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Sustainability Report 2015
Society 社会への取り組み Sustainability Report 2015 従業員とともに 09-01 従業員に対する基本的な考え方 トヨタの「安定した経営基盤」 を支える従業員に対する考え方は、 「人事労務トヨタウェイ」 として体系的に整理されています。 「人事労務トヨタウェイ」は人間性尊重経営の具現化、すなわち、従業員に対して仕事を通じた社会貢献や自己実現の 場の提供を通じ、一人ひとりの考える力・創造力・実行力を発揮してもらうことを目的としています。 その目的を実現するためには、会社は従業員の雇用の安定を最大限に考慮し、 かつ進んで労働条件の改善に努め、従業員は 会社の繁栄のために最大限の協力をするという、労使の「相互信頼・相互責任」関係*が原則となります。 このような考え方は全世界のトヨタの事業体に共有され、経営・諸施策に反映・展開されています。 トヨタは、 このような 取り組みが人間性尊重経営の具現化のみならず、お客様の満足と社会への貢献につながるものと考えています。 人事労務トヨタウェイの概念と従業員の働きやすい環境を構築する取り組みとの関連性 人事労務トヨタウェイ 目的 : 人間性尊重経営の具現化 原則 : 労使相互信頼・相互責任関係の確立 恒常的・自発的な 会社を信頼して 知恵・改善を促進する 働ける環境づくり 仕組みづくり 安全・健康 ダイバーシティ 個々人の役割遂行と 徹底的な 全体最適を目指した 人材育成 チームワークの醸成 人材育成 一体感の醸成 * 相互信頼・相互責任に基づく労使関係 トヨタは1950年代の経営危機により、労働争議と人員整理を経験しました。 この辛い経験を教訓に、1962年に 「労使宣言」 を締結し、 「従業員は生産性の向上に積極的に協力し、会社は労働条件の維持・向上に努める」 という理解を労使で共有し、 また危機感も共有 することによりお互いが会社の繁栄に向けそれぞれの役割や責任を遂行する、 「 労使相互信頼・相互責任」という関係を培って きました。 この考えは当社の労使関係の基盤であり、労使宣言締結から50年を経た現在、労使の絆をより一層強固にしていくよう 取り組んでいます。 推進体制・仕組み トヨタでは毎年、海外事業体の人事マネージャーを招き、 「 人事労務トヨタウェイ」に基づき、いかに従業員が会社を信頼 して働ける環境を作るか、恒常的・自律的な改善を促進する仕組みづくりや人材育成、チームワークの醸成に取り組む のかを議論しています。 トヨタ本社人事 北米地域統括人事 欧州地域統括人事 アジア地域統括人事 中国地域統括人事 各事業体人事 各事業体人事 各事業体人事 各事業体人事 Society 社会への取り組み 04-01 安全への取り組み 05-01 お客様第一・品質第一への取り組み 06-01 次世代社会づくり 07-01 人権の尊重 08-01 ビジネスパートナーとともに 09-01 従業員とともに 10-01 ステークホルダー・エンゲージメント その他地域人事 Environment Corporate Citizenship Governance 環境への取り組み 社会貢献活動 ガバナンス 11 12 13-15 Sustainability Report 2015 過年度実績および本年度の主な取り組み 09-02 2014年度の主な取り組み 安全・健康 2015年度の主な取り組み ・相互啓発型安全文化の定着 ・相互啓発型安全文化の定着 [人] [ 作業] [ 場]3本柱活動の継続 [人] [作業] [場]3本柱活動の継続 ・データ分析に基づく保護指導などの対象拡大 ・健診前アプローチとデータ分析に基づく保健指導の ・メンタルの気付きの充実と予防活動の推進・継続 拡大強化 ・メンタルの気付きの充実と予防活動の推進・継続 人材育成 ・新トヨタ流OJT型研修の開発 ・ 「教え教えられる風土」の強化に向けた ・海外事業体幹部候補研修の強化 OJT型研修の確立 ・海外事業体幹部教育と個別人事との連動強化 ・グローバル技能実習の立ち上げ 多様性 ・女性活躍の一層の推進を目指した施策策定 ・女性活躍の一層の推進を目指した施策の確実な展開 (早期復職支援策・トヨタ女性技術者育成基金設立) ・定年後65歳まで技能を向上し発揮し続けるための ・定年後65歳まで意欲高く成果を発揮できる 制度の検討 環境づくり・仕組みの提案 [ 主な取り組み ] 従業員満足度調査結果 トヨタは従業員に対して仕事を通じた社会貢献や自己実現の場を提供することを通じ、一人ひとりの考える力・創造力・ 実行力を発揮してもらうことを目指しています。隔年で実施している 「従業員満足度調査」は、その達成状況を測るひとつ の指標と考えており、その分析結果を従業員が安心して働けるための施策の企画、実行に役立てています。 2013年度に行った技能職を対象とした調査結果では、69.2%が満足していると答えました。その理由としては、 『 給与 水準』が最も多く、次いで『職場の人間関係』 『 仕事の質・レベル』が挙げられました。 2014年度に行った事務・技術職を対象とした従業員満足度調査では、77.2%が満足していると答えました。その理由と しては、 『仕事の質・レベル』が最も多く、次いで『給与水準』 『 職場の人間関係』が挙げられました。 海外の2014年度調査結果は、事務・技術職の肯定回答率が76%、技能職は72%となっています。 従業員満足度調査結果(日本) 従業員満足度調査結果(海外) (事務・技術職) (技能職) (%) 80 71.3 70 73.9 77.2 (%) (%) 80 80 70 66.9 (事務・技術職) 66.7 60.3 69.2 64.4 (技能職) (%) 76 74 76 74 80 70 70 60 60 60 60 50 50 50 50 0 0 10 08 12 14(年) 0 07 09 11 2014年 従業員満足度調査結果(事務・技術職) :肯定回答理由 項目 最も多い理由 会社生活の 満足度 仕事の 質・レベル Society 2番目に多い理由 3番目に多い理由 給与水準 (賃金・賞与) 職場の 人間関係 07-01 人権の尊重 08-01 ビジネスパートナーとともに 09-01 従業員とともに 72 72 10 12 14(年) 08 10 12 14(年) 2013年 従業員満足度調査結果(技能職) :肯定回答理由 項目 最も多い理由 会社生活の 満足度 給与水準 (賃金・賞与) 社会への取り組み 04-01 安全への取り組み 05-01 お客様第一・品質第一への取り組み 06-01 次世代社会づくり 72 0 08 13(年) 74 10-01 ステークホルダー・エンゲージメント 2番目に多い理由 3番目に多い理由 職場の 人間関係 仕事の 質・レベル Environment Corporate Citizenship Governance 環境への取り組み 社会貢献活動 ガバナンス 11 12 13-15 Sustainability Report 2015 コラム 09-03 ブラジルトヨタで組合との労使宣言締結 トヨタにとって初の海外拠点として、 1959年に操業を開始したブラジル トヨタのサンベルナルド工場にて、2015年3月、長きにわたって良好な 労使関係を築き上げてきた組合とともに、より競争力のある工場に すべく、 『労使宣言』を締結しました。 宣言においては、 「自動車産業の興隆を通じて、経済の発展に寄与する こと」、 「 労使関係は相互信頼を基盤とすること」、 「 生産性の向上を 通じ企業の繁栄と、労働条件の維持・改善していくこと」 を柱に、労使が 協力していくことを確認しました。 2015年3月の「労使宣言」 安全・健康の基本的な考え方 従業員の安全・健康の確保は、企業活動で最も大切なもののひとつで、 安全の門 時代に左右されない普遍的な取り組みです。1957年、当時の専務取締役 豊田英二が会社代表安全管理者に就任した際、安全衛生に関する基本的 な考え方として、 「 安全な作業は、作業の入口である。わたしたちは、 まず 安全衛生基本理念 しっかりとこの入口を通りましょう」とのメッセージを示しました。この 安全な作業 確実な作業 熟練した作業 安全な作業は、 作業の入口である。 わたしたちは、 まずしっかりと この入口を通りましょう。 基本理念を常に念頭に置き、心身ともに健全で活力ある職場環境づくり に継続的な取り組みを実施しています。 [ 2014年度の主な取り組み ] 安全・健康3本柱活動の継続推進 2014年度は、昨年に引き続き、グローバル会社方針のもとに 「相互啓発 型安全文化の定着」 を掲げ、安全と健康を 「風土・文化」 にまで高めるため、 労働災害発生頻度(休業度数率:日本) (率) 全産業 2 実践できるよう、 トップの率先垂範と全員参加による基本ルールの遵守 活動に取り組んできました。グローバルでの休業度数率は、2013年度に 比べ微増でした。 製造業 1.66 職場一人ひとりが、自らのリスクに気付き、自立的に未然防止の行動が 自動車 製造業 1.5 トヨタ 1.06 1 0.5 0.23 0.06 0 安全の3本柱活動 全災害ゼロへのロードマップ (結果として) いつかは そしてゼロを継続 全災害ゼロ 人づくり 11 12 13 14(年) データ出典:全産業、製造業、自動車製造業 (厚生労働省 平成26年労働災害動向調査の結果) 一人ひとりの危険予知能力向上 (教育、OJT)、全員参加の活動 人 づくり リスク管 理 環 境・設 備の整備 リスク管理 労働災害発生頻度(休業度数率:グローバル) (率) 2 休業災害度数率 安全マネジメントシステムの推進 1.5 環境・設備の整備 安全な機械、 安全最優先の職場風土(安全文化) 10 快適な職場環境の提供 「安全衛生基本理念」 「トヨタウェイ」 1 0.61 0.5 0 10 0.78 0.79 12 13 0.89 0.45 11 14(年) ※TMCを含むグローバルデータとしたため、遡って数字を見直しました。 Society 社会への取り組み 04-01 安全への取り組み 05-01 お客様第一・品質第一への取り組み 06-01 次世代社会づくり 07-01 人権の尊重 08-01 ビジネスパートナーとともに 09-01 従業員とともに 10-01 ステークホルダー・エンゲージメント Environment Corporate Citizenship Governance 環境への取り組み 社会貢献活動 ガバナンス 11 12 13-15 Sustainability Report 2015 グローバルでの安全の取り組み トヨタでは、海外の各地域にある安全衛生の統括会社を中心に、安全衛生の取り組みを推進しています。日本で培った 09-04 OSHMS*1 の実績に基づいた安全マネジメントシステムの海外展開を進めています。各地域ではその考え方をもとに、 地域特有の要求事項を織り込んだマネジメントシステムの構築を進め、また現地現物で展開状況の確認および内容の 相互理解を行っています。 また、毎年各地域の安全衛生担当マネージャーによるグローバル安全会議を行い、共通課題への対応策の検討、各地域の こだわり活動や好事例の共有化を行うことで、安全衛生活動のレベルアップを図っています。 *1 OSHMS(Occupational Safety and Health Management System) :労働安全衛生マネジメントシステム グローバル安全会議 (2014年 欧州にて) グローバル情報共有・連携体制 トヨタでは、地域統括会社・生産事業体と 連携をとり、各種情報の共有を行うことで、 グローバルで安全健康に関する取り組み レベルの向上を図っています。 TME (ベルギー) TTCC(中国) TEMA(米国) TMC TMAP EM(タイ) TDV (ベネズエラ) :地域統括会社 :生産事業体 TDB (ブラジル) TSAM (南アフリカ) TASA (アルゼンチン) :各地域内での 情報の広がり コラム 従業員とトヨタを訪れるすべての人の安全確保 安全の基本である 「4S*2」 「コミュニケーション」 に立ち返り、視野を一段広げた 「明るくきれいな職場づくり」 を進めて います。 2014年度は、 国内12工場を対象に、 各工場トップ層も参加した現地現物の安全巡視を実施。 その結果、 仕入先 作業場や地下ピット、配線・配管の汚れなど、日常見過ごされてきた要改善 箇所が洗い出されました。計画的に改善のやり切りを進めるとともに、 きれいな 環境が維持・管理されるよう、人づくり・体制づくりを進めていきます。 また、新規入場者への安全教育の充実として、 まず構内で工事を行う仕入先を 対象に、入門時までに安全教育を必ず実施することとしました。今後は、工事に 限らず、すべての新規入場者を対象に安全教育の充実を図り、同様な取り組み をグローバルに展開していきます。 現地現物の安全巡視 (地下ピット内) *2 4S:整理、整頓、清掃、清潔 Society 社会への取り組み 04-01 安全への取り組み 05-01 お客様第一・品質第一への取り組み 06-01 次世代社会づくり 07-01 人権の尊重 08-01 ビジネスパートナーとともに 09-01 従業員とともに 10-01 ステークホルダー・エンゲージメント Environment Corporate Citizenship Governance 環境への取り組み 社会貢献活動 ガバナンス 11 12 13-15 Sustainability Report 2015 海外における、従業員および仕入先の労働災害の未然防止 09-05 トヨタでは、生産現場の中で特にリスクの高い項目を「STOP6*1」 として定め、 これに関連する災害撲滅を重点項目として います。たとえば、STOP6にかかわる各地域の労働災害について発生原因を究明し、再発防止・発生源対策をグローバル で共有することで同類の災害防止につなげています。 海外において特にクレーンに起因する災害が過去より発生しており、再発防止 対策のひとつとして、2013年に安全な作業手順などを学ぶための動画付マニュ アルを作成し、海外に展開しました。2014年は、誤った作業による危険性を学べる 安全ポイント集(べからず集)を追加、アップデートし再展開しています。 また、高所作業を伴う工事における墜落災害も発生しており、保護具着用、作業 床や安全ネットの設置などの安全基本ルールの確実な織り込みと徹底を進めて います。ただ、展開して終わるだけでなく、そのマニュアルなどに基づく作業が 確実に行われているか、 「 現地現物」で確認する活動も進めています。 *1 STOP6: 「機械による挟まれ」 「 重量物との接触」 「 産業車両との接触」 「高所からの墜落」 「 電気との接触」 「 高熱物との接触」の6項目 高所作業安全ルールの例 健康づくり活動(日本) 2014年度は、健康文化構築に向けた基盤づくりを掲げて、主に 「健康な人づくり・職場づくり」 と 「健康診断に基づく健康改善活動」 を実施してき ました。 「健康な人づくり・職場づくり」 については、各職場へ展開している 「健康づくりもPDCA」 シートを活用した、職場ごとの健康づくりの取り組 み、 および職場体操や食育講話など、職場に出向いた健康支援を実施しました。 また、健康づくりに積極的に取り組んでいる職場表彰などを行い、 健康づくりの活性化と風土づくりを図りました。 BMI 24.2未満となる従業員の比率 「健康診断に基づく健康改善活動」 については、健康B I P2*2活動(B MI*3、喫煙) を主体に、保健指導の対象者拡大による指導会の実施 (%) 30 35 27.7 や、減量・禁煙チャレンジキャンペーンなど、生活習慣改善に向けた サポートを図っています。 BMIは2013年に比べ増加傾向、喫煙率 は減少傾向であり、今後も継続した活動を実施していきます。 *2 BIP2活動:Behavior Change Innovation Program (行動変容プログラム) により、 BMIと喫煙率の2項目を指標にした生活習慣改善運動 *3 BMI:体重(㎏)/身長 (m)/身長 (m) で求められる肥満度指数。 トヨタでは、 BMI:24.2未満を目標に活動 喫煙率 (%) 25 30 20 29.1 25 10 11 12 13 14(年度) 10 11 12 13 14(年度) メンタルヘルス活動(日本) 2014年度は、 メンタルヘルス活動において、 メンタル不調の未然防止を目的に、本人自ら気付き・ストレスへの対処法を学習する 「セルフケア研修」 を新任 の主任、若年層を対象に実施しました。特に若年者に対しては、認知行動的アプローチの研修を実施。 さらに、初級技能職を対象とした教育も実施しました。 管理者を対象にした心理学的研修および監督者を対象にしたリスナー研修などによる 「ラインケア研修」を実施。 “聴く”ことをポイントとしてコミュニケーション能力を向上させる内容を追加し、職場での面倒見や関係者との 連携を図れるようにしています。 また、 リスナー研修受講後4年経過した人へは、 “伝え方” (アサーション)を取り入れ、復習およびレベルアップにも 力を入れています。なお、産業保健スタッフが行う健康相談についてはガイドラインを定め、2012年から相談内容・ 対応の標準化・システム化などにも取り組んでいます。さらに、 「安心サポートブック」を配付し、円滑な職場復帰と 復帰後の対応への取り組みを充実しました。 リスナー研修会 海外勤務者の健康管理 2014年度は、海外勤務者の健診受診と健康フォローシートを活用したメール・レターでの「産業医・保健師 のアドバイス内容の提供」 を実施してきました。 また、産業医などが定期的に現地の医療状況を巡回把握する とともに、現地勤務者に対してはインターネットを活用した医療情報の提供などを発信しています。現地 窓口担当者と定期的にTV会議で情報交換も行っています。 海外医療機関巡回 Society 社会への取り組み 04-01 安全への取り組み 05-01 お客様第一・品質第一への取り組み 06-01 次世代社会づくり 07-01 人権の尊重 08-01 ビジネスパートナーとともに 09-01 従業員とともに 10-01 ステークホルダー・エンゲージメント Environment Corporate Citizenship Governance 環境への取り組み 社会貢献活動 ガバナンス 11 12 13-15 Sustainability Report 2015 コラム 09-06 健康推進活動に取り組み、従業員の生活習慣病のリスクを軽減 タイトヨタでは、2013年5月から「3E*1トレーニング(栄養管理、メンタル ヘルスの向上、エクササイズ)」をはじめとする健康推進活動「バイバイ生活 習慣病プロジェクト」 に取り組んでいます。 この活動で得られた結果を分析し、 さまざまな生活習慣から引き起こされる心臓病や糖尿病、高コレステロール、 高血圧などのリスク軽減につなげています。 同年末には、健康診断で高リスクと判定された従業員140人が6カ月間に わたり、 このプロジェクトに参加しました。参加後は、各項目の数値が大きく 栄養管理の指導 減少したほか、医療費もプロジェクト参加前と比べて25%減となるなど、着実 に効果を上げています。 *1 3E:Eating (Nutrition control(low fat, low calories) ) 、Emotion (Enhance mental health) 、 Exercise (Exercise daily at least 30 minutes) 健康診断で高リスクと判定された従業員140人のプロジェクト参加後のデータ (Prs.) 90 60 25% :プロジェクト参加前 :プロジェクト参加後 81 65 61 35% 66% 60 55 45% 42 0 37.5% 40 30 30 血液検査、血圧測定の様子 35 20 BMI コレステロール 血圧 中性脂肪 血糖値 3Eトレーニング(エクササイズ) 人材育成の基本的な考え方 人材育成の根幹は「トヨタウェイ」の実践です。すぐれたモノづくりの トヨタウェイ5つのキーワード *2 発展と継承に欠かせないOJT (職場での教育)を基本としながら、 さらにトヨタウェイの5つのキーワードを基軸とした教育プログラムを Challenge Kaizen Genchi Genbutsu Respect 実施し、人材育成に取り組んでいます。 Teamwork *2 OJT(On the Job Training) トヨタウェイの実践 トヨタ共通の価値観・考え方であるトヨタウェイをグローバルで働く従業員が理解し実践できるように、仕事の型・手法 として体系立てて整理したものを「グローバルコンテンツ」 と呼んでいます。 グローバルコンテンツは国内外を問わず、研修や職場でのOJTを通じてトヨタの従業員に伝えられています。 グローバルコンテンツ一覧 グローバルコンテンツの内容 事務・技術職 方針管理 技能職 管理・監督の スキルと役割 管理者 部下育成 製造技能 一 般 基本技能 トヨタウェイ Society トヨタで働く人の持つべき価値観・考え方 仕事のあるべき姿を実現するために、現状を改善していくための手法 自工程完結 最良のアウトプットを継続的に出すための仕事の仕方 部下育成 日々の仕事を通じた部下育成の仕方を体系化したもの 方針管理 問題解決 自工程完結 トヨタウェイ トヨタの問題解決 「職場のミッション遂行」 と 「新たな価値創出」のために、 取り組むべき 実施事項を管理すること 基本技能 ライン作業に最低限必要な技能 製造技能 ・異常判断や作業のポイントに関する知識 ・異常処置能力 管理・監督の スキルと役割 ・管理・監督者として、 標準作業を徹底するためのスキル ・異常管理を通じた組・チームの運営の知識など 社会への取り組み 04-01 安全への取り組み 05-01 お客様第一・品質第一への取り組み 06-01 次世代社会づくり 07-01 人権の尊重 08-01 ビジネスパートナーとともに 09-01 従業員とともに 10-01 ステークホルダー・エンゲージメント Environment Corporate Citizenship Governance 環境への取り組み 社会貢献活動 ガバナンス 11 12 13-15 [ 2014年度の主な取り組み ] Sustainability Report 2015 09-07 職場における人材育成 トヨタウェイにもある通り、 トヨタの人材育成は現地現物を重視したOJTを基本としつつ、OFF-JT*1でも上司や先輩の 指導を受けながら成長する機会を設けています。たとえば、問題解決の研修では集合研修後約半年間、実際の業務で問題 解決に取り組むことを全世界共通のプログラムとしています。 *1 OFF-JT(Off the-Job Training) 事業体の自立化と地域へ貢献するICT*2制度 ICT制度は、海外事業体の自立化を推進するため、海外事業体の従業員がトヨタ本社に出向し、OJTを通じて人材育成を 図る制度です。 半年から3年の任期で、スキル・ノウハウやトヨタウェイを習得。2015年5月1日時点で、30カ国57事業体から463人の ICTが在籍しています。 *2 ICT(Intra Company Transferee) ICT在籍者の声 部署名:第2ボデー設計部 ランプ設計室 ハタイラット アピチャートサタポン 派遣元:TMAP-EM(タイ) 派遣期間:2014年7月∼2015年9月 TMAP-EMでランプ設計をやっていた私は、日本でLEDの新しい知識を学んでいます。電気系システムが複雑な ため、作業の流れをしっかり把握し、関係部署とのコミュニケーションスキルを高めていくことが重要です。生産現場 では、本工程を確認することができ、また、問題点を見つける場合もサンプルパーツを作成して、それに基づいて 各設計工程を決定することができるので、 「 現地現物」の本当の意味が理解できました。 これからは、日本で学んだ 知識をTMAP-EMのチームメンバーと共有して、活かしていきたいと考えています。 若手社員対象の修行派遣プログラム 従来より若手社員の海外への派遣を進めていましたが、今回その規模を拡大し、若手社員の早期育成・さらなる能力 向上を目的として、2014年より修行派遣プログラムを開始しました。 入社4年目以降の社員を、海外現地法人、海外大学院(MBA含む)、国内関連会社などに1∼2年研修派遣し、実務や異文化 の理解を深めることに加え、 ビジネスの場で通用する語学力の習得などを研修ミッションとして課します。海外現地法人 へは、従来より年間100名程度の研修生を派遣していましたが、本プログラムの開始に伴い、その数は190名程度まで 拡大しています。 修行派遣プログラム 海外現地法人研修体験者の声 部署名:法規認証部 認証室 木村 文香(入社年:2008年) 派遣先:TME(ベルギー)R&D 派遣期間:2013年7月∼2014年6月 2013年から1年間ベルギーのTMEに派遣され、 ヨーロッパの法規認証の実情について現地スタッフと一緒に働き ながら学びました。現地指導者と相談して出発前に研修テーマを決め、現地スタッフとコミュニケーションをよくとり ながら、1年間かけてテーマに取り組みました。また、公私ともに多くの国を訪れ、 ドイツのアウトバーンでの高速 走行や、アイスランド・ロシアの悪路環境など、 クルマの使用環境の違いをあらためて知りました。現地で勉強したい ことがたくさんあり、1年間は短かったと感じています。 派遣先の仲間と一緒に撮影 (後列右から3番目が木村さん) Society 社会への取り組み 04-01 安全への取り組み 05-01 お客様第一・品質第一への取り組み 06-01 次世代社会づくり 07-01 人権の尊重 08-01 ビジネスパートナーとともに 09-01 従業員とともに 10-01 ステークホルダー・エンゲージメント Environment Corporate Citizenship Governance 環境への取り組み 社会貢献活動 ガバナンス 11 12 13-15 Sustainability Report 2015 多様性の基本的な考え方 09-08 企業がグローバルに活動を行う場合、世界を視野に「多様多彩な人材の活躍」を推進すると 60歳 以降 同時に、 「人材育成」 による個々人の能力を高めることが大切です。多様な人材を育て、戦力化 障がいの ある方 することで、活気ある企業風土が形成されます。 グローバル 人材 多様性の尊重は国、地域により重視される点は異なりますが、 トヨタは多様な価値観、発想を 互いに尊重し合いながら、働く人々にとって魅力的な自己実現の場となる職場や企業であり 期間 従業員 たいと願っています。 女性活躍 [ 2014年度の主な取り組み ] 女性活躍推進の取り組み トヨタは、ダイバーシティ推進を重要な経営戦略のひとつとして位置付け、多様な人材がいきいきと働きがいを持って 活躍するための取り組みを推進しています。女性活躍推進においては、育児や介護などをしながら安心して働き続けら れるように、環境整備などの両立支援に取り組んでいます。 女性活躍推進に関する自主行動計画 トヨタ自動車では、ダイバーシティ尊重の人事施策の一環として、1992年に、女性事技職の本格採用を開始して 以降、長期雇用・人材育成の観点から、両立支援策の充実・強化を重点に取り組んでまいりました。 結果、直近10年で、 女性事技職の退職率は低下(2003年度:5.8% → 2014年度1.2%) し、 女性管理職数も増加(2004年:16名 → 2015年:111名) してまいりました。 現在、女性の長期の育児休職取得によるキャリアの中断・遅れを最小化すべく、産休・育休からの早期復帰を目指す など、更なる女性の活躍促進に活動の軸足を移し、以下の通り取り組みを充実・強化しています。 《 主な取り組み 》 〈 採用 〉 新卒採用時の女性比率向上(事務系40%、技術系10%) 中長期的に、女性事技職の在籍比率・管理職比率が、該当労働市場の女性比率(事務系40%、技術系10%) と 同等となるよう、女性事技職の採用を強化 〈 育児と仕事の両立支援、キャリア中断の最小化 〉 社内託児所の設置(3ヵ所)、子育てサポート策の検討 育児休職の拡充(最長2年間) 時短勤務・在宅勤務制度の拡充(小学校4年まで)※早期復職支援のため、子が1歳までは終日在宅勤務の導入 子の看護休暇の導入(小学校4年まで) 〈 早期からのキャリア意識の形成と計画的かつ徹底的な育成 〉 全女性事技職を対象に、一人ひとりのライフイベントを踏まえた個別育成計画書の作成 座談会やSNSを利用した女性事技職ネットワークの構築支援 仕事と育児の両立やキャリア形成に関する情報提供サイト 「そだててネット」の開設 本人・上司・配偶者向け、産休前セミナーの開催 配偶者の転勤などにより退職した社員を再雇用する 「プロキャリアカムバック制度」導入 外国人女性幹部との懇談 〈 その他 〉 「トヨタ女性技術者育成基金」の設立 理系に進学する学生を支援するため、奨学給付や、中学・高校への出前授業(愛知県と連携)等を行う、 「トヨタ女性技術者育成基金」をグループ企業とともに設立 《 女性登用目標 》 上記取り組みにより、女性管理職数を2020年には登用目標を定めた2014年時点の3倍、 2030年には5倍をめざします。 Society 社会への取り組み 04-01 安全への取り組み 05-01 お客様第一・品質第一への取り組み 06-01 次世代社会づくり 07-01 人権の尊重 08-01 ビジネスパートナーとともに 09-01 従業員とともに 10-01 ステークホルダー・エンゲージメント Environment Corporate Citizenship Governance 環境への取り組み 社会貢献活動 ガバナンス 11 12 13-15 女性活躍推進の取り組み全体像(事技職) Sustainability Report 2015 推移 フェーズ1 : 制度拡充 フェーズ2 : 定着に重点 フェーズ3 : 活躍促進にシフト 2002年 女性の定着・活躍のための 制度整備 2007年 定着を進めるための 制度拡充 2012年 育児者保護から、 意欲・やる気を後押しできる 環境を整備 09-09 内容 ▼時短勤務・部分的在宅 勤務制度導入 ▼時短勤務・在宅勤務制度拡充 (小4まで可) ▼育児休職(最長2年間)の拡充 ▼子の看護休暇制度の導入 (小4まで可) ▼社内託児所設立 2014年 活躍促進の取り組みを 拡充 ▼時短勤務制度(残業可) ▼キャリア意識醸成 ・キャリアデザインシートの作成推奨 ・女性個別育成計画書の対象者拡充 ・女性事技職ネットワークの構築支援 ・産休前セミナー導入 ▼育休復職者に対する 両立支援セミナー導入 ▼管理職研修導入 ▼配偶者の転勤などにより退職した 社員を再雇用する 「プロキャリアカムバック制度」 導入 ▼育休からの早期復帰支援 ・終日在宅勤務制度の導入 ▼トヨタ女性技術者育成基金設立 ▼仕事と育児の両立に関する 情報提供サイト 「そだててねっと」 開設 ▼外国人女性幹部との懇談 ▼女性主任職向け個別育成計画書作成 KPI (7名) ➡ (20名) ➡ (76名) ➡ ( 15年 111名) ・女性事技職退職率(5.8%) ・女性基幹職数 ➡ (4.2%) ➡ (2.4%) ➡ (1.2%) 緑字:両立支援 青字:キャリア支援 育児介護休職制度利用状況 柔軟な勤務時間制度利用状況 男性 (人) 20 19 500 21 20 382 399 400 467 女性 22 469 17 20 24 800 600 200 女性 17 1,000 424 300 1,115 977 817 724 11 582 400 100 0 男性 (人) 1,200 200 10 11 12 13 14(年度) 0 10 11 12 14(年度) 13 コラム 製造業全体での女性活躍促進に向けて、 「一般財団法人 トヨタ女性技術者育成基金」を設立 トヨタは、自動車業界をはじめ、国内の製造業界全体での女性活躍促進 に貢献するため、2014年12月、グループ会社9社とともに「一般財団 法人 トヨタ女性技術者育成基金」を設立。官民挙げて女性の社会活躍 が期待される一方、製造業界の担い手である工学系学部の女子学生 在籍率は、現状は全体の1割程度であり、 「電気・機械系学科」 ではさらに 低い水準に留まっています。本基金は、理系を志望する女子学生数の 拡大と、モノづくりの世界で活躍できる女子学生の育成を目指してい ます。具体的な取り組みは、女性技術職による高校への出前授業など 製造業の魅力を伝える 「キャリア紹介活動」、および「理系女子学生育成 トヨタ女性技術者育成基金ホームページ Web http://www.toyota-rikeijosei.or.jp/ about/index.html 活動」です。育成活動ではキャリア構築支援をねらいに、 トヨタグループ (基金参加企業)へのインターンシップや施設見学の機会、キャリア相談 などサポートに取り組むとともに、大学院までの最大6年間にわたり、 奨学融資ローンの利息相当額給付などの経済的支援を行っていきます。 基金では、2015年度から公募を開始しています。 Society 社会への取り組み 04-01 安全への取り組み 05-01 お客様第一・品質第一への取り組み 06-01 次世代社会づくり 07-01 人権の尊重 08-01 ビジネスパートナーとともに 09-01 従業員とともに 10-01 ステークホルダー・エンゲージメント Environment Corporate Citizenship Governance 環境への取り組み 社会貢献活動 ガバナンス 11 12 13-15 Sustainability Report 2015 コラム プロキャリアカムバック制度・在宅勤務制度を活用し、 育児とグループ長職のキャリアを両立 09-10 いつかは海外で働いてみたいと思っていた私は、夫のアメリカ転勤を機にプロキャリア・ カムバック制度を活用していったんトヨタを退社しました。 しかし、現地で見つけた職場は、 リーマンショックの影響もあってか、誰もが会社に貢献はしても、慎重な姿勢で仕事に向き 合うようになり、 チームワークで成果を生み出すという意識が希薄化していました。 トヨタで ユニット統括部 ユニット管理室グループ長 斎藤 万里 人事を担当していた私は、安心して働ける環境があってこそ人は協力し合えるのであり、 トヨタのすぐれたチームワークを支え、そのような労働環境をつくっている人事の仕事に あらためて誇りを持つようになりました。私の仕事観が最も変わった海外での3年間でした。 その後、夫の帰国とともに私もトヨタへカムバックしました。この時、お腹の中には新しい家族がいましたが、早く トヨタの中で人事の仕事がしたいという思いから早々の復帰を決意しました。 子どもが2歳になった現在は、在宅勤務を活用しながら仕事と子育てに奔走中。会社ではミーティングなどの業務、 家では資料作成など個人でできる業務というように振り分けて仕事をしています。 また、子どもとの時間を確保する ために、週末に出社する場合であっても、早朝から出社して昼前に帰宅するなどの工夫もしています。在宅勤務を はじめ、便利な支援制度がさまざまありますが、仕事と子育てを両立するからには、限られた時間をいかに効率良く 使って高い成果を上げるかを考え、工夫し、実践することが大切であると思っています。 介護施策の主な取り組み(日本) 介護保険法の改正(2006年) に伴う給付基準・給付額の見直しや介護ヘルパーの 不足など、介護を取り巻く社会情勢が変化する中、介護に対する従業員の不安・ 負担を軽減し、安心して仕事に従事できる環境を整備するため、2009年より介護に 関する会社施策の拡充を図り、現在まで継続して取り組みを進めています。一例 では、情報提供の充実の一環として、2009年から専門知識を持った社会福祉士・ 介護福祉士などの社外講師による介護講演会を毎年開催しています。2014年度は 8回の開催で、 ご家族を含む約300名が参加しました。 2014年に開催された介護講演会 主な介護施策の取り組み 両立支援 介護休職・勤務時間の 短縮措置 勤務時間制度の柔軟性向上 ①勤務時間短縮などの 申請単位変更 ②在宅勤務時間設定の変更 ③各種両立支援制度の 適応期間拡大 ④介護休暇制度の新設 Society 情報提供 トヨタ健康保険組合に 介護相談窓口設置 介 護サービス 「介護保障」導入 「介護積立」導入 「両親介護保障」新設 大手介護事業者との提携 介護パンフレット発行 介護事業者の拡大 介護講演会開催 ホームヘルプの導入 介護融資制度導入 体験型介護セミナー開催 社会への取り組み 04-01 安全への取り組み 05-01 お客様第一・品質第一への取り組み 06-01 次世代社会づくり 経済的支援 07-01 人権の尊重 08-01 ビジネスパートナーとともに 09-01 従業員とともに 10-01 ステークホルダー・エンゲージメント Environment Corporate Citizenship Governance 環境への取り組み 社会貢献活動 ガバナンス 11 12 13-15 Sustainability Report 2015 海外事業体マネジメントの現地化を促進 トヨタは従来より中長期的な視点に立って海外事業体マネジメントの現地化を進めてきましたが、本社が「何をやるか」を 09-11 決め、現地で「いかにやるか」を決めるという役割分担を明確にしました。 地域本部長をはじめ、地域本部担当役員は、原則現地駐在とし、現場に根ざした経営を実践できる体制を整えています。 現地人材の登用も積極的に進めており、現在8地域本部のうち、 4地域本部において日本人以外の人材が本部長を務めています。 北米本部 James E. Lentz 専務役員 なお、2015年7月時点で、TMCにおける外国人役員数は8人 欧州本部 Johan van Zyl 常務役員 です(うち1人は社外取締役)。 アフリカ本部 Johan van Zyl 常務役員 今後も適材適所の観点から現地人材の育成・登用を積極的に 中南米本部 Steve St. Angelo 常務役員 進め、意思決定・オペレーションの現地化ならびにマネジメント ポストの現地化を進めていきます。 これにより各地域のお客様 や現場の声を迅速に把握し、経営判断につなげていきます。 海外幹部に占める現地社員の割合 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度 2014年度 52.1% 54.0% 60.1% 64.7% 62.9% 60歳以降の就労制度(日本) 1991年の技能職定年退職者を対象とした社内再雇用制度の導入に続き、2001年には社外就労希望者に関係会社など の就労先の情報を紹介する「選択式再就労システム」を導入し、社内就労と社外就労の両面から60歳以降の働き方を 支援する仕組みをつくってきました。2006年度および2013年度には、改正高齢者雇用安定法施行に合わせて、より 多くの従業員が再雇用される制度へと見直しを行いました。また、多様な就労希望に対応するため、短時間勤務の拡充 などの見直しも併せて実施しました。 期間従業員の雇用(日本) 期間従業員の雇用に当たっては、適切な採用・契約更新などを行っており、雇用の安定や就業能力の向上にも最大限努めて います。正社員登用制度により、期間従業員として1年以上勤務した方を対象に、本人が希望し職場推薦のある方に受験 機会を設け、意欲・活力向上につなげています。 また、3年目にもあらためてチャレンジの機会を設けています。 今後も、持続的な成長に向け、強い技能系職場の堅持が必要で あり、 期間従業員からの正社員登用を積極的に実施していきます。 正社員登用者数 2014年度登用実績 2015年度登用予定 110名 300名 障がいのある方の雇用(日本) トヨタでは、障がいのある方の社会的自立を考え、健常者と一緒に働くことを基本とし、障がいのある方もさまざまな 職場で各種業務に従事しています。 2015年6月時点の雇用者数は1,116人、雇用率は2.14% (特例子会社含む)で法定雇用率(2.0%)を上回っています。 定着支援として、社内で手話講習会を開催したり、あらゆる面からサポートする相談員の配置、各職場の好事例を水平 展開するなど、働きやすい職場環境づくりに努めています。 Society 社会への取り組み 04-01 安全への取り組み 05-01 お客様第一・品質第一への取り組み 06-01 次世代社会づくり 07-01 人権の尊重 08-01 ビジネスパートナーとともに 09-01 従業員とともに 10-01 ステークホルダー・エンゲージメント Environment Corporate Citizenship Governance 環境への取り組み 社会貢献活動 ガバナンス 11 12 13-15 Sustainability Report 2015 障がいのある方の雇用拡大とサポート体制の強化「トヨタループス」 トヨタループス㈱は、2009年4月より28名の障がいのある方々とともに事業を開始し、同年10月にはトヨタ自動車の特例 09-12 子会社として厚生労働大臣の認可を受けました。 トヨタ自動車からの受託業務として、社内印刷やメールサービスを中心に、社外者証・通門証や資産ラベルの発行、 シュレッダー代行作業などを行い、 トヨタ記念病院関係の看護補助や廃棄PCのデータ消去など、新たな受託業務にも 取り組んでいます。 2014年4月からは東京事業所を開設。 2015年4月1日現在で、 障がいのある合計134名の方々が就労していますが、 雇用の 拡大とともに支援スタッフの増員や臨床心理士による定期カウンセリングなど、 サポート体制もより強化し、 福祉機関や行政、 地域社会とも積極的に情報交換を行うことで、従業員一人ひとりが安心して就労できる職場環境づくりに努めています。 2014年11月には愛知県で開催されたアビリンピック (障がいのある方の技能競技大会)全国大会に出場した鈴木満美さん が「オフィスアシスタント」部門で見事2年連続準優勝を果たしました。ほかの従業員にとっても大いに励みとなり、全国大 会での優勝を目指して日々努力しています。 障がいのある方の在籍推移 (人) 150 121 120 78 7 4 60 48 49 30 21 23 0 10 63 27 22 29 32 34 30 11 40 42 36 29 12 54 51 16 42 28 26 91 90 アビリンピック2014「オフィスアシスタント」部門で 2年連続準優勝のトヨタループス (株)鈴木さん 出向者ほか 精神 知的 身体 134 44 13 42 52 14 15(年度) ※2010∼2014年の在籍人数は年度末時点、2015年の在籍人数は4月1日時点 関係者の声 特定非営利法人コスモスとよた みどりがおかコスモス 施設長 川合信吾 様 トヨタが障がい者の雇用拡大に積極的に取り組まれていることは社会的にも周知されており、 特にトヨタループスはこれまで働くことが難しかった方々の雇用の場を大きく拡大する存在に なっています。当事業所の利用者にとってもトヨタループスの存在や、そこで働く先輩たちが目に 見える目標として、働く力と意欲を身につけるための大きな刺激となっており、モチベーションの維持につながって います。当初は働くことに大きな不安があった方も施設を出て就職すると、自信に満ちあふれているように見え、社会 の力の大きさを実感しています。また、2013年4月∼2014年12月までは、 当事業所の職員がトヨタループスに出向し、障がいの特性に応じた適切な 配慮についての具体的なアドバイスを行いました。 障がい者の雇用環境は改善傾向にはありますが、 顕在化していない課題が多く 残されています。雇用する側とされる側が、就労を通じて新たな気付きを得、 相互の理解を深めていくことが、 課題を克服するきっかけになると思います。 施設紹介:愛知県豊田市にある 「コスモスとよた」は、障がいのある子どもを持つ親同士が2008年に 立ち上げたNPO法人で、 「 みどりがおかコスモス」は、就労支援とデイサービスの機能を 持つ施設です。 この施設出身の6人がトヨタループスの従業員として働いています。 Society トヨタループスで働く 「みどりがおかコスモス」出身の従業員 社会への取り組み 04-01 安全への取り組み 05-01 お客様第一・品質第一への取り組み 06-01 次世代社会づくり 07-01 人権の尊重 08-01 ビジネスパートナーとともに 09-01 従業員とともに 10-01 ステークホルダー・エンゲージメント Environment Corporate Citizenship Governance 環境への取り組み 社会貢献活動 ガバナンス 11 12 13-15 Sustainability Report 2015 従業員が笑顔で働ける環境づくりの基本的な考え方 トヨタの成長を支える人材基盤をより強固にするため、従業員がいきいきと安心して働ける環境づくりを整えています。 09-13 コミュニケーションと互いの切磋琢磨から育つチームワークの土壌を築き上げ、会社、職場、仲間への「誇りと愛着」の醸成 を図ります。 [ 2014年度の主な取り組み ] トヨタ社内の一体感を醸成する「WE LOVE TOYOTA活動」 と駅伝大会「HURE!フレ!駅伝」 自社精神や製品への関心を高め、 トヨタ社内の一体感を醸成し、愛社精神を深めることを目的に、2009年度より 「WE LOVE TOYOTA活動」を実施しています。 その活動の一環として、2015年は4月と5月に 「WE LOVE TOYOTAセミナー」 を開催しました。役員を含めて約400人が 参加しましたが、初めて会うメンバー同士でチームを編成し、 「 社内プリウスカップ」を通じてクルマの楽しさを語り合い、 参加者のチームワークと絆を深めました。 また、2014年12月に開催された第68回「社内駅伝大会」は、海外事業体からの参加も含め、各部代表の488チーム・ 約4,000人の従業員が選手として走り、3万人を超える来場者が熱い声援を送ることで、 トヨタとしての一体感を高める ことにつながっています。 2015年4月に行った「WE LOVE TOYOTAセミナー」 2014年12月に行った第68回「HURE!フレ!駅伝大会」 明るい話題を提供する「運動部」 運動部は全部で35部あり、日本一を目指して強化に取り組む「強化部」 と、社業と両立しながら競技に取り組む「一般部」が あります。運動部の活躍は従業員の誇りであり、チームの成績のみならず、職場の仲間が一所懸命に頑張っている姿は、 労働意欲の高まりや職場の活性化につながっています。 なお、2014年度、強化部では、女子ソフトボール部「レッドテリアーズ」が日本女子ソフトボール1部リーグ、硬式野球部が 社会人野球日本選手権大会、陸上長距離部が全日本実業団対抗駅伝競走大会で、優勝を果たしました。 日本女子ソフトボール1部リーグで優勝した 女子ソフトボール部 Society 社会人野球日本選手権大会で優勝した 硬式野球部 社会への取り組み 04-01 安全への取り組み 05-01 お客様第一・品質第一への取り組み 06-01 次世代社会づくり 07-01 人権の尊重 08-01 ビジネスパートナーとともに 09-01 従業員とともに 10-01 ステークホルダー・エンゲージメント 全日本実業団対抗駅伝競走大会で優勝した 陸上長距離部 Environment Corporate Citizenship Governance 環境への取り組み 社会貢献活動 ガバナンス 11 12 13-15 Sustainability Report 2015 コラム 09-14 名称を「NMD Action」から 「Toyota Fast Fwd」へと改め、 従業員主導による業務・職場改革を推進 2012年、欧州トヨタ(TME)では、従業員主導による業務・職場改革活動「NMD Action(New Management Direction, with Action)」 を開始しました。具体 的な取り組みとして、社内での戦略の共有を図るために自部署の役割や方向性を 紹介するプレゼンテーションを行ったり、従業員が感じる会社文化に関する課題に 取り組む自主的活動を展開するなど、 すべての従業員がひとつになって働ける職場 づくりを目指しています。 この活動では、2008年以降の4年間にわたってトヨタが 直面した世界的な経済危機やリコール問題などのさまざまな危機からの脱却に 向けたリカバリープランを策定し、取り組んできました。活動開始から3年が経過し、 従業員の自信と信頼は大きく回復してきています。 しかしながら、40近くもの異なる出身国・母国語を持つ従業員が共同的・創造的な 欧州企業文化のもとでひとつなって働くには、依然大変な時間を要します。 2015年6月、 「NMD Action」第2フェーズの集大成として、 「Roadshow」 を開催 2日間にわたって行われた 「Roadshow」 しました。2日間にわたって行われた「Roadshow」では、各グループが自主的に 取り組んだ課題の成果を発表し、全従業員でその達成を喜びました。 自主的に取り組んでいる課題 TMEのミッション すべての従業員にとって有意義で、創造性を刺激するよう再定義 笑顔で働く いきいきと働くことのできる会社づくり (幸福であればあるほど、生産性は向上) コミュニケーション チームワーク、協働のための効果的なコミュニケーション促進 ナレッジマネジメント クラウドを活用した情報・ファイル共有システムの導入 イノベーション 従業員の発案の評価・育成・支援の枠組み構築 機能横断協働 すぐれた革新的な取り組みを目指した機能横断協働体制づくり 人材能力マネジメント キャリア計画のベストプラクティスの促進 学習マネジメント OJTとコーチング学習の促進 新しいマネジメント行動規範 創造的な会社文化・ビジネス目標を実現するための、経営層と従業員とがとるべき行動規範の定義 今後は課題項目のうち「新しいマネジメント行動規範」 に焦点を当てるとともに、活動の活発化によって改革が加速し ている現在の状況に照らし、名称を 「NMD Action」 から 「Toyota Fast Fwd」 へと改め、活動を進めていきます。 「Toyota Fast Fwd」はマネジメント行動規範の定義を課題とすることから、欧州トヨタでは、①共同的・創造的な 会社文化の実現に向けて、現在のマネジメント行動規範に何が必要かを明確にすること、②時間の効率化および価値 の最大化を図るマネジメント活動を確立すること、 を目的としてすべての従業員に対し調査を実施しました。 今後「RoadShow」や「Toyota Fast Fwd」の結果を検証することで、欧州トヨタの持つ潜在的な力を引き出し、 目指すべき姿へとつなげていきます。 「Toyota Fast Fwd」はこれまで「NMD Action」が担っていた新しく創造的な文化を作り出す取り組みをさらに 推進していきます。 Society 社会への取り組み 04-01 安全への取り組み 05-01 お客様第一・品質第一への取り組み 06-01 次世代社会づくり 07-01 人権の尊重 08-01 ビジネスパートナーとともに 09-01 従業員とともに 10-01 ステークホルダー・エンゲージメント Environment Corporate Citizenship Governance 環境への取り組み 社会貢献活動 ガバナンス 11 12 13-15