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安全への取り組み
Society 社会への取り組み Sustainability Report 2015 安全への取り組み 04-01 安全に対する基本的な考え方 WHO (世界保健機関) の調査結果によると、 交通事故による全世界の死亡者数は124万人で、 死亡原因の8位となっています。 日本・米国・欧州では少しずつ減少傾向にありますが、 特に新興国ではクルマの増加に教育や交通環境が対応できず、 増加傾向 にあります。 世界規模では確実に増え続け、 このまま対策を講じないと2030年には死亡原因の5位になると言われています。 トヨタの究極の願いである 「交通死傷者ゼロ」に向けて、安全なクルマの開発が必要なことはもちろんですが、並行して、 ドライバーや歩行者という 「人」 に対する啓発活動、 「交通環境」整備への働きかけも欠かせません。 トヨタでは安全なモビリティ社会の実現に向け、人・クルマ・交通環境の「三位一体の取り組み」 を推進するとともに、事故に 学び、商品開発に活かす「実安全の取り組み」が重要と考えています。 また、交通死傷者ゼロに向けた安全技術の基本的な 考え方として「統合安全コンセプト」 を掲げ、技術開発を推進しています。 人 講習会などを 通じ交通安全 への意識を 高める 三位一体の 取り組み クルマ 事故の回避や 衝突時の乗員 保護支援の 技術開発 実際の事故を 調査・解析 事故の調査・ 解析 実安全の 追求 交通 環境 渋滞情報や 信号・道路 などの整備・ 運営 開発・評価 シミュレーション 実際の車両を評価し、安全な車両を追求 対策技術を実車に織り込み 事故を再現し、 事故への対策を検討 統合安全コンセプト クルマに搭載されるさまざまな安全システムを個別に考えるのではなく、 「連携を図り安全性を高めていく」 こと。そして、従来は 事故の前後にフォーカスされていた対応領域を、駐車から通常運転、衝突直前、衝突後、事故の際の救助まで、 「すべての運転 ステージで最適なドライバー支援を行う」 こと。 これにより、より安全なクルマを目指すのが「統合安全コンセプト」の考え方です。 個々の技術・システムの連携イメージ 衝突 事故を未然に防ぐ 駐車 パノラミックビュー モニター 予防安全 レーダークルーズ コントロール 車両 レーンキーピング アシスト レーンディパーチャー アラート インテリジェントAFS アダプティブハイビーム システム VDIM ブレーキアシスト インテリジェント クリアランスソナー ドライブスタート コントロール トラクション コントロール インフラ協調型 安全支援システム 07-01 人権の尊重 08-01 ビジネスパートナーとともに 09-01 従業員とともに 衝突安全 救助 GOA ヘルプネット 衝突安全ボデー構造 プリクラッシュブレーキ アシスト シートベルト エアバッグ シート 種類 社会への取り組み 04-01 安全への取り組み 05-01 お客様第一・品質第一への取り組み 06-01 次世代社会づくり 事故の被害を軽減する 警報 プリクラッシュブレーキ VSC ナビ協調システム 基本機能 ABS オートマチックハイビーム ナイトビュー Society プリクラッシュ セーフティ ブラインドスポット モニター バックガイドモニター インテリジェント パーキングアシスト プリクラッシュセーフティ 10-01 ステークホルダー・エンゲージメント 普及型: 追突回避支援PCS ポップアップフード 高機能型: 歩行者衝突回避支援PCS Environment Corporate Citizenship Governance 環境への取り組み 社会貢献活動 ガバナンス 11 12 13-15 Sustainability Report 2015 交通事故の実態とトヨタの安全技術 04-02 2014年の国内の交通事故による死者数は4,113人、全体的には年々減少しています。 しかし、歩行者や65歳以上の高齢者 の死亡事故については、 わずかな減少にとどまっています。 「交通死傷者ゼロ」 に向けた取り組みにおいて、依然として大きな 課題となっています。 トヨタは、交通事故に対して、実態に即した安全なクルマづくりに向けて「統合安全コンセプト」のもと、 「 それぞれの運転 シーンで最適な支援を行う」 ことを目指しています。そのために 「それぞれの安全システムが単独で機能するだけでなく、 相互に連携してより安全性を高める」安全技術の開発・実用化に取り組んでいます。 状態別死者数 高齢者の死者数 (人) (人) 4,000 65歳未満 乗用車 5,000 歩行者 3,000 4,000 3,000 2,000 2,193 1,498 2,000 1,920 自転車 バイク 1,000 高齢者(65歳以上) 1,000 原付 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14(年) 出典:2014年 警察庁 交通事故統計 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14(年) 出典:2014年 警察庁 交通事故統計 たとえば、駐車場というシチュエーションでは、 ドライバーが周辺の歩行者に気付かず、事故につながるケースがあります。 トヨタでは、周囲を360度確認できる 「パノラミックビューモニター」 を開発し、見落とし防止を支援しています。 また、プリクラッシュセーフティシステム(PCS)は、2003年に商品化して以降、技術開発を重ね、2008年には歩行者対応 PCSを開発。 さらにその後、改良を進め、最大時速30km減速する自動ブレーキや、最大時速60km減速するプリクラッシュ ブレーキアシストを実用化。交通事故死の低減における重要課題である歩行者への対応に取り組んでいます。 また近年、高齢ドライバーによる事故が増えています。 運転に必要な「認知・判断・操作」能力は、加齢とともに低下します。高齢ドライバーが原因の事故の約半数は交差点、あるい は交差点付近で発生し、事故原因の半数が安全不確認です。 このような交差点事故に対しては、路車間通信や車車間通信を 用いて、見通しの悪い場所から近付くクルマや人の情報をドライバーに提供するインフラ協調型安全運転支援システムが、 事故防止への有効な手段になると考えています。 また、自動運転技術を利用した高度運転支援システムは、 ドライバーのミスを補完し、運転負荷を低減することで、事故 回避をサポートし、死傷者を低減できる大きなポテンシャルを持っています。 事故をはじめ、交通社会の課題に対してトヨタは、 クルマ単体ではなく、交通システム全体として安全性を格段に高めていく ことを考えています。そのためにもトヨタは、誰もが、安全に、自由に移動する自動運転の技術開発に取り組んでいます。 高齢(65歳以上) ドライバーが第一当事者の死亡事故と交差点内の事故発生原因の内訳 高齢者(65歳以上)が第一当事者の事故 その他 (件) 調査不能 110,000 信号 交差点 100,000 直線単路 90,000 80,000 9% 無信号 交差点 31% 22% 49% 60,000 0 18% 00 02 04 06 08 10 12 脇見運転など 12% 9% Society 07-01 人権の尊重 08-01 ビジネスパートナーとともに 09-01 従業員とともに 50% 14% (総数:765件) 出典:平成23年 ITARDA事故データ 社会への取り組み 04-01 安全への取り組み 05-01 お客様第一・品質第一への取り組み 06-01 次世代社会づくり 安全不確認 交差点 付近 14(年度) 出典:警察庁交通局「平成26年中の交通事故の発生状況」 16% 判断の誤り 70,000 カーブ単路 漫然運転など 操作不適 13% 10-01 ステークホルダー・エンゲージメント Environment Corporate Citizenship Governance 環境への取り組み 社会貢献活動 ガバナンス 11 12 13-15 Sustainability Report 2015 過年度実績および本年度の主な取り組み 04-03 2014年度の主な取り組み 安全 2015年度の主な取り組み ・技術トレンド、法規・アセスメントを先読みした 中長期安全技術シナリオの立案と開発の推進 ・2025年に向けた中長期安全技術シナリオの構築 ・安全なクルマの普及を目指し ・領域横断会議を立ち上げ、 「Toyota Safety Sense」の日米欧展開 「Toyota Safety Sense」の品質向上活動を推進 ・一般道、高速道における自動運転技術開発の 加速推進 ・技術広報戦略を立案し、ITS世界大会や安全技術 説明会で自動運転技術開発の進捗とビジョンの訴求 ・TNGAの考え方を取り入れた安全システムの ・一般道向け自動運転システムを開発し、公道評価の 開発企画促進 総走行距離8,500kmを達成 [ 2014年度の主な取り組み ] ITS技術を活用して事故を低減 + 通信利用型安全技術、協調型運転支援システムを2015年に商品化 協調型運転支援システムは、ITS専用周波数(760MHz)による路車間・車車間通信を活用したシステムであり、 クルマに 搭載したセンサーではとらえきれない情報を取得することで、自律系の安全運転支援システムを補完し、さらなる事故 低減に有効と考えています。 具体的には、見通しの悪い交差点周辺において、道路に設置されたセンサーが検知する対向車・歩行者の情報を路車間 通信により取得するほか、 クルマ同士の接近情報を車車間通信により取得 することで、 ドライバーに注意を促すなどの運転支援を行います。 また、車車間通信を採用した 「通信利用型レーダークルーズコントロール」 を 開発。従来のミリ波レーダーによる先行車両との車間距離、相対速度の検知 に加え、車車間通信により得られた先行車両の加減速情報を活用することで 追従性能を高め、 燃費向上や渋滞の解消などに効果が期待されています。 トヨタは、2015年から協調型運転支援システムを商品化し、普及に向けた 第一歩を踏み出します。 右折時注意喚起(路車間通信を活用) 事故を未然に防ぐ「予防安全」 プリクラッシュセーフティは、事前に衝突を検知し、衝突に備えることによって被害の軽減を支援するシステムです。衝突の 可能性があると判断した時、警報を鳴らしブレーキ操作を促します。また、衝突の可能性がさらに高まった時、プリクラッ シュブレーキを作動させ、衝突回避または衝突被害を軽減するように働きかけます。 Toyota Safety Senceの詳細は「特集1(P03-02∼03-03)」をご覧ください。 Step1 作動イメージ 先行車検出 Step2 Step3 衝突の可能性あり 衝突の可能性が高い Step4 衝突の可能性がさらに高い 衝突 経過時間 警報とディスプレイ表示で危険をお知らせ ブレーキアシスト 警報 Society プリクラッシュブレーキ 社会への取り組み 04-01 安全への取り組み 05-01 お客様第一・品質第一への取り組み 06-01 次世代社会づくり 07-01 人権の尊重 08-01 ビジネスパートナーとともに 09-01 従業員とともに 10-01 ステークホルダー・エンゲージメント Environment Corporate Citizenship Governance 環境への取り組み 社会貢献活動 ガバナンス 11 12 13-15 Sustainability Report 2015 交差点などでの視認性を高める、LEDコーナリングランプ 04-04 LEDコーナリングランプは、交差点などでの歩行者安全、および車両事故抑制 に貢献する安全装備です。ヘッドランプを点灯して走る時、ウィンカー操作や ステアリング操作と連動して点灯。交差点への右左折進入時などに、歩行者や 障害物の視認性を確保します。ヘッドランプ点灯状態で時速40km以下の走行 の時、 ウィンカー点灯やステアリング操舵角80度でLEDコーナリングランプが 点灯します。 また、 シフトが「P」 ポジションの時には左右が同時点灯。図のように、 直進、右左折にかかわらず交差点4コーナーすべてを視認することができます。 LEDコーナリングランプは、2015年1月フルモデルチェンジ車「アルファード」 「ヴェルファイア」の一部グレードに設定しました。 夜間の視界確保を支援する次世代照明技術・LEDアレイAHS*を開発 新開発したLEDアレイAHSは、一列に配置した複数のLEDをハイビームの光源に使い、それぞれを独立制御することで、 先行車・対向車を眩惑することなく従来型より広い範囲を照射することが可能です。具体的には、先行車と対向車がすれ 違う際の両車の間の空間などを照射し、横断歩行者などの発見を支援するほか、市街地では広範囲を照らす配光、高速 走行時では遠方に光を集中させる配光など、さまざまな走行シーンに応じた配光制御を実現しています。 また、ステアリング操作に連動した配光で、カーブの先を照射して進行方向の視界確保を支援するカーブ時配光機能 を装備。 LEDアレイAHSは、 これらの機能 を組み合わせ、夜間走行時の視界 確保を支援します。 * AHS(Adaptive High beam System) 照射イメージ 駐車支援システム 衝突回避・被害軽減を支援、 トヨタ初のインテリジェントクリアランスソナー(8センサー) インテリジェントクリアランスソナーは、車庫入れなどの運転時、 障害物の接近を表示とブザーで知らせる従来のクリアランスソナー に、障害物との接触を緩和する機能を新たに追加しました。 アクセル・ ブレーキペダル操作に関係なく、低速取り回し時における衝突回避、 または衝突を緩和して被害の軽減に寄与するシステムです。前後に 8つの車載センサーを装着することで、検出距離を伸ばして検出範囲 を拡大。進行方向にある壁などの障害物を検知している場合、発進時 にエンジン出力を抑制し、 さらに距離が縮まると自動的にブレーキを かけます。 従来のペダル踏み間違いによる事故被害の軽減ばかりでなく、駐車 場内の低速移動や車庫入れなどの場合でも、進行方向の車両との 衝突回避、衝突被害の軽減を支援します。 Society 社会への取り組み 04-01 安全への取り組み 05-01 お客様第一・品質第一への取り組み 06-01 次世代社会づくり 07-01 人権の尊重 08-01 ビジネスパートナーとともに 09-01 従業員とともに 10-01 ステークホルダー・エンゲージメント Environment Corporate Citizenship Governance 環境への取り組み 社会貢献活動 ガバナンス 11 12 13-15 Sustainability Report 2015 世界初のシースルービュー機能を採用、新しいパノラミックビューモニター 04-05 パノラミックビューモニターは、スイッチ操作で車体周囲の映像を ナビ画面に表示する、安全確認のサポート装備です。従来の車両の 外から車両を見下ろすような映像を表示するムービングビューに、 障害物の確認をより容易にした世界初 ※となる新たな画面モード、 「シースルービュー機能」 を追加。 2015年1月のフルモデルチェンジ車 「アルファード」 「ヴェルファイア」の一部グレードに設定しました。 シースルービューは、 ドライバーの視線で車両を透かしたような 確認画面を、 ムービングビューに比べ障害物を大きく見やすい映像 シースルービュー にしてナビ画面に表示。 ムービングビューとの選択で切り替えて利用 できます。 また、発進時に側方から現れる人やクルマを検知してドライバーに 知らせる 「左右確認サポート機能」を同時に採用しています。 ※2015年1月時点、 トヨタ自動車調べ ムービングビュー 自動ステアリング操作など、世界初のインテリジェントパーキングアシスト2 インテリジェントパーキングアシスト2は、超音波センサーとカメラを使って駐車空間を検知し、目標駐車位置を自動設定 する先進の安全装備です。従来の機能に加え、3つの新しい先進機能が備わっています。 [ 衝突回避/被害軽減支援機能 ]・・・インテリジェントクリアランスソナーと連携、自動ブレーキにより衝突回避および 被害軽減を支援します。 [ 切返し支援機能 ]・・・複数回の切返しが必要な狭い駐車環境において、 自動でステアリング操作を行い安全でスムーズな 入庫を支援します。 [ 縦列出庫機能 ]・・・前後が狭い縦列駐車空間からの出庫時も入庫時同様に自動でステアリング操作を行い、出庫を支援 します。なお、切返し支援機能と同様に、 シフト、 アクセル、 ブレーキはドライバー操作です。 インテリジェントパーキングアシスト2は、2015年1月フルモデルチェンジ車「アルファード」 「ヴェルファイア」に世界初 ※ 採用、一部グレードに設定しています。 Society ※2015年1月時点、 トヨタ自動車調べ 社会への取り組み 04-01 安全への取り組み 05-01 お客様第一・品質第一への取り組み 06-01 次世代社会づくり 07-01 人権の尊重 08-01 ビジネスパートナーとともに 09-01 従業員とともに 10-01 ステークホルダー・エンゲージメント Environment Corporate Citizenship Governance 環境への取り組み 社会貢献活動 ガバナンス 11 12 13-15 Sustainability Report 2015 人の取り組み 04-06 交通安全啓発活動 トヨタは、1960年代からドライバー、歩行者などの「人」 に対する交通安全啓発活動を推進し、幅広い層に向けたさまざまな 活動を継続して実施。昨今では、海外事業体でも実施しています。 詳細は「社会貢献活動(交通安全(P12-10∼12-15))」をご覧ください。 コラム 「ヴォクシー/ノア/エスクァイア」 「ハリアー」 JNCAP新・安全性能総合評価の最高ランク 「ファイブスター賞」を受賞 *1 自動車の安全性能を試験・評価する2014年度JNCAP(自動車アセスメント) において、 「ヴォクシー/ノア/ エスクァイア」 「 ハリアー」が最高ランク5つ星に与えられる「JNCAP新・安全性能総合評価ファイブスター賞」を 獲得しました。 2車種は、衝撃吸収ボデーと高強度キャビン、SRS運転席ニーエアバッグ、SRSサイド&カーテンシールドエアバッグ を含む7個のSRSエアバッグなどの安全技術・装備を採用し、高い乗員保護性能を実現しました。さらに、歩行者 傷害軽減ボデーの採用による高い歩行者保護性能の実現も高評価につながりました。 過去にも、 「レクサスCT200h」 「カローラ」 「クラウン」が「ファイブスター賞」 を獲得しています。なかでも「クラウン」 は、2011年度評価の導入以来の過去最高得点となる189.7点(208点満点)をマークして「JNCAP大賞」を受賞。 現在もその最高得点は破られることなく、歴代最高得点車に与えられる大賞を維持し続けています。 また、 トヨタは、 トヨタ車、 レクサス車において海外でも2014年に、米国IIHS(米国道路安全保険協会)の自動車 アセスメントでTSP+*2を8車種、TSPを4車種、米国NCAP*3でも5☆を14車種が獲得したのをはじめ、世界各地の 自動車アセスメントで高評価を得ています。 *1 JNCAP(Japan New Car Assessment Program) :自動車アセスメント。国土交通省と独立行政法人自動車事故対策機構が、安全な自動車の普及を 促進する目的で、 1995年度より公表している自動車安全情報。 *2 TSP(Top Safety Pick) *3 米国NCAP(New Car Assessment Program) :米国運輸省道路交通安全局が行っている自動車アセスメント 2014年度 「ファイブスター賞」 マーク Society 社会への取り組み 04-01 安全への取り組み 05-01 お客様第一・品質第一への取り組み 06-01 次世代社会づくり ハリアー ヴォクシー 07-01 人権の尊重 08-01 ビジネスパートナーとともに 09-01 従業員とともに 10-01 ステークホルダー・エンゲージメント Environment Corporate Citizenship Governance 環境への取り組み 社会貢献活動 ガバナンス 11 12 13-15 Sustainability Report 2015 コラム 04-07 米国・先進安全技術研究センターに新たに3,500万ドルを投資 米国ミシガン州のTTC(Toyota Technical Center)内に設置されている 「先進安全技術研究センター(CSRC: Collaborative Safety Research Center)」は、米国の大学・研究機関の共同研究による成果を社会や産業界と 共有することで、北米の安全なクルマ社会の実現に貢献することを目的に、2011年1月に5,000万ドルを投資する 計画で設立されました。 これまで、予防安全や「わき見運転」のリスク低減、子どもや高齢者といった「交通弱者」保護に焦点を当てた研究を 行ってきました。2015年2月時点で、17の研究機関と34の研究プロジェクトを実施し、 うち15プロジェクトを完了し、 現在の第1期活動期間は2016年度に終了する予定です。 第1期の代表的な研究成果には、歩行者AEB*1 の安全性能アセス試験のために開発した歩行者ダミー、あるいは 10代を含む5,600人のドライバーを対象に行った「わき見運転」に関する評価結果があります。 これらのCSRCの 成果は一般に公表されるとともに政府当局にも報告され、法規および安全性能アセスの作成に役立てられています。 2014年9月、 より安全で信頼できる交通手段の確立を目的として、先進安全技術の研究の取り組みを継続するため の新規投資を発表しました。今回の投資は、CSRCの2017∼2021年度までの活動を支えるもので、特に自動運転 技術や「つながる」技術などに注力しながら、 より安全な次世代モビリティ社会の実現に向け取り組んでいきます。 また、ウェアラブル・デバイス*2 の普及の可能性を受けた「クォンティファイド・セルフ*3 」の広がりなど、マーケット の時流や関心をより幅広く、複合的にとらえて、次世代モビリティとの連携の可能性を探っていく姿勢を堅持して いきます。 今後の具合的な研究領域としては、たとえば自動運転技術や「つな がる」技術に関するヒューマン・マシン・インターフェイスに関する ガイドラインの策定、こうした技術を安全に使うためのユーザー スキルの研究、従来車と自動運転車双方が混在した場合の課題検討 など、長期にわたり継続的に発展していくと考えられる新技術に 焦点を当てて新しい課題に取り組んでいきます。 CSRCのチャック・グーラッシュ所長は、 「CSRCでは、 トヨタの究極の 願いである交通事故死傷者ゼロに向けて、技術を改良するのはもち CSRC所長 チャック・グーラッシュ ろん、それを使うドライバー自身にも焦点を当てて取り組むことで、 今後普及が見込まれる自動運転技術や『つながる』技術といった新 技術が安全に使われるよう尽力していきたい」 と語っています。 *1 歩行者AEB(Automatic Emergency Braking ) : 前方の障害物をセンサーが検出し、 衝突の危険がある場合に自動で作動するブレーキ *2 最近のウェアラブル・デバイス:腕時計型や眼鏡型など、身に着けて用いる情報通信機器 や電子機器 *3 クォンティファイド・セルフ:米国などで流行している、情報通信機器やセンサー類などで 人の行動や状態などを定量的に測定し、 新たな知見などを得る取り組み *4 米国NCAP:米国運輸省道路交通局が行っている自動車アセスメント (New Car Assessment Program) Society 歩行者AEBの米国NCAP*4 評価法の提案のため、 TASI (the Transportation Active Safety Institute) と 開発した歩行者ダミー 社会への取り組み 04-01 安全への取り組み 05-01 お客様第一・品質第一への取り組み 06-01 次世代社会づくり 07-01 人権の尊重 08-01 ビジネスパートナーとともに 09-01 従業員とともに 10-01 ステークホルダー・エンゲージメント Environment Corporate Citizenship Governance 環境への取り組み 社会貢献活動 ガバナンス 11 12 13-15