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わたしたちの生活と経済
第3学年社会科学習指導案 13:55~14:45 1 単元名 「わたしたちたちの生活と経済」 日時 場所 学級 授業者 平成22年11月17日(水) 2階 3年C組教室 3年C組 直井 秀樹 ~飛騨産業の企業活動と成長~ 第7時/全8時 2 単元について (1) 教材観 本単元は,文部科学省「中学校学習指導要領」(社会公民的分野)に掲げられている目標の(2)と(4)および 内容(2)(ア)に基づいて設定した単元「わたしたちの生活と経済」である。 この単元は,企業(会社)が成長していくためには何が必要なのかを,現実の生産や消費などの経済活動 を取り上げて学習を展開する。その中で,市場経済の基本的な考え方や消費や貯蓄,消費者の権利などを理 解させるとともに,それに関連させて社会における企業の役割や在り方について考えさせる。また,未来の 社会を生きていく生徒が,自らの意思や判断によって正しい消費生活を送ることができ,経済活動の意義と あらましについての理解を深めることをねらいとする。企業は家計と密接に関連しており,将来ほとんどの 生徒は企業に労働力を提供し,収入を得て生活する。そのような点では日常生活に密着しており,生徒にと って重要な題材といえる。 本時では, 「飛騨産業株式会社」を取り上げる。飛騨産業株式会社は,地元高山市にある日本を代表する高 級家具メーカーであり,飛騨に息づく「飛騨の匠の伝統」と「豊富なブナ材資源」という背景を基に大正9 年にスタートした今年創業90周年を迎える会社である。ブナ材を活用した曲木家具の生産で高い品質を誇 り,1935 年(昭和35年)には,わが国の対米輸出家具第一号として曲木家具のアメリカへの輸出を開始し たり,第一回ジャパンファニチャーショーにおいて曲木を生かした家具が内閣総理大臣賞を受賞したりする など家具ブランドとしての評価を確立してきた。 現在,不景気の中で,家具メーカーのほとんどが利益を大幅に減らし,生産の縮小を余儀なくされている。 さらに,飛騨産業の製品は一般に流通している家具に比べても値段の高いものが多く,不景気の中において はもっとも先に売れなくなる傾向にある商品であると予想される。にもかかわらず,絶え間ない企業努力に より,ここ数年黒字を計上するまでに経営改善している秘密に目を向け,生徒たちに「技術に裏打ちされた 品質」 「流通の経路の見直し」 「生産の合理化」という面から安定した経営ができている理由を考えさせてい く。また,家具業界ではタブーとされてきた「節のある家具」の生産や,柔らかく家具には向かないとされ てきた杉材の活用など,一歩間違えば,会社の運命を左右するような新たな提案を消費者に送り続ける理由 を生徒に考えさせることで,消費者の要求に応えるだけでなく,時代を先取りした新たな提案を行き,消費 者の新たな価値観を開拓していくという,新しい企業のあり方を提示していく。そのことにより,会社の成 長は利潤追求と同時に企業の社会的責任や消費者の満足感を高めるための新しい提案をしていくことと共 にあることを理解させていきたいと考える。 (2) 生徒観 学習の流れ, 資料の読み取りなど, 繰り返し指導してきたことで基本的な学習習慣が身に付いてきている。 しかし,主体性や意欲という点には個人差が大きく,授業の流れの中で学習に取り組んでいるが,主体的な 追究や課題解決に関して不十分である生徒も存在する。資料の読み取りについては,資料から読み取れる事 実をそのまま読み取ることができる生徒は多いが,自分の考えを,比較する・関連付ける・根拠を挙げるな ど論理的に考えて書く力はまだまだ弱い。 このことは,意見交流においても同じことがいえる。資料から見つけたことをそのまま発表することはで きるが,課題についての結論を明確にし,理論的,構成的に話したり,仲間の意見から自分の意見を再構築 していったりすることについては不十分であるといえる。 また,事前の調査で, 「経済という言葉で何を連想するか」という問いに対して,生徒は,お金のやりとり, インフレ,デフレ,不景気,利益,などといった答えが38人中35人であった。新聞やテレビで見ている 言葉の羅列するのみに終わっており,自分たちの生活と身近に関わっているという意識が薄いことが伺える。 一方で, 「商品や製品を買うときに重視することは何か」という問いに対しては,すべての生徒が,値段(安 さ) ,使いやすさ,機能,長持ちするのか,どこで作られているか,など自分たちの生活経験の中から答え ている。この,経済の仕組みと,自分たちの消費生活を結び付けることができない実態を克服していくため に,私たちにとって身近な高山市の代表的な家具会社を取り上げ課題設定すること,また,会社の立場と消 費者の立場の両面から課題追究をしていくことで経済を身近にとらえさせ生徒が意欲的に追究できるよう にすることをねらった。 (3) 指導観 本単元を通して,特に思考力や判断力では,ただ「調べて終わる」のではなく, 「調べて考える」 「社会事 象を追究する」力を付けていくことを目指していきたい。本時は,前時までに習得した知識や見方・考え方 を活用し,企業が成長していくための企業努力と社会的責任を捉え企業としての生き方に迫る時間である。 そこで,生徒達にとっても身近である飛騨産業を取り上げ,飛騨産業が企業として成長していくために行っ ている企業努力,新たな試み,社会的責任を果たすための活動を具体的な資料で取り上げ,企業が成長する ために必要なものを調べて考え,追究できるように授業を仕組んだ。企業が成長していくためには,生産活 動や販売の工夫や努力をして消費者の要求に応えていくだけではなく,消費者に新しい提案を行ったり,環 境への配慮といった社会的責任を果したりすることも大切であり,それらのことが消費者から信頼され,企 業の成長に繋がっていくのだということを未来の社会を生きていく生徒達に捉えさせたい。 3 研究内容との関わり ●研究内容1 指導計画の作成 ・単元構想図の工夫 生徒が主体的に学び,単元の付けたい力に迫る単元の構造化のために,単元の各時間を「経済活動に関心 をもつ授業」 , 「経済活動の仕組みについて理解する授業」 「企業が成長していくための工夫や生き方に迫る 授業」 , 「企業の成長の理由を一般化する授業」の4つに分類し,各授業の役割を明確にして意図的・計画的 に位置付けた。 「経済活動に関心をもつ場」を,単元に対する興味・関心をもたせ,本単元の「中心となる 授業」に向けて生徒の課題意識が連続するように,毎時間振り返ることができる「単元を貫く課題」を設定 する場とした。「経済活動の仕組みについて理解する授業」は,本単元の中心となる授業で捉えさせたい認 識を獲得させるために必要な知識・技能を身に付ける場とした。「企業が成長していくための工夫や生き方 に迫る授業」は,社会事象の裏にある会社の工夫,働く人の願い,意図,生き方に対するわからなさを,こ れまでに学習した見方や考え方,認識や新たな認識をもとに仲間と追究し,さらに新たな認識を獲得する場 としたい。このように,単位時間の役割を明確にすることで,捉えさせたい認識の確立に向けて付けたい力 に迫る学習が展開できるように構造化した。 ●研究内容2 指導方法の工夫 STANDⅠ ・考えを広げる場の工夫 前時に資料を基にして, 「なぜ,不景気の中でも飛騨産業が利益をあげることができるようになったのか」 の自分の考えを持つ。その考えを㋐飛騨産業の歴史,流通の工夫,生産の効率化,品質の高さという資料か らの読み取りのみで書いている生徒,㋑複数の資料を考え合わせて考えている生徒,㋒資料からの疑問や自 らの知識を資料とつないで考えることができる生徒の3つの視点で整理し,意図的指名を仕組むことによっ て意図的に意見交流させながら,意見の広がり深まっていく仲間との意見交流の良さを実感させ学ばせる。 ※研究構想図内 研究内容2 STANDⅠ-3 STANDⅡ ・考えを深める場の工夫 家具業界の常識を打ち破る試みに挑戦し「節のある家具」や「杉材の活用」という会社としてもリスクの 伴う提案を行っていることを紹介し,さらに, 「杉材の活用は赤字であるにもかかわらず,なぜ,作り続け るのか。 」を考えることで思考を深めていく。節のある家具は「森のことば」シリーズとして人気を集める と共にデザインの分野でも評価されていること。 「杉材の活用」は 66 ㌫に圧縮することにより家具としての 強度を確保すると同時に環境への貢献も見逃せない。消費者の要望に応えるだけではなく,消費者に新しい 価値観を持った家具の提案をしていくという新しい成長する企業の形を示し理解することができる。 ※研究構想図内 研究内容2 STANDⅡ-1,2 ●研究内容3 学習集団づくり ・ 「多面的・多角的なものの見方や考え方」を深めあう集団作り 考えを交流する場では,ハンドサインを有効に使う。仲間の意見に対して必ずハンドサインで意思表示し 反応することを通して,仲間を大切にして話し合いをする集団を目指す。また,ハンドサインを活用するこ とで自分の考えと仲間の考えを比較,関連,統合,再構築していく話し合いのよさを生徒の中にも理解させ た上で,教師の補助発問と併せて授業を展開していく。例えば,Aという1つめの意見に対しての付け足し や賛成ははっきりしており,比較,関連の意見を把握しやすい。しかし,意見を統合,再構築していく時に は,教師の「二人の考えをまとめるとどうなるの」という統合の視点を与えたり, 「○○君の意見から課題 についてもう一度考えてみよう」といった再構築の視点を与えたりすることも必要になる。生徒自身がハン ドサインを出すことから一歩踏み出し,ハンドサインを活用し「多面的・多角的なものの見方や考え方」が できる集団づくりを目指す。 ※研究構想図内 研究内容3-2 6「私たちの生活と経済」単元構想図 〈単元を貫く課題意識〉 企 業( 会 社 )が 成 長 し て い 単元前の生徒の意識: 景気の悪化とかいった言葉もニュースで耳にするので,景気が悪いとかこれからの生活が不安という印象がある。でも,自分たちの生活とは直接関係ないという イメージがある。私たちの生活と経済はどう関わっているのだろうか。 く の に は ,ど ん な こ と が 必 要なのだろう。 〈単元のねらい〉 ○ 消 費 者 は ,で き る だ け 質 が 高 い も の や ,低 価 格 の も のを求める傾向にあるこ と 。企 業 は ,消 費 者 が 求 め て い る も の を ,流 通 の 合 理 化や生産の合理化などで, できるだけコストを抑え な が ら 提 供 し ,利 潤 を 得 よ うとしていることがわか る 。( 市 場 経 済 ) ○ 企業は利潤をより得る た め に ,低 価 格 化 の 努 力 を す る こ と と と も に ,品 質 を 維 持 ・ 向 上 し た り ,開 発 し たりして消費者の安全や 安心を考えた生産の努力 も し て い る こ と 。利 潤 追 求 だ け で な く ,公 共 の 利 益 に 配慮する責任も果たそう と し て い る こ と 。( 社 会 的 責 任 )消 費 者 が よ り 良 い も の を 求 め 消 費 し ,生 活 の 向 上 に 努 め よ う と す る「 消 費 者 の 自 立 」が 企 業 の 活 動 を 支えていることがわかる。 (消費者主権) 〈既習内容〉 中2:地理的分野 「世界と日本の資源と産業」 中2:歴史的分野 「国際社会と日本」 中3:公民的分野 「現代社会と私たちの生活」 〈つなげる内容〉 中3:公民的分野 「市場経済と金融」 「国民生活と福祉」 「国際問題と地球市民」 単 元 を 貫 く 課 題 1 経済活動に関心を持つ場 2 ① 【 関 心 ・ 意 欲 ・ 態 度 】 伸 び 悩 む 日 本 経 済 ・ オリエンテーション 経済活動の仕組みについて理解する場 ② 【 技 能 ・ 表 現 】【 知 識 ・ 理 解 】 消 費 と 貯 蓄 私たちは経済活動とどのように関わっているのだろうか 日本経済は現在どのような状況にあるのだろう。 資 料 :「 ◇ 完 全 失 業 率 の 割 合 ◇ 新 聞 記 事 」 ●日本経済の伸び悩んでいる状況を理解すると同時に,業績 を伸ばしている企業もある。その事実から企業が成長して いくために必要なことは何なのか疑問を持つことができる 資 料 :「 ◇ 家 計 の 収 入 と 支 出 ◇ お 金 の 使 い 道 ◇ 多 重 債 務 」 ● 所 得 ・ 消 費 ・ 貯 蓄 の 関 係 を つ か む 中 で ,商 品 選 択 の 原 理 に 気 づ き ,限 ら れ た 収 入の中で,本当に必要なものを選択して購入していることがわかる 。 : 企 業 が 成 長 し て い く た め に は , ど ん な こ と が 必 要 な の だ ろ う か 。 3 ③ 【 技 能 ・ 表 現 】【 知 識 ・ 理 解 】 消 費 者 の 権 利 と 保 護 私たち消費者にはどんな権利があり,保護されているのだろう 企業が成長していくための工夫や生き方に迫る場 資 料: 「◇悪徳商法と相談件数 ◇クーリングオフ ◇多重債務 ◇新聞広告 」 ◇家電製品の事故例 」 ● 宣 伝 と 日 常 の 消 費 行 動 と の 関 係 に 着 目 し 消 費 者 主 権 に つ い て 考 え ,消 費 者 の 権 利と保護について実際の被害例や対応策を通して考える。 ⑥ 【 知 識 ・ 理 解 】【 思 考 ・ 判 断 】 飛 騨 産 業 の 企 業 努 力 1 不 景 気 の 中 で も ,飛 騨 産 業 が 利 益 を あ げ ら れ る こ と が で き たのはなぜだろう。 資 料 :「 ◇ 生 産 量 の 変 化 ◇ 生 産 の 効 率 化 ( ト ヨ タ 方 式 ) ◇飛騨産業の歴史(飛騨の匠・曲げ木・卓越した技術) ◇流通の工夫(問屋を通すことを廃止) ◇販売・保証の工夫(直営店・修理工房) ◇ 高 い 品 質 ( 高 い 技 術 を 持 っ た 職 人 集 団 )」 ●他の企業が生産額を下げている中で,飛騨産業が生産を伸 ばしてきた理由を自らの予想をもとに,諸資料を使って, 生 産・流 通・販 売 の 視 点 か ら 考 え を ま と め る こ と が で き る 。 〈習得した知識・見方考え方を活用する時間〉 ⑦【思考・判断】 飛騨産業の企業努力2 (本時) STAND1 不景気の中でも,飛騨産業が利益をあげられることができ たのはなぜだろう。 ○ 前 時 に ま と め た 考 え の 交 流 資 料 :「 ◇ 前 時 活 用 し た 資 料 」 STAND2 「杉を使った家具」で設備投資1億2千万,毎年赤字を出 しながら作り続けている理由を考える。 資 料 :「 ◇ 杉 材 の 活 用 ◇ 節 を 生 か す 家 具 ◇ 岡 田 社 長 の 話 」 ●飛騨産業が不景気の中でも利益を上げている現状を通し て,生産・流通・品質の向上といった企業努力に気づき, さらに, 「 杉 材 の 活 用 」と い う 新 し い 取 り 組 み が 赤 字 で あ る 現状から,消費者の要求に応えることだけでなく,企業側 から新しい提案を行ったり,社会貢献していったりするこ とが,企業の成長に繋がっていくことを考えることができ る。 ④【知識・理解】 流通の仕組み 生産した製品はどのように家庭まで届くのだろうか 資 料 :「 ◇ 流 通 の 仕 組 み ◇ 流 通 に 関 わ る 業 者 ◇ 流 通 の 合 理 化 」 ● さ ま ざ ま な 商 品 の 流 通 経 路 に 関 心 を 持 ち ,流 通 の 仕 事 に つ い て 理 解 し 流 通 業 者 の役割や抱えている課題について理解する。 ⑤【知識・理解】 生産の仕組み 株式会社はどのような仕組みになっているのだろう, 資 料 :「 ◇ 株 券 と 株 式 欄 ◇ 株 式 会 社 の 仕 組 み ◇ 企 業 の 種 類 」 ● 企 業 の 目 的 を つ か む と 共 に ,資 本 主 義 経 済 の 大 ま か な 特 徴 と 株 式 会 社 の 仕 組 み を理解することができる。 4 企業の成長の理由を一般化する場 ⑧【思考・判断】 企業の成長 企業(会社)が成長していくために必要なことをまとめてみよう。 資 料 :「 ◇ こ れ ま で の 学 習 資 料 ◇学習ノート」 ●消費生活を中心に経済活動の意義と仕組みがわかり,企業は役割と社会的責 任 を 果 た す た め に ,消 費 者 主 権 を 考 え た 経 営 を お こ な っ て い る こ と が わ か る 。 単元後の生徒の意識: 企業が成長していくためには,利益の追求が大切だと考えていたけれど,それだけでなく,不況の中でも成長している飛騨産業の取り組みから,社会的責任を果た すことや消費者主権を大切にしていくことが必要であるとわかった。私たち自身も消費者として ,しっかりと商品を選ぶ力を持たないといけない。 。 3年公民的分野 「わたしたちの生活と経済」単元指導計画 (全8時間) 時 本時のねらい 学習活動 評価規準・方法 1 不景気のために 1完全失業率や会社の倒産件数の資料から 消費経済を中心 経 企業の収益が伸 日本経済の現状をつかむことができる。 に私たちの生活 済 び悩んだり、倒 と経済の関わり 日本経済は現在どのような状況にあると 学 産したりする企 に対して、身近 いえるのだろうか。 習 業が多い中で企 ・倒産する企業も多く、失業率も高くな な社会事象に関 オ 業が成長してい 心を持ち、単元 っている。 リ くために何が必 ・このまま不景気が続いたら日本はどうなっ を貫く課題を設 エ 要なのかを考え 定している。 てしまうのだろう。 ン ようとすること <意欲・関心・ テ ができる。 2不景気の中でも業績を伸ばしている企業 態度> │ ノートの記述・ が高山にあることを知る。 シ 学習姿勢の観察 日本経済が不況にあり、倒産する企業も多 ョ いことに不安になった。また、そんな不況 ン の中でも成長している会社が高山にもあ 資料及び留意点 ◇完全失業率の割 合 ◇新聞記事 ・生活経験の中か ら考えられるよう にお客が多い店に はどんな共通点が あるのか発問す る。 る事を知り、他の会社と何が違うのか、ど んな秘密があるのかを知りたいと思った。 ○ 単元を貫く課題をつくる 会社が成長していくためにはどんなこと が必要なのだろうか。 2 消 費 と 貯 蓄 3 消 費 者 の 権 利 所得と消費の関 係を家計を通し て考え、豊かな 生活を送るため に大切なことに 気づくことがで きる。 消費者主権につ いて関心をも ち、消費者の権 利と保護につい て、実際の被害 例や対応策を通 して考える。 1家庭の暮らしを探る。 2暮らしを支える家庭の収入を確認し分類 する。 ・勤労収入、事業収入、財産収入 家計の支出にはどのようなものがある のだろう ・食費、光熱費、教育費など ・税金、社会保障費 ・貯金、保険 ・ 商品を選択する基準が条件により様々 であることに気づかせ、合理的な選択 について考えさせる。 3豊かな生活をするためには、家計をどうし たらよいのか考える。 ・収入と支出のバランスを考えて生活する 家計簿や収入と 支出グラフを使 って豊かな生活 について考えて いる。 <知識・理解> ノートの記述・ 学習姿勢の観察 発言内容 私たちの家庭は、収入を得て、それを 様々なものに使っているのだな。そし て、収入と支出のバランスを考えてお金 を使うことが豊かな生活を実現するこ とに繋がるのだな。 1広告が消費に与える影響について、調査や 消費者主権につ 話し合い活動をもとに考えさせる。 いて関心をも ち、消費者の権 利と保護につい 消費者を守るためにどんな制度や法律 て、実際の被害 があるのだろうか。 2消費者の権利と保護について、企業や国、 例や対応策を通 地方公共団体、消費者自身の責任などさま して考えること ◇家計簿 ◇収入と支出グラ フ ◇家計の支出(年 度比較) ・普段、どのよう に商品を選んでい るのか具体的な場 面で考えられるよ うにする。 ◇消費者の保護 ◇多重債務 ◇PL法について ・実際の被害の例 を出しながら具体 的な対応を考えら と 保 護 ざまな視点からとらえさせる。 ・保護者を守るためにクーリング・オフとい う制度があるのだな。 ・消費者が主権者であるために、消費者、企 業、国それぞれの立場からの努力が必要であ るのだな。 ができる。 <思考・判断> ノートの記述・ 学習姿勢の観察 発言内容 れるようにする。 商品が消費者に 1毎日食べている野菜や毎日使っているノー 商品の流通経路 届くまでには卸 トがどんな経路で私たちの手に入ったか考 によって価格が 売市場を通るた える。 変わること、卸 め価格が変わっ 2流通の段階での価格を見て、気付いたこと 売業者の役割に てくることに気 を発表する。 よって、私たち づき、卸売業者 卸売業・小売業はどのような役割をしてい は様々な商品を は消費者に代わ 簡単に手に入れ るのだろう って商品を各地 ・消費者が商品を全て直接生産者から購入する ることができる から収集したり ことを理解して ことは難しい。 輸送したりする ・たくさんの種類の商品が、 身近で購入できる。 いる。 役割を担ってい 3流通の合理化について身近な小売店を例 <知識・理解> ることがわか ノートの記述・ に考える。 る。 学習姿勢の観察 発言内容 同じ商品であっても、流通経路によって価 ◇流通とは~商品 が消費者に届く まで~ ◇流通に関わる業 者 ◇流通の合理化 自分たち消費者が主権者であるために、 消費者として正しい判断をすることが 大切であるし、企業や国の立場でも努力 していることがわかった。 4 流 通 の し く み 5 生 産 の し く み 株式会社のしく みをまとめる活 動を通して、株 式会社は資本を 効率的に集める ことのよさを生 かした企業であ ることがわか る。 格が変わってくることがわかった。流通が あるから身近な小売店やスーパーに様々 な商品が届き、私たちは欲しい物を簡単に 手に入れることができる。企業によって は、流通の合理化を図ってコストを下げて 安く販売しようとしているところもある ことがわかった。 1企業のはたらきについて調べる。 2自分が会社をつくるとしたら、まず何が必 要か考える。 3大企業の資本金と、それを集めるしくみを 調べる。 大企業のほとんどが株式会社になってい るのはなぜか。 ・株式会社の制度は大量の資本を集めやすい。 ・集めた資本を使いさらに生産活動を拡大で きる。 株式を発行することで大量の資本を集 め、大規模な生産活動を行って利潤を得 ようとする株式会社のしくみがわかっ た。企業によって生産された商品はどの ようにして私たちのところにまで届け られるのだろう。 株式会社が多く の資本を一度に 集めることがで きるという利点 を持つ仕組みで あることを理解 している。 <知識・理解> ノートの記述・ 学習姿勢の観察 発言内容 ・生産者、消費者 それぞれの立場か ら課題に迫れるよ うに助言をする。 ◇会社四季報 ◇株券と新聞の株 式面 ◇株式会社のしく み ◇企業の社会的責 任 ・身の回りの企業 は何を目的として いるのかを明確に して、私企業と公 企業を分類させ る。 6 地 元 企 業 飛 騨 産 業 の 概 要 他の会社が生産 1不況で業績を落とす企業が多い中で、H産 額を下げている 業が業績を保ち、利益を上げている事実を 中で、飛騨産業 つかむ。 が業績を保って 不景気の中でも飛騨産業が利益をあげる こられた理由 ことができたのはなぜだろう。 を、自らの予想 2飛騨産業に関わる資料や既習内容、生活経 をもとに、資料 験をもとに予想し、追究する。 を使って、生産、 (追究の視点) 流通、販売、歴 ・ 生産の工夫 史の視点から考 ・ 流通の工夫 えをまとめるこ ・ 品質へのこだわり とができる。 ・ 飛騨の木工業の伝統 地元企業飛騨産 業が不況の中で も業績を落とす ことがない理由 を、生産、流通、 販売、歴史の視 点から考えてい る。 <思考・判断> ノートの記述・ 学習姿勢の観察 発言内容 7 飛 騨 産 業 の 戦 略 飛騨産業が不景 気の中でも利益 を上げている現 状を通して、生 産・流通・品質 の向上といった 企業努力に気づ き、さらに、家 具業界ではタブ ーとされている 「節のある家 具 」「 杉 材 の 活 用」といった新 しい取り組みを 行っている現状 から、消費者の 要求に応えるこ とだけでなく、 企業側から新し い提案を行った り、環境への配 慮といった社会 的責任を果たし たりすること が、企業の成長 に繋がっていく ことを考えるこ とができる。 飛騨産業が不景 気の中でも利益 を上げている理 由を、生産・流 通・品質の向上 といった視点で 考えを広め、さ らに、消費者の 要求に応えるこ とだけでなく、 企業側から新し い提案を行った り、環境への配 慮といった社会 的責任を果たし たりすること が、企業の成長 に繋がっていく と考えている。 <思考・判断> ノートの記述・ 学習姿勢の観察 発言内容 会 社 の 成 長 と は 本 時 1前時に作った課題を確認し、交流する。 不景気の中でも飛騨産業が利益をあげる ことができたのはなぜだろう。 ◇ 生産の工夫 ・一人で行う作業を増やし生産性を上げてい る。 ・部品の在庫を最小限にし、場所や生産の無 駄を省いている。 ・注文があった分だけを生産し余分を出さな い。 ◇ 流通の工夫 ・中間業者を廃して、直接店に商品を出すこ とのできるルートの開発し、安く販売できる。 ◇ 品質へのこだわり ・社員の多さが認定技能士の資格を取り高い 技術を持っている。 ・1ミリの誤差にこだわり生産している ◇ 飛騨の木工業の伝統 ・飛騨の匠以来の飛騨の木工業に対する信頼 がある。 2「杉を使った家具」で設備投資1億2千万, 毎年の赤字を出しながらも作り続けている 理由を考える。 ・消費者の求めに応じるだけでなく、新しい 提案を行っていくことが会社の成長にとって 必要なのだ。 ・環境に対する取り組みを行うことで会社が 社会にも貢献でき,消費者からの信頼を得る ことにも繋がっているのだ。 飛騨産業が,不景気の中でも利益をあげ ることができるようになったのは,生産 活動や販売において色々な工夫や努力 ◇飛騨の木工業の 伝統 ◇飛騨産業の歴史 ◇家具の価格比較 ◇家具の流通ルー ト ◇消費者の声 ◇流通の仕方の変 更) ◇トヨタ方式の導 入(PEC) ◇管理部部長さん のお話 ◇技能認定者の数 ◇直営店の確立 ◇デザイナーの導 入 ◇節のある家具の 開発と意図 ◇杉材の活用と環 境への配慮 ◇社長さんのお話 ・資料の読み取り や既習事項を活用 しながら、仲間の 意見につなげなが ら話し合いを進め ていくことを助言 する。 8 企 業 ( 会 社 ) が 成 長 し て い く た め に 大 切 な こ と 消費生活を中心 に経済活動の意 義とあらましが わかり、現代の 企業はその役割 と社会的責任を 果たすために消 費者主権を考え た経営努力をし ていることがわ かる。 をして,消費者の要求に応えているだけ でなく,消費者に新しい提案を行った り,環境への配慮をしたりするなどのこ とを行っている。だからこそ,消費者か ら信頼され,不景気の中でも利益をあげ 会社として成長をしてきたということ がわかった。 1単元の貫く課題を確認する。 企業(会社)が成長するには何が必要なの だろうか。 2これまでの学習を振り返り、単元を貫く課 題に対して、これまでに身に付けた知識、 見方、考え方を比較、関連づけたりして、 自分の考えを整理する。 3お互いの考えを交流し、単元を貫く課題に 対してのまとめをする。 会社が成長するためには、利益を追求す ることが大切だと考えていた。不景気の 中でも業績を保っている飛騨産業の生 産活動に対する取り組みや工夫、考え方 を知ることによって、利益を大切にする と同時に、新しい提案を行っていくこと や環境に対する配慮など、社会への貢献 も大切にしていることを知った。私たち 自身も消費者としてしっかりと商品を 選ぶ力を持たないといけないことがわ かった。 消費生活を中心 に経済活動の意 義とあらましが 分かり、現代の 企業はその役割 と社会的責任を 果たすために、 消費者主権を考 えた経営努力を していることを 理解し、その知 識を身に付けて いる。 <知識・理解> ノートの記述・ 学習姿勢の観察 発言内容 ・これまでの資料 やノートを活用 し、各単位時間で 身につけた知識、 見方・考え方を使 いながら自分なり の結論がつけられ るように助言す る。 4 本時のねらい 飛騨産業が不景気の中でも利益を上げている現状を通して,生産・流通・品質の向上といった企業努力に気づき,さらに, 「杉材の活用」という新しい取り組みが赤字である現状から,消費者の要求に応えることだけでなく,企業側から新しい提 案を行ったり,社会貢献していったりすることが,企業の成長に繋がっていくことを考えることができる。 5 本時の展開 学 習 活 動 段階 つ か む 「わかるまで」を生み出すための手立て 「わかるまで」を生み出すための手立て 1.前時に作 1.前時に作った課題を確認する に作った課題を確認する。 った課題を確認する。 ・なぜ,不景気の中でも飛騨産業が利益をあげることができたのだろうか。 ・なぜ,飛騨産業の家具は値段が高いのに不況の中でも売れるのだろうか。 不景気の中でも飛騨産業が利益をあげることができたのはなぜだろう。 2.集団追究する。 (考え方を広める場) (飛騨の木工産業の伝統) ・飛騨の匠以来の飛騨の木工業に対する信頼がある。 考 え を も つ (生産性を高める工夫) ・一人で行う作業を増やし生 産性を上げている。 ・部品の在庫を最小限にし, 場所や生産の無駄を省いてい る。 (品質・技術の高さ) ・社員の多さが認定技 能士の資格を取り高 い技術を持っている。 ・1ミリの誤差にこだ わり生産している 前時資料「家具出荷額の推移」等 ◆全国的に家具出荷額が減っている 中で利益を上げていることに疑問 を持ち設定した課題を確認する。 ◆生徒の意見から,生産性,品質・技 術,流通という視点で意見を分類し ていく。 (流通の工夫) ●研究内容2 STANDⅠ ・中間業者を廃して, ・考えを広げる場の工夫 直接店に商品を出す ことのできるルート の開発し,安く販売 できる。 ・注文があった分だけを生産 ●研究内容3 学習集団作り ・ 「多面的・多角的なものの見方や考 え方」を深め合う集団作り し余分を出さない。 消費者の求めるよい家具をより安く消費者に提供する努力 み つ け る 3. 「杉を使った家具」 「杉を使った家具」で設備投資1億2千万 家具」で設備投資1億2千万, で設備投資1億2千万,毎年の赤字を出しながら も作り続けている理由を考える。 (考え方を深める場) (時代を見据えた新しい提案) (環境への積極的な取り組み) ・消費者の求めに応じるだけでなく,新 環境に対する取り組みを行うことで会 しい提案を行っていくことが長い目で 社が社会にも貢献でき,消費者からの 見れば利益を生み会社の成長にとって 信頼を得ることにも繋がっている。 ●研究内容2 STANDⅡ ・考えを深める場の工夫 必要なのだ。 4.社長さんの話から課題に対する考えをまとめる。 確 か に す る 確かな技術と先進性,なによりも木を愛する「心」が飛騨産業の歴史 を刻んできました。消費者の求めているものを提供していくための企 業努力をすると同時に,時代を見据えた新しい提案を行うことや,環 境への積極的な取り組みといった企業としての社会的責任な責任を果 たすことが,お客様の信頼を得て,会社の利益を生むことに繋がって いると考えています。 岡田社長 飛騨産業が,不景気の中でも利益をあげることができるようになった のは,生産活動や販売において色々な工夫や努力をして,消費者の要 求に応えているだけでなく,消費者に新しい提案を行ったり,環境へ の配慮をしたりするなどのことを行っている。だからこそ,消費者か ら信頼され,不景気の中でも利益をあげ会社として成長をしてきたと いうことがわかった。 ◆自らの意見の深まりを意識してま とめることができるようにする。 評価規準 会社の成長には,生産性,品質・ 技術,流通といった企業努力と, 消費者への提案や社会的な責任を 果たすことが消費者の信頼を得 て,利益を生むことに繋がってい ると考えることができる。 到達していない生徒への手立て 教師が資料や板書をもとに,消費 者の要求や,企業が社会的責任を 果たす意味について説明する。