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金融・不動産関連

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金融・不動産関連
Financial Services Tax News
2015 年度税制改正大綱
金融・不動産関連の主な改正点
January 2015
In brief
法人実効税率の段階的な引下げ、外形標準課税の強化、受取配当の課税強化などを盛り込んだ 2015 年度
(平成 27 年度)税制改正大綱(以下「2015 年度税制改正大綱」)が、2014 年 12 月 30 日に、自由民主党・公
明党両党より公表されました。金融・不動産業界に特有の主な改正点としては、少額上場株式等に係る配当
所得および譲渡所得等の非課税措置(NISA)の拡充や投資法人における税会不一致の解消などが実現しま
す。今後は、当該大綱に基づき改正法案が国会に提出され、2015 年度税制改正の内容が確定することにな
ります。なお、今後の審議等の状況によっては、内容に変更がある可能性がありますのでご留意ください。
本ニュースレターでは、2015 年度税制改正大綱のうち、金融・不動産業界に特有の主な改正点について説
明します。2015 年度税制改正大綱のその他の項目(受取配当の課税強化、外国子会社合算税制の見直し、
帰属主義の明確化、出国時課税など)の改正点については、別途配信します Japan Tax Update および資産
税ニュースをご確認ください。
In detail
1. 金融関連の主な改正点
(1) NISAの拡充
① ジュニアNISAの創設
若年層への投資のすそ野の拡大等を図るためジュ
ニアNISA(未成年者口座内の少額上場株式等に係
る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置)が創設
されます。未成年者(20歳未満の居住者等)を対象
に、2016年から2023年までの各年において、毎年受
入価額80万円を上限として、上場株式等の配当等
および譲渡所得等を非課税とする未成年者口座(非
課税管理勘定)の開設が可能になります。NISAと同
様に、1人につき1口座に限り、投資した年から最長5
年間、上場株式等の配当等および譲渡所得等が非
課税になります。ただし、子・孫等の将来に向けた長
期投資が目的であるため、未成年者が18歳になるま
では払い出しが厳しく制限されます。
2028年までの各年において、未成年者口座(非課税
管理勘定)の上場株式等を未成年者口座(継続管理
勘定)に、毎年80万円を上限に移管することにより、
未成年者が19歳の年まで引き続き上場株式等の配
当等および譲渡所得等を非課税とする取扱いも可
能になります(ただし、当該勘定内で新たに上場株
式等を取得することはできません)。また、未成年者
が20歳となる時点で未成年者口座(非課税管理勘定
または継続管理勘定)内に上場株式等が残っている
場合には、その時点でNISA口座の開設があったもの
として、未成年者口座(非課税管理勘定または継続
管理勘定)の上場株式等はNISA口座に自動的に引
き継がれます。
この制度は、2016年1月1日以後に未成年者口座の
開設の申し込みがされ、同年4月1日からその口座に
受け入れる上場株式等について適用されます。
なお、2024年以降も未成年者口座(非課税管理勘定)
内に上場株式等が残っている場合には、同年から
www.pwc.com/jp/tax
Financial Services Tax News
② NISAの年間投資上限額の引上げ
非課税口座に設けられる各年分の非課税管理勘定に受け入れることができる上場株式等の取得対価の額の限度額が、120 万
円(現行:100 万円)に引上げられます。
(2) 店頭デリバティブ取引に係る証拠金の利子の非課税制度
デリバティブ取引に際しての外国金融機関からの円滑な担保徴収のための環境を整備する観点から、外国金融機関等が国内
金融機関等との間で2018年3月31日までに行う店頭デリバティブ取引に伴い当該国内金融機関等に預託する一定の証拠金か
ら生じる利子について、非課税適用申告書の提出等を要件として、所得税が非課税になります。上記の改正は、2015年7月1日
以後に支払いを受けるべき利子について適用されます。
(3) マイナンバーが付された預貯金情報の効率的な利用に係る措置
マイナンバーが付された預貯金情報を税務調査において効率的に利用できるようにする観点から、行政手続における特定の
個人を識別するための番号の利用等に関する法律(番号利用法)の改正に併せて国税通則法を改正し、銀行等に対し、預貯
金情報を個人番号及び法人番号(マイナンバー)によって検索可能な状態で管理することを義務付けるとしています。
2. 不動産関連の主な改正点
(1) 投資法人に係る課税の特例
現行制度では、会計と税務の処理の差異(税会不一致)に伴い、会計上の利益と税務上の利益に差異が生じた場合、会計上
の利益を上回る税務上の利益を分配しても、その部分は損金算入可能な配当等の額として扱われない(現行:資本の払戻し)
ため、投資法人で課税が発生していました。不動産証券化市場の活性化を図る観点からは、このような投資法人の活動の制約
を解消していく必要があるため、投資法人法制の見直しを前提に、「一時差異等調整引当額(仮称)」の増加額に相当する金額
を配当等の額として、投資家で課税される一方で投資法人において損金算入することが可能になります。また、支払配当等の
額が配当可能利益の額の90%を超えていることとする要件について、「一時差異等調整積立金(仮称)」の増加額を配当可能
利益から控除する等の措置が講じられます。
(2) 特定目的会社に係る課税の特例
特定目的会社に係る支払配当の損金算入要件として、2010 年4月1日前に設立された特定目的会社のうち2015年3月31日ま
でに業務開始届出をしていないものに対して、2015年4月1日以後に終了する事業年度について、特定出資の国内募集割合
が50%を超えていることとする要件が適用されます。
(3) 投資法人、特定目的会社等に係る欠損金の繰越控除制度
一般法人については欠損金の繰越控除が制限されていますが、投資法人、特定目的会社等で、支払配当等の損金算入制度
の適用対象となるものについては、引き続きその所得の金額まで欠損金の繰越控除が認められます。
(4) 投資法人、特定目的会社等に係る流通税の軽減措置
不動産証券化市場の活性化の観点から、投資法人、特定目的会社等が特定不動産を取得した場合の登録免許税に係る軽減
措置(税率を1.3%に軽減)について、適用対象となる不動産の範囲に「倉庫及びその敷地」が加えられ、適用期限が2年間
(2017年3月31日まで)延長されます。また、投資法人、特定目的会社等が特定不動産を取得した場合の不動産取得税に係る
軽減措置(課税標準額を2/5に軽減)について、適用期限が2年間(2017年3月31日まで)延長されます。投資法人については、
不動産取得税に係る軽減措置の対象となる不動産の範囲に「物流施設」が加えられます。
(5) 特定の資産の買換えの場合等の課税の特例
特定の資産の買換えの場合等の課税の特例のうち、長期所有の土地等の買換えの特例について、適用期限が2年3ヵ月(2017
年3月31日まで)延長される一方で、買換資産の範囲から「機械装置」および「コンテナ用の貨車」が除外されるとともに、譲渡益
に対する課税の繰延割合(現行:80%)が以下の場合に引き下げられます。
- 地域再生法の大都市等(仮称)以外の地域から大都市等への買換え:75%
- 大都市等以外の地域から同法の特定地域(仮称)への買換え:70%
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(6) 投資法人等の課税(検討事項)
投資法人等の課税は、投資家と運用対象資産とを結びつける導管としての実態が確保される場合に支払配当の損金算入を認
めている特例的な制度であるため、その運用対象資産の範囲について、制度の趣旨や政策的意義等を考慮しつつ、諸外国に
おける制度・事例にも留意しながら、引き続き検討することとされています。
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