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革新的なBIツールの導入で データの抽出・集計の無駄な時間

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革新的なBIツールの導入で データの抽出・集計の無駄な時間
森ビル株式会社
革新的なBIツールの導入で
データの抽出・集計の無駄な時間を解消
本来の“考える”業務を深化させ生産性が向上
導入の狙い
データの抽出・集計にかかる手間と
時間を削減
導入システム
BIツール『QlikView』
導入効果
分析資料の作成が迅速化
さまざまな切り口でのデータ分析が
簡単に
属人的な職人芸のExcel仕事を標準化
信頼のおけるデータベース運用
人間の営みや文化、地域、コミュニティと向き合い、時代の要請に応えながら、未来を見据えた都市づくりを行っている
「ラフォーレ原宿」や「六本木ヒルズ」などの革新的な都市再開発事業でその名を知
られる総合ディベロッパーの森ビル株式会社。同社が管理する商業施設の賃料は
売上高に応じた変動制のため、管理や分析が非常に複雑になっていた。そこで、各
— U S E R P R O F I L E ———————————————————
施設の売上高や坪効率などのデータを抽出し、施設ごと、フロアごと、店舗ごとな
ど、思いのままに時系列で集計・分析できるBIツール『QlikView』
を導入。手間の
森ビル株式会社
●業種:総合ディベロッパー
●事業内容:都市再開発事業、
不動産賃貸・
かかっていた資料作りが瞬時に行えるようになった。作業時間が大幅に短縮され、
その分対策を検討する時間が増加。業務の属人化も回避された。
管理事業、文化・芸術・タウンマネジメン
ト事業など
●従業員数:1,317名
(2013年4月現在)
複雑な分析を瞬時に行
うことで、生産性を大幅
に向上させた森ビル株
式会社
2013年8月取材
地域全体の価値を高める
街づくりに取り組む
よび新橋を中心に、数多くの賃貸オフィ
スビルを建設した。やがて建物ごとの
「点」的な開発は、複数の街路や街区
森ビル株式会社(以下、森ビル)は、
を合わせた「面」的な開発に進展。
「総
国内最大規模の都市再開発プロジェク
合的な都市づくり」へと発展した。
ト「六本木ヒルズ」をはじめ、東京都心
「日本の都市再開発と言えば、ター
部を中心に大規模複合施設の開発お
ミナル駅を中心にオフィスビルや商業
よび運営管理を展開する総合ディベ
施設などを配置する経済活動を重視
ロッパーだ。
した街づくりが一般的ですが、
“都市
1955年に創業し、港区の虎ノ門お
文化”
を楽しめるような街は決して多く
1
森ビル株式会社
ありません。働く人や住む人、買い物
域の人々だけでなく、そこを訪れる
や遊びに訪れる人に時間的・空間的な
人々への心配りも溢れている。
楽しさや豊かさを心から感じてもらえ
「例えば六本木ヒルズには、ベビー
る街づくりをしたいというのが、当社
カーを押すお母さんたちも気軽に足
の基本的な考え方なのです」と語るの
を運んでくださいます。これは、買い
は、営業本部 商業施設事業部 業務統
物が楽しめるだけでなく、何でもない
括部 課長の富山 隆氏。
時間をゆったり過ごせる空間だからで
時代が求める新しい魅力を提案し、
す。ちょっとした気遣いや、行き届いた
地域のポテンシャルを最大限に発揮で
管理、雰囲気が良いと思ってもらえる
きるよう全力を尽くすのが森ビル流の
お店づくりなど、当社が培ってきたノウ
街づくりだ。例えば、今年で完成から
ハウを生かした確かな取り組みの積み
35周年を迎えるファッションビル「ラ
重ねが、森ビルの総合力を形成してい
フォーレ原宿」は、その誕生によって
るのだと思います」
と富山氏は語る。
東京・原宿が若者たちの集まる、ファッ
森ビルの新たな提案は、さらに発展
ショントレンドの発信地に変貌した。
を続けている。2013年には都心部
「私たちは、
手がける施設だけでなく、
最大規模の屋上庭園を設けた複合ビル
長い目で見て地域全体の価値も高まっ
「アークヒルズ サウスタワー」が完成。
ていくような街づくりに取り組んでいま
そして2014年には、都市の新しいモ
す。単体のビルで見るのではなく、ゆと
デルとして、超高層タワーと道路を一
りある広場を作り、たくさんの樹木を植
体的に整備した東京の新ランドマーク
えるなど、工夫が積み重なって多くの人
「虎ノ門ヒルズ」が誕生する予定だ。
が集まるようになれば、我々の事業だけ
でなく、地域のポテンシャルも自ずと高
また、森ビルは、創業当時から周辺
店舗の売り上げに応じて
変わる賃料がデータ分析を複雑に
住民との緊密な対話を通じた街づくり
富山氏が所属する商業施設事業部
を大切にしている。それを象徴するの
は、森ビルが運営する施設にある商業
まっていくと思います」
と富山氏。
が2006年に完成した東京・表参道の
「表参道ヒルズ」だ。
施設を運営管理している。レストラン
やアパレルショップなど、テナントとし
昭和初期の文化的都市生活のシン
て入居する約800件もの店舗からの
ボルであり、70年以上も表参道の顔
賃料収入が事業の柱となっている。
であり続けた旧同潤会青山アパート
「大部分の商業施設の賃料は、固定・
の跡地に最先端の商業施設を建設す
定額ではなく、テナントごとの売上高
るのは、森ビルにとっても容易なプロ
に応じて変動する
“売上歩合賃料”
を適
ジェクトではなかった。設計を担当し
用しています。つまり、季節ごとの各
た建築家の安藤 忠雄氏と共に地域の
店舗の売り上げに応じて賃料が変動す
人々と何度も話し合いを重ね、表参道
るのです」
と富山氏は説明する。
の歴史や景観を損なわないデザイン
ただしこの契約方式は、管理が複雑
を緻密につくり上げていった。
になる。賃料が固定・定額なら、賃料収
もちろん森ビルがつくる街には、地
入の推移を把握するのは簡単だが、テ
2
営業本部 商業施設事業部
業務統括部 課長
富山 隆氏
「全般的に、一般事務部門でのBIツール
の普及が進んでおらず、残念に思っていま
す。多くの方々にその有効性を知ってもらう
ため、セミナーなどの機会があれば、積極
的にそのメリットを紹介していきたいですね」
ナントごとに売り上げと連動する賃料
かなくなりました。そこで、以前私が
の計算条件が異なり、しかも売り上げ
他部署で働いていたときに利用して
が季節ごとに変動するため、時系列で
いた、BI(ビジネス・インテリジェンス)
収益率の変化を予測分析するのは容
ツールの導入を検討し始めたのです」
易ではない。正確な分析ができなけれ
と富山氏は振り返る。
ば、集客やテナントの売上伸長のため
の戦略にも問題が生じかねないのだ。
比較しなければならないので、データ
選定の決め手は
データ抽出の柔軟性の高さ
収集や整理はますます複雑になる。
BIツールとは、業務システムなどに
店舗の売り上げは、店自体の魅力だ
蓄積されているシステムから必要な
けでなく、施設自体の集客力に大きく
ものだけを抽出・加工・分析して、企
左右される。したがって、より多くの賃
業の意思決定や戦略に役立てるシス
料収入を確保するためには、より精度
テムのこと。検討を進める中、富山氏
の高い分析と、効果的・効率的に集客
は大塚商会の展示会で『QlikView』
するための施策が森ビル側にも求め
の デ モ を 体 験した 。
「 もともと別
られることになる。
のツー ルを検 討していたのですが、
そのうえ複数の商業施設を横並びで
『QlikView』
は経営戦略に欠かせないさまざまなデータを
柔軟に抽出・加工し、分かりやすく表現できる
(表示内容
はサンプルです)
「以前は、表計算ソフトで管理を行っ
『QlikView』を見てすぐに
“これは使
ていました。もともと商業施設の数が
える”
と感じ、積極的に導入検討を進め
それほど多くなかったので、それで事
ようと考え始めました。ほかのBIツー
足りていたのですが、近年、六本木ヒ
ルに比べて、データ抽出の柔軟性が非
ルズを皮切りに大規模なプロジェクト
常に高かったのです」
を次々に手がけるようになり、管理テ
導入にあたっては社内I T環境全般
ナントが一気に増加しました。そのた
を統括している情報システム部の承
め、データやシートの管理が複雑で手
認を得るために、大塚商会の協力の
間がかかる表計算ソフトでは、追いつ
もと、導入メリットや費用対効果の明
確なシミュレーションデータを提出。
システム概要
システムの有効性・費用対効果が認め
施設A
SHOP
SHOP
施設B
施設C
各種マスタ・計画データ
SHOP
2012年5月に導入が決定した。
選定の決め手となった『QlikView』
売上管理システム
の柔軟性について、富山氏は次のよう
各店舗の売上情報を毎日取り込み
データ自動取込
【毎日定時】
専用サーバ
データ保管
【適宜】
に語る。
「特に、有効期間付きマスタと
紐づけてデータ比較できる点は大き
データフォルダ
かったですね。比較対象の売り上げや
リロード
【毎日定時】
ドキュメント
られ、経営陣にも説明・承認を得て、
それと連動する賃料の計算条件などは
QlikView ※
一定ではなく、期間ごとに変化します。
そのため、時系列を含んだ比較になっ
た場合、そういった変化も加味できな
※Qlik、QlikView、 QlikTech は、 Qlik Technologies Inc. の商標または登録商標です。
弊社は、株式会社アシストと提携し QlikView 製品をご提案・ご提供しております。
ければ、正確な比較ができないのです」
3
森ビル株式会社
また、対比対象期間設定の柔軟性も
作ることができます。その分を対策検
重要だったという。
「単純に前年の同じ
討などの
“考える時間”
に充てられるよう
日で比較することもあれば、同じ時期
になったのは画期的です。また、そうし
の曜日で比較することもありますし、イ
た表計算ソフトの職人的で属人化しが
ベント期間単位の比較など、任意の期
ちな資料作成が、
『QlikView』
のおかげ
間同士で比べなければならないことも
で誰にでもできる作業になったことも
あります。
『QlikView』ならそういった
大きな変化です」
と富山氏は振り返る。
条件変更が簡単にできるのです。100
導入によって効率化した作業は、1
人前後の規模向けのBIツールの中で、
人当たり1日数時間分にも及び、その
私たちの要件を満たす機能を備えて
分大幅なコスト削減と生産性向上が
いたのは
『QlikView』
だけでした」
見込まれる。
B Iツールで必要なデータを随時思
いどおりに抽出・加工できるようにする
同士の紐づけといったデータベース
BIツールの有効性を
多くの企業に知ってほしい
の構築が不可欠だ。
森ビル商業施設事業部としては、今
「どのデータをどのように結び付け
後も『QlikView』の活用を推し進めて
ためには、マスタの正規化、関連項目
るのかという全体像は当社側が描きま
いく考えだ。
「利用者をさらに増やす
したが、実際のロジックは大塚商会さ
ため、毎週2回の研修を実施し、使い
んが稼働後のメンテナンスのしやすさ
やすさとメリットを実感してもらってい
などを考慮しながら技術支援をしてく
ます。今は、経理部門でも利用を検討
れました。かなり難易度が高いであろ
し始めています。ツールとしての奥が
う細かな注文もしましたが、しっかりと
深いので、活用範囲は今後ますます広
対応してもらえて助かりました」と富
がるのではないでしょうか」と富山氏
山氏は振り返る。
は手応えを口にする。
11回にわたる大塚商会の丁寧な
また富山氏は、こうも指摘する。
「当
導入指導を経て、2012年10月に
社だけではなく国内全般的な話とし
『QlikView』の正式運用が始まった。
て、欧米に比べて一般事務部門での
各商業施設から1日2回送られてく
データベースの利用が進んでおらず、
るデータを『QlikView』が読み取るこ
危機感を抱いています。BIツールを利
とで、売上高・賃料・客数・単価・坪効率
用すれば、こんなにも業務が効率化す
などさまざまな項目が、施設・テナント・
るということを、もっと多くの社員やほ
フロア・業種・個別店舗などのあらゆる
かの企業の方々に知ってもらいたい
軸で自由自在に比較できる。
ですね。大袈裟に聞こえるかもしれま
「表計算ソフトでデータを抽出・加工
せんが、そうすることで日本全体の生
していたときは、昨年との対比などの
産性も向上すると思っています」
時系列分析資料を作成するのに、数字
日本の街づくりのリーディングカン
を並び替え関数を何重にも組む、とい
パニーである森ビル。今後は、BIツー
う作業を繰り返し、夜中までかかってい
ル普及の牽引役としての活躍も期待
ました。
『QlikView』
なら瞬時に資料を
される。
富山氏はソフトウェアベンダー主催のセミ
ナーで講師を務め、
『QlikView』導入から
稼働までの流れ、導入効果を説明。参加
者に、その有効性を分かりやすく伝えた
森ビル株式会社のホームページ
http://www.mori.co.jp/
・会社名、製品名などは、各社または各団体の商標もしくは登録商標です。
・事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は取材当時のものであり、配付される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
・この記事は2013年10月に作成されました。
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