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2003.06. No.26
正当に怖がることはなかなか難しくなる!? (財) 金沢子ども科学財団常務理事 ・ 事務局長 坂本 浩 も の を 怖 が ら な さ 過 ぎ た り 、 怖がり過ぎるのは易しいが、 正当に 怖 が る こ と は な か な か 難 し い 。 〇〇の0〇 〇 に 対 す る も の で も 、 △ △ の △ △ △ に 対 す る の で も 、 矢張りそんな気がする 。」 の警句は、 寺田寅彦先生が、昭和10年、浅間山の“小爆発2件”と題する随 筆の中で書かれている 。 この〇の所に人々の放射能・放射線と当 てはめて 「放射線教育」 の 啓 発 を 論 じ る こ と は ま こ と に 当 を 得 て い る 、2)。 “正当に”は“科学的に”という意味であり、これは基本 的には本フォ ー ラムの立脚点である 。 放射線教育の場をみると、 大学 ・ 大学院の専門家養成は極めて限 られるようになってきて、それも特別の附置研とか、多くの場合は 専門研究機関や企業現場に任せられている 。 高 校 ・ 大学での一般教 育 は 、 教 科 書 ・ 教具、特に教員の問題があってなかなか難し い 。社 会教育では、学校教育での欠落に加えて、多くは正当な理解をもた な い 新 聞 な ど を 介 し て い る た め に 不 当 に 怖 が る こ と が 增 幅 さ れ る だ け で あ る 。 この状況を打破するた め の 本 フ ォ ー ラムの活動は、非常に意義深く、 困難ではあるが辛抱強く工夫を重ねなければならない 。 と こ ろ で 、 子 ど も 達 や 若 者 の 理 科 離 れ が 叫 ば れ は じ め て 久 し い 。大学入試科目の減少、 特に面倒な 理数系科目の均衡ある履修の減少は顕著で、初等 ・ 中等教育での実験 ・ 実習の省略が甚だしい 。 学校 での時間 ・ 設 備 の 貧 し さ に 教 師 の 理 科 離 れ 加 速 が 重 畳 し て い る 。 加えて、 昨年来実施の新学習指導要 領 は 、 時 間 ・ 内容の削減、上級学年 へ の先送り、特に理科教育に欠かせない系統性の破壊が徹底され、 出来上がった教科書は観光パンフレット集のようで、実際の理解の助けには程違くて面白くない。断 片 的 暗 記 も の 化 を 促 し て い る 。 今までの中学の内容が高校選択理科に移され、 選 択 さ れ な い ま ま 文 系 大学に進学するなどは、 社会人の理科痴へ拍車をかける愚である 。 戦 後 最 悪 と い わ れ る 所 以 で あ る 3) 。 理科のおもしろさは、五体五感を通して自然の仕組みを納得するところにある 。これは、日常の自 然の中での遊びや学校 ・ 家 庭 で の 日 々 の 生 活 の 中 で 体 得 し 、 知 的 理 解 の 助 け で 育 ま れ る も の で あ ろ う 。 筆者は、小中高の子ども達のもつ自然への知的好奇心を育むべく設立された財団立ち上げ3年目を迎 えたところで、“身の回りの放射線を知る”ことを含めてまだ試行錯誤の日々を送つている。 そこで実 感するのは、特に小学3、4年生の自ら手を出しての実験でみせる目の輝きであり、また少なからぬ熱 心な教員の存在である 。 し か し 、 新 カ リ キ ュ ラ ム 対 応 の 中 で の 教 員 は 、 多 忙 を 極 め る よ う に な っ て 自 己研修や教案の工夫、 子 ど も と 過 ご す 時 間 の 余 裕 を 失 い 、 子 ど も も 上 級 生 に な る ほ ど 理 科 か ら 遠 く な る 。 科学 ・ 技 術 を 基 盤 と し て 経 済 的 に 突 出 し て 成 功 し た か に 見 え た 日 本 は 、 2 1 世 紀 の 遠 く な い 日 に 世 界 の 、 特 に ア ジ ア の 中 で の 最 後 進 に な る か も 知 れ な い 。正当な放射線教育は、 し っ か り し た 理 科 教 育 基盤なしには成り立たない 。 杞 憂 で あ れ ば よ い が 、 怖 が り 過 ぎ だ ろ う か ? (金沢大学名誉教授) ' 1) 松浦辰男、 “放射性元素物語” (研成社、 1992.3)。 2) 近藤宗平、 “人は放射線になぜ弱いか 少しの放射線は心配無用 ” 第 3 版 ( 講 談 社 7 ' ル バ ッ ク ス 、 l 9 9 8.12)。 3) ど う し て 理 科 を 学 ぶ の ? 数 学 セ ミ ナ 一 別 冊 ヵ 'リレオ ・ サイェ ンスシリ ー ス ' No. l ( 日 本 評 論 社 、 2 0 0 2.12)。 一 一 ー 放射線・放射能セミナー 放射性同位体の ト レ ー サ ー 利 用 (I:トレーサーの原理と歴史と応用) 理化学研究所 一 名誉研究員 安部文敏 1.はじめに 放射性同位体の便利で役に立つ使い方に、 ト レ ー サ ー 利 用 が あ る 。 ト レーサ ー と は 、 何かの 動 き を 追 跡 し 、 その分布や存在量を明らかにす る も の で あ る 。 放 射 性 同 位 体 が ト レ ー サー と し て優れているのは、 それが放出する放射線を使 って、容易に高感度で検出できることによる。 放射線がガンマ線の場合には容器に入つたまま の 試 料 に 測 定 器 を 近 づ け る だ け で 、 試料中の放 射性同位体の種類・量を知ることができるし、 イ メ ー ジング機器を用いれば人体内の分布まで 分かってしまう。放射線は原子1個々々の壊変 に 対 応 し て い る か ら 、 感度はきわめて高い。 そ れぞれの元素の同位体の化学的挙動は、 ご く 特 別な場合を除き、 互 い に ほ と ん ど 差 が な い か ら 、 原子・分子の化学的挙動を正確に追うことがで き る 。 化合物中のある元素の一部を放射性同位 体に置き換えることは、その化合物に放射線で 検出できる 「 し る し 」 を つ け る こ と に な る の で 、 標識するという。 2 . 放 射 性 ト レ ー サーの歴史 初 め て 放 射 性 同 位 体 を ト レーサ ー と し て 利 用 したのはHevesyとPanethで、難溶性のクロム 酸鉛PbCr04 の 溶 解 度 の 測 定 が 1 9 1 3 年 に 行 わ れ た。 ' ) まだ人工放射性同位体などはなく、 「同 位体」 と 云 う 概 念 が よ う や く 確 立 さ れ 始 め た こ ろのことで、天然に存在するウラン系列の中の '°P b ( 当 時 は ラ ジ ウ ム か ら 生 成 す る 放 射 性 元 素 の ひとっとしてRaD と呼ばれていた)が使用され た。 この研究成果を報告する論文がドイツの化 学 誌 Z . A n o r g . Chem. に 送 ら れ た の が 1 9 1 3 年 の4月で、初めて“Isotope”と云う用語が使 わ れ た S o d d y の レ タ ーが N a t u r e 誌 に 送 ら れ た のが同年の12月になってからであった。 Hevesy ら は 、 21o P b で 標 識 し た ク ロ ム 酸 鉛 2 '° PbCr04 を 合 成 し 、 蒸 留 水 と 振 と う し た の ち 、 ろ過した。ろ液の一定量を分け取り、シャー レ の 上 で 乾 燥 し た の ち 、 2 Pb の 壊 変 で 生 成 す る 2 B i の ベー タ 線 を 測 定 し た 。 2 '° Pbc r 04 の重量 をW 。、 放 射 能 を A o 、 分 け 取 つ た ろ 液 の 体 積 を 、 放射能をAとすると、クロム酸鉛の溶解度は 2 '° '° v 分け取つたろ液に溶解している クロム酸鉛の重量÷V =(WoXA÷Ao)÷V で 求 め ら れ 、 結 果 は 1 . 2 x 10 - 5 g / L で あ っ た 。 当時の制約の多い実験条件下でも、 こ の よ う に 極めて難溶な化合物の溶解度が求められたこ と は、Hevesyらの着眼のすばらしさと放射性トレ ー サー の 感 度 の 高 さ を 示 し て い る 。 Hevesyはキュリー夫妻に比べれば、一般的な 知名度は高いとは云えないが、 放 射 性 ト レーサ ー法を創始しで化学への応用の道を開いただけ で な く 、 放 射 性 同 位 体 32P を ト レ ー サ ー と し て 骨がダイナミックな新陳代謝を行っていること を 初 め て 示 す な ど 、 生化学の分野でも先駆的研 究を行っている。また、現在医療で膨大な件数 が実施されているラジオイムノアッセイの基礎 となった同位体希釈法を創始し、 さ ら に は 7 2 番元素ハフニウムを発見するなど多大な業績を 上げて放射化学 ・ 核医学の基礎を築いた大化学 者で、1943年にノーベル化学賞を受賞している。 Hevesyの伝記はMジョルジュの著書に列伝の ひ と っ と し て 紹 介 さ れ て い る が 、 幸い訳書で読 め る 。 2) こ の 本 に は 、 H e v e s y 先 生 が 、 愛 用 の レ ス ト ラ ン で ス テーキの食べ残しからハンバー グ を 作 つ て い る と い う う わ さ を 聞 き 、 ス テーキ の 食 べ 残 し に 少 量 の 放 射 性 ト レ ー サー を 仕 込 ん で帰つた翌日、 注 文 し た ハ ン バ ー グ が 来 る と 持 参 の ガ イ ガ ー ・ カ ウ ン タ ーが 鳴 り は じ め た と い う、大変面白いがいささかギョツとする逸話も 紹介されている。 法規制もなかったおおらかな 時代の話で、 現 在 は 許 さ れ る は ず も な い が 、 簡 便 性 、 高 感 度 な ど の 放 射 性 ト レー サーの 特 長 を よ く 示 す 歴 史 的 エ ピ ソ ー ドではある。 1 9 3 3 年 の ジ ョ リ オ ・ キ ュ リ ー 夫 妻 に よ る 3° P の製造に始まる人工放射性同位体の時代になる と 、 測定器も進歩 ; L .、 原子炉や加速器で製造さ れたいろいろな放射性同位体が、 化 学 ・ 生 化 学 などの基礎研究だけでなく、医療、工業等々の 分 野 で ト レー サ ー と し て 使 わ れ て い る 。 3. 化学への応用 難溶塩の溶解度の測定に始まる化学への応用 例 は 無 数 に あ る が 、 同 位 体 ト レー サー を 用 い な ければ研究できない例に同位体交換反応がある。 化合物やイオンの成分原子が他の化合物・イオ ンの同じ元素の原子と交換しあうことがある。 これが同位体交換反応で、 同じ元素の原子同士 の 交 換 で あ る か ら 、 同 位 体 ト レ ー サー を 使 わ な け れ ば 観 測 で き な い 。 ハ ロ ゲ ン 化 ア ル キ ル R-x のハロゲン原子Xは、アセトンなどの中ではハ ロ ゲ ン 化 物 イ オ ン x 一 と交換する。 R X 十 X - ll > R X 十 X ' - - - 、 ・ 1:; l一 + 1- 十 Hughesらは、 ヨ ウ 素 I が 結 合 し て い る 炭 素 が 不 整 炭 素 で あ る 2 一 ヨ ー ド オ ク タ ン の I と l281 イ オ ン と の 交 換 速 度 を 測 定 し た 。 ま た 、 同条件下 で 、 光 学 活 性 体 d 2一 ヨ ー ド オ ク タ ン の ワ ル デ ン 反 転 に よ る ラ セ ミ 化 の 速 度 を 測 定 し 、 両反応が ー - 並行して起こっていることを示した。 この結果は、よく知られている二分子求核置 換 反 応 ( SN2 反 応 ) の 機 構 の 確 立 に 重 要 な 根 拠 を あたえた。同じように、金属錯体の反応機構の 解 明 に も 、 同位体置換反応の研究が大きな役割 を果たした。 4. 生化学への応用 生 化 学 に お い て も 放 射 性 ト レ ー サ ー は有用な 手 段 と し て 広 く 利 用 さ れ て き た 。 事情は現在の バイオサイエンス・バイオテクノロジーでも変 っていない。 一番有名なものを紹介するとすれ ば、 や は り カ ル ヴ ィ ン ら に よ る 光 合 成 の 研 究 で あ ろ う 。 彼 ら は 、 植 物 に l4C02 を 与 え な が ら 光 合 成させ、 さまざまな経過時間ののちに葉をすり つぶして、種々の成分化合物を2次元ろ紙クロ マ ト グ ラ フ イ ー で 分 離 し た 。 ろ紙に写真フィル ムを重ね、 4C の ベー タ 線 で 感 光 さ せ る オ ー ト ラ ジ オ グ ラ フ イ ー で 、 4Cの種々の化合物への分布 を調べた。 このような実験の積み重ねの上に、 CO2 から糖までの複雑な光合成の機構が明らかに されたのである。 ' ' 同位体希釈法 放 射 性 ト レーサーを利用した優れた分析法に 同 位 体 希 釈 法 が あ る 。 こ れ も Hevesy が 創 始 し た も の で あ る 。 この分析法の原理の説明には「め だか」を使うとよい。大きな池にめだかが沢山 5. 、 ' 電解槽中の水銀の総重量 =採取した水銀の重量 x 加えた水銀の放射能 ÷採取した水銀の放射能 これで、 電解槽中の水銀全部を取り出して重量 を測定するという面倒な作業をしなくて済むこ とになる。 Yalo w と B e r s o n に よ り 確 立 さ れ 、 医 療 で 大 活 躍をしているラジオイムノアッセイはこの同位 体希釈分析法に抗原抗体反応を組み合わせた巧 妙な分析法で、ホルモン、酵素、たんぱく質な ど を 、 も の に よ っ て は 1 0- 3 g ま で 定 量 で き 、 世界で毎年数千万件の分析が行われているそう である。 ' ◆ 一-・ 一 一 一一 r r I , 一 一 一 一 , , 工業的利用 工 業 界 で も 、 放 射 性 ト レーサーは工程の管理 や ト ラ ブ ル シ ュ ーティ ン グ に 用 い ら れ て い る 。 上で同位体希釈法の例を示したので、 ス ケール の大きい応用例を紹介しよう。ある国で、地中 に埋設された全長140 kmの原油のパイプライ ンに漏れが発生した。 疑われる箇所を次々と掘 り起こして調べるには大変な費用と時間がかか る 。 そ こ で 放 射 性 ト レーサーの 登 場 と な っ た 可 能 性 の 高 い 部 分 か ら 原 油 を 抜 き 、 臭素の放射 性同位体 82B r を ふ く む 水 を 代 わ り に い れ て 圧 力 を加えた。水を抜いたあとのパイプの中を、 測 6. ' 同位体希釈法の原理 いるとする。 1万匹か、 こ と に よ る と 10万匹い るかもしれない。 全部を捕獲して数えるなどと てもできないので、緋めだかに協力してもらう。 例えば、緋めだか1000匹を池に放してやる。 何日かして、 めだかと緋めだかが完全にまざり あったところで何匹かを捕獲して、 めだかと緋 め だ か の 数 の 比 を 調 べ る 。 仮 に こ の 比 が 30:1 なら、めだかは全部で1000X30=3万匹いる こ と に な る 。 捕獲数は増やすほど精度が上がる が 、 300匹位でもおよその見当は付く。 同 位 体 希 釈 法 で は 、 放 射 性 ト レーサーが 緋 め だかの役割を果たす。 上 の た と え 話 は め だ か と 緋めだかが同じ行動を取ることが前提になって いるが、先に述べたように、同じ元素の同位体 の化学的挙動はほとんど同じである。 緋めだか はその緋色で「検出」されるわけだが、放射性 ト レー サーの場合は放射線が検出に使われる。 例えば、 工場の電解槽中の金属水銀の現量管 理に水銀の放射性同位体 197H g ( ま た は 2 o3H g ) が 用 い ら れ る 。 一 定 の 放 射 能 を も つ 97Hg (金属水 銀、重量としてはごくわずか)を電解槽に加え、 よ く 撹 拌 し た の ち 少 量 の 水 銀 を 採 取 し て 、 放射 能 を 測 定 す る 。 電解槽中の水銀の総重量は次式 で求められる。 .国 、 、、11 . 5. その他 定器と記録計をのせた自走探査車を走らせ、 走 行距離と各位置での放射線の強さを記録する。 漏れのあった箇所ではパイプの外に漏れ出した 8 2Br の ガ ン マ 線 が 検 出 さ れ る か ら 、 走行距離か ら漏れの位置が分かる。このパイプラインでは、 数箇所の漏れが簡単に見つかり修復されたそう で あ る 。 こ の 種 の 実 験 で は 、 その国の法規の遵 守 は も ち ろ ん 、 環境への十二分の配慮が必要な ことは云うまでもない。 きた成魚を捕獲して耳石を採取する。 こ の 耳 石 試料を原子炉中で照射すると、核反応 l 5 l Eu 十 n → 152ml Eu 十 γ (n:中性子、 γ : ガ ン マ 線 ) が起きて、非放射性の 5 Euの一部が放射性の 152ml E u に 変 わ る 。 こ の l52mt Euの放射能を測定し、 同条件で照射した標準試料の放射能と比較すれ ば、 ユ ウ ロ ピ ウ ム の 量 が 分 か る 。 この方法で、 鮭が何年目に遡上してくるか、 全部が放流した 河川に戻つてくるかなどが調べられた。 '' アクチバブルトレーサー 放射性 ト レ ー サ ー の 環 境 へ の 影 響 が 無 視 で き な い よ う な 場 合 に は 、 ア ク チ バ ブ ル ト レ ー サー を 用 い る 。 こ れ は 放 射 性 ト レーサー の 変 種 と も い え る も の で 、 安 定 同 位 体 を ト レーサ ー と し て 使い、 最後に原子炉などでこの安定同位体を放 射性同位体にかえてその放射能を測定する方法 で あ る 。 有名な例は、 鮭 の 回 遊 の 研 究 で あ る 。 ランタノイドのひとつュウロピウムはテレビの ブラウン管で赤い色を出している元素であるが、 鮭の耳石(平衡石とも呼ばれ、 平衡感覚を司つ ているとされる)に集積する性質がある。そこ で、鮭の幼魚にュウロピウム(非放射性)を含む 餌を与えてから放流し、 回遊を終えて遡上して 7. 1)G.Hevesy and ];1 l.Paneth:Die Loslichkeit dos Bleisulfids unci Bleichromats, ZAnorg. C he m 82 323 328(1913). こ の 原 論 文 の 第 1 頁 右 上 の 頁数は223 と 誤 植 さ れ て い る の で 注 意 ! 2)Mジョルジュ著、盛田常夫編訳:異星人伝説、 20世紀を創つたハンガリー人、2001年、 日 本評論社。 - (次回は、 わ が 国 で 開 発 さ れ た マ ル チ ト レーサ ーによる多元素の同時追跡の研究成果を紹介す る。) NP0法人放射線教育フォ ー ラム2003年度通常総会プ ロ グ ラ ム 日時 : 2 0 0 3 年 6 月 1 5 日 ( 日 ) 1 3 : 0 0 ~ 1 5 : 0 0 場所 : 日本科学未来館 会議室2(束京都江束区青海2-41) 第1号議案 第2号議案 第3号議案 第4号議案 第5号議案 「NP0法人放射線教育フォ 「NP〇 法人放射線教育フォ 「NP0法人放射線教育フォ 「NP〇 法人放射線教育フォ 「NP0法人放射線教育フォ ー ー ー 議題 ラム2002年度事業報告書承認の件」 ラム2002年度決算報告書承認の件」 ラム2003年度事業計画書承認の件」 ラ ム 2 0 0 3 年 度 予 算 書 承 認 の 件」 ラム役員等選出規定の承認の件ならびこれらに 伴 う N P 〇 法人放射線教育フォ ラム定款一部改正の件」 第 5 号 の 1 選出規定等の整備の件 第 5 号 の 2 規定等に基づく役員選出に関する経過措置の件 ー ー ー 報告事項 1 . NP〇 法人放射線教育フォ ラムの現状について 2 . 放 射 線 教 育 国 際 シ ン ポ ジ ウ ム ( IsR E 0 4 , 2 0 0 4 年 8 月 , 長崎市) の開催準 ー 3. 4. 備の件 専門委員会活動報告の件 2003年度エネルギ ・ 環 境 セ ミ ナ 一 実施準備状況の件 ー 4 N P 〇 法人放射線教育フォ ー ラ ム 2 0 0 3 年 度 事 業 計 画 書 ( 案 ) 2003.6. 2 1 . 特定非営利活動に関する事業 (1)シンポジウム・勉強会の開催 ①国内での勉強会・シンポジウム 勉強会を3回(6月,11月、3月)開催。2002年度から開始された学校教員むけのセミナ ー に 関 し て は 別 項 2 . に記載した。 ②国際シンポジウムの準備 2 0 0 4 年 8 月 2 2 日 ~ 2 6 日 に 、 長 崎 市 ブ リ ッ グ ホ ー ルにおいて、 「第3回放射線教育に 関する国際シンポジウム」を開催するので、その準備のため、組織委員会・諮問委員会・募 金委員会・実行委員会を立ち上げ、サーキュラー・募金趣意書を作成し、参加者募集・募金 活動及びプログラム編成等の活動に入る。 (2)調査研究・情報発信 ①専門委員会 ( ワ ー ク シ ョ ッ プ ) 「実験教材検討」 「 放 射 線 教 育 カ リ キ ュ ラ ム 」 「 リ ス ク に 関 す る 教 育 」 「医療系教育機関 における放射線教育の実態調査」 「低レベル放射線影響」 「教科書における原子 力 ・ 放 射 線 の記述」 「 マ ス コ ミ 報 道 調 査 」 「 加 速 器 利 用 調 査 」 の 8 テ ー マ に つ い て 、 そ れ ぞ れ 年 間 数 回 程度の会合を開いて、報告書(あるいはテキスト)を作成する。 ②定期刊行物の刊行と配付 編集委員会が「ニュース レ タ ー 」 を 3 度 、 機 関 紙 「 放 射 線 教 育 」 を 1 度 発 行 す る 。 ③不定期刊行物の刊行と配付 年度末にワークショップの活動状況・成果、勉強会やエネルギー・環境問題セミナーにお け る 講 演 等 を 中 心 と し た 、 本 フ ォ ー ラ ム 2 0 03年度活動成果報告書を作成する。ワーク シ ョ ッ プ の テー マ に つ い て は 、 そ の 内 容 に よ り 教 員 ま た は 学 生 ・ 生 徒 向 け の テ キ ス ト を 作 る 。 ④『原子力安全基盤調査研究』 (経済産業省原子力安全・保安院)の公募研究への応募 社会の指導者層への原子力・放射線に関する正しい知識の普及を日的とする調査研究グル ープを結成してその活動を20 03年度から開始する。 ( 3 ) 政策提言 放 射 線 ・ 原 子 力 ・ エ ネ ル ギ ー 問 題 等 に 関 す る 社 会 教 育 、 学 校 教 育 、 あるいは専門家の教育を 改善するための政策提言を要望書の提出や、 学会での発表などの形式で行う。 . 2 . セミナ一開催事業 文 部 科 学 省 主 催 の 、 主 に 文 系 の 教 員 を 対 象 と す る 「 エ ネ ル ギ ー ・ 環 境 ・ 放 射 線 セ ミ ナー 」 を 、 昨 年 度 に 引 き 続 き ( 財 ) 放 射 線 利 用 振 興 協 会 に 協 力 し て 、 「 原 子 力 体 験 セ ミ ナ一 文 系 コ ー ス 」 と して全国10地区(北海道、東北、北関東、南関東、静岡・山梨、愛知・岐阜・三重、北陸、近 畿、中国・四国、九州・沖縄)で延べ550名の受講者を集めることを日標に開催する。 3 . 収益事業 フ ォ ー ラムの非営利事業を助けるために、 定期及び不定期刊行物への広告欄への募集を行い、 収益を得る。 4 . 組織の運営 1年に約11回、理事会(または理事連絡会)を開催して組織の運営と事業の企画を行う。顧 問会を1回開催する。 フ ォ ー ラ ム 活 動 の 広 報 は で き 、る だ け イ ン タ ー ネ ッ ト の ホ ー ム ペ ー ジ を 整 備 ・ 充 実 さ せ る こ と に よ り 行 う 。 また財政基盤を固めるために団体又は賛助会員を増やす努力をさらに続ける。 以上 日本では戦後の一時期精度よ り も価格を優 先 し て い た た め 、 ル ビーで は な く 赤 い ガ ラ ス を 使 っ て い た こ と が あ っ た が 、 朝鮮戦争で景 気が良くなるとルビーが使われるようになっ た と い う 。 こ の ル ビー は当然人工宝石である 4) 。 この人工宝石の研究は古くから行われてい たがなかなか成功しなかった。1877年、初め て ル ビー が 人 工 的 に 作 ら れ た と い う が 、 こ の 結晶は小さく装身具には不適当だったので工 業用として時計などに利用されたという。安 価 で 大 き い 人 工 ル ビー の 製 造 に は 1 9 0 4 年 の べ ルヌーイが合成に成功するまで待つ必要があ り、これを皮切に人工宝石の研究は進むこと に な り 、 時計用を含む工業用のルビーの生産 も盛んになっていった 5) 。 こ の ル ビ ー は 時 に 「時」 以 外 の も の を 測 定 することもある。 連載 放射線・放射能 ものしり手帳 腕時計ではかる もの 放射線医学総合研究所坂内忠明 1. 腕時計の石 「時計の話」では腕時計の発端は1899年に 起こった南阿戦争中、イギリス軍将校の一人 が、 懐中時計を皮バンドで手首に巻き付け、 腕時計として使用することを思いついたこと だというのがあるが、 それ以前からあったら しい ' ) 。 腕時計は20世紀初頭から普及し始め、1905 年 の 「機械統計年報」 には学生の間に腕時計 が 大 流 行 し た と い う 記 録 が 記 載 さ れ て い る 2)。 当時の懐中時計や腕時計は、 値 段 が 高 く 、 富の象徴、社会のエリ ー トの印であった。背 広 の チ ョ ッ キ の ポ ケ ッ ト か ら 、 懐中時計を見 る姿は社会的ステイタスそのものだったので あ る 3) 。 小 川 未 明 の 「 小 さ い 針 の 音 」 と い う 童 話では、 自分が出世するにつれて、 持 つ て い る 時 計 を 次 々 と 取 り 替 え て 、 精度の高い時計 を求めていく男の様子が描かれているが、 そ れも当時では無理のない話であろう。 値段が 高い中でも、 ピンからキリまであって、値段 が安いものは、 中が粗雑で精度も低く、 逆に 値段も高ければ、 それだけ精度も高かった。 戦後の腕時計であれば、 精 度 を 示 す も の と して、 石がいくつ使われているかで表現され て い た 。 石 の 数 は 何 石 ( 何 JEWELSと表記) と 文字盤の中央に書かれ、 その数が多ければ高 精度と言われていた。 石 と い っ て も 、 ただの 石 で は な く 、 宝 石 の ル ビー や サ フ ァ イ ア の こ と で 、 ル ビー が 多 か っ た よ う で あ る 。 時 計 で ル ビーは ど こ に 使 わ れ て い る か と い うと歯車の軸を支える穴に使われている。 ル ビー は 硬 度 も 高 く ( モ ー ス 硬 度 で 9 ) 、 摩 耗 に も強いので力のかかる車の軸を受るのに適し ているからである。石が多いということは、 そ れ だ け 歯 車 の 数 が 多 い と い う こ と に な る (た だ、 機能的にはまったく必要とされない場所 に ま で 石 を 使 い 100 石 と し て い る 例 も な い わ けではないが一一)。 1 9 7 0 年 代 の ア ナ ロ グ 式 の 時計にはクォーツ時計であっても数個のルビ ーが使われていた。 デジタル式の腕時計には 全く使われていない。 イリジウム事故 1971年9月17日、千葉県市原市の造船所で '92 I r ( 約 2 0 0 G B q 、 半 減 期 は 7 3 . 8 3 日 ) を 紛 失 した。 それはステンレスでできたペン型のホ ル ダ ー の 先 端 に つ い て い て 、 非破壊検査に使 っていたのであるが、 紛失したことには次に こ の 装 置 を 使 う 20 日まで気がっ か な か っ た 。 気が付いてから3日間会社の人達は必死にな っ て 探 し た が 見 つ か ら ず 、 23 日 に 紛 失 を 届 け 出ることにより、マスコミを通じて一般に知 られることとなった。 この放射性イリジウム は既に18日にある人に拾われていた。拾い主 は自分の宿舍にそれを持ち帰り、25日に報道 を聞くまで、それがイリジウムであることに 気 が 付 か な か っ た 。 結局、 その人や宿舎の人 が被曝するという事故となってしまったので あ る 6) し か し 、 当時は一般市民の被曝線量を推定 する方法等は全く といって良い程なかった。 あるとしても原爆の被曝線量推定に研究され ていた瓦やレンガに含まれる石英粒の熱ルミ ネッセンスぐらいであった。 2. 〇 熱 ル ミ ネ ッ セ ン ス と い う の は 、 放射線を当 て た も の が 、 熱刺激で発光する現象である。 この原理はこのように言うことができる。放 射線を当てると結晶内部の原子が電離する。 電子を失った原子はプラスに帯電し (正孔と 呼ぶ)、 電離した電子は結晶内部のどこかに捕 ら え ら れ そ の 原 子 は マ イ ナ ス に 帯 電 す る (全 体ではプラスとマイナスの数が同じなので帯 電 し て い る よ う に 見 え な い 。 しかし歪みを抱 6 え こ ん で い る 状 態 で あ る ) 。 液体や気体なら、 すぐに原子が動いて再結合することもできる が 、 固 体 で は そ う も い か な い 。 しかしやや高 めの熱をかけると電子が動くことができ、正 孔 と 再 結 合 す る こ と が で き る 。 その時に不安 定な状態 ( プ ラ ス と マ イ ナ ス の 電 荷 を 維 持 し た状態) から安定な状態に移るため、 不要と な っ た エ ネ ル ギーが 発 生 し 、 こ の エ ネ ル ギ ー は光となって放出される。 この光が熱ルミネ ッ セ ン ス で あ る 7) 。 この光の量は、 当てた放射線の量に比例す る 。 そのため光の量を調べれば線量を推定す ることができる。ただし、線量を測定する為 には、 線量測定開始前に熱をかけていること が必要である。 なぜならば自然界の放射線に よっても電離は起きてしまうので、 熱ルミネ ッ セ ン ス が 起 き た と し て も 、 その光は自然界 の放射線を長時間受けたことにに寄るものな のか、 そ れ と も 最 近 の 人 工 的 な 放 射 線 の た め なのかがわからなくなってしまうからである。 被曝事故の治療や状況把握のため、 六人の 線量を調べなければならなくなったものの、 身近に線量測定に使えるものがそんな簡単に 見つかるわけがない。 宿舎の窓ガラスや蛍光 灯などを調べても線量を調べることはできな か っ た 。 し か し 、 腕時計の軸に使われている 人 工 ル ビ ー は 線 量 を 記 録 し て い た 。 予備的な 試験で線量が測定できることを確認した後、 3 人 か ら 腕 時 計 の 提 供 を 受 け 、 軸 芯 の ル ビー の 熱 ル : 、 ネ ッ セ 、 ス を 測 定 し た 。 その結果、 時計の受けた線量を測定することができ、 そ の値と線源に対する体の距離等を考えてその 人達の線量を推定することもできた。それに よ る と最大の人でも全身に浴びた線量は 0 . 1 3 S v で あ っ た 8) 。 こ れ は 時 計 に 使 わ れ て い た ル ビー の 数 が 2 0 以 上 も あ っ た こ と も 幸 い し ' ている。 その後 この事故の後も、 腕時計を用いる推定法は 使われたことがある。 1982年にノルウェーで2.4PBq(ぺタベクレ ル I P B q = 1 0 ' 5B q ) の 6 ° Coのγ線で作業者が 被 曝 し た 事 件 が 起 き た 。 こ の 時 、 作業者の被 曝線量の推定のため、 作業者が着用 し て い た 腕時計の石の熱ルミネセンスを利用している。 作業者は、 フ ィ ル ム バ ッ ジ を 装 着 し て い た が 測定上限値である3Gyを超えていたため、フ ィルムバッジで線量を求めることはできなか 3. ったのである。 腕 時 計 の 石 1 1 個 の う ち 3 個 の 石 か ら 線 量 を 推 定 し 、 14.6±2.9Gy と い う 結 果 を 得 た 。 他の石は発光感度の変動が大き く 信 頼できる値ではなかったためである。 しかし、 不幸にもその作業者は13 日後に死亡してしま っ た 9・ 'o ) 。 現在の時計は水晶時計が多く、 この手法を とることはできない。時計に用いられる水晶 は 純 度 が 高 く 結 晶 性 優 れ て い る た め 、 放射線 に対する感度が悪すぎるのである )。 そのか わ り 、 様々な手法を用いて計測する方法が開 発 さ れ 用 い ら れ て い る 。 ESR を用いた砂糖によ る被曝線量の測定は、 その一例である '2) 。 '' 引用文献 1) 織田一朗、 「 『 時 』 の 国 際 バ ト ル 」 、 p 6 5 、 文芸春秋、2002 2 ) 時 計 史 年 表 編 纂 室 編 、 「時計史年表」、河合 企画室、1973 3)織田一朗、 「 ク ォ ー ツ が 変 え た 時 の 世 界」、46-47、 日本工業新聞社、1988 4 ) 広 瀬 三 夫 、 「 宝 石 を つ く る 一 人工宝石手帖一」、 27-29、全国加除法令出版、1980 5)広瀬三夫、「宝石をつくる一人工宝石手帖一」、 18 20、全国加除法令出版、1980 6 ) Kurisu,A. a t a 1. , Ou t l i n e o f the l92 I r Accident, J . R a d i a t . R e s . , 1 4 , 2 7 3 274,1973 7 ) 藤 村 亮 一 郎 、 山下忠興、 「 放 射 線 に よ る 固 体現象と線量測定」、 8-89 8)Hashizume,T. a t a 1. , Dose E s t i m a t i o n o f Non-occupational persons Accidenta ll y Exposed t o t 92 IrGamma Rays, J . R a d i a t . R e s . , 14, 320 -327, 1973 9)Majborn B . , E s t i m a t i o n o f a c c i d e n t a l g a1Tuna dose by means o f thermoluminescence from watch j e w e l s , H e a l t h P h y s 4 6 , 9 1 7-919,1984 1 0 ) M a j b o r n B., S t u d i e s o f the d o s i m e t r i c p r o p e r t i e s o f watch j e w e l s. , Radiat Prot Dosim6, 129 - 132, 1984 11) 中 島 敏 行 、 水 晶 腕 時 計 に よ る 非 職 業 人 の 被曝線量評価の可能性、保健物理、20、393-397, 1985 1 2 ) Nakajima, T., Sugar a s an Emergency Populace Dosimeter f o r Radiation Accidents, Health Phys. 55, 951 955, 1988 - - . . - - 参考文献 中 島 敏 行 、 ル ビー か ら ダ イ ヤ へ の 道 の り 、 放 射 線 科 学 3 5 ( 1 2 ) 、 4 0 8-413、1992 一 : ◆ l l t 一 : 東海大学工学部応用理学科 エネルギ ー工学専攻 教授 横地 明 l t l 一 l l 1- l l 会 員 の声 一・ で く れ る よ う な 、 具体的な教育環境の整備 や構築が今ほど必要な時はないように思う。 太い縦糸(柱)としての「21世紀のエネ ルギー」 や 「 環 境 保 全 」 「 安 全 と リ ス ク 」 と い う よ う な 、 21世紀を担う人々が必須 としなければならない課題に対して、産・ 官・学からなる複合的な教育環境の構築と その展開が必要不可欠である。 2 0 年 以 上 前 の こ と で あ る が 、 保健物理 分野の人達のグルー プ で 雑 談 を し て い る と ころに、長老のA氏が加わった。話の内容 は、原子力施設内で医療を必要とするよう な 災 害 が 発 生 し た と し て 、 地域の病院等の 医療態勢に問題はないだろうか、というよ うな議論であった。その時、A氏は“その よ う な 事 は あ っ て は な ら な い が 、 我国の医 療体制を見てみると、 過疎化している地域 の一般医療の体制を充実することの方が急 務で、 我が国は高齢化社会に向けて、 社会 全般の方向転換が今一番必要な時なんだよ。 高齢化社会がやってくることが分かってい ながら、 それを迎える態勢はまったく出来 て い な い 。 医 療 の 面 に 限 っ て も 、 現在の医 学教育、看護・福祉教育、とはまったく違 った視点を持つて高齢化医療体系を一日も 早く教育現場から作つて行かなければだめ だ ! ” と 力 説 さ れ 、 “君達若い者が取り組 む課題だよ!どうだ、やってみないか!” と ・ ・ 。 そ し て さ ら に 、 “いや、 君 達 が 取 り 組 ん だ と し て も 、 君達自身が老人になったとき に果たしてその恩恵に浴せるか、 ど う か・・”と言われたことを思い出す。現在 の医療体系や社会福祉の現状を見るとき、 “そのく らいの時間を要する問題なんだ よ ” と言われた言葉が心に突き刺さる。 教 育に必要な時間軸の長さとその重みを感じ ている。 横 糸 の 充 実 も さ る こ と な が ら 、 国民全 体が環境やエネルギー問題に関心をもち、 安全やリスクに正しく判断ができるような 複合的な教育をあらゆる角度から長期にわ たって展開できるような国としての柱を立 て 、 目標を持つて相互に努力することが必 要なのではないだろうか。 教育は長期的展望で Ll こ の 2 0 年 を 振 り 返 る と 、 TMI 事 故 (1979)から始まり、チェルノブイリ事故 (1986)、とりわけ我が国においては、動 燃東海再処理工場事故(1997)、 JC0事故 (1999)そして昨年の東電の不祥事 (2002) と 、 トラブルが連続して発生し、 それらが 約半世紀に渡つて培ってきた我が国の原子 力技術環境を根こそぎ崩してしまったかの ような感がある。 それらの事象が発生するたびに、 法改正 や機構の改革、 技術的な改善が図られ、 そ して 情報開示などの議論が展開され、 積極 的なPA活動も進められてきた。 こ の 2 0 年 の 間 に は 、 産業界においては 技術、 管理部門の再編成や統廃合が進めら れ 、 一 方においては技術者の育成を担う大 学の原子力工学コースは次々とその姿を変 え て い る 。 これらの改革が時代や技術革新 を 読 ん だ 前 向 き な も の で あ る な ら ば 、 未来 に対して明るい希望が見えてくるのである が、先に述べたような対症療法の多くは、 織物でいえば横糸であって柱となる縦糸で は な く 、 率直に言ってそれらの対応からは 未来は見えてこない。 縦糸となるべき次世代の原子力技術者の 育成や、確立された技術の次世代への引継、 すなわち技術の継続性が必要不可欠である と原則論としては誰もが認識しながらも、 現実的な対応である横糸的な方策に走らざ る を 得 な い 社 会 か ら 一歩 も 抜 け 出 す こ と が 出来ていない様に思えてならない。 しかし、 このような状態の持続が、近未来において 技術者の不足や技術レベルの低下の発生を 予 測 さ せ る も の で あ る な ら ば 、 原子力時代 の再生はあり得ないことになる。 そ の よ う な方向に全体の流れが少しづつ進んでいる のではなかろうかと思えてならない。 次世代を担う若者が進んで環境科学やエ ネルギー技術の分野に夢を持つて取り組ん 8 一く - ll 十l三.. , 1ト、 . ,_, ,l 、 、l ;1lJ t l Ell l l R +- 、 +6、 、 l m]1l cl m:l !mil 1 ロ◆1: 、 [[l l l ] C l :l 、ll 、 Cl ; 1 l1 ,j _, _ 在 11、 1 s。 :1 1m -K s :: :111 -1くe、 I mil nti s l重 ,し差 一 l 国.. i o. l e 10 . l - I -、 . 、 11 - ! t 'l、 O 一 l 一 ' l,1 。 ll二 l 〇 降 1 1 1 ' -K 等 l - 00 、 、、 〇0 _ 'i F 、 、 , 、・一 l l 1 filii .11 - 一 、 1、、。0r' r, 0 - 1: l - .. l t lト、 .E ・・ - 0 ll 一1111 -1,,11 ロ◆l ー、 ロ◆l t、 L〇 ロr m ' -11く 0 ) 、 、 OCI i:1l cC、 、;,l 、、 -1 : 、 C l 、、 ・l1 50 ' 、 C l 1 'f - o 、、 Cl C l 0 l l -i :i:i 、 、、、 C ;1 't' l- ,1_:, . 」S-. ;.l:l 、ll c・o -l-1 '' 、、、 0 、、 ,r:, 〇〇 -三[ ・ Ill ? 111: 1[El f ll 11 00 、 l C l 1. 〇 l -1111 C ll -三I 11 1 E 、、 〇〇 00 1 00 Il L〇 〇〇 00 〇〇 0 〇0 l ト i 00 、、、 .g i; o : l :1 ヨ = 一1 ,1- 0 ' ' ロ◆t - 1 、、, ・lE S l::1 .. - l 0 . Ill ' - t、 一一 1. 〇 、 、、till t、一 ° 0 医 t、一 -K LO E に -1111 g o - , lla ・ l o Lo [1国 l 00 mill l, l, l 00 ll 料 c0、〇, :>・ - ect -l,トcill 一 使I o , , 1. 〇 1、, - l ・ , 十く L・ .重 C l 0 o , [1国 _Ill -lll11くj 31、 一 l く '・) 1 lト. m ・ t' 0 l = l l ] .. -l圧 (尚友会館8F, 10名) 4月26日ISRE04第1回組識委員会 (霞山会館9F, 24名) s 月23日第1回温集委員会 (東海大学校友会会館, 6 名 ) 6 月 3 日 第1回理事会(尚友会館8F, 15名) 2003年度第1 回勉強会プロ グ ラ ム 日時: 場所: 6 月 l 5 日 15:00 ~ l7:30 日本科学未来館 会議室2 (東京都江東区青海2 41) - 6月15日第1回総会・勉強会 (日本科学未来館会議室2)ォ テーマ:教育間題 【 講 演 1 】 1 5 : 0 0 ~ 16:00 「わが国の科学教育の危機と持続可能でかつ知識創 造実践型社会のための科学教育の再構築」 静岡大学教育学部助教授 熊野善介 ニュ ー スレター原稿算集のご案内» 福集委員会では, 会員の皆様からのご寄積をお 待ちしています 。 「会員の声」 は , 学 校 教 育 の 場 での体験談,新聞・雑誌の記事に対する感想,研 修会等 へ の 参 加 記 等 , 多 少 と も 放 射 線 ・ 原子力・ エネルギ ー の関係するもので, 1000字以内です 。 「放 射 線 ・ 放 射 能 も の し り 手 帳」 は難しい話題を おもしろく親しみやすい読み物で解説するもので 2000字以内 。 投 稿 は で き る だ け , 電 子 メ ー ルでお 願いします 。 発行は, 3 月 , 7 月 , 1 1 月 の 年 3 回 です。27号の締切は 10 月 3 日 で す 。ォ I講 演 2 】 1 6 : 0 0 ~ 17:00 「小中学校教員向け原子力セミナーの実情と教員の 反応」 核燃料サイクル開発機構大洗工学センター 高木直行 【 そ の 他 】 1 7 : 0 0 ~ l7:30 講演1の概要 「放射線教育」 原稿募集のご案内» 日本の理科教育が大きな転換期を迎えているこ と は 、 科学技術基本法や環境基本法の登場と生涯 学習を基盤とした教育改革からも周知のことであ る。 日本が今後とも豊かで見識の高い社会を維持 発 展 さ せ る に は 、 科学教育が大変重要になってく る と い え る 。 科学や技術と社会の相互関係をよく 理 解 し た 、 意思決定や課題解決に協同的に取り組 め る 市 民 教 育 が 基 盤 と な っ て く る 。 エ ネ ル ギー 間 題はその中でも最優先課題の一つと言えよう。 w〇 法 人 放 射 線 教 育 フ ォ ー ラム発行の論文集 「放射線教育」 で は , 広 く 放 射 線 教 育 に 有 益 と 考 えられる内容の原稿の投稿をお待ちしております。 編集委員会で審査の上, 採用の可否を決め, 一 部 改定をお願いすることもあります。詳しくはお手 元の最近の 「放射線教育 」 の巻末のペ ジ を ご 覧 下 さ い。 な お , 著 者 に は 表 紙 付 き の 別 刷 り 3 0 部 を無料で提供します 。 毎 年 1 月 3 1 日 を そ の 年 度 の 締 切 と し て い ま す 。ォ ー 講演2の概要 放射線利用振興協会は文部科学省の委託事業と し て 、 日本全国の小中学校及び高等学校の教職員 等を対象として実体験を通じて原子力・放射線の 分 野 の よ り 豊 富 な 知 識 を 習 得 で き る 「原子力体験 セ ミ ナ ー」 を 実 施 し て い る 。 2 0 0 1 年 か ら は 放 射 線 ・ 原子力分野だけでなく「資源、エネルギー、地球環 境」の全般を扱う講義も追加された。 著者はこの セミナーを通して多くの教職員と接する経験を得 た。 こ こ で は 、 そ の 際 の 受 講 者 の 反 応 と 、 講 師 経 験 か ら 体 得 し た 、 効果的と思われる情報伝達法に ついて紹介する。 編集後記» 光陰矢の如しと申しますが、 ま だ 当 分 の 先 と 思 っ て い た 国際放射線教育シンポジウムがあと一年と迫つて参りまし た。前々回の湘南国際村で行われたシンポジウムは大盛況 で大成功を納めましたが、今回も大きな成果が得られるよ うに準備は着々と進められている模様です。 今後、 ニュ ー ス レ タ ー で も そ の 概 要 は 一 部 報 告 さ れ る こ とになると思います。編集委員として、皆様にシンポジウ ム への関心がもたれるような役割の一端でも担えればと思 っています。 (坂内 放射線教育フォ 会務報告» (2002年度) 3 月 8 日 顧問会(科学技術館,8名) 3月8日勉強会(科学技術館6F,20名) 3月19日規定委員会(尚友会館8F,6名) 3月19日第2回理事会(尚友会館8F,15名) 4月25日2003年度第1回理事連絡会 ー 大橋國雄(委員長)、坂内忠明(副委員長)、今村 : 〒 1 0 0-0013 - - Tel:03 3591 5366 - -- 束京都千代田区霞ヶ関3 3 1 - - FAX:03 3591 5367, - 昌、 進、堀内公子、村石幸正 , E mail:mt01 [email protected], , HP:http://www.refor J p NP〇法人 放射線教育フォ ー ラ ム ニュ ー ス レ タ ー No26 , 2 0 0 3 年 6 月 l 5 日 発 行 0 記)ォ ラム編集委員会 大野新一、菊池文誠、小高正敬、村主 事務局 忠明 尚 友 会 館 B IF