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本文 - J
分 娩 後 の 雌 豚 に 対 す る ポ ビ ド ン ヨ ー ドの 子 宮 内 注 入 が
膣 内 所 見,発
加藤
情 回 帰,受
胎 に 及 ぼ す 影 響
真*森 好政晴*中 尾敏彦*河
田啓一郎*
(平成元年10月27日受理)
Effect of Intrauterine Infusion of 2% PVP-I Solution on the Reproductive
Performance in Post-farrowing
Sows
MAKOTOKATO, MASAHARUMORIYOSHI,TOSHIHIKONAKAOand KEIICHIROKAWATA
(School of Veterinary Medicine, Rakuno Gakuen University, Ebetsu, Hokkaido 069)
SUMMARY
One
hundred
treatment
tion
was
treated
infused
Vaginal
into
the
vagina
using
was
The
postpartum
of
remaining
69
73
randomly
sows,
assigned
100
sows
ml
were
of
to
2%
allotted
the
PVP-I
to
solu-
the
non-
for
bacteria
times
taken
bacterial
in
and
three
were
weekly
treatment
number
of
intervals
the
examination.
the
the
at
through
group
bacteria
using
speculum
The
existing
during
two
cultured
a special
from
the
rate
of
weeks.
were
also
glass
cervical
ex-
pus
in
the
in
the
in
the
Decreases
of
significant
group.
treatment
from
group
significant
(p<
weaning
and
7.6 •}
0.05).
farrowing
results
or
suggest
in
weaning
estrus.-J.
to
4.8
stimulating
litter
no
first
in
estrus
the
was
control,
significant
5.9 •}
the
2.9
days
difference
differences
(average •}
between
were
S.
the
obtained
in
D.)
groups
the
being
conception
size.
that
the
the
days
However,
rate
effective
uterine
uterine
infusion
of
involution
PVP-I
and
in
to
Jpn.
要
2%ポ
were
group
the
out
swabs
decreased
of
interval
These
days
treatment
while
carried
Culturette®
rate
experiment
8
the
uterus,
Vaginal
significantly
detecting
to
In
group.
examination
os
0
groups.
speculum.
ternal
sows
control
control
cylinder
rate,
forty-two
and
early
prevent
Vet.
postparturient
delay
Med.
of
Assoc.,
sows
recurrence
43,
may
of
83-87
宮 内注 入 が,豚 の 分娩 後 の子 宮 修 復 と離 乳 後 の 繁 殖
成 績 の 向 上 に有 効 で あ るか ど うか を 明 らか に す るた め に,分 娩 後8日 以 内 の繁 殖 雌 豚142頭
置 群69頭
(1990).
約
ビ ドン ヨー ド溶 液(PVP-1)100ml子
為 にPVP-1処
be
post-
と無 処 置 対 照群73頭
を無 作
の2群 に区 分 して 試 験 を 行 った.
分 娩 後,初 回 検 査 時 か ら1週 間 間 隔 で 合 計3回 行 った検 査 で,膣 内膿 汁 存 在 率,外 子 宮 口付 近 の
ス ワ ブ検 査 に よ る細 菌 検 出率 お よ び検 出 細 菌数 は,処 置 群 に お いて 有 意 に減 少 した(p<0.05).
離 乳 後,発 情 回帰 日数 は処 置 群 で5.9±2.9日(平
群 にお いて 有 意 に短 か った(p<0.05).し
均 ±標 準 偏 差),対
照 群 で7.6±4.8日
と処 置
か し,受 胎 率,分 娩 率 お よび 産 子 数 に っ い て は,両 群 間
に有 意 差 はな か った.
以 上 の 結 果 か ら,分 娩 後早 期 の子 宮 内PVP-1注
入 は,子 宮 修 復 の促 進 と離 乳 後 の 発 情 回帰 遅 延 の
防 止 に有 効 で あ る こ とが 示唆 さ れ た.
豚 において分娩後 の子宮内細菌感染 に起 因す る産褥期
疾 患の発生 は,そ の後 の繁殖成績の低下につなが り,養
*酪
農 学 園 大 学 酪 農 学 部(北
海 道 江 別 市 文 京 台 緑 町582)
豚 経 営 に大 きな影 響 を与 え て い る.
これ を未 然 に防 ぐた め の一 手 段 と して 分 娩 後 の 子 宮 内
へ 薬 物 を注 入 す る方 法 が あ り,そ れ に は主 に抗 生 物 質 が
用 い られ,良 好 な 成績 が得 られ て い る1,3,7,10,12,13,18,19).
Key
Words:繁
殖 雌豚
ポ ピ ド ン ヨ ー ド溶 液,腔
分 娩 後 子 宮 修 復,繁
日 獣 会 誌4383∼87(1990)
乳 牛 で は,ヨ ー ド系 子 宮 内 注 入 薬 と して2%ポ
検 査,
ン ヨー ド溶 液(PVP-1)が
殖 成 績.
― 83―
ビド
分 娩 後 の子 宮 修 復 の促 進 や 子
分 娩 後 の 雌 豚 に 対 す る ポ ビ ド ン ヨ ー ドの 子 宮 内 注 入 が 腟 内 所 見,発 情 回 帰,受 胎 に 及 ぼ す 影 響
宮 内 膜 炎 の 予 防 お よ び治 療 の 目 的 で 広 く応 用 さ れ て い
康 豚142頭(LW67頭,L8頭,W2頭LD2頭,
る15)が,豚 で は これ を用 い た報 告 は清 間 ら10)と松 浦13)に
WL2頭,そ
よ って な さ れて い る のみ で,そ の効 果 に つ い て は十 分 に
無 作 為 に処 置 群(PVP-1注
解 明 さ れ て は い な い.
照 群73頭
そ こで 著 者 ら は,PVP-1が
分 娩 後 の 子 宮 修 復 に対 し
て 有 効 で あ るか ど うか を,腟 内 肉眼 所 見 お よ び ス ワ ブに
よ る細 菌 学 的 所 見 に基 づ い て判 定 す る と と もに,そ の後
2)供
験 を 行 っ た.
で,1頭
1)供
試
料
お
よ
び
方
ポ ビ ドン ヨー ド20mg含
に っ き100mlを
工 業 株式 会 社)を,そ
豚
か ら6月 の 間 に分 娩 後8日
間 の範 囲 で あ った.
動 物 用 イ ソ ジ ン液(1
有 ・明 治 製 菓 株 式 会 社)
注 入 した.注 入 器 具 は 高 坂
ら11)に準 じ,注 入 管 に は牛 人工 授 精 用 シー ス管(富 士 平
法
の ス タ イ レ ッ ト(中 芯)に
性 の あ る長 さ45cm,直
札 幌近 郊 の2養 豚 場 で飼 育 され て い る繁 殖 雌 豚 の うち,
1986年3月
お よ び無 処 置 対
試 薬 お よ び 注 入 器 具
子 宮 内 注 入 に用 い たPVP-1は
ml中
供 試 した 。 こ れ らを
入 群)69頭
に区 分 した.な お,こ れ らの 養 豚 場 の哺 乳 日
数 は,お おむ ね3∼4週
の 繁 殖 成 績 に及 ぼ す影 響 を も明 らか にす る た めに 臨床 試
1.材
の他 の 雑 種61頭)を
以 内 に あ っ た健
棒(自 家 製)を,ま
径3.5mmの
は弾 力
塩 化 ビニ ー ル製 の
た注 入 器 に は50mlデ
ィス ポ ー ザ ブ
ル シ リン ジ(ニ プ ロ)を 使 用 した.
3)PVP-1の
PVP-1の
子 宮 内 注 入 方 法
子 宮 内 へ の注 入 は,外 陰 部 を 洗 浄 ・消 毒 後,
滅 菌 済 み の ス タ イ レッ トを装 着 した シー ス管 を,先 端 が
子 宮 体 付 近 に まで 達 した こ とを 直腸 検 査 に よ り誘 導 確 認
した の ち,ス タ イ レ ッ トを抜 き,あ らか じめ 体 温 程 度 に
温 め たPVP-1を
入 れ た50mlシ
リ ン ジ2本 を1本
ずつ
シー ス管 に連結 して行 った.
4)腟
検
査
腟 検 査 は,外 陰部 を洗 浄 ・消 毒 後,乾 熱滅 菌 済 み の長
さ20∼25cm,外
鏡(自 家 製)(写
径3cmの
真1)を
筒 状 硬 質 ガ ラ ス製 豚 用 月
室
腟 内 に挿 入 し,腟 内 の 濃 汁 の
有 無 を確 認 した.
写 真1腟
検 査 に使用 した硬 質 ガ ラス製 豚用 腟 鏡
(自家 製)写 真 下 は滅 菌 済 の もの
腟 内 の 細 菌 検 査 の た め の ス ワ ブ は,腟 鏡 挿 入 時 に
CULTURETTE(R)(Marion
Scientinc社)の
一端 を大
腟検 査 回(分 娩 後 日数)
写 真2硬
質 ガ ラス製 豚 用腟 鏡 に よ る腟 検 査 時 に み
られ た腟 内 の膿 汁
―84―
図1PVP-1処
置 群 お よ び対 照 群 の 腔 内 肉 眼 検 査 に
お け る膿汁 存 在 率 の推 移
加藤
型 コ ッフ ェ ル鉗 子 で 挟 み,ガ
真
森好政晴
ラス製 膣 鏡 の 内腔 を通 して
中尾 敏 彦,ほ か
注 入 直前)か
ら1週 間 間 隔 で2回,合
外 子 宮 口付 近 か ら直 接 採 取 した.
採 取 した ス ワ ブ は,5%馬
2.成
血 液 加TSA培
計3回 行 った.
績
地 およ び
DHL培
地 に そ の ま ま接 種 し,細 菌 培 養 検 査 を 行 っ た.
1)膣
5%馬
血 液 加TSA培
膣検 査 時 に膿 汁 を認 め た もの(写 真2)の
DHL寒
地 は,5%CO2下
天 培 地 は37℃24時
で37℃24時
間,
間 培 養 し,菌 種 の 同 定 と菌
数 の算 定 を行 っ た.な お,嫌 気 性 培 養 は行 わ な か った.
これ らの 検 査 は,初 診 時(処
内
の
肉
眼
検
所
見
割 合 を検 査
回 数 別 に比 較 した と こ ろ,処 置 群 にお け る1回 目,2回
目お よ び3回
目の 腔 内 の 膿 汁 存 在 率(膿
査 頭 数)は77.9%,42.4%お
置 群 に つ いて はPVP-I
査
れ ぞ れ64.3%,64.3%お
汁 陽 性 頭 数/検
よ び37.3%,対
よ び55.4%で
照群 で は そ
あ り,処 置 群 に
お いて 膿 汁 存 在 率 の 有 意 な低 下 が 認 め られ た(p<0.05)
(図1).
2)膣
内 ス ワ ブ の 細 菌 検 査 所 見
(1)細 菌 検 出 率(細 菌 陽 性 頭 数/検 査 頭 数):外
子宮
口付 近 の ス ワ ブ検査 に よ る細 菌 検 出率 は,処 置 群 で は,
1回 目,2回
目お よ び3回 目 に お いて80.0%,45.5%お
よ び43.6%で
あ り,対 照 群 で は そ れ ぞ れ70.0%,62.0%
お よ び56.0%で,処
置 群 に お い て 細 菌 検 出 率 の有 意 な
低 下 が認 め られ た(P<0.05)(図2).
(2)細 菌 数 の 推 移:細 菌数 に つ い て は,菌 種 に関 係 な
く培 地 に 出現 した コ ロ ニー数 を+++,++お よ び+で 概 算 の
菌 数 を表 現 し,そ れ ぞ れ に3点,2点
お よ び1点 の数 値
を与 え,そ の合 計 を両 群 そ れ ぞ れ 初 回検 査 時 を100%と
し,2回
目,3回
目検 査 時 にお け る推 移 を表 わ した.処
置 群 で は 初 回 検 査 に 対 して,2回
33.5%で,対
スワブ採取 回(分 娩 後 日数)
図2
目43.6%,3回
照 群 で は それ ぞ れ81.5%と76.2%で
目
あ り,
処 置 群 に お い て 細 菌数 が 有 意 に 減 少 した(p<0.05)(図
PVP-1処 置 群 お よ び 対 照 群 の膣 内 ス ワ ブ検 査
に お け る細菌 検 出率 の推 移
3).
(3)分 離 さ れ た菌 種 と それ らの 検 出 率:初 回膣 検 査 時
の ス ワ ブよ り分 離 さ れ た主 な菌 種 と それ らの 検 出 率 を 表
1に 示 した.両 群 に お け る分 離 菌 種 お よび そ れ らの検 出
率 に は大 きな 差異 は な く,ま た細 菌 が 検 出 され な か った
例 の割 合 は処 置 群 で25.4%,対
照 群 で34.8%で
あ った
(表1).
表1PVP-1処
置群 お よ び対 照群 にお け る初 回 検 査
時 の 膣 内 ス ワ ブか らの検 出 菌種 と それ らの検 出率
スワブ採 取 回(分 娩 後 日数)
図3PVP-1処
置 群 お よ び対 照 群 の 腔 内 ス ワ ブ検 査
にお け る細 菌 数 の推 移
注)*:例
―85―
数
分 娩 後 の 雌 豚 に 対 す る ポ ビ ド ン ヨ ー ドの 子 宮 内 注 入 が 腟 内 所 見,発 情 回 帰,受 胎 に 及 ぼ す 影 響
表2PVP-1処
の比 較
置 群 お よ び対 照 群 に お け る繁 殖成 績
率 の推 移 をPVP-1処
置 群 と無 処 置 対 照 群 で 比 較 した と
ころ,腟 内 膿 汁 存在 率 は処 置 群 に お いて 有 意 に早 く低 下
した こ とか ら,PVP-1注
入 に は分 娩 後 の 子 宮 の 修 復 を
早 め る一 要 因 と考 え られ る微 生 物 の 増 殖 抑 制 効 果 の あ る
こ とが 示 唆 され た.
2)腟
内 ス ワ ブ の 細 菌 検 査 所 見
河 田8)は,子 宮 炎-乳 房 炎-無 乳 症 症 候 群(MMA)
の 最 も重 要 な発 生 要 因 は産 褥 期 に お け る不 適 当 な管 理,
非 衛生 お よ び感 染 で あ り,ま た 子宮 内膜 炎 は分 娩 後 の細
菌 の子 宮 内侵 入 が主 な要 因 とな り得 る と述 べ て い る.本
実験 に お い て分 娩 後 の外 子 宮 口 か ら高 率 に細 菌 が検 出 さ
注)*:平
均 ± 標 準 偏 差(n=例
**:42日non-return法
れ た こ とか ら,産 褥 期 の細 菌 感 染 が 考 え られ,こ
数)(a-b:p<0.05)
に よ る***:陽
MMAあ
性 例 数
/供 試 例 数
れが
る い は子 宮 内膜 炎 の発 生 原 因 と な り得 る可 能 性
を 示 唆 して い る.子 宮 内PVP-1注
入 の 結 果,細
菌検出
率 お よ び細 菌 数 が 処 置群 に お い て有 意 に減 少 して い るが,
3)繁
殖 成 績 に 及 ぼ す 影 響
この こ と はPVP-1注
(1)離 乳 後 の 発 情 回帰 日数:離 乳 後 の発 情 回 帰 日数 は,
処 置 群 で は5.9±2.9日(平
で は7.6±4.8日
均 ±標 準 偏 差)で,対
照群
で あ り,処 置 群 が有 意 に短 か っ た(p
<0.05)(表2).
群 で100%,対
照 群 で98.6%で
で の受 胎 率 は,処 置
あ り,両 群 の 間 に有 意 差
は認 め られ な か っ た(表2).
89.0%で
娩 率:分
照群 で
あ り,両 群 の 間 に有 意 差 は 認 め られ な か っ た
(表2).
とStreptococcus属
とE.
い でCorynebacterium属
が 多 く検 出 さ れ た(表1).城
戸 ら9)
は分 娩 後 の1例 の 豚 の 子 宮 角 か ら ス ワ ブ採 取 を 行 い,
aureusとActinomyces
離 した と報 じ,FIVLIPOVとLARIOS5)も
内 か らEcoli,Streptococcus属
pyogenesを
分
分娩 後 の 豚 子 宮
お よ びStaphylococcus
属 を 分 離 した と述 べ て い る.他 の 報 告4,16)でも子 宮 内 か
(4)産 子 数:一 腹 産 子数 は,処 置 群 で は前 回 分 娩 時 の
10.8±2.4頭(平
均 ±標 準 偏 差)に 対 し,今 回,分 娩 時
は10.8±2.6頭,対
10.8±2.5頭
た(表2).ま
照 群 で は そ れ ぞ れ10.3±2.3頭
と
で あ り,両 群 間 に有 意 差 は認 め られ な か っ
た,前 回 分 娩 時 の産 子 数 に 対 す る割 合 に
つ い て も両 群 間 に有 意 差 は認 め られ なか った(表2)
3.考
1)腟
初 回 の 腟 内 ス ワ ブ か ら は,Staphylococcus属
Staphylococcus
娩 率 は,処 置 群 で91.3%,対
入 は細 菌 増
殖 の防 止 にか な り有 効 に作 用 して い る もの と考 え られ る.
coliが 最 も多 く検 出 さ れ,次
(2)受 胎 率:42日non-return法
(3)分
入 の 殺 菌 効 果 を 示 唆 して い る もの
で あ り,分 娩 後 早 期 の子 宮 内 へ のPVP-I注
内
の
肉
検
査
豚 の腟 検 査 に つ いて は,BOLLWHAN2)が
てか な り高 い信 頼性 が あ る もの と考 え られ る.
3)PVP-I子
宮 内注 入 と その 後 の 繁 殖 成 績 との 関 連 性
分 娩 後 の子 宮 が 修 復 す る た め に は,25∼35日
が必 要
と いわ れ て い る13,17)が,通常 この期 間 は哺 乳 期 に相 当 す
.
るの で 離 乳 時 に は ほ ぼ子 宮 の 修 復 が 終 了 して い る もの と
察
眼
ら これ らの菌 種 が 分 離 され て い る の で,本 実 験 で 行 った
外 子 宮 口 の ス ワ ブ検 査 は子 宮 内 の汚 染 度 を知 る手 段 と し
考 え られ る.し か し,早 期 離 乳 を 行 った場 合,あ
所
見
るい は
何 らか の理 由 で子 宮 修 復 が 完 全 で な い状 態 で離 乳 した場
卵巣嚢腫 など
合 に は,子 宮 修 復 の遅 延 が 離 乳後 の 発情 回帰 日数 に悪 影
の診 断 に有 用 で あ る こ とを 述 べ て い るが,わ が国 で は あ
響 を及 ぼ す ばか りか,交 配 後 の受 胎 率,分 娩 率 お よ び産
ま り実 施 され て お らず,わ ず か に子 宮 内膜 炎 の治 療 に関
子 数 の低 下 に もつ なが る もの と考 え られ る.本 実 験 に お
連 して,牛 用 腟 鏡 を 改良 した もの を用 い腟 検 査 を行 った
け る腟 検 査 の 結 果 か ら,PVP-I注
記 述10)があ る の み で あ る.本 実 験 で,硬 質 ガ ラ ス製 豚 用
復 過 程 に お け る子 宮 内環 境 の 改善 に か な り の効 果 が あ る
入 が 分 娩 後 の子 宮 修
腟 鏡 を 使 用 した と ころ,外 子 宮 口 が容 易 に確 認 で き,膿
こと が推 察 され たが,分 娩 後 の繁 殖 を開 始 す る起 点 と な
汁 の 漏 出 状 況 も きわ め て 明 瞭 に観 察 す る こ とが で きた.
る離 乳 後 の発 情 回 帰 ま で の 日数 につ いて も対 照 群 に比 べ
ま た,本 腟 鏡 は挿 入 が容 易 で,豚 に対 す る危 険 性 も皆無
平 均1.7日 短 か っ た こ とか ら,PVP-I注
で あ った.さ
遅 延 防 止 の うえ で効 果 が あ る もの と思 わ れ る.
らに製 作費 用 が安 い た め,多 数 準 備 して お
き滅 菌 済 み の もの を1頭
ごと に使 用 す る こ とが で き,こ
受 胎 率,分 娩 率 お よ び産 子 数 につ いて は処 置 群 と対照
の こ とが 豚群 衛生 上 きわ め て理 想 的 で あ る.
群 の間 に有 意 差 が認 め られ なか っ た理 由 と して,第1に
分娩 後 の子 宮 の修 復 状 態 を臨 床 的 に推 察 す る手 段 と し
て,ガ
入 は発 情 回 帰 の
ラス製 腟 鏡 を用 い て腟 検 査 を行 い,腟 内膿 汁 存 在
― 86―
本 試 験 に用 いた 供試 豚 群 は元 来 繁 殖 成 績 の良 好 な もの で
あ っ た こ と,第2に
本 試 験 は繁 殖 成 績 が 低下 しや す い夏
加藤
期6,14)ではな く3∼6月
真
森好政晴
に実 施 され た こ とな ど が 関 係 し
て い るの か もわか らな い.
中尾 敏 彦,ほ か
4)
BRUMMELMAN,B.:
Congr., 56 (1980).
5)
FILIPOV, M. M. and LARIOS, F.:
Vet. Soc. Congr., 204 (1982).
6)
池 田 勝 俊,
以 上 の こ と か ら,分 娩 後 早 期 の 子 宮 内 へ のPVP-1注
入 は,分 娩 後 の子 宮 内 の細 菌 増 殖 の 防止 に効 果 が あ る と
185
考 え られ,そ の結 果 子 宮 修 復 過 程 にお いて 子宮 内環 境 が
改 善 され,離 乳 後 の発 情 回 帰 の遅 延 防 止 に も有 効 で あ る
こ とが 示 唆 され た.
7)
稲 庭 政 則:
8)
河 田 啓 一 郎:
稿 を終 え る に あ た り,供試 豚 を提 供 くだ さ った 札 幌郡
9)
満 氏 に 感 謝 申 しあ げ る と と もに,細 菌 検 査 を 実 施
して い た だ い た本 学 獣 医 伝 染 病 学 教 室 の各 位 に深 謝 す る.
農 業 共 済 組 合 の高 坂 嘉 孝 先 生 に 拝 謝 す る.
引 用
2)
3)
文
献
BACKSTROM,L., MORKOC, A. and JOHNSON, W.:
Proc. 6th Int. Pig. Vet. Soc. Congr., 70 (1980).
BOLLWAHN,W.: Proc. 2nd Int. Pig. Vet. Soc. Congr.,
59-67
(1972).
BOLLWAHN,W., UEBERSCHAR,S. and MATTHEIS, H.
-Chr .: Proc. 6th Int. Pig. Vet. Soc. Congr., 68
(1980).
Pig.
Vet. Soc.
Proc. 7th Int. Pig.
梅 木 栄 一:
日 豚 研 誌,
24, 183∼184
(1970).
19,
豚 病 学,
熊 谷 哲 夫,
第3版,
527∼529,
城戸
波 岡 茂 郎,
丹羽太
656∼663,
近代
東 京 (1987).
洋,
10)
清 間
浜 名 克 己,
通,
宮 脇 公 平,
20, 73∼78
11)
新 城 敏 晴:
第35回
日豚研大
遠 藤 敏 章,
ほ か:
日 豚 研 誌,
(1983).
高 坂 嘉 孝,
池 宮 秀 文,
田 中 功 一:
家 畜 診 療,
19∼
22(1986).
12)
正 国 栄 敏:
家 畜 診 療,
13)
松 浦 栄 次:
ふ お-な
14)
長 野 錬 太 郎,
15)
中 尾 敏 彦:
獣 畜 新 報,
16)
嵯 峨 伸 彦:
酪 農 学 園 大 学 紀 要, 10, 304∼322
17)
真 田
武:
森
第37回
31∼33
(1980).
す,
5, 1∼7
淳:
日 豚 研 誌,
31∼35
(1985).
12, 152
(1975).
(1982).
日 豚 研 大 会 講 演 要 旨,
(1984).
21∼23
(1982).
18)
VARADIN, M., NIKOLIC, P., Jovic,
M., et al.:
Proc.
6 th Int. Pig. Vet. Soc. Congr., 69 (1980).
19)
山 本 輝 次,
34(1983).
―87―
Int.
会 講 演 要 旨, 9 (1981).
実 氏な らびに小
ま た,子宮 内 注 入 器 具 につ い て ご指 導 い た だ い た 沖 縄 県
1)
畜 産 の 研 究,
左 衛 門 ほ か編
広 島 町 の 古 川 雅 康 氏,千 歳 市 の小 牛 田
昇,
6th
(1982).
出 版,
牛田
小 山
Proc.
渡 辺 一 夫,
下 田 貫 三:
家 畜 診 療,
31∼
Fly UP