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講演資料
Connecting Markets East & West 年金運用におけるイノベーションの現状と今後の展望 ~リスクベース・アプローチ、ファクター投資とその先~ 野村アセットマネジメント シニア・インベストメントオフィサー 上崎 勲 2016年11月15日 STRICTLY PRIVATE AND CONFIDENTIAL © Nomura 1. 年金運用における潮流と背景 市場環境と低下する期待リターン 過去に類を見ない低金利水準、マイナス金利も日常の光景 低金利環境が長期化の様相を呈する一方、米国では利上げ局面入り 株式のバリュエーションは金融危機後切り上がり、過去と比較して高い水準 低下する長期金利と実現リターン 株式バリュエーションの推移と実現リターン [%] [x] 24 12 米国債券 米国債券 国内債券 国内債券 10 8 10年金利 10年リターン 10年金利 10年リターン [%] ── 米国株式Shiller PE ── 米国株式10年リターン(右軸) 20 38 15 416 6 10 5 4 532 0 2 664 0 -5 2016 2006 1996 1986 1976 1966 1956 1946 1936 1926 2015 2012 (出所) シティグループより野村アセットマネジメント作成 (10年リターンは過去累積10年間のリターン) 2009 2006 2003 2000 1997 1994 1991 1988 1985 -2 25 (出所) Robert Shiller HP、Kenneth French HPより基に野村アセットマネジメント作成 (10年リターンは過去累積10年間のリターン) 2 年金資産配分の変化 株式への配分比率は趨勢的に低下傾向 ヘッジファンド等、オルタナティブ投資を含む「その他」の増加 国内資産への偏重は徐々に解消すると同時に、多様な資産クラスへの投資が浸透 資産クラス内においても、パッシブ比率が継続して上昇 資産配分の変化(グローバル) 資産配分の変化(国内) 100% 100% 90% 90% 80% 80% 70% 70% (出所) 企業年金連合会HPより野村アセットマネジメント作成 2015 2014 2013 2012 2011 2010 2009 2008 2007 2006 2005 0% 2004 0% 2003 10% 2002 10% 1995 20% 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 20% 2001 30% 2000 30% 40% 1999 40% Cash Other Bonds Equities 50% 1998 50% 60% 1997 60% 1996 短期資金 その他 一般勘定 外国株式 外国債券 国内株式 国内債券 (出所) Towers Watson 「Global Pension Asset Study」より野村アセットマネジメント作成 3 年金運用における潮流 投資対象の拡大、投資手法の発展 新興国投資 集中投資 不動産関連 PE・ベンチャー投資 アンコンストレインド ヘッジファンド ファクター投資/スマートβ 資産配分・リスク管理 リスクベース・アロケーション アウトソースCIO フォワードルッキング ガバナンス見直し LDI 運用のインハウス化 2元化ポートフォリオ パッシブ化 社会的責務の高度化、時代背景 ESG/SRI投資 スチュワードシップコード エンゲージメント AI活用 4 年金運用の潮流の背景 市場環境の変化 金利低下、リスクプレミアムの低下 資産間の相関の高まりによる分散効果の低下 市場における不確実性の上昇 投資成果に対する期待と実績のギャップ アクティブ運用やヘッジファンドの投資成果 に対する評価 クローゼット・インデックス化 規制や制度の変更、社会的要請 フィデューシャリー・デューティーの完遂 年金資金に期待される社会的責任の全う 負債の時価評価/退職給付会計の変更 リスク管理の高度化への要請 情報/金融技術の進歩、ファイナンス研究の進展 データ処理技術・能力の発展 リスクプレミアムに対する理解の深まり ETFや証券化等の金融技術の発展 非伝統的資産のメイン・ストリーム化 5 2. リスクベース・アプローチ リスクベース・アプローチの浸透 投資可能資産が増えるに従い、共通要因で集約した上でポートフォリオを管理 世界金融危機を経て、従来の資産別配分では十分な分散効果が得られなかったことも契機 リスク・パリティはリスクベース・アプローチの一種 世界金融危機を経て、従来の資産別配分では十分な分散効果が得られなかったことも背景 リスクベース・アプローチ 国内株式 先進国株式 株式/経済成長 新興国株式 国内債券 債券/金利 外国債券 事業債、HY 信用 物価連動債 実物資産 / インフレ対応 PE、VC コモディティ 不動産 オルタナティブ (出所) 野村アセットマネジメント作成 7 リスクベース・アプローチの浸透 リスクベース・アプローチそれ自体はリスクプレミアムの低下を克服するものではない カテゴリーの設定や各資産との紐付けは定性的な判断に依拠する面もある ポートフォリオ全体の期待リターン、リスクを設定しにくい リファレンス・ポートフォリオによる期待リターンやアルファの源泉の明示化 経済的ファクターに対するアクティブな予測を持つ場合、投資対象への読み替えの重要なツール フォワード・ルッキング リファレンス・ポートフォリオ 国内株式(上場) リスク・ファクターの特定とフォワード・ルッキング 国内株式 アルファ 国内株式(PE) 外国株式(上場) グローバル株式 外国株式(PE) 不動産 インフラ 流動性 インフレ 景気/成長 為替 110 オルタナティブ ベータ 国内債券 外国債券 非市場性 ベータ 120 100 国内名目債券 外国債券 (為替ヘッジ) (出所) CPPIBより野村アセットマネジメント作成 市場ベータ 90 1992 1995 1998 2001 (出所) 野村アセットマネジメント作成 2004 2007 2010 2013 2016 8 3. ファクター投資 / スマートβ ファクター投資/スマートβの拡大 従来、ベンチマークとして用いられてきた時価総額加重指数の効率性に対する疑義(Arnott et al. 2005) ファンダメンタル・インデックス(FI)の登場 低ボラティリティ・アノマリーの(再)発見(Clarke et al. 2006、Yamada and Uesaki 2009) FIとともに、金融危機を経て期待通りの投資成果を挙げたことも注目を高める要因 ファクター投資によって、アクティブ超過リターンを体系的に獲得できるとの報告(Ang et al. 2009) リスクプレミアムに対する研究が進み、ファクター投資がカテゴリーとして確立 M S V M I P Market Size Value Momentum Investment Profitability Sharpe (1964) Fama and French (1993) Carhart (1997) Hou et al. (2012) Fama and French (2014) (出所) 野村アセットマネジメント 10 ファクター投資/スマートβの拡大 ファクター投資は実務上も拡大の一途 ETFを経由した投資や複数のファクター投資を組み合わせた戦略の登場 債券など、株式以外の資産においても広がりがみられる 他方、急激な拡大とともに、クラウディングへの懸念や、多様な戦略の登場による戸惑い ファクター投資の拡大 ファクター投資を実践しているアセットオーナーの割合 60 616 50 40 30 2016 2015 20 103 2008 単位: 十億米ドル (出所) Financial Times 10 2015 0 Europe Asia Pacific North America (出所) FTSE Russell “Smart Beta: 2016 Global Survey Findings from Asset Owners” より野村アセットマネジメント作成 11 スマートβに対する議論① クラウディング スマートβ戦略が特定の銘柄に集中する結果、市場に影響を及ぼしているとする意見はあるが、クラウ ディングの状況は懸念されるほどではない スマートβは幅広い戦略の総称であり、また、各戦略は比較的高いキャパシティを備えている 戦略別の運用資産割合 クラウディングの状況 銘柄数の割合 マルチ・ファクター型 0% 20% 40% 60% 80% 100% ファンダメンタル加重 バリュー 等ウェイト 米国 日本 最小分散 / 低ボラティリティ Total $476bn グロース 欧州 高配当 発行済 株式数の 5%以上 3~5% 1~3% 1%以下 アジア 太平洋 ETFや投信などデータが取得できる戦略の合計。2016年6月末現在。クラウディングは、スマートβで保有される株式数の発行済株式数に対する割合。 (出所) Morningstar、MSCI、FactSetより野村アセットマネジメント作成 12 スマートβに対する議論② 多様化の行き過ぎ 「マルチ・ファクター型」(注)スマートβや、ブラックボックス化したスマートβ より複雑なルールに基づく戦略の登場。様々な戦略をどう組み合わせるかの問題を解消するとされる 他方、スマートβの本来の特長である、高い透明性や分かり易さとのバランスが鍵 多様化が進む一方、過去の相場環境に過剰に依拠した見せかけの戦略が紛れ込んでいる懸念 パフォーマンスの持続性をどのように評価するか、より規律ある選球眼が求められる マルチ・ファクター型のスマートβ - 透明性 見せかけの過去パフォーマンス 米国上場ETF(スマートβ以外を含む)について、設定時を0としたとき の前後各36か月の指数のパフォーマンス(対市場ベンチマーク) - リターン源泉に対する直観的理解 - 相対的に低い回転率 - 複雑なルール - 相場環境に応じたポジション変化 - 相対的に高いコスト (出所) 野村アセットマネジメント作成 注)マルチ・ファクター型スマートβ=複数のファクターを組み合 わせたスマートβ戦略。戦略の組み合わせを機動的に変更する ものを含む (出所) Research Affiliates社より野村アセットマネジメント作成 13 3. ファクター投資 / スマートβ これからの年金運用とイノベーション これまでの潮流を振り返ると、いくつかの共通要因 より効率的なポートフォリオを構築するための、環境に即した枠組みの模索と挑戦の 積み重ね 厳しい運用環境下では、新しい試みをトライする好機とも言える 現在のファクター投資のように、多様化が進むと、長期の実績など、信頼性がより重要 構造変化の中でも特に技術進歩は一方向 データ処理技術が運用に与える影響は? 15 参考指標について 本資料の中で使用している参考指標は以下の通りです(一部使用・表示していない参考指標も含みます)。 指 数 シティ世界国債インデックス 内 容 シティ世界国債インデックスは、Citigroup Index LLCの知的財産であり、指数の算出、数値の公表、利用など指数に関するすべての権利は、Citigroup Index LLC が有しています。 16 野村アセットマネジメントより 金融商品取引法に係るお知らせ 1. 金融商品取引業者 商号:野村アセットマネジメント株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第373号 加入協会:一般社団法人 投資信託協会/一般社団法人 日本投資顧問業協会 東京都中央区日本橋一丁目12番1号 TEL (03)3241-9511 (大代表) お問い合わせ先: 投資顧問企画部 TEL (03)3241-9858 2. 費用(手数料等)等について 当資料は、直接的な勧誘を目的としたものではありません。将来的に運用商品を提供した場合、以下の諸費用が発生し ます。一般的な計算方法の概要は以下のとおりになりますが、お客様との契約内容によって料率は異なり、具体的な提 示をすることはできません。 投資助言業および投資運用業の対価として、一般に、契約資産額に対して予め定めた料率(a%)の投資顧問報酬が契 約期間に応じてかかります。 計算方法:契約資産額×(a%)×契約期間日数/365=該当期間の投資顧問報酬 お客様との取り決めにより投資顧問報酬を成功報酬とする場合があります(また、上記との組み合わせとする場合もあり ます)。なお、成功報酬については、予め定めた基準等にもとづき実際の運用実績等に応じて投資顧問報酬が変動する ほか、お客様と別途協議により取り決めさせていただくことから、事前に計算方法、上限額等を示すことができません。 投資顧問報酬とは別に、有価証券売買委託手数料や、有価証券の保管等に係る諸費用が費用として発生し、契約資産 から控除されます。またこれらの費用は運用状況により変動するため事前に具体的な料率・上限額等を表示することが できません。 17 野村アセットマネジメントより 金融商品取引法に係るお知らせ 投資一任契約内で、弊社の投資判断として投資信託を購入する場合があり、この場合は当該投資信託の購入にかかる 費用(投資信託の運用報酬、及び販売会社・管理会社の費用の他、投資信託の換金に際し、信託財産留保額がかかる 場合があります)が発生いたします。ただし、投資信託を購入する場合のうち、当該投資信託が当社並びに当社グループ が設定するものである場合、運用報酬の重複を防ぐために上記の投資顧問報酬の調整を行います。調整の計算方法は 個別の契約で別途定めますが、投資顧問報酬金額から当該投資信託に係る運用報酬金額を控除することにより調整を いたします。 3. リスクについて お客様のために行う金融商品取引行為については、株式、新株予約権付社債、公社債等に投資します (投資信託・リミテッドパートナーシップを通じて投資する場合を含みます)ので、国内外の経済・政治情 勢、金利変動、発行体の業績や財務状況の変化等の影響により、投資する株式、通貨等の価格が下 落し、損失が生ずるおそれがあります。また、当商品ではデリバティブ取引を使用することがあります。 同取引は証拠金の金額以上のレバレッジを活用して行なうことから、原資産となる有価証券や指数等 の変動によって価格も変動し、差し入れた証拠金を上回る損失が生じる可能性があります。またこのレ バレッジの比率は投資方針や国内外の市場環境の変化等により、随時変えていきますので事前に表 示することができません。証拠金はデリバティブ取引を行なう期間、発注先証券会社の計算に基づき当 社が妥当であると判断した金額を契約資産から預託いたします。 18