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求塚(もとめづか)
求塚(もとめづか) ■登場人物 分類 四番目物 作者 観阿弥 季節 春(三月) 舞台 摂津国生田 原典 大和物語 ■あらすじ シテ 里女 莵名日処女の霊 ツレ 里女 ワキ 旅の僧 ワキツレ 従僧 アイ 所の者 上洛する西国の僧が、途中摂津国生田で出会った若葉摘みをしている里女達に、名高い求塚へ の案内をお願いするが、一人の里女は求塚については詳しく知らないし、二度と聞かないでほ しいと答え、やがて帰って行く。 ところが、ひとり残った里女が求塚に案内し、塚にまつわる物語を語って聞かせる。 そして自分は二人の男の求婚に悩み入水した菟名日処女(うないおとめ)であると乗り、塚の 内へと消えて行く。 僧は所の者にこのことを確かめ、処女の亡霊を弔おうと塚の傍らで読経していると、地獄の苦 しみで憔悴しきった莵名日処女の霊が現れる。 二人の男が死後もつきまとうばかりか、恋の行方をかけて射殺した鳥まで化けて処女を祟るの である。しかし僧の供養の功徳で地獄の火炎は消え去り、そして亡霊の姿はまた暗黒の求塚へ 戻っていく。 ■みどころ この曲目は前場では美しい菜摘みの光景を見せ、一変して後場では深刻な地獄責めを描き出す など、場面の変化が対照的です。 余りにも陰惨を極めた舞台ゆえに観世流では長い間、廃曲扱いとされていましたが、戦後見直 され復曲された謡曲です。 里女だけがその場に残り求塚のいわれを語っているうちに、突然「その時わらは思ふよう」と 莵名日処女の亡霊が取り憑く。 地獄では化鳥が莵名日処女の目や脳ミソを、くちばしで突つく残酷な状況が語られる。 最後には供養をされて成仏出来するという物語が多い中、この曲目はまるで救いがない。 美女であるだけで罪深いとは中世の思想は美女にとっては厳しすぎる。 能を見る・知る・楽しむ・体験する