歴 4.結婚・妊娠・分娩歴 5.家族歴 6.既往歴 2)産婦人科診察法 産婦人科診療に必要な基本的態度・技能を身につける。 1.視診(一般的視診および膣鏡診) 2.触診(外診、双合診、内診、妊婦の Leopold 触診法など) 3.直腸診 4.穿刺診(Douglas 窩穿刺、腹腔穿刺など) 5.新生児の診察(Apgar score、Silverman score その他) (2)基本的産婦人科臨床検査 産婦人科診療に必要な種々の検査を実施あるいは依頼し、その結果を評価して、患 者家族にわかりやすく説明することができる。妊婦褥婦に関しては禁忌である検査 法・避けた方が望ましい検査法があることを理解する。 1)婦人科内分泌検査・不妊検査 1.基礎体温表の診断 2.頚管粘膜検査 3.ホルモン負荷テスト 4.各種ホルモン検査 5.精液検査 2)妊娠の検査 1.妊娠反応 2.超音波検査 3)感染症の検査 1.膣分泌物鏡検(トリコモナス・カンジダ) 2.細菌学的検査(クラミジア・淋菌・その他) 4)細胞診・病理検査 1.子宮膣部細胞診 2.子宮内膜細胞診 3.病理組織生検 5)超音波検査 1.ドプラー法 2.断層法(経腹的および経膣的超音波断層法) 6)放射線学的検査 1.骨盤単純 X 線検査 2.骨盤計測(Martius・Guthmann 法) 3.子宮卵管造影法 4.腎盂造影 5.骨盤 X 線 CT 検査 6.骨盤 MRI 検査 (3)基本的治療法 薬物の作用・副作用・相互作用について理解し、薬物治療ができる。 特に妊産褥婦ならびに新生児に対する投薬の問題、治療する上での制限等について学 ばなければならない。 1)処方箋の発行 1.薬剤の選択と薬容量 2.投与上の安全性 2)注射の施行 1.皮内・皮下・筋肉・静脈 3)副作用の評価ならびに対応その他 1.催奇形性についての知識 2.ホルモン剤の特殊性についての知識 B.経験すべき症状・病態・疾患 研修の最大の目的は、患者の呈する症状と身体所見、簡単な検査所見に基づいた鑑別診断・ 初期治療を的確に行う能力を会得することにある。 (1)頻度の高い症状 1.主訴 2.現病歴 3.月経歴 4.結婚、妊娠、分娩歴 5.家族歴 6.既往歴 産婦人科特有の疾患に基づく腹痛・腰痛が数多く存在するので、それらの病態を理解 するように努める。 (2)緊急を要する症状・病態 1)急性腹症 女性特有の疾患に基づく腹痛・腰痛が数多く存在するので、それらの病態を理解 するように努める。 2)流・早産および正期産 産婦人科研修でしか経験できない経験目標項目である。 (3)経験が求められる疾患・病態(理解すべき基礎的知識を含む) 1)産科関係 1.妊娠・分娩・産褥ならびに新生児の生理の理解 2.妊娠の検査・診断 3.正常妊婦の外来管理 4.正常分娩第 1 期ならびに第 2 期の管 5.正常頭位分娩における児の娩出前後の管理 6.正常産褥の管理 7.正常新生児の管理 8.帝王切開術の経験 9.流・早産の管理 10.産科出血に対する応急処置法の理解 2)婦人科関係 1.骨盤内臓器の解剖の理解 2.視床下部・下垂体・卵巣系の内分泌調節系の理解 3.婦人科良性腫瘍の診断ならびに治療計画の立案、手術への参加 4.婦人科悪性腫瘍の診断法の理解(見学)集団的利用の理解、手術見学 5.不妊症・内分泌疾患患者の外来における検査と治療計画の立案 6.婦人科性器感染症の検査・診断・治療計画の立案 3)その他 1.産婦人科診療に関わる倫理的問題の理解 2.母体保護法関連法規の理解 3.家族計画の理解 3.研修方法 (1)指導体制 当科の構成員は西川鑑(部長:研修責任者)、二瓶岳人(主任医長)、清水亜由 美、池田桂子の 4 名である。レジデントは、自ら入院患者を受け持ち、 上記 4 名の指導医の助言・指導をうける。スタッフの資格はホームページ参照。 (2)施設認定 日本産科婦人科専門医制度卒後研修指導施設 日本母性保護法指定病院 日本周産期・新生児学会暫定研修施設 (3)当院産婦人科の概況 診療実績についてはホームページ参照 (4)患者受け持ち 産婦人科病棟において適当数の患者を担当する。 なお、当科ではいわゆる初期卒後臨床研修医がローテーション研修を行っている。レジ デント(後期研修医)は、この初期研修医への助言を担当する。 (5)週間スケジュール 午前 午後 月 カンファレンス 病棟回診・外来検査 手術 火 カンファレンス 病棟回診・外来検査 検査 水 カンファレンス 病棟回診・外来検査 手術 木 カンファレンス 病棟回診・外来検査 検査 金 カンファレンス 病棟回診・外来検査 手術 カンファレンス 小児科との合同カンファレンス(木曜日、夕) その他 院内カンファレンス(木曜日、夕、隔週) (6)後期研修後の進路 後期研修修了後は、大学院への進学・研究・学位取得、当院での臨床研修継続など種々の 進路があるが、適宜相談に応じる。