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吹付けロックウール被覆耐火構造: 施工品質管理
吹付けロックウール被覆耐火構造 施 工 品 質 管 理 指 針 平成24年4月改訂 吹付け部会 吹付けロックウール被覆耐火構造 施 工品質管理指針 1.まえがき 吹付けロックウール被覆耐火構造は、 平成 12 年施行の改正建築基準法に基づく認定制度により、 平成 14 年 5 月 17 日付けでロックール工業会会員 10 社連名の認定を取得し、従来のロックウール 工業会通則的指定から会員会社の個別認定へと移行した。 この個別認定への移行に伴って各社の施工品質管理方法に差違が生じることを防止するため、認 定 10 社の共通管理方法として本指針を策定し、本指針に基づく管理を必要条件として実施すること を各社相互に確認した。 なお、本指針の記述と旧法下で作成された品質管理に係る図書等の記述が異なる場合は、本指針 によるものとする。 2.適用範囲 本指針は、ロックウール工業会会員 10 社が連名にて国土交通大臣から認定を受けている乾式工 法(工場配合材料を用いる吹付け工法)及び半乾式工法(セメントスラリーを用いる現場配合の吹 付け工法)による吹付けロックウール被覆耐火構造の耐火性能を確保するための施工方法、施工品 質管理方法及び施工品質の確認方法について定めたものである。 なお、吹付けロックウール被覆耐火構造の連名申請を行なった個別認定取得 10 社は下記のとおり。 日東紡績株式会社 ニチアス株式会社 ナイガイ株式会社 新日鐵化学株式会社(旧会員) 株式会社エーアンドエーマテリアル 株式会社ノザワ 太平洋マテリアル株式会社 日本インシュレーション株式会社(旧会員) 株式会社和久産業 耐火被覆工業協同組合 注)本指針は、吹付けロックウールの工事範囲や請負範囲を定めたものでない 3.吹付けに用いる材料 3.1主構成材料 (1)ロックウール ロックウールは、国土交通大臣認定不燃材料 NM-8600(ロックウール保温材)の認定品であ って、JIS A 9504(人造鉱物繊維保温材)に規定するロックウールを使用する。 (2)セメント セメントは、JIS R 5210(ポルトランドセメント) 、または JIS R 5211(高炉セメント)に適 合するもの、あるいは白色セメントを用いる。 (3)水 水は、原則として上水道水を使用する。 注1. 乾式工法(工場配合材料を用いる吹付け工法)の場合は、上記の(1)ロックウールと(2)セ 注2. 半乾式工法(セメントスラリーを用いる現場配合の吹付け工法)の場合は、上記の(1)ロック メントを、規定の配合比で配合された材料が吹付け材料として施工現場に納入される。 ウールと(2)セメントがそれぞれ施工現場に納入され、吹付け施工時に規定の配合比で配合さ れる。 (4.施工の項参照) 1 3.2 副構成材料 副構成材料は、必要に応じて補助的に使用するもので、使用する場合は以下の基準のものを使用 する。 (1)力骨:JIS G 3112(鉄筋コンクリート用棒鋼)に適合するφ9mm 以上のものを、最大間隔 450 ㎜以内で用いる。 (2)ラス:JIS A 5505(メタルラス)に適合する防せい処理を施した平ラス 3 号、または同等品を 使用する。 (3)鉄板:JIS G 3302(亜鉛鉄板)に適合するもので、厚さ 0.4 ㎜以上のもの、または JIS G 3101 (一般構造用圧延鋼材)に適合するもので、厚さ 1.6 ㎜以上のものを使用する。 (4)タッピンねじ:JIS B 1115(すりわり付きタッピンねじ) 、または JIS B 1122(十字穴付きタ ッピンねじ)に適合するもので、φ3mm 以上、長さ 5~10mmのものを使用する。 (5)接着剤 瀝青系、合成ゴム系、合成樹脂系のものを用いる。 (6)バックアップ材 プレキャストコンクリート板との合成被覆耐火構造(1 時間、2 時間、3 時間)及びALC 壁パネルとの合成被覆耐火構造(3 時間)に用いるバックアップ材は、かさ密度 0.1g/㎤ (100kg/㎥) 以上のロックウールボード(50×60 ㎜)あるいはかさ密度 0.2 g/㎤ (200 ㎏/㎥) 以 上のけい酸カルシウム板を用いる。 3.3 材料取り扱い上の注意 (1)乾式工法に用いる工場配合材料は、国土交通大臣認定「吹付けロックウール被覆耐火構造」 の認定商品であることを確認する。 (2)半乾式工法に用いるロックウールは、JIS A 9504 指定商品であり、かつ国土交通大臣認定不燃 材料 NM-8600 認定品であることを確認する。 (3)半乾式工法に用いるセメントは、JIS R 5210(ポルトランドセメント) 、または JIS R 5211 (高炉セメント)に適合するもの、或いは白色セメントであることを確認する。 (4)乾式工法に用いる工場配合材料、半乾式工法に用いるロックウール及びセメントは、貯蔵・ 保管の際に、水濡れしないように、あるいは品質変化のないように、シートで覆う等の注意を する。 (5)工場配合材料及びセメントは原則として1ヵ月以内に使用する。 (6)工場配合材料、ロックウール及びセメントは梱包材料が破損して飛散しないよう留意する。 (7)工場配合材料、ロックウールの取り扱いにあたっては、梱包材料に記載している「ロックウー ル製品の取り扱い上の注意」に留意する。 4.施 工 4.1 施工者 吹付けロックウール被覆耐火構造の施工は、認定取得会社または認定取得会社が認めた者が施工 する。吹付け作業は施工管理担当者証を所持するものが指揮して行う。 4.2 施工方法 国土交通大臣認定の吹付けロックウール被覆耐火構造で認めている施工方法には、次の 2 つの工 法がある。 (1)乾式工法(工場配合材料を用いる工法) ロックウールとセメントをあらかじめ工場にて混合した材料を吹付け施工機械で圧送し、ノズ ル先端の周囲から噴霧される水で包み込み、 材料を湿潤させながら均一に下地に吹付ける工法。 2 (2)半乾式工法(セメントスラリーを用いる現場配合工法) 水とセメントをあらかじめ攪拌装置のあるスラリー槽で混合し、吹付け施工機械で圧送された ロックウールをセメントスラリーと混合しながら均一に下地に吹付ける工法。 4.3 施工の準備 (1)施工者は当該施工現場に1名以上の施工管理担当者をおく。 (2)施工管理担当者は、ロックウール工業会吹付け部会が開催する「施工管理担当者講習会」を受 講し、所定の試験に合格した者とし、 「施工管理担当者証」は現場で常時携帯するものとする。 施工管理担当者は吹付け施工に先立ち次に示す施工の準備・点検を行なう。 (3)材料の現場受け入れ・保管 ①材料の確認 現場に搬入された材料が耐火被覆用で、当該現場に必要な数量があるか否かを確認する。 材料が分割納入されるときは、そのつど確認する。 ②現場での材料保管 当該現場での材料保管に際しては、特に雨露のかからぬよう、また湿気を吸収しないよう に養生し、かつ散逸のおそれのないように注意する。 (4)養 生 ①粉じん飛散防止 吹付け作業に際し、粉じんが外部に飛散しないようにシート等で囲い、必要に応じて作業区画 毎に養生囲いを行う。 ②器材等の汚損防止 吹付け作業に近接する器材等が汚損のおそれのあるときは、養生シート等で養生する。 ③凍結防止 寒冷期の施工に際しては、気温が2℃以下に低下し、凍結のおそれのあるときは原則として施 工は行わない。 ただし、凍結防止策として寒気の影響のないように特に外部養生に留意し、必要に応じて内部 暖房をするなどの十分な対策をとる場合には、この限りではない。 内部暖房が必要な場合は、室内が5℃以上になるように行う。 ④雨水による脱落防止 吹付け直後、雨水により脱落のおそれのある部分は、必要に応じ部分養生を行う。 ⑤落綿の処理 吹付け作業時の落綿は、周囲に飛散しないよう速やかに清掃し、袋等につめて整理する。 (5)衛生管理 施工管理担当者は、作業員に必ず防じんマスク(国家検定の取替え式のもの)を着用させなけ ればならない。 (6)足 場 足場は、吹付け作業が安全かつ確実に施工できるような、法規(労働安全衛生規則 第 10 章第 2 節 足場)に準拠した構築になっているか否かを確認する。 (7)下 地 ①下地の点検 ラス張下地の場合は、力骨及びメタルラス等が確実に対象物に固定されているか否かを確認す る。 ②浮き錆及び付着油等 吹付けに支障を起こすおそれのある浮き錆、付着油等は十分に清掃する。 3 ③接着剤 屋根、外壁等振動により剥離のおそれある部位には下地面に接着剤を塗布する。 (8)吹付け作業準備 ①吹付け機械の点検 吹付け作業前には、必ず吹付け機械の予備運転を行う。 特に電源をとるときは、必ず事前に工事管理者の許可をとり、電源は分電盤に 4 芯(アース含 む)で接続する。 ②材料吐出量の調整 イ.乾式工法(工場配合材料を用いる工法) 予備運転時には配合材料と水を吐出させ、水量が配合材料に対して重量比で 0.75~1.0 に なるように吐出量を調整する。 ロ.半乾式工法(セメントスラリーを用いる現場配合工法) ⅰ スラリーの調合(標準配合) スラリー攪拌槽にセメントと水を、セメント 5 ㎏に対し水 10 ㎏(10 ㍑)の割合(セメン ト1袋 25 ㎏入りを用いる場合は、セメント 1 袋に対し水 50 ㎏(50 ㍑)で投入し、攪拌 機で攪拌しながら混合する。 (攪拌機は 2 槽式とする) ⅱ 吐出量の調整 予備運転時にはロックウールとセメントスラリーを吐出させ、ロックウール吐出量に対す るセメント吐出量が所定の配合比となるように、セメントスラリーポンプの回転数を調整 する。 ロックウール、セメントスラリー量は下表のとおり。 ロックウール1㎏に対するセメントスラリー量 ロックウール セメント 配合比 60±5% 40±5% スラリー量 2.0㎏(約1.55㍑) * セメントスラリー濃度は、33.3%となる。 4.4 吹付け施工 (1)吹付け作業 乾式工法の吹付け作業は、吹付け機で作業階まで圧送された材料を、ノズル先端の周囲から噴 霧化された水で包み込み、湿潤させながら均一に下地面に吹付ける。 半乾式工法の吹付け作業は、吹付け機で作業階まで圧送されたロックウールを、ノズル先端部 で噴霧化されたセメントスラリーと混合しながら均一に下地面に吹付ける。 (2)表面押さえ 吹付けロックウールの表面は毛羽立ちがないようコテなどで均す。 (3)品質の確認 ①厚さの確認 吹付け施工員は、厚さ測定器で吹付け面積5㎡ごとに1ヵ所以上厚さを確認しながら吹付けを 行う。 ②かさ密度の確認 吹付け施工員は、吹付け後4時間以内にかさ密度測定用切取器で未乾燥状態の試料を切取り、 早期判定により品質を確認しながら吹付けを行う。 未乾燥状態のかさ密度は「吹付け 4 時間内かさ密度早見表」に従い、基準値を確保する。 4 ③厚さ確認ピンの植込み 吹付け施工員は、吹付け後、厚さ確認ピンを柱1面に各1本、はり1本当たり、ウェブ両側に 各1本、下フランジ下面に1本、下フランジ端部(コバ)両側に各1本植える。 ただし、当該現場で特に指示のある場合は、前記本数を下限とし、指示に従うものとする。 (4)乾 燥 乾燥は、自然乾燥による。 (5)取合部の処理 鉄骨と床デッキプレートの取合部は吹付け施工の際、隙間のないように施工する。 5.検査( 施工品質検査) (1)吹付け厚さの確認 指定の測定器により、耐火性能別、部位別に各5個所を測定する。 基準を満たしていない場合は、補正を実施する。 さらに、厚さ確認ピンが前記の規定位置、規定本数が植え込まれていることを確認する。 ・厚さ確認ピンは、1時間用 青、2時間用 緑、3時間用はり 赤、3時間用柱 ベージュとする。 ・厚さ確認ピンはロックウール工業会吹付け部会認定品を推奨する。 (2)かさ密度の確認 かさ密度の測定は次の方法による。 ・切り取りは主要な柱、はりから施工面積を代表するように均等に行う。 ・切り取る個所は耐火性能別に、はりにあってはウェブから2個、フランジ下から1個とし、 柱にあっては2個切り取る。 ・予め厚さを測定した後、指定の切取器で切り取り、乾燥器(そう内温度を 100~110℃に保つ) で恒量になるまで乾燥のうえ、重量を測定し次式によってかさ密度を算出する。 ρ W K t ρ=かさ密度(g/㎝³) W=重量(g) K=試料の面積(50 ㎝2) t=厚さ(㎝) 5 <厚さ測定器> <かさ密度測定用切取器> (3)記録 ・厚さ及びかさ密度の検査結果を「検査記録表」に記録する。 ・ 「検査記録表」は「施工管理担当者」の資格を持つものが記入し、作成する。 <判定基準> ① 厚さ、かさ密度が基準値を満たしていること。 ② 吹付けロックウールの表面は、毛羽立ちがないようコテなどで均されていることを確認 すること。 ③ 厚さ確認ピンが規定通り植え込まれていること。 ④ 層間塞ぎ、小口塞ぎがされていること。 6.施工完了後の措置 施工完了後、建設会社の現場責任者の検査を受ける。 6 <吹付けロックウール被覆耐火構造認定番号> 部 位 はり 柱 はり (PC合成) 柱 (PC合成) はり (ALC合成) 柱 (ALC合成) 外壁 非耐力壁 床 屋根 耐火性能 厚さ かさ密度 (mm) (g/㎤) 1H 2H 3H 1H 2H 3H 1H 2H 3H 1H 2H 3H 1H 2H 3H 1H 2H 3H 0.5H 1H 1H 2H 25 45 60 25 45 65 25 45 60 25 45 65 25 45 60 25 45 65 20 30 15 20 0.5H 10 0.28 以上 0.28 以上 0.28 以上 0.28 以上 0.28 以上 0.28 以上 0.30 以上 0.30 以上 0.30 以上 <施工管理担当者証> (おもて) (うら) 7 認定番号 FP060BM-9408 FP120BM-9411 FP180BM-9414 FP060CN-9460 FP120CN-9463 FP180CN-9466 FP060BM-9407 FP120BM-9410 FP180BM-9413 FP060CN-9459 FP120CN-9462 FP180CN-9465 FP060BM-9406 FP120BM-9409 FP180BM-9412 FP060CN-9458 FP120CN-9461 FP180CN-9464 FP030NE-9304 FP060NE-9305 FP060FL-9128 FP120FL-9129 FP030RF-9324 吹付けロックウール被覆耐火構造 個別認定取得会社 会 社 名 住 所 日東紡積 株式会社 注1 東京都千代田区麹町 2-4-1 麹町大通りビル ニチアス 株式会社 注1 東京都港区芝大門 1-1-26 ナイガイ 株式会社 日本ロックウール 株式会社 注2 エーアンドエー工事 株式会社 注3 (株式会社エーアンドエーマテリアル) 株式会社 ノザワ 太平洋マテリアル 株式会社 日本インシュレーション 株式会社 注4 株式会社 和久産業 耐火被覆工業協同組合 注1 注2 注3 注4 電話番号 東京都墨田区緑 4-19-17 03-3635-6211 東京都港区芝大門 1-10-11 芝大門センタービル4階 03-3438-2515 横浜市鶴見区鶴見中央 2-5-5 045-503-7730 神戸市中央区浪花町 15番地 078-333-7700 東京都江東区青海 2-4-24 青海フロンティアビル15階 東京都中央区新川 1-14-5 金杯第3ビル 東京都中央区新川1-6-11 ニューリバータワー 1101 東京都板橋区双葉町 40-9 三和工業 内 03-5500-7513 03-3551-1951 03-5944-4446 吹付け事業から撤退した会員。 日本ロックウール株式会社は新日鐵化学株式会社より個別認定を承継。 エーアンドエー工事株式会社が株式会社エーアンドエーマテリアルより耐火被覆事業を承継。 日本インシュレーション株式会社は当工業会から退会。 改訂履歴 昭和61年 4月 昭和62年 4月 平成 6年 8月 平成 8年 7月 平成 8年12月 平成14年 5月 平成19年 5月 平成24年 4月 8