Comments
Description
Transcript
PCRを用いたイチゴ疫病潜在感染苗検査法(PDF
様式 試験研究成果普及情報 部門 病害虫 対象 普及 課 題 名 : PCR を 用 い た イ チ ゴ 疫 病 潜 在 感 染 苗 検 査 法 [ 要 約 ] PCR を 用 い た 疫 病 潜 在 感 染 苗 の 検 査 に は 根 を 含 む 土 壌 を 試 料 と す る こ と が 最 適 で あ る 。 PCR に よ る 疫 病 菌 検 出 方 法 を 活 用 す る こ と に よ り 、 迅 速 に 疫 病 菌 潜 在 感 染 苗 の 診断ができる。 フリーキーワード 実施機関名 イ チ ゴ 、 イ チ ゴ 疫 病 、 潜 在 感 染 苗 、 診 断 、 PCR、 マ ニ ュ ア ル 主 査 協力機関 農林総合研究センター・生産環境部・生物工学研究室 農 林 総 合 研 究 セ ン タ ー・暖 地 園 芸 研 究 所・果 樹・環 境 研 究 室 、 ( 国 ) 岐 阜 大 学 、( 地 独 ) 北 海 道 総 研 花 ・ 野 菜 技 術 セ ン タ ー 、 奈 良 県 農 業 総 合 セ ン タ ー 、栃 木 県 農 業 試 験 場 、静 岡 県 農 林 技 術 研 究 所 、 佐 賀 県 農 業 試 験 研 究 セ ン タ ー 、( 株 ) ミ ヨ シ 実施期間 2009年度~2011年度 [目的及び背景] イチゴの主要病害の発生は育苗期に集中し、健全親株の確保、雨よけ施設の整備、定 期的な薬剤散布など多大な労力が要求されている。しかし、現状では苗生産における病 害検査体制が十分ではなく、近年増加する種苗の受委託生産においても問題となってい る。本課題では、疫病潜在感染苗の最適検定部位と採取方法を決定し、共同研究機関が 開発した遺伝子診断技術と組み合わせて、疫病潜在感染苗検査法を確立することを目的 とした。 [成果内容] 1 イ チゴ疫 病菌 感染 苗の高 頻度検 出部 位は 根であ る。葉柄や クラ ウンは 根 に比 べ検 出 率 が 低 い ( 図 1 )。 現 地 の イ チ ゴ 株 に つ い て 根 だ け を 採 取 す る こ と は 困 難 で あ る た め 、 根を含む根圏土壌を試料とすることが最適である。 2 イチゴ苗の根及び土壌を供試し、共同研究機関である岐阜大学にて開発された改変 塩 化 ベ ン ジ ル 法 ( Li et al.,2011) を 用 い て DNA を 抽 出 す る こ と で 、 PCR に 供 試 可 能 な 精 製 度 及 び 収 量 の DNA が 得 ら れ る 。 3 上 記 の 成 果 を も と に PCR を 用 い た イ チ ゴ 疫 病 潜 在 感 染 苗 検 査 法 を 確 立 し た( 図 2 )。 4 本 法 は 2 種 の 疫 病 菌 Phytophthora nicotianae 及 び Phytophthora cactorum を 識 別 でき、発病前の潜在感染苗でも検出可能である。 [留意事項] 1 本 検 査 法 の 実 施 に 当 た っ て は 、 専 用 機 材 ( PCR 装 置 ) が 必 要 で あ る 。 2 産地へ本技術の導入を進めるためには、効果検証等をさらに進めるとともに、研修 等による技術者の育成が必要である。 [普及対象地域] 県内全域のイチゴ産地 [行政上の措置] [普及状況] [成果の概要] 100 90 80 70 検 出 率 ( % ) 60 50 40 30 20 10 0 土壌 図1 根 クラウン 葉柄基部 葉柄 小葉 疫 病 菌 P. nicotianae 汚 染 土 壌 に 植 え 付 け た イ チ ゴ 「さがほのか」苗各部位からの病原菌検出率 注 )ポ ッ ト 苗 7 株 を 供 試 し た ①サンプリング 根と土壌を採取 図2 ②DNA抽出 ③マルチプレックスPCR DNA 抽出 P. nicotianae P.P.cactorum P. nicotianae、 、 cactorum (改変塩化ベンジル法) 種特異的プライマー及び 種特異プライマーおよび 18S 18S ユニバーサルプライマーによ ユニバーサルプライマーによ るマルチプレックス PCR るマルチプレックス PCR ④電気泳動 2~3%アガロースゲル 電気泳動により判定 イチゴ疫病潜在感染苗検査法の概要 [発表及び関連文献] 1 イ チ ゴ 炭 疽 病 ・ 萎 黄 病 ・ 疫 病 感 染 苗 検 査 マ ニ ュ ア ル 、 千 葉 県 、 2012 年 (本マニュアルは、千葉県ホームページで公開している。 http://www.pref.chiba.lg.jp/lab -nourin/nourin/koukaishiryou/manual.html ) 2 イ チ ゴ 疫 病 潜 在 感 染 検 定 技 術 確 立 の た め の イ チ ゴ 疫 病 菌( Phytophthora nicotianae ) 高 頻 度 検 出 部 位 の 解 明 、 関 東 東 山 病 害 虫 研 究 会 報 、 第 58 集 、 2011 年 ( 講 要 ) 3 Li,M., T. Asano, H. Suga, and K. Kageyama A multiplex PCR for the detection of Phytophthora nicotianae and P. cactorum , and a survey of their occurrence in strawberry production areas of Japan. Plant Disease, 95, 2011 [その他] 平 成 21~ 23 年 度 新 た な 農 林 水 産 政 策 を 推 進 す る 実 用 技 術 開 発 事 業 「 イ チ ゴ 健 全 種 苗 生産のための病害検査プログラムの構築」