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Ⅰ
「コミュニティ産業とは」
-農業・農村コミュニティ産業づくりの推進について-
1
地域を巡る状況の変化
地域問題の解決というと、かつては、お隣同士、町内会、自治会等で、無償で人
と人のつながりの中で助け合い、支え合ってきました。
高度経済成長の中で、社会に効率性、合理性が求められ、分業化が進展し、行政
や企業(いわゆるプロ)によるサービスの比重が増す反面、次第に助け合い活動の
必要性が低下し、都市部では既に形骸化しているケースが多くなっています。
農村地域では、まだ連帯意識が強いのですが、人口減少、特に若者の減少で支え
合いができなくなっており、地域社会が維持できない「限界集落」が発生していま
す。
高度経済成長期の終焉により、景気拡大のスピードは頭打ちとなり、地域産業は
低迷し、雇用機会が減少、農村地域では、過疎化・高齢化が進行してきています。
また、社会が成熟化し、住民ニーズ、地域課題が多様化・複雑化・専門化してき
ています。
地域の問題を解決する手法は3つと言われています。
①行政が税金を活用して解消
②民間企業に代金を支払って解決
③自分達で解決
行政活動には、公平・平等が求められることから、多様化、複雑化する個々のニ
ーズへの対応には限界があります。また、使える財源も限界があります。
民間企業は、採算確保が大原則であり、農村地域のように都市部から離れ、住居
が点在しているような状況には十分に手が届きません。
残るのは、地域の当事者である地域住民が主体となって地域課題の解決に当たる
手法です。
中央集権から地方分権への移行、行政と住民との協助体制づくりへと地域問題の
解決手法が変わってきています。
その中で、行政とのパートナー組織として、地縁団体、NPO法人、ボランティ
ア団体、公益法人、企業の社会貢献活動がクローズアップされています。
2
求められる地域力
このような中、必要とされているのが「地域力」です。
地域力とは、
「地域の人間関係の豊かさ」
「人のつながりの量と質」のこと。
人がつながることにより、互助関係、信頼関係が育ち、市民意識が高まり、その
結果、地域の住民や組織が自律的に地域の課題を解決し、地域の価値を高める力と
なり、貢献意欲向上、地域住民の満足度向上につながります。
地域力=地域の人間関係の豊かさ
人のつながり
~
信頼感、市民意識
↓
地域の課題解決
↓
地域の価値向上、住民の満足度向上
↓
政策効果、効率向上(例:犯罪、失業の減)
地域の人のつながりは、政策効果、効率を高め、犯罪、失業を減らすなど、政治、
社会、経済に良い影響を与えます。
3
新しい地域の問題解決手法
地域力を生かして地域の課題を解決する手法として、コミュニティビジネスが近
年注目されています。
「ビジネス」というと、営利目的ととらえられがちですが、この活動の目的は営
利目的ではなく、地域課題の解決です。
コミュニティビジネスは、地域の有志が集まり、自ら地域の課題解決に取り組む
もので、その特徴は、次のとおり。
①地域連携
地域の複数の主体が、ヒト、カネ、モノ、情報を持ち寄って連携。
②非営利・公益性
活動の目的は地域の課題解決。収益は更なる地域課題の解決に活用が大原則。
③自主自律・継続性
税金による一方的、一時的なサービス提供ではなく、ビジネス手法を取り入れ
活動が継続する仕組みを組み込んでいること。
4
先進事例
地域自治を重要視するヨーロッパが、コミュニティビジネスの先進地です。
ドイツでは、昔から地域住民の自発的助け合い組織の活動が活発で、子育て、病
人や高齢者の介護、消防、自然保護や音楽隊、スポーツなど、様々な取組が地域住
民のグループにより行われ、生活の一部として根付いています。
ヨーロッパにおいても、農山村のおかれている状況は、人口減少・高齢化、耕作
放棄地の拡大、生活基盤の衰退など、日本と共通であり、こうしたヨーロッパの助
け合い活動による地域課題の解決手法を参考として、国も「新しい公共」と銘打っ
て推進しています。
コミュニティビジネスは、地域自治を重要視するヨーロッパが先進地。
事例としては、ドイツでフェアアインと呼ばれる、スポーツや社会的事業等を
行う団体による活動が有名(Verin、社団法人)。
その活動内容は、農産物直売、園芸セラピー 、養蜂、観光、自然保護、料理、
子育て、病人・高齢者介護、青少年育成、消防団、コーラス、オーケストラ、音
楽隊、スポーツ、民族衣装、乗馬、狩猟、綱引きなど多様。フェアアインは、7
人以上の構成員がいる等の条件を満たした団体で、登記されている。日本の NPO
法人に近い。
道内でも先進事例が出てきています。
白老町のコミュニティレストラン「グランマ」は、平均年齢70歳の婦人14名
が集まり、地元の山菜を使いレストランを運営しています。
労賃はわずかな額ですが、やり甲斐、生き甲斐となり、高齢者が元気になってい
ます。
加工品(野草茶)の生産・販売も開始し、地元の温泉ホテルとも連携し、観光客
に喜ばれ、HP での全国発信も行っています。
婦人の手だけでは負えなくなり、グランパ隊が応援。また、道外からの視察もあ
り、視察ビジネスに発展。中心市街地の空き店舗を利用しており、周囲の店舗への
刺激にもなっています。
グランマではありませんが、事業が上手く回りはじめ、収益が出れば、それを活
用し、採算の合わない生活支援活動、例えば、お年寄りの見回り、配食などに拡げ
る事例があります。
お客に喜ばれ、取り組んでいる当事者もやり甲斐、生き甲斐を感じられ、地域の
理解も得られる、
「三方良し」となり、事業が継続しています。
5
コミュニティビジネスの推進
コミュニティビジネスの効果は、単に地域の課題解決だけではありません。
地域住民の助け合い活動であるコミュニティビジネスに参加することにより、信
頼関係や絆が拡がります。
行政と住民の信頼関係も再構築され、定住意識が高まり、更なる地域活性化に結
びつく、つまり、
「生活しやすい感」が醸成されるのです。
コミュニティビジネスのスタートは、地域の課題をなんとかしたいと思う同士が
集まり、任意団体で、できることから始まります。自主性、自立性が重要です。
行政やJAなどのサポートも必要です。まずは、交流の頻度、密度を高める仕掛
けを作り、その上で、住民の力を課題解決力に転換すべく、検討のための場をつく
ったり、情報を提供したりします。動きが本格化すれば、計画や申請書の作成を支
援したり、立上げ時の金銭支援など側面支援すべきことはたくさんあります。
白老のグランマは、徳島県上勝町の「はっぱビジネス」の本を見たことが起業の
きっかけとなっています。キーマンとなりそうな人材を先進地に送り込んだり、地
域の課題をテーマにワークショップを開いたり、できるところから取り組んでみて
はいかがでしょうか。
失敗例に共通しているのは、
「地域の課題解決が目標である」という意識が希薄で、
金銭目当の単なるサイドビジネスとなっていること。そうなると、儲からなければ
やっている意味が無く、賛同者や地域の理解は得られず、当然、事業は続きません。
6
NPO法人について
コミュニティビジネスのような非営利の活動をする組織として数多くのNPO法
人が設立されており、税制上の優遇措置や資金援助等、道でも応援しています。
関心のある方は総合振興局・振興局農務課に相談ください。
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