Comments
Description
Transcript
じんけんさくらい第146号(2014.11.19)
◇高松桜井高校 人権だより◇ 人 権 ・同 和 教 育 部 じんけんさくらい(第 146 号) 2014年 11月119日 発 行 1 ANNRIさん 講演 明日に迫る 明日4校時、人権講演会の講師はANNRI(アンリ)さんです。みなさんはANNRIさんを知っていま すか。香川県生まれで県内の高校に通い、県外の大学で学んで香川県に戻って仕事をし、現在も香川県に在住 されている方です。FM高松のパーソナリティを務めたり、 「まちかど漫遊帖」という高松の街歩きを企画され たり、四国新聞にコラムを載せたりしていたこともありますが、それほどメディアには出てこられないので、 知っている人はあまりいないかもしれません。 以前、ANNRIさんに紹介されて、 「香川レインボー映画祭」に参加したことがあります。今年は 10 月 12 日(日)でしたので、すでに終わっていますが、その映画祭は、セクシャルマイノリティ(性的少数者)とさ れる、LGBT(Lesbian 女性同性愛者、Gay 男性同性愛者、Bisexual 両性愛者、そして Transgender 性転 換者)の方を描いた映画ばかりを上映する催しです。この「レインボー」という言葉には、虹の七色が性の多 様性を認めることにつながってほしいという願いがこめられているそうです。この香川でこのような映画祭が 毎年開かれていることに驚きを感じるとともに、その場に集まった人々からは、自分たち一人ひとりの性のあ り方を認めてほしいという切実な願いが感じ取れました。 さて、今回講演をしてくださるANNRIさんは、その性的少数者のなかでも、トランスジェンダー、日本 では「性同一性障害」という言われ方をしますが、戸籍の上は男性、意識の上では女性、つまり心と体の性が 一致していない方です。 なぜこうしたことが起こるのか、それは胎児の時のホルモンの働きが原因であることが最近になって知られ るようになりました。1、2年生は先週の人権・同和教育LHRで学習しましたが、まだ学習していない3年 生のためにその資料の一部を掲載します。 受精したばかりの胎児は子宮の中で、女性ホルモンのエストロゲンを浴びます。この時点では男 女差はなく、実は全員「女」です。エストロゲンを浴びた2、3週間後、Y 染色体の上にある性 決定遺伝子 SRY が働いた胎児には精巣が生まれ、男性ホルモンのテストステロンを分泌し、こ こで性別が分かれます。妊娠 6 週目から 24 週目にかけて精巣から大量のテストステロンが分泌 される時期があり、これをアンドロゲンシャワーと呼びますが、これによって脳も体も男に変化 していきます。一方、SRY 遺伝子が作用しないと、胎児はそのままエストロゲンを浴び続け、女 の子になっていきます。何らかの事情で、男性になるはずのY染色体を持つ男の子がアンドロゲ ンシャワーをうまく浴びられなかったり、女性になるはずのX染色体を持つ胎児がアンドロゲン シャワーをたくさん浴びてしまうことがあると、半陰陽や性同一性障害などが起こる原因の1つ になると言われています。 2 「性同一性障害」は「障害」? 日本では、ANNRIさんのような方を現在「性同一性障害」と呼んでいます。LHR後の感想の中に 「心と体の性別が違うからといって、障害と呼ぶのは違うのではないか」と書いてくれた人がいるように、 「障害」と呼ぶのは違うと考えます。ではなぜ「障害」と呼ぶのでしょう。これもある人が「世の中のほ とんどの場所や物が『男』と『女』の2つにはっきりと分けてあるから」と書いてくれていました。つま り、この世の中には「男」と「女」しかおらず、体が「男」なら心も「男」 、体が「女」なら心も「女」、 その枠組みに入らない人は正常でないので「障害」者である、ということだと思います。 今年の6月、文部科学省の調査結果が公表されました。全国の小中高生でこうした「性同一性障害」の 子どもが、本人が回答を望まないものを除いて、606人いることがわかりました。そのうち学校で、制 服やトイレ、着替え場所など、生徒に配慮している事例が6割あることもわかりました。 この数字を見る限りでは確かに少ないことに違いありません。しかしそれは「少数派」であるというだ けで、それぞれが一人の人間なのですから、正常でない、つまり「障害」であるというとらえ方は間違っ ているというべきです。 3 人権・同和教育LHR(1、2年生)の感想から 先週のLHRで「性同一性障害」について学び、次のような問いかけをしました。それぞれについて答 えてくれた中から、いくつか選んで掲載します。ANNRIさんへの質問も載せましたので、明日の講演 を聴く心の準備にしてください。 こうした人たちが苦しんだり、誰にも言えなかったりするのはなぜでしょうか。その原因や背景について 考えて書きましょう。 ・日本は「恥の文化」と言われていて、周りの人と何か違っているときにそれは恥だと感じるから ・性同一性障害について学ぶ場所がなく、知識がない人が多いから ・こうではないとだめ、こうあるべきという意識があるから ・まだまだ制服やトイレの色、髪型など男女間で大きな壁があると思うから こうした人たちの悩み、苦しみを少しでも解消するために、あなたができることはどのようなことでしょう。 ・固定観念をなくすこと ・いろんなことに耳を傾けて様々なことを知ること ・素直にそういう事実を受けとめること ・その人にとってどうしたいのかを聞いて手助けをする ・カウンセリングや性転換するための病院を日本にも増やすこと ・ 「女のくせに」 「男のくせに」という差別語を言わないこと 感じたことや、気づいたことを書いてください。 ・身近にいないからあまりわからないけれど、TVで見たこともあったので、改めて当事者の苦しみを知 れたと思いました。私たちが理解して壁をなくすことでこういった方々の苦しみはなくなると思うし、暮 らしやすくなると思います。 ・性同一性障害は知っていましたが、心の病気だと思っていました。ですが、染色体などからだにもかか わっていることを知って驚きました。私は絶対に否定したくないと思いました。 ・世の中にはたくさんの人がいるのに、私が知っている「世の中の人」はあまりにも少ない。 ・性別なんてものは曖昧なんだということに気づいた。見た目が「男だから」とか「女だから」と決めつ けるのではなく、その人の心、意志が大切なんだと分かった。 講演で聴いてみたいことを書いてください。 ・いつ意識の上で気づいたのか ・性同一性障害と診断されたときにどう感じたのか。またそれをカミングアウトするのにどれくらいの期 間悩んだのか ・どうしてカミングアウトすることを決意したのか ・カミングアウトした時にどんな言葉をかけてほしいか ・どのようにして性同一性障害を乗り越えたのか ・生きていく中で、一番大変で、つらかったことはどのようなことか ・ 「性同一性障害」と言われることに抵抗はないのか 明日の講演の後、2回目の昼休みに、ANNRIさんとお話ししてみたい人は小会議室まで来てください。 お話ししてくださるようお願いしてあります。 (文責 北原)