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廃船FRP漁船の魚礁への活用の検討(PDF:612KB)
廃船FRP漁船の魚礁への活用の検討 魚礁への活用に当たっての課題等について 漁港漁場新技術研究会 漁場造成研究部会主幹 鷺澤栄二郎 強化プラスチック協会(2000年)FRP用途事例集より 1 1.FRPとは FRP(Fiberglass Reinforced Plastics) 樹脂+強化材+副資材で構成される 2.FRPの構成素材 2-1樹脂 熱硬化性樹脂(ポリエステル、エポキシなど) 熱可塑性樹脂(ポリアミド、ポリカーボネードなど) 2-2強化材 無機系(ガラス、炭素など) 有機系(全芳香族ポリアミドなど) ウイスカー(セラミックスなど) 2-3 副資材 触媒、促進剤(硬化剤など) 充填材(顔料、ゲルコートなど) 2 船舶の製造で使われる主なガラス繊維 マット:ストランドを長さ5cmくらいに短く切断したもの クロス:ヤーンを織ったもの ロービングクロス:ロービングを織ったもの ストランド:単繊維(フィラメント)直径8~13ミクロンを50~200本集束したもの ヤーン:ストランドを何本かより合わせたもの ロービング:撚らずに束にしたもの 3.主な成形法 ハンドレイアップ(HU)法(船舶など) 成形型の上で直接手作業によって繊維と樹脂を積層する スプレーアップ法(タンク、浴槽など) 切断した繊維と樹脂を空気中で混合させ、型枠上に拭きつけ成形 3 プレス成形法(浴槽、自動車部品など) プレスで成形 フィラメントワインディング法(パイプ、釣竿) 繊維を直接樹脂槽の中に入れ、これを 成形型の周辺に巻き付ける 引き抜き成形法(パイプなど) 繊維と樹脂をあらかじめ混合し、これを射出機を用いて成形型に供給、 加圧、過熱して成形 4 3-1.FRP漁船の成形法 • ハンドレーアップ成形法が主 型枠の上にマット(M)クロス(C)ロービングク ロス(R)を適宜貼っていく成形法 例 船底外板 600M+860R+600M+860R+860R 厚さ約6.6mm 4.FRP舟艇、船舶に関する基準 強化プラスチック協会(1984):FRP設計便覧より • 強化プラスチック船(FRP船)の特殊基準(船査第123号、昭 和52年3月) • 小型船舶安全規則(運輸省令第36号、昭和49年8月) • 小型帆船特殊基準(昭和53年9月) • 高速艇基準素案 5 5.FRPの魚礁への利用実施例 FRP板+コンクリート 板は遮蔽効果が目的 FRPフェンス+コンクリート フェンスは遮蔽効果、複雑性が目 的 FRP蛇籠+鋼材 蛇籠は複雑性が目的 6.FRPへの付着物 格子フェンス FRP板 FRP板 H9設置、H14調査、三重 水深50m コンクリート、FRP板とも付着物で 覆われる 格子フェンス H14設置、H18 調査、熊本、水深30m コンクリート、FRPフェンスとも付着 物で覆われる。 6 7.FRP魚礁へのい集性 FRP蛇籠 H14設置、H14調査、 宮崎、水深43m クロダイ、オオニベ FRP板 H12設置、H13調査 鹿児島県、水深37m コショウダイ 8.FRP設計材料としての基準 漁港漁場施設の設計の手引き(2003年) 7 9.天然暴露による強度の低下 強化プラスチック協会(平成6年):FRP構造設計便覧 5年間の天然暴露によっても大きな変化は見られない。 天然暴露2~3年で低下する傾向が見られる 8 10.FRP漁船の構造強度の経年変化 1990第3回CONEX 日立化成工業株式会社 木村他 FRP漁船外板の強度 特性 単位 初期値 7年目 単板大板 外板 23年目 切り出し 切り出し 比重 - 1.45 1.43 1.42 板厚 mm 4.93 8.07 8.56 1.41 8.7 ガラス含有率 % 32.5 28.6 27.9 31.8 引っ張り強さ Mpa 120 107 81 73 引っ張り弾性率 Gpa 7.2 7.26 7.35 6.28 曲げ強さ Mpa 165 122 115 122 大きな強度低下は見られない 11.FRP廃船の魚礁化への課題 • 構造部材としての強度 陸揚げされ、長期間放置されたFRP廃船の強度をどう見込むか • 形状 FRP廃船をどう用いるか • 安全性 洗浄を十分行い、「環境基本法第16条第1項に基づく水質汚濁に係る 環境基準等の安全基準に定める測定方法」で検出されないこと。 9