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第26回研究開発小委員会
参考資料
目次
0-我が国の研究開発を取り巻く状況
'0(我が国が直面する危機
① 東日本大震災後のエネルギー環境制約
2
② 人口減尐・尐子高齢化による制約
5
③ 「やせ我慢」縮小経済転落の懸念
7
'1(危機の中での研究開発の低迷
① 企業の研究開発の縮小・短期化等
03
② 国の研究開発の小粒化、産学官連携の機能不全
32
1-資源もなく制約も多い我が国が、技術を核に世界の課題を先導的に
解決するための提言
'0(危機を乗り越えるための研究開発の方向性
'1(新たな国家プロジェクトの在り方の見直し
① 未来開拓研究開発制度の立ち上げ
70
② 国家プロジェクトの国際化促進
80
1
目次
'続き(
1-資源もなく制約も多い我が国が、技術を核に世界の課題を先導的に
解決するための提言
'2(基礎研究から実用化への橋渡しの強化
① ミッションの明確化
86
② 拠点の構築
0/2
③ 人材育成・流動化促進
007
'3(研究開発成果の事業化促進によるイノベーションの実現
① 国家プロジェクトの知的財産戦略
015
② 戦略的かつ迅速な国際標準獲得等のための体制整備
017
③ 「研究開発型ベンチャー」の創出・振興
024
④ 大学発ベンチャーの支援
044
2
0-我が国の研究開発を取り巻く状況
'0(我が国が直面する危機
①大震災後のエネルギー・環境制約
3
1.„1‟①:『東日本大震災後のエネルギー・環境制約』 <1>
○ 今回の東日本大震災は、「危機の中の危機」。我が国は、震災前から経済の停滞、
社会の閉塞状況という「危機」に直面。
○ 東日本の復興を支え、震災前から直面していた課題に対応するため、日本再生に向
けた取組も再スタートする必要がある。
~平成23年第1回国家戦略会議参考資料1より抜粋~
4
1.„1‟①:『東日本大震災後のエネルギー・環境制約』 <2>
○ 「創エネ」、「蓄エネ」、「省エネ」を軸に、需要家や地域が自発的にエネルギー選択に
参加できる新たなエネルギーシステムを築くことで、新たなエネルギーミックスと地球
温暖化対策を実現することが重要。
『基本方針 ~エネルギー・環境戦略に関する選択肢の提示に向けて~』 '抜粋(
2-基本方針
'0(選択肢の提示に向けた基本的な姿勢
③ 「創エネ」、「蓄エネ」、「省エネ」を軸に、需要家や地域が主体的にエネルギー選択に参加できる新たなエネル
ギーシステムを築くことで、新たなエネルギーミックスや地球温暖化対策を実現するとの発想で臨む
東日本大震災や福島第一原発事故を契機とするエネルギー需給の逼迫は、すべてのエネルギー需要家の
行動を変え、様々な可能性を明らかにした。
例えば、自家発や分散型エネルギーの導入により需要家がエネルギー供給を担う「創エネ」、住宅・建
築物の断熱化やスマートメーター、市場メカニズムを活用した「省エネ」、電気自動車・定置型蓄電池等
の蓄電池などを活用した「蓄エネ」など、需要家自らがエネルギー投資を行うことでエネルギー需給を安
定できる可能性が明らかになった。また、需要家が主体的にエネルギー源を選択することで、再生可能エ
ネルギーの拡大や化石燃料のクリーン化などエネルギー供給構造をも変えていくことができるとの見方も
増えている。更に、基幹的なエネルギーネットワークと並行して地域主体のローカルなエネルギーネット
ワークを構築することが危機管理の上からも地域活性化の観点からも有効であるといった見方も広がって
いる。
「創エネ」、「蓄エネ」、「省エネ」に関する技術の結集、融合を進め、需要家や地域が自発的にエネ
ルギー選択に参加できるような新たなエネルギーシステムを築くことにより、新たなエネルギーミックス
や地球温暖化対策を実現するという発想で臨む。また、こうした取り組みを地域の再生や世界的な課題解
決への貢献につなげていく。
5
0-我が国の研究開発を取り巻く状況
'0(我が国が直面する危機
②人口減尐・尐子高齢化による制約
6
1.„1‟②:『人口減少・少子高齢化による制約』
○ 世界に例のない速さで尐子高齢化が進展'1/4/年には生産人口0-1人で高齢者0
人を支えることに(。経済活動の減退が懸念される一方で、1/14年に国民医療費は
45兆円'現在の0-4倍(及び介護給付費は00兆円'同0-4倍(と増加。
我が国の医療費の推移と見通し
'兆円(
56兆円
2025年
60
国 50
12.0
10.0対
民
国
医
民
35兆円
2008年
療 40
費
8.0 所
得
費
30
6.0
対国民所得費
20
4.0
10
2.0
国民医療費'兆円(
0
0.0
19551960196519701975198019851990199520002005
2025'年度(
'出所(厚生労働省
~産業構造審議会第1回新産業構造部会資料3より一部抜粋~
7
0-我が国の研究開発を取り巻く状況
'0(我が国が直面する危機
③「やせ我慢」縮小経財転落の懸念
8
1.„1‟③:『「やせ我慢」縮小経済転落の懸念』 <1>
○ ギリシャに端を発した欧州政府債務危機は、イタリアやスペイン、フランスといった大
国まで問題が拡大。欧州金融機関による单欧諸国等向け与信が多いことから、金融
システムに対する懸念が存在。
○ 為替は、ドルやユーロに対して円高傾向で推移。特に、ユーロに対しては、欧州政府
債務危機への懸念の高まりから昨年後半にかけて急速に円高が進行。
~平成24年第1回国家戦略会議資料0より抜粋~
9
1.„1‟③:『「やせ我慢」縮小経済転落の懸念』 <2>
○ 1/0/年の世界経済は新興国にけん引されて引き続き緩やかに回復。ただし、我が
国経済の先行きは、東日本大震災の影響による景気の下振れリスクが懸念されてい
る。
世界各国の実質成長率'GDP伸び率(
16
'%(
'OECD予測(
14
12
中国
10
韓国
8
米国
6
イギリス
4
2
ドイツ
0
日本
▲ 2
▲ 4
▲ 6
▲ 8
06
'出所(
07
08
09
"Economic Outlook", OECD, 2011 年 5月
10
11
12
'年(
10
1.„1‟③:『「やせ我慢」縮小経済転落の懸念』 <3>
○ 研究開発費の対GDP比では、各国が増加を続ける中、我が国は世界最高水準にあ
るものの1//8年に減尐。
主要国の研究開発費総額の推移
50
(研究開発費総額、兆円)
米国
45
EU27か国
40
日本
35
30
主要国の研究開発費総額の対GDP比
(名目、購買力平価換算)
(研究開発費総額の対GDP比、%)
4.0
ドイツ
米国 2.9 (2009年)
3.0
韓国
イギリス
日本 3.6 (2010年)
3.5
中国
フランス
韓国 3.7 (2010年)
米国 46.3 (2009年)
EU27か国
34.0 (2010年)
ドイツ 2.8 (2010年)
2.5
フランス 2.3 (2010年)
25
EU27か国 1.9 (2010年)
2.0
イギリス 1.8 (2010年)
20
中国 17.8 (2009年)
日本 17.1 (2010年)
韓国
1.5
1.0
ドイツ 9.6 (2010年)
5
韓国 5.9 (2010年)
フランス 5.6 (2010年)
イギリス 4.4 (2010年)
中国 1.7 (2009年)
米国
15
10
日本
ドイツ
フランス
EU27か国
0.5
イギリス
中国
0.0
0
80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13
(年)
(出所)科学技術研究調査(総務省)、Main Science and Technology Indicators
(OECD)
(注)日本:科学技術研究調査(総務省) 日本以外の国の研究費・購買力平価:Main
Science and Technology Indicators (OECD)
80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13
(年)
(出所)科学技術研究調査(総務省)、国民経済計算(内閣府)、Main
Science and Technology Indicators (OECD)
(注)日本:科学技術研究調査(総務省)の研究開発費総額、国民経済計算
(内閣府)のGDPを用いて計算
11
1.„1‟③:『「やせ我慢」縮小経済転落の懸念』 <4>
○ 我が国の研究開発費総額の対GDP比率は、国際的にも最高水準'3.6%(。
○ 一方、研究開発費総額に占める政府の負担割合は20%程度と最低水準。
4.0
各国の研究開発費総額の対GDP比率
GDP比(%)
3.7%
3.6%
3.5
3.0
2.5
政府
民間(企業、私大等)
.
2.9%
企業
(約7割)
2.0
2.8%
2.3%
2.7
2.9
2.0
1.8%
2.0
1.4
1.5
1.0
0.5
1.7%
1.2
私立大学等
(約1割)
政府
(約2割)
0.7
1.0
0.9
1.3
0.9
0.8
0.6
0.4
0.0
日本
韓国
米国
ドイツ
フランス
イギリス
(2010年)
(2010年)
(2009年)
(2009年)
(2010年)
(2010年)
'出所(OECD統計'日本は「科学技術研究調査」(
中国
(2009年)
12
1.„1‟③:『「やせ我慢」縮小経済転落の懸念』 <5>
○ 震災、円高の進行等の危機を克服し、攻めに転じるため、新たな付加価値を創造し
拡大する経済への転換が必要。
○ これまでの制度、政策にとらわれず、世界、未来に向けて不断に我が国経済、産業
構造を新しくしていく「創造的イノベーション」が重要。
『日本再生の基本戦略~危機の克服とフロンティアへの挑戦~』 '抜粋(
3-新成長戦略の実行加速と強化・再設計
'0(更なる成長力強化のための取組'経済のフロンティアの開拓(
東日本大震災、円高の進行等により、経済の空洞化等のリスクがより一層高まっている。この危機を攻めに
転じ、「やせ我慢」縮小経済に陥ることなく新産業分野を創出し、新たな付加価値を創造し拡大する経済への
転換を進めていく。今、日本に必要なことは、これまで成功してきた制度、政策にとらわれず、世界に向け
て、そして未来に向けて不断に我が国経済、産業構造を新しくしていく「創造的イノベーション」である。
「何かにチャレンジすることによるリスク」よりも、「何もしないことのリスク」の方が大きいことを認識
し、まずは実行するという姿勢で臨んでいくことが重要である。
このため、新成長戦略の実行加速に加え、震災後の状況を踏まえた我が国の更なる成長力の強化に向け、予
算、税制、法制上の措置を始め、イノベーションの促進等に効果の大きい規制改革、公共サービス改革(市場
化テスト)、行政改革など新たに取組を拡充する。
この際、世界の中での需要獲得に向けて各国が激しい競争を繰り広げている現実を直視し、この競争に打ち
勝っていくために、起業家精神(アントレプレナーシップ)に富んだ世界に雄飛する人材を育成するととも
に、クールジャパンやオンリーワンの技術など非価格競争力を強化し、民間活力の活性化によるダイナミック
な成長を目指す。また、我が国の再生と成長力の強化のためには、我が国経済の基盤を支える中小企業の育
成・強化が必要である。我が国の強みである技術力を始めとした中小企業の潜在力・底力を最大限に引き出
し、技術力の強化・継承、日本の知恵・技・感性をいかした海外展開の支援など、中小企業の経営力を強化す
るため総合的に支援する必要がある。さらに、人口の急激な増加に伴う食料、水、エネルギー等の世界的な課
題、さらには先進諸国における尐子高齢化の進展といった課題に対応するため、我が国の強みである先進的な
技術・ノウハウ・システムを最大限に活用し、これを経済成長に結び付けていく。
13
0-我が国の研究開発を取り巻く状況
'1(危機の中での研究開発の低迷
①企業の研究開発の縮小・短期化等
14
1.„2‟① (ア):『2007年から急速に研究開発は縮小・短期化』
<1>
○ リーマンショック後の急減'平成10年度▲01-0%(の後、停滞'平成11年度は*
/-1%(。我が国全体の研究開発の6割以上を占める民間の研究開発が大きく縮
小。
'兆円(
13.8
14.0
13.6
13.3
企
業
の
研
究
開
発
費
13.0
急減
震災・
円高の
影響
12.7
>
12.0
11.5
11.0
11.6
11.8
11.9
12.0
12.0
09
10
10.9
10.0
9.0
00
01
02
03
04
05
06
07
08
11 '年度(
'出所(総務省科学技術研究調査報告
15
1.„2‟① (ア):『2007年から急速に研究開発は縮小・短期化』
<2>
○ 民間の研究開発の大部分'8割(は短期の「開発」に投資されていたところ、半数近い
企業'32-7%(がさらに短期化の傾向と回答。
企業の研究開発の内訳'※(
研究開発の内容の変化
0割程度
8割程度
1~2%
非
連
続
型
研
究
市
場
開
拓
型
研
究
改
既
良
存
型
技
研
術
究
既存技術の改良
'事業化まで2年以内(
中長期的な研究開発
が増えている 12.7%
例(自動車のモデルチェンジ、
携帯電話の「春・夏モデル」
技術の飛躍は必要だが、市場は見えている研究
'事業化まで4~0/年(
変わらない
43.5%
短期的な
研究開発が
増えている
43.8%
例(有機EL、電気自動車、リチウムイオン電池
技術的に極めて困難で、現時点では市場が不透明
な研究 '事業化まで0/年以上(
例(量子ドット型太陽電池、リチウム空気電池、ナノカーボン
'出所(2010年度産業技術調査
'オープンイノベーションに
関する企業アンケート(
'n=858社(
※研究開発費の多い企業約4/社の技術担当役員から上図のように2分類した場合の
構成比を聞きとった結果から推定したおおよそのイメージ
16
1.„2‟① (ア):『2007年から急速に研究開発は縮小・短期化』
<3>
○ 研究開発の成果としての特許取得状況を見ても、我が国の場合は、既存ビジネスの
強化のためのものが大半。米国は非連続型研究の割合が我が国の2倍。将来の競
争力に大きく影響するおそれ。
≒非連続型研究
≒市場開拓型研究
≒既存技術改良型研究
・RIETI発明者サーベイ・プロジェクト”Invention & Innovation process in Japan & US: some findings from the Inventers Surveys in Japan & US”,
Jan.2008, Dr. S. Nagaoka '一橋大(& Dr. J. P. Walsh (Georgia Institute of Technology)
・2極特許データベースを活用し、日米企業の研究者'発明者(それぞれ3,658人'日本(、1,919人'米国(に対してアンケートすることにより把握
17
1.„2‟① (ア):『2007年から急速に研究開発は縮小・短期化』
<4>
○ 業種別に見ると、医薬品分野など、中長期の研究開発が増加している割合が比較的
高い分野もあるが、エレクトロニクス産業をはじめ技術や市場の変化が激しい分野ほ
ど、多くの企業が短期的な研究開発が増加していると回答。
電気機器
化学
中長期が増加 8%
中長期が増加 19%
変わらず
36%
短期が増加
39%
短期が増加
56%
変わらず42%
'n=28社)
'n=88社)
医薬品
中長期が増加 36%
短期が増加
24%
変わらず40%
'n=33社)
18
1.„2‟① (ア):『2007年から急速に研究開発は縮小・短期化』
<5>
○ 企業の研究開発担当役員等からの聞き取りにおいても、研究開発が短期化している
との声が聞かれた。
○ 他方、長期的研究の必要性を訴える企業は多く、国への期待感がある。
企業の声
研究開発期間が短期化
○利益貢献の仕組みがないものは切らざるを得ない。経営の観点からすれば、例えば2年連続赤字だっ
たら撤退。2年後に黒字の絵が書けなければ、社内のハードルは高い。'エレクトロニクス系(
○従来から短期の比率が高い傾向であったが、リーマンショック後はさらに短期の比率が高くなった。
'エレクトロニクス系(
長期的研究の必要性について
○ここ数年は排ガス規制への対応など、喫緊の課題の解決に向けた研究が多かった。韓国、中国等、各
国の追い上げをかわすためには、基礎部分に腰を据えてじっくり取り組む必要性も感じているところ。
'機械系(
○今の'国の(プロジェクトは実用化ということに重きを置き、短期の成果が求められ過ぎるゆえに、無理な
計画を立てさせられている。マイクロマシンのプロジェクトは基盤研究であったが、当時はまったく夢物語
と思っていた技術が、現在では実用化されてきたものもある。'バイオ系(
'出所(「CTOインタビュー1/0/」
19
1.„2‟① (イ) :『同業他社との重複投資・自前主義』 <1>
○ 企業は、研究開発の過半が企業間で重複していると自覚しつつも、競合他社との共
同研究は困難と認識。
○ 他方、諸外国の企業は我が国企業よりも積極的に共同研究を実施。重複投資による
非効率が懸念される。
自身の研究開発のうち、他社と重
複していると認識している割合
重複して
いない
27-0%
重複して
いる
50-8%
重複開発のうち、他社と共同開発で
きると考えている分野の割合
共同研究を実施している企業の割合
70
60
50
40
30
20
10
0
%
中小企業
大企業
共同研究
できる
共同研究
できない
70-4%
07-4%
'出所(OECD「Science,Technology and industry Scoreboard 2007」
日本9従業員250人以上の企業'全数(及び10人以上250人未満の企業'サンプリング(の合
計43,174社を対象に共同研究の有無を調査。'文科省「全国イノベーション調査」(
'出所(2010年度産業技術調査
'オープンイノベーションに関する企業アンケート(
'回答数(上段9722社、下段9706社
20
1.„2‟① (イ) :『同業他社との重複投資・自前主義』 <2>
○ 共同研究について「積極的」だと回答する割合は、役員クラスでは4割近いのに対し、
担当者クラスでは0.3以下にとどまる。
○ 共同研究を進めるには、役員を含む経営者の強いリーダーシップが期待される。
共同研究に対する姿勢
'役員クラス(
共同研究に対する姿勢
'担当者クラス(
消極的
6-5%
消極的
06-0%
積極的
36-1%
どちらともいえ
ない
34-1%
積極的
13-0%
どちらともいえ
ない
47-7%
'n=865社)
'n=862社)
(出所)2010年度産業技術調査
(オープンイノベーションに関する企業アンケート)
21
1.„2‟① (イ) :『同業他社との重複投資・自前主義』 <3>
○ 企業の研究開発担当役員からの聞き取りでは、国の研究開発プロジェクトについて、
護送船団型に対する懸念の声が多く聞かれた。
企業の声
護送船団型による研究開発の懸念
○国は先頭に立っている人を引っ張り上げるべきで、下の人を引っ張り上げるのでは国際的
に勝てない。もっと垂直を意識した尖ったプロジェクトにしないと日本は世界でまた負ける。
'エレクトロニクス系(
○同業他社が参加する国のプロジェクトには参加しづらい。
'エレクトロニクス系(
○同業他社が多く参加する形のプロジェクトには参加しづらい。例えば、4社共同によって世
界シェアをとったとしても、その1割しか自社が享受できないということであれば、プロジェク
トに参加しなくても、独自に1割くらいのシェアは確保できるのではないかと思っている。
'材料系(
'出所(「CTOインタビュー1/0/」
22
1.„2‟① (イ) :『同業他社との重複投資・自前主義』 <4>
○ パワー半導体の分野の特許出願で上位0/社中7社は我が国企業。しかしながら、市
場シェアでは下位に甘んじている。
○ 国内企業同士の研究開発投資の重複が、技術のポテンシャルを事業面で活かしき
れない要因の一つとなっている可能性がある。
パワー半導体の特許出願人別ランキング
パワー半導体のメーカー別世界市場シェア'2009年、金額ベース(
三菱電機 5.5%
東芝 4.4%
STマイクロ(伊・仏) 8.2%
パナソニック 4.0%
TI'米( 7.1%
デンソー 3.6%
インフィニオン テクノ
ロジーズ(独) 5.8%
住友電工 3.4%
その他 65.9%
合計
25,334件
ルネサスエレクトロ
ニクス 3.1%
インフィニオン テクノ
ロジーズ(独) 2.9%
その他 59.7%
合計
167億ドル
フェアチャイルドセミコ
ンダクター(米) 4.7%
ビシェイ(米)3.8%
富士電機システムズ
2.6%
クリ―(米) 2.3%
東芝 3.6%
トヨタ自動車 2.3%
NXP(蘭) 3.6%
三菱電機 3.5%
'2000年~2008年に日欧米中韓への出願されたもの(
'出所(2010年度特許出願技術動向調査報告書
'出所(2010年度特許出願技術動向調査報告書
23
1.„2‟① (イ) :『同業他社との重複投資・自前主義』 <5>
○ パワー半導体のSiCウエハでは、世界の特許出願件数上位00社中8社を我が国企
業が占める一方、売上シェアはわずか1%。
○ 研究開発が、事業化に十分に結びついていない。
SiCウエハ市場売上シェア'2008年(
SiCウエハの特許出願人別出願件数ランキング
日本企業
2%
クリ―(米) 5.3%
デンソー 4.4%
その他3%
パナソニック 3.6%
新日鐵 2.9%
トヨタ自動車 2.6%
欧州企業
16%
ブリヂストン 2.3%
住友電工 2.2%
その他 70.7%
合計
3,215件
産総研 1.8%
ソイテック(仏) 1.6%
三菱電機 1.3%
合計
48百万
ドル
米国企業
79%
日産自動車 1.3%
'2000年~2008年に日欧米中韓への出願されたもの(
'出所(2010年度特許出願技術動向調査報告書
'出所(各種資料より経済産業省作成
24
1.„2‟① (ウ):『研究開発拠点の海外移転と国際化の遅れ』 <1>
○ 我が国企業における中国・インド等の新興国への研究開発拠点の新設が増加。
○ 国内需要の拡大が続く新興国での市場獲得を目指し、現地市場向けの商品開発を
現地で行うことや、現地開発人材の活用が、主な目的と思われる。
中国
・パナソニック
2009年6月、浙江省杭州市に研究開発拠点を設立。
現地市場向け白物家電の開発等。
・トヨタ
2013年までに、江蘇省常熟市にテストコースを含む研
究開発拠点を設立予定。ハイブリッド車の部品も開発。
・日本精工
2009年10月、江蘇省昆山市に研究開発拠点を設立。
現地市場向け自動車用ベアリングの開発等。
韓国
インド
・スズキ
2015年までに、テストコースを含む
研究開発拠点を設立予定。
・パナソニック
2011年5月、研究開発拠点を設立。
現地市場向け商品の開発等。
・日立製作所
2010年11月、研究開発拠点を設立。
現地市場向けの商品の開発。
・JSR
2011年7月、研究開発拠点を設立。
液晶ディスプレイ用材料の開発等。
・アルバック
2011年6月、研究開発拠点の設立を決定。
有機EL等の関連製品の開発。
・東京エレクトロン
2011年末、研究開発拠点を設立予定。
半導体製造装置の開発等。
'出所(各社ホームページより作成
25
1.„2‟① (ウ):『研究開発拠点の海外移転と国際化の遅れ』 <2>
○ 我が国の海外現地法人'製造業(の生産、販売等の拠点機能に引き続き、研究開発
の拠点機能についても、設立以降、現在及び今後とも増加傾向。
(%)
90
海外において拠点機能'生産、販売、研究開発等(を有する企業の割合
生産
80
販売
70
60
調達
50
メンテナンス・アフターサービス
40
設計
30
20
企画・マーケティング
10
研究・開発
北米(n=187)
ヨーロッパ(n=104)
中国(n=439)
将来予定
現在時点
設立当時
将来予定
現在時点
設立当時
将来予定
現在時点
設立当時
将来予定
現在時点
設立当時
0
統括・管理
ASEAN(n=286)
'出所(経済産業省製造産業局公表資料 平成23年10月「ものづくり産業に起こっていること -製造業の海外展開の実態- 」より
26
1.„2‟① (ウ):『研究開発拠点の海外移転と国際化の遅れ』 <3>
○ 海外向け研究開発費は近年、急増。'1//0年度0+230億円 → 1/0/年度2+3
42億円(
○ 一方、海外からの研究開発費は、近年横ばい傾向。
企業の研究開発費のうち海外からの受入額と海外への支出額の推移
'億円(
'年度(
'出所(総務省科学技術研究調査
27
1.„2‟① (ウ):『研究開発拠点の海外移転と国際化の遅れ』 <4>
○ 我が国は、海外の発明者との共同特許出願件数の割合は低く、最近では低下傾向。
先進国の中で、我が国の低下傾向は特徴的な動き。
○ 我が国企業はイノベーション活動において海外と協力した企業の割合も低い。
海外の発明者との共同特許出願件数の割合
(%)
20
イギリス
18
フランス
16
ドイツ
14
米国
12
16
EU27か国
10
14
世界全体
8
米国 11,5%
韓国
6
EU27か国 10,4%
日本
4
イギリス 24,5%
24
22
フランス 20,5%
20
18
ドイツ 16,9%
12
10
(割合、%)
14.8
14.6
13.6
11.4
8.0
7.9
7.8
7.7
6.4
6.2
5.3
4.8
2.8
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
(出所)"OECD Patent Database", OECD
'出所(‘OECD
Patent: Patent
Database’,
OECD
(注)PCT出願:
特許協力条約(PCT
Cooperation Treaty)に基づく国際特許出願制度。ひとつの出願願書を条約に従って提出すること
によって、加盟国であるすべての国に同時に出願したことと同じ効果を与える出願制度。
'注(PCT出願9特許協力条約'Patent
Cooperation Treaty(に基づく国際特許出願制度。
上記の割合は、1者以上の海外の発明者との共同特許出間件数を、国内の発明者のみによる特許出願件数で除したもの。後方3年移動平均。
ひとつの出額願書を条約に従って提出することによって、加盟国であるすべての国に
EU加盟国については、EU域内国との共同特許出願件数は除く。
同時に出願したことと同じ効果を与える出願制度。
上記の割合は、0者以上の海外の発明者との共同特許出願件数を、国内の発明者
のみによる特許出願件数で除したもの。過去2年間の平均。EU加盟国については、
EU域内国との共同特許出願件数は除く。
日本
ドイツ
フランス
スイス
イギリス
オーストリア
0
オランダ
日本 2,7%
2
ノルウェー
韓国 3,8%
ニュージーランド
4
スウェーデン
6
0
ベルギー
世界全体 7,2%
ルクセンブルグ
2
8
デンマーク
26
イノベーション活動で海外と協力した企業の割合
(国際特許出願(PCT出願))
(出所)国際比較を通じた我が国のイノベーションの現状(2010年9月、文部科学省科学技術政策研究所)
'出所(国際比較を通じた我が国のイノベーションの現状'2010年9月文部科学省科学
(注)日本:2006-2008年 スイス:2003-05年 ニュージーランド:2004-2005年 左記以外の国:2002-2004年
技術政策研究所(
例えば:日本の場合、2006年から2008年の3年間において、新製品・新サービスの市場投入、新プロセスの導入等をした企業のうち、国外の組織と
'注(日本92006-08年、スイス92003-05年、ニュージーランド92004-05年、左記以外9
橋梁した企業の割合
2002-04年。
例えば日本の場合、2006年から2008年の3年間において、新製品・新サービスの
市場投入、新プロセスの導入等をした企業のうち、国外の組織と協力した企業の割
合。
28
1.„2‟① (ウ):『研究開発拠点の海外移転と国際化の遅れ』 <5>
○ 情報通信分野では、国際的な共著論文の割合については海外企業は増加している
が、日本企業は横ばいか低下傾向。
論文著者の所属機関'共著関係にある企業の数(
国際的な共著論文の割合
'出所(富士通総研 経済研究所 研究レポートNo-261 April 1/00
29
1.„2‟① (ウ):『研究開発拠点の海外移転と国際化の遅れ』 <6>
○ グローバルに優れた研究成果を戦略的・効率的に活用し、如何に早くグーバル市場
を獲得するかのグローバルイノベーション競争が進展。我が国企業は、研究開発の
グローバルネットワークから孤立化しているとの指摘あり。
○半導体産業の事例
'一橋大 中馬教授からのヒアリング(
•インテル社は、半導体技術の複雑化の進
展に伴い、研究を同時並行的に進めるた
め、世界の研究所等と連携し研究を分散
させ、同時に世界のサイエンスナレッジが
自動的に集まる仕組みを構築。研究があ
る程度のところまで進展すると、一転してク
ローズド戦略で市場を獲得。
•技術が複雑になる程、世界のサイエンスナ
レッジへのアクセス速度を上げる必要があ
り、そのためには世界の知とのネットワー
クが重要。日本企業はネット ワーク構築に
乗り遅れ、研究コストが高く競争力が低下
している危機的状況。
最先端の半導体プロセス技術のグローバルネット
ワークにおいて、我が国企業は世界のネットワー
クの離れ小島に位置。
※最先端の半導体プロセス技術であるHigh-k/Metal Gateに係る
研究者間の共発明・共著の回数を示す。
※緊密度の高い研究者が図の中央に、緊密度の低い研究者が図
の周辺に位置する。
'出所(「半導体産業における国際競争力低下要因を探る」中馬宏之
30
1.„2‟① (ウ):『研究開発拠点の海外移転と国際化の遅れ』 <7>
○ 製薬産業の事例'大手製薬企業からのヒアリング(
”The world is our laboratory” 'Dr.ストフェル J&J研究開発責任者(に象徴されるように、ベ
ンチャー企業等の自社以外のグローバルな知を活用するビジネスモデルが一般的。
 これはゲノム情報公開時代において簡卖な標的が尐なくなったこと、米国規制当局'FDA(の
安全性基準の厳正化等による研究開発コストの一層の増大が背景にある。
欧米大手製薬は、外部のベンチャー等からのシーズを効率的に導入する様々な新たなビジネ
スモデルを構築'自社で研究開発しないシーズに、外部のVC等から資金、ベンチャーの知を入
れて再生させ、また自社内に戻すスキームなど。(
日本企業の一部は海外ベンチャーの買収等により海外のシーズの取り込みを始めているが、
欧米大手製薬に比べると大きく出遅れ。
400
企業間の技術提携の件数
(バイオテクノロジー分野)
(件)
米国
350
300
欧州
日本
米国
250
200
150
欧州
100
50
日本
0
80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11
(年)
( 出所) "Science and Engineering Indicators 2010", 国 立科学 財団( NSF), 2010年
'出所(‘Science
and Engineering
2010’,
国立科学財団'NSF(、2010年
(
注)技 術提携 :研究
開発等 の技術Indicators
的内容 を含む
企業間
の提携 。共同 研究契 約の締 結、研 究開発 の受託 ・委託 、研究 開発に 関連す る共同 出資会 社の設 立等が
含 まれる 。新聞 ・雑誌 等に掲 載され た企業 の公表 情報を もとに 集計。
'注(技術提携9研究開発等の技術的内容を含む企業間の提携。共同研究契約の締結、研究開発の受託・委託、研究開発に関連する共同出資会社の設立等が含
グ ラフ上 の技術 提携の 件数は 、国内 企業及 び外国 企業と の技術 提携の 件数。
まれる。新聞・雑紙等に掲載された企業の公表情報をもとに集計。グラフ上の技術提携の数は、国内企業及び外国企業との技術提携の件数。
31
1.„2‟① (ウ):『研究開発拠点の海外移転と国際化の遅れ』 <8>
○ 日本国内に研究開発拠点を持つ外資企業において、国際戦略の見直しによる研究
開発拠点の再配置や、事業全体のリストラクチャリングにより、日本国内から撤退す
る例がみられる。
機密性2
企業名
バイエル
(ドイツ、製薬)
内容
・2007 年、神戸市の神戸リサーチセンターを閉鎖。
・親会社の方針として、同センターの研究対象である再生医療が戦略分野から外れたため閉鎖することとされた。
グラクソスミスクライン
(イギリス、製薬)
・2007 年、筑波研究所の活動を閉鎖。
ファイザー
(米国、製薬)
・2007 年 1 月、業績悪化のため、日本の中央研究所(愛知県)の閉鎖を決定。
(2008 年 7 月、同研究所の研究者が、ファイザー等からの出資を受けて新会社を設立。研究開発活動を継続)
ノバルティス
(スイス、製薬)
・2008 年末、筑波研究所を閉鎖(07 年 12 月末の所員数:123 人)。
・同社の研究開発部門全体のグローバル戦略の一環として、循環器と糖尿病・代謝領域の研究を統合することとなり、同筑波研究所
の循環器領域に関する基礎研究機能は、米国の研究拠点に統合.
テキサス・インスツルメンツ
(米国、電機)
・2009 年 6 月、筑波テクノロジーセンターを閉鎖。
・同センターのデジタル家電向けのLSI(大規模集積回路)の研究開発機能は、インド・米国の拠点に移管。
メルク
(米国、製薬)
・2009 年 8 月、メルクの子会社である万有製薬が、同社のつくば研究所を大鵬薬品工業に売却で合意。親会社であるメルクの研究開
発のグローバル戦略の一環。
・なお、万有製薬は、2006 年末、親会社のメルクの業績低迷により、愛知県岡崎市と埼玉県熊谷市の 2 つの研究所を閉鎖している。
・2009 年 11 月、日本における携帯電話端末の研究開発部門の 220 人の削減を発表。同社の研究開発部門全体のグローバル戦略の一
環であり、当該発表の前には、フィンランド・デンマークの研究開発部門の人員削減について既に発表されていた。
・なお、ノキアは、2008 年 11 月、日本における携帯電話端末の販売の打ち切りを発表。
ノキア
(フィンランド、通信)
'出所(新聞報道、各社ホームページから作成。
32
1.„2‟① (ウ):『研究開発拠点の海外移転と国際化の遅れ』 <9>
○ イノベーション政策を推進する各国政府は、最先端の知を取り込むべく優れた企業や
研究者が自国内で研究活動を実施するよう研究環境整備で競争。
○ EUは、欧州域外国を含めたオープン・イノベーションや国際標準化によって、グロー
バル市場での優位性を確立すべく、フレームワーク・プログラムを実施。
○ 海外の知を欧州内に取り込んで欧州を最先端の研究開発領域にするERA'欧州研
究領域(構築を目的。FP6予算は、6年間'2007~2013年(で約42/億ユーロ。
EU「リスボン戦略'1///年策定(」の1大目標
①欧州の研究開発費の対GDP比を2010年までに2%に引き上げること。
②欧州卖一市場をヒト・モノだけでなく、科学・研究にも取り入れ、規模のメリットを活か
す「欧州研究エリア構想'ERA: European Research Area(」の実現
目標達成のための最大ツール
FP (Framework Program(
潤沢な予算&グローバルかつオープンな体制
世界中の優秀な技術、
人材、知恵、知識の結集
・EU製品のグローバル展開
・国際標準化 etc.
33
1.„2‟① (ウ):『研究開発拠点の海外移転と国際化の遅れ』 <10>
○ FP6のスキームのうち、基礎研究についてはEU域外国の研究者等であってもEUか
らの助成対象となっており、積極的に世界の知を取り込んで研究開発を実施。
○ 共同研究プログラムはEU域外国の企業・研究所も参画可能であるが、EUからの助
成の対象外。ただしBRICsからの参画はEUの助成対象。
○ 特定の研究テーマについてはEU域外の先進国の企業、研究機関、大学も助成対象
とするなど、柔軟に対応している模様。
;FP7へのEU域外からの参加要件の概要=
共同研究支援'Cooperation(
基盤整備・競争力強化'Capacity(
欧州の研究インフラ整備、中小企業
の研究開発体制支援等
EU2機関以上との共同であれば、
参画可能。
→EU外の参加者に係る費用は原
則自己負担'EUの支援対象外(。
→ただしBRICsからの参画はEU
の助成対象
基礎研究支援'Ideas(
先端的な基礎研究に対する支援
研究者支援'People(
主にポスドク以上を対象
にキャリア形成支援
EU域内で基礎研究等を実施する
場合、国籍を問わず支援
; FP7共同開発における知財の扱い=
特許権は実際に開発した参加者に帰属。
プログラム実施段階では、全てForeground
'FP6で生まれた知財(について参加者は
無料で通常実施権。Background'元々、参
加者が保有している知財(については、
事前に特段の定めを設けない限り、原則
無料で通常実施権。
商業化段階では、Foreground、商業化に必
須なBackgroundについては、当事者同士
の取り決めにより、通常実施権を付与。
'出所(日欧産業協力センター 資料等より作成
34
1.„2‟① (ウ):『研究開発拠点の海外移転と国際化の遅れ』 <11>
○ EUの研究開発プログラム'FP(では、EUの研究開発能力の向上、地球的課題の解
決等を図るため、国際協力が強化されている。
○ 現行のFP6以降の同プログラム'Horizon 2020(においても、引き続き国際協力が推
進される見込み。
EUの研究開発フレームワーク(FP)におけるEU域外国の参加状況
FP5の事後評価'2007年(
・EU域外の先進国'米国・日本等(及び新興国'インド・中国・ブラジ
ル(との協力については、EUの研究開発能力を向上させるため、
更に強化すべき。
・発展途上国との協力については、発展途上国に係る特有な課題、
EUの研究者が世界をリードする分野に集中させるべき。
FP6における国際協力
9
8
6
5
FP6の中間評価'2010年(
2
・国際協力は価値が高い。アジア等の研究開発能力の急速な向上
や、地球的課題への対応の緊急性から、研究開発の国際協力の
必要性は高まっている。
1
・「Horizon 2020」に係るパブリック・コメント'2011年2~5月(におい
ても、国際協力は地球規模の課題への取り組みや、EUの戦略上
の利益の確保を図るための主要な原動力であり、先進国等との協
力強化が必要、といった国際協力の強化の必要性が指摘。
EU域外国のうちFPに資金拠出をする「準加盟国(スイス、イスラエル、ノルウェー等)」
6.5
7
・新たに以下の1つのアプローチにより、国際協力を推進。
,FP6に含まれる事業全般について、国際協力に取り組む。
,発展途上国等における特定の問題を解決するため、特別の事
業'SICA, Specific international cooperation actions(を創設。
FP6以降の発プログラム'Horizon 2020(における対応'2011年(
(EU域外国の参加者数の割合、%)
8.4
6.9
5.3
5.3
4
3
上記以外のEU域外国「第三国」(日本を含む)
2.9
0
1998-2002
2002-2006
2007-2010
FP5
FP6
FP7
'出所(’The fourth FP7 Monitoring Report’, 欧州委員会、2011年8月
‘A more research-intensive and integrated European Research Area:
Science, Technology and Competitiveness key figures report 2008/2009’, 欧
州委員会、2008年
'注(「EU域外国の参加者数の割合」は、研究開発フレームワークのすべての事業
における参加者数のうち、EU域外の参加者数の割合。FP6の対象期間は、2007年~
2013年。上記数値は、参加者数が公表されている2010年までの割合。
35
1.„2‟① (ウ):『研究開発拠点の海外移転と国際化の遅れ』 <12>
○ EUのFPに参加した欧州の企業・大学等のなかでは、中国と共同研究について、メ
リットが大きかったと評価する者が多い。
○ 具体的には、中国の研究者・技術の導入、新たなネットワークの構築等が、メリットと
して評価されている。
○中国との共同研究のメリット
・EUのFP5に参加した欧州の企業・大学等に対して、アンケート調査を実施'2009年(。
・中国との共同研究について、コストよりベネフィットが上回ったと回答した者は、全回答者数'170(のうち55%。
・メリットよりコストが上回ったと回答した者は、同18%。
○具体的なメリットに対するコメント'例(
・中国の専門家・知見に対するアクセス ・新たなネットワークの構築 ・中国側の研究開発のクオリティ ・安くて豊富な人材
'出所("Evaluation of Chinese participation in the EU Framework Programme" , Technopolis, 2009年
36
1.„2‟① (ウ):『研究開発拠点の海外移転と国際化の遅れ』 <13>
○ 米国は優れた企業、研究者、学生を世界中から集め、国内でのイノベー ションを喚
起。特に大学が核となったグローバルなネットワークで企業も海外とのつながりを拡
大。
○ 米国は国内の研究資源に十分な厚みがあるため、欧州のような海外の知を取り込む
ことを目的とした国際連携の必要性が薄いとの見方もある。
○平成12年度年次経済財政報告、第1章「新
たな「開国」とイノベーション」に以下の趣旨が
記載。
・米国企業は過去2/年近くにわたって新規の技
術提携が増加、欧州企業は2000年代になると
大きく伸びてきた。我が国は長期的な基調とし
ては横ばい。
・欧州は域内各国の地理的な近接性が共著を
盛んにしているのに対し、米国は国内の研究
資源に十分な厚みがあり国際連携の必要性
が薄いと考えられる。
・我が国も研究資源では一定の厚みを持ってい
るが、科学研究における国際的連携にはさら
に拡大の余地がありそうである。
700
企業間の技術提携の件数
(件)
米国
600
欧州
日本
米国
500
400
欧州
300
200
日本
100
0
80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11
(年)
(出所)"Science and Engineering Indicators 2010", 国立科学財団(NSF), 2010年
'出所(‘Science and Engineering Indicators 2010’, 国立科学財団'NSF(、2010年
(注)技術提携:研究開発等の技術的内容を含む企業間の提携。共同研究契約の締結、研究開発の受託・委託、研究開発に関連する共同出資会社の設立等が
含まれる。新聞・雑誌等に掲載された企業の公表情報をもとに集計。
'注(技術提携9研究開発等の技術的内容を含む企業間の提携。共同研究契約の締結、研
グラフ上の技術提携の件数は、国内企業及び外国企業との技術提携の件数。
究開発の受託・委託、研究開発に関連する共同出資会社の設立等が含まれる。新聞・
雑紙等に掲載された企業の公表情報をもとに集計。グラフ上の技術提携の数は、国内
企業及び外国企業との技術提携の件数。
37
1.„2‟① (ウ):『研究開発拠点の海外移転と国際化の遅れ』 <14>
○ 米国エネルギー省、商務省等のプロジェクトにおいては海外企業による米国子会社
の参加が認められるケースが多く見られる。ただし、その際に研究成果の商業化を米
国内で実施すること等、「米国の利益」を求められる。
○ 国防総省の研究開発プロジェクト'DARPA(では、海外企業の参加は可能となってい
る。米国においては、米国政府研究開発プロジェクトにおける海外企業の参加につい
ては、各政府機関・プロジェクトごとに柔軟に対応されていると考えられる。
○研究開発費を助成する際の海外企業の取扱い'例(
①エネルギー省'DOE(
・海外企業の米国子会社の参加が認めれるケースが多くみられる。
・ただし、ARPA,E'エネルギー高等研究計画局(では、研究成果の商業化を米国内で実施することが求められている。
②商務省・国立標準技術研究所'NIST(
・技術革新プログラム'TIP(では、海外企業の米国子会社の参加が認められている。
・ただし、同米国子会社の参加が、米国内の研究開発費・雇用の増加に貢献し、研究成果の商業化が米国の製造業の振興や、米
国の部品・素材の競争力向上に寄与することが求められることがある。
③国防総省・高等研究計画局'DARPA(
・研究開発プロジェクトの参加を公募する際、海外企業は除外されておらず、ケースバイケースで海外企業の参加は可能と思われ
る。
'出所(各省の研究開発プロジェクトの公募要領等により作成。
○公的研究機関が外部と共同研究を行う場合の海外企業の取扱い'例(
・DOE傘下の公的研究機関が、外部の企業・大学等と行う共同研究'CRADA, Cooperative Research and Development Agreement(
において、海外企業の参加は可能。
・ただし、米国の競争力向上の観点から、研究成果の商業化を米国内で実施することが求められている。
'出所(エネルギー省によるCRADAのガイドラインから作成。
38
1.„2‟① (ウ):『研究開発拠点の海外移転と国際化の遅れ』 <15>
○ 基礎研究等の拠点整備を行う大規模な国家プロジェクト「国際科学ビジネスベルト」
が、1/00年から開始されている。
○ 大田市'デジョン(・大徳地区'テドク(を主要拠点として最新型の研究施設'重イオン
加速器(を新設するとともに、その他の地域にも研究機能を置いて研究開発のネット
ワークを構築。1/06年までに、 4-1兆ウォン'2+841億円(投資予定。
○ 韓国政府は、最新型の研究施設の整備等により、国内外の優秀な科学者に対する
魅力を高めつつ、国内の基礎研究の水準の向上を図り、将来の経済成長の原動力
となることを目指している。
○「国際科学ビジネスベルト」について
・2011年5月、韓国政府が、大田市'デジョン(・大徳地区'デドク(を主要拠
点とすることを決定。同地区は、既に韓国科学技術院'KAIST(等の研究
機関が多数立地。
ソウル
・同主要拠点には、政府の研究機関として「基礎科学研究院」とその付属
の最新型の研究施設として「重イオン加速器」を整備。
'注(重イオン加速器9新しい元素の発見等、様々な研究に用いられる研
究施設。
国際科学ビジネスベルト
主要拠点
・主要拠点以外に、大邱'テグ(、光州'クァンジュ(、浦項'ポハン(、蔚山
'ウルサン(等にも、上記「基礎科学研究院」の研究機能が置かれ、ネッ
トワーク化。
大邱
・また、主要拠点に隣接する、清原'チョンウォン(、燕岐'ヨンギ(、天安
'チョンアン(の3地域を、基礎研究の成果の商業化を支援する役割を担
う「機能地区」として指定。
大田
浦項
蔚山
光州
'出所(教育科学技術省ホームページ等より作成
39
1.„2‟① (ウ):『研究開発拠点の海外移転と国際化の遅れ』 <16>
○ 国内の大学の教育・科学技術水準を世界最高水準に引き上げるため、海外の優れた研究者
を国内に招聘する事業である「世界水準研究拠点大学'WCU, World Class University(」が実
施されている。
○ 海外の研究者本人の給料の他、研究開発に必要な研究設備の購入、研究支援者の人件費
等を支援。
○ ただし、韓国国内では、招聘した研究者の水準が不十分であることや、数ヶ月の招聘期間に
高額の報酬が支払われることから、大学の水準向上への効果を疑問視する見方がある。
○世界水準研究拠点大学'WCU, World Class University(
・2008年から開始。2008~2012年の予算総額'計画(は、8,250億ウォン
'約630億円(。
・海外の研究者1人当たりに対する政府による支援の上限。
①海外の研究者に対する給料
ノーベル賞受賞者等 9 年間3億ウォン'約2,280万円(
上記以外
: 年間1億ウォン'約760万円(
②研究設備の購入費
9 年間2億ウォン'約1,520万円(
③共同研究に係る費用 9 年間0億ウォン'約760万円(
④研究支援者の人件費 : 年間3,500万ウォン'約270万円(
○招聘されたノーベル賞級の研究者
名前
アイヴァー・ジェーバー
アンドリュー・ファイヤー
ジョージ・スムート
パウル・クルッツェン
クルト・ヴュートリッヒ
ロバート・グラブス
ロジャー・コーンバーグ
ルイ・イグナロ
ノーベル賞受賞歴
レンセラー工科大学
物理学賞(1973年)
スタンフォード大学
生理学医学賞(2006年)
カリフォルニア大学
物理学者(2006年)
マックス・プランク
化学賞(1995年)
チューリッヒ工科大学 化学賞(2002年)
カリフォルニア工科大学 化学賞(2005年)
スタンフォード大学
化学賞(2006年)
カリフォルニア大学
生理学医学賞(1998年)
'出所(韓国研究財団'NRF(ホームページより作成
・2008~2009年に決定された海外の研究者に対する支援
米国163人、日本28人、ドイツ12人、イギリス11人、中国11人、カナダ10
人等。合計約350人。
'出所(教育科学技術省ホームページ
韓国研究財団'NRF(ホームページ等より作成
○当該事業に対する批判
・大学の準備期間が短く、水準に満たない海外の学者
も誘致するケースも多いのではないか。
・こうした学者を誘致するよりも、国内の優秀な学者を
支援すべきではないか。
・海外から招聘した学者の韓国での滞在は、実際には
数か月の場合があり、こうした学者に高額の報酬を
支払うのは問題ではないか。
'出所(中央日報等より作成
40
1.„2‟① (ウ):『研究開発拠点の海外移転と国際化の遅れ』 <17>
○ 科学技術の急速な発展による先進国へのキャッチアップを目指して、088/年代か
ら、海外の優秀な研究者'国内出身者を含む(を国内に誘致する様々な政策を実施し
ている。
○ 1/00年2月に策定された、「第01次4か年計画'1/00~1/04年(」においても、海
外の優れた人材の国内誘致を促進することが定められている。
○「海外の研究者の国内誘致策」'例(
①「百人計画」
・開始時期91994年。実施主体9中国科学院
・事業開始当初、20 世紀末までに国内外から100 人の科学技術分野の若手リーダーを招致・養成することを目標としたことから、
「百人計画」と呼ばれる。
・海外で助教授以上のポストに就いた研究者等を対象に、任期3年間、研究開発費として年間100万~200万元'約1,300万~3,600
万円(支給。
②「111計画」
・開始時期92006年。実施主体9教育部・国家外国専門家局
・世界のトップ100の大学・研究機関から、1,000人以上の研究者を招き、国内の優秀な研究者との合同研究チームを約100か所形
成することを目的とする。
・海外の研究者を招聘する中国の大学1 校あたり、5年間にわたって、年間180 万元'約2,340万円(の助成が行われる。
③「千人計画」
・開始時期92009年。実施主体9中国共産党中央組織部
・海外の研究者を招聘し、研究開発に係る国家プロジェクトに参加してもらう制度。
'出所(科学技術振興機構HP等より作成
・海外で博士号を取得した55 歳以下の教授職以上の研究者が対象。一時金として100万元'約1,300万円(が支給される。
○「第12次5か年計画'2011~2015年(」 '2011年3月、全人代(
'抜粋(
,海外の優れた人材・先進技術を導入し、外国企業が中国に研究開発拠点を新設することを促進する。
41
1.„2‟① (ウ):『研究開発拠点の海外移転と国際化の遅れ』 <18>
○ バイオ医療分野を対象とした「バイオポリス」、情報通信・物理・工学分野を対象とした「フュー
ジョノ・ポリス」を、それぞれ国際研究開発拠点として整備。
○ 国内の関連する公的研究機関を移転・集約、企業・大学等の研究開発のための研究開発棟・共
用研究施設や、研究者用の住宅等の生活関連施設を整備し、国内外の企業・大学等を誘致。
○ 低い法人税率等の良好な事業環境が、企業の研究開発拠点として魅力のひとつとなっているも
のと思われる。
○「バイオポリス」
○「フュージョノポリス」
・2003年に開設'第1期(。
・2008年に開設'第1期(。
・総工費'第1期(:5億シンガポール・ドル'約370億円(
・総工費'第1期・第2A期(98.5億シンガポールドル'約600億
円(。
・2011年現在も拡張工事が続けられている。
'共用研究施設(
・高性能顕微鏡、DNAシークエンサー、フローサイトメトリー
'細胞等の分析装置(、ハイコンテントスクリーニング'高度
に自動化された細胞分析装置(、マイクロアレイ'DNA解析
用装置(、NMR等。
・その他に、実験用器具の供給・洗浄、微生物学用の培地の
提供等のサービスがある。
・2011年現在も拡張工事が続けられている。
'共用研究施設(
・無響室'音響計測用施設(、クリーンルーム、半導体試作用設
備等。
'進出企業(
タレス'フランス(、ベスタス'デンマーク(、イリノイ大学'米
国(、日東電工、セイコー・インスツルメント等。
'進出企業(
GSK'イギリス(、イーライ・リリー'米国(、ノバルティス'スイ
ス(、武田薬品、富士通、ファーマ・ロジックス'三井物産・中
外薬品(、ニコン、理化学研究所、早稲田・オリンパス・バイオ
サイエンス研究所等。
○研究者の生活関連施設の整備。
・「バイオポリス」、「フュージョノポリス」が含まれる地区は、「ワン・ノース'シンガポールが位置する北緯一度という意味(」と呼ばれ、
前二者の研究開発拠点を中心に、オフィスビル、生活・娯楽用施設、公園、住宅等が開発されている。
・安価な住宅の提供9海外から移住した外国人向けに安価な賃貸住宅を提供する制度がある。
'出所(シンガポール科学技術研究開発庁'A)STAR(のホームページ等から作成。
42
0-我が国の研究開発を取り巻く状況
'1(危機の中での研究開発の低迷
②国の研究開発の小粒化、産学官連携の
機能不全
43
1.„2‟② (ア):『最近の国家プロジェクトの小粒化・近視眼化』 <1>
○ 企業の投資に限界のある市場開拓型研究や非連続型研究については、政府の果た
すべき役割は大きい。
企業の研究開発投資
総額<01./兆円
国全体で長期的研究'※(に充て
られる投資の官民比率は概ね
691と、官が圧倒的に大きい。
'※(ここでは、「非連続型研究」及び
「市場開拓型研究」(のこと。
○過去の大型プロジェクト
 研究開発期間10年以上・予算総額数百億円のもの
が多かった
'例(
'2009年度(
太陽電池'サンシャイン計画(
総額1,000億円
'1974年~1992年 計19年間(
ヒートポンプ'ムーンライト計画(
総額143億円
既存技術
改良型研究
官民による長期的研究
への投資総額<3.3兆円
'1978年~1991年 計14年間(
燃料電池'ムーンライト計画、ニューサンシャイン計画(
総額 630億円
'1981年~2000年 計20年間(
6
大学
0.7兆円
国の負担
公的研究機関
0.3兆円
市場開拓型研究
非連続型研究
0.1兆円
企業の独自負担
0./兆円
1
2.3兆円
国からの補助金
/.1兆円
'出所(総務省「科学技術研究調査」、及び企業ヒアリングを基にしたおおよそのイメージ
44
1.„2‟② (ア):『最近の国家プロジェクトの小粒化・近視眼化』 <2>
○ 過去は、リスクは大きいものの将来が有望な技術には政府が大胆な投資を行い、民
間の動きを先導。
○ しかし、近年、国の研究開発プロジェクトも小規模、近視眼的傾向。
○2010年度の経済産業省の
研究開発プロジェクト
 研究開発期間は2~4年が大半
 160事業で総額1,700億円
'平均で1事業当たり10億円強(
 年間10億円以下のプロジェクト
が件数ベースで73%
45
1.„2‟② (ア):『最近の国家プロジェクトの小粒化・近視眼化』 <3>
○大型工業技術研究開発 ⇒
外国への技術のキャッチアップ'貿易・投資の自由化圧力が背景(
○医療福祉機器技術研究開発 ⇒ 将来の医療・福祉需要の増大を見据えた先見的取組
○次世代産業基盤技術開発 ⇒
電機産業や機械産業の国際競争力が向上してきたことから、材料やバイオ
等の基盤研究を開始
○産業科学技術研究開発 ⇒
貿易黒字の増大を背景に貿易摩擦が生じ、海外からの基礎研究ただ乗り批
判を受けたことから基礎的・独創的研究を加速。後半は経済構造改革を受け
た新産業創出型にシフト。
1966年度~
大型工業技術
研究開発制度
統合
研究開発費総額93,865億円、34プロジェクト
'1プロジェクトあたり平均114億円(
1976年度~
医療福祉機器技術
研究開発制度
研究開発費総額9118億円、33プロジェクト
'0プロジェクトあたり平均3-6億円(
1981年度~
次世代産業基盤技術
研究開発制度
1993~2003年度
産業科学技術
研究開発制度
※98年~2003年は
新規産業創出型
産業科学技術研究開発
制度として拡充
研究開発費総額(統合前からの継続分を除く(9
841億円、22プロジェクト
'0プロジェクトあたり平均38億円(
1988年
NEDOに産業技術
部門新設
研究開発費総額91,201億円、22プロジェクト
'0プロジェクトあたり平均51億円(
1960
1970
1980
2001年度~
イノベーション
プログラム
2001年
省庁再編
1995~99年度
新規産業創造型
提案公募制度
予算総額9462億円、572件採択
'0件あたり平均0.8億円(
1990
2000
46
1.„2‟② (ア):『最近の国家プロジェクトの小粒化・近視眼化』 <4>
○ エネルギー分野では、第一次石油危機を背景に長期的な視点に立って新エネル
ギー開発'サンシャイン計画(と省エネルギー技術開発'ムーンライト計画(を推進。
○ 7/年代後半から顕在化した地球環境問題への対応も課題として加え、革新的なエネ
ルギー・環境技術の開発・導入に取り組むニューサンシャイン計画が発足。
統合
1974年~
サンシャイン計画
予算総額95,322億円,14プロジェクト
'0プロジェクトあたり380億円(
1993年~2002年
ニューサンシャイン
計画
2001年度~
イノベーション
プログラム
予算総額93,547億円、17プロジェクト
'0プロジェクトあたり平均127億円(
1978年~
ムーンライト計画
1995~99年度
新規産業創造型
提案公募制度
予算総額91,297億円、0/プロジェクト
'0プロジェクトあたり平均130億円(
予算総額9462億円、572件採択
'0プロジェクトあたり平均0.8億円(
1989年~
地球環境技術開発
工技院各研究所で二酸化炭素関連の技術開発を推進
1980年
新エネルギー総合開発機構
'現 新エネルギー・産業技術総合開発機構、NEDO(設立
1970
1980
1990
2000
47
国プロの変遷'産業技術①(
産業科学技術研究開発制度に統合
製造技術
高温還元ガス利用による直接製鉄
超高性能レーザー応用複合生産システム
オレフィン等新製造法
革新的鋳造
シミュレーション
高機能化学製品等製造法
重質油を原料とするオレフィンの製造法
先進機能創出加工技術
凡例
人間協調・共
存型ロボット
システム
基礎化学品の製造法'C0化学技術(
大型工業技術
研究開発制度
超先端加工システム
次世代産業基盤
技術研究開発制度
航空機用ジェットエンジン
フォトン計測・
加工技術
自動縫製システム
産業科学技術
研究開発制度
光応用計測制御システム
超高速輸送機用推進システム
自動車総合管理技術
電気自動車
機械・航空
資源・環境
極限作業用ロボット
マイクロマシン技術
資源再生利用技術システム
海水淡水化と副産物利用
海底石油生産システム
資源探査用
計測システム
イ
ノ
ベ
ー
シ
ョ
ン
プ
ロ
グ
Kラ
ム
と
し
て
再
編
大深度遠隔操作海底石油掘削装置
マンガン団塊探鉱システム
脱硫技術
水総合再生利用システム
医療福祉機器技術研究開発
人間・社会・生活
脳腫瘍等
手術支援
システム
人間感覚計測応用技術
大深度地下空間開発技術
1965
1970
1980
1990
2000
48
産業科学技術研究開発制度に統合
国プロの変遷'産業技術②(
電子計算機相互運用
データベースシステム
電子・情報・通信・
超電導
原子・分子極限操作技術
'アトムテクノロジー(
科学技術用高速計算システム
次世代半導体材
料・プロセス
超電導材料・超電導素子
超高性能電子計算機
耐環境強化素子
パターン情報処理システム
超LSI技術研
究組合
フェムト秒
テクノロジー
超格子素子
ヒューマンメディア
三次元回路素子
量子化機能素子
シグマ
プロジェクト
新ソフトウェア構造化モデル
第五世代コンピュータ
リアルワールドコンピューティング
シナジー
セラミックス
ファインセラミックス
高効率高分子分離膜材料
凡例
独創的高機能材料
創製技術
導電性高分子材料
大型工業技術
研究開発制度
知的材料・
構造システム
高性能結晶制御合金
超耐環境性先進材料
複合材料
K
スーパーメタル
高結晶性高分子材料
次世代産業基盤
技術研究開発制度
半導体
MIRAI
プロ
ジェクト
超先端電子技術
開発促進事業
バイオ素子
材料
半導体チップア
プリケーション
炭素系高機能
材料技術
光反応材料
産業科学技術
研究開発制度
非線形光電子材料
ナノテクノロジー
ケイ素系高分子材料
加速型生物機能構
築技術
バイオリアクター
細胞大量培養技術
バイオテクノロジー
蛋白質機能
解析
複合生物系生物
資源利用技術
組換えDNA利用技術
機能性蛋白質集合体応用技術
ゲノムイン
フォマティクス
バイオI
T融合
ゲノム
創薬
複合糖質生産利用技術
1965
1970
1980
1990
2000
49
国プロの変遷'エネルギー・環境分野①(
ニューサンシャイン制度に統合
太陽エネルギー
太陽光発電
ソーラーシステム
太陽熱発電
地熱資源総合調査
地熱エネルギー
深部地熱資源調査
地熱発電開発
高温岩体発電システム
バイナリーサイクル発電プラント開発
バイオマス
中小水力発電開発
水素、風力エネルギー等
水素利用国際クリーン
エネルギーシステム
(WE-NET)
水素エネルギー
K
風力発電
エネルギー輸送・貯蔵
超電導電力応用技術開発
電磁流体発電
高温超電導フライホ
イール電力貯蔵技術
廃熱利用技術
システム
凡例
汎用スターリング
エンジン
サンシャイン
計画
イ
ノ
ベ
ー
シ
ョ
ン
プ
ロ
グ
ラ
ム
と
し
て
再
編
超電導応用基盤技術
分散型電池電力貯蔵技術
新型電池電力貯蔵システム
ムーンライト
計画
ニューサン
シャイン計画
1970
超低損失
電力素子技術
スーパーヒートポンプ・
エネルギー集積システム
1975
1985
1995
2005
50
ニューサンシャイン制度に統合
国プロの変遷'エネルギー・環境分野②(
クリーンコール技術開発
石炭液化
化石燃料高度利用
石炭ガス化'高カロリー・低カロリー(
噴流床石炭ガス化発電プラント
石炭利用水素製造
石炭水素添
加ガス化技術
高効率ガスタービン
セラミックスガスタービン
燃料電池発電技術
低燃費燃料エンジン
排出ガス脱硝触媒技術
凡例
環境調和型金属系素材
回生利用基盤技術
次世代化学プロセ
ス技術
サンシャイン計画
環境対策技術
非鉄金属系素材リサイクル促
進技術
ムーンライト計画
イ
ノ
ベ
ー
シ
ョ
ン
プ
ロ
グ
ラ
ム
と
し
て
再
編
革新的ゼロエ
ミッション石炭
火力
K
グリー
ン・サス
テナブ
ル・ケミ
カル
接触水素化反応利用二酸化
炭素固定化技術
ニューサン
シャイン計画
光触媒
細菌・藻類等利用二酸化炭素
固定化技術
ナノ粒子評価
化学物質リスク評価
フロン代替技術
ノンフロン冷凍・
空調
燃焼技術
システム化技術、
基礎・基盤技術等
先導的基盤的
省エネルギー技術
広域エネルギー利用ネットワー
クシステム'エコ・エネ都市(
1970
1975
1985
1995
2005
51
1.„2‟② (ア):『最近の国家プロジェクトの小粒化・近視眼化』 <5>
大型研究開発制度における研究開発体制'執行( - ニューサンシャイン計画の例 ○ 工業技術院に本部を設け、全体の執行を管理。
○ 工業技術院傘下の研究所において基礎研究を実施するとともに、NEDOのマネジメ
ントの下、民間企業に対して実用化をにらんだ研究開発を委託。
○ NEDOに設置したテーマ毎の技術開発委員会において産業技術審議会で決定した
基本計画に基づき具体的な研究方法や課題解決策等を検討。
通商産業大臣
工業技術院
ニューサンシャイン計画推進本部
委託費
庁費
NEDO
工技院研究所
技術開発委員会'テーマ毎(
技術研究組合等
大学
民間企業
52
1.„2‟② (ア):『最近の国家プロジェクトの小粒化・近視眼化』 <6>
大型研究開発制度における研究開発体制'企画( - ニューサンシャイン計画の例 ○ 産業技術審議会において基本計画及び各年度の実施計画を策定。
○ プロジェクトの中間・事後評価は評価部会の下に設けた評価委員会において中立的
な立場から実施。
通商産業大臣
産業技術審議会
エネルギー・環境技術開発部会
評価部会
プロジェクト毎の分科会
プロジェクト毎の評価委員会
53
1.„2‟② (ア):『最近の国家プロジェクトの小粒化・近視眼化』 <7>
大型工業技術研究開発制度の概要
○ 貿易、投資の自由化圧力が高まる中、外国企業に対抗しうる技術力、産業力を育成
することを目的に推進。
○ 産業高度化、国際競争力、資源開発、公害防止の観点から国プロとして緊急性の高
いプロジェクトを実施。
大型工業技術研究開発制度
期間
0855~81年度'82年度以降は産業科学技術研究開発制度に統合(
研究開発費総額 3,865億円'0テーマ平均114億円(
テーマ一覧
◆電子計算機関連
・超高性能電子計算機
・パターン情報処理システム
・科学技術用高速計算システム
・電子計算機相互運用データベースシ
ステム
◆製造技術
・原子・分子極限操作技術'アトミックテ
クノロジー(
・超高性能レーザー応用複合生産シス
テム
・光応用計測制御システム
・超先端加工システム
・先進機能創出加工技術
・人間感覚計測応用技術
・マイクロマシン技術
・高温還元ガス利用による直接製鉄
◆化学プロセス
・オレフィン等新製造法
・重質油を原料とするオレフィンの
製造法
・基礎化学品の製造法'C1化学
技術(
高機能化学製品等製造法
◆システム開発
・航空機用ジェットエンジン
・超高速輸送機用推進システム
・電気自動車
・自動車総合管理技術
・自動縫製システム
・極限作業用ロボット
◆資源・環境・エネルギー
・脱流技術
・大深度遠隔操作海底石油掘削装置
・海水淡水化と副産物利用
・資源再生利用技術システム
・海底石油生産システム
・マンガン団塊探鉱システム
・水総合再生利用システム
・資源探査用計測システム
・廃熱利用システム
◆その他
・大深度地下空間開発技術
54
1.„2‟② (ア):『最近の国家プロジェクトの小粒化・近視眼化』 <8>
医療福祉機器技術研究開発制度の概要
○ 将来の医療福祉分野の需要の増大をにらんだ技術開発を推進。
○ 医療機器では薬事法による認可手続き等が大きな課題となり実用化が進まなかった。
医療福祉機器技術研究開発制度
期間
0865~81年度'82年度以降は産業科学技術研究開発制度に統合(
研究開発費総額
118億円'0テーマ平均0.8億円(
テーマ一覧
医療機器
・多項目自動生化学分
析装置
・血液像自動分析装置
・臨床用人工心臓装置
・携帯用人工腎臓装置
・レーザーメス
・陽電子放出各種横断
断層装置
・肝機能補助装置
・神経障害診断・治療
支援システム
・免疫疾患用血液処理
装置
・光化学反応がん診
断・治療装置
・免疫学的がん診断
装置
・がん治療用ハイ
パーサーミア装置
・白血球型自動分類
装置
・動脈内レーザー手
術装置
・医療診断用立体視
システム
・レーザー骨手術装
置
・無侵襲連続血糖値
測定システム
福祉機器
・モジュール型電動車
椅子
・点字福祉装置
・身体障害者用機能回
復訓練装置
・重度身障者用多機能
ベッド
・埋め込み型人工中耳
・視覚障害者用歩行補
助器
・言語障害者用発声発
語訓練装置
・動力義足
・作業用三次元車椅子
・視覚障害者用
読書器
・身体障害者用
介助移動装置
・体温指導調節
器
・義肢ソケット制
作装置
・褥創防止用メカ
ニカルマット
・エバキュエー
ション・ケアシス
テム
・視覚障害者用
三次元情報表示
装置
55
1.„2‟② (ア):『最近の国家プロジェクトの小粒化・近視眼化』 <9>
次世代産業基盤技術研究開発制度の概要
○ 技術の「芽」を育てる研究開発を推進。
○ 新材料、新機能素子、バイオテクノロジー、超電導など次世代の産業の基盤技術に
重点化。
次世代産業基盤技術研究開発制度
期間
0870~81年度'82年度以降は産業科学技術研究開発制度に統合(
研究開発費総額
1,201億円'1プロジェクト平均52億円(
テーマ一覧
◆超電導
・超伝導材料
・超電導素子
◆バイオテクノロジー
・バイオリアクター・細胞大量
培養技術
・組み換えDNA利用技術
・機能性蛋白質集合体
応用技術
・複合糖質生産利用技
術
◆新機能素子
・耐環境強化素子
・超格子素子
・三次元回路素子
・バイオ素子
・量子化機能素子
◆ソフトウェア
・新ソフトウエア構造化モデル
◆新材料
・ファインセラミックス
・高効率高分子分離膜
材料
・導電性高分子材料
・高結晶性高分子材料
・高性能結晶制御合金
・複合材料
・超耐環境性先進材料
・光反応材料
・非線形光電子材料
・ケイ素系高分子材料
56
1.„2‟② (ア):『最近の国家プロジェクトの小粒化・近視眼化』 <10>
産業科学技術研究開発制度の概要
○ 大プロ制度発足以来、2/年余りが経過し、国プロを巡る環境が大きく変化。
○ 大プロ制度、次世代制度、医療福祉機器制度を統合して1993年に発足
○ 貿易黒字の増大、国際競争力の向上を背景とした我が国への基礎研究ただ乗り批判を踏まえ、
①基礎的・独創的な研究開発、及びゆとりと豊かさの実現の観点から②公共・社会・福祉領域
の研究開発に重点化。
○ 制度の後半は、経済構造改革を踏まえ、新規産業創出型の研究開発にシフト。
産業科学技術研究開発制度
産業科学技術研究開発制度
期間
期間
研究開発費総額
研究開発費総額
0882~1//1年度
0882~1//1年度
テーマ一覧
テーマ一覧
◆超電導
◆超電導
・超伝導材料
・超伝導材料
・超電導素子
・超電導素子
◆新材料
◆新材料
・超耐環境性先進材料
・超耐環境性先進材料
・非線形光電子材料
・非線形光電子材料
・先進機能創出加工技術
・先進機能創出加工技術
・ケイ素系高分子材料
・ケイ素系高分子材料
・シナジーセラミックス
・シナジーセラミックス
・独創的高機能材料創製
・独創的高機能材料創製
技術
技術
・スーパーメタル
・スーパーメタル
炭素系高機能材料技術
炭素系高機能材料技術
841億円'大プロ制度、次世代制度からの継続事業を除く。1プロジェクト平均38億円(
841億円'大プロ制度、次世代制度からの継続事業を除く。1プロジェクト平均38億円(
◆バイオテクノロジー
◆バイオテクノロジー
・高機能化学製品等製造法
・高機能化学製品等製造法
・機能性蛋白質集合体応用技
・機能性蛋白質集合体応用技
術
術
・複合糖質生産利用技術
・複合糖質生産利用技術
・加速型生物機能構築技術
・加速型生物機能構築技術
・複合生物系生物資源利用技
・複合生物系生物資源利用技
術
術
◆資源
◆資源
・マンガン団塊採鉱システム
・マンガン団塊採鉱システム
◆人間・生活・社会
◆人間・生活・社会
・大深度地下空間開発技術
・大深度地下空間開発技術
・人間感覚計測応用技術
・人間感覚計測応用技術
◆電子・情報通信
◆電子・情報通信
・バイオ素子
・バイオ素子
・新ソフトウエア構造化モデ
・新ソフトウエア構造化モデ
ル
ル
・量子化機能素子
・量子化機能素子
・原子・分子極限操作技術
・原子・分子極限操作技術
・フェムト秒テクノロジー
・フェムト秒テクノロジー
ヒューマンメディア
ヒューマンメディア
◆機械・航空・宇宙
◆機械・航空・宇宙
・超先端加工システム
・超先端加工システム
・超音速輸送機推進システム
・超音速輸送機推進システム
・マイクロマシン技術
・マイクロマシン技術
・フォトン計測・加工技術
・フォトン計測・加工技術
・人間協調・共存型ロボットシ
・人間協調・共存型ロボットシ
ステム
57
ステム
1.„2‟② (ア):『最近の国家プロジェクトの小粒化・近視眼化』 <11>
サンシャイン計画の概要
○ 石油資源の枯渇によるエネルギー危機を克服するため、西暦2000年を目処として太
陽エネルギー・水素エネルギー等の無公害・無尽蔵のエネルギーを活用する技術を
開発。
○ 推進機関として1980'昭和55(年、NEDOを設立。
○ エネルギー・環境分野では、技術開発のみならず、パイロットプラントによる実証事業
や導入促進のための補助、規制緩和などフルラインナップの取組を実施。
サンシャイン計画
期間
0863~81年度'82年度以降、ニューサンシャインに統合(
予算総額
計5,166億円
テーマ一覧
◆太陽エネルギー
・太陽光発電
・ソーラーシステム
・太陽熱発電
◆地熱エネルギー
・地熱探査・採取技術
・熱水利用発電
・深層熱水供給
・高温岩体発電
◆水素エネルギー
・アルカリ水電解法
・固体電解質水電解法
◆総合研究
・風力発電
・分離膜複合メタンガス製造
◆石炭エネルギー
・石炭液化
・高カロリーガス化
・石炭利用水素製造
・低カロリーガス化
58
1.„2‟② (ア):『最近の国家プロジェクトの小粒化・近視眼化』 <12>
ムーンライト計画の概要
○ 大型の省エネルギー技術の研究開発や、その基盤となるような先導的・基盤的技術
の開発を国プロとして取り上げる他、民間における省エネルギー技術開発の助成等
を推進する省エネルギー技術研究開発制度。
ムーンライト計画
期間
0867~81年度'82年度以降、ニューサンシャイン計画に統合(
予算総額
1,297億円
テーマ一覧
・廃熱利用技術システム
・電磁流体発電
・高効率ガスタービン
・新型電池電力貯蔵システム
・燃料電池発電技術
・汎用スターリングエンジン
・スーパーヒートポンプ・エネルギー集積システム
・超電導電力応用技術
・セラミックスガスタービン
・分散型電池電力貯蔵技術
59
1.„2‟② (ア):『最近の国家プロジェクトの小粒化・近視眼化』 <13>
ニューサンシャイン計画の概要
○ 地球温暖化対策を目的とした革新的なエネルギー・環境技術の研究開発を推進。
ニューサンシャイン計画
期間
0882~1//1年度
予算総額
総額3,547億円
テーマ一覧
◆再生可能エネルギー
・太陽エネルギー
・地熱エネルギー
・総合研究'海洋・風力・バイオ(
◆化石燃料高度利用
・石炭液化・ガス化技術
・燃料電池発電技術
・セラミックガスタービン
◆エネルギー輸送・貯蔵
・超電導電力応用技術開発
・超電導応用基盤技術
・分散型電池電力貯蔵技術
・新型電池電力貯蔵システム
・超低損失電力素子技術
◆システム化技術
・広域エネルギー利用ネットワークシステム
・水素利用国際クリーンエネルギーシステム
◆環境対策
・低燃費燃料エンジン排出ガス脱硝触媒技術
・地球環境技術研究開発
・次世代化学プロセス技術
◆エネルギー・環境・基礎・基盤技術
・先導的基盤的省エネルギー技術
・独創的産業技術研究開発促進制度
・新規産業創造型提案公募制度
・産業技術研究助成事業
・燃焼技術
・先導技術
・長期エネルギー技術戦略調査
・省エネルギー技術の確立調査
・高効率カスケード型エネルギー利用システム
◆国際協力事業
◆省エネルギー標準化
◆COP2目標達成技術
60
1.„2‟② (ア):『最近の国家プロジェクトの小粒化・近視眼化』 <14>
イノベーションプログラムの概要
○ 経済産業省の全ての研究開発プロジェクトを政策目標ごとに分類し、成果の市場化
に必要な関連施策と一体的に推進。
○ 研究開発プロジェクトの選定にあたっては、イノベーションプログラムにおける政策目
標を基に技術戦略マップに位置付けられた重要技術課題を抽出し戦略的に企画立
案
イノベーションプログラム
期間
1//0年度~
テーマ一覧
◆IT
・ITコア技術の革新
・省エネ革新
・情報爆発への対応
・情報システムの安全性等
◆ナノテク・部材
・ナノテク加速化領域
・情報通信領域
・ライフサイエンス・健康・医療領域
・エネルギー・資源環境領域
・材料・部材領域
・共通領域
◆ロボット・新機械
・ロボット関連技術開発
・MEMS関連技術開発
'1/0/年度(
◆健康安心
・創薬・診断技術開発
・診断・治療機器・再生医療等の技術開発
◆エネルギー
・総合エネルギー効率の向上
・運輸部門の燃料多様化
・新エネルギー等の開発・導入促進
・原子力等利用の推進とその大前提となる安全の確保
・化石燃料の安定供給確保と有効かつクリーンな利用
◆環境安心
・地球温暖化防止新技術
・2R
・環境調和産業バイオ
・化学物質総合評価
◆航空機・宇宙産業
・航空機産業の基盤技術力の維持・向上
・宇宙産業の国際競争力強化
61
1.„2‟② (ア):『最近の国家プロジェクトの小粒化・近視眼化』 <15>
○ 1//0年度の発足当初は4プログラムでスタートした同制度は、その後改訂を重ねる
都度、新分野を追加し、1//4年度には08プログラムまで増加。
○ プログラムが増え、政策卖位の粒度のばらつきや、当省の大きな政策目標を体系的
に表すことが難しくなったため、1//7年度に6プログラムに再編した。
1//0年度
(5プログラム)
1//1年度
(15プログラム)
1//2年度
(19プログラム)
1//3年度
(15プログラム)
1//4年度
(19プログラム)
1//5年度
(18プログラム)
1//6年度
(18プログラム)
・生物活用型循環
産業システム創造
・がん・心疾患等対
応高度医療機器
・情報通信基盤高
度化
・化学物質総合評
価管理
・材料ナノテクノロ
ジー
・健康維持・増進のた
めのバイオテクノロ
ジー基盤研究
・生物活用型循環産業
システム創造
・健康寿命延伸のため
の医療福祉機器高度
化
・次世代半導体デバイ
ス等基盤技術
・情報通信基盤高度化
・新製造技術
・21世紀ロボットチャレ
ンジ
・革新的温暖化対策技
術
・エネルギー環境二酸
化炭素固定化・有効利
用
・2R
・化学物質総合評価管
理
・固体高分子形燃料電
池.水素エネルギー
利用
・次世代低公害車技術
開発
・ナノテクノロジー
・革新的部材産業創出
・健康維持・増進のた
めのバイオテクノロジー
基盤研究
・生物機能活用型循環
産業システム創造
・健康寿命延伸のため
の医療福祉機器高度
化
・次世代半導体デバイ
スプロセス等基盤技術
・次世代ディスプレイ技
術開発
・情報通信基盤ソフト
ウェア開発推進
・新製造技術
・21世紀ロボットチャレ
ンジ
・宇宙産業高度化基盤
技術
・革新的温暖化対策技
術
・エネルギー環境二酸
化炭素固定化・有効利
用
・2R
・化学物質総合評価管
理
・固体高分子形燃料電
池.水素エネルギー利
用
・次世代低公害車技術
開発
・民間航空機基盤技術
・ナノテクノロジー
・革新的部材産業創出
・健康安心
・生物機能活用型循
環産業システム創造
・高度情報通信機器・
デバイス基盤
・情報通信基盤ソフト
ウェア開発推進
・新製造技術
・21世紀ロボットチャ
レンジ
・宇宙産業高度化基
盤技術
・地球温暖化防止新
技術
・2R
・化学物質総合評価
管理
・固体高分子形燃料
電池.水素エネル
ギー利用
・次世代低公害車技
術開発
・民間航空機基盤技
術
・ナノテクノロジー
・革新的部材産業創
出
・健康安心
・生物機能活用型循
環産業システム創造
・高度情報通信機器・
デバイス基盤
・情報通信基盤ソフト
ウェア開発推進
・新製造技術
・21世紀ロボットチャ
レンジ
・宇宙産業高度化基
盤技術
・地球温暖化防止新
技術
・2R
・化学物質総合評価
管理
・次世代低公害車技
術開発
・民間航空機基盤技
術
・ナノテクノロジー
・革新的部材産業創
出
・新エネルギー技術
開発
・原子力技術開発
・電力技術開発
・燃料技術開発
・省エネルギー技術
開発
・健康安心
・生物機能活用型循
環産業システム創造
・高度情報通信機器・
デバイス基盤
・情報通信基盤ソフト
ウェア開発推進
・新製造技術
・21世紀ロボットチャ
レンジ
・宇宙産業高度化基
盤技術
・地球温暖化防止新
技術
・2R
・化学物質総合評価
管理
・民間航空機基盤技
術
・ナノテクノロジー
・革新的部材産業創
出
・新エネルギー技術
開発
・原子力技術開発
・電力技術開発
・燃料技術開発
・省エネルギー技術
開発
・健康安心
・生物機能活用型循
環産業システム創造
・高度情報通信機器・
デバイス基盤
・情報通信基盤ソフト
ウェア開発推進
・新製造技術
・21世紀ロボットチャ
レンジ
・宇宙産業高度化基
盤技術
・地球温暖化防止新
技術
・2R
・化学物質総合評価
管理
・次世代低公害車技
術開発
・民間航空機基盤技
術
・ナノテクノロジー
・革新的部材産業創
出
・新エネルギー技術
開発
・原子力技術開発
・電力技術開発
・燃料技術開発
・省エネルギー技術
開発
1//7年度
(7プログラム)
・IT
・ナノテク・部材
・ロボット・新機械
・環境安心
・エネルギー
・健康安心
・航空機・宇宙産業
62
1.„2‟② (ア):『最近の国家プロジェクトの小粒化・近視眼化』 <16>
○ エネルギー分野では長期的な視点に立って様々な技術に継続的に投資を実施。
○ 8/年代後半から太陽光発電、風力発電の導入促進事業が急拡大。
63
○ 我が国の研究開発予算の構造は、基礎研究を担う文部科学省と事業所管官庁が別
であり、省庁間の連携が必要。
科学技術関係予算の配分構造'日米比較(
米国
13兆9,500億円'2010年(
国立科学財団3%
学
術
20 国
%立
衛
生
研
究
所
日本
3兆6485億円(2011年度)
大学36%
文部科学省67%
国
防
総
省
54
%
その他8%
経済産業省16%
航空宇宙局8%
エネルギー省7% その他7%
事
業
厚生労働省
4%
農林水産省 防衛省3%
3%
64
○ 近年、研究開発予算の中核である科学技術振興費は縮小・頭打ち。第1期、第2期
の科学技術基本計画における目標'GDP比0%を前提(も達成できず。
○ 今年7月に閣議決定した第3期科学技術基本計画では、政府研究開発投資を対GD
P比0%、4年間の総額を約14兆円という目標を設定。今後我が国が真に復興・再生
していくためには、この目標を必ず達成することが不可欠。
科学技術関係予算の推移
1//0年度 /1年度 /2年度 /3年度 /4年度 /5年度 /6年度 /7年度 /8年度 0/年度 00年度 01年度
'96~00年度(
'01~05年度(
'06~10年度(
'11~15年度(
65
1.„2‟② (ウ):『知的財産や国際標準化に関する戦略の不足』
○ 同業の企業が多数参加するプロジェクトにおいては、研究開発成果が上がっても、終
了後、参加各社が開発研究や設備投資を重複させることに変化はなく、結果として国
際競争に勝てない懸念。
○ バイ・ドール制度の適用によって参加企業に成果'知財等(が分散。事業化段階で企
業間で円滑に実施許諾がなされない場合もあり得るため、事業化戦略が立てにくくな
る懸念。
○ 事業化意欲の低い企業などから、クロスライセンス等を通じて成果の一部が海外の
競合相手に活用され、国内企業の国際競争力を低下させる可能性もある。
事業化
知
財
A
企業
A
技術研究組合 X
実施許諾>
'基盤研究 等(
知
財
A
企業
A
知
財
B
企業
B
開
発
投
資
知
財
C
企業
C
開発
投資
実施許諾>
プロ
ジェク
ト終了
開
発
投
資
知
財
C
知
財
B
企業
B
実施許諾>
海外企業
競合
事業化
企業
C
事業化
クロスライセンス等
研究開発が成功しても、事業で勝てない。
66
○ 我が国大学の研究開発水準は、まだ世界レベルにあるものの、論文数シェアで中国
に追いつかれる等、このままでは相対的な水準の低下が懸念。
○ 大学は、イノベーション創出のための知的発信源となり続けるべく、研究水準の維持・
向上が必要。
論文発表数では中国が追いあげ
論文被引用割合は日本は減尐、中国は増加
'万件(
35
30
日本
米国
工学
コンピュータ
数学
25
20
日本
米国
英国
中国
5
地球科学
数学
材料科学
化学
薬理学・毒物学
生物学・生化学
分子生物学
・遺伝学
微生物学
臨床医学
地球科学
0
数学
1985 1990 1995 2000 2001 2002 2004 2005 2006 2007 2008 2009
宇宙科学
'出所(トムソン・ロイター 「National Science Indicators 1981-2009」
地球科学
化学
生物学・生化学
分子生物学
・遺伝学
微生物学
臨床医学
免疫学
70
60
50
40
30
20
10
0
免疫学
神経科学
・行動学
インド
工学
コンピュータ
物理学
化学
4
物理学
3
材料科学
2
宇宙科学
化学
1
薬理学・毒物学
生物学・生化学
分子生物学
・遺伝学
微生物学
免疫学
神経科学
・行動学
数学
材料科学
環境・
エコロジー
臨床医学
薬理学・毒物学
環境・
エコロジー
工学
コンピュータ
材料科学
0
米国
'年(
物理学
15
10
宇宙科学
神経科学
・行動学
日本
20
5
環境・
エコロジー
中国
工学
コンピュータ
物理学
インド
15
10
宇宙科学
16
14
12
10
8
6
4
2
0
中国
2000~2004年
2005~2009年
地球科学
薬理学・毒物学
0
環境・
エコロジー
生物学・生化学
分子生物学
・遺伝学
微生物学
臨床医学
免疫学
神経科学
・行動学
'出所(トムソン・ロイター 「National Science Indicators 1981-2009」
'参考(各分野における論文の総被引用数に対する当該国の著者による論文の被引用数の割合'卖位9%(
67
○ 大学の運営費交付金は減尐し、人件費率が上昇。大学機能の低下が懸念。
○ 大学は、イノベーション創出のための知的発信源となり続けるべく、研究水準の維持・
向上が必要。
運営費交付金は減尐、交付金と授業料収入
に対する人件費割合は100%近くに上昇
'兆円(
運 1.25
営
費
交
付 1.20
金
1.15
(交
100%に 付
対金
す+
95% る 授
人業
件料
費等
90% 割
収
合入
)
'交付金*授業料収入(
に対する人件費割合'右軸(は増加
運営費交付金'左軸(は
7年で900億円'7%(減尐
85%
1.10
80%
H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22
H23 '年度(
'出所(文部科学省予算・決算関係資料より経済産業省作成
国立大学評価は運営費交付金再配分への影響小
インセンティブが働きにくい仕組みに
大学名
総合評価
'80点満点(
H22FY
評価反映額
'参考(
H21FY交付金
東京大
56.9
2500万円
878.8億円
京都大
51.3
1300万円
596.4億円
'出所(総合評価及び評価反映額9朝日新聞'H22年3月25日'朝刊((記事
平成21年度交付金9中央教育審議会大学分科会大学行財政部会
'H22年3月25日(資料 より、経済産業省作成
大学0校当たりの規模'学生数(は主要国よりも小さい
日本
3,261人/校
米国
4,275人/校
英国
7,467人/校
ドイツ
5,918人/校
中国
15,324人/校
韓国
10,810人/校
'出所(文部科学省「教育指標の国際比較 22年度版」から経済産業省作成
'参考(米国は大学院生を含む学生数。いずれも文系・理系の区別なし。
小規模大学では大規模施設・設備等の維持・運営が難しく
なるのではないか。
大学教員一人当たりの職員数は主要国よりも尐ない
デューク大
MIT
カルテック
シカゴ大
コーネル大
コロンビア大
カーネギーメロン大
豪州国立大
エディンバラ大
オックスフォード大
ケンブリッジ大
京大
東大
阪大
'人(
7.6
9.9
6.7
6.2
4.3
2.7
2.5
1.5
1.3
1.1
1.1
0.9
0.7
0.6
'出所(日本物理学会キャリア支援センター
「大学における大学生・教員数比率の国
際比較'最終報告書(」'2010年0月(
から経済産業省作成
'参考(教員数は専従換算、職員数は実数。
いずれも文系・理系の区別なし。
研究支援人材等、教員'研究者(を支える職員が尐ないこと
68
で、研究者の事務的な負担が増加しているのではないか。
68
○ 産学共同研究は、研究者個人と個別企業との一対一かつ尐額の研究が中心。社会課題に応える
大きなイノベーションは生まれにくい。世界のイノベーション活動に遅れをとることが懸念。
○ 大きなイノベーションにつながる「知の融合」となる、産学連携を生み出すための環境整備が必要。
共同研究の研究費の大半は0//万円以下
~4+///万円未満
~0+///万円未満
~4//万円未満
5% 4%
8%
0件当たり平均約1//万円
※海外大学に対しては
0///万円以上が一般的
共同研究件数は伸びたが、研究費卖価は横ばい
'億円(
400
'万件(
1.6
平均額
受入総額'左軸(
300
1.2
実施件数'右軸(
200
50%
100
0.8
209
万円
221
万円
225
万円
229
万円
225
万円
226
万円
199
万円
0
~0//万円未満
33%
~2//万円未満
'出所(文部科学省「大学等におけ
る産学連携等実施状況について」
'1//8年度(
学内で産学連携に参画する教員の割合は低い
40%
'研究者総数に占める共同研究実施研究者割合(
30%
30%
20%
14%
13%
0%
京都大学
(2009)
0
2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009
5000万円以上の件数
2006
2007
2008
2009
44件
49件
53件
47件
'年度(
'出所(文部科学省「大学等における産学連携等実施状況について」'2009年度(
'参考(5000万円以上の共同研究件数は、民間企業の他、公的研究機関等との共同
研究を含む数値であり、文部科学省資料を基に経済産業省推計。
各国で「つなぐ」環境整備'産学共同での実践的教育(の取組み
;EU= Industrial Ph.D
2012年から、第7次研究枠組計画'FP6(の人材プログラムの一環とし
て、企業との共同研究現場での博士課程「European Industrial
Doctorates (industrial Ph.D)」を導入予定'予算総額2000万ユーロ(。
;英国=Collaborative Awards in Science and Engineeringプログラム
大学と企業の共同スーパーバイザーによる博士課程。プログラム運
営・内容に関する企業のイニシアティブが強く、企業に対して政府支援。
10%
東北大学
(2007)
0.4
九州工業大学
(2009)
'出所(経済産業省から各大学への聞き取りに基づき作成。
'出所(EU9欧州委員会HPから、経済産業省作成。
英国9後藤晃、リー・ウールガー「理工系人材形成における産学官協力,イギリスの
ケース」'2005年4月('RIETI Policy Discussion Paper Series 05-P-002) から引用。
69
○ 研究開発活動によって、多くの技術シーズが生み出され、論文や特許の形で発表さ
れるが、そのほとんどは、実用化の段階まで到達できず、「死の谷」と言われる段階
で行き詰まり、その成果が社会に還元されるまでには大きな困難が伴う。
○ この中でも、公的研究機関は、「死の谷」を超える橋渡し研究の重点化が求められて
いるものの、近年、実用化研究予算は減尐傾向であるのが現状。
※死の谷を乗り越えるためには、一つの技術が実用化するまでの研究開発プロセスを構成す
る、技術シーズを作り上げる「基礎研究」と、「死の谷」を越える「橋渡し研究」、そして、「製品
化研究」を順番に技術移転でつなげるのではなく、これらの3つの研究領域を総合的かつ一体
的に取り組むことが必要。
橋渡し研究の概要
科学技術振興費の推移
○橋渡し研究に繋がる実用化研究予算が、近年、減尐傾向。
○「死の谷」を繋ぐ橋渡し研究が重要。
公的研究費
民間研究費
'公的研究費が必要(
人々の関心、
研究費獲得
の可能性
研究期間
夢
' 基礎研究(
15年
悪夢
' 橋渡し研究(
大学
現実
' 製品化研究(
企業
公的研究機関
70
○ 研究開発活動によって生み出された成果を産業活動の中で生かすためには、安全性
評価や性能評価等の標準的な評価方法を標準化する研究活動を、研究開発に着手
する段階から戦略的に取り組むことが必要である。
○ 標準化研究は、研究開発の成果を社会につなげる重要な活動であり公的研究機関
の担うべき重点領域である。しかしながら、標準化研究は最先端研究の領域とは異
なり外部資金を得られにくい等の事情もあり、必ずしも十分な活動が行われていない
のが実状。
,国際標準化機関における幹事や議長を担当する者には大学や公的研究機関の研究者が多く含まれている。
,しかしながら、一部を除き、大学や公的研究機関の任務として国際標準化活動はまだ明確に位置付けられているとは言
えず、同活動が研究者の評価に正当に反映されていない面がある。
,これは国際標準化活動に携わる若手研究者の減尐の一因にもなっている。
'出典(知的財産戦略本部「政策レビュー及び第2期知的財産戦略の基本方針の在り方について」'平成10年1月(より抜粋
国際幹事引受数の国別内訳(2009年末現在)
○我が国の国際幹事引受数は、他国に比べ低調
ISO
IEC
近年2年間における公的研究機関のプレゼンス
○国際標準化活動における公的研究機関の貢献度は、
依然として低調に推移
129
127
73
70
59
27
独
米
仏
英
日
中
32
24
24
19
15
5
独
米
仏
英
日
中
国際幹事引受数
IEC
公的研究機関
公的研究機関の割合
2009年
15
0
0%
2010年
15
0
0%
2011年
15
1
7%
71
○ 主要国の公的研究機関の研究開発費は、2000年以降、増加傾向。
○ 他方、我が国公的研究機関の研究費は減尐傾向であり、対GDP比率で低水準。
各国の公的研究機関の研究費の推移
各国の公的研究機関の研究費の対GDP比率
'2008年(
'2000年を100とした場合の各年の研究費の規模(
350
300
0.50%
中国 299
0.41%
0.38%
0.40%
0.34%
250
韓国 226
0.30%
米国 153
0.20%
0.29% 0.30%
0.28%
200
150
100
独国 143
仏国 128
0.10%
日本 96
50
2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010
0.00%
日本
米国
独国
仏国
中国
韓国
'年(
'出所( 日本9総務省「科学技術研究調査報告」
'注(公的研究機関には、研究開発独法に加え、公設試等を含む。
その他の国9OECD「Main Science and Technology Indicators」
72
○ 欧米では、公的研究機関の予算を増額し、研究開発力を強化。
○ 我が国では、行革法等により研究開発独法の予算を一律削減。
○米国 「イノベーション戦略」'2011年1月(
研究開発独法の運営費交付金'当初予算(の推移
'億円(
3年間で▲5%
10,000
・ クリーンエネルギー、先進製造技術等の革新的研究開
発の推進のため、政府研究開発予算を増額。
, 2012年度 研究開発予算9 1,479億ドル
'前年度比*/-0%、前々年度比/-4%(
'2011年度'教書(1,477億ドル、2010年度'実績(1,471億ドル(
, うち、防衛関係以外9
668億ドル
'前年度比*0-1%、前々年度比04-0%(
'2011年度'教書( 660億ドル、2010年度'実績( 627億ドル(
9,500
・ 政府研究開発機関の予算についても増額。
10,045
'例(エネルギー省傘下の主要20研究所の予算額
, 2012年度'教書( 116億ドル
9,921 9,836 9,822
9,000
9,440
'前年度比*0-/%、前々年度比3-3%(
'2011年度'教書( 115億ドル、2010年度'実績( 111億ドル(
○独国 「研究・イノベーション協定」'2005年(
8,500
2006年度 2007年度 2008年度 2009年度 2010年度
'出所( 財務省「予算及び財政投融資計画の説明」
'注(研究開発力強化法に定める21研究開発独法
の運営費交付金'当初予算(の合計額
・ 非連続型の研究開発の推進のため、公的研究機関'注(
の予算を増額。
, 2006~2010年9 毎年2%以上増額
, 2011~2015年9 毎年4%以上増額
'注(ドイツ学術振興会、マックスプランク協会、
ヘルムホルツ協会、フラウンホーファー研究機構、
ライプニッツ学術協会
73
○ 公的研究機関に対しては、「橋渡し型研究」を通じ、基礎研究の成果を実用化につな
げることが期待されている。
○ 我が国の公的研究機関は、各国と比べ、「橋渡し型研究」への取組が不十分。
橋渡し型研究費'注(に占める公的研究機関の割合
48.0%
50.0%
40.0%
30.0%
20.0%
主要国中
最低水準
11.7%
23.8%
22.1%
13.9%
■我が国公的研究機関に対する企業の声
・ 産総研の予算は産業界への貢献度を指標に査定すべき
。アカデミックな研究は不用。'精密機器(
・ 公的研究機関には、基盤的な研究を期待。但し、企業に
とっては、純然たる基礎科学ではなく、基盤技術と出口を
結びつけた説明が必要。'自動車(
・ 産総研は、大学とは異なり、民間に近い研究を行う機関
であり、必要。基礎研究ではない、一歩進んだ研究を行う
機関であり、高く評価。'電機(
10.0%
■各国の公的研究機関の位置づけ'各HPより抜粋、仮訳(
0.0%
日本
実額 '億円( 4,624
米国
13,531
仏国
4,682
中国
7,847
韓国
【独 フラウンホーファー研究機構】
2,137
・ フラウンホーファー研究機構は、民間企業等による実用化に
向けた応用研究に取り組み、広く社会へ利益をもたらす。
(購買力平価換算(
'出所(日・米は2008年、その他は2007年。日本9総務省「科学技術研究調査報告」
その他9OECD 「Research & Development Statistics 2009」
'注(総務省統計等の応用研究費の値を引用
【蘭 TNO】
・ 私たちのミッションは、科学的な知見を活用し、ビジネス
や政府のイノベーションにつなげることです。
74
○ 欧米の公的研究機関は、実用化に向けた「橋渡し」を行う役割が明定、共同研究や
技術移転が活発。
○ 我が国の研究開発独法では、「研究開発成果の普及」という観点から取組。
公的研究機関の企業からの受託・共同研究収入
'億円( ※金額はIMF為替レート換算。
600
500
うち、共同研究による収入
'TNOはデータ無し(
400
'億円(
529 億円
※金額はIMF為替レート換算。
101 億円
80
328 億円
51 億円
60
40
110億円
100
0
120
100
300
200
公的研究機関のライセンス収入
428億円
60億円
日 27独法
(2009FY)
蘭 TNO
(2009FY)
独 フラウン
ホーファー
(2009FY)
20
17 億円
0
日 29独法
(2009FY)
米 エネルギー省の
研究所'約30機関(
(2008FY)
独 フラウン
ホーファー
(2009FY)
'注(ライセンス収入'右図(は、研究開発を自ら行う29独法'2008年度時点で研究開発力強化法に定められていたもの(。
収入総額・共同研究'左図(は、研究開発以外の業務収入が大きいJOGMEC、JAEAを除く27独法。
'出所(日本9総合科学技術会議調査'H22FY調査(、蘭 TNO9教育文化科学省「The Science System in the Netherlands」
独 フラウンホーファー9当該機関のAnnual Report、米 エネルギー省9NIST'国立標準技術研究所(「Federal laboratory Technology Transfer 2008」
75
○米国エネルギー省 「エネルギー・イノベーション・ハブ」
・ 2010年度より国立研究所等を核とし、研究から商業化を一貫して行う「イノベーション・
ハブ」構築を推進。各拠点に最大1.22億ドル(5年間)を投入予定。
;2010年度開始に開始された拠点の例=
, 原子炉モデリング9 オークリッジ国立研究所
, 人工光合成9
ローレンス・バークレー国立研究所、カリフォルニア工科大学
;2012年度より拠点構築予定の2つの研究分野=
蓄電池、スマートグリッド、重要素材
ロジスティクス
○独国 「エクセレンス・クラスター」
EffizienzCluster LogistikRuhr
・ 政府の定める0/の産学官エクセレンス・
クラスターの大部分に、公的研究機関が
参画。
・ 特に、フラウンホーファー研究機構は、
うち4つで中核的機能を果たす。
バイオ
航空機
Luftfahrtcluster
Metropolregion Hamburg
半導体
ソフトウェア
Cool Silicon
Software-Cluster
太陽光
Solarvalley
Mitteldeutschland
Biotechnologie-Cluster
Rhein-Neckar
マイクロシステム
医療
Medical Valley EMN
Micro TEC Südwest
'注(
印は、フラウンホーファー研究機構
が参画しているクラスター
有機エレクトロニクス
Forum Organic Electronics
バイオ
Munchner Biotech Cluster m4
76
基礎研究
○ 我が国の研究開発独法では、大学及び企業とのネットワーク構築・拡大が進んでおら
ず、欧米の公的研究機関に比して基礎研究成果を実用化に橋渡しをする役割が十
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
分に果たせていない懸念。
研究水準 (N=213)
27.7%
55.9%
16.4%
○「共同研究や委託研究を行う場合、日本の公的研究機関と海外の公的研究機関を比較すると、どちらが
研究テーマの魅力度 (N=212)
28.8%
56.6%
14.6%
優れていると考えているか>」'公的研究機関との共同研究や委託研究の実績のある場合のみに回答(
橋渡し機能
応用研究
'平成12年度 経済産業省 産業技術調査「イノベーション創出に資する我が国企業の中長期的な研究開発に関する実態調査」より(
研究水準 (N=211)
19.0%
研究テーマの魅力度 (N=210)
23.3%
研究内容の説明 (N=200)
24.5%
61.6%
61.0%
44.5%
19.4%
15.7%
31.0%
企業ニーズと研究シーズをつなぐ仕組み (N=204)
30.4%
個々の研究成果について実用化レベルまでの育成
(N=204)
29.9%
49.5%
20.6%
企業と一体となった実用化までの研究開発 (N=204)
29.9%
49.0%
21.1%
複数成果のインテグレーション (N=203)
27.1%
54.2%
18.7%
海外の方が優れている
ほぼ同程度である
41.2%
28.4%
国内の方が優れている
'アンケート調査概要(
○調査対象9日本国内に所在する企業のうち研究開発に関係する企業約34//社に実施'調査時期9平成23年8月。有効回答数9約800'回収率約06%((
77
○ 「つなぐ」機能が組織ミッション化されていないため、組織、人、成果をつなぐ仕組みが
構築されていない懸念。
組織、人、成果をつなぐ活動が進んでいない
①組織と越えた連携活動
②人材の流動性の停滞
2者以上共同受託研究実績は極めて尐ない。
→全体に占める割合は0%以下
※公的研究機関から民間、大学等への出向は限定的
'出典9内閣府調査「独立行政法人、国立大学法人等の科学技術関係活動に関する調査結果
'平成23年1月(」より作成(
③研究成果が産業界に知られていない
国内の大学 (N=458)
37.1
国内の公的研究機関 (N=443)
海外の大学 (N=406)
海外の公的研究機関 (N=402)
33.8
10.7
共同研究の実績
のある企業でも
公的研究機関の
研究成果のうち
自社と関連する
研究内容として
把握している比
率は、2割程度
9.5
( 卖位9 % )
'出典9平成12年度 経済産業省 産業技術調査「イノベーション創出に資する我が国企業の中長期的
な研究開発に関する実態調査」より作成(
'出典(9「科学技術研究調査報告」'総務省(より作成。
公的研究機関における独法設置法上の「つなぐ」機能の位置づけ
成果普及・活用
27法人中16法人の法人が独法設置法上、独法の機能として「成果普及・活用」の記載あり。'例(産総研、NEDO、理研等
技術指導・橋渡し
「成果普及・活用」を機能として記載している法人は比較的多いが、「技術指導・橋渡し」を機能として記載している法人は尐な
い。
→ 27法人中00法人 '例(産総研、NEDO、建築研究所等
78
公的研究機関の設置法上の「つなぐ」役割の位置づけ
試験、研究、開発
成果普及・活用
沖縄科学技術研究基盤整備機構
○
○
技術指導・橋渡し
施設・設備の共用
研究者の養成
計量、分析、検定等
調査、情報提供
資金提供
情報通信研究機構
○
○
酒類総合研究所
○
○
○
国立科学博物館
○
○
○
物質・材料研究機構
○
○
放射線医学総合研究所
○
○
科学技術振興機構
○
○
日本学術振興会
○
○
理化学研究所
○
○
○
○
宇宙航空研究開発機構
○
○
○
○
日本原子力研究開発機構
○
○
○
○
○
海洋研究開発機構
○
○
○'施設、船舶(
○
○
防災科学技術研究所
○
○
○
○
国立健康・栄養研究所
○
医薬基盤研究所
○
労働安全衛生総合研究所
○
国立がん研究センター
○
○
○
医療の提供
国立循環器病研究センター
○
○
○
医療の提供
国立精神・神経医療研究センター
○
○
○
○
医療の提供
国立国際医療研究センター
○
○
○
○
医療の提供
国立成育医療研究センター
○
○
○
国立長寿医療研究センター
○
○
○
農業・食品産業技術総合研究機構
○
○'共同研究斡旋(
分析、鑑定
農業生物資源研究所
○
○'講習(
分析、鑑定
農業環境技術研究所
○
○'講習(
分析、鑑定
国際農林水産業研究センター
○
○'講習(
分析、鑑定
森林総合研究所
○
○'講習(
分析、鑑定
水産総合研究センター
○
○'講習(
産業技術総合研究所
○
新エネルギー・産業技術総合開発機構
○
石油天然ガス・金属鉱物資源機構
○
土木研究所
○
○
○
建築研究所
○
○
○
交通安全環境研究所
○
○
海上技術安全研究所
○
○
港湾空港技術研究所
○
○
電子航法研究所
○
○
国立環境研究所
○
○
○
○
○
○
○
○
○
標準時、警報、較正
○
鑑定、品質評価
○
○'奨励金(
○
○
博物館の設置
国の助成の審査
○
○
交流、環境整備
○
○
国際交流促進
衛星開発、打上げ
廃棄物処分、受託
○
食品の試験
○
招へい等
予防、診断、治療
○'企業化斡旋(
○
その他
大学院大学の設置
○'共同研究斡旋(
調査、試験
○
○
招へい
調査、立入検査
○
○'受託(
○'指導、教習(
○
医療の提供
医療の提供
分析、鑑定
○
○
苗木生産、配布等
○
標本生産、配布等
○'漁場開発(
標本生産、配布等
計量標準、検定
○
試験材料等の配布
地質調査、検査等
○
○
実証、導入補助等
○
○
技術検定
受託設計
技術検定
受託設計
適合性検証、審査
○
○
○
○
○
'出典9経済産業省作成資料(
79
1-資源もなく制約も多い我が国が、技術を核
に世界の課題を先導的に解決するための
提言
'0(危機を乗り越えるための産業技術政策
の方向性
80
1-資源もなく制約も多い我が国が、技術を核
に世界の課題を先導的に解決するための
提言
'1(新たな国家プロジェクトの在り方の見直
し
①未来開拓研究開発制度の立ち上げ
81
2.„2‟①:『未来開拓研究開発制度の立ち上げ』 <1>
○ 世界で勝てる革新的技術を実現し、「技術大国日本」の復活を期すためには、過去の
成功事例の良い面を取り入れ、失敗した面を改善する視点が重要。
ポイント
0-事業化までの道筋、目標を明確化すれば、
企業は研究に本腰
成功・失敗事例
「太陽光発電」では、0863年のプロジェクト開始当初に088/年までの
長期にわたる研究開発推進の基本方針を制定。0884年時点の導入目標
 リスクの高い研究について、長期の研究開
発期間をコミットすれば、民間の参加意欲を
高めることができる。
'10/万戸の住宅、0万棟のビル、総発電出力64/万kW(を提示し、これら
 市場導入目標を掲げたり、成果の普及に必
要な規制緩和を実施することは、民間に将
来の市場を予見させ、投資を促進する効果
が高い。
案に基づき、1//4年に電気事業法や消防法を改正し、燃料電池の家庭へ
1-大学の積極的な関与があれば、さらなる技
術の飛躍が実現
 大学が研究開発に積極的に関与すれば、理
論的に技術が体系化され、卖なる改良のレ
ベルを超えた技術的飛躍につながる。
によって企業に将来の市場を予見させ、研究開発を促進。
「燃料電池」では、プロジェクト実施メンバーである日本ガス協会等の提
の設置を容易化。普及に向けた環境が整備されたことにより、世界に先駆
けて家庭用燃料電池の商用化が実現。
「高効率半導体製造プロセス基盤技術の開発」では、東北大学の大見教
授がプロジェクトを統率。理論に基づいて装置開発を行うことで、当時の標
準的な半導体製造ラインと比較しエネルギー使用量を5/%もの削減を実現。
82
ポイント
2-「強者連合」の構築と、強力なプロジェクト
リーダーの存在が鍵
成功・失敗事例
「脳腫瘍等手術支援システム」では、参加各社がそれぞれの強み'日立
製作所のマニピュレーターシステム、東芝の画像による視覚情報支援シス
 相互に補完関係にある限られた数の企業
が協力してプロジェクトに参画すると、各々
の強みを生かした一体的な成果を出すこ
とができる。
テム、NHKエンジニアリングサービスのハイビジョンを駆使したビューアー
 他方、企業が成果を持ち帰るタイプのプロ
ジェクトでは、個々の企業レベルの成果に
とどまり、全体としての成果は限定的なも
のとなる。
がったものの、プロジェクトリーダーが不在でプロジェクト全体の方向性の
 参画企業等を牽引できる強力なプロジェク
トリーダーの存在が、一体的なプロジェクト
マネジメントの徹底につながる。
夫氏がプロジェクトリーダーを務め、アウトプットの方向性を絶えずチェック
操作技術(を持ち寄り、強者連合を組んだことで成功。
「マイクロマシン」では、1/以上の企業等が参加し、0テーマ0社による
「持ち帰り型分散研究」を行った。個々の企業にとっては一定の成果が上
検討が不十分であった。そのため、期間中に急激に国内外で進展したシリ
コンベースの微細加工技術を踏まえた対応を取ることができなかった。
「超LSI技術研究開発組合」では、技術と事業の両方を熟知した垂井康
しつつ、各技術テーマの進捗状況や成果を参加企業全体で共有し、技術
テーマ同士で相互にフィードバックし合うことを可能とするマネジメントを徹
底することでプロジェクトを成功に導いた。
83
ポイント
3-ユーザー等のニーズを研究開発に反映す
る工夫が極めて有効
 ユーザーがプロジェクトに参加することは、
ニーズに合致した早期の事業化の実現に
寄与する。
'※(グローバル化が加速する中で、海外
の大手ユーザー企業のプロジェクト
参画が重要なテーマとなる事例も。
成功・失敗事例
「分散型電池電力貯蔵技術」では、京都議定書によるCO1排出量削減
目標の設定などを契機に、0888年にプロジェクトの基本計画を見直し、早
期実用化へ舵を切った。電池ユーザー'電力会社、自動車メーカー等(の
意見等を反映させながら進めることした結果、成果が電気自動車用リチウ
ムイオン電池の実用化等につながった。
'参考(
1/00年度に開始された「EUV'極端紫外線(による微細化・低消費
電力技術開発」では、成果の大手ユーザーである外国企業'インテル、
サムスン等(とも共同研究を計画。世界の主要顧客と連携することによ
り、今後速やかに実用化につながる成果を期待。
4-ハード中心で、ソフトウェアを軽視すると、
事業化に当たって限界に直面する場合も
 ソフトウェアへの対応が不十分であると、
製品卖体ではともかく、システムで海外競
合企業に負けてしまう例がある。
「超高性能レーザー応用複合生産システム」では、研究開発がハード
ウェアに偏り、ネットワーク化等のソフトウェア技術への対応が遅れた'08
7/年代前半(。製品卖品で勝負できる時代はよかったが、システムが勝敗
を分ける時代になり务勢に。
84
ポイント
5-新技術の市場化には、迅速な国際標準提
案や、認証の活用が鍵
成功・失敗事例
「スマートグリッドに関する国際標準分野」では、日本における国際標準
提案に向けた検討に時間を要するうちに、先'1/0/年8月(に中国から国
 国際標準提案にあたり、国内の調整に時
間を要すると、他国に先を越されてしまう。
際電気標準会議'IEC(に対して、スマートグリッドユーザーインターフェイス
 評価基準や認証の活用を早い段階から検
討しないと、研究は成功するが本格的な
事業化は遅れるという結果を招く。
中国のイニシアティブが確定。
に関する提案がなされた。提案は専門委員会'TC(で審議されることとなり、
「次世代ロボット実用化プロジェクト」の自立走行型清掃用ロボットでは、
実用化開発は終了したものの、対人安全性の評価基準が未確立であった
ため、制約条件'人による監視下での使用等(を課して上市。市場への本
格投入に至らず。
85
2.„2‟①:『未来開拓研究開発制度の立ち上げ』 <2>
■新たな国家プロジェクト制度の創設について'研究開発小委員会 提言 平成23年8月15日(
官民ともに財政制約。研究開発投資の重点化が必要
企業の研究開発は平成21年度に急減'▲12%(。短期化傾向や自前主義が顕著。
国も研究開発予算に余裕なし。プロジェクトは小粒化、短期化傾向。
 対象技術を絞り込み'「環境・エネルギー制約への挑戦」、「尐子高齢化社会への挑戦」(、我が国
に強みのある「非連続型技術」に重点化。
 過去の国家プロジェクトの教訓等を踏まえた新たな仕組みを導入。
新たな仕組みのポイント
0-政府全体による取組
政府全体としてプロジェクト'期間、予算総額、市場導入目標等(や実施者を決定
学術研究と事業化研究の一体的実施、成果の事業化等に必要な規制緩和など、省庁の縦割りに囚われない連携を実現。
 プロジェクト期間'0/年以上(、予算総額、市場導入目標等の明示等により、将来の市場を予見させ、民間投資を促進。
1-「強者連合」によるプロジェクトの実施
「強者連合」による成果の一元管理の下、事業化を見据えてプロジェクトを実施
護送船団的発想は排除。技術と事業の両面で最もポテンシャルの高い産学官連携の「強者連合」がプロジェクトを実施。国
益に適うことを前提に、外国企業の参加も積極的に検討。
 知財等の成果は、「強者連合」が一元的に管理し、無用な重複投資や、参加企業の都合による事業化の遅延などを防止。
 「強者連合」に参加する大学や公的研究機関には、例えば、大学から企業等への出向期間の退職金算定期間への算入な
ど、産学官連携を促進する制度的な対応を要請。
 トップスタンダード制度を活用して、迅速に国際標準を提案。また、研究開発と一体的に認証の活用を検討。
86
2.„2‟①:『未来開拓研究開発制度の立ち上げ』 <3>
○ 2030年頃の実用化を目指して取り組むべき革新的技術を特定するとともに、特
定された技術の研究開発推進における文部科学省・経済産業省の役割や両省連
携の仕組み等について方向性を示すため、文部科学省研究開発局・経済産業省
産業技術環境局の両局長の私的勉強会を開催。
第0回 平成12年0/月3日
第1回 平成12年0/月31日
論点整理'平成23年10月31日(
1. 両省は、合同で設置する有識者会議を活用し、我が国の未来を切り拓く革新的技術であって、
その効率的な推進による実用化・事業化の加速が特に求められるものを協力して特定し、認識
を共有する。
革新的技術の2要素
①我が国経済社会に大きなインパクト'質と量(を与える技術
②実用化・事業化まで長期の取組が必要なリスクの高い技術
③我が国が強みを持ち 、世界への貢献が期待される技術
2. 両省は、特定された技術について、協力して骨太な政策'プロジェクト等(を立案。産学官のド
リームチームを立ち上げて、これを実行するとともに、それぞれが実施するプロジェクトを緊密に
連携させるガバニングボードを構築する。
87
2.„2‟①:『未来開拓研究開発制度の立ち上げ』 <4>
○ 重点分野に集中投資し、中長期に渡り計画的な予算をコミット'多年度にわたり安定的に予算を確保(
○ 成果重視のドリームチームによる戦略的実施'研究開発から事業化まで一貫して担いうる厳選チーム
構築(
○ 省庁の枠を超えた研究テーマの設定'文科省との連携の場を通じ、基礎研究と事業化研究を一体的
に実施(
10年以上
A社
○○事業
成果
産学連携ベンチャー
△△事業
成果
A社とC社合弁
××事業
成果
導入支援、規制緩和 '途中段階で得られた派生的成果を活用して新たな事業を展開(
国'経産省、文科省合同検討会(
事業化に向けた戦略を共有
目標、計画を設定
•市場導入目標、プロジェクト期間等の明示
ドリームチーム'技術研究組合等(を構成
企業A
'材料(
大学A
'原理(
企業B
'部品(
大学B
'評価(
成果の管理
•成果公表、特許活用ルール 等
企業C
'製品(
設備、人材の共有
公的研究機関
'国際標準化(
国際標準化の推進
事
業
化
•設備の共用、人材の交流 等
•「トップスタンダード」制度を活用
基礎研究の成果を活用
研究過程で新たな課題に係る原理解明を依頼
基礎研究'大学中心('文科省予算(
両者の間で「ガバニングボード」
を設置し、密接に連携
88
2.„2‟①:『未来開拓研究開発制度の立ち上げ』 <5>
平成24年度経済産業省予算案'平成23年12月24日閣議決定(
○ 既存技術の延長線上にない「未来開拓研究」により、将来を見据えた産業・雇用を創
出し、我が国経済・社会を再生する。平成13年度においては、「エネルギー損失ゼロ
革命」、「脱石油革命」を推進。
エネルギー損失ゼロ革命
次世代自動車向け
高効率モーター用磁性材料技術開発
【予算案額920億円、研究期間910年】
・モーターのエネルギー損失の約
25% '国内電力消費の55%は
モーターで消費(を削減。
・今後も増える見込みのモーターの
電力消費の削減に向け、2倍の磁
力を持つレアアースフリー高性能
磁石等の開発。
超低消費電力型光エレクトロニクス
実装システム技術開発
【予算案額928億円、研究期間910年】
次世代自動車、家電
グリーンサスティナブル
ケミカルプロセス基盤技術開発
【予算案額916.5億円、研究期間910年】
・今後15年で5倍に急増すると予想
される電子機器の消費電力を大
幅削減。サーバーは約3割節電。
・石油に依存せず、 CO2と水を原
料に太陽エネルギーでプラスチッ
ク原料等基幹化学品を製造する
革新的触媒技術等を開発。
・サーバー間や基板上の電気配線
光電子ハイブリッド回路基板 On-chip光電子ハイブリッド積層
-高速処理向け高性能チップを光配線に。-高スループット向け汎用ボード水
石油
各種LSI
光
配
線
高効率モーター
脱石油革命
FPGA
DRAM
CPU
CO1
GPU
CPU/メモリ/アプリケーションなどの
積層構造に高速で柔軟な光配線層
小型、省電力、低コストな
基板
サーバーを付加することでサーバ/ルータ
高速光配線回路基板により
/HPCなどの機能を1チップに集積
LSIを高集積
・燃料電池の燃料を空気から製造
・さらに10倍以上の高速通信を可
する触媒等の設計、解析手法等
能とする、光LSIの基本設計や評
クラウド・コンピューティング の開発。
価技術を開発。
Iaas(インフラ・サービス(
データセンタの
情報処理を全て
データセンタ間通信用ルータ
スイッチ.ルータ
89
■磁性材料分野における連携
合同検討会における連携
提案
提案
※総合科学技術会議で位置付けを検討中
ガバニング・ボード
 両省のプロジェクトの主要参加者'産学官(と両省担当課長等で構成。
成果の共有や取扱の調整
◆両省のプロジェクト間の調整
文科省→経済省:成果の実用化に向けた研究開
発の要請等
経済省→文科省:科学的深掘りの要請等
•重要な成果の公表の可否・タイミング
•出願特許の内容'特許請求の範囲、実施形態の例(
•特許活用ルール'権利配分、実施許諾(
•外国出願国の選定
„文部科学省‟
大 学
公的研究機関
両省の施策の効率的推進
•設備の共用の促進、研究人材の
交流 等
„経済産業省‟




磁石特性の解明
ディスプロシウム(Dy)フリー磁石の開発
高性能新規磁石粉末の開発
新規磁石・軟磁性材料によるモーター設計と評価
等
技術と事業の両面で選ばれた
ドリームチームの結成
大 学
公的研究機関
国 内 企 業
グローバル・オープン
90
1-資源もなく制約も多い我が国が、技術を核
に世界の課題を先導的に解決するための
提言
'1(新たな国家プロジェクトの在り方の見直
し
②国家プロジェクトの国際化促進
91
○ 基礎研究から実用化までを見据えた国家プロジェクト全体についての海外研究資源
の導入の考え方を整理して、政府一体となって取り組むことが重要ではないか。
国
際
共
同
プ
ロ
ジ
ェ
ク
ト
基礎研究
・国内イノベーションを喚起
・国際人材を企業でも活用
・非競争領域では積極的なオープン戦略
・グローバルな知を我が国に呼び込んで
国内のイノベーションを喚起
実用化を見据えた研究開発
競争領域
競争領域
協調領域
技術流出防止措置
標準化、市場化利益
・協調領域と競争領域を峻別したオープ
ン&クローズド戦略的国際連携
・標準化、市場化等も視野に入れた国際
連携
92
○国家プロジェクトをより効果的、効率的に進めるため、グローバルな知の戦略的かつ積
極的な取り込みが求められている。特に、
(1)海外の企業や大学に技術的な優位性がある場合 '技術獲得型(
(2)人材、設備、知財、規制等の面で優れた環境を有する研究拠点が海外にある場
合 '研究環境活用型(
(3)研究成果の有力ユーザーが海外企業である場合や、技術実証、標準化の取組
が、海外企業等との共同実施により促進される場合 '市場獲得型(
については、国家プロジェクトへの海外企業等の参加を積極的に検討する必要がある
のではないか。
○このような検討を国家プロジェクトの企画段階において促進するため、海外企業等の
参加が検討されるべきケースを類型化し、それぞれについて国費投入の有無や知財管
理の在り方等の方向性を国として提示すべきではないか。
93
国家プロジェクトにおいて海外企業、大学との連携を検討すべき類型
1.技術獲得型
①技術補完'キャッチアップを含む(
概要
②既存技術確保
人材、設備、知財、規
研究開発の成果である製品等
国内では実証が難しい技術を
業等が優位であり、当該海外企業等の参加に
等が保有している特許が研究開発
制面等の環境が我が国
のユーザーとして海外企業が参
海外企業等と共同で実証する
よって、国内企業とwin-winの関係が期待でき
の推進やその後の事業化において
よりも優れている海外の
加するケース。
ケース。
るケース。
重要であり、国プロの中で代替技術
研究拠点と連携し、研究
を開発するよりも、これを確保するた
開発の一部を海外で実
海外企業は、国内の参加企業
実証の過程で、製品の性能評
めに当該海外企業等と連携すること
施することで、研究開発
と直接の競合関係にはなく、あく
価方法等に係る共同研究を実施
が効率的と判断されるケース。
を加速させるケース。
までユーザーとして技術を評価。
し、複数国による国際標準の提
でキャッチアップするケースを含む。
将来の市場確保を念頭に連携。
SiCパワー半導体研究開発
ベルギーのIMECやシ
NEDO EUVプロジェクト'EUVの
NEDO実証プロジェクト'スマート
等(と仏 国立科学研究センター'制御理論等(
'将来の事業化を見据え、国内企業
ンガポールの
大手ユーザーである米国メー
グリッド等(
の共同研究
が米国企業とクロスライセンス契約(
fusionopolisを利用する
カー等と連携(
ケース'日本企業も参
海外企業等も国内企業と同じ条件で参加。
国内における研究開発の実態の有無に関わ
らず、海外企業等の研究開発に対しても国費を
投入。
海外企業等もバイドール制度に基づいて知
財を確保する一方、国内企業は、海外企業等
の知財の実施権を確保し、事業化を円滑化。
バックグラウンド知財を含めて相互に実施許
等
諾することで、戦略性を向上。
アジア基準認証推進事業
加(
'米国メーカー等と共同研究(
知財
の扱い
案を実現。事業化を有利に推進。
ロボティクス分野での産総研'メカトロニクス
環境適合型次世代超音速推進システム開発
国費
の投入
②実証・標準. 共同研究
国プロ開始時点で既に海外企業
ている場合に、海外企業等の技術を取り込ん
研究
体制
①ユーザー参画
国プロの研究要素の一部について、海外企
国内企業の技術が海外企業等に比べて遅れ
イメー
ジ'注(
3.市場獲得型
2.研究環境
活用型
類型
海外企業等は、国プロそのものに
海外の研究拠点は、
海外企業は、国プロそのものに
海外企業等は、国プロそのもの
は参加せず、国内企業で構成するコ
国プロそのものには参
は参加せず、国内参加企業で構
には参加せず、国内参加企業で
ンソーシアムと特許の実施許諾契約
加せず、国内参加企業
成するコンソーシアムとの共同研
構成するコンソーシアムとの共同
を締結することで連携。原則として、
で構成するコンソーシア
究等の形態で連携。
研究等の形態で連携。
海外企業等に国プロに係る知財は
ムとの共同研究等の形
発生しない。
態で連携。
国内企業は、有力ユーザー企
必要に応じ、国プロで発生する
業の意見を踏まえて研究開発を
知財を海外企業に実施許諾。
必要に応じ、海外企業等の知財の
国プロで発生した知財
実施権の確保のため、国費を投入
は、必要に応じて海外
'国プロ期間中に限る(。
の研究拠点に実施許諾。
国プロで発生した知財は、必要に
必要に応じ、海外の研
応じて海外企業に実施許諾。
究拠点の知財の実施権
推進。
を確保。
論点
国内に研究実態がない場合でも海外企業等
国プロに直接参加しない海外企業
国プロの一部が海外
国内にユーザー企業が存在す
国プロへの技術的な貢献が尐
に国費を投入することの是非。'FP7では、先進
に対して、国費や国プロの成果を提
で実施されることを積極
る場合、当該企業と競合関係に
ない海外企業に対して国プロの
国企業に対して国費投入なし。(
供することの是非。
的に認めることの是非。
ある海外企業を参加させることの
成果を提供することの是非。
是非。
※ 厳密な議論のためには、「海外企業」の正確な定義が望まれるが、まずは「純然たる海外企業」を想定して類型化を試みた。
※ 海外企業等の参加は、研究開発段階のみならず、事業化段階をも含めた全体の戦略を踏まえて判断されるべきであるので、一つの国プロに複数の類型が該当する場合もあり得る。
注 「イメージ」に記載した事例の運営は、必ずしも「研究体制」と一致するものではない。
94
2.„2‟② (イ):『国際共同研究支援プログラムの創設』
○ 世界に先駆けたイノベーションを創出する研究開発が、海外研究開発リソースを有効
活用しつつ、国内で実施されることを促進するための新たな国際共同研究支援プロ
グラムの創設。
○新たな国際共同研究支援プログラム(案(
(0)支援対象
①我が国のグローバル研究開発拠点等に呼び込んだ海外企業・研究所等との共同
研究であって、海外企業・研究所等の優れた研究リソース'技術、研究者等(を活用
するもの。
②未来開拓型研究開発のシーズになり得る研究開発であって、海外企業・研究所等
が優れた研究リソース'技術、研究者等(を投入し、国内で研究開発が実施される共
同研究。
(2)支援内容
我が国企業及び海外企業に対して、共同研究開発費用の定額補助を実施
'例外的に海外企業に研究開発費用の補助を行わない場合も想定(。
95
2.„2‟② (ウ):『研究開発段階の技術流出防止策の策定』
○ 我が国に海外企業が呼び込まれること等により海外との連携が活発化することに伴
い、技術流出防止の観点からの一層の対策が必要。
'0(ガイドライン策定等による技術流出防止
・意図せざる技術流出の防止を目的として、平成04年に経産省は「技術流出防止指針」を策定。
・国内法'外為法・不正競争防止法(の及ばない製造業の海外活動における技術流出の防止に焦点。
'参考(委託研究開発事業から派生した特許等の国外流出といった事態を防ぐために、平成10年度に産業技術力強化法第19条
'いわゆる日本版バイ・ドール条項(を改正し、第3者への知財権の移転または専用実施権の設定には、国の事前承認を受け
ることが必要とする制度を導入。
○政府は、企業、公的研究機関、大学等の研究開発部門が遵守すべき技術流出防止管理ガイドライン
を策定し、これを踏まえ各機関が自ら技術流出防止マニュアルを策定すべきではないか。
○各機関における技術流出防止マニュアル策定を促進するため、同マニュアル策定を政府研究開発プ
ロジェクトの要件にすること等も検討すべきではないか。
'1(プロジェクトに参加する海外企業への一方的な技術流出防止
委託研究開発プロジェクトの知財マネジメントの基本方針として、プロジェクトの成果として発生した知財
及びプロジェクト開始前に有する知財について、プロジェクト内の採択者において相互に実施権を付与す
ることを検討。採択者間で知財を共有することで、プロジェクトに参画した海外企業への一方的な技術の
流出を防止する効果も期待。
96
1-資源もなく制約も多い我が国が、技術を核
に世界の課題を先導的に解決するための
提言
'2(基礎研究から実用化への橋渡しの強化
①ミッションの明確化
97
○ 産学連携活動は、大学の科学的知見を我が国イノベーションに活かす上で重要であ
るにもかかわらず、大学の主たる活動として位置づけられていないため、産学連携活
動に参画する教員が一部に限られ、大学の産学連携活動を主として支える外部人材
の人件費の3分の0は、補助金で賄っている状況。
○ 大学の産学連携活動に対する評価やそれに基づく資源配分の充実を図る必要があ
るのではないか。
学内で産学連携に参画する教員の割合は低い
40%
'研究者総数に占める共同研究実施研究者割合(
;大学知財本部の専任人材構成=
30%
30%
20%
大学で産学連携活動に携わる専任人材の6割以上が外部人材。
外部人材の人件費は、いまだ補助金で賄う状況。
14%
内部
専任人材
346人
26%
13%
10%
0%
東北大学
(2007)
京都大学
(2009)
その他
101人
10%
補助金
外部人材
976人
74%
九州工業大学
(2009)
'資料(経済産業省から各大学への聞き取りに基づき作成。
;大学知財本部の外部人材の財源=
'産学官連携
展開事業(
254人
26%
運営費
交付金等
401人
41%
間接経費
220人
23%
'資料(文部科学省資料から経済産業省作成。
'参考(平成10年度末時点の数値
「産学連携」を、「教育」「研究」に並ぶ大学のミッションの一つとして、各大学の中期目標・計画
に明確に位置づけるべきではないか。
98
○ 技術を社会に還元するために必要不可欠な知的基盤である計測・試験・認証研究や
国際標準化活動等をできるだけ公的研究機関のミッションに明確化。
○ 国際標準化戦略と総合的知財戦略におけるオープン戦略を駆使して、我が国の技術
力を競争力に結びつけると同時に、速やかな成果の普及による研究開発費の早期
回収を目指す。
○ 公的研究機関等が中核となり、「知的財産推進計画2011」に策定した6分野の国際標
準化戦略の実行を加速。
公的研究機関による知的財産推進計画1/00への積極的な貢献
'出典9知的財産戦略本部「知的財産推進計画1/00より」
99
○ 大学の産学連携活動に対する支援'産学連携関連予算(は、運営費交付金額に比べ
て小さく、大学全体の活動へと波及させるための効果は限定的。
○ 産学連携活動が、大学組織の自由な活動費である運営費交付金の算定に連動して
いないため、大学全体の産学連携活動へのインセンティブとなっていないのではない
か。運営費交付金における、大学の産学連携活動実績に基づく配分比率を高めるべ
きではないか。
産学連携活動への支援は、運営費交付金比で3%。
運営費交付金の配分とは連動せず。
運営費交付金の8割以上は、
学生・教員数等に基づき機械的に算定。
選択的に配分される
運営費交付金
H23年度
運営費交付金
産学連携関連予算
944億円 (8%)
11,528億円
422億円
;産学連携関連の主な予算=
大学等産学官連携自立化促進プログラム
23億円
先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラム 75億円
研究成果最適展開支援プログラム'A-STEP( 167億円
地域イノベーション戦略支援プログラム
111億円
'資料(文部科学省資料・内閣府資料から、経済産業省作成。
'参考(「産学連携関連予算」は、文部科学省の「科学技術イノベーションの推進に向けた
システム改革」予算総額であり、国立大学以外向け予算も含む。
平成23年度
運営費交付金
1.15兆円
学生・教員数に基づき
機械的に算定される
運営費交付金
10,584億円 (92%)
'資料(文部科学省資料から、経済産業省作成。
○大学の産学連携活動の評価指標の策定と、評価に基づく資金配分方法を検討すべきではないか。
○共同研究前段階からの産学連携枠組み構築を支援する「産学連携イノベーション促進事業」'24年
度新規予算(等を活用した産学連携について、評価指標を用いて評価する仕組みとしてはどうか。
○大学の産学連携活動の実績・評価に基づき競争的に配分する運営費交付金を増加させるべきで
100
はないか。
○ 現在、文科省と経産省において、イノベーション創出の観点から、産学連携組織
'TLOや大学知財本部(の産学連携活動の総合的な評価指標を開発中。
○ 現段階では、評価結果を大学への資源配分に反映する仕組みには至っておらず、今
後検討が必要。
産学連携活動評価指標のイメージ
標準的指標
※赤字は、従来の「大学等における産学連携等の
実施状況調査'文部科学省(」にない調査項目
特徴的指標'大学等が重視する領域を選択(
A-技術創出・技
術移転及びそれ
に伴う実用化
B-研究活動の
促進
C-実践的な教育・
人材育成の展開
D-地域産業・地
域社会への貢献
E-産学連携活動の
国際的展開
・発明届出件数
・研究者数
・共同研究・受託研究
を実施している研究
者数
・共同研究参画学生数
・企業からの受入研究者数
・地域における連携協
定数
・外国への特許出願件数
・外国との連携協定数
・共同研究件数
・技術移転契約件数
・大学発ベンチャー起業
数
・共同研究論文数
・治験等受入件数
・共同研究成果による学位
取得者数
・地域における技術コン
サルティング数
・地域における大学発
ベンチャー起業数
・外国企業との共同研究
件数
・外国企業との技術移転
契約件数
アウトカム
・実用化件数・売上高
・大学発ベンチャー売上
高
・共同研究リピート件数
・寄附講座件数
・自社研究者を共同研究に
参画させた企業の満足度
・地域企業による実用
化件数・売上高
・地域における大学発
ベンチャー売上高
・外国企業による実用化件
数・売上高
インパクト
雇用創出効果
経済効果
インプット
アウトプット
H12年度
雇用創出効果
経済効果
産学連携組織'大学知財本部・TLO(の試行評価実施
H13年度 原則大学卖位での産学連携機能の総合的評価を本格実施予定
101
○ 大学に対する競争的資金の大半は研究者個人向けであり、それだけでは研究成果
の実用化に十分に貢献することは困難。
○ 大学研究者のチームによる実用化に貢献する研究に対する支援を充実させるべきで
はないか。
文科省の競争的資金の84%が研究者個人支援型
企業主体の研究
連携
'経済産業省プロジェクトを含む(
組織向け 204億円(5%)
) 国家基幹研究開発推進事業
多様な知見を有する研究者
のチームによる研究
平成23年度
文部科学省
競争的資金
4055億円
研究者向け 3,851億円(95%)
) 科学研究費補助金'2633億円(
戦略的創造研究推進事業'567億円(
研究成果展開事業'229億円(
国際科学技術共同研究推進事業'29億円(
最先端研究開発支援プログラム(22年度9166億円)
最先端・次世代研究開発支援プログラム(22年度9227億円()
連携
2011年度
CREST'チーム型(
23件'新規(
ERATO'総括実施型(
5件'新規(
'課題(
・実用化という共通目標の
下で役割分担が不十分。
・チームとして産学連携の
契機となりにくい。
基礎研究領域
個人の独創的研究
'科研費(
2011年度
500万円以上
13,531件
500万円以下
44,212件
シーズ提供
○未来開拓研究と連携する文科省プロジェクトでは、プロジェクト全体の統括組織の下、チームによる
研究体制の構築を検討中。未来開拓研究がこの統括組織を通じて文科省プロジェクトと連携し、成
果を上げることで、大学におけるチーム型研究の効果を示していくべきではないか。
○共同研究前段階からの産学連携枠組み構築を支援する「産学連携イノベーション促進事業」'24年
度新規予算(を活用し、実用化を目指して産学で構成されるチームによる研究を支援してはどうか。 102
1-資源もなく制約も多い我が国が、技術を核
に世界の課題を先導的に解決するための
提言
'2(基礎研究から実用化への橋渡しの強化
②拠点の構築
103
○ 基礎研究の成果を実用化研究の間にある死の谷を渡る橋渡し研究には、最先端コアインフラ
'大規模クリーンルームや高度分析計測装置等(等のプラットフォームが必要不可欠。一方で、
コアインフラは、維持・運営に大きなコストが発生し、これらを如何に解決するかが大きな課題。
○ これらの課題を解決するために、受益者負担の原則に基づき、利用者が公平にコストシェアす
るための仕組み'含む人材の確保(づくりを支援。
○ 国プロ等で整備した設備'コアインフラ(について、他の研究業務にも有効活用することで、橋渡
し研究を実現していくための検討も必要。
○ コアインフラ整備にあたっては、新規に整備するだけはなく既存設備群を公開するネットワークも
最大限活用
研究独法目的業務に、
研究コアインフラの公開
利用の位置付け強化!
運営組織の
ミッションの壁
イニシャルコスト
の壁
組織を越えたネットワークを活用した公的研
究機関等研究コアインフラの整備と公開(
資産の有効活用
の壁
公的資金の拡充及び民間
資金の積極活用'PFI等(
公的研究機関を指定寄付
金制度の対象機関に!
運営コストの壁
国の委託費を通じて購入した研
究機器等を他の研究業務に有
効活用することを可能に!
受益者負担の原則に基づき
利用者間でコストシェアする
ルール作り!
人材の壁
コアインフラを維持運営するエキスパートの人材育成と確保を公的研究機関同士で連携した広域運営の検討を! 104
○ 出口研究領域を担う研究開発プロジェクトにおいても、基礎研究と同様に、研究設備
の共有化を図るための仕組み作りが重要となる。
基
礎
研
究
領
域
・
文
科
省
出
口
研
究
領
域
・
経
産
省
等
ビックサイエンス
大学共同利用機関
研究者の共用として供され
る中核施設。制度上、施設
の維持・管理費用を担保。
研究者が共同して利用可
能な施設。制度上、施設
の維持・管理費用を担保。
'例(・国立天文台
'例(・Spring-7
・スーパーコンピュータ等
;根拠法=
特定先端大型研究施設の
共用の促進に関する法律
・核融合科学研究所
・国立情報学研究所等
;根拠法=
国立大学法人法施行規則
共同利用・共同研究拠点
国公私立大学の施設のうち、
大学の枠を超えて全国の研究
者が共同利用可能な拠点。制
度上、施設の維持・管理費用
を担保。
'例(・地震研究所'東大(
・応用セラミックス研究所
'東京工業大(等
ナノ・ネット事業
ナノテクに係る高度な計
測技術等に係る設備を研
究者が利用可能な施設。
施設の維持・管理費用を
委託費で支出。
'例(・阪大複合機能ナノファ
;根拠法=
学校教育法施行規則
ウンダリ
・早稲田大学カスタムナ
ノ造形・デバイス評価
支援 等
基礎研究を中心とした大学等は、研究開発基盤として研究設備を共有化。制度として設備の共有を展開。
研究開発プロジェクト
'目的研究A(
設備A
・
・
委託契約に基づき研究
開発を実施
非
共
有
研究開発プロジェクト
'目的研究B(
設備B
・
・
委託契約に基づき研究
開発を実施
非
共
有
研究開発プロジェクト
'目的研究C(
設備C
・
・
委託契約に基づき研究
開発を実施
研究開発
目的の事
業であれ
ば、事業に
差し支えな
い範囲で
転用を可
能とする
出口研究を中心とした領域では、研究設備の共用という考え方が存在していない。
;効果=研究設備の共有化が実現すれば、研究開発予算の効率的な運用が可能
105
○ 交付金を通じて取得した研究開発資産については、当該法人の資産であるため、他の研究開
発活動にも活用が可能であるなど、一定の柔軟性が認められるが、国の委託費によって購入し
た研究開発資産は、国の資産であるため、その活用に制限がある。
○ 国の委託費によって購入した研究開発資産について、国の資産であるものの、他の研究開発活
動における一定範囲の活用が可能となれば、大学・公的研究機関の研究開発機能の強化を図
ることができる可能性がある。
事業実施期間中
所有権
'大学・公的
機関に帰属(
国による
委託事業
JST委託事業
'戦略的創造
研究推進事業(
産総研
運営費交付金
○
○
○
'産総研に帰属(
事業終了後
転用'目的外使用(
×
○
'当該事業遂行に支障のない
範囲で可能。(
ー
所有権
転用'目的外使用(
×
×
'国に帰属。ただし、大
学、公的研究機関等に
対して無償貸付でき
る。(
'ただし、無償貸付を受けた
大学、公的研究機関等は、無
償貸付の目的の範囲で活用
できる。(
○
○
○
ー
'産総研に帰属(
●国の委託事業で大学及び公的研究機関が購入した研究開発資産を有効に活用する観点から、国の資産で
あっても、委託業務の遂行に支障のない範囲で、他の研究開発活動に対しても資産の使用を可能とする等の
106
検討を行ってはどうか。
○ 産学双方がコミットし、産学が共同で考える仕組みを備えた新たな産学連携システム
で、研究者へのインセンティブ付与や産業界が主体となる人材育成等の大学改革を
要件とする産学連携・共同研究拠点を創設。拠点間をネットワーク化することで、イノ
ベーションシステム全体での人材流動化を促進。
産学連携・共同研究拠点
企業
大学
産学共同運営ボード
○産業界の会費納付
○産業界が運営へ関与
企業
会員企業との
定期的意見交換
海外企業
企業
●大学の最先端研究情報
を共有
●知財の無償・安価での
実施
大学の
技術シーズ
の洗練
○大学改革
・参加する教職員へのインセン
ティブ付与'評価、人件費支払
い、研究支援人材の確保(
・間接経費率の透明化・明確化
共同研究契約
共同研究の実施
海外大学
大学
研究施設・設備の共用
共同研究を通
じた人材育成
知財の蓄積・
共有
産業化・実用化
公的研究機関
107
類似組織・事例
●我が国では、大学による類似の取組みはあるが、 0対0対応が基本であり、成功事例は尐ない。
●海外では、様々な形態の共同研究支援組織・制度あり。
'事例(大阪大学 「Industry on Campus」
;共同研究講座=
○外部企業からの資金提供により、大阪大学内に独
立組織である研究組織'共同研究講座(を設置。
○出資企業から研究者を受け入れ、大学教員と企業
研究員とが対等な立場で共同研究を実施。
○平成18年度に創設以来、28講座を設置'2011年7
月時点(。
○共同研究費には、ポスドクの人件費も含む。
'資料(大阪大学HPより経済産業省作成
'事例(東京大学 「Proprius21」
;共同研究立案=
①共同研究前のオープンな意見交換
②共同研究課題に最適な企業のパートナー'研究
者(を学内で探索しながらテーマの絞り込み
③事前に共同研究の実施計画を立案
;共同研究の実施=
○ポスドクを企業の費用負担により共同研究員として
配置。
○複数年で数億円規模の研究開発も実施。
1//7年度時点で、0件平均00//万年超(
'資料(東京大学HPより経済産業省作成
'事例(米国 ERCs'Engineering Research Centers(
○「Linking Discovery to Innovation」の概念の下、大学に産学共
同の学際的な工学研究・教育を実施するセンターを設置。
1985年以降、全米で展開。
○米国国立科学財団'NSF(は、工学系教育の変更をもたらすとし
て支援。'支援中13拠点、支援終了29拠点。1拠点当たり、年
間約325万ドル~420万ドルを、10年間支援。(
○企業は会費を支払い参加し、運営ボードを通じて運営に関与。
○研究成果は大学に帰属、参加企業は無償通常実施権を得る。
○ERCsの経済効果は数百億ドルとされる。
'資料(ERC Association のHPより経済産業省作成
'事例(米国 IUCRC'Industry-University Cooperative
Research Centers(
○産学で大学にセンターを設置し、汎用的な競争前段階の産業技
術の研究開発を実施。米国国立科学財団'NSF(が支援。
'約50拠点、750人以上の教員、750人以上の大学院生が参加(
○産業界は会員制で、アドバイザリーボードを通じて運営に関与。
'資料(ERC Association のHPより経済産業省作成
'事例(ベルギー IMEC
○1984年に、ルーヴェン・カトリック大学の附設マイクロエレクトロ
ニクス先端研究所として設立。ルーヴェン大学教授陣がIMEC
の幹部職員を兼任。
○産業界は、会費を支払い参加。
○最先端設備を備え、企業からも研究者を派遣。大学院生も共
同研究に雇用。
○知財管理についてはp.13参照。
'資料('社(日本機械工業連合会「平成10年度海外の国家プロジェクト、産学官連
携の実態に関する調査研究報告書」'平成11年(より経済産業省作成。
108
産学連携イノベーション促進事業【復興枠】
平成24年度予算案 40.0億円(新規)
※イノベーション拠点立地推進事業 (140.0億円)の内数
事業イメージ
事業の内容
事業の概要・目的
産学連携・共同研究支援事業
○被災地域や東北地方の大学の技術シーズを活用しつつ、産業
界のニーズに応える技術開発を行う産学連携活動の基盤を整
備し、被災地域や東北地方における新産業や雇用の継続的創
出を目指します。
○そのため、産学のコンソーシアムを中核とし、被災地域・東
北地域の特色を活かした技術分野での、①共同研究の前段階
からの幅広い関係者による意見交換の枠組みの構築や、②産
学連携活動を円滑にするための大学改革、③人材育成や、④
知財の蓄積、⑤施設・設備の有効利用、⑥拠点間のネット
ワーク化など、効果的なイノベーション創出の仕組みを支援
します。また、⑦大学のシーズを新産業創出に発展させるた
めの評価・実証研究等を支援します。
1.2補助
産学連携・共同研究
コンソーシアム
;産業界の積極的関与=
企業
企業
○教職員・大学院生の参加
'人件費支払い等(
○教育プログラム提供
'学生・大学院生への卖位付与(
会員企業と大学との
定期的意見交換
○最先端研究情報の共有
○知財の無償・安価での実施
○企業研究者・技術者の出向
○研究費提供
大学
;他大学とのネットワーク化=
共同研究契約
海外大学
共同研究の実施
;拠点の持続的・
効率的運用=
研究施設・設備の共用
○これにより、被災地域の産学連携・共同研究の円滑化・活性
化を図り、新たなイノベーションを促進し、復興及び経済成
長を実現します。
大学
産学共同運営ボード
○会費納付
○運営への関与
○人材育成への関与
海外企業
;大学改革を伴う 効果的な
共同研究の仕組み=
評価・実証研究
;産学一体での人材育成=
知財の蓄積・
共有
人材育成・
人材供給
産業化・実用化
条件(対象者、対象行為、補助率等)
国
大学・民間企業
等
民間団体
10/10
補助
※基金
2/3
補助
○新産業創出・雇用創出
○海外からの資金・技術の引き寄せ
○世界で活躍できる人材を育成
109
○ 公的研究機関等と共同研究の相手方との間で生まれる知財のうち、公的研究機
関等の他の共同研究相手方と共有することで新たな発展が期待される領域を明
らかにし、公的研究機関等に蓄積(サブライセンス権の付与等を含む)し、他
の共同研究相手方に対しても相互に利用可能にする仕組みを構築。
公的研究機関等を中心とした知財の集積及び共有化
知財の壁
○共同研究によって生み出される知的財産は、他の共
同研究相手方に対しては基本的に区分管理され、知
材の蓄積と共有化はされにくい
×
○海外ではIMEC'ベルギー(が類似の運用をしているが、公的
研究機関等で以下のような知財マネージメントの運用を行っ
ている事例はほとんど無い
[共有知財及び公的研究機関単独知財]
知財の蓄積と共有化(非独占実施を基本)
[公的研究機関単独知財]
非独占実施を基本
C大学
B企業
A企業
B企業
A企業
公的研究機関
[共有知財]共同研究の相
手方による実施を優先
※ライセンシングを行う場合には、
共同研究の相手方の同意が必要
[共同研究相手方単独知財]
企業活動等の中で独自に活用
'課題(
共有知財を無償で共有
する場合は、共同研究
実施機関双方の発明者
補償規定の見直しが必
要'標準規定の雛形の
策定と公開等(
D公的研究機関
[共同研究相手方単独知財]
企業等活動の中で独自に活用
110
○ プロジェクト設立時にオープン及びクローズド領域の設定をあらかじめ設定した総合
知財戦略を策定し、オープン領域に関しては他のプロジェクトと積極的に共有化する
ことで知の融合による新たな価値を創出。
現状
課題
解決策
○イノベーション拠点では様々なプロ
ジェクトが同時並行的に進行
○各プロジェクトは、実施グループの
設立時に、関係者間で知財の取り
扱いを契約で締結
○一般的な例では技術研究組合等
の実施組織は知財を保有せず組
合員企業にすべて移転した上で企
業活動の中で成果活用するケー
スがほとんど
○公的研究機関が成果の蓄積と共
有化のルールを整備しても、途中
段階で拠点で活動する技術研究
組合等の知財契約の見直し、共
有領域を再設定することは困難
○プロジェクト設立時に公的研究機関、技
術研究組合等による総合知財戦略
'「守り」に活用するクローズド戦略と外
部との積極的なやりとりで「攻め」に活
用するオープン戦略を包含した総合戦
略(を構築
○オープン戦略領域については、公的研
究機関等の中核となる組織が研究開
発成果を蓄積し、共有化する仕組みを
積極活用
○パテントプールに関する独禁法運用
ルールの明確化
オープンイノベーション・ハブ拠点における知財の蓄積と共有化
Aナショプロ実施機関
知財管理組織
'公的研究機
関等(
C技術研究組合
クローズド戦略
クローズド戦略
オープン戦略
オープン戦略
パテントプールによる知的資産の蓄積と共有化
オープン戦略
オープン戦略
クローズド戦略
クローズド戦略
Bナショプロ実施組織
D公的研究機関
知の融合による新たな価値の創造
パテントプー
ルに関する
独占禁止法
の遵守
111
パテントモデルの様々な形態
'0(知財国有化モデル
企業等'この場合は組合員(が保有している知財を組織体卖位で集めたも
のを、最終的には国が集約して一元管理を行うもの。
'2(知財プールモデル
特許等の複数の権利者'この場合は組合(がそれぞれの所有する特許等
又は特許等のライセンスをする権限を組合を超えた一定の組織体に集中
し、これらを通じて各構成員等が必要なライセンスを受けるもの。
組合0
組合0
組合1
組合1
組合2
組合2
'1(知財ファンドモデル
'3(知財クリアリングハウスモデル
産業革新機構や企業、投資家からの出資・投資を受けて組織体'この場合はTIA(
で知財ファンドを設立し、これを構成する大学、独法、企業等から知財を買い取って
集約し、これらの知財を必要とする企業等へ売却・ライセンスを行うもの。
上記知財プールと異なり、外部の仲介機関が各組合で保有する特許等又は特許
等のライセンスをする権限を管理し、ライセンシーから使用希望が寄せられると仲
介機関が使用許諾を行い、事後的に特許権者に報告される仕組み。
組合0
組合1
組合2
実施許諾
'出典9 産総研資料をもとに経済産業省作成(
112
国内外の独禁法の運用解釈の明確化
知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針'1//8年0月(
;考え方=
● パテントプールは、事業活動に必要な技術の効率的利用に資するものであり、それ自体が直ちに不当な取
引制限に該当するものではない。
<留意点>
● しかしながら、私的独占及び不当な取引制限の観点から、留意すべき事項がある。
● 例えば、不当な取引制限の観点では、一定の技術市場において代替関係にある技術に権利を有する
者同士一定の製品市場において競争関係にある事業者がパテントプールを形成する場合、行為に
よっては、不当な取引制限に該当する。
(指針からの抜粋)
● 一定の技術市場において代替関係にある者同士が、それぞれ有する権利についてパテントプールを通じてライセンス
することとし、その際のライセンス条件(技術の利用の範囲を含む)について共同で取り決める行為は、当該技術の
取引分野における競争を実質的に制限する場合には、不当な取引制限に該当する。
;解釈=
◆一定の技術市場とは>
→ 技術市場は、技術を用いた製品について、需要者にとっての代替性の観点から市場を画定
→ 技術を用いて事業活動を行っている事業者の製品市場におけるシェアの合計が1/%以下である場合、
原則として競争減殺効果は軽微
◆ライセンス条件'技術の利用の範囲を含む(について共同で取り決める行為とは>
●米国・反トラスト法等における解釈も含め、国内外の独禁法におけるパテントプールの運用解釈について明
確化を行う。→個別案件毎の事例を積み上げ、事例の類型化を行い、当局に解釈の明確化を求める
113
○一番大切なことは、公的研究機関、技術研究組合等による総合知財戦略'「守り」に活
用するクローズド戦略と外部との積極的なやりとりで「攻め」に活用するオープン戦略を
包含した総合戦略(を構築すること'あわせて、総合知財戦略をマネジメントする人材育
成をすること(。
'注0(クローズドとオープンのどちらか0つを選択するというものではない。
'注1(「守り」と「攻め」の知財戦略を競争環境等の状況に応じて適切に組み合わせ、知的財産を最大限有
効活用する高度の知財戦略を組み立てることが重要。
○その上で、戦略的に研究成果を関係者につなぎ、新たな価値を創造するイノベーション
活動を行うために、公的研究機関等の中核となる組織が研究開発成果を蓄積し、共有
化する仕組みを構築。
○忘れてはいけないことは、組織を超えた知財プールやクロスライセンスの運用に関す
る国内外の独禁法上の運用解釈の明確化と情報の共有化。
総合知財戦略の構築
「守り」に活用するクローズド
戦略と外部との積極的なやりと
りで「攻め」に活用するオープ
ン戦略を包含
成果の蓄積と共有化の
ルールの整備
公的研究機関等の中核と
なる組織が研究開発成果
を蓄積し、共有化する仕組
みを構築
独占禁止法の遵守
組織を越えた知財プール
やクロスライセンスの運用
に関する国内外の独禁法
上の運用解釈の明確化と
情報の共有化
成果をつなぎ知を融合させ新たな価値'ビジネスチャンス(を創出
114
○ 国際産学官連携共同利用設備を拠点とした国際共同研究・研究者交流の推進により
、グローバルネットワークを構築すべきではないか。
公的研究機関 国際産学官連携共同利用設備'仮称(を核としたグローバルネットワークの構築'案(イメージ図
海外の公的研究機関・大学・企業等
海外
海外研究機関内に国内公的研究機関のラボを設置
海外の公的研究機関と共同研究活動を基本とした研究者の派遣及び研究設備の利用
NEDO、JETRO等
海外事務所
公的研究機関 国際産学官連携共同利用設備'仮称(
海外研究者支援
3F
センター'仮称(
技術調査・海外連携相談室'仮称(
海外の研究トレンドを調査・分析→情報発信
関連情報
理研
国内
'つくば等(
オープンスペースラボ
2F
1F
海外研究機関・日本企業と三者共同研究
海外の公的研究機関等の出先事務所及びラボ
の誘致
国内の研究機関
の水平連携
物材機構
産総研
●研究ネットワークを活用した世界の知に係る情報収集・分析機能を強化すべき。
●我が国企業の研究開発における国際連携を促進する機能を強化すべき。
●我が国への海外研究機関の取込みと日本の公的研究機関の海外進出'双方向のラボ設置(を進めるべき。
115
2.„3‟② (エ):『組織の“壁”を超えた連携』
○ 公的研究機関を中心とした組織、人、成果をつなぐ仕組みと場作りを行う際には、卖
独の公的研究機関のみでは、求められる機能を十分に果たしにくい。公的研究機関
、大学等がそれぞれの優れた資源を供出し合い、実質的な共同事業を実施すること
が必要。
○ 基礎研究と実用化研究及びこれらをつなぐ橋渡し研究、異分野融合といった水平・垂
直統合型の研究開発活動を行うための体制'組織を越えた連携活動の目標、計画等
にコンセンサス形成とその実施に関する責任体制の仕組み(を整備。
組織を越えた連携の機能強化に関する諸課題
[課題0] 組織を越えた活動に関する共通の目標設定に関するコンセンサス形成とその実施に関す
る責任体制の構築が困難
[課題1] 組織を越えた人材の流動性が困難'前述①参照(
[課題2] 組織を越えた知財の集積と共有化が困難'前述②参照(
[課題3] 組織を越えた研究設備等の相互利用が困難'前述③参照(
組織を越えた連携活動
主務大臣
主務大臣
主務大臣
中期目標
中期目標
中期目標
中期計画
中期計画
中期計画
理事長
理事長
学長
代表者
公的研究機関
'独立行政法人(
公的研究機関
'独立行政法人(
国立大学法人
技術開発関連団体等
○各組織の代表者から構成される
コンセンサス形成
○目標、計画の策定
フォローアップの責任体制
116
組織を越えた連携活動に関する先進的な取り組み事例
組織を越えたオープンイノベーション(研究拠点)の取組み事例
●世界水準の最先端ナノテクノロジー研究施設・人材が集積するつくばにおいて、産総研、物材究機構、筑波大
が中核となって、経団連の協力の下、世界的なナノテクノロジー研究開発拠点'TIA,nano(を設立。
●組織を越えたガバナンスを如何に発揮するかが課題であり、そのため、各組織の長等から構成される運営最
高会議'任意団体(を組織し、組織を越えた中期計画を策定し、事業の目標、計画、フォローアップ'目標や計
画の履行状況に関する評価及び技術研究組合等の拠点を利用しているユーザーによる評価(の事業を展開
する仕組みを構築。目標の達成度を評価するため、数値目標を設定し、毎年度評価を実施。
●内閣府、文部科学省、経済産業省が協力し、産業界とも連携しながら拠点形成を推進。
TIA中期計画に係る主たる指標の進捗状況'平成12年2月時点(
項 目
総事業規模
公的資金割合
TIA 拠点活用プロジェクト数
連携企業数
外部研究者数
TIA 連携大学院生数
平成22年度実績
目標'平成26年度(
累計総額
672億円(1)
95.6%
18件
59 社
468名
15 名
累計総額
1,000 億円以上
70~80%
30件
累積300社以上
1,000名
累積500名
(注)平成12年度2次補正までの予算総額。当該予算内には内閣府の「最先端プログラム」も含まれている。
117
1-資源もなく制約も多い我が国が、技術を核
に世界の課題を先導的に解決するための
提言
'2(基礎研究から実用化への橋渡しの強化
③人材育成・流動化
118
2.„3‟③ (ア):『イノベーション創出人材の育成と活用』
<1>
○ 産業界は、大学におけるイノベーション創出人材の育成に期待。しかし、大学では、先
端研究が優先され、産業界が必要とする基礎教育が不十分となっているのではないか。
○ 「教育」に関し、大学と産業界とのより一層の意思の疎通・協力連携が必要ではないか。
企業が新入社員に求めているのは、応用力や
柔軟な思考力の源泉となる基礎学力・工学的基礎知識
'大学・大学院において必修すべき科目(
土木・
建築系
機械系
化学系
言語力、英語
ロジカルシンキング
テクニカルライティング
一
般
基
礎
科
目
電気・
電子系
電磁気学
熱力学
数値解析
情報処理
計測実験・解析
電磁気学
熱力学
数学
物理実験
プログラミング
力学
熱力学
数学
数値計算
電磁気
熱力学
物理化学
統計力学
'資料(産業競争力懇談会 「産業基盤を支える人材の育成と技術者教育」(2010年)
'参考(産業競争力懇談会メンバー企業へのアンケート調査結果'10社53名の回答(
経団連「イノベーション創出に向けた新たな科学技術
基本計画の策定を求める」'2010年10月(より抜粋
 わが国の大学・大学院は、イノベーション創出を担う
優秀な人材を育成する場として期待される役割を必
ずしも十分に果たせていない
 優秀な人材を育成するためには、研究のみならず、
教育にも力を入れることが不可欠であるが、実際には
研究が重視され、教員の意識における教育のウェイト
は低いものと思われる。
一部産業界では人材育成を支援
(社)日本化学工業協会は、化学企業が望む博士課程教
育プログラムを実施している00専攻に対し、奨学金給
付や就職支援、インターンシップ活性化、学生と会員企
業との相互交流の研究発表会開催等の支援を実施。
基盤技術分野等の基礎教育を充実させるため、産業界が、主要業種毎に大学に求める教育内容を明
確化するとともに、大学へのカリキュラム改善点のフィードバックや改善に向けた資金的・人的支援等、
大学での教育内容への積極的関与を促進すべきではないか。
119
2.„3‟③ (ア):『イノベーション創出人材の育成と活用』
<2>
○ 理工農学系修士の7割が就職する産業界は、幅広い課題発見・解決能力を持つ修士・博士人
材を要望。他方、大学は、最先端分野を中心に、アカデミアで活躍する研究者養成が主眼であ
り、産業界の要請とのミスマッチが生じているのではないか。
○ 大学院教育において、イノベーション創出能力を鍛える実践的な研究現場の経験の機会が不足
しているのではないか。産業界での中長期インターンシップの実施が有効ではないか。
産業界のイノベーション創出人材へのニーズ
 専門的知識と問題発見・解決力を持った人材が必要。
問題解決には基礎力が必要。
 大学での実践的教育が減る理由として、修士以上では
研究者を育成しようとしていると思う。
 実践的教育という意味でインターンシップをもっと増や
すべき。職業選択をする前に実社会を見る経験は重要。
'資料(経済産業省による聞き取り調査'2011年(
産学協働人財育成円卓会議の懸案事項
 新しい日本社会における成長・質的転換モデルを見い
だし、社会を牽引するリーダーとなる博士・修士課程レ
ベルのイノベーション「人財」の養成と活躍の好循環を
実現するための産学協働体制の構築。
'参考(企業1/社、01大学をメンバー、文部科学省・経済産業省共同事務局として設置。
長期インターンシップのための要件
 より長期'2~5ヶ月(のインターンシップとしたいが、
学期中は授業負荷が高く、学生が大学を離れられ
ないため、夏期休暇中'最大1ヶ月(が現状。
 大学・企業の双方が意義を理解したインターンシッ
プの拡大には、産学双方の運営体制強化が必要。
 修士1年夏の実施が望ましいが、他社へ就職予定
の学生を受け入れることは非現実的。
 学生の実業務への従事については、守秘義務上の
リスクや研究成果の帰属に関する懸念あり。
'資料((社)日本経済団体連合会情報通信委員会高度情報通信人材育成部会
「効果的なインターンシップの要件 ,日本経団連による高度ICT人材育
成拠点への支援活動から」'2009年(
'参考(産学連携による高度ICT人材育成の一環として実施された中長期イン
ターンシップの検証結果。
現在、「産学協働人材育成円卓会議」において進められている議論と連携し、大学におけるインターン
シップの正規カリキュラム化や産業界における通年採用の促進と併せた、修士・博士課程学生の中長期
インターンシップの拡充について、産業界のニーズを踏まえたマッチング等を支援すべきではないか。
120
2.„3‟③ (イ):『研究開発人材の流動化の促進』
<1>
○ オープンイノベーション活動を加速するためには、公的研究機関、大学、企業間での
人材の流動性確保は必要不可欠。
○ 公的研究機関から民間、大学等への出向は限定的。
○ 産業界の実践型教育に対する期待は大きいが、そうした期待に応えるに大学と実践
研究、最先端インフラを有する公的研究機関の連携が重要。
我が国の組織間の研究者の移動状況
MINATECの産学官連携モデル
地方大学との連携による専門教育・社会人教育の実現
大学院生の博士号授与と就職活動支援
企業
STマイクロなど
国内外に約150社
規制緩和、減税措置
地域振興、雇用創出
イーゼル県
学生の就職
共創場
の提供
連邦政府
AEPI
資金提供
共同研究
'リスク、
コストの低
減(
移住、諸手
続きの支援
インテグレーション活動
広報活動
共同研究
CEA-LETI
MINATEC 運営事務局
人材教育
研究テーマ提供
ラボスキルの向上
グルノーブル工科大学
・大学院
大学
出典9産総研作成資料
出典9「科学技術研究調査報告」'総務省(に基づき経済産業省作成
○流動性を高めるためには、退職金、年金制度のポータビリティの確保が必要ではないか。
○大学と公的研究機関が連携した研究体験型教育プログラムを促進してはどうか。
121
2.„3‟③ (イ):『研究開発人材の流動化の促進』
<2>
○ 人材の流動性を高めるための仕組み ' ①公的研究機関と産業界の連携によるイノ
ベーション創出人材育成の実施、②公的研究機関の研究者の民間研究所への組織
的派遣等(を推進。
○ これらの流動性を高めるために障害となりえる諸制度'①年金、退職金等の継続性
担保、 ②年俸制の更なる活用等(を改善。
'注(流動性のみならず研究者総数をロットで拡大する取り組みも重要
ポスドク人材及び公的研究機関の研究人材の流動性促進によるイノベーション創出活動の促進
課題
産業界のメリット
;ポスドク人材=
○研究者としての基礎的な能力はあるが、産業界の
ニーズに応える課題を解決できる実践的即戦力にな
りにくい。
;民間企業との共同研究活動の現場=
○民間企業における研究開発資源配分は、徹底した選
択と集中の結果コアコンピタンス以外の領域では研
究人材が手薄に。公的研究機関からの人材支援を
希望。
○公的研究機関が中核となり、共同研究、研修事業等を通じたポス
ドク人材の実践能力向上が可能となれば、「即戦力となる高度研
究人材の確保が容易」に!
○民間研究において不足している研究領域に公的研究機関から人
材を組織的に受け入れることができれば、「技術の融合・複合が可
能となり研究開発効率の向上」を可能に!
公的研究機関の強み
ポスドク人材の受け入れ
○「実践的研究人材」とともに「最新鋭の研
究設備」を保有し、多くの「民間企業との
共同研究の現場」を有する!
人材の送り出し
①実践体験をしたポスドク
②公的研究機関から研究人材の
組織的派遣
人材流動性を阻害する可能性のある諸制度とその改善
①年金、退職金等の継続性担保、 ②年俸制の更なる活用等
122
2.„3‟③ (イ):『研究開発人材の流動化の促進』
<3>
公的研究機関と産業界の共同研究の現場でポスドク・企業の若手研究人材を鍛えて企業に送り込む
プログラムの推進
●公的研究機関が持つイノベーションを担う人材の育成機能を活用し、研究者、技術者等を公的研究
機関において研究員等として雇用し、公的研究機関と提携する民間企業との共同研究プロジェクトへの
従事を含む育成・再教育を行うことで、就業を支援。
公的研究機関
START
企業
両者による、企業の現場ニーズに応え
る実践的共同研究テーマの設定
両者によるポスドク・企業の若手研究
人材の採用審査
公的研究機関の
研究員として採用
新鋭のインフラの提供と、
研究員の指導
共同研究の実施を通じた実践型教育
共同研究資金の提供
公的研究機関の知材やノウハウと共
に研究成果の企業への技術移転
企業による研究員採用面接
優秀な研究人材の確保
GOAL
123
2.„3‟③ (イ):『研究開発人材の流動化の促進』
<4>
公的研究機関研究者の民間研究所への組織的派遣等によって出口研究まで貫徹するプログラムの推進
●企業が共同研究資金、施設・設備、寄付金等で一定額以上の提供を公的研究機関に行
い、公的研究機関との間で共同研究開発を実施する際に税控除や共同研究に関係する
公的研究機関の知財の活用における独占実施等を可能にするプログラムを推進。
企業
公的研究機関
START
公的研究機関内に企業研究所を設置
研究者をチームで
企業へ出向
'民間の立場で出口研究
に従事(
企業内研究の実施
'共同研究外(
研究施設等の研究資源
'含む寄付金等(
民間企業研究者
研究成果はすべて企業に!
クリーンルーム、最先端計測分析機器等のコアインフラの提供
公的研究機関研究者
'公的研究機関職員の立場
でプレコンペティティブ領域を
中心とした研究に従事(
共同研究の実施
GOAL
共同研究資金の提供
研究成果の独占的実施を!
GOAL
税
控
除
、
知
財
独
占
実
施
、
等
イ
ン
セ
ン
テ
ィ
ブ
付
与
124
2.„3‟③ (イ):『研究開発人材の流動化の促進』
<5>
○ 産総研及び経済産業省共済組合等の先進事例をもとに、公的研究機関全体でも同
様の運用'他省庁及び他省庁共済組合等における運用改善(が可能となるよう情報
の共有化及び支援を行う。
'注(退職して企業へ再就職する場合には、年金及び退職金は制度上継続は極めて困難。
産総研における年金制度の運用例
①一定期間、企業へ出向
産総研
企業
'在籍出向・休職(
産総研
経産省共済組合
②退職して企業へ再就職
産総研
企業'再就職(
○産総研では、在籍出向制度により、
引き続き産総研の在籍者として共済
組合員を継続。
○他の公的研究機関では、共済組合等
との関係で同様の運用は開始されて
おらず、企業出向の場合は年金制度
はつながらないケースがほとんど。
経産省共済組合
厚生年金
産総研における退職金の運用例
①一定期間、企業へ出向
産総研
企業
'在籍出向・休職(
出向期間も0//%通算
②退職して企業へ再就職
産総研
企業'再就職(
産総研
○産総研では、人事交流'在籍・転籍
出向(期間は退職手当規程により0
//%通算。
○他の研究独法では、出向期間中に
退職金の積み立てを継続している
事例はほとんどない。
退職金支給
125
1-資源もなく制約も多い我が国が、技術を核
に世界の課題を先導的に解決するための
提言
'3(研究開発成果の事業化促進の強化
①国家プロジェクトの知的財産戦略
126
2.„4‟ ①:『国家プロジェクトの知的財産戦略』
背
景
従来の国のプロジェクトは、事業化を意識した知財戦略が不足しており、成果の事業化
に関し、様々な懸念があると指摘されている。
① プロジェクトで発生した知財がプロジェクト参加企業によって活用されず、外国企業等に売却さ
れる懸念。
② プロジェクトで発生した知財はプロジェクト終了後に各参加企業が持ち帰るため、ライセンスを
求める企業は、知財を保有する企業ごとに個別に交渉を行う必要があり、事業化が円滑に進
まない懸念。
③ プロジェクト開始前に各社が保有する知財情報の共有ができていないことで、プロジェクト内
あるいは外'各企業(で重複した研究が発生しかねない懸念。
④ 企業と大学等の共有特許にかかる不実施補償に関するトラブルが発生する懸念 等。
対応方針
研究開発のみならず、事業化を含め、戦略性を重視する「未来開拓研究開発制度」に
おいては、知財管理に関する一定のガイドラインを整備する必要。
127
1-資源もなく制約も多い我が国が、技術を核
に世界の課題を先導的に解決するための
提言
'3(研究開発成果の事業化促進の強化
②戦略的かつ迅速な国際標準獲得等の
ための体制整備
128
2.„4‟ ②:『戦略的かつ迅速な国際標準獲得等のための体制整備』
<1>
○ グローバル化の進展に伴い、技術のみでは十分な競争力が確保できない状況が顕
在化。
○ 技術力とともに、国際標準化を含めたビジネスモデルの構築が企業の国際競争力を
決定的に左右。
世界市場の伸び
'1//0年を0//とした場合(
700
デジタルカメラ
600
日本の世界市場のシェア
100
90
カーナビ
DVDプレーヤー
80
100
世 70
界
市 60
場 50
シ
ェ 40
ア 30
(
% 20
)
0
0
500
400
DVDプレーヤー
300
DRAMメモリー
200
カーナビ
デジタルカメラ
DRAMメモリー
10
出所 デジタルカメラ
DVDレコーダー
DRAMメモリー
カーナビ
9JEITA「主要電子機器の世界生産状況」
9JEITA「主要電子機器の世界生産状況」
9 WSTS
9 JEITA「主要電子機器の世界生産状況」
出所 小川紘一「プロダクト・イノベーションからビジネス・イノベーションへ」
'IAM Discussion Paper Series #1(
JEITA「主要電子機器の世界生産状況」
129
2.„4‟ ②:『戦略的かつ迅速な国際標準獲得等のための体制整備』
<2>
○ 国際標準化活動への参画は、欧米主要国の企業と比べ低調。
○ 韓国、中国の企業がグローバル市場でシェアを急速に拡大するとともに、国際標準
化活動への取組を急速に強化。
企業の標準関係者ヒアリング内容
○先進国の中で日本企業のみが、国際標準化を自社のビジネスに関連づけてとらえきれていない。日本の企業内では、国際標
準化専門家の業務評価は総じて低く、退職間際の仕事だと理解されている節がある。
○分野によっては、市場の拡大を期待しフォーラム標準活動に積極的に参画。
フォーラム標準は自社の意向が反映されやすい、自由度が高い、スピードが速い、自社の事業への貢献度の説明が容易と
いう点が特徴。
○他方、デジュール標準については以下の通り。
'0(デジュール標準は公共財としての性格が強いとの認識から自社の利益への貢献度の説明が困難。また、自社の意向が
反映されるか不透明。
'1(そのためフォーラム標準と比べ企業内で優先順位が低位となる傾向。コストの負担を説明することが困難という状況であ
り、事業部門でない全社的なスタッフ部門が対応。
'2(大企業でもデジュール標準を専門で担当している人は1~2名程度。
IECへの国際標準提案件数
国名
国際標準
提案件数
韓国
20 → 25
中国
11 → 23
アメリカ
8 → 18
日本
22 → 16
'IEC事務局長講演資料より(
我が国企業における
標準担当者数 '人.社(
/-52
/-21
/-24
/-21
0-37
/-8/
/-56
/-32
/-38
全体
建設
食品
繊維
医薬
化学
石油
鉄鋼
金属
/-6/
0-11
/-77
/-62
/-50
/-31
/-05
/-06
0-42
機械
電気
輸送
業務
其他
情報
卸売
其他
教育
'出展9H10知的財産活動調査に基づく(
各国企業における標準担当者事例
○シーメンス'同社役員発言(
「シーメンスは売上げの0.1%を国際標準化
に投入し、コーポレートの標準化統括組織は
24 名、全社で2,000人が標準化にかかわっ
ている。」
(※同社の2009年度の売上げの0.1%は7670万ユーロ)
'経団連の国際シンポジウムでのシーメンス社講演より(
○サムスン'日本企業ヒアリング(
「サムスンは標準化部門'研究も含む(に04
/名を配置し、7200万ドルを使用」
'一般社団法人情報処理学会運営委員会での講演より(
130
2.„4‟ ②:『戦略的かつ迅速な国際標準獲得等のための体制整備』
<3>
○ 企業が優れた技術を用いた製品を開発しても、国内調整に時間がかかることなどの
問題から、海外の競合企業に比して、戦略的な国際標準化活動が低調。
日本企業は国際標準提案において海外競合者
と比べて過大なコンセンサス形成コストを負担
① 【標準化の取組意欲減退】
・やる気のある企業の技術がそのまま国際標準提案されな
い。
・個別企業の利益につながる国際標準提案が出にくい。
日本
海外ライバル国等
国際標準化機構'ISO(・国際電気標準会議'IEC(
② 【国際競争力の低下】
・国際標準提案のスピードが迅速な海外と比べて、日本は遅
い。
・コンセンサス形成の過程で、新進気鋭の技術の国際標準
提案が陳腐化する恐れ。
③ 【研究開発への重複投資】
・標準として採用される技術は業界総意で決まるため、先端
技術を採用することが困難。
・結果、競争領域が広く残され、重複投資の一因となっている
おそれ。
'国内コンセンサス形成ステージ(
業種によっては会員数
が100社を超える業界
団体で調整
尐数の業界旗艦企業
が国内調整を迅速に
終了
'数年を要す場合も(
国内企業A
海外企業B
一業種多企業という我が国特有の産業構造に起因し、コンセンサス型国際標準提案には
上記のような現行制度の課題が存在。
131
2.„4‟ ②:『戦略的かつ迅速な国際標準獲得等のための体制整備』
<4>
○ 従来の制度に加え、業界団体等の内部でのコンセンサス形成を要しない新たな国際
標準提案制度'トップスタンダード制度(を創設。
トップスタンダード制度
国際標準発行
【期待される効果】
①【国際標準提案までの期間の短縮】
国際コンセンサス形成
国際標準化機構'ISO(・
国際電気標準会議'IEC(
・相当な時間、労力を要する業界内のコンセンサス形成プロセ
スを省略することにより、国際標準提案に要する時間を短縮
'例9数年→数週間(
② 【国際標準化の戦略的活用の推進】
・先進的かつ競争力を持つ内容がそのまま国際標準提案可
JISCにおいて提案を審
査。必ずしも国内調整を
経ず、政策的判断により
迅速に国際標準提案
能。
・横断的分野・新産業分野における提案、中小・ベンチャー企業
等からの提案の活発化。
・新技術の国際標準化・事業化にやる気をもつ企業からの迅速
な国際標準提案が期待。
尐数の提案企業グループ
従来の制度に加え、トップスタンダード制度を新たに設けることにより、これまで国際標準提案が困
132
難であった技術が迅速に提案可能に。
2.„4‟ ②:『戦略的かつ迅速な国際標準獲得等のための体制整備』
<5>
○ 研究開発の実施に当たり、認証の戦略的活用等、市場化までを視野に入れた取組
が不足。
○ このため、研究開発の終了後に、評価基準の検討や認証機関との連携を模索するケ
ースが発生し、市場への本格投入が遅延。
市場化に際し、認証が求められるケース
(例)「安全基準がないため、
製品事故に伴うリスク(PL
訴訟等)が想定できず、市
場参入に踏み切れない。」
(例)「消費者に性能を正しく
伝え、粗悪品との差別化
を図りたい。」
新技術の
社会的受容促進
~新技術の安全性証明~
市場における差別化
~新技術の性能証明~
製品
投入
市場
安全基準に
基づく評価
製品A
製品B
海外市場の開拓
~海外の規制等への
対応~
製品C
性能基準に
基づく評価
参照
購入者
(例)「欧州市場に製品を輸出
するに当たり、欧州指令に
適合していることを示した
い。」
市場
参照
購入者
133
2.„4‟ ②:『戦略的かつ迅速な国際標準獲得等のための体制整備』
<6>
○ 研究開発と一体的な新技術の安全性・性能に係る評価基準の策定、パイロット認証
を実施すべきではないか。
○ 認証機関の研究開発プロジェクトへの積極的参画や共同試験設備の活用等を通じ、
認証機関の新分野におけるノウハウ蓄積、ブランド力の向上を図るべきではないか。
○ 認証の活用事例の提供等を通じた普及啓発を進めるべきではないか。
'従来(
研究開発プロ
ジェクトの実施
評価基準の策
定
企業・大学・研究機
関等
企業・大学・研究機
関等
認証
認証機関
市場化
研究開発プロジェクトの実施
'今後(
企業・大学・研究機関等
評価基準の策定
企業・大学・研究機
関等
パイロット認証
の実施
迅速な
市場化
認証機関等
共同試験設備の活用
134
1-資源もなく制約も多い我が国が、技術を核
に世界の課題を先導的に解決するための
提言
'3(研究開発成果の事業化促進の強化
③「研究開発型ベンチャー」の創出・振興
135
○ 民間の研究開発が小粒化・短期化する中、国主導で骨太かつ中長期的な研究開発を
戦略的に推進する「未来開拓型研究開発制度」を創設。
○ また、NEDO'新エネルギー・産業技術総合開発機構(における研究開発プロジェクト
についても、独立行政法人改革等の流れの中で、いわゆる「提案公募事業」の多くが廃
止され、予算要求時からきめ細かく国主導で管理するものに概ね移行しつつある。
○ 他方、併せて、研究開発プロジェクトの成果を迅速に事業化・実用化に結び付け経済
活性化・新規産業創出に繫げていくためには、その担い手として、より新規性・機動性に
富んだ 「研究開発型ベンチャー」の一層の創出・振興が必要ではないか。
事業仕分けを踏まえ平成12年度から
見直した主な事業
事業名
エネルギー使用合理化事業者支援
補助金
イノベーション実用化助成事業
産業技術研究助成事業
中小・水力地熱開発費補助金
代替フロン等排出削減先導技術
実証支援事業
地域新エネルギー・省エネルギー
ビジョン策定等事業
温室効果ガス排出削減支援事業
費補助金
NEDOの予算構成の変化
事業仕分け等
以前
平成11年度 平成12年度からの
予算額
見直し状況
13/-0億円 直執行に移行
平成24年度から
新規採択廃止
平成24年度から
2/-8億円
新規採択廃止
その他
46-5億円
導入補助
4-0億円 廃止
▲02%
'462億円(
02%
'157億円(
テーマ公募
08-4億円 直執行に移行
8-5億円 直執行に移行
16%
見直し後の
状況
▲02%
03%
'070億円(
00%
'04/億円(
*3%
6%
'04/億円(
ナショナル
プロジェクト
*11%
42%
64%
'865億円(
'00/5億円(
2-7億円 廃止
1/86億円
'平成11年度(
02/6億円
'平成13年度(
136
○ 「研究開発型ベンチャー」'大学発ベンチャー、バイオベンチャー、産総研発ベンチャー、
SBIR利用企業等(に対するアンケート調査結果から見ると、研究開発型ベンチャーは、
創業から最初の製品を提供するまで2年以上係るものが多い。
○ また、研究開発型ベンチャーは、研究内容や資金面での支援以上に、顧客や業務提
携先の紹介、経営人材や営業・販売'マーケティング(人材といった「研究自体ではない
要素」特に「人材・ノウハウ面」に対し、一層の支援の充実を求める傾向が強い。
資金調達先が行う経営面に関する支援で有効だったものと、
受けられれば有効だったと考えるもの'民間からの支援も含む(
創業から最初の製品・サービスの提供開始までに要した期間
~創業から製品を提供するまで3年以上かかるものが約3割~
25.0%
22.3%
事業化まで
3年超が29%
20.0%
14.5%
受けられれば有効だったと考え られるもの
120件
80件
12.7%
11.9%
11.2%
10.6%
有効だったもの
140件
100件
16.8%
15.0%
160件
10.0%
60件
40件
20件
5.0%
0件
0.0%
3
ヶ
月
以
内
3
ヶ
月
超
~
6
ヶ
月
以
内
6
ヶ
月
超
~
1
年
以
内
1
年
超
~
2
年
以
内
2
年
超
~
3
年
以
内
3
年
超
~
5
年
以
内
5
年
超
1
-
顧
客
候
補
先
の
紹
介
2
-
業
務
提
携
先
の
紹
介
3
-
営
業
販
売
人
材
の
紹
介
'n = 678(
平成12年度経済産業省調査'委託先9東京商工リサーチ(
'n = 861(
4
-
技
術
提
携
先
の
紹
介
5
-
マ
ー
ケ
テ
ィ
ン
グ
プ
ラ
ン
へ
の
助
言
6
-
ビ
ジ
ネ
ス
プ
ラ
ン
の
助
言
7
-
研
究
開
発
人
材
の
紹
介
8
-
他
の
資
金
調
達
先
(
V
C
、
銀
行
等
)
の
紹
介
9
-
技
術
の
応
用
や
活
用
に
つ
い
て
の
助
言
1
0
-
事
業
の
パ
フ
ォ
ー
マ
ン
ス
の
管
理
や
助
言
1
1
-
知
財
戦
略
の
専
門
家
の
紹
介
1
2
-
経
営
人
材
の
紹
介
1
3
-
資
本
政
策
・
財
務
管
理
の
助
言
1
4
-
新
た
な
増
資
に
向
け
た
助
言
アンケート対象9大学発ベンチャー、バイオベンチャー、'独(産業技術総合研究所発のベンチャー、中小企業総合展出展企業、
SBIR利用企業、著名ベンチャーキャピタル又はファンドが出資している企業に対するアンケート。回収率25.4%。
1
5
-
経
営
幹
部
(
取
締
役
等
)
の
派
遣
1
6
.
M
&
A
に
関
す
る
助
言
1
7
.
I
P
O
(
新
規
株
式
公
開
)
に
関
す
る
助
言
1
8
-
そ
の
他
137
○ 「研究開発型ベンチャー」にとっては、遅くとも研究開発段階'実証、試作品開発、安全
性評価等を含む(終了時点では、開発した製品・サービスを、国内はもちろん海外市場
にも提供していくための具体的プランが必要であり、そのために行われるあらゆる経営
資源の投入に対し政府としても必要な支援を行うべきではないか。
○ いずれにせよ、これまでのベンチャー施策等を「研究開発成果の迅速かつ円滑な事業
化・実用化」の視点から見直し、必要に応じ、その拡充等を図っていくべきではないか。
課題
ヒ
ネ
'資金調達(
モ
・人材の不足
・人材育成、派遣機能の強化
-経営者(マネジメント)
-専門スタッフ(営業・マーケティン
グ、知財管理等)
-民間ベンチャーキャピタル等の目利き機能、ハンズオン・
ノウハウの活用
-シニア(大企業OB等)のノウハウ活用
・事業化・実用化のための資金の不足
・現下の厳しい財政制約の下、民間投資の誘発効果を最大化さ
せる仕組み作り
ト
'ノウハウ(
カ
具体的施策'例(
ノ
'設備導入、部材調達、
国内拠点整備等(
基盤整備
'共同研究基盤等(
-迅速な事業規模拡大(海外市場開拓
を含む)に係るリスクマネーの不足
-民間ベンチャーキャピタル等の活用
-海外市場開拓のための技術実証支援
-研究開発税制の拡充
-「懸賞金(アワード)型研究開発制度」の検討
・研究開発拠点の空洞化懸念
・最先端の設備導入、部品・材料調達が
困難
・国内での研究開発を促すインセンティブの強化
・大企業の有する各種リソース'知財を含
む(が未利活用
・大企業からのカーブアウトによる共同研究の推進
-研究開発税制の拡充
-公的研究機関の設備に係る共同利用促進
-「イノベーションボックス税制」の検討
-技術研究組合の更なる活用
138
○ 研究成果の事業化・実用化支援については、出資等のみならず、人材の派遣等により、顧客
開拓やマーケティングなどの経営ノウハウの提供を併せて行うことが必要ではないか。また、
世界的に成長し得るベンチャーを選び出す「目利き」機能の活用も必要ではないか。
○ 例えば、平成13年度で実質終了する「イノベーション実用化助成事業」について、再来年度以
降、民間ベンチャーキャピタル'ハンズオン型(等との連携の下、制度の拡充を図ることも一案では
ないか。
従来のイノベーション実用化助成事業の範囲
活用・連携
経済産業省
技術内容、事業化
見込み等を審査し、
採択に反映。
資金補助
を と 「目
活し 利
用て き
、
民」
間や
V経
C営
等ア
のド
ノバ
ウイ
ハ ザ
ウー
•ベンチャーキャピタル等
案件精査
「目利き」
・資金提供'出資等(
・人材の派遣・育成等
・経営アドバイス
研究開発型ベンチャー
139
イノベーション実用化助成事業について
'0( 概要'平成01~14年度'予定((
○ 民間企業等の有する優れた先端技術シーズや有望な未利用技術を実用化・事業化に着実か
つ効率的に結実させるため、2~4年以内に実用化が見込まれる技術のうちリスクの高いもの
について研究開発費を助成。
;助成額・期間等=
• 選考方法 9 提案公募
• 助成額
9 0件当たり年間1億円未満'平均3-4千万円/件・年 程度(
• 助成期間 9 1年間 '一部事業のみ2年(
• 補助率
9 大企業は研究開発費の0.1補助
ベンチャー企業・中小企業等は同1.2補助
;助成実績=
• 平成12~23年度
総助成件数 683件
'ベンチャー企業・中小企業等への支援件数 3/6件(
助成総額
706億円
;平成12~23年度までの採択件数及び予算額の推移=
12年度
助成件数
予算額'億円(
13年度
14年度
15年度
16年度
17年度
18年度
※補正予算を含む
19年度
20年度
21年度
22年度
23年度
計
57
54
45
29
58
75
64
26
50
177
108
51
794
36.8
58.5
61.4
62.7
70.1
65
65.9
35.4
42.2
213.4
57.8
47.5
816.7
'平成24年0月末 現在(
1405
'1( 実用化成功例
;これまでの成果=
・ 実用化に繋がったもの 9 のべ000社、 売上総額140億円
・ 収益納付に繋がったもの 9 7社、収益総額2-4億円
'対象事業9平成12~19年度採択、集計期間9助成期間終了後4年間、出典9平成13~21年度実用化状況報告書(
ゼファー'株(
'株(ファイ・マイクロテック
'株(イーベック
○助成金額 約/-8億円
○採択 平成05年度
○概要
発電効率の低さを解決するた
めの素材等の技術開発を支援。
小型・軽量、高効率、かつ安価と
いう2つの相反する高性能を同
時に達成。
○助成金額 約0-1億円
○採択 平成04年度
○概要
低コストかつ低消費電力な次
期光ケーブルテレビ用半導体の
技術開発を支援。小型・安価な
半導体を設計・試作し、情報量
を増やすことのできる光伝送方
式に必要な半導体の開発によ
り、短時間での情報伝送を実
現。
○助成金額 約0-3億円
○採択 平成05年度
○概要
がんや感染症などの治療に
役立つ、副作用がほとんどない
「完全ヒト抗体」の製造技術開
発を支援。
○成果・実績
平成07年に製品名『 エアドル
フィン 』として販売開始。
平成11年に
産業革新機構
が海外展開
新製品開発
の支援を決定。
○成果・実績
NTTが推進する光ケーブルT
Vの家庭用受信装置の装置部
品として採用され、平成07年よ
り出荷開始。
○成果・実績
本成果をベースに作製した
抗体が、平成1/年8月に、ドイ
ツの大手製薬会社「ベーリン
ガーインゲルハイム社」とのラ
イセンス契約に成功するなど、
市場化に向けて着実に進展。
※その他、2011年にIPOしたバイオベンチャーのうち2社'メビオファーム、カイオム・バイオサイエンス、
141
シンバイオ製薬(は、イノベーション実用化助成事業の支援を受けた実績あり。
○ 研究開発型ベンチャーが成功するためには、自ら開発した最先端の製品・サービスの提供を通じ、迅速に、国内市
場と併せて世界市場における旺盛な海外需要を取り込む必要がある。
○ したがって、その際の多大なリスク'現地政府の意向・規制や地理的・風土的な国情の違いなど(を回避するため、
本年度よりNEDOで行っている海外実証事業について、例えば「研究開発型ベンチャー枠」を設けるなど、ベン
チャーの海外市場開拓への支援を強化する必要があるのではないか。
'NEDOが行う海外実証事業の概要(
対象分野
平成23年度
平成24年度
水ビジネス分野 '平成21~平成26年度(
03-3億円
0/-5億円
リサイクル分野 '平成23~平成27年度(
4億円
2-8億円
公害防止分野 '平成23~平成25年度(
1億円
1億円
医療分野
'平成23~平成26年度(
2億円
4億円
生活支援分野 '平成24~平成27年度(
,
2億円
13-3億円
13-4億円
合計
生活支援分野
医療分野
要:医療・介護施設等と一体となった
介護者支援や移動支援等の生活支
援システムの対人安全性技術等に
ついて欧州・アジア地域において
実施。
期 間:平成24~27年度(予定)
実施者:国内ベンチャー企業や医療機器会
社を想定。
概 要:内視鏡と通信技術を組み合わせた
地方と都市の遠隔診断システム構
築、人工腎臓・透析装置等の要素
技術と情報通信技術を組み合わせ
た人工透析管理システム技術につ
いて、アジア地域において実施。
期 間:平成23~25年度(予定)
実施者:九州大学、独立行政法人国立成育
医療研究センター 等
概
生活支援システム
遠隔診断システム
水ビジネス分野
概
要:難処理性廃水の高度再利用技術や
工業団地全体の水循環管理システ
ム技術など、国際的に競争力のあ
る省水型・環境調和型水循環シス
テム開発について中東・アジア地
域等において実施。
期 間:平成21~26年度(予定)
実施者:日立プラントテクノロジー、海外
水循環ソリューション技術研究組
合 等
水循環
142
'0( 研究開発税制の概要
○ 我が国の研究開発投資総額の約6割を占める民間企業の研究開発投資を維持・拡大することによ
り、イノベーションの加速を通じた我が国の成長力・国際競争力を強化する。
○ 平成13年度から総額型の税額控除上限が1/%に戻ることで、多くの研究開発型企業の投資抑
制が懸念される。
平成13年度要望部分→1年間延長'平成25年度末まで(
税額控除額
=試験研究費の増加額×5%
【総額型】
選択
税額控除額
<売上高の10%を超える試験研究
費の額 × 控除率
控除額 = 試験研究費の総額×8~10%
【減収見込額】
○ 制度全体91+480億円
'参考(2+/33億円'財務省試算(
(注)中小企業及び産学官連携は、一律12%
10
%
ま
で
法
20 人
税
%額
ま
で
【控
除
上
限
】
×
恒
久
措
置
【高水準型】
【増加型】
×
時
限
措
置
法
人
税
額
12年度末までの時限措置
○控除上限9平成10~12年度分については2/%まで
143
'1( 研究開発税制の活用業種・規模
'1/00年度 経済産業省アンケート調査より(
○ 研究開発税制は、化学'医薬品含む(、電機機械、輸送機械等の幅広い業種において活用されて
いる。
○ 控除額が0/億円以上の企業数は26社。最大で1//億円超の企業も存在し、本税制が研究開
発型企業に与える影響は大きい。
活用企業の業種
'平成11年度実績(
企業の活用規模'0/億円以上(
'平成11年度実績(
化学'医薬品(
控除額
電機機械
9%
12%
50%
274社
化学'医薬品除く(
運輸・通信
16%
6%
1%
8%
企業数
200億円以上
0社
100億円以上 200億円未満
2社
50億円以上 000億円未満
5社
00億円以上
50億円未満
16社
機械
輸送用機械
その他
144
'2(研究開発税制の活用状況
'国税庁・会社標本調査より'見込額はいずれも財務省試算に基づく((
○直近の活用実績は2+/33億円'12年度財務省試算(。最大で5+1//億円超'08年度(。
○ 研究開発税制を活用している企業は、約4+5//社'10年度(。
そのうち、約5割'約2+3//社(はベンチャーを含む中小企業。
億円
研究開発税制を活用する
中小ベンチャーの声
7,000
大企業 中小企業 連結納税法人 財務省試算
6,000
A社'2004年設立、機械業(
5,000
売上高9 約6億円
試験研究費9 約0億円
試験研究費税額控除額9 1+000万円
4,000
・排ガス浄化装置の研究開発を行って
いるが、本税制は量・質ともに研究開
発投資を押し上げるインセンティブに
なっている。
総額型の
導入
3,000
2,000
1,000
・本税制がなければ、ここまで積極的に
研究開発を行わない可能性はあった。
0
平成11年度 平成12年度 平成13年度 平成14年度 平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度 平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度
見込み 見込み
大企業
中小企業
連結納税法
人
合計'億円(
390
155
390
155
500
207
575
73
975
71
4,055
174
4,302
281
4,365
587
3,719
168
2,173
282
1,775
147
0
545
0
545
0
707
0
647
0
1,046
6
4,236
1,080
5,663
893
5,846
2,379
6,269
426
2,881
643
2,565
2167
191
※1
※1
※0
※1
2,358
3,044
'12年度 経済産業省アリング調査結果)
145
○ 「イノベーションボックス税制'パテントボックス税制(」とは、特許等の知的財産から得られる収益
'ロイヤルティ収入、譲渡益、一部の売上収入(に対する軽減税率制度。ヨーロッパ諸国を中心に、
導入が進んでいる。
○ 企業に対し、自らが研究開発成果に基づいて取得した特許'特に未利用特許(を活用するインセ
ンティブを付与することで、研究開発拠点の海外流出を防止し、高付加価値拠点化を促進。
○ マクロ経済的に見ても、経常収支の改善効果が期待される。
;イギリスのイノベーションボックス税制の例=
・イギリス政府は、特許から生じる所得について、他の所得
とは分離し、通常の法人税率より低い税率で課税する制度
の導入の検討を表明'2013年4月から導入予定(。
;諸外国の事例=
○オランダ、ルクセンブルグ、アイルランド、
ベルギー、スペイン、フランス、スイス、
中国の7カ国において導入済み。
・同発表を受け、国内製薬会社は、イギリス国内で1,000人の
R&D関係の雇用増強を表明。
事業所得全体
通常の事業所得
;論点・課題=
特許権から
生ずる所得
税制優遇
17%課税
0/%課税
【対象となる収益の範囲について】
, 知財ごとの収益算定に係る実務コスト
が高いのではないか
, 「事前認定スキーム」は必要か
, グローバル企業は、移転価格ルールと
の整理が必要になるのではないか
【取得時期について】
, 制度導入後に取得される特許のみを
対象とすべきか
パテントボックス
'2010年通商白書から(
146
○ 米国では、かねてより研究開発促進の手段の一つとして、特定の課題を最高水準又は最速で達成
した者等を対象とするContestやPrizeが用いられてきたが、オバマ政権でもこれらが活用されている。
○ その背景として、米国においても、厳しい財政事情の下、ContestやPrizeによる「民間研究開発投資
に対する高い誘発効果」が期待されている模様。
;米国における過去の主要なコンテストの例=
コンテスト
グランドチャレンジ
アーバンチャレンジ
アンサリX-prize
L-prize
目的
自立走行自動車の
実用化'砂漠(
自立走行自動車の
実用化'市街地(
民間有人宇宙旅行の
実現
革新的・高効率電球の
実用化
主催者
米国国防高等研究
計画局'DARPA(
米国国防高等研究
計画局'DARPA(
X-prize財団
米国エネルギー省
開催時期
2004,2005年
2007年
2004年
2008-2011年
類型・基準
;早期解決型=
;コンテスト開催型= ;コンテスト開催型=
;早期解決型=
特定の課題'2週間以
モハビ砂漠において
市街地に模した空軍
特定の課題'最も汎用
内に2度、高度100km
240kmのコースを設定 基地において96kmの
されている白熱電球等
まで有人宇宙船を打ち
し、無人自動車の走破 コースを設定し、無人自
の代替製品の開発
上げる(を最も早く達成
時間を競う。
動車の走破時間を競う。
(を最も早く達成した者。
した者。
勝者
スタンフォード大学
カーネギーメロン大学
スケールド・コンポジッ
ツ社
フィリップス社
賞金額
200万ドル
200万ドル
1,000万ドル'※(
100万ドル
'※( 賞金額は、民間資金によるもの。
X-prize HPによると、アンサリX-prizeの場合、研究開発投資の総額は賞金額の10倍'1億ドル(以上。
147
最近の米国の状況
2009年9月 オバマ大統領は、「米国のイノベーションのための戦略」において、政府の困
難な課題への取り組みや研究者・民間部門等との協力推進の手段として、
Prize等の活用を提示。
2010年3月 行政予算管理局は「Guidance on the Use of Challenges and Prizes to
Promote Open Government」において、Prizeの活用により政府が受ける利点と
して、以下のような点を挙げている'「懸賞型'アワード(」の意義(。
, 成功した場合にのみ支払いが行われること'効率的・事後的な助成(
, 懸賞の金銭的価値の何倍も高い民間の投資を促進させること
, 参加者の多様性を拡大させること
, 手法やチーム構成等の面において、既存の概念にとらわれずに
重要な課題の設定ができること
, 重要な課題等に多くの注目を集めさせることにより、政策を前進
させることができること
2010年9月 各政府機関から寄せられた社会的課題をオンライン上に投げかけ、広く国民
から問題解決の方法を募るウェブサイト「Challenge.gov」を開設。環境・エネル
ギー、健康、国防等の多くの分野にわたり、政府機関から約180件の懸賞金が
紹介されている。'2012年1月現在(
'参考(日本での「懸賞型」制度の検討
・ 経済産業省としても、平成21年度予算要求において、懸賞型研究開発助成制度を検討。
'前述のイノベーション実用化助成事業の一環として、試行的に2.3億円の予算枠を確保。(
・ しかしながら、予算の執行にあたり、懸賞金の取扱い等の面で運用上の困難が生じ、実施に至らなかったとの経緯がある。
148
'0( 問題意識 ,カーブアウト型共同研究の重要性 '知財の活用状況から(,
○ 我が国の特許の大部分は、政府や公的機関・大学等ではなく、企業'特に大企業(が保有。さらに、
これらの約半数は未利用。したがって、大学発・公的機関発ベンチャーに加え、カーブアウトによる
大企業発の研究開発型ベンチャーの創出を図ることにより、特に、大企業の知財の一層の活用促進
を図ることが必要ではないか。
○ また、製品の高度化'それに伴う知財数の増加(などにより、必要な技術を外部から調達するなど、
個別企業卖体ではない他社との共同研究がより重要になっているのではないか。
国内特許保有件数の状況
社外支出研究費割合の推移'民間企業のみ(
~特許の大半は大企業が保有、特許のうち半分は未利用~
~2010年度の社外支出割合は14.3%まで増加~
[%]
15
教育・TLO・
公的研究
機関・官庁
2%
14.3%
14
中小企業
15%
2006年国内特許権'約103万件(
の企業規模別割合
13
未利用件数
割合950%
利用件数
割合950%
12
11
10
2009年国内特許権'約120万件(
の利用割合
9
8
大企業等
83%
7
年度
資料9特許庁 知的財産活動調査
出典9総務省統計局「科学技術研究調査報告」
※社外支出研究費割合<社外支出研究費÷
'社内使用研究費*社外支出研究費(
149
'1( 「技術研究組合」制度の概要
○ 技術研究組合は、企業、大学、独立行政法人等が共同で研究開発を行うために認可により設立さ
れる「公的な共同研究プラットフォーム」。また、「カーブアウト型共同研究ベンチャー」輩出にも貢献。
○ メリットとして、①法人格を有していること、②賦課金を支払う組合員に対し研究開発税制が適用さ
れること、③組合が有する試験研究用資産に優遇税制'圧縮記帳(が適用されること、等がある。
○ 昭和25年に鉱工業研究組合制度として制定され、平成10年度に株式会社への組織再編などを
可能にする大改正を実施。
技術研究組合の変遷
昭和25年 「鉱工業技術研究組合法」を制定
企業
'組合員(
技術研究
組合
企業
'組合員(
大学・独
法等
'組合員(
「公的な
共同研究
プラット
フォーム」
共
同
研
究
に
よ
る
成
果
 第1次世界大戦後、英国では、科学技術の後れを取り戻すた
めに、研究組合(Research Association) 制度を創設。政府の援
助の下に活動、技術振興にとって大きな役割を果たす。
 我が国でも本制度に着目し、民間の共同研究の促進に最も適
した組織を設け、鉱工業技術の向上を図るため、鉱工業技術研
究組合法を制定。
平成10年 「技術研究組合法」に改正
研究開発の強化及び実用化の促進のため、技術研究組合の活
用範囲を拡げるとともに、組織再編を可能とした。
①設立組合員数の緩和
②研究対象の拡大
③大学の組合員資格の明確化
④独立行政法人の組合員資格の明確化
⑤預託金制度の創設
⑥株式会社への組織変更等
⑦技術研究組合の分割
⑧創立総会の廃止等の手続き緩和
150
'2( 現行の技術研究組合の一覧
'20番以降が、平成21年度法改正以後の設立(
1
自動車機器技術研究組合
30
次世代宇宙システム技術研究組合
2
バイオテクノロジー開発技術研究組合
31
自然免疫制御技術研究組合
3
ファインセラミックス技術研究組合
32
海外水循環ソリューション技術研究組合
4
家畜受精卵移植技術研究組合
33
技術研究組合リチウムイオン電池材料評価研究センター
5
超音速輸送機用推進システム技術研究組合
34
熱電変換技術研究組合
6
太陽光発電技術研究組合
35
技術研究組合FC,Cubic
7
食肉生産技術研究組合
36
次世代LIC総合技術研究組合
8
機能性木質新素材技術研究組合
37
複合材料体内医療用具技術研究組合
9
技術研究組合超先端電子技術開発機構
38
技術研究組合農畜産工業雇用推進機構
10
電子商取引安全技術研究組合
39
技術研究組合次世代レーザー加工技術研究所
11
石油コンビナート高度統合運営技術研究組合
40
超低電圧デバイス技術研究組合
12
次世代モバイル用表示材料技術研究組合
41
技術研究組合卖層CNT融合新材料研究開発機構
13
フリーゲージトレイン技術研究組合
42
バイオブタノール製造技術研究組合
14
次世代半導体材料技術研究組合
43
エピゲノム技術研究組合
15
日本GTL技術研究組合
44
土壌修復ラジアルウェル技術研究組合
16
バイオエタノール革新技術研究組合
45
MMG技術研究組合
17
技術研究組合BEANS研究所
46
技術研究組合Lignophenol&Systems
18
触媒技術研究組合
47
基準認証イノベーション技術研究組合
19
技術研究組合次世代パワーエレクトロニクス研究開発機構
48
幹細胞評価基盤技術研究組合
20
次世代パワーデバイス技術研究組合
49
次世代型膜モジュール技術研究組合
21
光ストレージ技術研究組合
50
次世代化学材料評価技術研究組合
22
水素供給・利用技術研究組合
51
次世代プリンテッドエレクトロニクス技術研究組合
23
技術研究組合光電子融合基盤技術研究所
52
次世代レーザープロセッシング技術研究組合
24
ステレオファブリック技術研究組合
53
次世代天然物化学技術研究組合
25
産業用超電導線材・機器技術研究組合
54
日本海流発電システム技術研究組合
26
分子動力学抗体創薬技術研究組合
55
技術研究組合NMEMS技術研究機構
27
農林水産・食品産業マイクロ・ナノバブル技術研究組合
56
東京バイオマーカー・イノベーション技術研究組合
28
グリーンフェノール・高機能フェノール樹脂製造技術研究組合
57
浜松地域活性化ICT技術研究組合
29
スペースランド技術研究組合
58
新世代塗布型電子デバイス技術研究組合
151
'3( 法改正の効果'改正事項ごとの実績(
①設立組合員数の緩和
→ 組合員1者による設立組合9 3組合
②研究対象の拡大
→ サービス分野の組合の設立9 0組合
③大学の組合員資格の明確化
→ 大学が組合員となった組合9 8組合
→ 組合員となった大学9 12大学
④独立行政法人の組合員資格の明確化
→ 独立行政法人が組合員となった組合917組合
;うち、法改正前組合への参加が2組合=
→ 組合員となった独立行政法人9 3法人
⑤預託金制度の創設'賦課金の前払いが可能(
→ 預託金制度導入組合9 3組合
■次世代パワーデバイス'技( [富士電機・古河電工]
■グリーンフェノール・高機能フェノール樹脂製造'技( [RITE・住友ベークライト]
■海外水循環ソリューション'技([日立プラントテクノロジー・東レ]※設立後に組合員追加
■バイオブタノール製造'技( [RITE・出光興産]
■浜松地域活性化ICT'技(;総務省所管=
●国立大学法人
東京農工大学、東京大学、大阪大学、東京工業大学、北陸先端科学技術大学院大学、お
茶の水女子大学、九州大学、北海道大学、埼玉大学
●学校法人
上智学院、関西学院、立命館、東京理科大学
●独立行政法人
産業技術総合研究所、国立成育医療研究センター研究所、理化学研究所
●地域独立行政法人
東京都健康長寿医療センター
技術研究組合数の推移 ~法改正後、技術研究組合の設立は大幅に増加~
'現在活動中の47組合のうち、28組合'56%(が法改正後に設立された組合(
25
70
20
⑥株式会社・合同会社への組織変更・新設分割
→ 実績なし
55
15
⑦技術研究組合の分割
5
→ 分割実績9 0件
0
-5
⑧創立総会の廃止等の手続き緩和
→ 各項目の効果もあり、技術研究組合の設立数
が大幅に増加
60
50
10
;ファインセラミックス'技(から
ステレオファブリック'技(を新設分割=
58
40
39
34
33
32
30
20
2006
2007
2008
2009
2010
2011
-10
10
0
新設数'左目盛(
解散数'左目盛(
年度末組合数'右目盛(
152
'4( 技術研究組合の活用事例
;大企業からのカーブアウトによる共同研究事例=
技組名'設立年(
組合員
事業概要
事業規模
次世代パワーデバイス技術研
究組合'2009年7月(
富士電機'株(
古河電気工業'株(
半導体の素材とモジュールに強みをもつ1社が
共同研究を行い、次世代のパワーデバイスの開
発を推進
約9億円
次世代LIC総合技術研究組合
'2010年4月(
JSR'株(
イビデン'株(
東京エレクトロン'株(
業種の異なる2社'材料・容器・装置(が結集し、
次世代のリチウムイオンキャパシタ'LIC(の開
発を推進
約3億円
'平成23年度(
;組合員の賦課金のみ=
'平成23年度(
;研究成果が製品化に至った最近の事例=
技組名'設立年(
組合員
プロジェクト名
製品名'社名(
技術研究組合極端紫外線露
光システム技術開発機構
'2002年~2011年'解散((
ウシオ電機(株)
ギガフォトン(株)
キヤノン(株) 他
極端紫外線(EUV)露光システム
開発プロジェクト (NEDO)
'2002~2007年(等
放電プラズマ方式によるリソグラ
フィー用EUV光源'2011年出荷開
始.ウシオ電機'株((
バイオテクノロジー開発技術
研究組合'1981年(
エーザイ(株)
(株)島津製作所
アステラス製薬(株) 他
糖鎖エンジニアリングプロジェク
ト'糖鎖構造解析技術開発(
(NEDO)'2003~2005年(
糖鎖微量迅速解析システム
'2010年販売開始.'株(島津製
作所(
;中小ベンチャー主導の共同研究事例=
技組名
組合員
事業概要
事業規模
自然免疫制御技術研究組合
'2010年3月設立(
3年
自然免疫応用技研'株( 他
[2006年7月創業]
自然免疫を制御する糖脂質解析・合
成・利用技術を開発
約0.2億円
'平成23年度(
複合材料体内医療用具技術研究組
合'2010年4月設立(
6年
'株(ビー・アイ・テック 他
[2003年4月創業]
人工股関節や骨固定具など体内医
療用具を開発
約0.6億円
'平成23年度(
153
'5( 「カーブアウト型共同研究ベンチャー」の創出・振興に向けて
○ 技術研究組合は、大学や公的研究機関を中心に、複数の企業等を参加させる仕組みとしては有効に機能しつつ
あるが、これを迅速かつ円滑に事業化・実用化段階に移行させるためには、前述の具体的施策を集中し、支援を
行う必要があるのではないか。
○ また、技術研究組合を株式会社化させる際の留意点として、当初の組合員(大企業等(が株式会社の出資者に
移行した場合に、研究開発税制のメリットを受けられなくなる、との指摘がある。
'共同(研究開発段階
事業化・実用化段階
企業等
'大学・公的
研究機関等
を含む(
企業等
企業等
円滑なカーブアウト'一部事業の切り出し(
'卖独での切り出しは比較的困難(
'共同(研究主体
「技術研究組合」など
○民間ベンチャーキャピタル等
の活用・連携
など
経営者'マネジメント人材(、専門
スタッフ'営業・マーケティング、知
財管理等(といった人材の育成・
派遣等
実用化のための株式会社化等
'平成10年度技術研究組合法改正(
○海外実証支援等
'リスクマネー提供(
など
事業主体
'研究開発型ベンチャー(
・法人格、税制の恩典等あり
・「公的な研究開発プラットフォーム」として、
企業等を集める仕組みとして機能
○研究開発税制の拡充
○イノベーションボックス税制
○懸賞金'アワード(型研究開発制度
など
154
1-資源もなく制約も多い我が国が、技術を核
に世界の課題を先導的に解決するための
提言
'3(研究開発成果の事業化促進の強化
④大学発ベンチャーの支援
155
2.„4‟ ④ :『大学発ベンチャーの支援』
○ 大学の研究成果の事業化を促進する上で、大学発ベンチャーは重要な役割を果たす。
○ しかし、大学発ベンチャーは、企業マインドを持った経営人材不足や、資金不足に直面。
大学発ベンチャーは、人材確保や資金調達、
マーケティングといった課題に直面
大学発ベンチャーの新規設立は停滞
247
250
200
2000
223
213
197
新規設立数(左軸) 181
累積数(右軸)
150
1430
146
1207
126
1809
1755
1627
人材の確保・育成が難しい
1600
資金調達が難しい
1200
128
960
100
79
35
18
0
566
50
50
215
130 165
54
オフィス・研究所の確保が難しい
400
420
294
研究開発が思うように進まない
0
99
12 21
大学との関係がうまくいかない
8
大学発
ベンチャー
72
29
40
1位
2位
52
3位
7
'資料(日本経済研究所「大学発ベンチャーに関する基礎調査」'2008年度(
71
86
10
11 26
96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08
基礎
研究
60
123
販路開拓・顧客確保が難しい
800
747
67
10
'資料(日本経済研究所「大学発ベンチャーに関する基礎調査」'2008年度(
実用化研究
実証・評価
試作品
開発
製品
開発
製品
マーケ
ティング
;ギャップ=
論文領域<大学
資金不足、人材不足
ビジネス領域<企業
○大学発ベンチャーの育成には、①グローバルな視点や経営マインドを持つ人材とのマッチング、
②研究成果と事業化の間を埋める研究開発への支援'ギャップファンド等(の充実、③国立大学
法人による大学発ベンチャーへの出資、等が必要ではないか。
○公的研究機関発ベンチャーについて、同様の支援が必要ではないか。
156
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