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実車テストの自動化

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実車テストの自動化
DEVELOPMENT
SOLUTIONS
実車テストの自動化
ETAS
スヴェン・ゴーペル
車両認証基準の改定に対応する新しいテスト手順
カリフォルニア大気資源局(CARB)は、米国内市場向け2005年モデル以降の車両の認証に際し、量産車評価
(PVE)といわれるテストへの合格を条件とする旨を打ち出しました。PEVは、抽出された量産車サンプルの診断機
能に対し、広範なテスト項目を規定しています。これまで車両の認証は手作業によるテスト手順に頼っていました
が、ここにご紹介する新しい自動化テストは、品質の向上を保証するだけではなく、従来比約75%の工数削減を可
能にします。
このいわゆるPVEテスト(量産車評価)は、
今
日の自動車では、ECUに搭載される
認証テストの手順
診断ソフトウェアが確実に増え続けて
OBD規制が定めているように、オンボード
量産開始(SOP)から6ヶ月以内に完了し
います。例えばエンジンマネジメント機能を
診断機能には、規定された故障についての
なくてはなりません。このテストではオン
制御する診断ソフトウェアは、ソフトウェ
有無を判断し、診断トラブルコード(DTC)
ボード診断とオフボード診断のいずれもが、
ア全体のほぼ5割に達します。品質テストは
を保存し、メータパネル上の不具合警告灯
確実かつ完全に機能することが確認できな
しばしば手作業で行われており、それに伴
(MIL)により運転者に故障の存在を知らせ
ければならず、サービス工場で必要となる
う人件費もかなりの額に上ります。また環
る、といったモニタ機能が備わっている必
スキャンテスタとの通信機能もこのテスト
境保護機関では、診断用のソフトウェアと
要があります。これらの機能により、運転
の対象に含まれています。テストの実施工
ハードウェアの機能を車両のライフサイク
者は故障の存在に気づき、サービス工場に
程では、モニタ機能を2つのグループに分け
ルを通じて評価するといった内容のテスト
修理を依頼することができます。また工場
る必要があります。1つめはCCMグループ
を規定していますが、このテストはモデルイ
の側では、サービスエンジニアがスキャンテ
(包括的コンポーネントモニタ)のテストで、
ヤー毎にその対象範囲が拡大しています。当
スタを使ってDTCにアクセスし、不具合の
ECUと周辺機器とのデータ接続における短
然ながら自動車メーカには、テストの労力
対策をとることができます。
絡や断線といった電気的障害の検出機能を
調べます。2つめはメインモニタのグループ
を軽減しテスト品質の向上を可能にするソ
リューションが必要となります。この点、
認証を受ける車両については、規制の中で
に対するテストで、燃料系統や排気系統に
ETASが開発した新たな自動化プロセスを品
一連のテストが定められていますが、その
おけるリークといった物理的な異常に対す
質・機能に関するテストに適用すれば、テ
る反応を検証します。
スト車両と量産車のいずれにおいても、大
中にはOBD II規制により要求されている
ECU上で実行される診断プロセスの細かな
幅な作業時間の短縮を実現できます(ある
チェックも含まれています。これら一つ一つ
車両開発における自動化プロセス
テストでは、以前と比べて所要時間が25%
のテストが基本的に以下の同じ手順で行わ
いずれのグループも、開発段階においては
も短縮されました)
。新しいETASのプロセ
れます。
ハードウェアインザループ(HiL)環境でテ
スでは、テストを何度でも再現できるうえ、
• 不具合状態を意図的に発生させる
• 関連するDTCがECUのエラーメモリに書
ストを行ないます。同じテストを自動プロ
テストの手順と結果が自動的かつ詳細に記
録されるため、テストの品質向上にもつな
がります。
き込まれることをチェックする
• MILが点灯し不具合の発生が確認できる
ことを検証する
2005年モデル以降、米国内市場向けの車
セスと手動プロセスで同時に実行すれば、自
動化の利点が明らかになり、自動車メーカ
とサプライヤに対して自動化テストの導入
が促進されることになります。
➔
■
両として認証を受ける自動車は、抽出され
た量産車サンプルで診断機能のテストを実
施する必要があります。
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J 2 0 0 5 . 2 RT
Set fault
システム
Read DTC
コンフィギュレーションの
マニュアルテスト
Scan tool
Sensor / Actuator
ECU
CAN / K-Line
Start / stop test
Test
cases
Test
report
LABCAR-AUTOMATION
Set fault
Read DTC
ES4500
Scan tool
Sensor / Actuator
ECU
CAN / K-Line
包括的コンポーネント
モニタCCMの自動テスト
テストを自動化するメリットは以下の通り
車両生産段階における手動テスト
電気的障害を識別するなどのCCM機能を
です。
先に述べた診断機能の認証テストは、今日
テストする場合、その準備段階でテストエ
• テスト結果の再現に加え、正確な文書化
でもその大部分が実車において手作業で行
ンジニアは車両のワイヤハーネスと各セン
われています。テストエンジニアは表や文書
サおよびアクチュエータとの間にテストアダ
• 指定されたテストを包括的に実行
• 手動によるテストに比べ、同じ作業時間
で指示されたテストを順番に行い、作業の
プタを挿入します。このアダプタにより、リ
進行に伴って、各段階で要求される文書を
ンクを外してライン接続を切るといったマ
内に何種類ものバリアントを検証可能
作成していきます。テスト文書には診断可
ニュアル操作や、ケーブルを接続してバッ
能な不具合とその不具合を発生させる方法
テリ電圧や負の電位を挿入するといったこ
に加え、診断を実行する際に求められる環
とが可能になります。
が可能
• テスト車両などの使用時間の短縮
境条件、さらにはエラーメモリに書込まれ
る内容なども含まれています。
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RT J 2 . 2 0 0 5
DEVELOPMENT
SOLUTIONS
エンジニアはこのテストアダプタを使用し、
どういう条件でどのようなトラブルコードを
テスト仕様書に準じた不具合を手動で作り
セットすべきかを示すテストケースの仕様書
出し、スキャンテスタを接続してエラーメ
は、Excel 形式の表で提供されLABCAR-
モリの内容をチェックしてMILの点灯を目視
AUTOMATIONに読み込まれるため、テス
で点検します。こうした手動ベースのテス
トエンジニアは慣れた環境で作業を進める
トはその内容次第で、エンジン制御装置の
ことができます。
関連するピンすべてのテストを終えるのに2
テストケースの記述と自動作成されるテス
∼6週間を要します。
トレポートは、テスト結果を保存整理する
テストケースの
仕様書は、
Excel形式で提供
ための基礎となります。
LABCARAUTOMATIONによる
こうしたテストは、すでにある顧客のプロ
今後の展望
ジェクトに導入されています。そこでは実に
オンボード診断には、電気系統の不具合発
テストレポート
3週間もの時間が短縮されました(手動テス
トでは4週間を要したのが、自動化で1週間
見という目的に加え、排出ガス関連コン
に短縮)
。
いう重要な機能があり、これらのメインモ
CCMテストはとりわけ自動化の対象として
認証テストの自動化には以下のメリットが
ばなりません。このテストは今日なお手動
適しています。それはこのテストの場合、つ
あります。
で行われています。また触媒コンバータ、
ねに同じ作業原則に従い、同様の作業を何
• テスト時間の短縮
• PVEテストにおいて顧客車両の使用時間
O2センサなどの故障検出機能をテストする
ニタもPVEテストの範囲でテストされなけれ
車両生産段階における自動化テスト
度も繰り返す必要があるからです。こうし
たことからETASでは、これらのテストを車
内で容易に自動実行できるプログラムを開
発しました。ここで用いられている手法は、
ポーネントの物理的挙動のモニタリングと
を短縮
• テストの再現に加え正確な文書化が可能
なため、テストの品質が向上
すでにHiLシステムに使われ成果を挙げてい
際は、故障したコンポーネントを車両に搭
載する必要があります(テスト後には当然
取り外します)
。そのため工数と資金の面で
膨大な投資が必要になります。
このような問題を考慮すれば、テストは部
る技術に準じています。
PVEテストの規定では、モニタ機能で検出
分的にでも自動化することが理想的といえ
テストの自動化に当たっては、手動テスト
された不具合は、スキャンテスタにより確
ますが、残念ながら現在の関連法規では、
でのエラーシミュレーションに使用してきた
実にダウンロードされ表示できなければな
診断機能の認証テストにシミュレーション
テ ス ト ア ダ プ タ に 代 わ り 、 E TA S 製 の
りません。それには車両のオンボード診断
メディアを用いることは、例外を除き認め
ES4500エラーシミュレーションハードウェ
ソフトウェアとスキャンテスタ間の通信を
られていません。従って当面は、将来の法
アを採用しています。不具合の意図的な生
検証する必要があります。ETASはJ1699テ
規がより包括的になり、センサの劣化をシ
成、エラーメモリ内にDTCが保存されるこ
ストと呼ばれるこの種のテストに対しても、
ミュレーションして不具合を引き起こすな
との検証、そしてMIL点灯のチェックへとつ
自動化ソリューションを提供しています。詳
ど、HiLテストの領域における新技術が利用
ながるテスト全体の流れは、LABCAR-AU-
しくは本誌p.16「OBD II適合テストシステ
できるようになるかを見極めていく必要が
TOMATIONソフトウェアにより制御されま
ム」の記事をご覧ください。
あります。これとは対照的に品質保証の目
す。自動化ツールはES4500上でエラーを
的では、これらの技術の適用がすでに認め
生成するとともに、スキャンテスタによるエ
られています。
ラーメモリの内容チェックを実施し、詳細
なテストレポートを自動作成します。
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