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SQL Server 2012 自習書シリーズ No.13

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SQL Server 2012 自習書シリーズ No.13
SQL Server 2012 自習書シリーズ No.13
PowerPivot for Excel によるセルフ サービス分析
Published: 2009 年 12 月 1 日
SQL Server 2012 更新版:2012 年 9 月 30 日
有限会社エスキューエル・クオリティ
この文章に含まれる情報は、公表の日付の時点での Microsoft Corporation の考え方を表しています。市場の変化に応える必要
があるため、Microsoft は記載されている内容を約束しているわけではありません。この文書の内容は印刷後も正しいとは保障で
きません。この文章は情報の提供のみを目的としています。
Microsoft、SQL Server、Visual Studio、Windows、Windows XP、Windows Server、Windows Vista は Microsoft Corporation
の米国およびその他の国における登録商標です。
その他、記載されている会社名および製品名は、各社の商標または登録商標です。
© Copyright 2012 Microsoft Corporation. All rights reserved.
目次
STEP 1.
本自習書の概要と 自習書を試す環境について ............................................................. 5
1.1
PowerPivot とは..................................................................................................... 6
1.2
PowerPivot for Excel の SQL Server 2012 からの新機能 .............................................12
1.3
PowerPivot for Excel のインストール ........................................................................ 14
1.4
PowerPivot for Excel の起動 .................................................................................... 27
1.5
本自習書の内容について........................................................................................... 28
1.6
自習書を試す環境について ........................................................................................ 29
1.7
サンプル データベース(NorthwindJ)の作成 .............................................................. 30
STEP 2.
PowerPivot for Excel の基本操作 ........................................................................... 34
2.1
作成するピボット テーブル/グラフ ........................................................................... 35
2.2
PowerPivot for Excel の起動とデータのインポート ....................................................... 37
2.3
DAX(Data Analysis Expressions)式による列の追加 ................................................... 43
2.4
ピボット テーブルの作成 ......................................................................................... 47
2.5
フィルターや並べ替えの設定 ..................................................................................... 51
2.6
ダイアグラム ビューの表示、階層の作成 ..................................................................... 56
2.7
列とテーブルの非表示設定 ........................................................................................ 60
2.8
ピボット テーブルのデザインの変更 ........................................................................... 63
2.9
ピボット グラフの追加 ............................................................................................ 64
2.10
ピボット テーブルの見栄えをよくするには ............................................................... 66
2.11
スライサーによる表示データの絞り込み ................................................................... 69
STEP 3.
PowerPivot for Excel の 便利な操作方法 ................................................................. 73
3.1
この Step で作成するピボット テーブル/グラフ ......................................................... 74
3.2
4 つのピボット グラフを配置 .................................................................................... 76
3.3
Web ページ(HTML ファイル)からのテーブル作成 ..................................................... 81
3.4
Excel シートからのテーブル作成 ............................................................................... 87
3.5
計算の種類の変更 ................................................................................................... 91
3.6
集計方法の変更 ...................................................................................................... 96
3.7
前年比の計算 ......................................................................................................... 98
3.8
KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)機能 ......................................... 103
3.9
並べ替え列の設定 ................................................................................................. 109
3.10
PowerPivot for Excel ファイルの実体 ................................................................... 112
STEP 4.
その他のデータソースへの接続 ............................................................................. 113
4.1
Reporting Services レポートをデータソースにする方法 ............................................... 114
4.2
Windows Azure SQL データベースをデータソースにする方法 ....................................... 119
4.3
Analysis Services OLAP キューブをデータソースにする方法 ........................................ 124
4.4
Analysis Services テーブル モデルをデータソースにする方法 ....................................... 127
STEP 5.
PowerPivot の共有 ............................................................................................ 130
5.1
PowerPivot for SharePoint と Power View による共有 .............................................. 131
5.2
Power View レポートのための PowerPivot ファイル .................................................. 135
5.3
Analysis Services テーブル モデル(xVelocity)による共有 ......................................... 137
STEP 1. 本自習書の概要と
自習書を試す環境について
この STEP では、自習書の概要や自習書を試す環境について説明します。
この STEP では、次のことを学習します。

PowerPivot とは

SQL Server 2012 からの新機能

PowerPivot for Excel のインストール

本自習書の概要

自習書を試す環境について

サンプル データベース(NorthwindJ)の作成
1.1
PowerPivot とは
PowerPivot とは
Microsoft SQL Server 2012 PowerPivot(以下、PowerPivot)は、SQL Server 2008 R2 か
ら提供されたデータ分析のためのツールです。PowerPivot には、次の 2 種類があります。

PowerPivot for Excel

PowerPivot for SharePoint
PowerPivot for Excel は、Excel 2010 のアドインとして提供されるクライアント側のツール、
PowerPivot for SharePoint は、SharePoint Server 2010 と統合されたサーバー側の機能
です。
PowerPivot for Excel
PowerPivot for Excel は、PowerPivot(パワー ピボット)という名のとおり、従来の Excel の
ピボット テーブル機能を大きく進化させたようなツールです。これを利用すると、次のような見
栄えの良いデータ分析レポート(ピボット テーブルやグラフ)を簡単に作成することができます。
水平スライサー
ピボット テーブル
ピボット グラフ
垂直スライサー
フィールド(列)
一覧
PowerPivot for Excel の主な特徴は、次のとおりです。

イン メモリ アーキテクチャによる高速なデータ処理

64 ビット(x64)にも対応(32 ビット版と 64 ビット版の提供)

さまざまなデータソースへの対応(SQL Server だけでなく、Excel ファイルや Oracle、
DB2、Teradata、Sybase、Infomix、Windows Azure SQL データベース、Reporting
Services、テキスト ファイル、Web ページ(HTML ファイル)、Analysis Services、
Microsoft Access などにも対応)

Excel の上限である 100 万件を超えるデータにも対応(Excel で扱えるデータ量の上限
の 1,048,576 行以上のデータにも対応。x64 環境でメモリを多く搭載していれば、数
億件のデータでも高速なデータ処理が可能)
PowerPivot for Excel の最も大きな特徴は、さまざまなデータソースへ対応している点です。SQL
Server だけでなく、普段使い慣れた Excel のワークシートや Reporting Services のレポート、
Windows Azure SQL データベース、Analysis Services の OLAP キューブなどをデータソース
にすることができます。いろいろなデータソースのデータを組み合わせてピボット テーブルやピ
ボット グラフが作成できるのが最大の利点です。
PowerPivot for SharePoint
PowerPivot for SharePoint は、SharePoint Server 2010 と統合されたサーバー側の機能
で、主な特徴は次のとおりです。

作成した分析レポートの「共有」および「セキュアなデータ格納」

Excel Services と統合した Web ブラウザー ベースの共有

共有のための見栄えの良い Web パーツ(Silverlight ベース)

バックグラウンドでのデータ更新(バッチ実行)

サーバー利用状況を監視するためのダッシュボード(CPU 利用率やメモリ使用量、リク
エスト数、利用数の多い上位レポートなどをグラフィカルに表示)
作成した分析レポートの共有
Excel Services による Web ブラウザからの分析レポート参照
Excel Services 機能により、
Web ブラウザから分析レ
ポートを参照可能
PowerPivot for SharePoint は、Excel Services と統合されているので、Web ブラウザーを利
用して分析レポートを参照することができます(Excel 2010 を開くことなく、Web ブラウザー
上でスライサーによるフィルター操作やワークシートの移動などが可能です)
。
もちろん、次のように Excel 2010 での編集も可能で、かつチェックアウト/チェックイン機能
やセキュリティ設定によって、他のユーザーによる同時更新やアクセス制御を行うことも可能です。
Excel 2010 で
の編集
チェックインやチェック
アウトで同時編集を制御
セキュリティ設定により
アクセス制御が行える
また、共有のための見栄えの良い Web パーツ(Silverlight で作成された Web パーツ)として、
「PowerPivot ギャラリー」が提供されているので、分析レポートを一覧しやすくなっています。
Silverlight ベースの
PowerPivot ギャラリー
Silverlight ベースの
PowerPivot ギャラリー
の Carousel ビュー
Silverlight ベースの
PowerPivot ギャラリー
の Theater ビュー
PowerPivot for SharePoint では、そのほかにも、データ更新をバックグラウンドでバッチ実行す
るための機能(夜間にスケジュールしておくなど)や、サーバー利用状況を監視するための管理ダ
ッシュボード(CPU 利用率やメモリ使用量、リクエスト数、利用数の多い上位レポートなどをグ
ラフィカルに表示)機能なども提供されています。
データ更新は、次のようにスケジュール設定が可能です。
データ更新の管理
(バッチ実行)
データ更新のスケ
ジュール設定
管理ダッシュボードは、次のように利用することができます。
1
CPU やメモリ
使用量
実行時間の長い
クエリ数
ユーザー接続数
やクエリ数
クエリ数やファ
イル サイズ
このように PowerPivot は、PowerPivot for SharePoint と組み合わせることで、複数ユーザー
での共有/同時利用および管理を簡単に行えるようになっています。
PowerPivot for SharePoint のセットアップ方法については、本自習書シリーズの「Power View
&Reporting Services」編で説明していますので、こちらもぜひご覧いただければと思います。
1.2
PowerPivot for Excel の SQL Server 2012 からの新機能
PowerPivot for Excel の SQL Server 2012 からの新機能
PowerPivot for Excel は、SQL Server 2008 R2 から提供されたデータ分析のためのクライア
ント ツールですが、SQL Server 2012 の PowerPivot for Excel はバージョン アップして、
多くの新機能が提供されました。その主なものは、以下のとおりです。

KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)への対応

書式(Format)設定の永続化により、書式がピボットテーブルへ反映可能に

並べ替え列のサポートにより、別の列で並べ替えが可能に

ダイアグラム ビューによるグラフィカルなリレーションシップ管理のサポート

階層のサポートにより、階層関係のあるフィールド(たとえば、大分類→中分類→小分類
→商品のような関係)をワンクリックで配置可能に

フィールド一覧に表示されるフィールドの表示順序の変更が可能に

パースペクティブのサポートにより、不要な列/メジャーを簡単に非表示に可能

ドリルスルーのサポート

BLOB データ(varbinary(max))のサポート

DAX(Data Analysis Expressions)関数の大幅強化。PATH や PATHITEM 関数によ
って親子階層への対応も可能
以下の画面は、ダイアグラム ビューでリレーションシップを設定しているときの様子です。
並べ替え列も
設定可能
リレーションシップを
グラフィカルに編集可能
KPI や
計算メジャー
階層の作成
が可能
以下の画面は、KPI をグラフィカルに設定しているときの様子です。
KPI をグラフィカ
ルに設定
このように PowerPivot for Excel は進化し、さらに本格的なデータ分析レポートが簡単に作成で
きるようになりました。
また、SQL Server 2012 から追加された Analysis Services テーブル モデル(Tabular Model)
を利用した場合には、以下の機能も利用できるようになるので、ビッグデータ対応や性能向上、セ
キュリティの強化を実現することも可能になりました。

大量データへの対応(ビッグデータ対応)

パーティショニング

ロールを利用した行レベル セキュリティ
Analysis Services テーブル モデルの利用方法については、本自習書シリーズの「Analysis
Services によるインメモリ BI 入門」編で説明していますので、こちらもぜひご覧いただければ
と思います。
1.3
PowerPivot for Excel のインストール
PowerPivot for Excel のインストール
次に、PowerPivot for Excel(SQL Server 2012 CU2 版)をインストールする手順を説明し
ます。これを利用するには、次の 5 つをインストールしておく必要があります。

デスクトップ エクスペリエンス機能の有効化(サーバー OS の場合の推奨)

.NET Framework 4 のインストール

Microsoft Excel 2010(Office 2010)のインストール。同時に「.NET Framework プ
ログラミング サポート」をインストールしておく必要がある。

Visual Studio 2010 Tools for Office Runtime のインストール

PowerPivot for Excel(SQL Server 2012 CU2 版)のインストール
デスクトップ エクスペリエンス機能の有効化(推奨)
サーバー OS(Windows Server 2008 R2 など)で PowerPivot for Excel を利用する場合
には、デスクトップ エクスペリエンス機能を有効化しておくことをお勧めします。
1.
デスクトップ エクスペリエンス機能を有効化するには、
[スタート]メニューから「サーバー
マネージャー」を起動します。
2.
サーバー マネージャーが起動したら、
[機能]を選択して、
[機能の追加]をクリックします。
1
2
3.
[機能の追加]ウィザードが起動したら、
[機能の選択]ページで[デスクトップ エクスペリ
エンス]をチェックします。
1
2
これにより、デスクトップ エクスペリエンスを有効化するために必要な機能として[インク
と手書きサービス]が提示されるので、[必要な機能を追加]ボタンをクリックして追加しま
す。
4.
[機能の選択]ページへ戻ったら、
[次へ]ボタンをクリックします。
1
5.
次の[インストール オプションの確認]ページでは、内容を確認して、
[インストール]ボタ
ンをクリックし、インストールを開始します。
1
6.
インストールが完了すると、次のように表示されます。
2
1
「インストールの完了には再起動が必要」という主旨のメッセージが表示されて、「閉じる」
ボタンをクリックすると、
「今すぐ再起動しますか?」と尋ねられるので、
[はい]ボタンをク
リックして、OS(Windows)を再起動します。
7.
再起動が完了したら、管理者アカウントでログインします。
8.
ログインが完了すると、自動的に[機能の追加]ウィザードが起動して、インストールの残り
の作業が実行されます。
1
2
上画面のように「インストールが正常に完了しました」と表示されれば、インストールが成功
です。最後に[閉じる]ボタンをクリックします。
以上で、デスクトップ エクスペリエンス機能の有効化が完了です。
.NET Framework 4 のインストール
次に、.NET Framework 4 をインストールします。PowerPivot for Excel をインストールす
る に は 、 事 前 に .NET Framework 4 を イ ン ス ト ー ル し て お く 必 要 が あ り ま す 。 .NET
Framework 4 は、以下の URL からダウンロードできます。
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/netframework/ff687189.aspx
1
1.
.NET Framework 4 の ダ ウ ン ロ ー ド が 完 了 し た ら 、 ダ ウ ン ロ ー ド し た フ ァ イ ル
「dotNetFx40_Full_x86_x64.exe」をダブル クリックして実行します。
2.
インストール ウィザードが起動して、ライセンス条項が表示されたら、内容を確認した上で、
[同意する]をチェックして、
[インストール]ボタンをクリックします。
1
2
3.
これでインストールが始まり、インストール中は次のように進行状況が表示されます。
4.
インストールが完了すると、次のように完了ページが表示されるので、[完了]ボタンをクリ
ックします。
1
以上で、.NET Framework 4 のインストールが完了です。
Microsoft Excel 2010(Office 2010)のインストール
次に、Office 2010(Excel 2010)のインストールを行います。PowerPivot for Excel は、Excel
2010 のアドインとして提供されているので、Excel 2010 のインストールが必須になります。ま
た、
「.NET Framework プログラミング サポート」もインストールしておく必要があります(後
述の「今すぐインストール」をクリックした場合は自動で入ります)
。
1.
まずは、Office 2010(Excel 2010)のインストール メディアをドライブにセットして、イ
ンストーラー「ja_office_professional_plus_2010_x64_515508.exe」
(x64 の場合)
を実行します。
2.
[プロダクト キーの入力]ページが表示されたら、プロダクト キーを入力して、[続行]ボ
タンをクリックします。
1
3.
2
次の[ライセンス条項]ページでは、ライセンス条項の内容を確認した上で、[マイクロソフ
ト ソフトウェア ライセンス条項に同意します]をチェックして、[続行]ボタンをクリック
します。
1
4.
2
次の[インストールの種類を選択してください]ページでは、インストールする機能を選択す
る場合は[ユーザー設定]ボタン、既定の構成でインストールする場合は[今すぐインストー
ル]ボタンをクリックします。
1
5.
インストール中は、次のように[インストールの進行状況]ページが表示されます。
6.
インストールが完了すると、次のようにページが表示されます。
以上で、Office 2010 のインストールが完了です。
Visual Studio 2010 Tools for Office Runtime のインストール
次に、Visual Studio 2010 Tools for Office Runtime をインストールします。これは、以下
の URL からダウンロードすることができます。
http://www.microsoft.com/ja-jp/download/details.aspx?id=20479
http://www.microsoft.com/downloads/ja-jp/details.aspx?FamilyID=06c32242-2289-4471-93aa-ce96aa5cbc36&displaylang=ja
1.
Visual Studio 2010 Tools for Office Runtime のダウンロードが完了したら、ダウンロード
したファイル「vstor40_x64.exe」
(x64 の場合)をダブル クリックして実行します。
2.
インストール ウィザードが起動したら、
[次へ]ボタンをクリックします。
1
3.
次の[ライセンス条項]ページでは、ライセンス条項の内容を確認した上で、[同意する]を
チェックして、
[インストール]ボタンをクリックします。
1
2
4.
これでインストールが始まり、インストール中は次のように進行状況が表示されます。
5.
インストールが完了すると、次のように[セットアップ完了]ページが表示されるので、[完
了]ボタンをクリックします。
1
以上で、Visual Studio 2010 Tools for Office Runtime のインストールが完了です。
PowerPivot for Excel(SQL Server 2012 CU3 版)のインストール
次に、PowerPivot for Excel のインストールを行います。
PowerPivot for Excel は、SQL Server 2012 の Feature Pack ページ(http://www.micro
soft.com/ja-jp/download/details.aspx?id=29065)からダウンロードすることができま
すが、ここでは、執筆時点での最新版の PowerPivot for Excel CU3 版を用いたインストールを
紹介します。PowerPivot for Excel CU3 版は、以下の URL の「Cumulative Update Package
3 (CU3) for SQL Server 2012」ページからダウンロードすることができます。
http://support.microsoft.com/kb/2723749
1
1.
PowerPivot for Excel(SQL Server 2012 CU3 版)のダウンロードが完了したら、ダウンロ
ードしたファイル「PowerPivot_for_Excel_amd64.msi」(x64 の場合)をダブル クリ
ックして実行します。
2.
インストール ウィザードが起動したら、
[Next]ボタンをクリックします。
3.
次の[License Agreement]ページでは、使用許諾契約書の内容を確認した上で、
[I accept
the terms in the license agreement]を選択して、
[Next]ボタンをクリックします。
4.
次の[Ready to Install the Program]ページでは、
[Install]ボタンをクリックして、
インストールを開始します。
5.
インストール中は次のように進行状況が表示されます。
6.
インストールが完了すると、次のように[Completing]ページが表示されるので、
[Finish]
ボタンをクリックします。
以上で、PowerPivot for Excel(SQL Server 2012 CU3 版)のインストールが完了です。
1.4
PowerPivot for Excel の起動
PowerPivot for Excel の起動
インストールした PowerPivot for Excel を起動するには、
[スタート]メニューの[すべてのプ
ログラム]から[Microsoft Office]の「Microsoft Excel 2010」をクリックして、Excel 2010
を起動します。
起動後、Excel 2010 に[PowerPivot]タブが追加されていていることを確認します。
1
1.5
本自習書の内容について
本自習書の内容について
本自習書では、PowerPivot for Excel の基本的な操作方法について説明します。説明する主な内
容は、次のとおりです。

PowerPivot for Excel の基本操作

PowerPivot for Excel へのデータのインポート

DAX 式による列の追加

ピボット テーブルの作成

フィルターや並べ替えの設定

ダイアグラム ビューの表示

階層の作成

パースペクティブの設定

ピボット テーブルのデザインの変更

ピボット グラフの作成

スライサーによる表示データの絞り込み

4 つのグラフを追加したレポート

Web ページ(HTML ファイル)からのテーブル作成

Excel シートからのテーブル作成

計算の種類の変更

集計方法の変更

前年比の計算

KPI の設定

並べ替え列の設定

Reporting Services レポートをデータソースへ設定

Windows Azure SQL データベースをデータソースへ設定

Analysis Services OLAP キューブをデータソースへ設定
いずれも簡単な例を使って、ステップ バイ ステップ形式で試せるようになっていますので、ぜひ
実際に操作しながら読み進めていただければと思います。
1.6
自習書を試す環境について
必要な環境
この自習書で実習を行うために必要な環境は次のとおりです。
OS
Windows Server 2008 SP2 以降 または
Windows Server 2008 R2 SP1 以降 または
Windows Server 2012 または
Windows Vista SP2 以降 または Windows 7 SP1 以降 または Windows 8
ソフトウェア
・SQL Server 2012
・Excel 2010
・PowerPivot for Excel(SQL Server 2012 版)
自習書内での画面やテキストは、OS に Windows Server 2008 R2(x64)
、ソフトウェアに
SQL Server 2012 Enterprise エディション(x64)を利用して記述しています。
サンプル スクリプト
この自習書を試すには、サンプル スクリプトをダウンロードして、次のページの事前作業を実
行しておく必要があります。
1.7
サンプル データベース(NorthwindJ)の作成
サンプル データベース(NorthwindJ)の作成
この自習書では、すべての手順でサンプル スクリプトに含まれる「NorthwindJ」データベース
を利用しているので、このデータベースを SQL Server 2012 上へ作成しておく必要があります。
作成の手順は、次のとおりです。
1.
まずは、
[スタート]メニューの[すべてのプログラム]から[Microsoft SQL Server 2012]
の[SQL Server Management Studio]をクリックして、Management Studio を起動し
ます。
1
2.
起動後、次のように[サーバーへの接続]ダイアログが表示されたら、
[サーバー名]へ SQL
Server の名前を入力し、[接続]ボタンをクリックします。
1
SQL Server の名前を入力します
2
3.
接続完了後、次のようにツールバーの[ファイルを開く]ボタンをクリックします。
1
2
サンプル スクリプトを
解凍した場所を展開して
NorthwindJ.sql を選択
3
これにより、
[ファイルを開く]ダイアログが表示されるので、サンプル スクリプトを解凍し
たフォルダーを展開して、
「NorthwindJ.sql」ファイルを選択し、
[開く]ボタンをクリック
します。
4.
次のようにデータベースを作成するためのスクリプトが表示されるので、ツールバーの[実行]
ボタンをクリックして、スクリプトを実行します。
2
1
5.
データベースを作成
するためのスクリプト
が表示される
数秒後に実行が完了して、次のように画面下に「クエリが正常に実行されました」と表示され
ることを確認します。
1
「クエリが正常に実行されました」
と表示されることを確認
以上でデータベースの作成が完了です。
NorthwindJ データベースの構成
NorthwindJ デ ー タ ベ ー ス は 、 Microsoft Access 2003 に 付 属 の サ ン プ ル デ ー タ ベ ー ス
「Northwind」を SQL Server 上へアップサイズし、この自習書の手順を試すために、一部のデ
ータを加工したものです。具体的なスキーマ構成は次のとおりです。
このデータベースは、商品の販売管理を題材とし、次のように「受注」テーブルと「受注明細」テ
ーブルの中へ受注データが格納されています。
受注テーブル
受注コード
受注日
受注明細テーブル
商品コード
受注時単価
受注数量
STEP 2. PowerPivot for Excel
の基本操作
この STEP では、PowerPivot for Excel の基本的な操作方法として、データのイ
ンポートや DAX 式による列の追加、ピボット テーブルの作成、フィルターや並
べ替えの設定、ピボット グラフの作成方法、スライサーによる表示データの絞り
込み方法などを説明します。
この STEP では、次のことを学習します。

PowerPivot for Excel の基本操作

PowerPivot for Excel へのデータのインポート

DAX 式による列の追加

ピボット テーブルの作成

フィルターや並べ替えの設定

ダイアグラム ビューの表示、階層の作成

列とテーブルの非表示設定

ピボット テーブルのデザインの変更

ピボット グラフの作成

スパークラインの追加

スライサーによる表示データの絞り込み
2.1
作成するピボット テーブル/グラフ
作成するピボット テーブル/グラフ
この STEP では、NorthwindJ データベースをもとに、次のような商品区分および年ごとの受注
金額の合計を取得できるピボット テーブルおよびピボット グラフを作成する手順を説明します。
水平スライサー
ピボット テーブル
フィールド(列)
一覧
ピボット グラフ
垂直スライサー
PowerPivot for Excel は、従来の Excel のピボット テーブルを大きく進化させたようなツール
で、見栄えの良いピボット テーブルおよびグラフを簡単に作成することができます。
このピボット テーブル/グラフの元となる受注データは、次のように「受注」テーブルと「受注
明細」テーブルへ格納されています。
NorthwindJ データベース内の「受注」と「受注明細」テーブル
受注テーブル
受注コード
受注日
受注明細テーブル
リレーション シップ
商品コード
受注時単価
受注数量
また、
「受注明細」テーブルの「商品コード」列からは、受注対象となった商品の名前や区分名(商
品分類名)などを「商品」テーブルと「商品区分テーブル」から取得できるようにリレーション シ
ップを設定してあります。
受注明細テーブル
リレーション シップ
商品テーブル
商品区分テーブル(商品分類)
リレーション シップ
商品コード
商品名
区分コード
区分名
2.2
PowerPivot for Excel の起動とデータのインポート
PowerPivot for Excel の起動
それでは、PowerPivot for Excel を試してみましょう。
1.
PowerPivot for Excel は Excel 2010 のアドインとして動作するので、PowerPivot for
Excel を利用するには、Excel 2010 を起動します。Excel 2010 は、[スタート]メニュー
の[すべてのプログラム]から[Microsoft Office]の「Microsoft Excel 2010」をクリ
ックして起動します。
2.
Excel 2010 が起動したら、リボンの「PowerPivot」タブをクリックし、
「PowerPivot ウ
ィンドウ」をクリックします。
1
2
PowerPivot ウィン
ドウが起動する
これにより、PowerPivot ウィンドウが起動します。
データソース(データの取得元)の設定
3.
PowerPivot ウィンドウでは、データの取得元を設定するために「データベース」の「SQL
Server から」をクリックします。
1
1
2
3
これにより、
[テーブルのインポート ウィザード]が開始されます。最初の[Microsoft SQL
Server データベースへの接続]ページでは、接続したい SQL Server の名前とデータベー
スを選択するために、
[サーバー名]で SQL Server の名前を入力し、
[データベース名]で
「NorthwindJ」データベースを選択して、
[次へ]ボタンをクリックします。
Note: さまざまなデータソースに対応
PowerPivot for Excel は、SQL Server だけでなく、Excel ファイルや Oracle、DB2、Teradata、Sybase、Infomix、
Windows Azure SQL データベース、Analysis Services、Reporting Services、Microsoft Access、テキスト フ
ァイル、Web ページ(HTML ファイル)などのさまざまなデータソースからデータを取得することができます。
これを行うには、ツールバーの「その他のデータベースから外部データを取り込み」をクリックします。
いろいろなデータ
ソースが選択可能
4.
次の[データのインポート方法の選択]ページでは、テーブル/ビューの一覧からデータを選
択するか、クエリ(SQL)を記述するかを選択します。
1
テーブルまたはビューから
選択するばあい
クエリ(SQL)を記述する
場合
2
ここでは「テーブルとビューの一覧から選択し、インポートするデータを選択する」を選択し
て、
[次へ]ボタンをクリックします。
次の[テーブルとビューの選択]ページでは、NorthwindJ データベース内のテーブルとビュ
ーが表示されるので、
「受注明細」テーブルをチェックして、
「関連テーブルの選択」ボタンを
クリックします。
受注明細に関連(リレー
ションシップ)のある
「受注」と「商品」テー
ブルがチェックされる
1
↓
5.
2
これにより、受注明細テーブルとリレーションシップのある「受注」と「商品」テーブルにも
自動的にチェックがつきます。続いて、もう一度「関連テーブルの選択」ボタンをクリックし
ます。
2
受注と商品に関連(リレーション
シップ)のある「仕入先」「商品区
分」「得意先」「社員」「運送会
社」テーブルがチェックされる
1
これにより、受注テーブルとリレーションシップのある「得意先」、「社員」、「運送会社」、商
品テーブルとリレーションシップのある「商品区分」、
「仕入先」テーブルにも自動的にチェッ
クがつきます。
プレビューと行フィルターの設定
6.
[テーブルとビューの選択]ページでは、次のように「プレビューとフィルター」ボタンをク
リックして、選択したテーブルのデータの中身をプレビュー表示して確認することができます。
1
選択したテーブル データの
プレビューが表示される
また、次のように列の隣の「▼」ボタンをクリックして、フィルター(データの絞り込み)を
設定することもできます。
フィルタを利用した
自由検索が可能
1
2
3
ここでは、何も設定せずに[キャンセル]ボタンをクリックして[カスタム フィルター]ダ
イアログを閉じ、
[OK]ボタンをクリックして[選択したテーブルのプレビュー]ダイアログ
を閉じます。
7.
[テーブルとビューの選択]ページへ戻ったら、
[完了]ボタンをクリックします。
1
これにより、データのインポート(取り込み)が始まり、次のページが表示されます。
1
「成功」と表示されれば、データのインポートが完了です。インポートは、選択したテーブル
の全データを取得しているので(ネットワーク経由で SQL Server からデータを丸ごと転送
しているので)、選択したテーブルのデータ量が多い場合には、インポートに時間がかかりま
す。したがって、データ サイズが非常に大きい場合には、前述のフィルター(データの絞り
込み)を設定して、インポートするデータ量を少なくすることをお勧めします。
なお、PowerPivot のサーバー機能である PowerPivot for SharePoint や Analysis
Services テーブル モデル(Tabular Model)を利用する場合には、データのインポートを
バック グラウンドでバッチ実行することも可能です(夜間にデータを取得するなどのスケジ
ュール実行が可能です)
。
インポートしたデータの確認
ウィザードでインポートしたデータは、次のように PowerPivot ウィンドウで確認できます。
仕入先テーブル
のデータ
取り込んだ
他のテーブル
商品区分テーブル
のデータ
1
インポートしたテーブルごとにタブが表示され、そのタブをクリックすると、インポートした
データを確認することができます。
2.3
DAX(Data Analysis Expressions)式による列の追加
DAX(Data Analysis Expressions)式による列の追加
PowerPivot for Excel で は 、 Excel の 式 と 同 じ よ う に 利 用 で き る DAX ( Data Analysis
Expressions)式がサポートされています。これを利用すれば、既存の列をもとに計算を行ったり、
関数処理を行ったりすることが可能です。ここでは、受注明細テーブルの「単価」と「数量」列を
かけ算して「受注金額」を計算したり、受注テーブルの「受注日」列から FORMAT 関数で「年」
や「月」のみを取得する列を追加する手順を説明します。
1.
受注明細テーブルで DAX 式を記述するには、まずは次のように「受注明細」タブをクリック
して、「列の追加」
(一番右に表示される列)の 1 行目をクリックします。
3
fx(式)へ
=[ と入力
2
1行目をクリック
インテリセンス(入力補完)が
働いて、列の一覧が表示される。
値を確定するには Tab キーを押
下、またはダブル クリックする
1
これにより、fx(式)が入力できるようになるので、
「=[」と入力します(全角ではなく、半
角で入力してください)。すると、インテリセンス(入力補完)機能が働いて、列の一覧が表
示されるようになります。DAX 式では、列を「[列名]」のように半角の大カッコで囲んで指
定する必要があるので、[ を入力することでインテリセンス機能が働いています。
列の一覧から [単価] を選択して Tab キーを押下します(インテリセンスでの値の確定は
Tab キーを押下するか、ダブル クリックします。Enter キーではないことに注意してくださ
い)。続いて、隣に「*」を入力(かけ算を行う演算子を入力)します。入力後、
「[」と入力し
て列の一覧を表示し、[数量] 列を選択して Tab キーを押下します。
1
=[単価] * [数量]
と式を設定後、
Enter キーを押下する
単価 * 数量
が計算される
最後に Enter キーを押下すると、「単価」と「数量」列をかけ算した結果が新しい列に表示
されるようになります。このように DAX 式では、Excel の式と同じように四則演算(+、-、
*、/)を記述することができます。
2.
新しい列の名前は、自動的に「CalculatedColumn1」と命名されるので、ここをダブル ク
リックして、名前を「受注金額」へ変更します。
1
ダブルクリック
↓
2
受注金額と入力
なお、正確な受注金額を計算するには、「割引」列も計算に含める必要がありますが、ここで
は省略します。
DAX 関数の利用
3.
DAX では、関数も利用することができるので、
「受注」テーブルの「受注日」列から FORMAT
関数を利用して「年」や「月」のみを取得する列を追加してみましょう。まずは、「受注」タ
ブをクリックして、インポートした受注テーブルのデータを表示します。
受注テーブル
のデータ
1
4.
次に、右へスクロールして、次のように「列の追加」列の 1 行目をクリックします。
2
fx(式)へ
=F と入力
1
1行目をクリック
インテリセンスが働い
て、F で始まる関数の
一覧が表示される
↓
4
3
「受注日」列
ダブル クリックして
年と入力
受注日の年
を取得できる
fx(式)で「=F」と入力すると、インテリセンス機能が働いて、F で始まる関数の一覧が表
示されるので、「FORMAT」関数を選択して Tab キーを押下します。これにより、式が
「=FORMAT(」と補われます(関数の始まりのカッコも補完してくれています)
。
次に、式で「[」を入力して、列の一覧から [受注日] 列を選択して Tab キーを押下します。
続いて、年の書式を表す「, "YYYY"」と入力し、最後に「)」
(関数の終わりを表す小カッコ)
を入力して、Enter キーを押下します。これで、
「受注日」列の年のみを取得できるようにな
ります。
新しい列の名前は、自動的に「CalculatedColumn1」と命名されるので、ここをダブル ク
リックして、名前を「年」へ変更しておきます。
Note: 利用できる DAX 関数の一覧
fx(式)では、次のように fx ボタンをクリックすると、利用できる関数の一覧とそのヘルプが表示されるので、
どういった関数が利用できるのかを簡単に確認することができます。
1
PowerPivot で利用で
きる関数が一覧される
5.
続いて、
「列の追加」列の 1 行目をクリックして、受注日の「月」のみを取得する式を設定し
ます。
2
fx(式)へ
=FORMAT([受注日], "MM")
と設定
3
ダブル クリックして
月と入力
1
1行目をクリック
「受注日」列
受注日の月
を取得できる
fx(式)で「=F」と入力して、「FORMAT」関数を選択して Tab キーを押下します。この
関数の引数には、[受注日] 列と、月の書式を表す「, "MM"」と入力し、最後に「)」
(小カッ
コ)を入力して、Enter キーを押下します。これで、
「受注日」列の月のみを取得できるよう
になります。
新しい列の名前は、自動的に「CalculatedColumn1」と命名されるので、ここをダブル ク
リックして、名前を「月」へ変更しておきます。
PowerPivot ウィンドウからのフィルター設定
フィルターは、データのインポート時に設定できると説明しましたが、PowerPivot ウィンドウか
らもデータのフィルターを設定することが可能です。フィルターは、次のように列の隣の「▼」ボ
タンをクリックして設定することができます。
1
な お 、 前 述 し た よ う に こ の PowerPivot ウ ィ ン ド ウ に 表 示 さ れ て い る デ ー タ は 、 す で に
PowerPivot for Excel 上にインポートした(データ転送した)データなので、ここでフィルター
を設定するよりも、ウィザードでのデータのインポート時にフィルターを設定することをお勧めし
ます(データ転送量を減らすことができます)。また、PowerPivot for SharePoint や Analysis
Servcies テーブル モデルを利用してデータのインポートをバッチ実行することもお勧めの方法
です。
2.4
ピボット テーブルの作成
ピボット テーブルの作成
次に、インポートしたデータをもとにピボット テーブルを作成してみましょう。
1.
ピボット テーブルを作成するには、次のように PowerPivot ウィンドウで[ピボット テー
ブル]から「ピボット テーブル」をクリックします。
1
2.
これにより、Excel 側のウィンドウに切り替わり、
[ピボット テーブルの作成]ダイアログが
表示されます。
1
2
このダイアログでは、
「新しいワークシート」を選択して、[OK]ボタンをクリックします。
3.
これにより、次のように[PowerPivot フィールドの一覧]が表示されます。
フィールド(列)
一覧
ピボット テーブル
垂直スライサー
水平スライサー
列ラベル
レポート フィルター
行ラベル
Σ値
フィールド一覧には、インポートしたテーブルの列が表示され、この列を「Σ 値」や「列ラ
ベル」、
「行ラベル」へ配置していくことでピボット テーブルが完成します。
4.
「Σ 値」には、計算を行いたい列を配置するので、次のように「受注明細」テーブルの「受
注金額」列をチェックします。
3
4
2
受注金額の全体合計が
2,982万 1530円 と計算される
1
Σ 値に受注金額
が追加される
数値が格納されている列は、チェックボックスをチェックすることで自動的に「Σ 値」に配
置されて、合計(SUM)が計算されます。受注金額を配置すると、受注金額の合計が 2,982
万 1,530 円と計算されていることを確認できます。この値を通貨形式にする(¥マーク付き
で 3 桁ごとにカンマ区切りで表示する)には、通常の Excel の操作と同様、リボンの[ホー
ム]タブから「通貨表示形式」ボタンをクリックします。
5.
次に、「商品区分」テーブルの「区分名」列をチェックします。
2
1
商品区分ごとの受注金額の
合計が計算される
行ラベルに区分名
が追加される
文字データが格納されている列は、チェックボックスをチェックすることで自動的に「行ラベ
ル」に配置されます。
商品区分と年のクロス集計
6.
次に、「受注」テーブルの「年」列(PowerPivot ウィンドウで FORMAT 関数で取得した年
データ)を「列ラベル」へドラッグ&ドロップして配置します。
2
年ごとの集計
が追加される
1
「年」列のデータ(2005 や 2006、2007)は、チェックボックスをチェックした場合は「行
ラベル」へ配置されてしまうので、ドラッグ&ドロップして「列ラベル」へ配置しています。
これで、商品区分ごと・年ごとのクロス集計結果を表示できるようになりました。
商品階層(区分 → 商品名)の表示
7.
次に、「商品」テーブルの「商品名」列をチェックします。
1
2
区分内の商品ごとの
集計が追加される
行ラベルに商品名
が追加される
これにより、行ラベルに商品名が配置されて、区分内の商品ごとの集計結果を表示できるよう
になります。
2.5
フィルターや並べ替えの設定
トップテン フィルターの設定
PowerPivot のピボット テーブルは、通常の Excel のピボット テーブルと同様、フィルターを
設定したり並べ替えを行ったりすることができます。
フィルターで便利なのが、上位 N 件のみを取得できる「トップテン フィルター」です。これを商
品ごとの上位 N 件に設定するには、次のように任意の商品名を右クリックして、
[フィルター]の
「トップテン」をクリックします。
1
任意の商品名を
右クリック
2
3
4
[トップテン フィルター(商品名)]ダイアログが表示されたら、上位 3 件のみを表示するよう
に「3」と入力して、
[OK]ボタンをクリックします。
結果は、次のように表示されます。
区分内の商品ごとの
上位 3件のみが表示される
区分内の商品ごとに受注金額の上位 3 件のみが表示されていることを確認できます。
並べ替えの設定
ピボット テーブルでは、行ラベルや列ラベル、Σ値で並べ替えを行うことができます。区分内の商
品ごとに受注金額(総計)が大きい順(降順)に並べ替えるには、次のように商品の総計値を右ク
リックして、[並べ替え]から「降順」をクリックします。
1
総計の値を
右クリック
2
結果は、次のように並べ替えられて表示されます。
総計金額の高い順に
並べ替えられる
フィルターのクリア
設定したフィルターをクリア(解除)するには、次のように任意の商品名を右クリックして、[フ
ィルター]の「"商品名"からフィルターのクリア」をクリックします。
1
任意の商品名を
右クリック
2
折りたたみ/展開
行ラベルや列ラベルへ複数のフィールド(列)を配置している場合は、折りたたみや展開をまとめ
て行うことができます。現在は、区分名 → 商品名 と表示されているので、商品名をまとめて折
りたたむには、次のように区分名を右クリックして、[展開/折りたたみ]の「フィールド全体の
折りたたみ」をクリックします。
1
区分名を
右クリック
2
これで、区分名のみを表示できるようになります。
フィールド(列)の削除
行ラベルや列ラベル、Σ値へ配置したフィールド(列)を削除したい場合は、次のようにフィール
ドの隣「▼」ボタンをクリックまたはフィールドを右クリックして、「フィールドの削除」をクリ
ックします。
2
1
上の画面では、行ラベルから「商品名」列を削除しているので、次のように行ラベルには区分名の
みが表示されるようになります。
年階層(年 → 月)の表示
8.
次に、商品階層の表示と同じように、年階層(年 → 月)も表示してみましょう。「受注」テ
ーブルの「月」列を[列 ラベル]へドラッグ&ドロップして、
「年」の下へ配置します。
2
年内月ごとの
集計が追加される
1
これにより、列ラベルに月が配置されて、年内の月ごとの集計結果を表示できるようになりま
す。
2.6
ダイアグラム ビューの表示、階層の作成
ダイアグラム ビューの表示、階層の作成
次に、SQL Server 2012 の PowerPivot からの新機能である「ダイアグラム ビュー」と「階層」
を試してみましょう。
1.
ダイアグラム ビューを表示するには、次のように[ダイアグラム ビュー]ボタンをクリック
します。
1
ズームの調整
ダイアグラム ビュー
が表示される
リレーションシップ
をグラフィカルに設
定可能
ダイアグラム ビューでは、リレーションシップをグラフィカルに表示/設定することができ
ます。
次に、階層を作成してみましょう。「受注」テーブルの「年」と「月」を Ctrl キーを押しな
がら選択し、次のように右クリックして、
[階層の作成]をクリックします。
↓
2.
1
3
2
階層の名前は、任意に設定(画面は年階層と入力)します。
3.
作成後は、リボンの[データ ビュー]ボタンをクリックして、データ ビュー(既定で表示さ
れるテーブル形式のビュー)へ戻しておきます。
1
4.
次に、Excel 側へ戻ると、[フィールドの一覧]ウィンドウにデータが変更された主旨の警告
が表示されているので、
[最新の情報に更新]をクリックします。
1
5.
これにより、
「受注」テーブルの下に、作成した階層(年階層)が表示されるようになります。
1
6.
次に、[列ラベル]へ配置している「年」および「月」の[▼]ボタンをそれぞれクリックし
て、次のように[フィールドの削除]で削除します。
1
7.
[列ラベル]が空になったら、今度は階層(年階層)を[列ラベル]へ配置します。
1
8.
これにより、列ラベルには、年(階層の一番上に設定したもの)が表示されることを確認でき
ます。
まず「年」が表示されて
+ ボタンで展開できるよ
うになっている
9.
次に、年を展開すると、月が表示されて、月ごとの受注金額を表示できることを確認します。
年を展開すると
月ごとの受注金額
が表示される
このように、年と月のように一緒に利用する(階層関係があってドリルダウンして利用する)
ことが多いフィールドに対しては、「階層」を作成しておくことで、それを配置するだけで両
方参照できるようになるので便利です。
確認後は、今後の自習書の手順をわかりやすくするために、[列ラベル]から「年階層」フィ
ールドを削除して、「年」フィールドのみを配置しておいてください。
2.7
列とテーブルの非表示設定
列とテーブルの非表示設定
SQL Server 2012 の Power Pivot では、Excel などのクライアント ツール側で使用しない列や
テーブルを非表示に設定することができるようになりました。これも試してみましょう。
1.
ここでは、
「受注明細」テーブルの「割引」列を非表示にしてみます。次のように、
「受注金額」
テーブルを表示して、「割引」列上で右クリックし、[クライアント ツールに非表示]をクリ
ックします。
1
これによって、
「割引」列がグレー表示に変わります。
これで、割引列は、Excel や PowerView 側のフィールド一覧からは表示されないようにな
ります。
2.
次に、「受注」テーブルの「出荷先住所 1」から「運送料」までの列をマウスをドラッグして
選択し、右クリックをして[クライアント ツールに非表示]をクリックします。
1
すべての列がグレーに変わって、まとめて非表示に設定することができたことを確認できます。
3.
次に、テーブルを非表示に設定してみましょう。次のように[運送会社]テーブルのタブを右
クリックして[クライアント ツールに非表示]をクリックします。
1
↓
「運送会社」タブがグレーに変わっていることを確認できます。これで、Excel などのクライ
アント ツール側からは運送会社テーブルが表示されないようになります。
4.
次に、非表示に設定した列やテーブルが実際に表示されないことを、ピボット テーブル側か
ら確認してみましょう。Excel 側へ戻ると、次のように[PowerPivot フィールドの一覧]
に「PowerPivot データが変更されました」と表示されていることを確認できるので、
[最新
の情報に更新]ボタンをクリックして、フィールドの一覧情報を最新のものに更新します。
→
1
前の手順で非表示に設定した列やテーブルが表示されなくなったことを確認できます。
2.8
ピボット テーブルのデザインの変更
ピボット テーブルのデザインの変更
ピボット テーブルは、通常の Excel での操作と同様、「デザイン」タブから簡単にデザインを変
更することができます。
1
2
行ラベルや列ラベルごとの総計を計算するかどうかや、レポートのレイアウトは、次のように変更
することができます。
レポートのレイアウト
既定はコンパクト形式
総計を表示するか
どうかの設定
Excel 2003 の既定値の
表形式で表示したい場合
はこちらへ設定
2.9
ピボット グラフの追加
ピボット グラフの追加
ピボット テーブルには、連動して動作するピボット グラフを追加することができます。ピボット
グラフは、通常の Excel での操作と同様、
[挿入]タブから追加することができます。
1
2
グラフが追加
される
このピボット グラフは、ピボット テーブルと連動して動作し、ピボット テーブルの行ラベルや
列ラベルに配置したフィールドを変更すると、ピボット グラフにも反映されます。
ピボット グラフのスタイルを変更する
ピボット グラフのスタイルは、通常の Excel での操作と同様、[デザイン]タブから簡単に変更
することができます。
1
スタイルの変更
2.10 ピボット テーブルの見栄えをよくするには
データ バーの追加
ピボット テーブルは、データ バーを追加することで、見栄えを良くすることができます。データ
バーは、Excel 2007 から搭載された大変便利な機能です。
データバーを追加するには、次のように[ホーム]タブから[条件付き書式]の[データ バー]
をクリックします。
2
3
4
1
ドラッグして
データを選択
データバーが
追加される
スパークラインの追加(Excel 2010 からの新機能)
スパークラインは、Excel 2010 から提供された新機能で、セル内に簡易グラフ(縦棒、折れ線、
勝敗)を表示できる大変便利な機能です。スパークラインを追加するには、次のように[挿入]タ
ブから[スパークライン]セクションでスパークラインとして追加したいグラフの種類(画面は 縦
棒)をクリックします。
1
3
2
ココをクリック
すると、次のように[スパークラインの作成]ダイアログが表示されるので、グラフを作成したい
データの範囲を選択します。
1
↓
↓
2
ここでは、飲料区分の 2005/2006/2007 年のデータを選択したので、次のようにグラフが作成
されます。
2005年
2006年
2007年
ドラッグして
コピー
↓
他の区分にもスパーク
ラインが追加される
スパークラインのデザインを変更する
スパークラインは、[デザイン]タブから簡単にスタイルを変更することができます。
色の変更
種類の変更
頂点の区別
スタイル
の変更
縦棒は、行の高さ
を広げると見栄え
がよくなる
「頂点(山)」をチェックすれば最大値、「頂点(谷)」をチェックすれば最小値を色分けすること
ができます。また、スパークラインは、セルの高さ(行の高さ)を大きくすることで見栄えを良く
することができます。
スパークラインは時系列データの推移を表現するのに便利
スパークラインは、時系列データの推移を表現したい場合に大変便利です。たとえば、次のような
月ごとの売上金額の推移をスパークラインとしてグラフ化すると見栄えが良いものになります。
このピボット テーブルは、次のように「列ラベル」に「月」、
「行ラベル」に「年」、
「Σ 値」に「受
注金額」を配置したものです。
2.11 スライサーによる表示データの絞り込み
スライサーによる表示データの絞り込み
スライサーは、Excel 2010 から提供された新機能で、表示するデータを簡単にフィルターする(絞
り込む)ことができる大変便利な機能です。PowerPivot for Excel では、スライサーを設定しや
すくするために、PowerPivot フィールドの一覧に「垂直スライサー」と「水平スライサー」が用
意されています。
それでは、これを試してみましょう。まずは、「区分名」を「垂直スライサー」へドラッグ&ドロ
ップして配置します。
1
垂直スライサー
に区分名が追加
される
これにより、ピボット テーブルの左側へ縦(垂直方向)に区分名のデータが表示されます。次の
ようにスライサー内のデータをクリックすると、フィルターを行う(絞り込む)ことができます。
選択した区分のデータ
のみ表示される
Ctrl キーを押しながら
複数の項目を選択できる
フィルターを解除するには
フィルターを解除する(すべてのデータを選択した状態へ戻す)には、右上の「フィルターのクリ
ア」ボタンをクリックします。
↓
1
スライサーのスタイルを変更するには
スライサーのスタイルや色、高さ、幅などは、[オプション]タブから簡単に変更することができ
ます。
1
スタイルの
変更
高さや幅
列数の変更
垂直スライサーへ列を追加する
スライサー内には、複数の列を追加することができます。「社員」テーブルの「在籍支社」を垂直
スライサーへ追加して、在籍支社でも絞り込みができるようにしてみましょう。
1
垂直スライサー
に在籍支社が追
加される
水平スライサーを追加する
水平スライサーを利用すると、ピボット テーブルの上部へ横(水平方向)にスライサーを追加す
ることができます。ここでは、次のように「年」と「月」を水平スライサーへ追加してみましょう。
水平スライサーに年と月
が追加される
1
既定では、3 つのデータが表示されるように高さが設定されていますが、次のように任意の大きさ
に変更して、見栄えを良くすることができます。
ドラッグして、スライサー
の高さを小さくする
↓
高さに合わせて
列数が自動的に調整される
列数を手動で変更したい場合は
「オプション」タブから行う
スライサーの連動
スライサーは、親子関係のあるデータは、連動して動作します。たとえば、区分名 → 商品名とい
う親子関係の場合は、次のように動作します。
スライサーの連動
↓
魚介類の商品が上位に表示されて
選択された状態になる
区分名を「魚介類」に絞り込むと、商品名も「魚介類」の商品のみが選択された状態になります。
STEP 3. PowerPivot for Excel の
便利な操作方法
この STEP では、PowerPivot for Excel を利用する上で役立つ便利な操作方法を
説明します。
この STEP では、次のことを学習します。

4 つのピボット グラフを配置

Web ページ(HTML ファイル)からのテーブル作成

Excel シートからのテーブル作成

計算の種類の変更

集計方法の変更

前年比の計算

KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)機能

並べ替え列の設定

PowerPivot for Excel ファイルの実体
3.1
この Step で作成するピボット テーブル/グラフ
この Step で作成するピボット テーブル/グラフ
この Step では、次のピボット テーブル/グラフを作成する手順を説明します。
4 つのピボット グラフを配置
計算の種類の変更、集計方法の変更
(比率や累積比率、平均、カウント、最大値、最小値など)
KPI の利用
KPI を利用して、目標に対する
達成の度合いをグラフィカルな
アイコンで表示
3.2
4 つのピボット グラフを配置
4 つのピボット グラフを配置
まずは、次のように 4 つのピボット グラフを配置する方法を説明します。
4 つのピボット グラフを配置するには、PowerPivot ウィンドウで「ピボット テーブル」から「4
つのグラフ」をクリックします。
1
[4 つのピボットグラフの作成]ダイアログが表示されたら、「新しいワークシート」を選択しま
す。
1
2
これにより、新しいワークシートに 4 つのピボット グラフが表示されます。
フィールド(列)
一覧
4つのグラフが
追加される
垂直スライサー
水平スライサー
レポート フィルター
凡例フィールド
(系列)
軸フィールド
(カテゴリ)
Σ値
1 つ目のグラフの設定
1 つ目(左上)のグラフを選択して、次のように「凡例フィールド」に「年」
、
「軸フィールド」に
「区分名」、
「Σ 値」に「受注金額」を設定します。
凡例フィールド
に年
軸フィールド
に 区分名
Σ 値に
受注金額
グラフの種類の変更
次に、グラフの種類を「積み上げ縦棒」へ変更します。グラフの種類を変更するには、通常の Excel
での操作と同様、次のようにグラフを右クリックして、
「グラフの種類の変更」をクリックします。
2
「積み上げ縦棒」
を選択
1
スタイルの
変更
レイアウトの
変更
積み上げ棒グラフ
へ変更された
グラフのレイアウトやスタイルについても、通常の Excel での操作と同様、
[デザイン]タブや[レ
イアウト]タブから簡単に変更することができます。
2 つ目のグラフを折れ線グラフへ設定
次に、2 つ目のグラフ(右上)のグラフを次のように折れ線グラフへ設定します。
グラフの種類を
折れ線 に変更
凡例フィールド
に年
軸フィールド
に月
Σ 値に
受注金額
「凡例フィールド」に「年」
、
「軸フィールド」に「月」
、
「Σ 値」に「受注金額」を設定して、グラ
フの種類を「折れ線」へ変更し、月ごとの受注金額の推移を表示するようにします。
3 つ目のグラフを円グラフへ設定
3 つ目(左下)のグラフは、社員の在籍支社ごとの受注金額を円グラフで表示するようにします。
グラフの種類を
円 に変更
軸フィールド
に 在籍支社
Σ 値に
受注金額
4 つ目のグラフを棒グラフへ設定
4 つ目(右下)のグラフは、得意先の都道府県ごとの受注金額を棒グラフで表示するようにします。
グラフの種類は
縦棒のまま
軸フィールド
に 都道府県
Σ 値に
受注金額
スライサーの設定
最後に、任意の水平スライサーおよび垂直スライサーを配置して、完成です。
配置したスライサーは、次のように 4 つのグラフすべてに連動して、動作します。
3.3
Web ページ(HTML ファイル)からのテーブル作成
Web ページ(HTML ファイル)からのテーブル作成
PowerPivot for Excel には、Web ページ(HTML ファイル)や Excel ファイル(ワークシート)
からコピーしたデータをピボット テーブル/グラフのデータソース(テーブル)として作成でき
る便利な機能があります。為替などの各種変動するデータを Web ページから取得したり、普段
Excel で利用しているデータを取得したりできるので、大変便利です。
ここでは、サンプル スクリプトにある Web ページ(Perf_Area.htm ファイル)をテーブルと
して作成してみましょう。
この HTML ファイルには、県のエリア(北海道や東北、関東、近畿、四国など)を設定していま
す。このファイルのデータを次のようにドラッグしてすべて選択して、コピーします。
次に、PowerPivot ウィンドウへ移動して、「貼り付け」ボタンをクリックします(このボタンは
クリップボードにデータがある場合にのみ有効化されて、データがない場合にはグレーアウトされ
ています)
。
1
ペーストするデータ
のプレビュー
2
3
これにより、[貼り付けプレビュー]ダイアログが表示されて、ペーストするデータのプレビュー
が表示されます。また「先頭の行を列見出しとして使用する」をチェックすることで、先頭の行を
列ヘッダーとして利用できるようになります。
[OK]ボタンをクリックすると、PowerPivot ウィンドウにタブが 1 つ追加されて、既定では「テ
ーブル」という名前が設定されます(名前を変更するには、タブを右クリックして、
「名前の変更」
をクリックします)。
HTML ファイルからコ
ピーした都道府県情報
1
リレーションシップの作成
次に、貼り付けた HTML ファイル(テーブル)と得意先テーブルとのリレーションシップを設定
します。リレーションシップを設定しない場合は、受注金額との関連性が分からないため、分析軸
としては利用できないからです。リレーションシップを作成するには、次のように「得意先」テー
ブルを開いて、
「都道府県」列を右クリックして、
「リレーションシップの作成」をクリックします。
2
1
3
4
[リレーションシップの作成]ダイアログでは、[テーブル]で「得意先」、[列]で「都道府県」
が設定されていることを確認して、[関連する参照テーブル]で「テーブル」、[関連する参照列]
で「ken」を設定します。
リレーションシップの確認
作成したリレーションシップおよび既存のリレーションシップは、「デザイン」タブの「リレーシ
ョンシップの管理」ボタンから確認することができます。
1
2
作成したリレーショ
ンシップの確認
Note: ダイアグラム ビューでのリレーションシップ作成と管理
リレーションシップは、次のように、ダイアグラム ビューからも作成することができます。たとえば、次のように「得
意先」テーブルの「都道府県」列から「テーブル」の「ken」列へドラッグ&ドロップすると、前の手順と同様のリレー
ションシップを作成することができます。
1
拡大/縮小表示の調整
2
ドラッグ&ドロップ
また、次のように、作成したリレーションシップをダブル クリックすると、
[リレーションシップの編集]ダイアログが
表示されて、内容を確認したり、編集したりすることができます。
1
ダブル クリック
作成したリレーションシップを選択して、Del キーを押下すると、リレーションシップを削除することもできます。
ピボット テーブルの作成
次に、
「ピボット テーブル」から「ピボット テーブル」をクリックして、新しいピボット テーブ
ルを作成します。
1
2
3
ピボット テーブルには、「テーブル」(HTML ファイルからコピーした都道府県エリア情報)の
「area」と「ken」列を行ラベルおよび垂直スライサーへ配置します。
垂直スライサー
に area と ken
行ラベル
に area と ken
列ラベル
に年
Σ 値に
受注金額
関東、近畿、九州、四国など
のエリアごとに都道府県ごと
の集計を表示できる
都道府県のエリア(関東や近畿、九州、四国など)ごとにデータ分析が行えるようになったことを
確認できます。このように PowerPivot for Excel では、Web ページのデータを基にテーブルを
簡単に作成できるので、データベース内に存在しない分析軸でも簡単に分析ができるようになりま
す(今回の NorthwindJ データベースには、都道府県のエリアの情報が格納されているテーブル
は存在していません)
。
Note: ピボット テーブルの作成時にスライサーの追加でエラーが出る場合
ピボット テーブルの作成時に、「Σ 値」や「列ラベル」、
「行ラベル」先に「スライサー」を追加しようとすると、次の
ようなエラーが出ることがあります。
一度このエラーが出てしまうと、ピボット テーブルを作成し直してもエラーが出るようになり、スライサーが追加でき
なくなってしまいます。
この場合は、次のようにリボンの[オプション]タブにある[更新]ボタンをクリックすることで回避できます。
詳しくは、マイクロソフトのサポート技術情報の「KB 2022522」を参考にしてください。
http://support.microsoft.com/kb/2022522
3.4
Excel シートからのテーブル作成
Excel シートからのテーブル作成
前の Step の Web ページの場合と同様、PowerPivot for Excel には、Excel ファイル(ワーク
シート)からコピーしたデータをピボット テーブル/グラフのデータソース(テーブル)として
作成することもできます。これにより、普段 Excel で利用しているデータを分析軸として利用で
きるようになるので、大変便利です。
ここでは、サンプル スクリプトにある Excel ファイル(accounts.xlsx ファイル)をテーブル
として作成してみましょう。
このファイルには、得意先の情報が格納されています。この得意先データを次のようにドラッグし
てすべて選択し、コピーします。
次に、PowerPivot ウィンドウへ移動して、
「貼り付け」ボタンをクリックします。
1
ペーストするデータ
のプレビュー
2
3
[貼り付けプレビュー]ダイアログが表示されて、ペーストするデータのプレビューが表示さ
れます。
[OK]ボタンをクリックすると、PowerPivot ウィンドウにタブが 1 つ追加されて、
今度は「テーブル 1」という名前が設定されます(名前を変更するには、タブを右クリック
して、「名前の変更」をクリックします)
。
Excel ファイルからコ
ピーした得意先情報
1
次に貼り付けた得意先情報(テーブル 1)と受注テーブルのリレーションシップを作成します
が、その前に NorthwindJ データベースからインポートした「得意先」テーブルを削除して
おきます。削除を行うには、次のように「得意先」タブを右クリックして、[削除]をクリッ
クします。
2
1
削除の確認ダイアログが表示されたら[はい]をクリックしてデータを削除します。
次に、リレーションシップを作成するために、「受注」タブをクリックして「受注」テーブル
のデータを開き、
「得意先コード」を右クリックして、
「リレーションシップの作成」をクリッ
クします(得意先コードで関連付けします)
。
2
3
1
4
[リレーションシップの作成]ダイアログでは、[テーブル]で「受注」、[列]で「得意先コ
ード」が設定されていることを確認して、
[関連する参照テーブル]で「テーブル 1」、
[関連
する参照列]で「得意先コード」を設定します。これで Excel ファイルからコピーした得意
先データ(テーブル 1)を分析軸として利用できるようになります。
Note: リンク テーブル機能(Excel ワークシートへ直接リンク)
PowerPivot for Excel では、Excel のワークシートへ直接リンクする「リンク テーブル」機能もあります。これを利用
すれば、ワークシートが編集されたとしても、そのデータを PowerPivot 側でそのまま利用することができます。リン
ク テーブルを利用するには、次のようにリンク テーブルへ設定したい Excel 上のワークシートを開いて、
「PowerPivot」タブから「リンク テーブルの作成」をクリックします。
2
3
1
これにより、PowerPivot ウィンドウが開き、ワークシートの内容が表示されたテーブル(リンク テーブル)が作成さ
れます。
自動更新にするか
どうか
リンク テーブルにはチェーン
の形のアイコンが付く
リンク テーブルは、
「リンク テーブル」タブを利用して自動更新の設定や手動更新の場合のデータ更新(Update)など
を行うことができます。デフォルトでは、「自動更新モード」に設定されているので、ワークシートのデータを変更する
↓
と、PowerPivot 上のリンク テーブルのデータも自動更新されるようになっています。
1
2
Excel ワークシート
のデータを更新
リンク テーブル側
も自動更新される
3.5
計算の種類の変更
計算の種類の変更
PowerPivot for Excel の「Σ 値」へ配置したフィールド(計算対象の列)は、通常の Excel での
ピボット テーブルと同様、計算の種類を変更することができます。これにより、構成比率や累積
構成比率などを簡単に表示できるようになります。
構成比率や累積構成比率
を追加
それでは、これを試してみましょう。まずは、PowerPivot ウィンドウの「ピボット テーブル」
から「ピボット テーブル」をクリックして、新しいピボット テーブルを作成します。
1
2
3
次に、
「行ラベル」に「商品名」、
「水平スライサー」に「区分名」、「Σ 値」に「受注金額」を配置
して、区分ごとの商品一覧が表示できるようにします。
水平スライサー
の 区分名
商品ごとの
受注金額の合計
水平スライサー
に 区分名
行ラベル
に 商品名
Σ 値に
受注金額
次に、
「区分名」スライサーから「飲料」区分のみ選択し、Σ 値の「受注金額」を右クリックして、
[並べ替え]から「降順」をクリックして受注金額の大きい順に並べ替えを行います。
1
飲料 区分
のみを選択
受注金額の大きい
順に並べ替え
受注金額を
右クリック
↓
2
3
次に、Σ 値へ「受注金額」をもう 1 つ配置します。
1
2つ目の受注金額
が追加される
計算の種類を比率へ変更する
次に、2 つ目の受注金額を右クリックして、[計算の種類]から「列集計に対する比率」をクリッ
クします。
1
受注金額を
右クリック
2
これにより、列集計に対する比率へ計算方法を変更することができます。
列集計に対する
比率
列集計
最後に、ヘッダーをダブル クリックして、ヘッダーの名前を「構成比率」へ変更しておきます。
1
ヘッダーを
ダブル クリック
↓
1
2
累積比率の追加
計算の種類では、累積比率も選択することができます。これを行うには、Σ 値へもう 1 つ「受注
金額」を追加し、追加した受注金額を右クリックして、[計算の種類]から「比率の累計」をクリ
ックします。
1
受注金額を
右クリック
3
2
[計算の種類]ダイアログが表示されるので、[基準フィールド]で「商品名」が選択されている
ことを確認して、
[OK]ボタンをクリックします。
これにより、累積構成比率を計算することができます(結果は、データ バーを追加すると見栄え
が良くなります)
。
累積構成比率
データバーを追加
パレート図(ABC 分析)の作成
ピボット テーブルで作成した「受注金額の合計」と「累積構成比率」をコピーして別シートへ貼
り付け、次のように 2Y 軸グラフ(累積構成比率を第 2 軸へ設定)を作成すれば、パレート図(ABC
分析グラフ)も簡単に作成することができます。
パレート図
(ABC 分析)
3.6
集計方法の変更
集計方法の変更
「Σ 値」へ配置したフィールド(計算対象の列)は、通常の Excel でのピボット テーブルと同様、
集計方法を変更することもできます(既定値は合計)。これにより、平均やカウント(行数)、最大
値、最小値なども表示できるようになります。
平均やカウント、最大値、
最小値を追加
それでは、これを試してみましょう。前の Step で利用したピボット テーブルの「Σ 値」へ「受
注金額」をもう 1 つ配置します。
受注金額を
もう 1つ追加
2
1
追加した受注金額
をクリック
配置した受注金額をクリックまたは右クリックして、「集計の方法」から「平均」をクリックしま
す。これで集計方法を平均へ変更することができます。
合計ではなく
平均が計算される
同様に、「Σ 値」へ「受注金額」を追加して、
「カウント」
(行数)や「最大値」、
「最小値」も取得
してみましょう。
Note: DistinctCount
[集計の方法]では、[DistinctCount]を選択することも可能です。
3.7
前年比の計算
前年比の計算
計算の種類では、「差」や「比率の差」を設定することもできるので、前年比を計算することも簡
単に行えます。
前年比を追加
それでは、これを試してみましょう。まずは、PowerPivot ウィンドウの「ピボット テーブル」
から「ピボット テーブル」をクリックして、新しいピボット テーブルを作成します。
1
2
3
次に、
「行ラベル」に「区分名」、
「列ラベル」および「水平スライサー」に「年」、
「Σ 値」に「受
注金額」を配置して、区分ごと・年ごとの受注金額を表示できるようにします。
水平スライサー
に年
列ラベル
に年
行ラベル
に 区分名
Σ 値に
受注金額
次に、Σ 値へ「受注金額」をもう 1 つ配置します。
1
2つ目の受注金額
が追加される
前年との差を表示(基準値との差分)
次に、2 つ目の受注金額を右クリックして、[計算の種類]から「基準値との差分」をクリックし
ます。
1
追加した受注金額
を右クリック
2
3
[計算の種類]ダイアログでは、[基準フィールド]に「年」、[基準アイテム]に「(前の値)」を
選択して[OK]ボタンをクリックします。これで、前年との差(金額の差)を計算できるように
なります。
前年との差が
計算される
前年比を表示(基準値との差分の比率)
[計算の種類]で「基準値との差分の比率」をクリックした場合は、差分の比率(前年比)を計算
できるようになります。
前年比
前年比は、アイコン セット(Excel 2007 からの新機能)を利用すると見栄えが良くなります。
1
2
3
「条件付き書式」から
「アイコン セット」を追加
Note: [PowerPivot フィールドの一覧]からメジャー(DAX 式)の追加
[PowerPivot フィールドの一覧]では、DAX 式を利用したメジャー(計算メジャー)を追加することも可能です。こ
れを行うには、次のようにメジャーを追加したいテーブルを右クリックして、「新しいメジャーの追加」をクリックしま
す。
1
' と入力すると
テーブル名と列の
一覧が表示される
これにより、
[メジャーの設定]ダイアログが表示されます。この式では、
「'テーブル名'[列名]」のようにテーブル名を 単
一引用符(')で囲んで指定するので、' と入力すると、インテリセンス機能が働いて、テーブルとその中の列の一覧が
表示されます(選択した値を確定するには Tab キーを押下します)
。
式は、
「=SUMX('受注明細', '受注明細'[単価] * '受注明細'[数量])」のように記述すると(SUMX 関数)
、単価と数量を
かけ算した結果(受注金額)を計算することができます。
↓
単価 * 数量を
計算した結果
また、次のように式を「='受注明細'[受注金額 の合計] / CALCULATE('受注明細'[受注金額 の合計], ALL('商品区分'[区
分名]))」と設定すれば、売上比率を計算することもできます。
↓
このように[PowerPivot フィールドの一覧]からも計算式を追加することができるので大変便利です。
3.8
KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)機能
KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)機能
SQL Server 2012 の PowerPivot では、KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)
をグラフィカルに設定することができるようになりました。たとえば、次の例では、目標金額に対
して、受注金額がどれだけ達成できたのかをグラフィカルなアイコンで表示しています。
KPI を利用して、目標に対する
達成の度合いをグラフィカルな
アイコンで表示
それでは、これを試してみましょう。まずは、サンプル スクリプトの「TargetVal.xlsx」ファイ
ルを Excel 2010 で開きます。このファイルには、次のように区分ごとの売上の目標金額が格納
されています。
2006年の
区分ごとの
目標金額
3
2
4
5
1
データを確認したら、シート名(Sheet1)を右クリックして、
[移動またはコピー]をクリックし
ます。
[シートの移動またはコピー]ダイアログが表示されたら、
[移動先ブック名]で今で利用し
てきた Excel ファイル名(ここでは、Book1.xlsx)を選択、
[挿入先]で「(末尾へ移動)」を選
択し、[コピーを作成する]をチェックして、[OK]ボタンをクリックします。
これでこのシートを丸ごと「Book1.xlsx」ファイルへコピーできます。
コピーが完了したら、
「Book1.xlsx」ファイルへ移動して、コピーしたシートを開きます。
2
3
1
選択
区分コードから目標金額までのデータを上画面のようにドラッグして選択し、リボンの
[PowerPivot]タブから「リンク テーブルの作成」をクリックします。
これにより、PowerPivot ウィンドウが表示されて、リンク テーブルが作成されていることを確
認できます。
3
2
「目標金額」列
をクリック
4
目標金額の合計が
作成される
1
リンク テーブルが作成
される。テーブル名を
「目標金額」へ変更する
リンク テーブルの名前を「目標金額」など分かりやすい名前へ変更して、
「目標金額」列をクリッ
クし、リボンの[Σ オート SUM]メニューの「Σ 合計」をクリックします。
これにより、「目標金額の合計」が作成されます。
次に、「区分コード」列を右クリックして、
[リレーションシップの作成]をクリックします。
1
2
3
[リレーションシップの作成]ダイアログでは、[関連する参照テーブル]で「商品区分」、[関連
する参照列]で「区分コード」を選択して、[作成]ボタンをクリックします。これで、商品区分
テーブルの区分コード列と、目標金額の区分コード列を関連付けることができます。
次に、「受注金額」の合計値を追加します。次のように「受注金額」列内の任意の行をクリックし
て、
[Σ オート SUM]メニューの[Σ 合計]をクリックします。
3
2
4
1
これによって、「受注金額」列の下部ウィンドウに受注金額の合計値が追加されます。画面では、
名前は「受注金額の合計 6」へ設定されていますが、これは、これまでピボット テーブルを作成
してきて、自動的に内部作成されている受注金額の合計に対して「受注金額の合計 X」
(x は連番)
という名前が設定されているためです。
次に、追加された「受注金額の合計 6」を選択します。
2
1
選択後、リボンの[KPI の作成]ボタンをクリックします。これで、KPI を作成できるようにな
ります(KPI を作成するには、
「受注金額の合計 6」のように[Σ オート SUM]メニューから手
動作成した集計値が必要になります)
。
[主要業績評価指標(KPI)]ダイアログが表示されたら、次のように[対象の値の定義]で[メ
ジャー]に「目標金額の合計」を選択します。
1
3
任意のアイコン
スタイルを選択
2
4
[対象のしきい値の定義]では、「80%」と「100%」へ設定して、目標金額に対して、80%未
満なら「赤」
、80~100%の間なら「黄色」、100%以上なら「緑」で状態を表示するように設定し
ます。以上で、KPI の設定が完了です。
PowerPivot ウィンドウへ戻ったら、リボンの[ピボット テーブル]メニューから[ピボット テ
ーブル]をクリックして、新しいピボット テーブルを作成します。
1
2
3
[ピボット テーブルの作成]ダイアログでは、
[新しいワークシート]を選択して、
[OK]ボタン
をクリックします。
ピボット テーブルには、次のように[行ラベル]へ「区分名」
、
[Σ値]へ「目標金額の合計」
、
[水
平スライサー]へ「年」を配置します。
4
2006年の
区分ごとの
目標金額を表示
3
1
2
今回の目標金額は、2006 年向けのものなので、水平スライサーに配置した「年」で「2006」を
クリックしておきます。
次に、「受注明細」テーブルを展開して、
[受注金額の合計 6]を展開します。
値と状態
1
目標金額より 100%以上なら 緑
80~100%未満なら 黄色
80%未満なら 赤 で表示される
KPI を設定すると、
「値」、
「状態」、
「対象」が追加されるので、
「値」と「状態」を[Σ値]へ配置
します。これで、受注金額の値と状態(目標金額に対する達成度合い)をピボット テーブル内へ
表示できるようになります。目標金額に対して、80%未満なら「赤」、80~100%の間なら「黄色」、
100%以上なら「緑」で表示されていることを確認できます。
なお、「対象」を[Σ値]へ配置した場合は、KPI では[対象の値の定義]で「目標金額」へ設定
しているので、目標金額がピボット テーブルへ表示されるようになります。
このように、KPI を利用すると、目標値に対する達成の度合いをグラフィカルなアイコンで表示で
きるようになるので、大変便利です。
3.9
並べ替え列の設定
並べ替え列の設定
次に、SQL Server 2012 の PowerPivot からの新機能である「並べ替え列」を試してみましょう。
従来の PowerPivot では、フィールド データは、そのフィールド自身の値で並べ替えられていま
したが、並べ替え列 を利用すれば、別のフィールドでデータを並べ替えられるようになります。
まずは、PowerPivot ウィンドウの[ピボット テーブル]から[ピボット テーブル]をクリック
して、新しいピボット テーブルを作成します。
1
2
3
次のように[行ラベル]へ「商品名」
、
[Σ 値]へ「受注金額」
、
[垂直スライサー]へ「区分名」を
配置して、商品ごとの受注金額を表示するようにします。
4
3
商品ごとの受注金額を表示。
商品名順に表示される
1
2
垂直スライサーでは、「飲料」区分など、任意の区分を選択しておくと、並べ替え列を設定した結
果を確認しやすくなります。
次に、PowerPivot ウィンドウを開いて、
[商品]テーブルを開き、
[商品名]フィールドを選択し
ます。
3
4
2
5
6
1
選択後、リボンの[列で並べ替え]メニューで[列で並べ替え]をクリックします。[列で並べ替
え]ダイアログが表示されたら、
[グループ化]の[列]へ「フリガナ」フィールドを選択して、
[OK]
ボタンをクリックします。これで、商品名をフリガナで並べ替えられるようになります。
設定後、Excel 側へ戻ります。[フィールドの一覧]ウィンドウにデータが変更された主旨の警告
が表示されるので、[最新の情報に更新]をクリックします。
1
最新の情報に更新すると、商品名がフリガナ順(あいうえお順)に並べ替えられていることを確認
できます。
フリガナ順(あいうえお順)
に変更されることを確認
このように、並べ替え列を利用すると、異なる列で並べ替えられるようになるので、大変便利です。
なお、並べ替え列の設定を解除したい場合は、次のように[列で並べ替え]メニューの[列による
並べ替えのクリア]をクリックします。
1
3.10 PowerPivot for Excel ファイルの実体
PowerPivot for Excel ファイルの実体
PowerPivot for Excel で作成したファイルは、通常の Excel ファイルと同様、.xlsx 形式です。
このファイルは、zip 圧縮されているので、拡張子を「.zip」へ変更すると、中身を参照すること
もできます。
↓
2
.zip を
末尾に追加
3
1
「xl\customData」フォルダーが PowerPivot for Excel でインポートしたデータが格納される
領域になります。このように PowerPivot for Excel では、(圧縮した)データを丸ごと Excel フ
ァイル内へ格納しています。
STEP 4. その他のデータソースへの接続
PowerPivot for Excel では、SQL Server だけでなく、前の STEP で試したよう
に Excel ファイルや Web ページをデータソースにすることもできます。また、
Oracle や DB2、Teradata、Sybase、Infomix、Windows Azure SQL データベ
ース、Analysis Services、Reporting Services、Microsoft Access、テキスト フ
ァイルなど、さまざまなデータをデータソースにすることも可能です。この STEP
では、Reporting Services や Windows Azure SQL データベース、Analysis
Services をデータソースとして利用する方法を説明します。
この STEP では、次のことを学習します。

Reporting Services のレポートをデータソースにする方法

Windows Azure SQL データベースをデータソースにする方法

Analysis Services の OLAP キューブをデータソースにする方法
4.1
Reporting Services レポートをデータソースにする方法
Reporting Services レポートをデータソースにする方法
PowerPivot for Excel では、Reporting Services のレポートをデータソースにすることも簡単
に行えます。ここでは、次のように作成した受注明細レポート(Report1)をデータソースへ設定
する手順を説明します。
Reporting Services のレポートをデータソースへ設定するには、レポートを開いて、レポート ツ
ールバーの「データ フィードへのエクスポート」ボタンをクリックします。
1
2
すると、[ファイルのダウンロード]ダイアログが表示されるので「開く」ボタンをクリックしま
す。
これにより、自動的に Excel 2010 が起動して、PowerPivot ウィンドウが開き、
[テーブルのイ
ンポート ウィザード]が開始されます。
1
最初の[データ フィードへの接続]ページでは、
[次へ]ボタンをクリックして、次のページへ進
みます。
次の[テーブルとビューの選択]ページでは、
「プレビューとフィルター」ボタンをクリックして、
プレビュー結果の確認およびフィルター設定を行うことができます。
1
プレビュー結果にレポートのデータが表示されることを確認したら、[完了]ボタンをクリックし
ます。
これにより、レポート データのインポートが開始されます。
2
「成功」と表示されれば、データのインポートが完了です。「閉じる」ボタンをクリックして、ウ
ィザードを終了します。PowerPivot ウィンドウには、レポート データをもとにしたテーブルが
作成されていることを確認できます。
あとは、このテーブルをもとにピボット テーブルやピボット グラフを作成していくことができま
す。このように、PowerPivot for Excel では、Reporting Services のレポートをデータソースに
することも簡単に行えます。
Reporting Services のレポートをデータソースへ設定する別の方法
Reporting Services レポートのデータソースへの設定は、PowerPivot ウィンドウから行うこと
もできます。これを行うには、次のようにツールバーの「レポートから」をクリックします。
1
2
これにより、[テーブルのインポート ウィザード]が開始されます。最初の[Microsoft SQL
Server Reporting Services レポートへの接続]ページでは、
[参照]ボタンをクリックします。
↓
選択したレポートの
内容が表示される
1
2
3
[レポートを開く]ダイアログでは、
「検索対象」へレポート サーバーの URL を入力して、レポ
ートを選択します。これにより、ウィザードへレポートの結果が表示されます。
次の[テーブルとビューの選択]ページでは、
「プレビューとフィルター」ボタンをクリックして、
プレビュー結果の確認およびフィルター設定を行うことができます。
1
プレビュー結果にレポートのデータが表示されることを確認したら、[完了]ボタンをクリックし
ます。
これにより、レポート データのインポートが開始されます。
2
「成功」と表示されれば、データのインポートが完了です。
4.2
Windows Azure SQL データベースをデータソースにする方法
Windows Azure SQL データベースをデータソースにする方法
PowerPivot for Excel では、Windows Azure SQL データベース(以前は SQL Azure と呼ば
れていました)をデータソースにすることも簡単に行えます。Windows Azure SQL データベー
スは、マイクロソフトのクラウド プラットフォームである「Windows Azure プラットフォーム」
の一部として提供されている、クラウド ベースの RDB(リレーショナル データベース)サービ
スです。
Windows Azure SQL データベースは、SQL Server テクノロジーをベースとして構築されてい
るので、SQL Server と非常に高い互換性があるのが大きな特徴です。これにより、クラウド上の
Windows Azure SQL データベースを操作するのも、オンプレミス(ローカル)環境の SQL Server
を操作するのも、ほとんど同じように Transact-SQL(T-SQL)ステートメントを利用して、シー
ムレスに操作することが可能です。同様に、PowerPivot for Excel からも、オンプレミス環境の
SQL Server へアクセスするのとまったく同じように、クラウド上の Windows Azure SQL デー
タベースへアクセスすることができます。
Windows Azure SQL データベースは、以下の管理ポータル サイトからサーバーやログイン ユ
ーザー、データベースの作成などを行うことができます。
https://windows.azure.com/
ログイン ユーザー
のパスワード設定
データベース
の作成
ログイン
ユーザー名
サーバー名
Windows Azure SQL
データベースの
管理ポータルへのリンク
上記は、筆者の Windows Azure SQL データベース上に作成したサーバーとログイン ユーザー
を表示している画面です。データベースの作成は、ツールバーの「作成」ボタンをクリックして行
うことができます(ここでは AzureDB という名前のデータベースをすでに作成済みです。また、
Transact-SQL の CREATE DATABASE ステートメントを利用してもデータベースを作成するこ
とが可能です)
。
Windows Azure SQL デ ー タ ベ ー ス 上 に 作 成 し た デ ー タ ベ ー ス は 、 SQL Server 2012 の
Management Studio を利用して操作することが可能です(データベースの作成から、テーブル
の作成、データの追加/更新/削除/検索などを行うことができます)。接続時には、次のように
指定します。
Windows Azure SQL データ
ベースのサーバー名を入力
SQL Server 認証を選択
ログイン ユーザー名と
パスワードを入力
[サーバー名]へ Windows Azure SQL データベースの管理ポータル サイトで作成したサーバ
ー名を指定し、[認証]に「SQL Server 認証」を選択、[ログイン]と[パスワード]にポータ
ル サイトで作成したログイン ユーザーの名前とパスワードを指定します。また、[オプション]
ボタンをクリックして、次のように[接続プロパティ]ページを表示します。
ここで「暗号化接続」をチェックすることで、SSL(Secure Socket Layer)を利用した暗号化通
信(ネットワーク上を流れるデータの暗号化)ができるようになります。チェック後、「接続」ボ
タンをクリックすれば、Windows Azure SQL データベースへ接続することができます。
データの参照も
簡単に可能
Windows Azure
SQL データベース
上に作成したデー
タベースの中身
通常の SQL Server と同様、オブジェクト エクスプローラーを利用して Windows Azure SQL
データベースの中身を展開することができ、クエリ エディターから Transact-SQL ステートメン
トを実行することができます。
PowerPivot for Excel から Windows Azure SQL データベースのインポート
PowerPivot for Excel から、Windows Azure SQL データベースへアクセスするには、次のよう
に PowerPivot ウィンドウを開いて、ツールバーの「その他のデータソースから外部データを取
り込み」をクリックします。
1
2
3
[データソースへの接続]ダイアログが表示されたら、
「Microsoft SQL Azure」を選択して、
[次
へ]ボタンをクリックします。
次の[Microsoft SQL Azure データベースへの接続]ページでは、
「サーバー名」へ Windows
Azure SQL データベースのサーバー名、
「ユーザー名」と「パスワード」へログインのためのユー
ザー名とパスワードを入力、「データベース名」でアクセスしたいデータベースを選択し、[次へ]
ボタンをクリックします。
1
4
2
3
5
[データのインポート方法の選択]ページでは、「インポートするデータをテーブルとビューの一
覧から選択する」を選択して、
[次へ]ボタンをクリックします。
次の[テーブルとビューの選択]ページでは、データベース内のテーブルが一覧されるので、イン
ポートしたいテーブルをチェックします(ここでは「社員」テーブルをチェックしています)。ま
た、このページでは、「プレビューとフィルター」ボタンをクリックして、プレビュー結果の確認
およびフィルター設定を行うことができます。
1
2
プレビュー結果に Windows Azure SQL データベース上のデータが表示されることを確認したら、
[完了]ボタンをクリックします。
これにより、データのインポートが開始されます。
「成功」と表示されれば、データのインポートが完了です。「閉じる」ボタンをクリックして、ウ
ィザードを終了します。
PowerPivot ウィンドウには、Windows Azure SQL データベース上のデータがインポートされて
いることを確認できます。
あとは、このテーブルをもとにピボット テーブルやピボット グラフを作成していくことができま
す。
このように、PowerPivot for Excel では、Windows Azure SQL データベースをデータソースに
することも簡単に行うことができます。
4.3
Analysis Services OLAP キューブをデータソースにする方法
Analysis Services OLAP キューブ(多次元モデル)をデータソースにする方法
PowerPivot for Excel では、Analysis Services 多次元モデルの OLAP キューブをデータソー
スにすることも簡単に行えます。ここでは、次のように作成した OLAP キューブ(MultiDimen
sionalProject1 データベースの Northwind J キューブ)をデータソースへ設定する手順を説
明します。
Analysis Services の OLAP キューブをデータソースへ設定するには、PowerPivot ウィンドウ
を開いて、ツールバーの「データベース」の「Analysis Services または PowerPivot から」
をクリックします。
1
2
3
4
これにより、[テーブルのインポート ウィザード]が開始されます。最初の[Microsoft SQL
Server Analysis Services に接続します]ページでは、「サーバー名またはファイル名」に
Analysis Services のサーバー名を入力、
「データベース名」で OLAP キューブが格納されている
データベースを選択し、
[次へ]ボタンをクリックします。
次の[MDX クエリの指定]ページでは、「デザイン」ボタンをクリックして、MDX クエリ デザ
イナーを起動します。
MDX クエリ デザイナーが
起動して、キューブ データを
グラフィカルに操作できる
1
OLAP キューブから取得したいデータ(メジャーやディメンション)をドラッグ&ドロップします。
[OK]ボタンをクリックして、MDX クエリ デザイナーを閉じると、GUI で設定したクエリをも
とに MDX ステートメントが自動生成されていることを確認できます。
MDX が生成
されている
1
2
[完了]ボタンをクリックすると、データのインポートが開始されます。
「成功」と表示されれば、
データのインポートが完了です。「閉じる」ボタンをクリックして、ウィザードを終了します。
PowerPivot ウィンドウには、OLAP キューブのデータをもとにしたテーブルが作成されているこ
とを確認できます。
あとは、このテーブルをもとにピボット テーブルやピボット グラフを作成していくことができま
す。
このように、PowerPivot for Excel では、Analysis Services 多次元モデルの OLAP キューブを
データソースにすることも簡単に行うことができます。
なお、Analysis Services 多次元モデルの基本操作や実践的な利用方法については、本自習書シリ
ーズの「Analysis Services 多次元モデル入門・応用」編で詳しく説明しているので、こちらも
ぜひご覧いただければと思います。
4.4
Analysis Services テーブル モデルをデータソースにする方法
Analysis Services テーブル モデル(Tabular Model)をデータソースにする方法
PowerPivot for Excel では、後述する Analysis Services テーブル モードの「テーブル モデ
ル」
(Tabular Model)をデータソースにすることも簡単に行えます。
Analysis Services のテーブル モデルをデータソースへ設定する手順は、OLAP キューブの場合
とほとんど同じです。次のように、PowerPivot ウィンドウでツールバーの「データベース」の
「Analysis Services または PowerPivot から」をクリックします。
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1
3
4
最初のページでは、「サーバー名またはファイル名」に、テーブル モードでインストールした
Analysis Services のサーバー名を入力、
「データベース名」でテーブル モデルが格納されている
データベースを選択し、
[次へ]ボタンをクリックします。
次の[MDX クエリの指定]ページでは、「デザイン」ボタンをクリックして、MDX クエリ デザ
イナーを起動します。
1
MDX クエリ デザイナーでは、テーブル モデルから取得したいデータ(メジャーやディメンショ
ン)をドラッグ&ドロップします。
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2
[OK]ボタンをクリックして、MDX クエリ デザイナーを閉じると、GUI で設定したクエリをも
とに MDX ステートメントが自動生成されていることを確認できます。
2
MDX が生成
されている。
1
3
[完了]ボタンをクリックすると、データのインポートが開始されます。
「成功」と表示されれば、
データのインポートが完了です。「閉じる」ボタンをクリックして、ウィザードを終了します。
PowerPivot ウィンドウには、テーブル モデルのデータをもとにしたテーブルが作成されている
ことを確認できます。
あとは、このテーブルをもとにピボット テーブルやピボット グラフを作成していくことができま
す。
このように、PowerPivot for Excel では、Analysis Services テーブル モードのテーブル モデル
をデータソースにすることも簡単に行うことができます。
なお、Analysis Services テーブル モデルの基本的な操作方法については、本自習書シリーズの
「Analysis Services によるインメモリ BI 入門」編で詳しく説明しているので、こちらもぜひ
ご覧いただければと思います。
STEP 5. PowerPivot の共有
この STEP では、PowerPivot for Excel で作成したファイルを共有する方法につ
いて説明します。
この STEP では、次のことを学習します。

PowerPivot for SharePoint と Power View による共有

Analysis Services テーブル モデル(Tabular Model)による共有
5.1
PowerPivot for SharePoint と Power View による共有
PowerPivot for SharePoint による共有
PowerPivot for SharePoint は、SharePoint Server 2010 と統合されたサーバー側の機能
で、主な特徴は次のとおりです。

作成した分析レポートの「共有」および「セキュアなデータ格納」

Excel Services と統合した Web ブラウザー ベースの共有

共有のための見栄えの良い Web パーツ(Silverlight ベース)

バックグラウンドでのデータ更新(バッチ実行)

サーバー利用状況を監視するためのダッシュボード(CPU 利用率やメモリ使用量、リク
エスト数、利用数の多い上位レポートなどをグラフィカルに表示)
作成した分析レポートの共有
Excel Services による Web ブラウザからの分析レポート参照
Excel Services 機能により、
Web ブラウザから分析レ
ポートを参照可能
PowerPivot for SharePoint は、Excel Services と統合されているので、Web ブラウザーを利
用して分析レポートを参照することができます(Excel 2010 を開くことなく、Web ブラウザー
上でスライサーでのフィルター操作やワークシートの移動なども可能です)
。
もちろん、次のように Excel 2010 での編集も可能で、かつチェックアウト/チェックイン機能
やセキュリティ設定によって、他のユーザーによる同時更新やアクセスの制御を行うことも可能で
す。
Excel 2010 で
の編集
チェックインやチェック
アウトで同時編集を制御
セキュリティ設定により
アクセス制御が行える
また、共有のための見栄えの良い Web パーツ(Silverlight で作成された Web パーツ)として、
「PowerPivot ギャラリー」が提供されているので、分析レポートを一覧しやすくなっています。
Silverlight ベースの
PowerPivot ギャラリー
Silverlight ベースの
PowerPivot ギャラリー
の Carousel ビュー
Silverlight ベースの
PowerPivot ギャラリー
の Theater ビュー
PowerPivot for SharePoint では、そのほかにも、データ更新をバックグラウンドでバッチ実行す
るための機能(夜間にスケジュールしておくなど)や、サーバー利用状況を監視するためのダッシ
ュボード(CPU 利用率やメモリ使用量、リクエスト数、利用数の多い上位レポートなどをグラフ
ィカルに表示)機能なども提供されています。
データ更新は、次のようにスケジュール設定が可能です。
データ更新の管理
(バッチ実行)
データ更新のスケ
ジュール設定
管理ダッシュボードは、次のように利用することができます。
1
CPU やメモリ
使用量
実行時間の長い
クエリ数
ユーザー接続数
やクエリ数
クエリ数やファ
イル サイズ
このように PowerPivot は、PowerPivot for SharePoint と組み合わせることで、複数ユーザー
での共有/同時利用を簡単に行えるようになっています。
PowerPivot for SharePoint のセットアップ方法については、本自習書シリーズの「Power View
&Reporting Services」編で説明しているので、こちらもぜひご覧いただければと思います。
5.2
Power View レポートのための PowerPivot ファイル
Power View レポートのための PowerPivot ファイル
SQL Server 2012 では、Power View と呼ばれる、新しいデータ分析/レポーティング ツール
が提供されました。
以下の画面は、Power View を利用してデータ分析レポートを作成しているときの様子です。
Power View で、データ分析レポート
を作成しているときの様子
画像を表示可能
グラフが動的に変化。
グラフ自身がスライサー
(フィルター)となる
推移を確認可能な動的な
バブル チャート
Power View の特徴は、次のとおりです。

直感的な操作で簡単にレポートを作成できる

見栄えの良いレポートを簡単に作成できる

レポート内に画像を簡単に配置できる

グラフ同士を連動させることができる(グラフ自身がスライサーとなって、グラフ同士が
選択された値によって動的に変化する)

再生可能なバブル チャートを作成できる(時間によって変化する値をアニメーションで
確認可能。軌跡を表示できる)
このように Power View を利用すると、従来のレポーティング ツールではできなかった、表現力
豊かなレポートを作成することができます。また、よりエンドユーザーが使いやすいように、直感
的な操作ができるようになっています。
SharePoint Server 上に配置した、PowerPivot ファイルは、次のように、Power View のデー
タソースとなることができます。
PowerPivot ファイルの右上にある[Power View レポートの作成]ボタンをクリックすると、
Power View レポートの作成画面が表示されます。
リボン
テーブル一覧
が表示される
キャンバス
PowerPivot for SharePoint や Power View レポートの作成手順や環境構築手順については、本
自習書シリーズの「Power View & Reporting Services」編で説明しているので、こちらもぜ
ひご覧いただければと思います。
5.3
Analysis Services テーブル モデル(xVelocity)による共有
Analysis Services テーブル モデル(xVelocity)による共有
SQL Server 2012 からは、PowerPivot で採用されたインメモリのカラムベース エンジン
「VertiPaq」エンジンが進化して、
「xVelocity」という名称へ変更され、単体でも動作させるこ
とができるようになりました。SQL Server 2012 では、インストール時に以下の画面のように
「表形式モード」
(Tabular Mode:テーブル モード)を選択することで、単体の Analysis Services
エンジンとして xVelocity モードで動作させることが可能です。
表形式モード (Tabular Mode)選択すると
xVelocity モードの Analysis Services
(インメモリ BI)としてインストール可能。
PowerPivot for Excel のデータは、xVelocity モードの Analysis Services へ配置可能なデータ
ベース(テーブル モデル)へインポートすることができます。
PowerPivot for Excel のデータをテーブル モデルへインポートするには、SQL Server Data
Tools(以前のバージョンの Business Intelligence Development Studio)で、新規プロジェク
トの作成時に、次のように、
「Analysis Services」の「PowerPivot からインポート」を選択す
ることで、PowerPivot for Excel のデータをインポートしたテーブル モデルを作成することがで
きます
2
1
3
4
5
PowerPivot for Excel のテーブル モデルへのインポート手順については、本自習書シリーズの
「SQL Server 2012 新機能ダイジェスト(BI 編)
」で説明しています。また、Analysis Services
テーブル モデルの利用方法については、
「Analysis Services によるインメモリ BI 入門」編で
説明しているので、こちらもぜひご覧いただければと思います。
おわりに
最後までこの自習書を試された皆さま、おつかれさまでした。PowerPivot for Excel を利用する
と、いかに簡単にパワフルなデータ分析が行えるかを体感していただけたのではないでしょうか。
PowerPivot には、まだまだたくさんの機能が提供されているので、オンライン ブックなどを参
考にぜひチャレンジしてみください。
執筆者プロフィール
有限会社エスキューエル・クオリティ(http://www.sqlquality.com/)
SQLQuality(エスキューエル・クオリティ)は、日本で唯一の SQL Server 専門の独立系コンサルティン
グ会社です。過去のバージョンから最新バージョンまでの SQL Server を知りつくし、多数の実績と豊富な
経験を持つ、OS や .NET にも詳しい SQL Server の専門家(キャリア 17 年以上)がすべての案件に対応
します。人気メニューの「パフォーマンス チューニング サービス」は、100%の成果を上げ、過去すべての
お客様環境で驚異的な性能向上を実現。チューニング スキルは世界トップレベルを自負、検索エンジンでは
(英語情報を含めて)ヒットしないノウハウを多数保持。ここ数年は BI/DWH システム構築支援のご依頼
が多い。
主なコンサルティング実績
大手映像制作会社の BI システム構築支援(会計/業務システムにおける予実管理/原価管理など)
大手流通系の DWH/BI システム構築支援(POS データ/在庫データ分析)
大規模テラバイト級データ ウェアハウスの物理・論理設計支援および運用管理設計支援
大手アミューズメント企業の BI システム構築支援(人事システムにおける人材パフォーマンス管理)
外資系医療メーカーの Analysis Services による「販売分析」システムの構築支援(売上/顧客データ分析)
9 TB データベースの物理・論理設計支援(パーティショニング対応など)
ハードウェア リプレイス時のハードウェア選定(最適なサーバー、ストレージの選定)、高可用性環境の構築
SQL Server 2000(32 ビット)から SQL Server 2008(x64)への移行/アップグレード支援
複数台の SQL Server の Hyper-V 仮想環境への移行支援(サーバー統合支援)
2 時間かかっていた日中バッチ実行時間を、わずか 5 分へ短縮(95.8% の性能向上)
ピーク時の CPU 利用率 100% のシステムを、わずか 10% にまで軽減し、大幅性能向上
平均 185.3ms かかっていた処理を、わずか 39.2ms へ短縮(78.8% の性能向上)
Java 環境(Tomcat、Seasar2、S2Dao)の SQL Server パフォーマンス チューニング etc
コンサルティング時の作業例(パフォーマンス チューニングの場合)
アプリケーション コード(VB、C#、Java、ASP、VBScript、VBA)の解析/改修支援
ストアド プロシージャ/ユーザー定義関数/トリガー(Transact-SQL)の解析/改修支援
インデックス チューニング/SQL チューニング/ロック処理の見直し
現状のハードウェアで将来のアクセス増にどこまで耐えられるかを測定する高負荷テストの実施
IIS ログの解析/アプリケーション ログ(log4net/log4j)の解析
ボトルネック ハードウェアの発見/ボトルネック SQL の発見/ボトルネック アプリケーションの発見
SQL Server の構成オプション/データベース設定の分析/使用状況(CPU, メモリ, ディスク, Wait)解析
定期メンテナンス支援(インデックスの再構築/断片化解消のタイミングや断片化の事前防止策など)etc
松本美穂(まつもと・みほ)
有限会社エスキューエル・クオリティ 代表取締役
Microsoft MVP for SQL Server(2004 年 4 月~)
経産省認定データベース スペシャリスト/MCDBA/MCSD for .NET/MCITP Database Administrator
SQL Server の日本における最初のバージョンである「SQL Server 4.21a」から SQL Server に携わり、現在、SQL Server
を中心とするコンサルティングを行っている。得意分野はパフォーマンス チューニングと Reporting Services。コンサル
ティング業務の傍ら、講演や執筆も行い、マイクロソフト主催の最大イベント Tech・Ed などでスピーカーとしても活躍
中。SE や ITPro としての経験はもちろん、記名/無記名含めて多くの執筆実績も持ち、様々な角度から SQL Server に
携わってきている。著書の『SQL Server 2000 でいってみよう』と『ASP.NET でいってみよう』
(いずれも翔泳社刊)は、
トップ セラー(前者は 28,500 部、後者は 16,500 部発行)。近刊に『SQL Server 2012 の教科書』
(ソシム刊)がある。
松本崇博(まつもと・たかひろ)
有限会社エスキューエル・クオリティ 取締役
Microsoft MVP for SQL Server(2004 年 4 月~)
経産省認定データベース スペシャリスト/MCDBA/MCSD for .NET/MCITP Database Administrator
SQL Server の BI システムとパフォーマンス チューニングを得意とするコンサルタント。過去には、約 3,000 本のスト
アド プロシージャのチューニングや、テラバイト級データベースの論理・物理設計、運用管理設計、高可用性設計、BI・
DWH システム設計支援などを行う。アプリケーション開発(ASP/ASP.NET、C#、VB 6.0、Java、Access VBA など)
やシステム管理者(IT Pro)経験もあり、SQL Server だけでなく、アプリケーションや OS、Web サーバーを絡めた、
総合的なコンサルティングが行えるのが強み。Analysis Services と Excel による BI システムも得意とする。マイクロソ
フト認定トレーナー時代の 1998 年度には、Microsoft CPLS トレーナー アワード(Trainer of the Year)を受賞。
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