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画像処理による卵のスペクトル解析から作成した卵形

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画像処理による卵のスペクトル解析から作成した卵形
社会系セミナー用配布資料 / 2005 11/15(火)
画像処理による卵のスペクトル解析から作成した卵形分布図について
社会環境システム研究領域
情報解析研究室
清水 明
はじめに
これまで、卵を真横から撮影した画像を処理し、重心と輪郭線までの距離を測定して、
卵形を数値化(動径曲線)し規格化することで、多数の卵形を一元的に比較することが可
能になった。さらに、動径曲線をスペクトル解析することで卵形の特徴を要約し、集団
全体の傾向を比較することも出来るようになった。今回紹介するのは、鳥類全体を俯瞰
し、各種集団同志の大まかな特徴の把握から細部の比較まで簡潔に実施できる、スペク
トルの第2・3・4高調波成分を使った作図法である。
方法
幾つかの鳥類集団を調査した結果、卵形の動径曲線のスペクトルで最も強い成分は、第
2高調波であり、次いで第3高調波、あるいは第4高調波成分であった。この中で、第2
高調波成分は卵形を扁平に変形させる要素であるため、集団の卵形を特徴付けているのは
第3・第4高調波成分の強度分布であると考えられた。そこで、これらの特徴を顕在化し
て表現する作図法として、縦軸に卵形のスペクトル成分のうち、第4高調波成分から第3
高調波成分を差し引いた差分(形状指数S)をとり、横軸に扁平度や卵形指数(長径/短
形)と同義の第2高調波成分使って描いた卵形分布図を創案した。
縦軸:形状指数
横軸:第2高調波
S=(第4高調波-第3高調波)/(第4高調波+第3高調波)
※各成分は振幅
結果
図には、これまで共同研究を実施した研究所や大学他から提供戴いた実験鳥類(一部野
生鳥類)の集団について、平均と標準偏差を示す。ここでは、ホロホロチョウの卵形が最
も丸く、かつ三角形の要素が強い形状であった。これに対し対極にあるのがガチョウ(Goo
se)で、細長くかつ菱形の要素が強い卵形を持っていた。さらに、熊本Road-IやWEウズラ
の集団に属する個体の卵も、それぞれ固有の領域を持っていることが確認できた。
まとめ
卵形分布図は、鳥類全体を俯瞰できると同時に、細部の個体相互の関係まで把握できる
ので、卵形に現れる異変を察知するのに有用と思われる。同時に、従来行われてきた孵化
率や産卵率等の繁殖成績の解析に、卵形データベースを組み入れることで、繁殖集団の健
全性の診断や絶滅回避、繁殖率向上の研究等に於いて、新たな切り口による展開ができる
ものと考えている
(菱 形 )←
Emu
n=39
石川大 Goose
n=23
石川大 アイガモ
n=116
台場カワウ
n=79
熊本Road-I
n=541
形
状
指
数
WE ウズラ
n=262
S
ホロホロチョウ
n=50
Crow n=8
NIES-L2 n=51
ウミガラス
n=5
Bobwhite
n=25
→ (三角形 )
(丸い) ←
形状指数: S =
4th-3rd
3rd+4th
第2高調波 強度
→ (細長い)
卵形分布図
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