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「食品安全フォーラム」に係る質疑応答
「食品安全フォーラム」に係る質疑応答 1 放射性物質の健康への影響に関すること NO 1 質 問 回 答 妊婦の気をつけることを教え 妊娠中の赤ちゃんへの影響をご心配されるお気持ちをお察しします。 てほしい。 県内の被ばく状況であれば、胎児への影響を過度に心配する必要はな (30代女性・消費者) く、事故前と同じように過ごしていただいてよいと考えます。 ①世界各地の自然放射線による年間被ばく線量は平均で2.4 ミリシー ベルトですが、1~10 ミリシーベルトの幅があります。日本の年間平 均は1.5 ミリシーベルトと言われますが、これをはるかに超える地域 で暮らしている妊婦の胎児について明らかな影響は見られません。県 内における福島第一原発事故後1年間の被ばく線量は多くの地域で高く ても5 ミリシーベルトに収まる(※1)とされています。妊婦がこの範 囲の被ばくを受けたとしても胎児影響が生じるとは考えられません。 ②最も放射線の影響を受けやすい妊娠初期の頃であっても、胎児死亡 や奇形はおよそ100ミリシーベルト以上、重度精神遅滞はおよそ300ミ リシーベルト以上でないと生じず、また、免疫系への影響は数十ミリ シーベルト未満では起こらないとされています。 日本の原爆被爆者の追跡調査では、出生前に胎内で被ばくした子ども の場合、200ミリシーベルト未満では、小児(固形)がんや白血病の発 症率の上昇は見られていません。 一方、医療被ばくに関するデータでは、瞬間的に10 ミリシーベルト程 度の胎児被ばくがあると、小児白血病や小児がんのリスクが高まる可 能性があることが報告されています。しかしながら、これほどの被ば くを受けるX線検査は特殊で、すべてのX線検査が危険という訳ではあ りません。 ③体内にはカリウムという元素が多く存在しますが、その0.0117%は自 然の放射性カリウム(カリウム40)で、私たちの体は常にこのカリウ ム40によって年間で0.17 ミリシーベルト程度の内部被ばくを受けてい ます。そのため、胎児も恒常的に子宮内で被ばくを受けていますが、 これによる影響はありません。 ④市場に流通している食品中の放射性物質は含まれていたとしても僅 かで、妊婦、胎児ともに内部被ばくによる健康影響が生じるレベルで はないとされています。食品中の放射性物質を気にするあまり、食事 がひどく偏ってしまうことの方が心配です。福島第一原発事故以前と 変わることなく、バランスのよい食事を心がけてください。 追加被ばくを限りなくゼロに近づけるために無理をしたり、これまで の生活を大きく変えると、妊婦だけでなく胎児にとっても負担になる ことがあります。 どのような対応をとるにしても、被ばくを避けることの利益と不利益 とのバランスを考えることが重要です。 (※1)栃木県放射線による健康影響に関する有識者会議「栃木県にお ける放射線による健康影響に関する報告書」 http://www.pref.tochigi.lg.jp/e04/documents/documents/documents /report.pdf 1 NO 2 質 問 回 答 放射線による母乳への影響が 赤ちゃんへの影響を心配されてのご質問と思います。 心配である。 母乳に事故由来の放射性物質が含まれていたとしても微量であり、赤 (30代女性・消費者) ちゃんの健康に影響を及ぼすレベルではないとされています。放射線 による影響を懸念してミルク栄養に変更する必要はありません。 ①国立保健医療科学院より発表された「母乳中の放射性物質の濃度等 に関する調査について」(※1)によれば、2011年5月~6月にかけて宮 城、山形、福島、茨城、栃木、群馬、千葉、高知の108人のお母さん方 の母乳中の放射性物質の濃度を測定した結果、福島県以外の87人の母 乳については、放射性ヨウ素、放射性セシウムともに検出下限値以下 でした。一方、福島県内の21人のうち7人の母乳から放射性セシウムが 検出されたものの、セシウム134は3.5~6.4 ベクレル/kg(3人)、セ シウム137は2.0~6.7 ベクレル/kg(7人)の範囲でした。 ②もともと母乳や牛乳には天然の放射性カリウム(カリウム40)が含 まれており、赤ちゃんは常にこれを摂取しています。カリウム40の平 均値は母乳で15 ベクレル/kg、牛乳で50 ベクレル/kg程度(※2)とさ れています。これらの値は福島県内のお母さんの母乳から検出された 放射性セシウムの量よりも高いレベルですが、こうした被ばくによる 健康影響はありません。 [参考]母乳を1日に800gを1年間飲んだと仮定すると、0.27ミリシーベ ルトとなります。(15ベクレル×0.8kg×365日×0.000062(実効線量 係数0歳)=0.27ミリシーベルト) ③前述の調査結果に関して、日本医学放射線学会、日本産科婦人科学 会、日本周産期・新生児医学会などは合同でQ&A(※3)を作成してい ます。 これらの学会は、この調査で検出された放射性物質による放射線量は 健康に悪影響を及ぼす放射線量よりもはるかに少量であったこと、母 乳には子どもの成長に役立つ様々な成分が含まれることを考えると、 被ばくを心配して授乳を避けるよりも、授乳を続ける方がお子さんの 成長にとって重要であるとしています。また、放射性物質を含んだ食 品等による妊娠経過への影響や、母乳を介した赤ちゃんへの影響につ いて、日本産婦人科学会も見解(※4)を公表しています。こうした情 報も、母乳栄養を続けるかどうかをお考えになる上で、ご参考になれ ばと思います。 (※1)国立保健医療科学院「母乳中の放射性物質濃度等に関する調査 について」 http://www.niph.go.jp/soshiki/seikatsu/bonyuu_results.pdf (※2)鈴木元「正しい被曝医療Q&A50」(診断と治療社、2012) (※3)「母乳中放射性物質濃度等に関する調査」についてQ&A http://www.radiology.jp/uploads/photos/868.pdf (※4)日本産婦人科学会「食材中の放射性セシウムについて心配して おられる妊娠・授乳中の女性へのご案内」 http://www.jsog.or.jp/news/pdf/announce_20110721.pdf 2 NO 質 問 回 答 3 食品安全委員会資料の5ペー ジの中央にある「参考:実効 線量係数の例(経口摂取)」 の表で、セシウム137の所で ~7歳の係数が一番低く、ヨ ウ素やカリウムと違うがなぜ このような傾向になるのか。 (女性・消費者) 資料の実効線量は、国際放射線防護委員会(ICRP)が設定してい るものです。放射性セシウムは、体内に入ると排泄スピードの早い組 織と遅い組織(筋肉など)に分布します。年齢によって、この2つの 組織構成が変わります。幼少者の方が筋肉の割合が少ないため、放射 性セシウムは早く排泄されます。また、代謝スピードが早いです。 このため、放射性セシウムの場合は、年齢による生物学的半減期の差 が大きくなります。 これがセシウム137の実効線量係数の傾向(「~7歳」の年齢区分より も「~12歳」、「~17歳」、「18歳~」の年齢区分の実効線量係数が 大きい)に影響していると思われます。 4 季節の食べ物として食べてし まったキノコ類などは、から だに問題などはないのか。特 に子ども、妊婦について。 (女性・教育関係者) 食品から受ける内部被ばく線量は、 ①食品中にどれくらいの放射性物質が含まれているか ②その食品をどれだけ食べたか ③生物学的半減期はどれくらいか によって決まります。生物学的半減期は、体内に取り込まれた放射性 物質が排泄され、取り込んだ量の半分に減るまでに要する時間であ り、年齢によって異なります。 どんなきのこをどれくらい食べたかわかりませんので、あくまで仮定 に基づいて内部被ばく線量を試算してみます。 平成24年7月に栃木県内で採取された野生きのこのうち放射性セシウム の量が多かったものとして、ちちたけ(ちたけ)の3,000 ベクレル/kg (セシウム134が1,160 ベクレル/kg、セシウム137が1,820 ベクレル /kg)がありました。 仮にこのちちたけを1kg(1食に約30g、30食食べた程度の量)食べた場 合に受ける内部被ばく線量は0.046ミリシーベルト(※)になり、胸部 単純X線写真を1回撮影した場合に受ける線量と同じか少し少ないくら いです。実際にはこれほどの量を食べることはないと思いますので、 もし食べたとしても受ける線量はずっと少なくなると推察されます。 このレベルの線量であれば、子どもであれ妊婦(胎児)であれ、健康 に明らかな影響が生じるとは考えられません。 (※)1,160 ベクレル/kg×1 kg×1.9×10-5(実効線量係数18歳以 上) ミリシーベルト/ベクレル+1,820 ベクレル/kg×1 kg×1.3×105 (実効線量係数18歳以上)ミリシーベルト/ベクレル≒0.046 ミリ シーベルト しかし、放射線防護上は「避けられる被ばくは避けた方がよい」とい うのが一般的な考え方です。「少量だったら食べても平気」と安易に 考えず、食べる前に検査を受けてください。 野生きのこについても、栃木県はモニタリング検査を実施し、基準値 を超えた場合には、直ちに県から出荷自粛等の要請を行い、基準値を 超えるものが流通しないように対応しています。 また、検査結果は県のホームページ等で随時お知らせしていますの で、参考にしてください。 ・「栃木県内の農産物の放射性物質検査結果一覧(作物別)」【栃木 県】 http://www.pref.tochigi.lg.jp/kinkyu/y00/nousan_sakumotu.html 3 NO 質 問 5 ・既存の空間線量と更に加 わった外部被ばくを併せた合 計被ばく量のリスクも知りた い。(女性・消費者) ・内部被ばくは、外部被ばく とどのような違いがあるの か。食品により体内に放射性 物質を取り込むと、健康影響 が生じるのか。(女性・消費 者) 回 答 内部被ばくは、体内に取り込まれた放射線源(放射性物質)が出す放 射線から受ける被ばくです。放射性物質を吸い込んだり、放射性物質 を含む食品や飲料などを摂取することが原因になります。これに対 し、外部被ばくは体の外に存在する放射線源が出す放射線を浴びるこ とによる被ばくです。いずれの被ばくであっても、人体への影響の大 きさを表す「実効線量(単位:シーベルト)」に直して考えること で、同じようにその影響を考えることができますが、被ばく線量の計 算の考え方が異なります。外部被ばくではその時々に受ける線量を計 算するのに対し、内部被ばくではある時点で体の中に取り込まれてい る放射性物質によってその後、こどもであれば70歳になるまで、大人 であれば50年間に受ける合計の線量(預託実効線量)を計算します。 ただし、1ミリシーベルトの外部被ばくと1ミリシーベルトの内部被ば くが体に及ぼす影響は同じと考えます。 食品による内部被ばくであれ、環境中の放射線による外部被ばくであ れ、健康影響を生じるかどうかは、どのくらいの期間にどれだけの線 量に被ばくしたかによります。 内部被ばくと外部被ばく、両方を合わせた被ばく線量の影響を考える ためには、それぞれの実効線量を足し合わせる必要があります。 被ばく線量と健康影響の関係については、以下の文献を参考にしてく ださい。 ・「低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ報告書」 http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/info/twg/111222a.pdf 6 放射線というのは原発事故に よるものと自然界はまったく 同じ物なのか。自然界の放射 線は人体に影響は無いと思っ ている。学者によっては、同 じだと言う人とまったく別物 だと言う人がいるが、どうな のか。 (男性・食品事業者) 放射線(電離放射線)にはアルファ線、ベータ線、ガンマ線、X線、中 性子線などがあり、種類によって発生機序や人体への影響の大きさな どが異なります。しかし、自然由来であっても、人工(原発事故等) 由来であっても同じ種類、同じエネルギーの放射線であれば、被ばく による人体への影響は同じです。 また、自然放射線による被ばくであっても、細胞レベルでは生体の設 計図ともいうべきDNAの損傷が起こり得ます。DNA損傷はときに細胞の がん化を引き起こしますが、生体にはさまざまな防御機能(細胞レベ ルでのDNA修復、免疫によるがん細胞の除去など)が備わっているの で、がんにならずに済んでいると考えられています。 世界各地の自然放射線による年間被ばく線量は平均で2.4 ミリシーベ ルトですが、1~10 ミリシーベルトの幅があります。日本の年間平均 は1.5 ミリシーベルトと言われますが、これをはるかに超える地域で 暮らしている人々に明らかな影響は見られません。 参考までに、自然放射線の内訳は以下のとおりです。 ・食品による被ばく ・・・・・・・約0.41ミリシーベルト ・大気中等のラドン、トロンによる被ばく・約0.40ミリシーベルト ・大地放射線による被ばく ・・・・・・・約0.38ミリシーベルト ・宇宙線による被ばく ・・・・・・・約0.29ミリシーベルト ・合計 ・・・・・・・約1.5ミリシーベルト 4 2 放射性物質の新基準値に関すること NO 1 2 質 問 回 答 一般食品の基準値を、なぜ ①新しい基準値は、原子力安全・保安院の評価に基づき福島原発事故 100ベクレル/kgにしたのか。 により放出されたと考えられる核種の内、半減期1年以上の全ての核 (男性・生産者) 種を考慮しました。 ただし、放射性セシウム以外の核種は測定に時間がかかるため、個 別の基準値を設けず、放射性セシウムの基準値が守られれば、ストロ ンチウム90、プルトニウム、ルテニウム106からの線量の合計が1ミリ シーベルトを超えないよう計算しました。 ②さらに、国内に流通する全食品中の国内産の食品の占める割合を50% (日本の食料自給率が平成32年度まで50%目標)とし、国内産の食品が 基準値上限の放射性物質を含むと仮定しました。 ③飲料水の基準値については、WHOが飲料水の基準として放射性セ シウムのガイダンスレベルを10ベクレル/kgと示していることから、こ の値を基準値としました。 また飲料水の1日の摂取量は、WHOのガイドラインを踏まえ、1歳 未満の場合を除き、2リットルとしました。1歳未満については、個人 差が大きいことを踏まえ、同ガイドラインにおける体重10kgの児の値 である1リットリとしました。 (成人が毎日10ベクレル/kgの水を飲み続けた場合の摂取線量は) 10ベクレル/kg×2リットル×365日×0.0000163(対象核種合計線 量係数)=0.119ミリシーベルト≒0.12ミリシーベルト ④次に食品全体に割り当てられる年間線量については、コーデックス 委員会が年間1ミリシーベルトを採用したガイドラインを提示している ことを踏まえ、年間1ミリシーベルトに設定しました。このうえで、飲 料水に区分される食品の摂取による線量0.12ミリシーベルトを引くこ とで 一般食品に割り当てられる年間線量(0.88ミリシーベルト)を 100ベクレル(新基準値)に 求めました。 した時の限度値を決めた時の (1ミリシーベルト-0.12ミリシーベルト=0.88ミリシーベルト) 根拠を教えてほしい。摂取量 ⑤一般食品の基準値は、年齢などの違いによる影響をきめ細やかに評 (何をどのくらい)と換算係 価するため、年齢や性別、妊婦など10区分に分け、年齢区分別の食品 数も教えてほしい。(男性・ 摂取量や代謝等を考慮し、それぞれに限度値を計算し、限度値が最も 小さくなる年齢区分の値を元に設定しました。 消費者) ⑥一般食品から受ける線量が割り当てられた線量以下になるよう一般 食品1kg当たりの放射性物質の限度値を求めます。 (例:13~18歳 男性の場合) 0.88ミリシーベルト=X(ベクレル/kg)×374kg(年間の食品摂取 量の50%)×0.0000181(全ての対象核種の影響を考慮した実効線量係 数) X=120ベクレル/kg(3桁目を切り下げ) 上記を踏まえ、各年齢区分における「一般食品」の限度値を評価年ごとに算 出し、最小となる評価年の限度値は、13~18歳(男)が120ベクレル/kgであ り、さらに、想定外の食品摂取をしても安全が確保できるよう、介入線量を一 定の余裕を持たせるため、この値に安全側に切り下げた100ベクレル/kgを設 定しました。 ※飲料水以外の食品の1日の摂取量については、国民の平均値を用いるこ ととしました。 平均値は、(独)国立健康・栄養研究所がまとめた「摂取食品頻度・摂取量 調査の特別 集計業務・報告書」「国民健康・栄養調査」及び(財)環境化学 技術研究所が青森県において実施した「乳幼児の食品摂取実態調査」を参 照しました。以上、概要になりますが、以下の資料を御確認いただければと 思います。 ・「食品中の放射性物質に係る基準値の設定に関するQ&Aについて」【厚生 労働省】http://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/dl/120412_2.pdf ・「食品中の放射性物質に係る新基準値の誘導の考え方」 http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/giji/__icsFiles/afieldfile/2 012/01/13/1315036_5.pdf 5 NO 質 問 回 答 3 仮に食料自給率100%の人も、 御質問の主旨は、個人の食料自給率により食品中の放射性物質の基準 基準値は100ベクレル/kgと理 値がかわるのか、ということでお答えします。 解してよいか。 新基準値では、一般食品の基準値を100ベクレル/kgと設定していま す。これは国全体の食料自給率(平成32年度までに50%目標)の関係 から流通食品の半分(50%)が汚染されているという安全側の想定の 下に設定していますが、個人的に自給率が0%であっても100%であっ ても基準値は同じ100ベクレル/kgでかわりません。つまり、ここでい う自給率は国全体のことであり、個人的なことではありませんので、 個人的な自給率により変更になるものではありません。 4 厚生労働省の資料5ページ下 のグラフのmSv/yへの変換は どのようにして計算したの か。測定値は何で、仮定して いるのは何か。(男性・消費 者) mSv(ミリシーベルト)は、人間が放射線を受けた場合の影響を示す単 位で、mSv/y(ミリシーベルト/年)は、1年間の放射線による影響の 総和を表しています。ちなみに、セシウム137を含む食品を1kg食べた 時の放射線による人体影響の計算式は、100ベクレル/1kg×0.000013 (実効線量係数)=0.0013mSv(ミリシーベルト)となります。 このように計算し、1年間の放射性物質を含む食品を食べた時の影響の 合計がmSv/y(ミリシーベルト/年)となります。 日本における自然から受ける放射線の影響は、1.5ミリシーベルト/年 と言われています。 また、新しい食品の基準値設定の際の許容線量(1年間の放射線による 影響の総和)は1ミリシーベルト/年となっています。 5 新基準値100ベクレル/kg以下 に対して、スクリーニング検 査に必要な測定器の能力を検 出下限値が25ベクレル/kgと なっているが、この値に決 まった経緯を教えてほしい。 科学的根拠に基づいた説明を してほしい。 平成24年3月に改正された食品中の放射性セシウムスクリーニング法 では、測定下限値を25ベクレル/kg(基準値の1/4以下)と設定してい ますが、これは、スクリーニング法の目的が基準値より確実に低い検 体を判定するものであり、基準値の1/2のスクリーニングレベルを、 バックグラウンドが十分に低い状態で、正確に測定する観点から、測 定下限値をその1/2の25ベクレル/kgとしたものです。 6 500ベクレル/kgから100ベク レル/kgになった根拠は何 か。放射性物質と健康被害の 関連を示す科学的データはあ るのか。 (50代男性・生産者) これまでの暫定規制値に適合している食品は、健康への影響はないと 一般に評価され、安全性は確保されています。 平成23年9月と11月に東京都、宮城県、福島県で実際に流通している食 品を調査したところ、今後の食品からの放射性セシウムによる被ばく 線量(ストロンチウムは含まない)は、年間に換算して0.002~0.02ミ リシーベルト程度であり、年間1ミリシーベルトと比較しても大きく 下回っています。しかし、暫定規制値は、事故後の緊急的な対応とし て定められたものであったことから、より一層、食品の安全と安心を 確保する観点から、長期的な状況に対応する新たな放射性セシウムの 基準値を定めることとしたものです。 ・「食品中の放射性物質に係る基準値の設定に関するQ&Aについて」 【厚生労働省】 http://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/dl/120412_2.pdf 6 NO 質 問 回 答 7 生涯の追加累積線量100ミリ シーベルトは、暫定規制値で もクリアできるレベルなの か。 (男性・食品事業者) 暫定規制値による食品の流通管理であっても、生涯の追加累積線量が 100ミリシーベルトを超えることはないと考えます。 厚生労働省が、暫定規制値の下、平成23年9月及び11月に、東京都、宮 城県、福島県で実際に流通している食品を購入して調査した結果、食 品からの放射性セシウムの摂取量は、年間0.002~0.02ミリシーベルト と推定されており、これが追加の内部被ばく線量の多くを占めると考 えられます。これに対して、事故以前から自然界に元々存在し、か つ、食品などから日々摂取している放射性カリウムによる内部被ばく はおよそ0.2ミリシーベルト程度で、放射性セシウムの約10倍はありま す。 単純な仮定による計算が必ずしも正しいとは言えませんが、こうした 内部被ばくがずっと続くと仮定した場合、追加の累積線量が100ミリ シーベルトを超えるには最短でも100/0.02=5000年を要します。 8 厚生労働省資料の13ページ で、1年後(平成25年3月 頃)には、セシウム134が減 少する。つまり空間線量も下 がるのか。このとき以降は、 基準値を超える食品は一気に 下がると考えてよいか。下が るとすれば、どのくらい下が ると推定されるか。(男性・ 生産者) 9 セシウムが多いとストロンチ ウム、プルトニウムも多いと いう理解でよいか。比例関係 にあるのか。 ストロンチウムとセシウムの 移行係数が同じであるわけが ない。 測定しているのはセシウムだ けである。 セシウムが多ければストロン チウムもプルトニウムも多い ということか。 (男性) 物理的には、今回の事故で、おおまかにセシウム134と137が1対1の割 合で放出されたと仮定すると、新基準の測定対象であるセシウム134と 137の合計値について、セシウム134の半減期が2.1年であることから、 放出から約2年後には、3/4程度までその量が減少すると考えられます が、食品については、栽培条件等様々な要因がからむため、一概には 言えません。 基準値の設定において、食品の摂取で放射性セシウム以外の核種から の受ける量が、理論上、最大でどの程度になるかについて、土壌の汚 染濃度、土壌から農作物への放射性物質の移行のしやすさのデータな どから、年代別に計算しています。この中で、極めて安全側に立った ワーストケース(※)として19歳以上の場合、放射性セシウム以外の 核種からの線量は、全体の約12%と試算されます。 ※)放射性セシウム以外の核種からの受ける量は、放射性核種の物理 学的半減期の違いにより経年的に変化しますが、向こう100年分の計算 を行い最も受ける量が多くなる年を考慮しています。 このため、推計上、セシウムの量が多くなれば、他の核種の量も多く なる可能性はありますが、食品全体からの受ける量としては、実際に は想定しにくいワーストケースでも19歳以上で約12%以下に収まると いうことです。 7 NO 質 問 10 福島の事故では、100種類以 上の放射線がメルトダウンに より発生したと聞く。この状 況下、ヨウ素とセシウム以外 が問題にならないのか。ま た、その理由は。 特に、ストロンチウムはβ線 で体に入ると排泄性が低く、 骨髄で白血病の発生要因とな り易いと聞く。ストロンチウ ム90問題に関して、新基準値 を決定する上で考慮されたの か知りたい。 (男性・行政) 回 答 新しい基準値は、東京電力福島第一原子力発電所事故を受け、事故後 の長期的な状況に対応するものであることから、比較的半減期が長 く、長期的な影響を考慮する必要がある核種を対象としています。 具体的には、原子力安全・保安院の評価に基づき大気中に放出された と考えられる核種のうち、半減期が1年以上の核種すべて(セシウム 134、セシウム137、ストロンチウム90、プルトニウム、ルテニウム 106)としました。規制対象の核種のうち、セシウム以外の核種につい ては測定に非常に時間がかかることから、移行経路※ごとに放射性セ シウムとの比率を算出し、合計して年間1ミリシーベルトを超えない ように放射性セシウムの基準値を設定しています。 放射性セシウムとの比率の計算は、穀類、乳製品といった食品分類ご とに行っており、放射性物質の移行に関する食品ごとの特性も考慮し ています。 放射性ヨウ素については、半減期が短く、現在は食品からの検出報告 がなくなっていること、また、ウランについては、原発敷地内におい ても天然の存在レベルと変わりがないことから、いずれも基準値は設 定していません。 ※移行経路 http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syokuanzen/iken/dl/120117-1-03-01.pdf ・「食品中の放射性物質に係る基準値の設定に関するQ&Aについて」 【厚生労働省】 http://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/dl/120412_2.pdf 11 季節のもの(タラの芽、コシ より一層食品の安全と安心を確保する観点から、新基準値が設定さ アブラ等)は基準を曖昧にし れ、4区分された食品毎に放射性セシウムの基準値が設定されていま てもよいのではないか。(女 す。 性・教育関係者) 食品が基準値を超過した場合は、回収、廃棄処分されます。また、農 産物において基準値を超過する品目について地域的な広がりがある場 合は、出荷制限がかかり、食品の安全が確保がされる仕組になってい ます。 もし、この基準値が無かったら、その食品を食べていいのか、あるい は出荷していいのかの判断もできないことになりますので、食品の安 全・安心を確保する上でこの基準値は重要なものと考えます。 12 厚生労働省資料の18ページ 放射性セシウム134と137の比率については、事故直後は、およそ1対1 で、モニタリング検査セシウ の比率ですが、最近では、セシウム134の存在割合は減ってきていま ム134、137の比率は。(男 す。これは、半減期が2.1年と短いことによるものと考えられます。 性・生産者) 8 NO 質 問 13 魚の出荷制限の仕組みを説明 してほしい。つまり、水揚港 の属する県によるのか。漁場 によるのか。 (男性・消費者) 回 答 放射性物質検査の結果、基準値を超える値が検出された場合、周辺で の調査を強化し、他の地点で基準値超えが検出されない場合は操業自 粛等の自主的対応となります。他地点でも基準値超えが検出された場 合には、原子力災害対策本部長による出荷制限指示等が行われます。 その後の検査の結果、直近1ヶ月以内の検査結果が全て基準値を下 回った場合に、出荷制限等の措置が解除されます。 基準値を超過する農産物、畜産物、水産物等が出荷されないようにす るため、関係都道県は、農産物、畜産物、水産物等の放射性物質検査 については、原子力災害対策本部から示された「検査計画、出荷制限 等の品目・区域の設定・解除の考え方」に基づき実施しています。こ の中で、沿岸性魚種等については、水揚げや漁業管理の実態等を踏ま え、対象魚種等の漁場・漁期を考慮して、県沖を適切な区分に分け、 当該区域の主要水揚げ港等において検体を採取し検査することとされ ています。また、回遊性魚種については、漁場を千葉県から青森県の 各県沖に区分して、当該区域の主要水揚げ港等において検体を採取し 検査されることとなっています。 ・「検査計画・出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方」【原 子力災害対策本部】 http://www.jfa.maff.go.jp/j/sigen/housyaseibussitutyousakekka/p df/120712_kangaekata.pdf 14 魚は泳ぎまわっていること、 漁船は漁場を動き回っている が、検査はどのように対応し ているのか。現在の検査数で 安全性を担保できるか。(男 性・消費者) 福島県の沖合海域を含めて広く回遊するカツオ、サバ、サンマ等の魚 については、回遊の状況等を考慮して、週1回程度主要水揚港におい て関係都道府県や関係団体と連携してサンプリング調査が実施され、 水産庁のホームページにおいても速やかに分析結果が公開されていま す。 もし、広く回遊する魚種から新基準値を超える放射性セシウムが検出 された場合には、都道県から漁業者に対して、検出された水域におい て漁獲した魚と同じ種類の魚の出荷を行わないよう、あるいは、周辺 水域でこのような魚を漁獲しないことが要請されます。また、基準値 を超えた魚と同じ種類の魚が、回遊していくことが予想される水域の 沿岸に位置する都道県に対して、サンプリング調査の結果や漁業者へ の要請内容が速やかに連絡され、調査が強化されます。 ・「水産物についてのご質問と回答」【水産庁】 http://www.jfa.maff.go.jp/j/kakou/Q_A/index.html 9 3 放射性物質の食品への影響に関すること NO 質 問 1 飲用茶には何が含まれるか。 (緑茶だけか。麦茶、ウーロ ン茶他各社から出ているペッ トボトルの茶も入るか。 (女性・消費者) 回 答 飲料水の区分に含まれる茶については、特に摂取量が多く水との代替 関係が深い緑茶が該当します。緑茶は、せん茶と、これに類するもの として玉露、ほうじ茶、玄米茶など、チャノキを原料とし、茶葉を発 酵させていないものを指します。 なお、摂取量が多い飲料として麦茶がありますが、麦茶は原料である 大麦の状態で一般食品の基準100ベクレル/kgが適用されます。よっ て、実際に飲む状態の麦茶は、飲料水の基準である10ベクレル/kgを下 回ることになります。 一方、茶葉等から浸出又は抽出して飲まれる飲料であっても、緑茶と 麦茶以外の、紅茶、ウーロン茶、ハーブティ、杜仲茶、ドクダミ茶、 レギュラーコーヒーなどについては、摂取量に個人差があると考えら れますが、平均的には摂取量は多くはなく、水との代替関係が特段に 強いとは言いにくいため、飲料水の区分には該当せず、飲む状態で一 般食品の基準が適用されます。 2 抹茶や、茶葉をそのまま粉砕した粉末茶については、茶葉から浸出さ れた茶ではなく、茶葉そのものを摂取すること、また、アイスクリー お茶は飲む状態での基準値と ム等の食品の原料として使用される場合も多いことから、粉末の状態 いうことだが、茶(葉)を購 で一般食品の基準を適用します。 入する時のベクレル数はいく 緑茶を原料の一部に含むブレンド茶については、緑茶と同類の商品と らまで大丈夫なのか。(男 消費者から認識されているものを含むため、茶に該当し、飲料水の基 準が適用されます。また、緑茶等に砂糖、抹茶、香料、ビタミンC等を 性・消費者性) 加えたものも、同様に茶に該当します。ただし、ミルクを加えたもの などで、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令の乳飲料に該当する ものは牛乳の区分に該当します。 また、抹茶を原料に含むペットボトル飲料などのうち、緑茶の浸出液 を原料に含まないものについては、飲料水の区分に該当しません。 ・「食品中の放射性物質に係る基準値の設定に関するQ&Aについ て」 【厚生労働省】 http://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/dl/120412_2.pdf 3 乾燥食品の水戻しを行った水 の基準値はあるのか。乾燥き のこの戻し汁は料理に使うの で。 (女性・消費者) 乾燥きのこについては、粉砕後のサンプルに、日本食品標準成分表等 の水戻しによる水分含量の公表データ(重量変化率)を参考として、 必要な水分をあらかじめ添加して検査を行うことを原則としていま す。 この方法では、だし汁に溶出する分も含めて検査をしていることと同 じになります。 ・「食品中の放射性物質に係る基準値の設定に関するQ&Aについ て」 【厚生労働省】 http://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/dl/120412_2.pdf 4 カリウム40という物質が放射 能というのは、どういうこと か。まったくわからない。玄 米に多く含まれていると思 う。自然界の物は大丈夫と思 うが。 (男性・食品事業者) 自然界に存在するカリウムのうち、0.0117%がカリウム40という放射性 物質で、人の体内にも含まれ、例えば体重60kgの日本人男性であれば 全身に約4000ベクレル存在すると推定されています。 このベクレル数のカリウム40による被ばく線量は、年間0.17ミリシー ベルト程度になりますが、その健康影響はないと考えられています。 10 NO 質 問 5 今まで無かった食品中の放射 性物質があることについての 安全性を、どのように考えて いるのか。10年後、20年後も 安全なのか。 (50代男性・食品事業者) 回 答 流通管理されている食品中の放射性セシウムの量は極めて少なく、こ れらを食べ続けても健康に影響が生じるレベルとは考えられないと言 われています。 ①食品中にはもともとカリウム40という天然の放射性物質が含まれて いますが、これによる1年間の被ばくは平均で0.17ミリシーベルトとさ れています。 ②流通管理を厳しく行うことで、市場に出回る食品中の放射性物質 (放射性セシウム)の濃度は極めて低い値に抑えられています。「2 放射性物質の新基準値に関すること」の問7で回答したとおり、流通し ている食材を使用した食事を摂りつづけた場合の年間の内部被ばく線 量は0.02ミリシーベルト程度と推定されています。カリウム40に比べ ると、食品中に含まれる放射性セシウムによる被ばく線量は1/10程度 で、流通管理された食品を使用する限りにおいて、健康に影響が出る 可能性は極めて低いと考えられます。 ③環境中の放射性物質は、事故による新たな放出等がないかぎり、時 間の経過とともに壊れ減っていきます。同様に、食品に含まれる放射 性物質の量も減りますので、内部被ばくによって受ける線量も少なく なると考えられます。 【参考】 1950年代以降、世界各地で数多くの核実験が行われたことにより世界 中に放射性セシウムなどが飛散し、日本の食品も汚染されました。 (福島第一原発事故以前の)近年は検出下限値以下の食品が増えまし たが、1960年代は当たり前のように検出されており、日本人もそうし た食品を食べていました。 環境放射能のデータベースによると、1963年の日常食では、セシウム 137を1日平均で2.1ベクレル(最大は4.4ベクレル)摂取していまし た。この数値は年間に直すと、成人で0.01ミリシーベルトとなります 6 原発事故直後(平成23年3 月)と、1年経過した今と、 来年以降の放射性物質の食品 への影響とその対策について 聞きたい。 (60歳男性・その他) 原発事故直後は暫定規制値で食品、飲料水が規制されていました。 「放射性物質の新基準値に関すること」のNo7の質問に対する回答で述 べたように、その当時でも流通食品からの被ばく線量は年間0.002~ 0.02ミリシーベルトと充分低いレベルでした。 現在は暫定規制値より厳しい新基準が適用され、より一層食品の安全 と安心が確保されるようになっています。 今後、環境中の放射性セシウム134の減衰が進み、また、除染対策が進 むため、流通食品からの被ばく線量は、さらに低下すると考えられま す。 基準値を超える食品については食品衛生法により回収や廃棄等の措置 がとられます。 また、農産物等において、基準値を超過する品目について地域的な広 がりがある場合は、出荷制限がかかり、食品の安全性が確保されま す。 11 NO 質 問 7 今春は山菜のセシウム量が多 いので食べない方がよいとい う事だが、昨年はさほどの情 報が無く食べてしまった。セ シウムが1kg当たり100ベクレ ル以上となると、那須塩原産 の農産物はかなり心配であ る。例えば、山菜のように季 節限定で1kgも食さない食品 だったら「大丈夫かな」とい う考えは間違いだろうか。 (60歳女性・その他) 基準値を超えた山菜等は食べないことに越したことはないのですが、 万一食べてしまったとしても一般的な食事で摂る程度の量であれば健 康への影響を及ぼすことは極めて少ないと考えられます。 農家だが県外から取り寄せて 孫たちに食べさせている。不 安がぬぐえないので、県内で 取れる野菜は安心して食べら れるか教えてほしい。 (70代女性・消費者) 県内産の野菜は、原則として市町ごとに出荷前にモニタリング検査が 実施され、新基準値を超過した場合は、市町ごとに出荷自粛・制限が かかり、安全な食品以外は流通しない仕組みとなっていますので、安 心して食べてください。 8 回 答 現在の食品からの放射性セシウム被ばくに対する年間の許容線量は1ミ リシーベルトですが、例えば、セシウム137を100ベクレル/kg含む山菜 を1kg食べた場合の線量は、100ベクレル×1kg×0.000013=0.0013ミリ シーベルトになります。この値は1ミリシーベルトの約770分の1にな ります。 一方で、線量の高い地域で施肥や耕起等の対策をせずに栽培されたも の、採取した山菜やキノコなどの中には基準値を超える放射性物質を 含む可能性があります。 避けられる被ばくは避けるに越したことはありません。 流通管理されていない食品(野生の山菜やきのこなど)を食べる場合 には、生産地の出荷制限の状況を確認の上、必要に応じて測定検査を 受けることをおすすめします。 参考までに、平成24年4月から12月21日までに本県で実施した農産物の 放射性物質検査の件数は6,530件で、そのうち基準値を超過したものは 120件となっております。 基準値を超過したものは、原木シイタケ、原木ナメコ等のきのこ類が 72件、コシアブラ、クサソテツ等の山野草等24件、タケノコ6件、タラ ノメ4件、サンショウ5件、クリ4件、ヤマグリ1件、ウメ1件、ユズ1 件、レンコン1件、ミョウガ(野生)1件となっています。 家庭菜園で作った農産物が心配であれば、県消費生活センターで検査 相談を受けていますので、ご相談してください。 ・「栃木県内の農産物の放射性物質の検査結果一覧(市町別)【栃木 県】 http://www.pref.tochigi.lg.jp/kinkyu/g03/nousan_shichoson.html ・「自家消費食品等の簡易検査について」【栃木県】 http://www.pref.tochigi.lg.jp/c03/life/shouhi/jikashouhishokuhi n-kanikensa.html 9 海に流れ出たのはセシウムだ けではないので、海産物のセ シウム以外の検査も必要でな いのか。検査の予定はあるの か。 (40代女性・消費者) 海産物については、生態系の多様性が大きく、陸域と比べ環境モニタ リングデータの量も限られるため、十分に余裕を持たせた安全側の想 定に立ち、海産物中における放射性セシウム以外の核種(ストロンチ ウム90など)の寄与率を50%と仮定して基準値を計算しています。国に おいては、新基準値施行後においても、放射性物質汚染の実態把握を 行っていくこととしており、放射性セシウム以外の核種も測定してい くこととしています。 ・「食品中の放射性物質に係る基準値の設定に関するQ&Aについ て」 【厚生労働省】 http://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/dl/120412_2.pdf 12 NO 質 問 10 淡水魚が海水魚よりベクレル 数値が高くなることがよくわ かったが、同じ淡水魚でも天 然物と養殖物で差がある。 (養殖物で100ベクレルを超 えたものはなくND) これは、餌の問題か。それと も、川の底にたくさんのセシ ウムが沈殿しているのか。 (女性・その他) 回 答 天然魚から放射性セシウムが検出される一方で、同じ地域の養殖魚か ら放射性セシウムがほとんど検出されない理由については、放射性セ シウムを含む餌をヤマメに与えた福島県内水面水産試験場の実験結果 などから、天然魚と養殖魚の餌(食べ物)の違いであろうと考えられ ています。 ・福島県内水面水産試験場では、放射性セシウムを含むミミズやトビ ケラを餌として与えたヤマメと養殖用の配合飼料を与えたヤマメを比 較する実験を行いました。 ・餌を与えて1か月後、ミミズなどを食べさせたヤマメから100ベクレ ルを超える放射性セシウムが検出されましたが、配合飼料を食べさせ たヤマメからは検出されませんでした。 ・川の水を引いている養魚場には、川と同じ水、同じ砂泥が流れ込ん でおり、水や底質といった環境は川と同じと考えられます。しかし、 川の水を引いている養魚場、地下水を汲み上げている養魚場に関わら ず、養殖魚から放射性物質はほとんど検出されません。 ・これらのことから、天然魚と養殖魚に含まれる放射性セシウムの差 は、餌に大きく影響されていると考えられています。 11 ウグイはどうして高いのか。 他の魚種に比べ、ウグイで100ベクレルを超える放射性セシウムが検出 (男性・教育関係者) された例が多い理由についてはよくわかっていません。ウグイの生態 (寿命、食性など)と関連があるのではないかと想像されます。 ・平成25年1月18日現在、ウグイについて180検体を検査し、うち12検 体から100ベクレルを超える放射性セシウムを検出しています。アユに ついてはこれまでに117検体を検査しましたが、基準値を超えた検体は ありません。 ・アユは生まれて1年で親となり、産卵して死亡するのに対し、ウグイ は5~6年ないしそれ以上生きると言われています。昨年、川に生息し ていたアユは既に死亡し、今年のアユは、今春以降に海から遡上、な いしは放流されたものです。 ・これに対し、ウグイは昨年の原発事故から今に至るまで川に住み続 けています。このため、ウグイは川にいる期間が長い分、放射性セシ ウムを多く蓄積している可能性が考えられます。 ・また、ウグイは雑食性であるため、川の石に生えている藻類や泥の 中の虫など、いろいろなものを食べます。アユは川の石に生えている 藻類を主食としているので、このような食性の違いが魚に含まれてい る放射性セシウムの差に反映されている可能性も考えられます。 12 栃木県の出荷制限の中に、中 禅寺湖のヒメマス、ニジマス が入っていないようだが、新 聞でかなり高い数値が出て中 禅寺湖はつりが禁止、キャッ チアンドリリースになってい る。本当のところはどうなの か。 (女性・食品事業者) 中禅寺湖では100ベクレルを超えるヒメマスやニジマスなどが検出され ています。国からの出荷制限の指示はありませんが、県では地元漁協 に対して平成24年3月に出した解禁延期要請を継続しています。地元漁 協では、「釣った魚は食べずに放流するので釣りは認めてほしい」と いう釣り人からの強い要望を受け、県と協議の上、区間を限定し、魚 の持ち出し防止のための監視体制を強化し、キャッチアンドリリース を試行しました。(平成24年7月1日(日)から8月31日(金)まで) ・国の原子力災害対策本部が出荷制限を検討しましたが、「中禅寺湖 は華厳の滝で遮られた閉鎖的な湖で、基準値を超えた魚が周辺に移動 する恐れがない」ことに加え、「既に県から解禁延期が要請されてお り、食品として流通する恐れがない」という理由で、出荷制限が指示 されませんでした。 13 NO 質 問 13 子ども達と野菜をつくってい る。今もセシウムは雨などで 降っているようだが、畑を耕 しても野菜についているセシ ウムや土の表面についたセシ ウムを野菜が吸収していると いうことはないのか。(女 性・教育関係者) 回 答 現在、雨の中に放射性セシウムはほとんど含まれていません。 環境中の放射性セシウムは、平成23年3月から4月にかけて福島第一原 子力発電所から放出され地表に降下したものが主体です。 農産物のモニタリング検査結果を見ると野菜から放射性セシウムはほ とんど検出されていません。 もし、野菜が土の中のセシウムを吸収していたとしても測定できない ほどのわずかな量と考えられます。 畑を耕したり施肥することで放射性セシウムの吸収を抑制することが できます。 家庭菜園で作った農産物が心配であれば、県消費生活センターで検査 相談を受けていますので、ご相談してください。 14 放射能が高い地域に住んでい る。野菜を作っていて、検査 をしても大丈夫と言われてい るが、それでも心配である。 不安を解消したい。 (60代男性・その他) 検査をしても不安が残るというのは、もっともなことと思います。 しかしながら、食品中に含まれる放射性物質を福島第一原発事故以前 の状態に直ちに戻すことはできません。 今年度の農産物モニタリング検査は、昨年度より厳しくなった基準値 で安全性を判断していますが、ほとんどの野菜類については放射性物 質が検出されていない状況です。 県では、農家の不安解消のために地域の農業振興事務所で個別の農産 物の分析依頼に対応しているほか、一般の家庭菜園についても消費生 活センターで検査の相談を受けています。 放射線について正しい知識を学び、どのような対応をとるべきかにつ いてみなさん一人一人が考えていくことも重要です。 県では、適宜適切な情報をお伝えできるよう、今後も努めていきま す。 15 基準値内の食品は安全という が、毎日食べ続けていても安 心か。直売所の農産物等は、 検査済みのような表示がある ともっと安心になる。 (60代女性・消費者) 基準値内の食品については、上記「2 放射性物質の新基準値に関する こと」の質問1~3でお答えしましたとおり、十分に安全性を考慮して 設けた値ですので、基本的には基準値内の食品を毎日食べ続けても健 康への影響はないと考えます。しかし、避けられる被ばくはできるだ け避けることが望ましいので、モニタリング検査の結果を確認し、安 全の確認された食品を食べるようにしてください。 栃木県では、農産物のモニタリング検査の結果について、随時、直売 所等へお知らせするとともに、掲示できるチラシ等の配布も行ってい ます 14 NO 質 問 回 答 16 今後一番食品のことで気をつ 流通管理されていない食品の中には注意が必要なものもあります。 けることは何か。 (男性・教育関係者) 県が実施した「県民の放射線被ばく線量を把握するための調査」等に より、流通している食品を通しての内部被ばくは極めて少ないことが 確認されています。 そのため、流通管理されている食品を使用する限り、健康への影響を 心配する必要はないと考えられます。一方で、線量の高い地域で自家 栽培されたもの、採取した山菜やキノコなどの中には放射性物質を多 く含む食品もあります。 「1 放射性物質の健康への影響に関すること」のQ4に示したように、 放射性物質を多く含む食物を誤って少量摂取したとしても、それによ る被ばくは健康に大きな影響を及ぼすことはないかもしれません。し かしながら、「避けられる被ばくであれば避けた方がよい」というの が安全に配慮した放射線防護の考え方です。流通管理されていない食 品(野生のきのこなど)の場合には、測定検査を受けることをお勧め ます。 ただし、毎回測定しなければ食べられないとなると、大変な手間がか かります。自家栽培している野菜などであれば、a)最初の1回は検査 を受ける、b)県や市町等が公開している食品の測定結果とその採取地 を調べ、地域的に問題がないかどうかを確認するといったこと等も参 考にされてはいかがかと思います。 15 4 農産物等モニタリング検査に関すること NO 質 問 回 答 1 地域ごとに放射線量は違うの 今年度は、同じ品目であっても市町ごとに検査を行っています。ま で、地区を細かく分けて対策 た、摂取量が多い穀類は昭和の合併前の旧市町村ごとに検査すること をしているのか。 にしています。 (女性・消費者) 例えば、米については、平成23年産米の検査で50ベクレル/kgを超える 放射性セシウムが検出された旧市町村及び隣接する旧市町村は重点検 査区域として、水稲作付面積1ha当たり1点を検査しています。 また、土壌中に500ベクレル/kgを超える放射性セシウムを含む農地を 有する旧市町村では、水稲作付面積70ha当たり1点を検査しています。 その他の区域では、各市町村ごとに(重点検査区域を除く)3点以上を 検査しています。 2 出荷制限のエリアを旧市町村 出荷制限の範囲は国が決めることとなるので、制限区域の細分化につ 単位にすべきと思うが、今後 いては市町の意向等も踏まえながら、必要に応じて国と相談すること このようなことを検討してい にしています。 るか。 (男性・生産者) 3 農産物のモニタリングを米の ようにより細分化させてほし い。山菜など地区や土壌の状 態で数値にかなりのバラツキ がある。細分化し、細かく (できれば全戸)検査し、数 値のラベルなどを貼ってあれ ば、個々が判断して購入でき る。農家の方に、自主検査の 徹底をお願いしたい。 (50代女性・その他) 野菜等は、今年度は新たな基準値にも的確に対応するため市町ごと品 目ごとにモニタリング検査を行っています。 山菜は、種類や栽培の仕方で数値のばらつきが見られますが、出荷前 の段階でモニタリング検査を実施して安全性を確認しているほか、地 域の農業振興事務所では農家の分析依頼を受けつけています。 4 福島県の業者の米を購入して いるが、「セシウム検査をし たので問題ない」と口答で言 われたが、「安全」という証 明書はもらえない。那須町の 米屋ではすぐにもらえたが、 福島県ではもらえないのか。 (女性・消費者) 申し訳ありませんが、福島県内の個々の米店の状況を把握できません ので、理由はわからない状況です。 なお、福島県では、県内で生産されるすべての米を対象に、放射性物 質検査を行い、基準値内の米だけを流通させ、安全性を確保していま す。 ・福島県庁ホームページ【米の全量全袋調査の流れ】 https://fukumegu.org/ok/images/kensahouhou(kome).pdf 5 那須町においてのスーパーの スーパーも含めて流通している農産物はすべて、モニタリング検査で 取り扱い品は安心してもよい 安全性が確認されています。 か。(女性・消費者) 6 魚のモニタリングが週1回と いう理由が不明であり、もっ と回数を増やしてほしい。 (女性・消費者) モニタリングは、原子力災害対策本部が示した「食品中の放射性物 質に関する「検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え 方」の中で検査頻度として、品目・出荷等の実態に応じて計画し、定 期的(原則として曜日などを指定して週1回程度)に実施することと されていますが、週1回程度の根拠は不明です。 16 NO 質 問 回 答 7 低線量被ばくが完全に解明さ れるまでは、放射能汚染を受 けやすい原木しいたけや山菜 類等が市場に出回る場合、全 品ベクレル表示してほしい。 不安払拭には消費者にも生産 者にも科学的根拠が必要であ る。 (女性・消費者) 原木しいたけや山菜類については、新基準値適用以降、県のモニタリ ング検査体制を強化し、販売目的で生産される品目全てを対象に、市 町ごとに毎月検査を実施しています。 検査の結果、基準値を超えた場合には、直ちに県から出荷自粛等の要 請を行い、基準値を超えるものが生産・流通しないように対応してい ます。 なお、検査結果については、報道機関へ提供するとともに、県のホー ムページにおいても公表し、広く消費者の皆様へ周知を図っていま す。 ・「栃木県内の農産物の放射性物質の検査結果一覧(作物別)」【栃 木県】 http://www.pref.tochigi.lg.jp/kinkyu/y00/nousan_sakumotu.html 8 定期的な情報提供をお願いし 今後とも計画的にモニタリング検査を毎週実施し、結果の速やかな公 たい。時期が片寄ったり統一 表(栃木県ホームページの更新、マスコミへの情報提供等)に努めて がないように感じる。(男 いきます。 性・その他) 9 今のサンプル調査では、地域 の生産物の安全性は確保され ていないと思う。サンプル数 を増やし、その数値を示して 頂きたい。 (60代男性・消費者) 地域におけるその品目の安全性を確認するための指標となる代表サン プルによりモニタリングを行い、検査結果については全て公表してい ます。今後とも、モニタリングの精度を高められるよう取り組んでい きます。 10 食品等の放射性物質を検査 し、数値の高い物は出荷停止 になるが、生産者の生活など の理由で、スーパーや農産物 直売所に出されている物も中 にはあるのではないかと疑わ ざるえないと思っている。真 実はどうなのか。 (50代男性・食品事業者) その地域で基準値を超えた品目については、市町と連携して出荷を自 粛していただいており、販売されることはありません。 11 現在、放射線の基準値(放射 性セシウム100ベクレル/kg) を超過した場合、市町単位で 自粛や、出荷停止を発表して いるが、同じ市町の中でも場 所(特に山)により異なると 考える。出荷される食品を全 数検査するのは不可能と思わ れるが、生産者・消費者どち らも、心配なのはそこだと思 う。(50歳男性・行政) 基準値超過の場合に放射性物質の地域的な広がりも考慮して、行政区 域単位に出荷を制限しています。出荷制限の範囲は国が決めることと なりますので、制限区域を細分化する場合については市町の意向等も 踏まえながら、必要に応じて国と相談することにしています。 栃木県のモニタリング検査は、平成23年度までは85品目について検査 していましたが、平成24年度は、約160品目に拡大して検査をすすめて います。 検査の頻度も、農産物により2週に1回から毎週実施するなど、きめ細 やかに対応しています。 また、出荷始めに出荷予定のある全市町で検査しています。出荷が長 期にわたる品目については、2回目以降は農協管轄区域ごとに1市町以 上検査しています。 栃木県の農産物等モニタリング検査は、放射性セシウムの基準値(100 ベクレル/kg)に適切に対応するため、「安全な農産物以外は流通させ ない」ことを基本に、国が示した「検査計画等の考え方」を踏まえモ ニタリング検査体制を強化しています。 17 NO 質 問 12 県産物モニタリングの方法に ついて、大まかな流れを教え てほしい。どういう頻度で? 測定機器は?那須塩原市を含 め県内の一部の市町では、食 品の測定サービスが実施され ているが、その結果の活用は 今後ありうるのか。市町との 協力体制は計画されているの か。 (40代男性・消費者) 回 答 県が、市町村、農業団体等と協議しながら販売目的で生産される農産 物を対象に年間のモニタリング計画を作ります。その計画に基づい て、農産物の出荷を開始する段階で市町ごと品目ごとに県の職員がサ ンプリングし検査を行っています。出荷が長期にわたる品目について は、一定期間ごとに検査を繰り返しています。検査は県農業試験場に おいてゲルマニウム半導体検出器により精密分析を行っています。検 査結果は、判明後、速やかに公表していますが、万が一、国が定める 基準値を超える放射性物質が検出された場合は市町の協力を得て、そ の品目が流通しないよう出荷を止める体制をとっています。 13 農林水産省のモニタリング結 県内の農林水産物の安全性確認状況について、県ホームページで随 果はホームページで見られる 時、放射性物質のモニタリング検査結果を公表していますが、農林水 か。(女性・消費者) 産省においても、検査結果を随時、公表しています。 ・農林水産省のホームページアドレス(農畜水産物等に含まれる放射 性物質の検査結果) http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/index.html 18 5 家庭菜園の野菜等に関すること NO 1 2 3 4 5 質 問 回 答 家庭菜園の野菜を10代前後の 孫に食べさせても大丈夫か。 食品のモニタリング検査結果を県ホームページに掲載するなど、正確 (70代女性・消費者) で迅速な情報発信に努めていますので、検査結果をご確認し、参考と してください。 家庭菜園でつくった野菜の放射性物質をご心配な方は、検査を受ける ことをおすすめします。検査を依頼する場合は、栃木県消費生活セン ター(028-625-2227)にご相談ください。 家庭菜園の野菜(じゃがいも 等)は食して大丈夫か。 なお、家庭菜園で作った野菜を自己消費する場合など、販売の用に供 (60代女性・消費者) することを目的としない食品については、規制の対象にはなりませ ん。 一般食品の基準値は、全ての世代に配慮したものとなっているため、 家庭菜園の安全性は。(70代 基準値以内のものは、お子さんにとっても安全と言えます。 家庭菜園でも一般の栽培でも同じですが、技術対策として考えられる 男性・消費者) もので、セシウムの吸収を抑制するという意味では、【深く耕す】と いうことがあります。また、土壌改良ということで、【石灰分を入れ る】ということがあります。通常の土は少しずつ雨などによって酸性 家庭菜園の野菜は大丈夫か。 になってきますが、野菜などはpH6~6.5ぐらいが一番よく育つので、 子供、孫の将来の健康が心配 そのくらいの値になるように石灰を入れて少し酸性を中和する、弱酸 だ。 性にするという対策があります。 (70代男性・消費者) また、セシウムとカリウムは近い関係にあり、カリウムが足りないと 那須塩原市、特に黒磯は放射 セシウムをより吸い上げてしまう可能性がありますので、カリウム肥 線量が今も高いようだが、今 料をしっかり入れてセシウムの吸収を抑制する対策があります。 年も去年と変わらず、根菜類 や菜類を作っている。家庭菜 園では検査をしていないの で、食べても大丈夫なのか気 になる。たけのこの出荷自粛 など新聞で見たが、数日前に 沢山もらったのでどうしたら よいか悩んだ。 (60歳女性・無職) 19 6 その他 NO 質 問 回 答 1 新基準値を超えた農産物や牛 乳などに対する生産者への補 償は誰がどのように行ってい るのか。作ってみた結果でし かわからないので、どうなっ ているのか教えてほしい。 (男性・食品事業者) 放射性物質の基準値超過によって出荷制限されたことにより、生産した 農産物が出荷できないために損害を被った場合等は、東京電力に対して 損害賠償を請求できます。農業者の請求について市町や農業団体が支援 しています。 2 昨年の東日本大震災より1年 が経過したが、いまだに県北 地域の風評について不幸な状 況が続いていると思われる。 県としての風評被害対策のこ れまでの実績、及び実績を踏 まえたこれからの対策を伺い たい。 (40代男性・食品事業者) 特に風評が需要に影響した牛肉や米を中心に県内外で風評払拭のための PRイベントを開催したほか、消費者に対して県産農産物の安全性につ いて正しい理解を促すためのリスクコミニュケーションを県内各地で実 施しました。 県産農産物の信頼性を高めるため、今後もこうした取組を継続していき ます。 3 自社でヨウ化ナトリウムシン チレーションγ線モニタを 使っているが、ゲルマニウム 半導体検出器を100とした場 合、どの程度の精度なのか。 (男性・食品事業者) 個別の検査機器の性能については、こちらではお答えかねます。 機器の製造者にお尋ね願います。 なお、ヨウ化ナトリウムなどのスペクトロメータを想定した厚生労働省 の食品中の放射性セシウムスクリーニング法の通知においては、放射性 セシウム濃度がスクリーニングレベル(基準値の1/2以上)以下である 食品を基準値以下と判定できるよう性能要件を設定しています。このス クリーニング方法は、精確な測定値を得ることを目的としていないこと から、ゲルマニウム半導体検出器との単純な比較は困難です。いずれに しても、検査結果が、スクリーニングレベルより大きい場合は、ゲルマ ニウム半導体を用いたγ線スペクトロメトリー等による試験法により検 査結果を確定する必要があります。 20 NO 質 問 4 地下水は大丈夫か。 (女性・消費者) 回 答 本県の地下水の放射能については、環境省が平成23年10月及び平成24年 2月に、県内38地点の地下水の放射能(セシウム134、セシウム137)を 調査しましたが、すべて不検出でした。 直近では、平成24年7月6日~7月13日に、県内27地点の地下水の放射能 (ヨウ素131、セシウム134、セシウム137)を調査しましたが、すべて 不検出でした。 また、厚生労働省の通知に基づいて、地下水を水道に使っている県内26 の市町が、定期的に放射能(セシウム134、セシウム137)を検査してい ますが、すべての市町でこれまで検出されたことはありません。 ・「環境省による放射性物質モニタリング調査結果(公共用水域・地下 水)」【栃木県】 http://www.pref.tochigi.lg.jp/d03/kankyosho_houshaseibusshitu.ht ml 5 地下水を飲用とする場合、地 ・「栃木県内の水道水の放射能影響調査結果について」【栃木県】 下深度どの程度なら放射線の http://www.pref.tochigi.lg.jp/kinkyu/e07/houshanou_suidou.html 影響を受けないと考えてよい 環境省や県内市町の調査は、今後も継続して結果を公表していきます。 か。 (男性・食品事業者) 6 公益財団法人海洋生物環境研 食品安全フォーラムで基調講演をされた渡部輝久先生が所属される公益 究所のホームページはありま 財団法人 海洋生物環境研究所のホームページのアドレスは以下のとお すか。 りです。 (女性・消費者) http://www.kaiseiken.or.jp/ 7 ストロンチウムの取り込み、 排出に関してのデータはない か。骨に蓄積されるのか。 (女性・消費者) 8 いまだに、大気中に降り注い 現在の降下物(雨・ちり等)に放射性セシウムはほとんど含まれていま でいる理由は。 せん。極微量検出されることがありますが、福島第一原発事故直後に (女性・消費者) 降った放射性物質が風などで舞い上がり、再度降下していることが主な 原因と考えられています。 ストロンチウムは、カルシウムと化学的性質が似ているため、体内に入 ると骨に集積します。しかし、骨に集積するから危険ということでな く、危険性は集積した量により変わります。骨髄の等価線量(シーベル ト・Sv)として比較するなら、内部被ばくも外部被ばくも影響は同じと 考えられています。 21 NO 質 問 回 答 9 福島第一原発事故で放流され た汚染水が大きく影響してい ると思う。どの程度の影響が あったのでしょうか。 (男性・消費者) 渡部輝久先生の講演に用いた11番目のスライドで海洋環境に放出された 放射性核種の量は、昨年4月1日から4月6日までの間に4700兆ベクレルと 推定されていると申し上げました。 10 陸水における放射性物質の動 向は、どこにあるのか。例え ば今回のような台風による増 水で基底に沈着した物質は一 掃されるのか。 河口域には残っているのか、 生物の遡上によって再度入る ことはあるのか。 (男性・教育関係者) 森林の樹冠あるいは林冠に沈着した放射性核種が森林を洗う雨水等に よって陸水環境に移行することは定性的な事実として認識することがで きます。 これは、主に2号機の原子炉の冷却水が建屋地下部からピットに流出 し、本来外部に放出されないようになっていたものが 外部に漏れ出て しまったものと考えられております。 その他に世論の激しい批判がございましたが放射能汚染水を貯留するた めにそれまでに貯まっていた低レベルの放射性廃液1万トン、放射能量 で1500億ベクレルも放出されました。 もちろん大気放出された放射能も陸上を汚染したと同様に海洋環境を汚 染しており、海洋の拡散状態から研究者の皆様方が放出量の総量を様々 に推定してございます。 例えば、9月9日には日本原子力研究開発機構の皆様が1.5京ベクレルと 試算しております。しかしこれらの総量には短寿命のヨウ素131も含ん でのことです。現在海洋環境の汚染で最も注意を払わなければならない 核種は放射性セシウム(セシウム134とセシウム137)であることはご存 じの通りで、私たちとの接点は魚介類を通じての摂取ということになり ます。 平成24年の9月に(独)森林総合研究所が梅雨期の河川水放射性セシウム 濃度に対する降雨の影響を調べた結果が報道されました。それによる と、融雪期と同様に大部分の渓流水からは放射性セシウムは検出されな かったこと、降雨当日の試料に一部放射性セシウムが検出されたこと、 検出された渓流水をろ過して懸濁物を取り除くと放射性セシウムは検出 されなくなること、などから渓流水中の放射性セシウムは懸濁物に主に 由来していることが推定されました。 降雨による濁り、とくに大雨による濁りで森林環境や他の陸上環境から 粘土鉱物に吸着した放射性セシウムを河川に洗い流し、河底に沈着した 放射性セシウムをさらに下流に押し流すであろうことは想像に難くあり ません。 しかし、それがどの程度のものか定量的に推定するには情報量が足りて いないのが現実です。陸域からもたらされた懸濁物は河口付近で海水と 接触することによりコロイドの現象により河口域に沈着します。この付 近の生態系には特に注意を払う必要があると思います。河川環境での放 射能汚染がどれほど継続するのものか現在の時点では断言できません。 遡上する生物を含め河川環境に生息する、とくに天然ものには今後とも 注意を払う必要があると思います。 22 NO 質 問 11 海には、これからも放射性セ シウム等が堆積するとされて いるが、セシウム134が半減す れば、その影響はどのくらい 緩和されるか。(男性・生産 者) 回 答 ご指摘の通り、放射性セシウムには半減期が2.1年のセシウム134と30年 のセシウム137があります。 事故時点ではセシウム134とセシウム137の放射能はほぼ等しい量が存在 しておりました。放射性セシウムは両者の和で表されますので半減期と 最初の濃度の関係から放射性セシウム総量の時間変化を計算できます。 そうしますと、セシウム134の半減期の2年で事故時点の73%、5年が経ち ますと54%、10年で41%、セシウム137の半減期の30年が経ちますと25% に減少するということが分かります。 これは単に放射能の物理学的な崩壊によるものです。環境試料中の放射 能、たとえば海水と土壌とかはこれに加えて環境自体の持つ自浄能力が あります。ですからそれらの濃度は物理崩壊のみを考えた場合よりもう 少し速く減少することが期待されます。 また、そこに生息するお魚や栽培される農作物の放射能濃度ももう少し 速く少なるものと考えられます。 23 NO 質 問 12 空間放射線量率、大田原市のA 地点0.23マイクロシーベルト の1時間あたりの場合、セシウ ム134、137、ストロンチウム 90、プルトニウムなど、それ ぞれどの位の値か。(男性・ 消費者) 回 答 主にガンマ線を計測した空間放射線量率の値から各放射性核種(放射性 物質)の量を正確に推定することは困難ですが、栃木県内におけるスト ロンチウム90やプルトニウムの寄与はほとんどないか、あっても極めて 小さいと考えられます。 ①文部科学省の調査によると、「福島第一原発から80 km圏外において は、今回の事故由来の放射性ストロンチウムは確認されなかった」(※ 1)と考察されています。 調査では、栃木県内7地点の土壌でストロンチウム90が検出されました 2 (範囲:18~71 ベクレル/m 、平成24年1月13日時点)が、福島第一原 発事故前の平成11~21年度の全国調査の観測値と比較したところ、過去 の大気圏内核実験の影響による範囲内の数値でした。 一方で、環境放射能水準調査(月間降下物)による分析(※2)では、 平成23年3月以降数か月にわたり、栃木県を含む10都県で事故前の平成 11~21年度に全国で観測されたストロンチウム90の放射能濃度の最大値 (0.30 ベクレル/m2[メガベクレル/km2])を超えていました。 これらのことから、今回の事故に伴ってストロンチウム90が県内にも降 下した可能性はあるものの、事故前に観測されている土壌へのストロン チウム90の沈着量のレベルに影響を及ぼすほどの降下ではなかったと考 えられています。 ②栃木県内のプルトニウムの土壌沈着量については、那須町の1地点の みデータ(※3)があり、プルトニウム238は不検出、プロトニウム239 +240が0.94 ベクレル/m2(平成23年6月14日時点)でした。プルトニウ ムを測定した100箇所の地点の中で今回の事故に伴って新たに沈着した と考えられる地点は6箇所でしたが、これらの地点の値も事故発生前に 全国で観測されたプロトニウムの測定値の範囲(過去の大気圏内核実験 の影響の範囲)に入るレベルでした。 また、プルトニウム238、プルトニウム239+240の沈着量の最高値(そ れぞれ11 ベクレル/m2、19 ベクレル/m2)が検出された箇所における今 後50年間の積算実効線量であってもそれぞれ0.071 ミリシーベルト、 0.16 ミリシーベルトと計算されています。 これらのことから、栃木県におけるプルトニウムによる被ばくはほとん どないか、あったとしても極めて少ないと推察されます。 (※1)文部科学省「文部科学省による、①ガンマ線放出核種の分析結 果、及び②ストロンチウム89、90の分析結果(第2次分布状況調査)に ついて」(平成24年9月12日) (※2)文部科学省「都道府県別環境放射能水準調査(月間降下物)に おけるストロンチウム90の分析結果について」(平成24年7月24日) (※3)文部科学省「文部科学省による、プルトニウム238、239+240、 241の各種分析の結果(第2次調査)について」(平成24年8月21日) 24 NO 質 問 13 報道で、東京電力は福島第一 原発事故で大気中に放出され た放射性物質の量は、90万テ ラベクレルに上ると試算を明 らかにした。これは、チェル ノブイリ原発事故の6分の1に 相当するが、当時のヨーロッ パ各国は、どのような具体的 除染方法・行動をどの程度の 期間実施したのか。 (60代男性・消費者) 回 答 チェルノブイリ原発事故後の対応として、ウクライナ等の国において は、事故後5年を経た1990年以降、地域の放射能量が年間5ミリシーベ ルトを超えた場合、その地域に住み続けている住民をその汚染地域から 他の地域へ移住させること(移転)を実施しており、現在もそれが継続 しています。 しかしながら、これらの地域に現在も実際に居住している人々がいて、 必ずしも措置が徹底されていない状況です。また、新たに事故が起こっ た場合の移転の基準は、年間5ミリシーベルトより高い線量となってい ます。 (※例えば、ロシアではチェルノブイリ原発事故での経験を踏まえ、 1996年に新しい基準を採用し、長期的措置においては1年目で50ミリ シーベルトを移転が不要とする基準としています。) 事故直後1年間の暫定線量限度を年間100ミリシーベルトとした上で、 段階的に線量限度を引き上げ、事故後5年目以降に、年間5ミリシーベル トの基準を採用しました。 東京電力福島第一原発事故においては、事故後1か月のうち年間20ミリ シーベルトを基準に避難区域を設定しました。漸進的に被ばく線量を低 減していく参考レベルの考え方を踏まえれば、東京電力福島第一原発事 故における避難の対応は、現時点でチェルノブイリ事故後の対応より厳 格であると言えます。 ・「低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ報告書」 (チェルノブイリ原発事故後の対応) http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/info/twg/111222a.pdf 14 大気圏核爆発実験時に、日本 に飛来したヨウ素やセシウム 137の量はわかるか。(女性・ 消費者) セシウム137については、1950年代後半以降、降下物に関する経時的な データがあります。気象研究所地球化学研究部が「環境における人工放 射能の研究2011」(※1)として公表しています。 放射性ヨウ素についてはデータがありません(半減期が短いので、一度 吹き上げられて地球を回りながら降下するまでの間に減衰してしまいま す)。 (※1)気象研究所地球化学研究部「環境における人工放射能の研究 2011」 http://www.mrijma.go.jp/Dep/ge/ge_report/2011Artifi_Radio_report/2011Artifi_Ra dio_report.pdf 25 7 渡部先生への質問 NO 質 問 回 答 1 渡部先生の資料がカラーでほ 渡部先生資料をホームページにアップします。 しい。 (男性・消費者) 2 資料のP27「同位体発見の歴 史」の表をもう少し詳しく見 たいので、参考文献を教えて 欲しい。 (女性・消費者) 核データが網羅されております、Table of Isotope、現在は第8版で すが、最も基本的な文献といえます。また、米国のローレンス・バー クレイ国立研究所のホームページから同じように同位体発見の歴史を たどることができますので、ぜひアクセスしてみてください。URLは 以下です。http://ie.lbl.gov/systematics/history00.pdf 3 資料P29の大気圏核爆発実験 時に、日本に飛来したヨウ素 やセシウム137の量はわかる か。(女性・消費者) 文部科学省のURL、http://www.kankyo-hoshano.go.jp/07/07_1.html で「Radioactivity Survey Data in Japan」にアクセスしますと1960 年代からのわが国における放射能調査の結果を知ることができます。 分析対象は降下物、大気、土壌、海水、淡水、農作物、海産物、淡水 魚、日常食等々。対象とする放射性核種は主にセシウム137とストロ ンチウム90でほかにプルトニウム239、プルトニウム240、トリチウム などもほぼ定期的に調査されています。 ヨウ素131に関しては核実験直後に試料が採取されていたように記憶 しておりますが、短寿命核種ですので、一時的なデータとしてとられ ていたのだと思います。 4 渡部先生の資料P34「セシウ ムを様々な条件で経口摂取し た場合の体内残留」の説明を された時の参考文献がほし い。(女性・消費者) 5 渡部先生の話で、34ページの 上のセシウム体内残留グラフ の算出方法(MONDAL)は。 (男性・消費者) これは、24枚目のスライドにお示しした国際放射線防護委員会(ICRP) が設定したセシウムの人体内代謝のシナリオ(ICRP刊行物30)に基づい て小生自身がいろいろな条件で計算したものです。連立常微分方程式 を解かなくてはいけませんが、さほどに難しいものではございませ ん。ぜひご自分で代謝式をお求めになってください。 26 NO 質 問 回 答 6 渡部先生の話で、35ページ下 の計算で、1,3×10-8Sv/Bqは 大人で50年間に受ける被爆線 量を1年に圧縮した数値を計 算するときの係数ではない か。これを70年間続けるとし たら、70倍するのはおかしい のではないか。(男性・消費 者) 内部被ばくは、ある年に摂取した放射性物質が、公衆の成人の場合は 50年間、それ以外の年齢層については70年間、体内に残留するとして その間の物理崩壊数を計算し、それによる被ばくを摂取した年に受け る(先取りする)ものとします。 渡部先生の話の47ページ上の ヒラメのセシウム動態の図は どういう実験か。環境水中の セシウム137濃度は。 (男性・消費者) これは、小生が放射線医学総合研究所に勤めていた時の同僚による放 射性同位元素を用いた実験の一つです。 海水に放射性同位元素(セシウム137)を加え、セシウム137濃度を一定 に保ちながらヒラメを1週間飼育、定時的に取り上げ麻酔後体内に取 り込まれたセシウム137を測定します。 1週間経た後に今度は放射性セシウムを含まない海水にヒラメ個体を 移し、300日にわたって、体内に残留したセシウム137を測定するとい う実験です。 この実験からヒラメによるセシウム137取り込み定数(時間当たりの取 り込み量)と排出定数(時間当たりの排出量)を求め、平衡状態に達し たときの海水中に対するヒラメ中のセシウム137濃度の比(濃縮係数) を誘導します。 7 内部被ばくは、預託実効線量で表現しますが、この預託という意味は 「将来に託された」ものも考慮しているということです。 体内に残留したものはわたくしたちの意思ではそれを早めたり遅くし たりすることはできません。翌年以降に摂取したものは当然のことな がら体内残留量に上乗せされます。それによる実効線量を計算するに は線量換算係数をかけなければならないことはご理解いただけると思 います。 ただし、おっしゃるように公衆成人に対する預託線量ということでし たら、70年間ではなく50年間を掛けるべきですね。その他の年齢層で はそれについての線量換算係数を用いるべきで、混同してしまい誤解 を与えてしまいました。お詫びし、ご指摘感謝いたします。 27