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第VIII因子製剤と第IX因子製剤の生体内回収率:臨床
Abstract: S. Björkman, et al. Abstract 第 VIII 因子製剤と第 IX 因子製剤の生体内回収率:臨床現場における 同一患者内および患者間での変動 In vivo recovery of factor VIII and factor IX: intra- and interindividual variance in a clinical setting S. Björkman, A. Folkesson and E. Berntorp 生体内回収率(in vivo recovery;IVR)は,従来 子(FVIII)製剤および第 IX 因子(FIX)製剤の投与 から凝固因子製剤の薬物動態特性を特徴づけるパ 量を調整可能であることが示唆されている。しかし, ラメータとして使用されてきた。一方,個々の患者 この理屈の前提として,各個人で測定した IVR 値が の IVR 値に基づき各患者のニーズに応じて第 VIII 因 その患者を代表する値として,集団の平均値よりも 更に信頼できるものでなければならない。すなわち, 同一患者内における IVR 値の変動は,患者間にお IVR (U dL–1 per U kg–1) 5.0 ける変動よりも小さくなければならない。本研究の目 4.0 的は,出血を呈していない血友病患者集団における 3.0 2.0 1.0 0.0 0 10 20 30 40 Age (years) 50 60 70 Fig. 1. Sequential in vivo recovery (IVR) values of factor VIII, plotted against age, in 50 patients with haemophilia A (297 measurements). body nce in IVR, rd statistical These calcuata and also n the 1- to 2ts from the and 12 data In addition, s. age were e total FVIII studies were 5,15,16] and m one on FIX percentage of re the expec- FVIII 製剤および血漿由来 FIX 製剤の IVR(U/kg 当たりの U/dL として算出)に関して同一患者内の 変動と患者間の変動を比較することである。6 件の 臨床試験から後方視的にデータを収集し,血友病 A 患者 50 例から 297 個の IVR 値を,血友病 B 患者 13 例から 93 個の IVR 値を得た。FVIII 製剤については, 同一患者内の変動(平均値)が患者間の変動を上 回った。したがって,FVIII 製剤投与量の決定におい Table 1. In vivo recovery; analysis of variance. FVIII All values Except crossover values* FIX All values Except crossover values* Mean 2.53 2.52 1.17 1.15 SD 0.69 0.70 0.27 0.27 n (patients/values) 50/297 50/290 13/93 13/81 Variance Total 0.48 0.49 0.071 0.070 Between patients 0.22 0.22 0.040 0.044 Within-patient Mean 0.34 0.34 0.030 0.028 Median 0.27 0.29 0.025 0.023 Minimum 0.01 0.01 0.002 0.002 Maximum 1.86 1.86 0.065 0.065 0 10 20 30 40 50 60 70 *After exclusion of the second value in any short-term crossover study. Haemophilia (2007), 13, 2–8 ©Blackwell Publishing Ltd. Table 2. In vivo recovery (IVR) of the FVIII and FIX preparations (mean ± SD and 95% confidence intervals). Preparation FVIII Helixate* Immunate Kogenate� Monoclate-P Octonativ-M Recombinate ReFacto FIX benefix� Immunine Mononine Nanotiv Preconativ n IVR (U dL)1 per U kg)1) 10 11 68 7 57 113 31 3.0 2.2 2.7 2.6 2.2 2.6 2.2 ± ± ± ± ± ± ± 0.44 0.35 0.68 0.55 0.86 0.61 0.43 (2.67–3.30) (1.99–2.46) (2.57–2.90) (2.10–3.12) (1.96–2.42) (2.52–2.75) (2.07–2.38) 1 20 6 61 6 1.1 1.3 1.2 1.3 ± ± ± ± 0.68 0.23 0.36 0.27 0.23 (0.99–1.20) (0.93–1.70) (1.10–1.24) (1.01–1.49) *Helixate (n ¼ 6) and Helixate NexGen (n ¼ 4). �Kogenate (n ¼ 63) and Kogenate Bayer (n ¼ 5). �Excluded from the analysis of variance. 27 Abstract: S. Björkman, et al. て,個々に測定した IVR 値が平均値あるいは集団の 値を使用することによって得られる利点はほとんど 平均値に比べて特に有用ではなかった。IVR 値と患 ないことが示唆された。これまでは単回投与後の全 者年齢(1.5 ∼ 67 歳)との間に明らかな関連はみら FVIII:C 曲線または全 FIX:C 曲線を求めることに れなかった。一方,FIX 製剤では,同一患者内の変 よって,凝固因子製剤の投与量を調節することが正 動(平均値)は患者間の変動よりも小さかったもの しいとされてきた。しかし, 本研究で得られた知見は, の,IVR 値と年齢(13 ∼ 69 歳)との間には有意な正 試験投与により得られた IVR 値に基づいて個々の患 の相関が認められた。これらのデータから,年齢別 者の FVIII 製剤投与量または FIX 製剤投与量を調節 の平均値を使用することと比べた場合,個々の IVR できるという推論を支持しなかった。 Abstract: E. A. Chalmers, et al. Abstract 重症血友病 A 患児における第 VIII 因子製剤の早期投与が及ぼす インヒビター出現への影響 Early factor VIII exposure and subsequent inhibitor development in children with severe haemophilia A E. A. Chalmers, S. A. Brown, D. Keeling, R. Liesner, M. Richards, D. Stirling, A. Thomas, V. Vidler, M. D. Williams and D. Young on behalf of the Paediatric Working Party of UKHCDO 最近の研究で,血友病患者におけるインヒビターの 例(9%) 。全例を対象とした場合には,インヒビター 出現は, 生後 6 ヵ月以内に初めて第 VIII 因子(FVIII) 出現頻度と初回投与時年齢との間に有意な逆相関の 製剤を投与された場合に最も頻度が高いと報告され 関係が認められたが(p = 0.018) ,初回投与時期を た。今回我々は,新生児期に初めて FVIII 製剤を投 生後 1 年以内に限定した場合には有意な関連は認め 与された血友病患児での小児期におけるインヒビター られなかった( p = 0.44) 。高力価インヒビターをもつ 出現について調査するとともに,遺伝的因子や他の 患児に限定した検討でも,結果は同様であった。また, 環境因子の影響について検討した。重症血友病 A 患 イントロン 22 の遺伝子変異をもつ 144 例のみを対象と 児 348 例を対象とした。348 例中 68 例(20 %)でイ した検討でも有意な関連はみられなかった。初回投与 ンヒビターが出現し,34 例(10%)で高力価インヒビ 時に遺伝子組換え型 FVIII 製剤を投与された患児で ターが認められた。インヒビター出現と初回投与時年 齢との関係は次の通りであった ― 生後 1 ヵ月齢未 は血漿由来 FVIII 製剤*を投与された患児に比べてイ 満:35 例 中 9 例(26 %) ,1 ∼ 6 ヵ月:51 例 中 13 例 な分子異常をもつ患児での出現頻度も高かった( p = (25 %) ,6 ∼ 12 ヵ月:130 例中 27 例(21%) ,12 ∼ 18 ヵ月:66 例中 13 例(20%),18 ヵ月超:66 例中 6 0.009)。本研究では,製剤の初回投与時期が生後 1 年以内の場合,新生児期に初めて FVIII 製剤を投与 * された患児で,インヒビター出現頻度が高いという結果 監修者註:高度純化 FVIII 単独製剤と VWF を含有する中間型 濃縮製剤の双方を含んでいる。 Haemophilia (2007), 13, 149–155 ©Blackwell Publishing Ltd. 28 ンヒビター出現頻度が高く( p = 0.006) ,また,重大 は得られなかった。インヒビター出現に関係する最も重 要な因子は,初回投与時における遺伝子組換え型 FVIII 製剤の使用と重大な分子異常の存在であった。