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CIDNPに よ る有 機 ラ ジ カ ル反 応 機 構 の研 究 岩 Elucidation of Organic Free Radical Reaction 村 Mechanisms 秀* by CIDNP. Hiizu 1. 緒 tionが 書 両 方 現 わ れ る,な は,Clossら12)お 比 較 的 迅 速 な ラジ カ ル反 応 をNMRス ペ ク ト ロメ ー absorptionが ど の 効 果 を も説 明 す る た め に よ びKapteinら13)が 独 立 に 提 唱 した 理 論 の 方 が 優 れ て い る と み な され る べ き で あ ろ う. タ ー の磁 場 の 中 で 行 な う と,反 磁 性 で あ る最 終 生成 物 の ス ペ ク トル に,emissionやenhanced IWAMURA* 今,多 現 重 度mを R1・ ・R2(H)が 持 つ 出 発 物 質Mか ら ラ ジ カ ル 対(H) 生 成 し,τ 秒 の 平 均 寿 命 の 後 に 溶 媒 の 作 る わ れ る こ とが 最 近 報 告 され る よ うに な った 。核 ス ピ ンの cageの 鋤 的 分極 が化 学 反 応 に よ って 誘 起 され た と見 な され る と す る 。 ラ ジ カ ル 対 の 各 成 分 は そ れ ぞ れg1,σ こ ろか ら,こ の 現 象 はCIDNP(chemically dynamic induced Land'e因 nuclear polarization)と 呼 ばれ る1)。分 光 学 的 な手 法 と して は,従 来ESRス R1上 は,あ 子 交 換 結 合 定数 の プ ロ ト ン1個 与 え るも の と 、 とい う 」。.な ら び に プ 持 つ 。 説 明 の 便 宜 上, だ け が 超 微 細 結 合 を 持 つ と仮 定 す る 。 こ の ラ ジ カ ル 対 を 記 述 す る 波 動 関 数 のbasissetは グ ナル が 必 ず しも主 反 応 とは 結 び つ か ない とい う大 きな 欠 点 が あ った 。CIDNPで 子 を 持 ち,電 ロ ト ン と の 超 微 細 結 合 定 数Aを ペ ク トル が反 応 中 間 体 の ラ ジ カル を直 接 検 出 し て き た が,こ れ に は 定 常 濃 度 の 制 約 や,ESRシ 中 で 結 合 生 成 物(H)R1-R2(H)を 8αN,T+1αN,T0αN,T-1αN,SβN,T+1βN,T0βN,T-1βN くま の8個 で 生 成 物 の ス ペ ク トル を観 測 して お り,ラ ジ カ ル 中 間 体 で あ り,ス ピ ンHamiltonianは れ る 。 た だ しSとTと 〔1〕 式 で 与 え ら は結 合 電 子 対 の多 重 度 を示 す 関 数 の 寿 命 につ い ての 制 限 もゆ る く,有 機 反 応 論 の 新 しい 手 法 の一 つ と して非 常 に優 れ た もの で あ る と期 待 され る. 〔1〕 定 性 的 に利 用 され た だ けで も,過 去2年 間 あ ま りで,従 で あ り,αN,βNは 来 イ オ ン反 応 ま た は協 奏 反 応 で 進 行 す る と思 わ れ て い た 核 ス ピ ン状 態 を あ らわす. 緊 密 な遊 離 基 対 で は一 般 にJee》│A│>0が 成 立 し, 数 多 くの反 応 が 実 は ラジ カル 対 を 中間 体 とす る こ とが 実 三 重 項 状 態 と一 重 項 状 態 は 明確 に区 別 され,前 者 はcage 証 され て きた 。 これ らを網 羅 して論 ず る こ と は,著 者 の 外 に解 離 して行 くか,intersystem clossingで 後 者 に も ど 能 くす る とこ ろで は ない 。 こ こで はCIDNPの る 。一 重 項 状 態 は一 定 の確 率 で生 成 物 を与 え る 。溶 液 中 実 験 例, 現 われ 方,有 機 反 応 機 構 の 研 究 に ど う応 用 で き るか を著 の ラジ カル 対 に お け るJeeの 大 き さは,熱 振 動 に伴 う相 者 らの研 究 を 中心 に紹 介 してみ た い2∼10). II. 理 互 配 置 の変 化 に依 存 して変 化 し,こ のモ デ ル で は 」..が 突然 減 少 し106∼107Hzに 論 な る もの と 考 え る。 そ うす る と条 件Jee〓│A│>0が CIDNPが gon1,11)の 見 出 さ れ た 初 期 の 段 階 で はFischerとBar・ 提 唱 し たcross relaxation機 説 明 し て い る と考 え られ た が,そ 果 の 限 界(660)を ii)一 T0状 構が現象 をよ く 態 とが,mixingを て再 びJee》│A│>0に の 後i)Overhauser効 成 立 し,ス ピ ン 関 数 の8と 起 こす 。反 応 座 標 に した が っ も ど り生 成 物 を与 え る 過 程 は, そ の ラジ カル 対 が 核 ス ピ ン αNを 持 つ か βNを 持 つ か で 越 え る 分 極 が ひ ん ぱ ん に 観 測 さ れ る, 〔2〕式 に よ り記 述 され る. 組 の 多 重 線 の 中 にemissionとenhancedabsorp- * 東京大学理学部化学教室 * Department University of Chemistry, of Tokyo 〔2〕 Faculty of Science, 時 間 の 入 ったSchr6dingerの 連 立 方程 式 〔3〕が 生れ,ラ 15 方 程 式i∂φ/∂t=Hgか ら ジ カル 対 が 生 じた 時 σ=0) 16 有機合成化学 第29巻 第1号(1971) 使 う と,ス (16) 〔3〕 ピ ンカ ップ リ ング で 分裂 した多 重 線 に現 われ るemissionとenhanced absorptionの せ も 満 足 に 説 明 で き る(図4dに 複 雑 な組 み 合 わ こ れ を 例 示 し た)。 さ ら に ∠9=10『3,A=2.5×108,」=108rad・sec一1,τ に はm=1と (0)-0を 言 う境 界 条 件,す なわ ちC。 ±(0)-1,C7。 士 入 れ て 積 分 す る と 〔4〕式 を 得 る。 三 重 項 状 態 か ら ラジ カ ル対 が 生 ま れ た 時 には この 逆 にな る. 秒,んSE=0.98と ・=10-9 言 う典 型 的 な 三 重 項 状 態 か ら生 じ た ラ ジ カ ル 対 の 反 応 に は60MHz,300。KでP-+-4×103と い う大 き さ が 導 か れ,Overhauser効 果 の限界に も 抵 触 し な い12). III. 〔4〕 CIDNPの 実 験 法 検 出 は,そ の 反 応 が ラ ジカ ル対 を経 過 して い る こ との 必 要 条 件 で は あ っ て も十 分 条 件 で は ない. た だ し んSEや (H)R、-R、(H)の 生 成 は ラ ジ カル 対 の 一 重 項 性 に依 存す るか ら,そ の生 成 速 度 は 〔C。 ±(の〕2に 比 例 す るは ず で あ る. ∠9が 小 さ けれ ば,P-+の 絶 対 値 も小 さ くな り, 検 出 で き ない こ とが あ る。 ま た何 らか の理 由 で,生 成 物 のス ピ ンー格 子 緩 和 時 間 が 短 か くな る と,大 き な分 極 も 速 や か に消 失 す る。反 応 溶 液 の遊 離 基 の定 常 濃 度 が 高 す 〔5〕 す な わ ち水 素 原 子 上 の電 子 ス ピノ密 度 は振 動 して お り, 電 子 ス ピン α ま た は β を見 出 す 平 均 的 確 率 は そ の水 素 原 子 核 の ス ピ ン状 態 で違 っ て くる こ とに な る 。 ラジ カル 対 の平 均 寿 命 に わ た っ て これ を平 均 す る と,〔6〕 式 を得 ぎ る と この よ うなnegativeな 結果 が で て くる。 理 論 的 に は τに は制 限 は な い が,実 際 問題 と して10-12秒 が限 度 の よ うで あ る。 した が って,反 応 試 剤 の 濃 度 や反 応 温 度 を 調 節 し,CIDNPが 観 測 され る条 件 を 系 統 的 に 検 索 す る必 要 も生 じる。 磁 気 テー プ な ど の記 憶 装 置 を用 い, 比 較 的 短 時 間 で のス ペ ク トル 変 化 を ゆ っ く り再 生 す る技 術11)が利 用 され,ま た こ の 目的 には 近 時 開 発 され つ つ あ 〔6〕 るパ ル ス に よ る 共 鳴 吸 収 一Fourier変 換 法15)が 有用 で あ る 。 こ の 式 は 核 ス ピ ン状 態 な る速 度 測+お し,49とAと よび αNお よ び βNが る と期 待 され るが,多 くの揚 合,生 成 物 の シ グナ ル が 予 測『 で 生 成 して く る こ と を 意 味 が 同 符 号 な ら ば"+〉 測 一〉 測+と 一般 に は 異 測 一,異 符 号 な ら ば な る 。 核 ス ピ ン 準 位 問 の 分 布 は,熱 平衡 時 の 想 され る狭 い 領 域 を100∼250sec/1000Hzで く り返 し掃 引 す れ ば 十 分 で あ る。 目的 とす る プ ロ トンの ス ピ ンー格 子 緩 和 時 間(T1)の そ れ と く ら べ る と,前 者 で は αNが が 濃 い 。 し た が っ てNMRス ancedabsorption,後 濃 く,後 者では βN ペ ク トル は 前 者 で はenh- 者 で はemissionと な る 。 こ の 際, 手 早 く, 測 定 に は,速 い断 熱 通 過 の方 法 に よ って 反 転 させ た 磁化 の 回 復 を 追 うの が 便 利 で あ る14)。一 方positiveな 結 果 が 得 られ た 場 合 に は,反 応 お よび 分 極 の 経 時 変化 を定 量 的 に 観 察 す る こ と に よ 分 極 の 大 き さ は 〈1_+〉一 〈」L÷〉。/〈L+〉。 と 定 義 され る べ き で あ る か ら,〔7〕 式 で 与 え ら れ る 。 た だ し 〈1.+〉 お り,意 味 の な い ビー トと誤 認 す る危 険 も さけ られ,反 応 機 構 の定 量 的 な解 析 の 一 助 とな る. IV. 〔7〕 ラ ジ カ ル 付 加 反 応 とCIDNP4,58) 一 般 に多 重 結 合 に対 す る ラ ジ カル 付 加 は,stepwiseに よび 〈1_+〉 。は,そ れ ぞれ,分 極 した状 態 な らび に熱 平 進 行 す る。ESRス 衡 時 の核 ス ピ ンの期 待 値 で あ る。 ま たkSE・werは 出 し,そ の構 造 か ら付 加 の 順 序 を 明 らか にす る可 能性 が 核ス ピン に依 存 しない そ の他 の機 構 で増 え る状 態 密 度 を ま と め た も の で あ る. 〔6〕,〔7〕 式 か ら明 らか な よ うにΔg一 〇 で はw+ーwー あ る。CIDNPに ペ ク トル に は,中 問 体 ラジ カル を検 も こ の種 の応 用 面 が 期 待 され る. 1,3一双 極 性 付 加 の反 応 性 で知 られ るニ トロ ン類(1), (2)は,ラ ジ カ ル反 応 で も1,3付 加 体(3),(4)を 与え とな り,分 極 は現 われ ない 。 す な わ ち ラ ジ カル 対 に お け るこ とが最 近,岩 村,稲 本16)に よっ て 明 らか に され た。 るhf結 付 加 の順 序 は,一 般 に,よ mixingで 合 と σ シ フ トに よ る 一 重 項 一三 重 項 状 態 の 分 極 が 起 こ る こ とが わか る。 多 核 ス ピン系 に つ い て も 〔6〕,〔7〕 式 を一 般 化 した も のが 導 か れ,こ れ を り安 定 な ラ ジ カル 中 間体 を与 え る方 向 に進 行 す る も の と考 え られ るが,こ の揚 合 α一 ア ミノ ベ ンジル 型 ラジ カル(8)よ りも ニ トロキ シ ドラ ジ CIDNPに (17) カル(5),(6)の 17 よる有機 ラジカル反応機構の研究 方 が 明 らか に 安 定 で あ るか ら,最 初 の ラ ジ カル は ニ トロ ンの 炭 素 原 子 を攻 撃 す るも の と考 え る の が 妥 当で あ る。α,α'一 ア ゾ ビ ス イ ソブ チ ロニ トリル の熱 分 解 で生 成 す る1一 シ ア ノー1一 メ チ ル エ チ ル ラジ カル の付 加 の場 合 に は,実 際 にニ トロキ シ ドラジ カ ル(7)が 単 離 され る こ とが あ り,付 加 の順 序 に 関 す る上 の考 え が支 持 され る。 以 前 か ら知 られ てい るニ トロ ソベ ンゼ ンへ の ラ ジ カル 付 加 も,同 様 に窒 素 原 子 へ の 攻 撃 か ら始 ま る とみ な され る17)。これ らの反 応 でCIDNPは どの よ うな現 わ れ 方 をす る で あ ろ うか. 〔8〕 〔9〕 図1 N一 フ ェニ ル ニ トロ ン(1)に 対 す る1一 シ ア ノー1一 メチ ルエ チ ル ラ ジ カ ル の付 加 反応 に おい て 観 則 さ れ るCIDNP. 反応 開始 か ら,そ れ ぞれa)20秒b)40秒c)100秒 d)137秒 後 に250sec/loooHzで 掃 引 した. 実、 験 例1.50mgのN一 mgの テ トラ ク ロ ル エ タ ン に 溶 か し,NMRの 封 入 す る 。Varian社 MHz)の プ ロ ー ブ を あ ら か じめ130。Cに 当 な 時 間 か らC-Me領 光 器(100 加 熱 し て お き, 媒 の シ グ ナ ル で ロ ッ ク し,適 域 の ス ペ ク トル を250sec/1000 く り返 し 掃 引 記 録 す る 。 図1に た 。 内 部 標 準TMSか ら δ1.66ppmに の 半 減 期 は 約20秒 そ の一 部 を示 し 現 わ れ る α,α'ー と算 出 さ れ る(図2の 現 わ れ て く る。1.41お り,約80秒 で 見 掛 け上 消 失 し,150秒 よび1.88ppmの よ で 強 度 が 極 大 とな 後 に は1.19お ピー ク と等 強 度 に ま で成 長 す る 。 同上 の 試 料 につ い て,各C-Meシ グ ナ ル を別 個 に く り返 し 測 定 す る と(実 験 例2参 照),図2の よ うに な り,ス ペ ク トル 強 度 の 経 時 変化 が よ くわ か る. ア ゾ ビ ス イ ソ ブ チ ロ ニ ト リル の 吸 収 強 度 は 単 調 に 減 少 し,そ 新 しいsingletが び1.70ppmのemissionは40秒 試 料 管 に 脱 気, 製HA-100D型NMR分 こ れ に 試 料 管 を 挿 入 し,溶 Hzで 1.88PPmに フ ェ ニ ル ニ ト ロ ン(1)と14 α,α'一ア ゾ ビ ス イ ソ ブ チ ロ ニ ト リル を0.4mZの 点 線). ヒ ドロ キシ ル ア ミ ン(3)の 標 準 ス ペ ク トル と比較 す る こ と に よ り,最 終 的 に 等強 度 とな る δ1.18∼1.88ppmの 4本 のシ グ ナ ル がC-Me基 のそ れ と 帰 属 で き る。 これ らが2本 で な く4本 に 分 か れ て い る の は,不 整 炭 素 原 子 こ の 値 は α,α'一ア ゾ ビ ス イ ソ ブ チ ロ ニ ト リル 単 独 の 時 の が 存 在 す るた め に,同 一 のCMe2CNグ ル ー フ.上の2個 半 減 期(1300C)に の メチ ル 基 が 互 い にdiastereomericと な って い る か ら され る。 この 間 ssionが,1.23お ionが 等 し く18),誘 発 分 解 は ない こ とが示 で あ る。 図2に 示 した こ の実 験 か ら,4個 δ1.30,1.41,1.70,1.95ppmにemiよ び1.92PPmにenhanced 観 測 さ れ る 。30秒 後 に は δ1.19,1.46お absorptよび あ るメ チ ル 基 の うち2本 だ け に核 ス ピ ンの 分 極 に 由来 す るemission の で る こ とが 明 らか とな った 。 こ の興 味 あ る現 象 には 一 18 有機合成化学 第29巻 第1号(1971) (18) 図2 ヒ ドロ キ シル ア ミン誘 導 体(3)の4本 のC-Meプ ロ トン シ グ ナ ル強 度 の時 間 変化 点線は原料の一方である α,α'-ア ゾビス イソブチ ロニ トリルのC-Meシ グナル強度 の減少,す なわち 反応の進行を示 す. 実 験 を行 な う と,δ1.18,1.53,1。61お のC-Meジ ス ペ ク トル を 与 え る 。一 方 δ3.90お CHお よびN-Meシ よび2.72ppmの グ ナ ル の 強 度 は,反 応 の進 行 と共 に 急 激 に増 大 し,約60秒 生 成 物(4)の よ び1.70ppm グ ナル の う ち 真 中 の2本 だ け がemission で 極 大 に達 した後 再 び 減 少 し, 最 終 濃 度 へ と漸 近 す る。 ヒ ドロ キ シル ア ミ ン誘 導体 は反 応 条 件 下 で は安 定 で あ り,一 度 増 え た 濃 度 が途 中 か ら減 少 す る こ とは ない 。 こ の 図3に 効 果 はenhanced absorptionで 現われた あ る. ニ トロ ソベ ンゼ ンへ の付 加 反 応 に お い て も,N-CMe2 図3 ヒ ド戸 キ シル ア ミン誘 導 体(4)の メ チ ンプ 翼 トンお よびN-Meプ ロ トンシ CNと0-CMe2CNの グナ ル 強 度 の 経 時 変 化 に 核 ス ピ ン の分 極 効 果 が 現 わ れ る。結 果 を 表1に 般 性 が 認 め られ,ニ トロ ン(2)に つ い て こ れ と同様 の した. うち 一 方 の メチ ル シグ ナ ル だ け 要約 CIDNPに (19) 図1中,δ1.46に 19 よる有機 ラジカル反応機構 の研究 現 わ れ て い る 強 いsingletは1一 シア ぎ に よ る能 率 の よい 緩 和 を 受 け,2段 階 目の ラジ カル の ノ ー1一メ チ ル エ チ ル 基 が 二 量 重 合 し て で き た 副 生 成 物 テ 攻 撃 を受 け る頃 に は定 常状 態 に 落 ち 着 い て い る可 能 性 が ト ラ メ チ ル ス ク シ ノ ジ ニ ト リ ル(13)の 大 きい 。 した が っ て ヒ ドロキ シ ル ア ミ ン誘 導 体 に お い て δ1.23と1.30お よ び absorption-emission対 は,ラ 核 ス ピ ンの分 極 が 観 測 され る メチ ル 基 のシ グ ナ ル は,反 ジ カル の 不 均 化 反 応 で 生 成 し た イ ソ ブ チ ロ ニ ト リル(15)お リル(14)の メ チ ル 基 で あ り, δ1.92と1.95のenhanced よび メ タ ク リロニ ト メ チル 基 の シ グナ ル で あ る。 これ ら の生 成 応 の2段 階 目で(反 磁 性 最 終 生 成 物 にな る直 前 で)酸 素 原 子 の上 に導 入 され るCMe,CN基 今 ラジ カル 対(16)にClossら の そ れ と結 論 され る. の 理 論12)を適 用 す るた 量 は 反 応 の 最 終 ス ペ ク トル に は 現 わ れ な い ぐ ら い 少 な め に ニ トロ キ シ ド 成 分 をR1・,1一 シ ア ノー1一 メ チル エ チ い. ル ラ ジ カル をR2・ とみ なす と,核 ス ピ ンの分 極 効 果 が期 表1 待 さ れ る の は,超 ヒ ドロキ シ ル ア ミン誘 導 体 に お け る 各 種 プ 戸 ト ン シ グナ ル の 現 わ れ方 CH,N-Meお 微 細 結 合 定 数 が有 意 の大 き さ を持 つ よ びR2上 のC-Meプ トロ ン に 限 られ る こ とが 判 る. ニ ト ロ キ シ ド ラ ジ カ ル で は 一 般 に9、=2.006,ノ1CH-3, AN-CH、-12gauss程 度 の 大 き さ を 持 ち,R・ に関 して は σ2=2.003,Ac-cH3=21.5gauss(実 測 値)と る か ら,〔6〕,〔7〕 式 に よ り,CHお よ びN-Meプ ン は 正 の,C-Meプ み な され ロ ト ロ トン は負 の分 極 を受 け る こ とが支 持 さ れ る 。 結 論 と し て,置 換 基 の 電気 陰 性度 や 磁 気 異 方 性 を 手 掛 り と す る こ れ ま で の 方 法 で は 全 く不 可 能 で あ っ たC-Meシ ラジ カ ル付 加 が 段 階的 に起 こ る場 合,C(CH、)、CNグ ル ー プのC-Meシ グ ナ ル の 帰 属 が,こ こ で 観 測 さ れ たCINP の特 異 的 な 現 わ れ 方 か ら可 能 とな った こ とに な る。 グ ナ ル のす べ て に 核 ス ピ ン,分 極 効 果 が 現 わ れ るの で は な く,予 想 され る丁 度 半 分 に だ け こ れ が 現 わ れ る とい う興 味 あ る現 象 は どの よ うに解 釈 され るで あ ろ うか 。 何 らか の 理 由で(選 択 的 な窒 素 原 子 に よ る 四極 子 緩 和 な ど),4個 のGMe基 の うち2個 だ け は ス ピ ンー極 子 緩 和 時 間 が 異 常 に短 か く,従 来 な らば現 わ れ る はず の分 極 が 観 測 で きな い 可 能 性 が 第 一 に考 え られ る 。 しか しなが ら,早 い 断 熱 通 過 の方 法 で 測 定 して み る 験 誤 差 の 範 囲 で一 致す る の で,こ の可 能 性 は 否 定 さ れ この方 法 に は か な り一 般 性 を持 った応 用 が期 待 され る 一方 ,も し何 らか の方 法 で ス ペ ク トル の 帰属 が 明 らか な る 。〔8〕,〔9〕 式 に示 した通 り,観 測 してい る反 磁 性 の ヒ 系 が あれ ば,逆 に ラジ カ ル付 加反 応 が どの よ うな 順序 で ドロキ シル ア ミ ン誘 尊 体 は ニ ト ロキ シ ドラ ジ カル(5), 起 こ った か とい う反 応 機 構 を 論 ず る手 法 と もな り得 る. と,(3)の メ チル プ ロ トン のT1は (6),(11)と1一 い ず れ も2.5秒 と実 シ ア ノー1一 メ チル エ チル ラジ カル の カ ッ プ リング で 生 成 す る。 問 題 は ニ トPキ シ ド ラジ カ ル にす で に 含 ま れ るCMe2CN基 の そ れ か,ま た は 後 で酸 素原 子 に付 加 す るCMe2CNグ ル ー プ の メチ ル基 の い ず れ が emissionを 出 して い るか とい う こ と に な ろ う。 さて前 V. 分 子 内転 位 反 応 の反 芳 香 族 性 (4N)とC亘DNP7,9) 隣接 す る カル ボ ア ニオ ン セ ン タ ーへ の1,2一 転 位 は, 普 通,分 子 内反 応 で あ り,転 位 す る炭 素 原 子 の立 体 配 置 者 の 核 ス ピ ン状 態 も,そ の 生成 した 時 点 に お い て は 分極 が 比較 的 よ く保 持 され る所 か ら,緊 密 な イ オ ン対 を 中間 を受 けて い た で あ ろ う こ とは 想像 に難 くな い が,10-4∼ 体 とす る機 構 が提 唱 され て き た 。 しか しな が ら最 近,代 10-5秒 の寿 命 の 問 に不 対 電 子 の作 る大 き な 磁 場 の ゆ ら 表 的 なStevens転 位 にCIDNPが 観 測 され る とこ ろ か 20 有 機合成化学 第29巻 第1号(1971) (20) ら,ラ ジ カル 対 へ の解 離 再 結 合 機 構 が再 検 討 され る よ うに な っ た。 こ こで は スル ポ ニ ウ ムイ リ ドのStevens転 位 の 例 を あ げ,一 般 に分 子 内 転 位反 応 でCIDNPが 観測 され るた めの 構 造 論 的 な特 徴 を指 摘 した い. 臭 化 ベ ン ジル メ チ ル フ ェナ シル ス ル ポ ニ ウム(17)に ナ ト リウ ム メ トキシ ドを作用 させ る と,中 間 体 の ス ル ポ ニ ウム イ リ ド(18)が C 転 位 を起 こす 。Thomson ,Stevens らは,対 応 す る ア ンモ ニ ウム イ リ ド との構 造 上 の類 比 か ら,1,2一 転 位 生成 物(19)の 構 造 を考 え て き た が,最 近 こ れ は 間違 い で あ る こ とが わ か っ た21)。異 性 体 の イ リ ド が 〔2,3〕シ グ マ トロ ヒ.一を した形 の(20)が 正 しい 構 造 b a で あ る 。 こ の 生 成 物 に は,試 もCIDNPは み た 如 何 な る条 件 の も とで 観 測 さ れ な い19)。 イ リ ドを 単 離 し,非 ト ン性 溶 媒 中 で こ れ を 加 熱 す る と,最 り の1,2転 初 に 予 想 され た 通 位 生 成 物 が 得 ら れ る こ と がSch611kopfら に よ っ て 明 ら か に さ れ た20)。 こ の 転 位 生 成 物(19)に >CH-CH2一 d プ ロ 図4 a)ス ル ホ ニ ウ ム イ リ ド(21)の 転 位 反 応 で観 測 され る CIDNP・b)同 上 反 応 完 了 後(δ3.68PPmの 強いシ グ ナ ルは 過 剰 の ジ ベ ン ジ ル ス ル フ ィ ドのC馬 プ ロ トン) c)(22)の 標 準 試 料 の ス ペ ク トル(溶 媒 ジ ベ ン ジル ス ル フ ィ ド,190℃,100MHz).d)ラ ジ カ ル対(23)を 経 て 生 ず る(22)に 予 想、され る計 算 ス ペ ク トル 図5 転 位 反 応 生 成 物(22)の>CH-CH、 強 度の経時変化 は, 部 分 に 顕 著 なenhancedabsorption-emission が 観 測 さ れ る. 著 者 ら は,ジ ベ ン ジル ス ル フ ィ ドにベ ンザ イ ン を作用 さ せ て 得 ら れ る ス ル ポ ニ ウ ム イ リ ド(21)の 詳 細 に 調 べ た 。190。Cに 転 位反 応 を 加 熱 し たNMRのcavity中 で, ジ ベ ン ジ ル ス ル フ ィ ドを 溶 媒 に 用 い,1-(2一 カルボキシ フ ェ ニ ル)-3,3一 熱 分解 す る と,100秒 後 に ジ メ チ ル ト リ ア ゼ ン(22)を 図4aの ス ペ ク トル が 得 ら れ る 。600 秒 後 に 反 応 は 完 了 し,ス ペ ク トル は 図4bと な る。 別 途 に 合 成 した 標 準 試 料 の ス ペ ク トル(図4c)と 重 ね合 わ せ ら れ る こ と か ら,分 極 を 示 し て い る ピ ー ク は1,2一 ジフ ェ ニ ル エ チ ル フ ェ ニ ル ス ル フ ィ ド(22)の>CH-CH2一 部 分 で あ る こ と が 判 る 。 こ の 部 分 の ス ペ ク トル は,図5 に示 した経 時 変 化 を示 す 。 す な わ ち メ チ レン プ ロ ト ンは emission,メ チ レ ン プ ロ ト ン はenhancedabsorptionと 一プ ロ トン シ グ ナ ル CIDNPに (21) 21 よる有機 ラジ カル反応機構の研 究 な る よ うな 分極 で あ る 。反 応 は 〔10〕式 に した が って進 表4 CIDNPが 観測 され てい る分子内転位反応 〔1,2〕 転 位 行 す る も の と考 え られ る. 〔10〕 図4cの ス ペ ク トル を 解 析 す る と,こ JAB=7.6HzのAB2ス の 系 のmixing係 8は 表3と れ が δAB-118Hz, ヒ。ン 系 で あ る こ と が わ か る 。 こ 数Mjは 表2で 与 え ら れ,遷 移1∼ な る か ら分 極 を 受 け た 計 算 ス ペ ク トル を 〔6〕,〔7〕式 の 一 般 式 に し た が っ て 求 め る こ と が で き る. 今R1・=PhCHSPh,R2・=・CH、Phと 108, A2==-2.9×108, 置 き,A1=-2.2× ㎜er>50πj,σ Jee=108rad.sec一1, τ==10一9sec, 、-2.0035,g,-2.0025と 表2 AB2ス 表3 仮 定 す る と ピ ン系 に対 す るMj AB2ス ピ ン系 の 遷 移 表5 図4dが 得 られ,実 測 スペ ク トル と満 足 な一 致 を示 す. (22)を 与 え る転 位 反 応 が ラジ カル 対(23)を 経 過 す る確 証 が こ こ に得 られ た. CIDNPが 反 応 中 に 観 測 され,し たが っ て ラ ジ カル 対 を 中 間体 とす る こ とが 明 らか とな っ た分 子 内 転 位 に は,こ れ ま で次 の よ う な も の が あ る(表4)。 例 は,い わ ゆ るStevens転 位,Wittig転 最 初 の4 位 で あ り,Meisenheimer転 位 が これ に続 く。 こ れ らの 例 と は逆 に, ラジ カ ル反 応機 構 が 示 唆 され て い る に もか か わ らず,ど う して もCIDNPが 観 測 で きな い反 応 が い くつ か あ る. CIDNPが 観測 されない分子内転位 22 有機合成化学 第29巻 第1号(1971) (22) め て見 る 時,協 奏 反 応 で進 行 す る も の とす る と,そ こ に 3中 心4電 子 系 が形 成 され る(24)。 あ る か ら,表7に 符 号 の反 転 は 零 で した が っ て,こ の 系 は反 芳 香 族 性 で あ り,環 構 造 を保 つ とむ しろ不 安 定 化 を起 こす 。 した が っ て反 応 は電 子 問 の 相 関 の少 ない ラ ジ カル 対(25)へ の解 離 とな り,比 較 的 迅 速 に,熱 力 学 的 に安 定 な 生 成 物 へ と 再 結 合 を起 こす 。 ラジ カル 対 の寿 命 が10}9秒 以 下であ れ ば,炭 素 原 子 の立 体 配 置 が 保 持 され て もお か し くは な い 。 同 じ陰 イ オ ン中 心 へ の 転位 で も 〔2,3〕シ グ マ トロ ピ ー とな る と,5中 心6電 子 系 が軌 道 の重 な りに符 号 の反 転 な く配列 して い るか ら芳 香 族 性 で あ り,協 奏 反 応 が 有 利 とな る(24'). い うま で も な く,negativeな 結 論 を導 くに は反 応 条 件 を い ろい ろ変 え た慎重な実験がくり返された2,3,10,19). 以 上 の結 果 を整 理 す る と 表6と 表6 CIDNPの な る。 す なわ ち転 位 表7 熱 転 位 に お け る環 状 遷 移 状 態 の 安 定 性33,38) VI. 芳 香 族 第 三 ア 三 ンN一 オ キ シ ドと 現 われ方 に よる分子 内転位反応の分類 無 水 酢 酸 の 反 応2,3,6,10) 2一ピ コ リンN一 オ キ シ ド(26),4一 ド(27),N,N一 ピ コ リ ンN一 オ キ シ ジ メ チル ア ニ リ ンN一 オ キシ ド(28)な どの 芳香 族 第 三 ア ミ ンN一 オ キ シ ドと酸 無 水 物 が そ れ ぞ れ対 応 す るエ ス テ ル(29,(30),(31)を 反 応 に環 式 遷 移 状 態 を考 え,そ の環 の 中 に含 ま れ る電 子 の数 を調 べ て見 る と,CIDNPの 現われ る転位反応で は これ が4N個,CIDNPがnegativeな +2個 もの は 決 って4N とな る。 これ らの転 位 は分 子 内反 応 で あ り,転 位 て は,す で に10余 与 え る反応 に つ い 年 そ の機 構 が 論 じ られ て い るが,最 終 的 な解 明 に は程 遠 い現 状 で あ る34)。反 応 は0一 ア シ ル 化 に始 ま り,ア ン ヒ ド ロ塩 基(32),(33)ま ンモ ニ ウム塩(34)が た は 第 四級 ア 転 位 を起 こす. を起 こす 炭 素 原 子 上 で の 立 体 配 置 は多 くの場 合 保 持 され る こ とが 証 明 され てい る22,32)。 一 方 上 記 〔3,3〕シ グマ ト ロ ピー で は,末 端 が 酸 素 原 子 で あ り,そ の立 体 配 置 を規 定 す る こ とはで き な い が,こ の 例 を も含 め て 形 式 的 に Woodward-Hoffmann則33)を 適 用 して み る と,CIDNP が現 わ れ る系 はす べ て熱 に よ る協 奏 反 応 が"禁 制"さ れ て い る もの で あ る こ とが 判 る。 ま た 協 奏 反 応 が"許 容" され る 系 でCIDNPが 転 位,Meisenheimer転 観 測 さ れ た た め しが な い 。Stevens 位,Wittig転 位 な どの 陰 イ オ ン セ ンタ ーへ の 〔1,2〕シ フ トの場 合,電 子 の環 状 配 列 を 眺 〔11〕 CIDNPに (23) 23 よる有機 ラジカル反応機 構の研究 100μZの ベ ンゼ ン に溶 か し,NMRの す る。Varian社 製HA100D型 MHz)のcavityを 試 料管 に脱 気 封 入 ス ペ ク トロメ ー タ ー(100 あ らか 『 じめ95。Cに 加 熱 して お き,こ れ に試 料 を挿 入 す る こ と に よ り反 応 を開 始 させ る。20秒 後 に100秒/1000Hzの る と,図6を 掃 引 速 度 で ス ペ ク トル を 書 か せ 得 る。 新 しい 試 料 を用 い,δ4.98ppmの ernissionに の み 着 目 し,そ の時 間変 化 を追 う と 図7の よ うに な る。 す なわ ちemissionは 約75秒 後 に最 大 とな 〔i2〕 り,115秒 で 見 掛 け 上 消 失 し,290秒 吸収 スペ ク トル とな る 。δ2.46お 重 線 な らび に δ0.05の 後 に は平 衡濃 度 の 、 よ び1.06ppmの 一 重 線 は 図8に 示 した 経 時 変 〔13〕 い ずれ の反 応 系 も スチ レ ンの ラ ジカ ル 重 合 を 開 始 す る が,転 位 反 応 自身 は あ ま り 影 響 を 受 け な い 。 大 饗 ら は180で 標識 し た 無 水 酢 酸 を 用 い,(29)∼(31)に て 酸 素 原 子 がscrambleし し,か おい てい る こ とを 実 証 し,(32)∼(34)が ラジ カル 対 に解 離 ご反 応 で 転 位 す る も の と推 定 し て い る35・36)。こ れ に 対 し て,最 teinら 近,Golds図6ベ は37)過 酸 化 ジ ア セ チ ノレに お け る 180のscramblingに ン ゼ ン 溶 液 中95℃ で 無 水 酢 酸 との反 応 が 進 行 中 の(27)のNMR ス ペ ク トル(100MHz,ベ ン ゼ ン を ロ ック シ グ ナ ル に使 用) は 〔3,3〕 シ グ マ ト ロ ピ ー が 最 も 多 く寄 与 し て い る こ と,過 酸 エ ス テ ル で は 〔1,3〕 シ グ マ ト ロ ピ ー も 有 利 で あ る こ と な ど を 明 らか に した 。 こ の よ う な 事 情 か ら,(32)∼(34)の に お い て も,こ 転位 れ ら協 奏 反 応 の 可 能 性 を 再 検 討 す る 必 要 が あ る 。 こ の 問 題 をCIDNP法 で 調 べ て 見 た 。 す な わ ち,反 応 が 本 当 に ラジ カル 対 を 経 て進 行 す る も の な らば,こ cavityの れ をNMRス 中 で 行 な う と,生 磁 性 の エ ス テ ル(29)∼(31)の ル にemissionかenhanced ペ ク トル の 成 して くる反 スペク ト absorption が 観 測 さ れ る も の と 期 待 さ れ る. 実 験 例2.130mgの4一 オ キ シ ド(27)と300μZの ピ コ リ ンN無水酢 酸 を 図7δ4.98に 現 わ れ るemissionシ プ 戸 トン)の 経 時 変 化 グナ ル(エ 多 ス テ ル(30)のCH2 24 有機合成化学 化 を た ど る 。 こ れ ら の 実 験 か ら,ど nced absorptionを に 判 定 で き,過 受 け,ど 第29巻 (24) 第1号(1971) の シ グ ナ ル がenha- れ がemissionな の か 確 実 渡 的 ま た は 定 常 的 な ビ ー ト な ど と誤 認 す る 危 険 が 回 避 で き る 。 ま た こ の 目的 に は,内 式 で 磁 場 の 均 一 度 を 長 時 間 保 つ 一 方,周 部 ロ ック方 波 数 掃 引の 発 振 器 にVarian社V3530RF/AFsweepunitを 用 い,C 図9速 1024TimeAveragingComputerのrampvoltageで 掃 引 幅 と掃 引 時 間 を 調 整 し,HA-100D分 い断熱通過 による磁化の反転 とその後の回復 光 器 の記 録 計 の 横 軸 に 時 間 を 取 る よ う に す る と便 利 で あ る. 別 途 に 合 成 した 標 準 試 料 のNMRス 二 か ら,δ4.98のsingletは ペ ク トル と の 比 較 ア セ テ ー ト(30)の ン プ ロ ト ン に 帰 属 さ れ る 。 δ2.46を メチ レ 中 心 と す るquartet .お よ び δ1。06PPmのtripletは,4一 エ チ ル ビ。 リ ジ ン 〈35)の エ チ ル 基 の ス ペ ク トル と 重 ね 合 わ せ る こ と が で き る 。0.05PPmのemissionは 〈35)の 収 率 は 約2%で お よ び(35)に メ タ ン に 由 来 し て い る. あ り,図7お よ び8か ら,(30) 観 測 さ れ たenhancementfactorの 値 は そ れ ぞ れ3お よ び102と 最大 を 早 い 断 熱 通 過 の 方 法 で 測 定 し た(図9参 ロ ト ン は7 ン(35)のCH2お お よ び10.4秒 よ びCH3プ のT、 102を .2秒,4一 照)。 ア セ テ エ チ ル ビ.リジ ロ ト ン は そ れ ぞ れ10.0 を 持 つ 。(30)のT、7.2秒 に く ら べ て 明 ら か に 短 い が,実 測 測 され る。 ベ ンゼ ン 中90。Cの 130お よび160秒 無 水 酢 酸 の反 応 の揚 強 いemissionが 反 応 で は そ れ ぞ れ反 応 後 後 に 負 の 極大 に達 し,後 者 は5000秒 も以 然ernissionシ 後 グ ナル で あ る のは 驚 くば か りで あ る. アセ テー ト(29)のCH2プ ロ ト ンは δ5.12に 現 われ 向 き の分極 も 観 測 され な い 。emissionシ グ ナ ル は,主 反 応 とは 関 係 の な い酢 酸 メ チ ノ レの0-CH,(δ3.44ppm) お よび エ タ ン(δ0.70)に 起 因 して お り,い ず れ も1% 前 後 しか 生成 しな い 。(29)のCH、 フ.ロト ンのT、 は 正 違 い3と び エ タ ンに は 分極 効果 が 明確 に現 わ れ て い る の で あ る か さ れ たPの 常 で あ り,ま た試 料 管 中 に 共存 して い る酢 酸 メ チル お よ ら,(29)に 生 じた か も知 れ ない 核 の 分 極 が速 や か に緩 和 され た 可 能 性 は否 定的 で あ る. で 触 れ よ う. 四重線 観 は(35) 説 明 す る に十 分 とは い え な い 。 これ に つい て は後 図8δ2.46の よび0.70PPmに るが,反 応 の進 行 と共 に 単 調 に増 大 す る だ け で,ど ち ら な る. 問 題 に し て い る 各 種 プ ロ ト ン の ス ピ ン ー格 子 緩 和 時 間 ー ト(30)のCH2プ 2一ピ コ リ ンN一 オ キシ ド(26)と 合 に は,δ3.44お δ1.06の 三 重 線(以 上(35)の エ チ ル 基 の シ グ ナ ル)お よ び δ0.05の 一重線の時間変化 CIDNPに (25) N,N一 ジ メ チル ア ニ リ ンN一 オ キ シ ド(28)の よ る有 機iラジ カル 反 応 機 構 の 研 究 類 似 の反 応 の 場 合 を 含 め て,著 者 らの 実 験 結 果 を 表8に 要約 し た。 25 想 され る 。 そ れ に も か か わ らず(29)お CIDNPが 観 測 され ず,(30)に よび(31)に わ ず か な 分極 効 果 が 観 測 さ れ た だ けで あ る と言 う実 験 事 実 は,本 当 に反 応 が ラジ カル 対(36),(40)を 表8NMRス ペ ク トル で追 跡 し た芳 香 族 第 三 ア ミン N一 オ キ シ ドと無 水 酢 酸 の 反 応 これ ら の結 果 か ら導 か れ る10gica1な 経 過 せ ず,エ ス テ ル(30)の 場合に 結 論 は 次 の3点 で あ る。i)微 量 の 副生 成 物 で あ る酢 酸 メ チル,エ メ タ ンお よび4一 エ チ ル ピ リジ ン(35)は,そ タ ン, れ ぞれ の ラ ジ カル 対 の再 結 合 反 応 で 生 成 してい る。N,N一 ジ メチル ア ニ リン はそ の カ チオ ン ラジ カル が 還 元 され て で き た も の で あ ろ う。ii)期 待 に反 して,転 位 反 応 〔11〕,がラジ カル 対(36)を 経 過 す る とい う積極 的 証 拠 は得 られ な い 。iii)ア セ テー ト(30)の らた だ ち に ア セテ ー1ト(29)お ラジ カル 機 構 で生 成 して い ない と結 論 して も よい か 。b)iii)か ル 対(37)の ら転位 反 応 〔12〕はす べ て ラジ カ か ご反 応 で あ る と結 論 して も さ しつ か え な い か 。 なぜ な らば,第 一 に ラジ カ ル対 を 中 間体 と して い る に も拘 わ らず,ω た とwjの さ く,〔7〕 式 で 与 え られ るP頚 ル 対(38)の 寿 命 は拡 散 律 速 で10一9秒 程 度 あ る とす る と ジ カル 対(36)と(40)の 考 察 を さ らに進 め る に当 って,次 の 二 点 に注 意 しな け よび(31)は 差,τ ま た はkSEが 通 る機 構 を支 持 す る よ うに 思 わ れ る。 最 後 に も う一・ つ の可 能 性 が 残 る,ラ ジ カ 実 測 され る大 き さ のPが 説 明 で き る ので あ るが,も 生 成 が ラジ カ ル対(37)を 経 過 す る直 接 的 証 拠 が 得 られ た. れ ば な らな い 。a)ii)か は極 く一 部 が ラ ジ カル 対(37)を 小 が本 質 的 に小 さい 可 能 しラ 寿 命 は さ らに短 く10-12秒 の オ ー ダ ー だ とす る と,実 際 に現 わ れ る分極 効果 は き わ め て小 さ くな る こ とが 〔6〕,〔7〕 式 か ら判 明 す る。 この よ う な事 情 に あ る とす る と,生 成 した ラジ カル 対 のJeeは 常 に大 き く,一 重 項 のス ヒ.ン相 関 を保 った ま ま 転位 反 応 が 完 了 して し ま う こ とに な り,当 然 の こ となが らCIDNP は期 待 で き ない 。 こ の場 合CIDNPは もは や反 応 機 構 の 判定 手 段 と して使 うこ とので きな い 限 界 で あ る か も知 れ な い が,そ の よ うな ス ピ ン相 関 を保 った 早 い 分 子 内反 性 が 考 え られ,ま た 二 番 目に エ ス テ ル を与 え る転 位 反 応 応 を ラジ カル 機 構 で あ るか 協 奏 反 応 で あ る か と区別 して の ご く一 部 が ラジ カル 反 応 で あ って,残 考 え る こ と 自体 限 界 に きて い る こ と にな り,あ る意 味 で りの大 部 分 は別 反 応 機 構 は決 っ た とい って も さ しつ か えあ る ま い. の機 構 で 進 行 して い る可 能 性 も残 され るか らで あ る. 特 に,明 らか に ラ ジ カル 反 応 で 生 成 して い る と思 わ れ る微 量 副反 応 生 成 物 に 対 して は102オ ー ダ ー の 分極 が' 観 測 され てい る の に対 して,エ ス テ ル(30)の そ れ は, わ ず か に3で あ る点 は後 者 の 可 能性 を示 唆 して い る とも 受 け取 れ る。 ラジ カル 対(36)∼(39)の 各 成 分 には 表 9に あ げた 大 き さの パ ラ メー ター が 期待 され る の で,こ れ らを 〔6〕,〔7〕 式 に代 入 す る と,他 の条 件 が等 しけれ ば,(36),(37)に(38)よ 表9 り も強 いenhancementが ラ ジ カル 成 分 の σ値 とhf.結 合 定 数(推 定値) 予 VII. CIDNPの 結 び 最 初 の報 告 が 出 て か ら3年 に な るが,こ れ まで の とこ ろ 「こ うい う反 応 に もCIDNPが 観 測 され ま した」 と言 う定 性 的 な速 報 が 多 くを 占 め,有 機 反 応機 構 の研 究 へ の系 統 的 な応 用 や 方 法 の開 発 研 究 は や っ と始 ま った ば か りの段 階 で あ る。 理 論 体 系 の完 成 が待 た れ る一 方,実 験 技 術 と して は最 近ErnstとAnderson15)に って 開発 され たFourier変 よ 換 に よ るmultiscanAverage 法 の応 用 が期 待 され る。 こ の方 法 で は 高 周 波 パ ル ス に よ るNMRが 勧 測 され,い わ ゆ る 掃 引 が な い の で,通 常 のNMRス ペ ク トル に現 わ れ るwig91ebeat,ringingな どが 回避 で き る だ け で な く,き わ めて 短 時 間 しか現 わ れ な いCIDNPを NP法 はESRス も確 実 に検 出 で き る。以上 要 す る にCIDペ ク トル と相補 い,有 機 ラジ カ ル反 応 26 有機合成化学 機 構 の研 究 に不 可 欠 な分 光 学 的 手 法 とな る こ とは 想 像 に 第29巻 第1号(1971) 難 くない. 終 りに のぞ み,種 16) 17) 々 の ご教 示 と御 助 言 をい ただ い た, 東 京 大 学,島 村 修 教 授,大 木 道 則 教 授,吉 田政 幸 博 士 に 18) 厚 くお礼 申 し上 げ る。 ま た こ の総 説 は東 邦 大 学 岩 村 道 子 博 士,日 電 バ リア ン西 田利 昭,佐 藤 至 朗 両 博 士 な らび に 串 田 克彦 氏 の協 力 が あ って は じめ て実 現 した こ とを記 し 感 謝 した い. 1) 2) 3) 4) 5) 6) 7) (昭 和45年10月27日 8) 印刷 中 岩村 秀,岩 村 道 子,西 田利 昭,佐 藤 至 朗,第9回 NMR討 論 会,金 沢, 1970年10月 9) 岩村 秀,岩 村 道 子,西 10) 田利 昭,第21回 有機化学反 応 機 構討 論会,広 島, 1970年10月 岩村 秀,岩 村 道 子,西 田利 昭,三 浦 巌,第11回 有 12) 13) 14) 15) J. Bargon, H. Fischer, Z. Naturforsch. 22a 1551, 1556 (1967) G.L. Gloss, J. Am. Chem. Soc. 91 4552 (1969) ; G.L. Gloss, A.D. Trifunac, ibid. 91 4554 (1969) ; 92 2183 (1970) ; G.L. Gloss, C.E. Doubleday, D.R. Paulson, ibid. 92 2185 (1970) ; G.L. Gloss, A.D. Trifunac, ibid. 92 2186 (1970) R. Kaptein, J.L. Oosterhoff, Chem. Phys. Letters 4 195, 214 (1969) J.A. Pople, W.G. Schneider, H.J. Bernstein "High -resolution Nuclear Magnetic Resonance" McGraw-Hill, New York, N.Y., (1959), p. 83. R.R. Ernst, W.A. Anderson, Rev. Sci. Instr. 37 93 (1966) 1954 1920 C.Walling, E.S. Huyser, "Organic Reactions", Vol. 13, Chapt. 3, Jonn Wiley & Sons, Inc., New York, N.Y., (1963) 岩村 秀,岩 村 道 子,西 20) U. Schollkopf, G. Ostermann, J. Schossig, Tetrahedron Letters 2619 (1969) E.B. Buiz, Acta Salmenticensi Ser. Cience 2 64 (1958) J.E. Baldwin, W.F. Erickson, R.E. Hackler, R. M. Scott, Chem. Commun. 576 (1970) A.R. Lepley, J. Am. Chem. Soc. 91 1237 (1969) A.R. Lepley, Chem. Commun. 1460 (1969) R.W. Jemison, D.G. 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