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論文紹介

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論文紹介
論文紹介
リアルタイム画質評価装置
映像情報メディア学会誌,Vol.54, No.11, pp.1623∼1630(2000)
西田泰章1,合志清一,伊藤泰宏1,大西弘幸1,内海要三,
浅井光太郎 2,西川博文 2,黒田慎一 2,安田吉男 2
(所属:1 技術局、 2 三菱電機)
デジタル圧縮伝送は単独ではわずかな画質劣化であっても,デジタル放送や圧縮記録など,複数のデジタル圧縮を併用するこ
とにより,互いに影響しあい,結果的に画質劣化が増大する。画質劣化の程度は,主観評価により測定されてきたが,数種類の
画像の劣化を測定するだけでも膨大な労力を要するため,客観的に計測する手法が研究されている。筆者らは,人間の視覚特
性が,明るさに依存して感度特性が変化する事に注目し,複数のデジタルフィルターを輝度に応じて切り替える手法を考案した。
この手法を基に客観評価装置を開発し,多数の画像で主観評価実験の結果と本装置の測定結果と比較検討を行った。その結果,
両者は良く一致しており,本装置で再現性のある客観的な評価結果を得られることが示された。本装置の開発により,デジタ
ル圧縮符号化画像の品質が放送用として望ましい基準を満たしているか否かを,リアルタイムで監視する事が可能となった。
DC形PDPを用いた時分割2眼立体表示法におけるクロストーク妨害とその改善
映情情報メディア学会誌,Vol.55, No.3, pp.439∼446(2001)
浜田宏一,山本敏裕,栗田泰市郎,高野善道,湯山一郎(NES),村上 宏
ハイビジョン用PDPと液晶シャッターメガネを用いる時分割立体表示システムの検討を行っている。これまでの実験の結果,
現状のPDPでは左右の画像間のクロストーク妨害がCRTより目立つことが判明している。この妨害は,主にPDPに用いられてい
る蛍光体の残光特性によって生じている。本論文では,蛍光体の残光時定数とクロストーク量との関係を理論計算により定量
的に示すとともに,測定値と比較し,PDP時分割立体表示に求められる蛍光体の残光特性について明らかにした。また,クロス
トーク妨害を信号処理により改善する手法(クロストークキャンセラー)を提案し,その有効性を主観評価実験により確認した。
その結果,提案手法によれば,現状のPDPでも絵柄によっては許容限以上の画質で立体表示可能であることが明らかになった。
Optical Injection Locking of a 38-GHz-Band InP-Based HEMT Oscillator
Using a 1.55 -μm DSB-SC Modulated Lightwave
IEEE Microwave and Wireless Components Letters, Vol.11, No.1, pp. 19∼21, Jan.(2001)
古田浩之,前田幹夫(TAO)
,野本俊裕,小林 淳(東海大),川崎繁男(東海大)
無線信号の光伝送やアレーアンテナなどへの応用を目指し,光とマイクロ波/ミリ波とを融合させた光変調や受光に関わる研
究開発が進められている。本論文では,1.55μm帯の光波に感度がある38GHz帯InP HEMT MMIC発振器に着目し,この発振器
と1.55μmの光源を用いて行った光注入同期実験について述べた。発振器の光注入同期とは,発振器に照射された光波で搬送さ
れたミリ波信号により発振器の周波数および位相雑音が同期制御されることを指す。ミリ波信号の光変調方式として2つの方
式:強度変調(DSB);抑圧搬送波(DSB-SC)を検討した。DSB-SCは,ミリ波信号を光伝送する際に問題となる光ファイバーの
波長分散による劣化を受けにくく,発振器の半分の周波数での注入同期が可能となる方式である。その結果,光変調方式が異
なっても光注入同期動作および性能には大差がないことがわかった。また,DSB-SCにおいて,位相雑音 −73.2dBc/Hz,ロッ
キングレンジ14MHzの同期動作を得た。
*1 HEMT:High Electron Mobility Transistor
*2 MMIC:Monolithic Microwave Integrated Circuit
Tunable Optical Band-Pass Filter for Video-Routing Networks Using Dense
Wavelength Division Multiplexing
SMPTE Journal, Vol. 110, pp.103∼106, Feb.(2001)
遠藤洋介,齋藤貴昭(松山放送局)
,前田幹夫(TAO)
DWDM(Dense Wavelength Division Multiplexing)技術を用いた映像ルーティングネットワークは,大容量映像の伝送と高速な
映像選択を光信号のまま効率的に行う映像ネットワークとして期待されている。このネットワークの重要な構成要素である,
狭帯域高速波長可変光フィルターの構造を提案し,波長選択特性を数値解析した。光フィルターの狭帯域化と,波長可変応答
の高速化を同時に実現するため,透過特性がわずかに異なる2個のFP(Fabry-Perot)型光導波路フィルターを縦続接続する構
造を示した。FP型光導波路フィルター内部の導波路伝搬損失が透過特性へ与える影響を検討し,透過特性の決定に重要なパラ
メーターである,導波路長と導波路端面反射率が取り得る実用的な範囲を明らかにした。また,波長選択特性を厳密に評価す
るため,光源の波長変動と,すべての漏れ光による受信特性劣化を考慮して数値解析を行った。光フィルターのパラメーター
を最適化することにより,0.1nm間隔で128波多重したDWDM信号から,希望する1波長の信号を良好に選択受信できることを
明らかにした。
NHK 技研 R&D/ No.68/2001.7
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