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記 者 発 表 資 料 - 横浜市ふるさと歴史財団
記 者 発 表 資 料 平成27年10月7日 横浜ユーラシア文化館 (公財)横浜市ふるさと歴史財団 平成27年度 横浜ユーラシア文化館 企画展 シカチ・アリャン村 井出晃憲 撮影 岩に人面や動物などの図像の刻まれた岩面画、岩壁画、岩画などと呼ばれる遺跡は、 ユーラシアをはじめ世界各地に知られています。ロシア連邦ハバロフスク地方のアムー ル流域にあるシカチ・アリャン村の岩面画は世界的に有名で、この村に暮らす先住民族 ナナイの人々は、それに独特の意味と解釈を与えて、聖なる遺物として守ってきました。 本企画展ではその岩面画の一部を拓本と写真とで展示し、ナナイの人々が岩面画と自分 たちの文化とをどのように結びつけてきたのかを、村の伝承と民族資料とで紹介します。 また、地元のナナイの人々は、現在、岩面画と自分たちの伝統文化とを活用した観光 による村おこしを目指しており、本企画展はその活動をわずかながらにでも支援すると いう意図も持っています。彼らが守ってきた岩面画と伝統文化の一端を、日本で紹介す ることで、彼らの国際的な情報発信の支援を行い、極東の先住民族の伝統と現代の姿を 世界に知らせようとするものです。 開催期間 2015 年 10 月 31 日(土)から 2016 年 1 月 11 日(月・祝) 73 日間(内開館日数 57 日) 開館時間・休館日 9:30~17:00(券売は 16:30) ただし祝日を除く水曜日は 19:00 まで開館(券売は 18:30) 毎週月曜日および 12 月 28 日~1 月 3 日 ただし 11 月 23 日(月・祝)と 1 月 11 日(月・祝)は開館、11 月 24 日(火)は休館。 主催 横浜ユーラシア文化館 共催 国立民族学博物館、新潟県立歴史博物館、横浜市教育委員会 後援、協力 後援/朝日新聞横浜総局、神奈川新聞社、日本経済新聞社横浜支局、毎日新聞横浜支局、読売新聞横 浜支局、NHK 横浜放送局、TVK 協力/NPO ユーラシアンクラブ、北方ユーラシア学会、NPO アンコール・ワット拓本保存会、ロシ ア連邦ハバロフスク地方シカチ・アリャン村、ロシア北方先住民族協会ハバロフスク地方支部、NPO メデ・センター 展示構成と主な展示資料 1. シカチ・アリャンの岩面画 シカチ・アリャンの岩画は、近くにある新石器時代の遺構(ガーシャ遺跡)とともにあったとされ ています。ここではその時代の概略を年表で示し、続いて岩面画を、そこに表わされた図像から、マ スクと動物とに分類して展示します。あわせて岩画にまつわる伝承を紹介します。 1-1. マスク シカチ・アリャンの岩面画には数多くの人面あるいはマスクと思われるものが描かれています。 それを拓本と写真で紹介します。 主な展示資料:岩面画拓本 1-2. 動物、その他 シカチ・アリャンの岩面画には、ウマ、シカ、イノシシなどの動物や、それらを狩猟する人々も描 かれています。それらを拓本と写真で紹介します。 主な展示資料:岩面画拓本 1-3. 岩面画にまつわる伝承 シカチ・アリャン村に暮らすナナイの人々は岩画にさまざまな物語や伝承を結びつけて、自分たち の文化として守り続け、そこに表わされたモチーフや文様を取り入れた独自の工芸も作り上げてき ました。ここではそれをパネルや作品を使って紹介します。 主な展示資料:岩面画のモチーフを使った切り絵作品、衣類 2. シカチ・アリャン村の生活文化 ナナイの村は、かつては数件の家が川に沿って並ぶだけでした。しかし、ソ連邦時代の 1930 年代 から計画的に街路と建物を配置する村落設計が始まり、1960 年代からは近隣の村落をまとめて、集住 拠点を形成し始めます。シカチ・アリャン村はその中で集住拠点として選ばれ、残された村落の 1 つ です。 近代的な村落として生まれ変わっても、村人はナナイとして、伝統的な生活様式の一部を保持し、 伝統的な文様を活かした工芸品(木彫、刺繍、衣服、他の小物類やお土産など)の製作を続けてきま した。ここではそのうち、漁業に関する文化、服飾文化、白樺樹皮文化そしてシャマニズムを中心と した精神世界を紹介します。 2-1. 魚の文化 大河アムールの沿岸に住み着いた人々の多くは漁撈の民となります。ナナイも同様です。特に秋に 大量に遡上するサケ・マス類の捕獲が彼らの食料基盤を支えました。それは現代でも変わりませ ん。ここではアムール河に生息する魚類を捕獲するための用具類と、魚文化の典型的な例である魚 皮の衣類を紹介します。 主な展示資料:漁網(刺し網) 、すくい網、ウケ、ヤス、魚皮衣、魚皮なめし用具 2-2. 服飾文化 ナナイの美意識は衣類に端的に表れます。彼らは襟周りや裾、袖口に色とりどりの絹糸を使って刺 繍を施します。文様の基本は渦巻き文様と木の葉文様で、それらを使って魚、シカ、鳥、トラ、蝶 などの姿をだまし絵のように浮き上がらせていきます。その形、モチーフ、技法には中国の影響が 見られますが、岩面画に見られる渦巻きの影響もあるのかもしれません。 主な展示資料:布製の衣類、手袋、靴、人形 2-3. 白樺樹皮文化、かご文化 白樺樹皮は北方森林地帯の人々に愛用されている材料です。 シカチ・アリャンのナナイの人々も、容器、バッグ、笠、ボートや家の屋根など白樺の樹皮をさま ざまな用途に使ってきました。そこには衣類と同様に渦巻き文を主体とする文様が施されています。 また、蔓草の茎や根はかごの材料とされます。 主な展示資料:円筒形の小物入れ、皿、笠、かご類 2-4. シャマニズムと精神世界 ナナイはシベリアの先住民族と同じく、シャマニズムと精霊の世界を信仰していました。シャマン は、太鼓をたたき腰に付けたがらがらを鳴らしてトランス状態に入り、病気治療や未来予想などを 行いました。ソ連邦時代のシャマニズムの弾圧によって有力なシャマンはいなくなってしまいまし たが、現在でも家庭では主婦たちがシャマンの技術を伝承して、子供の治療ぐらいは行います。ま た、セヴェンと呼ばれる精霊の世界は現在でも信仰されていて、家には守護霊の像が安置され、そ の造形は現代美術の中に活かされています。 主な展示資料:シャマンの太鼓と撥、精霊像、精霊像を元にした彫刻 関連事業 (1)講演会 「古代美術と生きる人々―アムール河の先住民族ナナイの神話とアート」(仮題) 講師 日時 佐々木史郎(国立民族学博物館教授) 2015 年 12 月 13 日(日)14:00~15:30(受付 13:30~) 会場 情文ホール 受講料 定員 横浜情報文化センター6 階(当館に隣接) 500 円(企画展招待券付) 200 名(申込み多数の場合は抽選) 申込み方法 往復はがき、または当館ウェブサイトから申込み。 (2)ギャラリートーク 学芸員による展示解説 日時 11/4(水), 11/18(水), 12/2(水), 12/16(水), 1/6(水)各日 18:00 から 11/8(日), 11/22(日), 12/6(日), 12/20(日), 1/10(日)各日 11:00 から 料金 各回 30 分程度 無料(企画展観覧料が必要です。 )申込み不要。 (3)ワークショップ a. 岩画缶バッジを作ろう! b. 拓本に挑戦! c. 岩画ぬりえ 9:30~16:30 日時 企画展開催中の土曜日、日曜日、祝日 料金 「岩画缶バッジを作ろう!」のみ 1 個 200 円。その他は無料。 会場 1 階図書コーナー (4)写真展「ユーラシアの岩画」(仮称) 日本、モンゴル、中国西北部、南シベリア等の岩画の写真展。併せて岩画の研究書も展示。 会期 2015 年 10 月 31 日(土)から 2016 年 1 月 11 日(月・祝) 会場 1 階スロープ、ギャラリー、旧第一玄関 お問い合わせ先 横浜ユーラシア文化館 畠山 禎(展示)、神谷量子(広報) Tel 045-663-2424