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夜の観光資源としての 屋台の活性化に関する調査研究
夜の観光資源としての 屋台の活性化に関する調査研究 近畿大学 工学部 建築学科 空間創造研究室 代表 B4 B4 B4 松田 高橋 前川 山田 博幸 拓也 崇 康輔 目 次 研究の概要 第1章 1.1 1.2 1.3 第2章 2.1 2.2 第3章 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5 第4章 4.1 4.2 序論 研究の背景・目的 研究方法 論文構成 呉市の地域概要 呉市の概要 赤ちょうちん通りの屋台群の概要 屋台の利用客の飲食行動と満足度 調査概要 利用客の属性と行動 屋台の利用状況 屋台と呉市内の飲食店に対する満足度 まとめ 屋台関連主体の屋台に対する意識 調査概要 屋台関連主体の屋台に対する意識 4.2.1 4.2.2 4.2.3 4.3 第5章 5.1 5.2 まとめ 地理的条件からみた屋台の成立性 調査概要 立地関係 5.2.1 5.2.2 5.2.3 5.3 第6章 6.1 6.2 6.3 6.4 第7章 7.1 7.2 観光業者 ホテル 屋台経営者 交通機関との関係 周辺ホテルとの関係 周辺観光施設との関係 まとめ 福岡屋台群の実態 調査概要 福岡屋台群の魅力 屋台経営者の屋台に対する意識 まとめ 結論 研究の総括 夜の観光資源としての設立条件の検討 ……………………………… 1 ……………………… ……………………… 1 3 4 ……………………………… 7 ……………………… ……………………… 7 18 ……………………………… 33 ……………………… ……………………… 33 34 49 52 85 ……………………………… 89 ……………………… 89 90 ……………………… ……………………… ……………………… ……………………… ……………………… ……………… ……………… ……………… 90 97 101 ……………………… 111 ……………………………… 113 ……………………… 113 116 ……………………… ……………… ……………… ……………… 116 120 122 ……………………… 125 ……………………………… 127 ……………………… ……………………… 127 151 159 169 ……………………………… 171 ……………………… 171 175 ……………………… ……………………… ……………………… 研究の概要 夜の観光資源としての屋台の活性化に関する調査研究 近畿大学 工学部 建築学科 空間創造研究室 第1章 代表 松田 博幸 B4 高橋 拓也 B4 前川 崇 B4 山田 康輔 ■観光業界に対するヒアリング調査 序論 明治時代に入ると酒の販売が主流になり、おでん、焼 表1 観光業界ヒアリング項目 きイカ、もつ鍋など現在の屋台の形態となり、サラリー マンなどの寄り道場所として人気を博していた。 しかし、現在ではファーストフード・ファミリーレス 近畿ツーリスト 観光資源としての認識 呉市は JTB 認識していない 見なしていない 観光とは無縁である 海軍関連の町である トラン・居酒屋などの飲食業が発達し屋台は必要なの 人の誘致 ない。素材がない ヤマトミュージアム か、また景観を損ねる可能性があるのではないかと、全 誘致能力 ない。半日程度で十分 ない。 売り込み方 メディアや規模の拡大 海軍の街として売る 国的にも屋台の存在価値が問われていった。 呉市も屋台を持つ都市として、屋台の存在価値を考え 人を呼び込む為の条件 人を滞留させる 名産品と観目玉が必要 る時期に直面し、屋台全廃か屋台を観光資源として活用 観光都市としての発展 目玉が必要 人が集まれるスポット するかという屋台の方向性に悩んでいた。その中で呉市 屋台が目玉となるか 難しい 難しい 制100年の中で、あちらこちらに出ていた屋台を1ヶ所 観光資源になる施設 ヤマトミュージアム ヤマトミュージアム に集め、全国でも珍しい電気と上下水道が整備されてい る屋台通りが出来た。昔は、屋台通りとして賑わったが、 徐々に屋台数の減少していった。そこで、呉市により新 規参入店が選ばれ、現在15軒営業を行っている。 ■観光業界の屋台に対する意識 この一連の観光業界に対するヒアリング調査の結果、 観光業界の中で呉市の屋台は観光スポットしての認識を 本研究は、呉市の屋台について、屋台関連主体がどの されておらず、業界の中でも呉の屋台の存在の認知度も ような意識をもっているのかを明確にし、把握すること まだ低い。そのため、屋台を呉市の観光の発展の目玉と を目的としている。 するのは、業界から見ると難しく感じている。また現在 の呉市では、県外から人を呼び込める有力な観光資源が ないため、わざわざ呉に来る必要もなく観光都市として まだまだ発展途上といえる。また、現状の呉市に訪れる 観光客の多くは、江田島の術科学校を目的とし、訪れる 人のほとんどが年配で、昔学校に通っていた人であるな ど呉市という地に関係のあった人ばかりのようである。 写真1 第2章 上下水道 写真2 屋台通り 呉市の概要(略) しかし、平成17年4月にヤマトミュージアムが会館す る事で呉市の観光事情が大きく変わると思われている。 「平和都市 第3章 屋台の利用客の飲食行動と満足度(略) 第4章 屋台関連主体の屋台に対する意識 広島」という事を背景に、ヤマトミュージ アムは全国的に認知される事となるだろう。観光業界も 上記の事に目をつけており、呉市の観光の目玉となり県 外からの多くの人を呼び込めることを期待している。 屋台関連主体ヒアリング調査を行い、呉市の観光業界 現在、呉市の旅行代理店もヤマトミュージアムを中心 やホテル業界は屋台をどのように見ているのかを把握 の目玉とし、修学旅行のスポットにしようと全国の学校 し、赤ちょうちん通りの屋台本体である屋台経営者はど に売りだしている。こうした動きにより現在県外の旅行 のように屋台を認識しているかを把握している。 エージェントやメディアが動きだしている状況である。 ここで呉市の発展に重要となるのは、ヤマトミュージア ■屋台関連主体に対するヒアリング調査概要 ムとその周辺環境との繋がりをいかに持たせていくかで ・調査対象:観光業界/ホテル/屋台経営者 あるといえ、屋台の発展も同様にヤマトミュージアムの ・調査期間:開始2004年11月下旬∼12月中旬終了 繋がりと周辺環境の充実にかかっているといえる。 る。また、屋台を勧める際に屋台の出店の具合が不安定 なため屋台が出店しているのか半信半疑なことがあり、 観光資源としてもっと努力すべきであると感じている。 屋台の発展においてビジネス、観光に問わず宿泊客の 増加が屋台の発展に繋がるという考えをもっているが、 屋台の発展がホテル業界の観光客の獲得には関係してこ ないと考えていることがこの調査でわかった。 また、現状の屋台に対しては、やはり規模が小さすぎ るため今以上の観光客やビジネス客を屋台に誘致するた めには、まだまだ力不足であるとホテル業界は感じてお り、屋台の店舗数の増加や屋台の認知度の向上を望んで いることがわかった。 ■屋台経営者に対するヒアリング調査 図2 ヤマトミュージアムと屋台の位置関係 表3 屋台経営者ヒアリング項目 SEA ■ホテルマネージャーに対するヒアリング調査 表2 ホテルマネージャーヒアリング項目 呉阪急ホテル 夜の観光資源 観光資源としての認識 屋台の発展 利益の結び付き 客層 観光客の行き先 呉ステーションホテル 小規模で力不足 貧相で力不足 あるが、県外から人を ある。週1∼2回は屋 呼び込む力は弱い 台について聞かれる 望んでいる 望んでいる 利益は望める プラス影響である 40∼60代のビジネス客 8割以上がビジネス客 江田島の術科学校や 江田島の術科学校 観光施設の関係性 飲食業としてはライバ 屋台客が増えても宿泊 ル視 客は増えない 大半は呉で宿泊しない 現状では無関係である ■ホテル業界の屋台に対する意識 富士さん かさ 自覚あり 自覚あり 自覚なし 自覚なし 屋台の発展 全体で発展 望んでいる 出来れば良い 出来れば良い 行政の支援 満足 不満足 満足 満足 増やしたい 増加は賛成 現状維持 考えなし 満足 満足 満足 満足 もちたい もちたい 考えていない 考えていない 週2∼3組 ビジネス客 わからない 毎週末 雨、風が強 雨、風が強 雨、風が強 雨、風が強 い日 い日 い日 い日 月2∼3回 月1∼2回 月2∼3回 月1∼2回 仲が良い 繋がりは 仲が良い 個人の営業 店舗数 立地条件 観光施設との 関連性 観光客 休業日 全店揃い 海軍関連施設 ホテルと屋台の関係 夜の目玉の認識 燻 他店との関係性 薄い 呉屋台の魅力 屋台のPR 屋台に選択 ユニークな 肢がある 店がある チラシ チラシ が大切 清潔さ安全さ ふれあい チラシ チラシ この一連のホテルマネージャーに対するヒアリング調 査から、呉で宿泊する人のほとんどがビジネスを目的と ■屋台経営者の屋台に対する意識 して県外から訪れたビジネス客で、観光を目的として宿 この一連の屋台経営者に対するヒアリング調査から、 泊する人はほとんどいない。まして、屋台を目的として 屋台の経営者たちは呉市の観光資源としての認識を持っ 宿泊する客はいないことがわかる。つまり、現在の呉市 ていることは間違いないといえる。現状の屋台に対する の観光のために宿泊するほどではないと判断できる。宿 考えにはいくつか共通意見がある。屋台の立地条件や電 泊客の屋台の利用に関しては、屋台の場所を訪ねられる 気水道、屋台収納駐車場の設備に対して満足しており呉 事もしばしばあり、屋台を勧めることもある。このこと 市に感謝をしている。また、呉市の屋台の魅力に関して から、呉での夜の飲食の選択肢として屋台が挙がるとい も、電気水道の設備や料金表を提示することで安全かつ う事は、それだけの魅力が屋台にあり、宿泊客が屋台の 清潔である。さらに多様なジャンルの店があるため利用 利用を望んでいると考える事が出来る。 者に屋台の選択の幅が広がり楽しんでもらえるといった ホテルも屋台を呉の観光資源として認識をしており発 事を口をそろえて言っている。以上のことから呉の屋台 展を望んでいて、それによりホテルの利益につながれば において統一した意識のもとで各店舗が営業しており、 良いと考えている。しかし、屋台を利用するために宿泊 他の店舗に対してライバル意識ではなく単独で店をかま する観光客はいないと考え、さらには屋台が観光の発展 えるより複数並んで営業することで賑わいや集客性が良 が宿泊客に直接結びつくわけではないと考えられてい いと考えており連帯意識を強く持っている事がわかる。 第5章 地理的条件から見た屋台の成立性 赤ちょうちん通り屋台群の位置を基準に他の観光施設 や交通機関とどのような位置関係にあるのかを把握し、 呉市の地理的条件面から屋台の成立性を探り考察する。 ■屋台群の立地分析 ・分析方法:現地のフィールドワークによって、観光施 設のマッピングを行う。 :マッピングを元に赤ちょうちん通りの屋台 群と観光施設の立地をプロットする。 :プロットを元に実際に立地模型を制作し立 地分析を行う。 写真3 赤ちょうちん通り屋台群の外観 しかし、呉の屋台の発展対する意見は様々であり、発 ・調査地域:屋台を中心とした呉市の中心部 ■屋台と周辺施設の関係図 展に対する意欲の差を感じる。大きくみて新規参入の屋 屋台周辺のおもな観光施設は5km以内に存在している。 台経営者には観光資源としての意識が強いため観光とし その多くが海軍に関係するものであり、港周辺に位置し ての発展を望んでいるが、昔からの屋台経営者はもとは ている。屋台から最も近距離の施設は『入り船山記念館』 観光資源として屋台を経営していなく、生計をたてるた と『ヤマトミュージアム』である。この距離関係であれ めに営業している為、観光資源としての意識も薄く、観 ば徒歩での行き来が可能であるが、その他の観光施設に 光としての発展に意欲的ではないことがわかる。店舗数 行く場合は自動車の必要がある。つまり、呉の観光施設 に関して新規参入の経営者は増やすべきと考えており、 をめぐるにあたって車での移動が条件となるといえる。 観光資源として規模を拡大し屋台同士の競争化を図り、 さらなる屋台利用者の獲得をねらいたいと考えている。 これに対し、以前からの屋台は現状で十分であると主張 している。店舗数が多かった頃と現在の集客事情を考え ると利用者が分散し経営に悪影響となる恐れがあり、共 倒れする危険があるためであると考えている。 また、店舗数に関しては別の問題もあるといえる。現 状の呉の屋台群の問題点は営業状況である。現在、全店 舗15軒揃うことは月に1∼2回であり、週末は十数件が 営業しているが平日では6∼7軒程度でこれより少ない 日もある。雨、風の強い日はしかたがないが、定休日を ずらし常に何軒かは営業しているようにしているようだ 図4 周辺観光施設施設と屋台との距離関係 図4 周辺観光施設施設と屋台との距離関係 が、観光資源としては物足りないといえる。こうした営 業軒数の少なさは、呉の観光に対するイメージダウンと なることは明らかであり、呉の屋台経営者が観光資源と しての認識を持っているならば、店舗数の増加はまずこ の問題を解決してからであるといえる。 こういった問題点や、発展に対する意識の違いはある が、呉の屋台の今後の為に屋台が一つとなり同じ方向性 をもっていく必要性をどの店舗も感じているように感じ る。これまでに屋台全体で広告の製作や、屋台の写真コ ンテストのイベントを企画や、その他にも屋台全体でイ ベントを企画したが、思うほどの成果が得られなかった。 今後、この様な屋台PR等に関して屋台全体の意識を 持ち、新旧屋台が一丸となって屋台通りを盛り上げて行 く事が重要であるといえる。 ■観光資源としての立地条件 屋台の観光資源としての立地条件としてのプラス要因 第7章 結論 観光業界ヒアリング調査の結果からは、観光業界から としては、 『呉市における屋台の位置』である。次に『ホ の視点で屋台を見た場合、福岡の屋台に比べ、小規模さ、 テル等の宿泊施設とやたいのリンクのしやすさ』があげ 知名度の低さなどの要因から夜の観光資源としての成立 られた。しかし、マイナス要因としては『マイカー利用 は難しいと考えており、現状態ではツアーなどに利用さ 者への対応不足』が、あげられた。 れていないのが現状である。 ホテルマネージャーヒアリング調査の結果からは、他 第6章 府県からの利用客はビジネス客が大半を占めており、観 福岡屋台群の実態 この調査では、赤ちょうちん通り屋台群で行った“屋 光客としてホテルを利用している人は、江田島の術科学 台経営者に対する意識調査”をもとに、福岡の屋台経営 校などの海軍関係の施設を利用していることがわかっ 者にヒアリング調査を行った。このヒアリング調査では、 た。屋台が夜の観光資源として発展する事を望んでいる 福岡と呉では、屋台経営者の“屋台に対する意識”の差 のは事実だが、屋台群としてのまとまり(協力)がない 異を調査し、福岡の屋台群はなぜ夜の観光資源として成 事や、小規模さなどから現状では観光資源としての成立 立し、人を引きつける魅力は何かを検討している。 するのは難しいと考えていることがわかった。 屋台経営者ヒアリング調査の結果からは、屋台群を夜 ■福岡屋台群ヒアリング調査概要 の観光資源として経営者自身が自覚し、観光資源として 調査対象:福岡の屋台の経営者 の責任感や、やりがいを感じている。しかし、新旧屋台 調査方法:ヒアリング調査 経営者同士の間で温度差もある為、屋台全体としての動 調査日程:2005年1月18日 きを起こすのは、少々困難であることがわかった。 福岡屋台経営者のヒアリング調査から屋台の経営者の “屋台に対する意識”は屋台自身を観光資源として見な ■福岡屋台群の魅力 観光客や出張客は、多くの屋台が軒を連ねていて、多 しており、呉市の屋台群と福岡市の屋台群では差異は見 くの人が利用している事から屋台に対しての「入りやす て取れなかった。また、屋台群が多く存在していること さ」があり、屋台数が現在203軒と多いため“屋台”と により、メディアにも多く取り上げられ福岡の屋台の人 いうインパクトが強く、メディアへの登場回数も多く福 気・認知度を高めている要因であるといえる。次に、福 岡屋台群の人気を支えている要因である。 岡の屋台群がなぜ夜の観光資源として成立し、人を引き つける魅力は何なのかを検討した。それは屋台群として ■福岡屋台経営者の屋台に対する意識 の“規模の差”であると思われる。ここにおいての“規 屋台の経営者の“屋台に対する意識”は呉市の屋台群 模の差”とは“屋台の店舗数の差 ”“都市の観光の発展 と福岡市の屋台群では変化は見て取れなかった。ヒアリ 度合いの差”である 。“屋台の店舗数の差”を考えて見 ング調査において、屋台群が点在している事で注目され ると、福岡の屋台数は現在203軒あるのに対し、呉の屋 観光資源として発達したという声も聞くことができた。 台は現在15軒である。屋台数が15軒では、観光資源とし て観光客を誘致するのは力不足であると感じる。しかし、 福岡の屋台群のように200軒の屋台を現在の呉市に設立 ■福岡の魅力の活用 呉市の屋台群に魅力の活用をするならば、①屋台数を しても、福岡のように観光客が集まるかと考えると疑問 増やしメディアに多く取り上げられ知名度を上げる事で 符がついてしまう。なぜなら 、“都市の観光の発展度合 あり、次に②観光客や出張客を誘致する事を考える以前 いの差”に深く関係していると考える。福岡の場合では、 に、呉市民や広島市民に屋台の存在を認知してもらう事 昼と夜の観光の流れが出来ている。例えば、観光客は昼 が大切である。そして、③屋台通りが常に賑わっている は福岡市内でショッピングなどを楽しみ、夜になるとホ 状態にし、観光客・出張客が屋台に入りやすい状況にす テルから屋台へ出て行くといった流れが出来ている。 以上のことから、呉市の屋台を夜の観光資源としての る努力が大切である。 設立条件は、まず最初に地元の人間から屋台を盛り上げ、 屋台自体も常時10軒を越える規模で営業していかなくて はならないと考える。そして呉市に昼と夜の観光客の流 れをつくるために、昼の観光資源も成立させなければな らない。そこで、呉に昼の観光資源として今後最も有力 視される“ヤマトミュージアム”と屋台とを関連づけ、 写真4 福岡の屋台 呉市地域全体の活性化に繋がる事を期待している。 第1章 序論 1.1 研究の背景・目的 1.2 研究の方法 1.3 論文構成 第1章 1.1 序論 研究の背景・目的 屋台というものの歴史は古く、初めて姿を現したのは18世紀のことである。屋台は初め て姿を現した当初から現在に至るまでの形態があまり変化していない。屋台の歴史をたど ってみると、政治的に安定した江戸中期は経済・商業が発展し花見・芝居などといった娯 楽施設が充実し、人々が外食になじみ始めた時代であった。屋台は、江戸・京都・大阪と いった大都市で寿司店、天麩羅店が店先に屋根付きの台を置いて通行人に売り出したのが 屋台のはしりであった。屋台という名称もこの事に由来している。 初期の屋台は、店先だけのものであり移動することの出来ないものであった。しかし、 人の集まる場所へ自由に動ける方が利便性が良いということで、店先の台に車をつけて引 き、可動式の屋台が誕生したのである。明治時代に入ると酒の販売が主流になり、徐々に おでん、焼きイカ、もつ鍋などという現在の屋台の形態になり、仕事帰りのサラリーマン などに人気を博していた。 しかし、現在ではファーストフード・ファミリーレストラン・居酒屋などの飲食業が発 達し屋台は必要なのか、また景観を損ねる可能性があるのではないかと、全国でも屋台の 存在価値が問われていた。屋台が最も有名である、福岡市の屋台も同じ経歴をもつ。昭和 24年には、厚生省と福岡県で県内の屋台を全廃方針が打ち出されたが、屋台側も昭和25年 に福岡市移動飲食業組合を設立し、行政側に激しく対抗し、屋台側が自分たちの経営権を 守り通し現在も存続をしている。しかし、福岡市の屋台では原則的に屋台経営者の権利義 務は継承することが出来なく、屋台営業権利の譲渡は厳しく禁止され、屋台の新規参入は 不可能である。同じように、呉市の屋台も存在価値が問われる対象となり、一時は屋台全 撤去などといった案もあったが、福岡市と同様に屋台組合を設立し行政に対する屋台の激 しい抵抗により存続が決定し現在の屋台通りになっている。同じような経歴をもっている 福岡市の屋台と呉市の屋台であるが、観光の目玉としての成立の度合いがなぜ差異がある のか。確かに、都市としての規模は異なるかもしれないが、呉市の屋台の改善点は多々あ り検証出来るのではないだろうか。また、呉市では、屋台の新規参入を認めるといった観 光資源として成立させようという動きがあるという事は他の都市の屋台に比べ、行政の屋 台に対する見方が大きく前進したといえる。しかし、呉市は、人を誘致するための目玉が ない事が最大の弱点であるといえ、屋台を発展させる為の人の流れを生み出す事が困難で あるといえる。同時に、都市を発展させるための若年齢層が減少し、広島市に流れている のが現状である。 呉市の人口は減少しつづけ都市の活力は低下しつつある。しかし、呉地域の拠点都市、 新たなまちづくりを積極的に進め、昭和63年から呉新世紀の丘開発構想の推進や平成3年 から東広島・呉自動車道の建設促進、平成4年から阿賀マリノポリス地区整備事業など様 々な地域活性化政策が行われてきた。また、一昨年に呉市制100年を迎え、新たな100年に 向けて「創造とふれあいの海洋・拠点都市」を目指した新しいまちづくりを行うため、17 年4月に、全国でもあまり例のない営業方針「公設民営」による呉市海事歴史科学館「ヤ マトミュージアム」が、開館予定であり、広島県観光キャンペーン中核施設として観光業 - 1 - 界・ホテル業界も全国的に注目を集めている。呉市制100年の歴史の中で、1987( 昭和62) 年、それまであちらこちらに出ていた屋台を1ケ所に集めて、全国でも珍しい電気と上下 水道が整備されている屋台通りができた。かつては屋台通りとして盛り上がったが、一時 期には7軒まで屋台が減少し、呉市によって屋台通り復活のために新規参加者が8軒選ば れ 、現在では15軒ある 。この屋台通りから呉の活性化に繋げることはできないだろうか。 行政にも、この赤ちょうち通りの屋台を観光の起爆剤として利用したいという意見があ る。平成15年度の「赤ちょうちん通りの屋台客の飲食行動」の分析から、交通機関に対す る不満はあったが、現状には約半数の客が満足していることや、広島市内圏域など、呉市 以外からも来店している事が明らかになった。しかし、我々が期待するほど、屋台が観光 客を誘致できているであろうか。 本研究のそもそもの着想は、呉の屋台と博多の屋台との差異に起因する。博多の夜の屋 台も10年ほど前は、もつ鍋が中心で、勤め人が仕事帰りに寄る店が多かった。今では、夜 の観光資源の目玉として観光客が押し寄せている。屋台群の規模も、中州を除いては、呉 とあまり違わない。呉と博多では、基本条件は異なるが、観光客を引きつける魅力の差は どこにあるのであろう。ひいては、博多の屋台の魅力を呉市の屋台に活用する事はできな いだろうか。 屋台通りの屋台を構成する要因としては「行動 」「施設 」「交通 」「環境」などが考えら れる。この屋台通りを呉市の活性化に繋げる上ですべてが不可欠なもので、お互いがうま く調和することが重要な課題である。そこで、呉の観光資源に密接に関係している「ホテ ル業界」と「観光業界」はどのように呉市を見ているのか、屋台をどのように考えている かを知り、上記の条件の方向性、呉市のこれからの展望を知る。 そこで本研究は、①屋台に来る客の、呉市や呉の屋台に対する意識や満足度、及び観光 業界(旅行社や宿泊施設など)の屋台に対する意識や屋台の利用形態を明らかにし、②博 多等の実態調査を行い、屋台を、特に夜の観光資源に結び付けて活性化を図り、③さらに 市中心部の飲食店や他の観光施設との関係を含めて、呉市の地域活性化に繋げるための基 礎資料を得る事を目的とするものである。 - 2 - 1.2 研究方法 本研究は以下の方法による。 (1)屋台群の立地分析 調査対象は呉の赤ちょうちん通り屋台群である。 ①赤ちょうちん通りの屋台群の立地環境を探るため、統計資料などの既存の資料によ る分析を行う。 ②上記の結果と現地のフィールドワークによって、マッピングやプロットを実施して、 立地模型を作成し、立地分析を行う。 (2)ホテルマネージャーに対するヒアリング調査 呉市にあるホテルに直接訪問しヒアリングを行う。 ①ホテル業界の視点から屋台の夜の観光資源としての成立性を知る。 ②現状の屋台群を見てどのように感じ、位置づけしているのかを把握する。 ③呉市のホテルの利用者はどのような客層なのか把握し、人の流れを把握する。 ④現状でのホテルと呉の観光施設(屋台を除く)の関係性を把握する。 (3)観光業界に対するヒアリング調査 呉市にある旅行代理店に直接訪問し、聞き取り調査を行う。 ①観光業界の視点から屋台に対する意識・満足度を知る。 ②観光資源としての屋台の利用度を把握する。 ③屋台以外の施設の活用性を知り、他の観光施設との関連性を探る。 ④屋台を観光資源として成立させるために宣伝を行っているのか。また、どのような 宣伝方法を行い効果はあったのかを知り観光業界の中での屋台の位置づけを知る。 (4)屋台経営者に対するヒアリング調査 呉市にある屋台に直接訪問し、聞き取り調査を行う。 ①屋台経営者が屋台を観光資源として位置づけしているのかを知る。 ②呉市の屋台が全体で発展する意欲の有無を確認する。 ③屋台の立地条件・店舗数・行政の支援等の満足度を知る。 ④屋台の現状を把握し、これからの屋台の展望を考え検討する。 (5)行政に対するヒアリング調査 呉の市役所直接訪問し、聞き取り調査を行う。 ①認可されている屋台とその認可をしている行政のこれからの展望・温度差を知る。 ②呉の観光施設の中で目玉になり得る施設は何かを知り、屋台との関連性を考える。 ③屋台を夜の観光資源として成立させる為に、屋台をどのように推し進めて行くのか 方向性を知る。 ④観光客を誘致するためにどのような活動を行っているのかを問い、行政の観光客に 対する意識を知る。 - 3 - 1.3 論文構成 本論文では 、「第1章 序論 」「第2章 食行動と満足度 」「第4章 見た屋台の成立性 」「第6章 呉市の地域概要 」「第3章 屋台の利用客の飲 屋台関連主体の屋台に対する意識 」「第5章 福岡屋台群の概要 」「第7章 地理条件から 結論」の7章で構成されて いる。 「 第1章 序論 」では 、本論文の研究の背景・目的・研究方法・論文構成を述べている。 「第2章 呉市の地域概要」では、呉市についての概要であり、呉市の沿革・位置・交 通・環境・自然条件・人口構成・観光施設または、赤ちょうちん通りの屋台群の概要につ いて述べている。 「第3章 屋台の利用客の飲食行動と満足度」では、前年度に行った屋台利用客に対す るアンケートをもとに屋台利用客の飲食行動と満足度について述べている。 「第4章 屋台関連主体の屋台に対する意識」では、屋台関連主体であるホテル業界・ 観光業界・行政にヒアリング調査を行い屋台をどのように位置づけし、意識をしているか について述べ、また屋台の経営者についてもヒアリング調査を行い屋台についての意識に ついても述べている。 「第5章 地理的条件から見た屋台の成立性」では、周辺観光施設との立地条件からみ て屋台とどのような繋がりをあるのかを述べている。 「第6章 福岡屋台群の概要」では、福岡屋台群の歴史・福岡屋台指導要綱・福岡市の 人口・屋台群の位置などについて述べている。また、福岡屋台経営者に対してヒアリング 調査を実施し屋台に対する意識の差異や福岡屋台群の魅力について述べている。 「第7章 結論」では、総括的なまとめを行っている。 - 4 - 第1章 序論 1.1 研究の目的・背景 1.2 研究方法 1.3 論文構成 第2章 呉市の地域概要 2.1 呉市の概要 2.2 赤ちょうちん通りの屋台群の概要 第3章 屋台利用客の飲食行動と満足度 3.1 調査概要 3.2 利用者の属性と利用 3.3 屋台の利用状況 3.4 屋台・呉市内の飲食店の満足度 3.5 まとめ 第4章 屋台関連主体の屋台の成立性 第5章 地理的条件から見た屋台の設 4.1 調査概要 立条件 4.2 屋台関連主体の屋台に対す 5.1 調査概要 る意識 5.2 立地関係 4.3 まとめ 5.3 まとめ 第6章 福岡屋台群の概要 6.1 調査概要 6.2 福岡屋台群の魅力 6.3 経営者の屋台に対する意識 6.4 まとめ 第7章 結論 7.1 研究の総括 7.2 夜の観光資源としての設立条件の検討 図1.1 論文構成 - 5 - - 6 - 第2章 呉市の地域概要 2.1 呉市の概要 2.2 赤ちょうちん通りの屋台群の概要 第2章 2.1 呉市の概要 呉市の概要 2.1.1 沿革 呉市は、広島県の西南部、瀬戸内海に面した気候温和で山と海の風光明美な自然に恵ま れた人口約21万人の臨海工業都市である。呉市の名前の由来は、市街地にそびえる灰ヶ峰 から 、船を作る材料となる榑( くれ )を伐採していたことが由来という説が有力であるが、 9つの嶺に囲まれていた(九嶺)からという説もあり、市章はこれをイメージしたものに なっている。 呉市がとして活動を始めるには呉港が明治19年に第2海軍区軍港に指定され、海軍、あ るいは海軍工廠のまちとして発展をした。昭和になっても終戦までは、軍による施設の設 置や 、周辺のまちとの合併を行いながら軍港としての都市の骨格が形成された 。その中で、 昭和10年には、戦後の復興期に重要な役割となった。三呉線(現在の呉線呉−三原)が開 通している。そして、最盛期の昭和18年には人口40万人を超える日本一の海軍工廠を擁す る町として発展してたが、戦災と終戦による海軍の解体とともに 、壊滅的な打撃を受けた。 しかしながら、昭和25年旧軍港市転換法の適用を受け、第2次産業を主体に復興し、戦前 からの遺産である造船、鉄鋼、パルプと、新たな企業誘致により、いわゆる重厚長大いわ れる産業中心に復興が進んだ。また、昭和29年には海上自衛隊呉地方隊、呉地方総監部」 が設置され、昭和50年頃まで右肩上がりに成長した。 オイルショック以降は主要産業であった鉄鋼、造船などは 、構造的不況のあおりを受け、 また第3次産業への転換などがうまくいかなかったことなども影響して昭和51年からは次 第に人口も減少しており、右肩下がりの状況にある。 こうした中、昭和59年にはテクノポリス地域に、平成6念には呉地方拠点都市地域に措 定されたことなど多くの国のプロジェクト指定を受けたことや、21世紀初頭、平成14年に は記念すべき市制施行100周年を迎え、これまでの100年を振り返り、当市を支えてきた先 人の功績に感謝すると共に、全市民の創意と英和を結集して「呉と海の百年祭」などが行 われたことに伴い、より一層に都市機能の整備と拠点性の向上を図っている。しかし、い ずれも特効薬とはならず、現在も毎年1500人くらいの減少が続いている。 平成17年に呉地域合併問題により、音戸町、安浦町、蒲刈町などの周辺の地域と合併す る計画がある。この計画は、呉市と各町との合併後の新しいまちづくりを総合的かつ効果 的に推進するため、それぞれの町の長期総合計画の理念を継承するとともに、第3次呉市 長期総合計画との整合を図り、合併後の新市のまちづくりの目標及びその実現のために、 多彩な地域資源を生かした産業創造都市の形成や、持統的活力をもつ海洋交流都市の形成 など、総合的な「まちづくり計画」を定め、おおむね10年間(平成17年度∼平成26度)の 具体的な計画があり、新しい呉市に変化しようとしている。 - 7 - 表2.1 呉市の概要 項目 値 総面積 154.98 ㎢ 平均気温 降水量(年間) 総人口 16.7 ℃ 1,058.0 ㎜ 215,762 人口密度 人 1,388.2 世帯数 83,743 人/㎢ 世帯 労働人口比率(対15歳以上人口)[男] 60.5 % 労働人口比率(対15歳以上人口)[女] 39.5 % 第1次産業就職者総数 1,133 人 第2次産業就職者総数 31,705 人 第3次産業就職者総数 67,853 人 完全失業率 表2.2 4.5 年齢3区分人口(住民基本台帳) 年齢区分 総数 % H16.9.30 男 女 15歳 未 満 28,018 14,346 13,672 15∼ 64歳 135,020 68,210 66,810 65歳 以 上 50,325 20,381 29,944 213,363 102,937 110,426 合 計 平均年齢 44.75歳 42.69歳 - 8 - 46.67歳 2.1.2 位置、交通・環境 呉市は中国、四国地方の真ん中に位置する広島県の中心都市広島市に隣接した位置にあ る。主要道路は、東西に広島呉道路、国道31号、国道185号、南北に国道487号、国道375 が走り、JR呉線がある。呉市の交通は昭和17年(1943年)にバス事業と軌道事業(市内電 車)で開業し、 その後、戦災及び復旧を経て、バス事業の拡大を図ったが、モータリーゼ ーションの進展により、昭和42年(1967年)に軌道事業を廃止した。 バス事業もマイカーの急速な普及に伴う乗客減による経営悪化を余儀なくされ、昭和48 年度(1973年)∼昭和62年度(1987年)の15カ年、財政再建団体となり大幅な合理化、経営改 善を進めた。 高速交通機関の状況を見てみると,呉市は広島呉道路で広島市と結ばれ、東広島市呉自 動車道の整備により高速ネットワークの確立が図られることになっている。 再建終了後、平成3年度から再び赤字経営となり、平成11年には有識者・利用者等の代 表14名から成る「呉市公営交通事業経営審議会」を発足し、翌11年7月、審議会から呉市 長に対して意見書が提出された。 現在、その意見書を受けて平成12年2月に策定した平成12年度を初年度とする「呉市交 通局経営健全化5か年計画」の目標達成に向けて全力で取り組んでいる。 図2.1 呉市の交通 - 9 - 2.1.3 自然条件 ①地勢 呉市は 、広島県の南西部に位置し瀬戸内海に面し 、市域面積は146.30㎞ 2( 東西15.6㎞ 、 南北14.5㎞)で気候温暖な都市である。市域のうち54%が山林で平坦地が少なく山によっ て海まで張り出した山塊によって市街地が各地区に分断された特異な地形をしている。 穏やかな瀬戸内海の海岸には、海水浴場 、公園 、旅客船桟橋 、漁港、造船所などがあり 、 海を隔てて江田島や倉橋島を望み、魅力的な光景を演出している。内海の多島美を一望で きる国立公園休山や灰ケ峰、平清盛の日招伝説が残る音戸の瀬戸などの名勝を創り出して いる。明治の初めまでは半農半漁の4つの村落であったが、山に囲まれた海に近いという 地理的な特徴がある。 ②気候 呉は瀬戸内海沿岸と中国山地のあいだに位置するので、瀬戸内海岸型気候の遷移地帯と しての気候的特徴を持っている。降水量が少なく,晴天日数や日射量の多いことが特徴。 瀬戸内海は中国・四国の両山地にかこまれていて,冬の北西の季節風も夏の南東の季節風 も山をこえてふきこむ。このため降水量が比較的少なく,年間1,000∼1,300mmの地域が ほとんど。そのうえ,海をかかえているために冬も温暖である。 図2.2 平均気温と降水量 - 10 - 2.1.4 人口構成 呉市及び周辺8町は減少傾向が継続しており、昭和50年から25年間で地域全体では人口 が16.9%減少しており 、平成2年以降の10年間の動きでも2万1千人の減少となっている。 これは東広島市と周辺地域は工業流通研究団地に多様な企業が立地し、この地域の経済活 動の基盤を形成しており,東広島市では半導体を製造する大規模工場や多数の自動車関連 企業が創業しており、人口の増加や活力の大きな要因となっている。 呉市と周辺地域は戦後、重厚長大型の製造業を核として発展し、地域経済発展の牽引や 地域住民の就労の場として大きな役割を果してきた。しかし 、石油危機や為替相場の変動、 景気悪化の影響によって既存の重厚長大型の産業は大きな打撃を受け、その後も地域の産 業構造の転換が進展していないため近年の人口減少や活力の低下の大きな要因となってい る。 次に平成12年の年齢別階層人口を見てみると、呉市及び周辺8町の地域では年少人口及 び生産年齢人口が77.1%,老齢人口が22.%であり県平均を上回っている。特に豊浜町、 豊町は町民の約半数が高齢者で老齢人口の割合が非常に高くなっている。 呉市の人口推移 呉市の人口推移 300,000 250,000 200,000 150,000 100,000 50,000 0 1920 1930 1940 1950 図2.3 1960 人口推移 - 11 - 1970 1980 1990 2000 表2.3 呉市の支所別人口と世帯 人 口 地 区 中 央 57,729 28,207 29,522 28,711 宮 原 9,388 4,452 4,936 4,465 警固屋 6,432 3,049 3,383 3,120 総 数 男 世帯数 女 吉 浦 12,177 5,850 6,327 5,206 天 応 4,698 2,203 2,495 1,959 昭 和 36,048 17,393 18,655 13,852 阿 賀 17,486 8,287 9,199 7,762 45,389 21,995 23,394 18,769 広 郷 原 4,291 2,120 2,171 1,723 仁 方 7,802 3,755 4,047 3,066 下蒲刈 2,184 1,050 1,134 886 10,139 4,952 5,187 3,813 213,763 103,313 110,450 93,332 川 尻 計 35,000 30,000 25,000 男 女 世帯数 20,000 15,000 10,000 5,000 図2.4 方 下 蒲 刈 川 尻 仁 原 広 郷 中 央 宮 原 警 固 屋 吉 浦 天 応 昭 和 阿 賀 0 呉市の支所別人口と世帯 - 12 - 2.1.5 観光施設 ①アレイからすこじま 緑とレンガ色に包まれたアレイ(小道 )。国内で唯一、潜水艦を間近で見られるのがコ コだけ。海上自衛隊の潜水艦と護衛艦がイカリを下ろしている。ここはその昔、呉が海軍 の本拠地だったことを偲ばせるエリアである。周りは旧海軍工廠のレンガ建造物が並ぶレ トロな雰囲気で、戦艦・大和も近くのドックで極秘に建造された。時代は変わり、今はだ れでも自由に散策を楽しめる公園であり、旧魚雷揚げ下ろしクレーンもある。 図2.5 アレイからすこじま 図2.6 アレイからすこじま地図 ②呉ポートピアパーク 瀬戸内海に面し、太陽や風、緑を感じる美しい公園。土日にフリーマーケットなどイベ ントが多い。マウンテンバイクの本格的なコースもある。年末にはイルミナーレで彩られ たロマンチックなスポットとして人気がある。 図2.7 呉ポートピアパーク 図2.8 - 13 - 呉ポートピアパーク地図 ③旧海軍墓地 旧海軍基地とも呼ばれる長迫公園。旧海軍墓地は、1890(明治23)年に、海軍軍人など の埋葬地として開設され、この墓地には、2002(平成14)年現在、戦前に建立された墓碑 が169基、「戦艦大和戦死者之碑」等78基の合祀(ごうし)碑がある。 戦没者、殉職者の碑とともに、巡洋艦や戦艦、駆逐 図2.9 旧海軍墓地 艦などの艦船の碑が並んでいる。 図2.10 旧海軍墓地地図 ④蔵本通り 「手づくりの郷土賞やすらぎとうるおいのある歩道30選 」「日本の都市公園100選」に 選ばれた。飛躍の塔にはドイツ製のカリヨン(鍵)が12個つけられ、1日4回、呉出身の 作曲家藤井清水の曲を奏でている。 図2.11 蔵本通り1 図2.13 図2.12 蔵本通り地図 蔵本通り2 図2.13 - 14 - 蔵本通り地図 ⑤蘭島閣美術館 館名は下蒲刈に多く自生していた春蘭に由来。日本建築の美しさを追求した総ヒノキ造 りの美術館 。横山大観や福田平八郎・須田國太郎など日本を代表する作家の作品をはじめ、 海や松など瀬戸内海の美を描いたものなどを収蔵展示している。また、毎月第3土曜日18 時30分からNHK交響楽団のメンバーなどによるギャラリーコンサートを開催してる。 図2.14 蘭島閣美術館 図2.15 蘭島閣美術館地図 ⑥入船山記念館 入船山公園内には、国の重要文化財「旧呉鎮守府司令長官官舎」をはじめ、旧海軍関係 の資料等を展示した郷土館、呉の歴史に関する展示を行う歴史資料館等がある。建築当初 1905年(明治38年)の姿に復元された司令長長官の洋館部分は「金唐紙」という全国でも 珍しい壁紙で装飾されている。 図2.16 入船山記念館 図2.17 - 15 - 入船山記念館地図 ⑦大和ミュージアム(呉市海事歴史科学館) 平成17年4月にオープンする予定の大和ミュージアム(呉市海事歴史科学館 )。3つ のテーマ「呉の歴史 」「船をつくる技術 」「未来へ」で構成され、戦艦「大和」1/10大 型模型(約26m)や大和の引揚品・遺書、ゼロ戦、人間魚雷「回天」等の実物資料を展示 しる。さらに船を造って走らせることのできる実験水槽や、松本零士氏の協力を得て宇宙 戦艦ヤマトの模型や資料等も展示!我が国の歴史と平和の大切さを認識していただくとと もに、子ども達に科学技術の素晴らしさを理解してもらいたいと思っている。 折しも平成16年度から2年間、広島県大型観光キャンペーンがあり、大和ミュージアムは 中核施設として位置づけられている。 図2.18 大和ミュージアム 図2.19 大和ミュージアム地図 ⑧呉市立美術館 彫刻の点在する美術館通りの坂道を登る。入船山の天然林に囲まれ、日本瓦葺き寄せ棟 の屋根とレンガ色の六角タイルの美術館にたどりつくと、ブルーデールの「弓をひくヘラ クレス」が迎えてくれる。収蔵品は、内外の著名作家の作品767点。 図2.20 呉市立美術館 図2.21 - 16 - 呉市立美術館地図 ⑨灰ヶ峰 灰ヶ峰は標高737m。日本三大夜景の函館山より3倍以上の高さがあり、その夜景は、 まるで天上から眺めているよう。宝石のような街の灯り、呉港に揺れる船、そして月明か り。まさに呉のロマンチックスポットである。 図2.22 灰ヶ峰 図2.23 灰ヶ峰 ⑩船の資料展示施設 「呉の歴史」と造船、製鋼をはじめとした各種の「科学技術」を柱とした「大和ミュー ジアム(呉市海事歴史科学館 )」の建設を推進している。現在、戦艦「大和」に関する資 料など、これまでに収集した関係資料の一部を展示し、呉と造船の歴史の一端を紹介して いる。 図2.24 船の資料展示施設 図2.25 - 17 - 船の資料展示施設 2.2 赤ちょうちん通りの屋台群の概要 2.2.1 屋台の経緯 呉市の中心部・蔵本通りの屋台は 、「赤ちょうちん通り」とも呼ばれ、呉の名物と親し まれ全国的にも有名な貴重な観光資源である。1965年市内各地で分散していた28軒が集ま って始まった。しかし、市と呉警察署は当時の都市整備上支障になる存在であった。こう いった段階から呉市での屋台存続において様々な変化を遂げてきた。84年には、通りの景 観上の問題から存廃議論が起きたが、話し合いの末に市が道路上の屋台営業は、現営業者 以外は配偶者や子が自ら営業する場合のみ許可するという規制の中で、営業者の高齢化や 後継者難等によりその数は減少していった。 この現状を見て、通りの整備に併せて、屋台専用の水道や配水管、電気コンセントを整 備したり、歩道の植栽を移動し、道幅を拡張するなど、全国的にも珍しく積極的に行政が 取り組んでいる。 そして、90年以降店数が8軒に減っていたが、市は呉の夜の顔の1つである屋台の再生 を狙って、2001年に屋台や周辺の商店街など17団体の代表で懇談会をつくり、話し合いの 末に「新規参入」に踏み切った。そして、2002年6月に「蔵本通りの屋台に関する要綱」 の施行し、初めて新規出店を募集し、7軒の新しい屋台が誕生した。提供メニューは「ラ ーメン 」「おでん」の定番ではなく、鉄板焼き、炭火焼き、イタリア料理、東南アジア料 理とバラエティーい富んでいるのが特徴である。9月には、道路区域を変更し隣接する公 園に組み入れる都市計画決定し、公園内屋台営業許可と現在の蔵本通り屋台に至っている。 観光資源として 、本格的に活用し地盤沈下が進む市中心部の回遊性を高め 、行政や市民、 屋台の経営者が協力しあい、独特の風情と人情を残し続けている。 - 18 - 2.2.2 屋台の実態 現在 、蔵本通りの屋台は15軒存在している 。それらの内7軒は古くから存在していたが、 残りの8軒は新規屋台導入政策によって認められた屋台である。2002年6月に新規出店の 公募があり、定員の6倍にあたる48人が応募し、審査の結果8軒が選ばれ、同年9月30日 より営業を開始したのである。呉駅方面から行けば、堺川沿いの蔵本通り歩道上に(正確 には公園区域 )、次のように配置されている。 図2.26 屋台配置 - 19 - ① ② ③ ④ ⑤ ⑦ ⑥ ⑧ - 20 - ⑨ ⑩ ⑪ ⑫ ⑬ ⑭ ⑮ - 21 - 表2.4 屋台詳細 屋台名 経営者 種類 屋台 定休日 ①おばちゃん 砂川 ラーメン 新規屋 不定休 ②炭火焼き MANMARU 古本 炭火焼き 新規屋 火曜日 ③呉空 森川 創作餃子 新規屋 不定休 ④ SLOW EASTASIA 吉本 東南アジア料理 新規屋 不定休 ⑤三ツ星屋台 楽 cenetta 土井 イタリア料理 新規屋 火曜日 ⑥華智 池田 たん・テール料理 新規屋 月曜日 ⑦燻 古田 創作料理 新規屋 月曜日 ⑧みき 大崎 現行屋台 既存屋 月曜日 ⑨龍王 西原 現行屋台 既存屋 月・火曜日 ⑩かさ 坂本 現行屋台 既存屋 月・木曜日 ⑪磯八 上中田 鉄板焼き・天ぷら 新規屋 日曜日 山口 現行屋台 既存屋 不定休 積河内 現行屋台 既存屋 日曜日 ⑭富士さん 山内 現行屋台 既存屋 日曜日 ⑮青龍軒 吉本 現行屋台 既存屋 不定休 ⑫一二三 ⑬八起 このように、新規参入店は、従来のラーメン屋台の傾向ではなく、イタリア料理や創作 料理、アジア料理といったユニークな傾向を打ち出しており、屋台として新しい風を吹き 込んだ。 上記の表でもわかるように、開店状況は木曜日、金曜日、土曜日は多く、月曜日は非常 に少ないことがわかる。開店された屋台が多い時は、屋台通りに活気が出てきて、夜の観 光資源としての位置づけも可能な状態となっている。しかし、雨天や強風、月曜日といっ た日になると出店数が少なく、時には1軒も開店していない日もあり 、寂しい状況となる。 次に呉市の屋台における大きな問題は、駐車問題である。交通量に比べ道路幅が広く、 屋台通りの前に駐車して屋台で飲食する客が多く駐車している。屋台利用者は、駐車して 手軽に屋台が利用できると判断するかもしれないが、仮に一般の道路で駐車して買い物を していて駐車違反をとられるということになれば、あるいは交通関係の警察から注意され るという実態になれば 、屋台付近だけが見逃されて良いということにはならないのである。 取り締まりの原則とともに、市民が常識的に見て、許す範囲ということを考慮する必要が ある。 - 22 - 図2.27 写真 近隣駐車場地図 2.1 屋台設備 全国的にも珍しく上水道、下水道、電気等の屋台営業のための設備。屋台2軒分 が収納されている。蔵本通りに11カ所存在し最大22軒の屋台営業が可能である。 - 23 - 写真2.2 昼の屋台通り (この線は屋台営業が行われる時間、公園と歩道の境界線 。) 写真2.3 トイレ 屋台周辺にはトイレはここだけ。22時以降の屋台利用者の不満の声があり、改善 しなければならない点の1つである。 - 24 - 2.2.3 蔵本通りの屋台についての資料 ・蔵本通りの屋台について 蔵本通りの屋台は 、呉の名物として親しまれ全国的のも有名な貴重な観光資源であるが、 道路上の屋台の営業は、現営業者以外は配偶者や子が自ら営業する場合を許可するという 規制の中で、営業者の高齢化や後継者難などによりその数は著しく減少しています。 この現状を見て、呉を訪れる観光客や企業関係者等から蔵本通りの屋台の再生を求める 声が高まり、呉の名物、観光資源としての役割を果たせる新たな屋台の増加を求める要望 が各方面から寄せられています。 このため、昨年度から蔵本通りの屋台に関する懇談会を開催し、関係機関及び関係団体 との意見交換を進めてまいり、この度、蔵本通りの屋台の在り方についての基本的な考え 方を取りまとめていただいたところです。 懇談会の意見は、呉市の観光の振興や街のにぎわいづくりの一環として、新たな屋台営 業が可能となる施設を展開し蔵本通りの屋台を再生すること、また、屋台営業に伴う課題 には関係機関等と屋台組合が連携し対応することとしており、市としては、懇談会の意見 を踏まえ、つぎのとおり蔵本通りの屋台に関する施設を実施するものである。 1 施設の方針 呉市の観光の振興や街のにぎわいづくりに資するため、次の方針に基づき蔵本通りの屋 台を再生を図るものとする。 (1)屋台の設置場所を道路区域から除外し、呉市都市公園条例の許可により新たな屋台 営業を認めることとする。 (2)新たな屋台営業者は公募するものとする。 (3)屋台営業に伴う課題には、関係機関等と屋台組合が連携し対応するものとする。 (4)施設の基準を定めた要綱を制定するものとする。 2 蔵本通りの屋台に関する要綱 蔵本通りの屋台に関する施設の基準を定めた要綱の概要は次のとおりである。 (1)目的 この要綱は蔵本通りの屋台に関し必要な事項を定め、屋台利用者に親しまれ、市民 生活と調和したのもとなるように誘導し、本市の観光の振興や街のにぎわいづくり に資するものとする。 (2)公募・選定 市長は、必要に応じ屋台営業者を公募し、選定する。 (3)許可 ア 公募枠 選定通知を受けた者が許可申請を行った場合に許可する。 イ 現営業枠 要綱制定時に屋台営業を行っている者又はその者が営業困難となり配偶者又は子が 自ら屋台営業を行うため申請があった場合は許可する。 - 25 - (4)主な許可条件 ア 屋台の規格等 規格 間口4 m 以内、奥行き3 m 以内、高さ2.2 m 前後とする。 構造 固定式ではなく容易に移動でき、自動車及び原付を活用したものでないこと。 イ 屋台営業時の遵守事項 屋台営業 許可を受けた者が自ら継続的に行う。 写真入り許可書等を屋台利用者の見えやすい位置に掲示する。 良好な地域環境の確保、交通違反の防止等客のマナー向上に努める。 営業時間 設置撤去を含め午後4時半から翌日の午前5時までとする。 料金明示 飲食料金を利用客から見えやすい場所に明示する。 提供食品 提供する食品は、提供の直前に加熱調理するものとする。 ウ 谷地営業の終了後の措置等 営業後 屋台の設置場所や周辺の清掃を行う。 保管 屋台は指定した収納場所において保管する。 エ 屋台の特色づくり 特色づくり 屋台営業者は提供食品、屋台デザイン等特色ある屋台づくりに努める。 (5)組合加入等 許可を受けた者は、呉市移動飲食営業者組合に加入した上、屋台営業を行うものと する。 組合は、組合員相互の協力により運営し、関係法令等を遵守した上、適正な屋台営 業が行われるよう努めなければいけない。 (6)協議会の設置 屋台営業に伴う課題その他屋台営業に関することについての意見交換を行うため、関 係機関等からなる協議会の設置する。 3 経緯 H14.6.1 蔵本通りの屋台に関する要綱 H14.6.20∼7.19 新規屋台営業者の公募(募集:7名、応募者:48名) H14.7.23,24 応募者面接 H14.7.26 選定委員会の開催(新規営業者7名の選定) H14.7.31 新規屋台営業者の公表 H14.8∼9月 屋台製作、許可申請、許可 H14.8.23 選定委員会の開催( 現営業者1名の廃業により新規営業者1名の追加選定) H14.9.30 道路区域の変更、公園内屋台営業許可、営業開始 - 26 - ■ 蔵本通りの屋台の関する要綱 (目的) 第1条 この要綱は、蔵本通りに面する中央公園の市の指定する場所において営業する屋 台に関し必要な事項を定めることにより、屋台が利用者に親しまれ、市民生活と調和し たものとなるように誘導し、もって本市の観光の振興及び街のにぎわいづくりに資する ことを目的とする。 (定義) 第2条 この要綱において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定める ところによる。 (1)屋台 道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第2条第4項のに規定する軽車両に屋台 営業のための設備を備え付けたものをいう。 (2)屋台営業 食品衛生法(昭和22年法律第233)第21条第1項のに規定による飲食店営業の 許可を受け、屋台を一定の時間、蔵本通りに面する中央公園内の市の指定する場所に設 置して行う飲食店営業を行う者をいう。 (3)屋台営業者 (4)営業許可 自ら継続的に屋台営業を行う者をいう。 呉市都市公園条例(昭和44年呉市条例第33号。以下「条例」という。)第4 条第1項の規定による都市公園における許可をいう。 (営業許可) 第3条 2 屋台営業を行おうとする者は、営業許可を受けなえければならない。 営業許可の申請をしようとする者は、当該屋台営業についての保健所長と事前に協議 をしなければならない。ただし、既に営業許可を受けている者が、引き続き営業許可を 受けようとする場合は、この限りでない。 3 営業許可の申請は第4条第2項の申請書の次に掲げる書類を添付してこれを行わなけ ればならない。 (1) 食品衛生法第21条第1項の規定による飲食店営業の許可に係る証明書又は申請書の 写し (2) その他市長が必要と認める書類 4 市長は、屋台営業が都市公園の利用及び都市公園の保全上支障がないと認める場合に 限り、営業許可を行うものとする。 (公募及び選定) 第4条 2 市長は必要に応じ屋台営業者を一般から公募するものとする。 前項の規定による公募に基づき、当該応募をしようとする者は、当該屋台営業につい て保健所長と事前に協議をした上で、応募申請書を市長に提出しなければならない。 3 市長は、前項の規定により応募した者の内から、屋台営業者を選定し、当該応募者に 対し、この旨を通知する。 - 27 - 4 市長は、前項の規定による通知を受けた者が前条の規定による営業許可の申請を行っ た場合に限り、当該営業許可を行うものとする。 (営業許可の特例) 第5条 市長は、前条第4項の規定にかかわらず、この要綱の制定時において現に屋台営 業を行っている者から自ら屋台営業を行うための営業許可の申請があった場合には、当 該営業許可を行うものとする。 2 前項に規定する屋台営業者の死亡、長期療養その他やむを得ない事由により自らの営 業が不可能又は困難となり、当該屋台営業者の配偶者又は子( 以下「 承継人 」という。) から自ら屋台営業を行うため、承継の事由及び承継人に該当する者であることを証する 書類を添えて申請があった場合も前項と同様にする。 (営業許可の条件) 第6条 市長は、営業許可を行うときは、別表に定める営業許可の条件を付する。 (営業許可の期間) 第7条 営業許可の期間は原則6箇月間とする。ただし、第5条第2項の規定により承継 人に対して行う当該営業許可の期間は、承継される屋台営業者への営業許可に係る残期 間に相当する期間とする。 2 前項の営業許可の期間における当該始期は、平成14年9月30日以降とする。 (許可書及び許可証) 第8条 市長は、営業許可をするときは、当該屋台営業者に対し、許可書のほか屋台営業 者の写真を添付した許可証を交付する。 2 前項に規定により許可証の交付を受けた屋台営業者は、当該許可証を屋台の利用者か ら見えやすい場所に提示しなければならない。 (使用料の納入) 第9条 営業許可を受けた者は、条例第16条の規定に従い1箇月ごとに使用料を前納しな ければならない。 (権利譲渡等の禁止及び営業許可の取消し) 第10条 営業許可を受けた者は、当該屋台営業の権利を譲渡し、若しくは転貸し、担保の 用に供し、又は他の者に行使させることはできない。 2 市長は、前項の規定に違反して屋台営業が行われていることを知ったときは、当該事 実を確認した上、直ちに当該違反者への営業許可を取り消すものとする。 (呉市蔵本通り屋台組合への加入等) 第11条 営業許可を受けた者は 、 呉市蔵本通り屋台組合(以下「組合」という 。)に加入 した上、当該屋台営業を行うものとする。 - 28 - 2 組合は、組合員相互の協力により、これを運営することとし、各組合員が関係法令等 を遵守した上、適正な屋台営業が行われるように努めなければならない。 3 組合長は、屋台営業に関し、問題等が発生したときは、直ちにこれを市長に報告する ものとする。 (協議会の設置) 第12条 屋台営業に伴う課題その他の屋台営業に関することについての意見交換を行うた め、屋台運営協議会(以下「協議会」という。)を設置する。 2 協議会は、会長、副会長及び委員をもって構成し、会長は呉市土木建設部長、副会長 は、蔵本通りの屋台活性化懇談会会長、委員は呉市総務部長、呉市保健所長、及び呉市 経済部長の職にある者並びに呉警察署長の指名する者をもって充てる。 3 会長は、協議会を代表し、会務を総理する。 4 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるときは、その職務を代理する。 5 協議会の会議は、会長が招集し、議長となる。 6 会長は、特に必要があると認めたときは、協議会の会議に委員以外の者を出席させ、 その説明又は意見を求めることができる。 7 協議会の庶務は、公園緑地課において処理する。 (立入調査) 第13条 市長は、この要綱に定める措置及び施策を実施するため必要があると認めるとき は、職員をして屋台に立ち入らせた上、営業状況、設備等を調査させ、又は屋台営業者 等に対して質問させ、若しくは必要な指導等をさせることができる。 (監督処分) 第14条 市長は、次の各号のいずれかに該当する者に対して、当該営業許可を取り消し、 その効力を停止し、若しくはその条件を変更し、又は営業の中止、原状回復若しくは都 市公園からの撤退を命じることができる。 (1) 条例又はこの要綱の規定に違反している者 (2) 営業許可に付した条件に違反している者 (3) 偽りその他不正の手段により営業許可を受けた者 (4) 食品衛生法上の営業の許可を取消し処分又は営業の禁止若しくは停止処分を受けた 者 2 市長は 、次の各号のいずれかに該当する場合においては 、営業許可を受けた者に対し、 前項に規定する処分をし、又は当該処分により生じるおそれのある損害を予防するため、 必要な措置をとるように命じることができる。 (1) 都市公園に関する工事のためにやむを得ない必要が生じた場合 (2) 都市公園の保全又は公衆の都市公園の利用に著しい支障が生じた場合 (3) 前2号に掲げる場合のほか、都市公園の管理上の理由以外の理由に基づく公益上や むを得ない必要が生じた場合 3 屋台営業者は前項の規定により処分を受け、又は必要な措置をとるよう命じられたこ - 29 - とによって生じた損失について、補償を求めない。 (規定外の事項) 第15条 この要綱の実施に関し必要な事項は、市長が別に定める。 付則 この要綱は、平成14年6月1日から実施する。 付則 この要綱は、平成14年9月5日から実施する。 付則 この要綱は、平成15年4月1日から実施する。 別表(第6条関係) 営業許可の条件 第1 1 屋台の規格等 屋台の規格 屋台の規格は、客席、調理場及び器材置場並びに囲いを含めて、間口4メートル以 内、奥行3メートル以内、高さ2.2メートル前後で、屋台の閉じたときの大きさは長 さ4メートル以内、幅1.5メートル以内、高さ2.2メートル前後であること。 2 屋台の構造 屋台の構造は、固定式ではなく容易に移動できるものとし、道路運送車両法第2条 第2項に規定する自動車又は同条第3項に規定する原動機付自転車を活用したもので ないこと。 3 屋台の設備等 (1) 屋台の設備は清潔に保つこと。 (2) 電気及び上下水道の設備を適切に維持管理すること。 4 屋台の外観 屋台に外観は清潔に保つこと。 第2 1 屋台営業時の遵守事項 屋台営業 (1) 屋台営業は、営業許可を受けた屋台営業者が自ら継続的に行うこと。 (2) 条例上の営業の許可証及び食品衛生法上の飲食店営業許可証明書をそれぞれ屋台 利用者から見えやすい場所に掲示すること。 (3) 屋台営業に当たっては、適正な公園利用に配慮するとともに、屋台周辺の公園施 設の清掃に努めること。 (4) 歩行者空間を確保するため、許可範囲外の使用をいないこと。 (5) 都市公園及び道路に食材、器材等を放置しないこと。 - 30 - (6) 利用客の適正な公園の利用及び酔客による騒音等が生じないよう客のマナー向上 に努めるなど、良好な地域環境の確保に努めること。 (7) 違法駐車、飲酒運転等の交通違反の防止等客のマナー向上に努めること。 2 屋台の営業時間 屋台の営業時間は、原則として、屋台の措置及び撤去の時間を含めて、午後4時半 から翌日の午前5時までとすること。 3 料金の明示 (1) 飲食料金を屋台利用者から見えやすい場所に明示すること。 (2) 当日の原材料の価格によって料金の変更する品目については、当日の料金を、複 数の料金体系がある品目についてはそれぞれの料金を明示すること。 4 食品の取扱い (1) 屋台で調理し、提供する食品は、提供の直前に加熱調理する(焼く、煮る、炒め る、揚げる、蒸す等)ものとし、食品衛生関係法令を厳守すること。 (2) 下処理、調理、盛り付け、食品洗浄等の作業は、屋台内で行うこと。 第3 1 屋台営業の終了後の措置等 屋台営業の終了後の措置 (1) 屋台の措置場所及びその周辺の清掃を行い、都市公園及び道路を汚損しないこと。 (2) 屋台及び器材等を都市公園及び道路に放置しないこと。 2 屋台の保管 屋台は、指定した収納場所において保管すること。 3 廃棄物等の処理 ごみ、廃油等は、事業系ごみとして自らの責任で適正に処置すること。 第4 屋台の特色づくり 屋台営業者は、提供する食品、屋台デザイン等特色あら屋台づくりに努めること。 - 31 - - 32 - 第3章 屋台利用客の飲食行動と 満足度 3.1 調査概要 3.2 利用客の属性と行動 3.3 屋台の利用状況 3.4 屋台と呉市内の飲食店に対する満足度 3.5 まとめ 第3章 3.1 屋台の利用客の飲食行動と満足度 調査概要 ①研究の背景・目的 一時期には7件までにも減少した赤ちょうちん通りの屋台であったが、昨年、新規参入 者が8グループ選ばれ、現在では、15軒になっている。赤ちょうちん通りで始まったこの 活性化の試みを、呉市全体、特に市内中心部の活性化に繋げることは出来ないだろうか。 赤ちょうちん通りの屋台を構成する要因としては「行動 」「施設 」「交通 」「環境」など がある。赤ちょうちん通りの活性化を呉市全体の活性化に繋げる上で、全てが不可欠であ り、要因相互をうまく調和させることが重要な課題である。特に「行動」については、こ の要因のもつ二次的要素が深く関係する。二次的要素とは、屋台に来る客の客層・居住地 域・交通手段・利用時間帯などである。屋台に対する満足度や他の飲食店街に対する満足 度も重要なファクターである。これらを分析することによって、①屋台そのものの活性化 ・改善・発展などの検討ができる。また、客の屋台に到着する前後の行動を明らかにする ことによって、②呉市内の商業施設、特に屋台以外の飲食店、の利用実態などの検討も可 能になる。 そこで、本章の目的は、赤ちょうちん通りの屋台に来る客の飲食行動・動態を明らかに することである。 これにより、赤ちょうちん通りの活性化、屋台以外の飲食店街の活性化、ひいては呉市 の地域活性化の基礎資料を得ることができる。赤ちょうちん通りの活性化を呉市の地域活 性化に繋げるためには、地域との関わり、客に対するサービス意識やリピーターの確保な どにおける技術や手法の分析がかかせない。 ②調査方法 ・調査方法:留置自記式アンケート調査(各屋台で配布回収) ・調査対象:各屋台に来る客(200∼300人) ・調査期間:2003年12月17日∼12月23日、12月27日 ・調査内容:屋台に来る客の飲食行動(家・職場・学校からでて、家に戻るまでの行動) を探るため以下の項目について、アンケート調査を実施する。 ・商圏(客の居住・職場・通学地域) ・客層(年齢・嗜好・利用時間など) ・客の移動ルート(飲食経路・交通手段) ・利用頻度 ・満足度(屋台・呉市内の飲食店)など - 33 - 3.2 利用者の属性と行動 3.2.1 利用者の年齢・性別 ①利用者の年齢構成 図3.1は屋台を利用している人達を「年齢」別にグラフにしてみた。1番多いのが、 「 20代 」の4割弱 。続いて「 30代」3割弱。 「 40代 」1割強 。 「 50代以上 」1割半。 「 10代 」 1割未満となっている 。「20代 」、「30代」を合わせると6割以上を占めている。 vc=9 10代 vc=112 20代 vc=80 30代 40代 vc=40 50代以上 vc=46 0% 20% 40% 60% 80% 100% (割合) 人数 図3.1 利用者の年齢 ②利用者の性別 図3.2は屋台を利用する人達を「性別」でわけてグラフにした 。「男性」が5割強で 「女性」が4割強となっている。 vc = 1 6 6 男 vc = 1 3 3 女 0% 20% 40% 60% 80% 100% (割 合 ) 人数 図3.2 利用者の性別 - 34 - ③年齢と性別 図3 .3は「 年齢と性別」を表したグラフである 。 「 10代 」は男性5割半・女性4割半 、 「20代」は男性4割半・女性5割半 、「30代」は男性6割半・女性3割半 、「40代」男性6 割半・女性3割半 、「50代以上」は男性6割・女性4割となっている。 10代 vc = 9 20代 vc = 1 1 2 30代 vc = 8 0 vc = 4 0 40代 vc = 4 6 50代 以 上 0% 20% 40% 60% 男 図3.3 3.2.1 80% 100% (割 合 ) 女 年齢と性別 利用者の同行者 図3.4は屋台を利用している人達に誰とくることが多いか聞いて見たところ「同僚・ 友人」が約5割半と多い。続いて「恋人」の約2割 、「家族」の1割強 、「一人」の約1 割 、「その他」となっている。 一人 vc = 2 9 恋人 vc = 5 9 同 僚 ・友 人 vc = 1 6 7 家族 vc = 4 1 その他 0% vc = 7 20% 40% 60% 80% 100% (割 合 ) 人数 図3.4 利用者の同行 - 35 - 3.2.3 利用者の屋台利用前後の行動 ①利用者の屋台利用前の行動 図3 .5は屋台を利用している人達に「 来る前に立ち寄った所 」別にグラフにした 。 「自 宅から直接」と答えた人が89人と1番多く割合として全体の約3割となっている。これに 続いて「呉中心部の飲食店によって」の約2割 。「勤務先から直接」の約1割半 。「遊び 帰り」の約1割半 。「その他の呉の飲食店によって」の約1割。「その他」の約0.5割 。「呉 中心部で買い物をして」の約0.3割 。「宿泊先から直接」の約0.2割 。「通学先か直接」と いった順番になっている。 vc=89 自 宅 か ら直 接 vc=49 勤 務 先 か ら直 接 vc=2 通 学 先 か ら直 接 vc=5 宿 泊 先 か ら直 接 vc=10 呉中心部で買い物して vc=55 呉 中 心 部 の 飲 食 店 によって vc=32 そ の 他 の 呉 の 飲 食 店 によって vc=43 遊 び 帰 りに vc=17 その他 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% (割 合 ) 人数 図3.5 屋台利用前の行動 ②利用者の屋台利用後の行動 図3.6は屋台を利用している人に「屋台を出た後立ち寄る所」を聞いて調査したとこ ろ、 「 自宅に直接帰宅 」と言うのが圧倒的に多く、全体の割合として6割半を占めている。 次に多かったのは 、「呉中心部の飲食店へ行く」で1割 。「その他」の0.8割。以下 、「そ の他の呉の飲食店へ行く」「遊びに行く 」「未定」といった順番になっている。 vc=189 自宅に直接帰宅 呉中心部の飲食店へ行く vc=33 その他の呉の飲食店へ行く vc=20 vc=17 遊びに行く vc=8 未定 vc=24 その他 0% 20% 40% 60% 80% 100% (割 合 ) 人数 図3.6 屋台利用後の行動 - 36 - 3.2.2 利用者の居住地と勤務地 ①利用者の居住地 図3.7は屋台に来ている人達を「居住地」別にグラフにしたところ「呉市」に住んで いる人は約5割 。「広島市」は約2割 。「それ以外」は約2割強となっている。 vc=143 呉市 vc=71 広島市 vc=79 それ以外 0% 20% 40% 60% 80% 100% (割合) 人数 図3.7 利用者の居住地 ②利用者の勤務地 図3.8は屋台を利用している人達を「勤務地」別でわけてみると 、「呉市」4割強。 「広島市」2割弱 。「それ以外」約2割となっている。 vc=133 呉市 vc=53 広島市 vc=60 それ以外 0% 20% 40% 60% 80% 100% (割合) 人数 図3.8 利用者の勤務地 - 37 - ③居住地と来る前 図3.9は「居住地と来る前」を表したグラフである。全体で「自宅から直接」が約3 割 、「勤務先から直接」が1割半 、「呉中心部の飲食店によって」が2割弱となっている。 「通学先から直接」や「宿泊先から直接」は「広島市」に居住する人がいないことがわか る。 「遊び帰りに」は「広島市」の居住者が約5割と多い 。「自宅から直接 」「勤務先から 直接」など直接来る割合が全体の半分を占めている。逆に 、「呉中心部で買い物をして」 のついでとなる項目は全体の1割未満と少ない。 よって、屋台の利用はそれ目的で来るといえる 。「遊び帰りに」をみると「広島市」の 居住者が多いことから、遊びの中に屋台の利用が組み込まれていることがわかる。 vc=142 呉市 vc=71 広島市 vc=78 それ以外 0% 20% 40% 60% 自宅から直接 通学先から直接 呉中心部で買い物して その他の呉の飲食店によって その他 図3.9 80% (割合) 勤務先から直接 宿泊先から直接 呉中心部の飲食店によって 遊び帰りに 居住地と来る前 - 38 - 100% ④居住地と来た後 図3.10は「居住地と来た後」を表したグラフである。全体の6割半の人が、屋台から 「自宅へ直接帰宅」と答えた 。「呉市の飲食店に行く」では半数の人が「呉市」に住んで いた。また「呉市の飲食店へ行く」と答えた人は、全体の2割にも満たない 。「遊びに行 く」では6割強の人が「広島市」に住んでいた 。「遊びに行く」では、広島から遊びに来 て屋台へ寄り、また帰る途中に遊んでいくと考えられる。場所としては「呉ポートピアパ ーク」などがあげられた。 vc=136 呉市 vc=67 広島市 vc=77 それ以外 0% 20% 40% 60% 80% 100% (人数) 自宅へ直接帰宅 その他の呉の飲食店へ行く 未定 図3.10 呉中心部の飲食店へ行く 遊びに行く その他 居住地と来た後 - 39 - ⑤勤務地と来る前 図3.11は「勤務地と来る前」を表したグラフである。全体で「自宅から直接」が約2 割強 、「勤務先から直接」が2割弱 、「呉中心部の飲食店によって」が2割となっている。 「通学先から直接」や「宿泊先から直接 」、「呉中心部で買い物をして」は「広島市」 に居住する人がいないことがわかる 。「遊び帰りに」は「広島市」の居住者が約5割と多 い 。「自宅から直接」は勤務先から一度家に帰ってから屋台へ来ることがわかる。 「呉市」が勤務先で「呉中心部の飲食店によって」や「その他の呉の飲食店によって」 からくる利用者多いことから屋台を2次会以降で利用していることがわかる。 勤務地が「広島市」の屋台利用者は「呉中心部の飲食店によって」や「その他の呉の飲 食店によって」の割合が低いことから、屋台が目的で来ていることがわかる。 「通学先から直接」の回答数が少ないことから、学生の利用が低いことがわかる。 vc=132 呉市 vc=53 広島市 vc=59 それ以外 0% 20% 40% 60% 80% 100% (割合) 自宅から直接 通学先から直接 呉中心部で買い物して その他の呉の飲食店によって その他 図3.11 勤務先から直接 宿泊先から直接 呉中心部の飲食店によって 遊び帰りに 勤務地と来る前 - 40 - ⑥勤務地と来た後 図3.12は「勤務地と来た後」を表したグラフである 。「自宅へ直接帰宅」は全体の6 割半を占めている 。「呉の飲食店へ行く」は全体の2割弱である。その中で「呉市」が約 6割を占めている 。「遊びに行く」は「広島市」が約6割を占めている。 勤務地が「呉市」の屋台利用者はどこへもよらずに自宅へ帰るか、呉の飲食店を利用す る。逆に、勤務地が「広島市」の屋台利用者は帰りに遊んでから帰ることがわかる。 vc=130 呉市 vc=49 広島市 vc=57 それ以外 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% (割合) 自宅へ直接帰宅 その他の呉の飲食店へ行く 未定 図2.12 呉中心部の飲食店へ行く 遊びに行く その他 勤務地と来た後 - 41 - 3.2.5 利用者の来た時間と利用理由 ①来た時間 図3.13は屋台を利用している人に屋台に来た時間を聞いてみたところ以下の結果がで た。1番多かったのが 、「20時∼21時」で約3割。次に「18時∼19時」の約2割。続いて 「 19時∼20時」1割半 。 「 21時∼22時 」は1割半。 「 22時∼23時」は約1割 。 「 23時∼0時」 は1割未満 。「0時∼1時」は1割未満となっている。 vc=58 18時 ∼ 19時 vc=51 19時 ∼ 20時 vc=88 20時 ∼ 21時 vc=42 21時 ∼ 22時 vc=28 22時 ∼ 23時 vc=21 23時 ∼ 0時 vc=13 0時 ∼ 1時 0% 20% 40% 60% 80% 100% (割 合 ) 人数 図3.13 利用者の来た時間 ②利用者の屋台利用理由 図3.14は屋台を利用している人に「屋台の利用理由」についてアンケートしたところ 次の結果がでた 。理由として1番多かったのは 、 「 飲み会・1次会 」の約4割 。続いて「 2 次会以降」の約2割 。「マスメディアの情報」の枠1割半 。「偶然 」、約1割 。「買い物つ いで」の約0.5割 。「その他」の0.5割という順になっている。 vc = 1 2 5 飲 み 会 ・1次 会 vc = 5 8 2次 会 以 降 vc = 2 0 買い物ついで vc = 3 2 偶然 vc = 4 4 マ ス メディアの 情 報 vc = 1 9 その他 0% 20% 40% 60% 80% 100% (割 合 ) 人数 図3.14 利用者の屋台利用理由 - 42 - ③来た時間と利用理由 図3.15は「来た時間と利用理由」を表したグラフである 。「飲み会・1次会」は「20 時∼21時」で3割である 。「2次会以降」は「20時∼21時」と「21時∼22時」で5割半を しめている 。「買い物ついで」は「20時∼21時」が4割強である 。「偶然」は「18時∼19 時」で5割弱である 。「マスメディアの情報」は「19時∼20時」と「20時∼21時」で7割 半を占めている 。 「 18時∼20時」では「 飲み会・1次会」の利用と「 マスメディアの情報 」 を参考に来ている利用客が多いことがわかった 。「21時∼0時」にかけては2次会利用者 が徐々に増えてくる。また、屋台を見つけた、たまたま開いていたなど「偶然」と答える 人が多いこともわかった。 18時 ∼ 19時 vc = 5 7 19時 ∼ 20時 vc = 5 1 20時 ∼ 21時 vc = 8 6 21時 ∼ 22時 vc = 4 0 22時 ∼ 23時 vc = 2 8 23時 ∼ 0時 vc = 2 1 0時 ∼ 1時 vc = 1 2 0% 飲 み 会 ・1次 会 20% 2次 会 以 降 40% 買い物ついで 図3.15 60% 偶然 80% 100% マ ス メデ ィア の 情 報 (割 合 ) その他 来た時間と利用理由 ④来た時間と来る前 図2.16は「来た時間と来る前」を表したグラフである 。「自宅から直接」は「18時∼1 9時」が4割強と最も高く、「22時∼23時」では1割強と最も低い。逆に 、「呉中心部の飲食 店によって」は「22時∼23時」が5割強と最も高く、「18時∼19時」では0.5割と最も低い。 「遊び帰りに」では「19時∼20時」「21時∼22時」「22時∼23時」に集中しているのがわかる。 18時 ∼ 19時 vc = 5 8 19時 ∼ 20時 vc = 5 1 20時 ∼ 21時 vc = 8 8 21時 ∼ 22時 vc = 4 1 22時 ∼ 23時 vc = 2 7 23時 ∼ 0 時 vc = 2 1 0時∼1時 vc = 1 3 0% 20% 自宅から直接 宿泊先から直接 その 他 の 呉 の 飲 食 店 によっ て 40% 60% 勤務先から直接 呉 中 心 部 で 買 い物 して 遊び 帰りに 図3.16 来た時間と来る前 - 43 - 80% 100% (割 合 ) 通学先から直接 呉 中 心 部 の 飲 食 店 によっ て その他 ⑤来た時間と来た後 図3.17は「来た時間と来た後」を表したグラフである。「18時∼19時」では4割 、「0 時∼1時」では9割の利用者が「自宅へ直接帰宅」と答えた。「18時∼19時」では「呉中心 部の飲食店へ行く」と答えた人は2割半いた。「18時 ∼19時」では1割半の利用者が「遊びに行く」と答え、次いで「19時∼20時」で約0.5割であ る。全体の6割半がどこへもよらずに直接自宅へ帰ると答えた。また、「18時∼21時」に屋 台を利用する人は屋台を出た後、違う飲食店に行くこともわかった。 18時∼19時 vc=56 19時∼20時 vc=47 20時∼21時 vc=86 21時∼22時 vc=40 22時∼23時 vc=27 23時∼0時 vc=20 0時∼1時 vc=12 0% 20% 40% 60% 80% 100% 自宅へ直接帰宅 呉中心部の飲食店へ行く その他の呉の飲食店へ行く 遊びに行く 未定 その他 図3.17 来た時間と来た後 - 44 - (割合) 3.2.6 利用者の交通手段 ①交通手段 図3.18は屋台を利用している人に屋台に来る交通手段を聞いてみたところ1番多かっ たのは 、「自家用車」5割弱。2番目に多かったのは「徒歩」の約3割。続いて「電車」 の約1割 。「自転車」と「タクシー」の約0.5割となっている。 vc = 9 0 徒歩 vc = 1 8 自転車 vc = 1 3 8 自家用車 vc = 9 バス vc = 1 8 タク シー vc = 2 7 電車 vc = 2 その他 0% 20% 40% 60% 80% 100% (割 合 ) 人数 図3.18 利用者の交通手段 ②居住地と交通手段 図3.19は「居住地と交通手段」を表したグラフである。全体の4割半が「自家用車」 を利用している。内訳は「呉市」「広島市 」「それ以外」がそれぞれ3割ずつ占めている。 次いで多いのが「 徒歩 」で全体の約3割である 。そのうち「 呉市」が約7割を占めている 。 「電車」の利用者は「呉市」が4割弱 、「広島市」が2割強となっている 。「バス」利用 者の中に「広島市」はいなかった。 vc=142 呉市 vc=71 広島市 vc=78 それ以外 0% 徒歩 20% 自転車 40% 60% 自家用車 図3.19 バス 80% タクシー 居住地と交通手段 - 45 - 電車 100% その他 (割合) ③勤務地と交通手段 図3.20は「勤務地と交通手段」を表したグラフである。屋台利用者の4割半が「自家 用車」を利用している。そのうち 、「呉市 」「広島市 」「それ以外」がそれぞれ3割ずつ占 めている。次いで多いのが「徒歩」で3割である 。「電車」の利用者は「呉市」が3割、 「広島市」が4割となっている。 「バス」や「電車」などの公共交通機関の利用が少ないことがわかる。また、公共交通 機関を使った場合は、屋台まで「徒歩」で来ていることがわかる。 vc=132 呉市 vc=53 広島市 vc=59 それ以外 0% 20% 徒歩 40% 自転車 60% 自家用車 図3.20 バス 80% タクシー 勤務地と交通手段 - 46 - 100% 電車 (割 合 ) ④来る前と交通手段 図3.21は「来る前と交通手段」を表したグラフである 。「徒歩」と「自家用車」の割 合が7割半を占めている 。「徒歩」のなかで「呉中心部の飲食店によって」の割合が4割 弱を占めている 。「遊び帰りに」は「自家用車」で 2割半 、「 電車 」で2割弱とほかの項目と比べて割合が高い 。「 徒歩 」「 バス」「 タクシー」 「電車」では比較的呉の飲食店や呉市での買い物をする人が多い 。「自家用車」は呉の飲 食店や呉市で買い物をしてからくるよりも直接来る割合が多い。これは「自家用車」の利 用者が屋台を目的で来ているということがわかる。 vc=89 自宅から直接 勤務先から直接 vc=48 通学先から直接 vc=2 vc=5 宿泊先から直接 vc=10 vc=55 呉中心部で買い物して 呉中心部の飲食店によって その他の呉の飲食店によって vc=32 遊び帰りに vc=43 vc=16 その他 0% 20% 40% 60% 80% 100% (割合) 徒歩 自転車 自家用車 バス タクシー 電車 その他 図3.21 来る前と交通手段 - 47 - ⑤来た後と交通手段 図3.22は「来た後と交通手段」を表したグラフである 。「徒歩」の8割弱が「自宅へ 直接帰宅」と答えた 。「自家用車」の1割が「遊びに行く」と答えた 。「バス」の2割強 が「その他の呉の飲食店へ行く」と答えた 。「タクシー」の約半数が「呉市の飲食店へ行 く」と答えた。屋台利用者の大半は、屋台利用後どのような交通手段でも「自宅へ直接帰 る」ということがわかった 。「遊びに行く」となると 、「自家用車」の利用の割合が最も 高いこともわかった。逆に、公共交通機関の「バス」や「電車」を利用する場合は遊びに 行く割合が低くなることもわかった。 vc=189 自宅へ直接帰宅 vc=32 呉中心部の飲食店へ行く vc=20 その他の呉の飲食店へ行く vc=17 遊びに行く 未定 vc=7 その他 vc=24 0% 20% 40% 60% 80% 100% (割合) 徒歩 自転車 自家用車 バス 図3.22 タクシー 来た後と交通手段 - 48 - 電車 その他 3.3 屋台の利用状況 3.3.1 利用者の屋台利用有無 図3.23は屋台を利用している人に、「屋台は初めてか」と聞いて調査したところ、「初 めて」と答えたのは全体の3割強を占めている。残りの6割強は 、「以前にも来たことが ある」と答えている。 vc = 1 0 0 初めて vc = 2 0 2 以 前 来 た ことが あ る 0% 20% 40% 60% 80% 100% (割 合 ) 人数 図3.23 3.3.2 利用者の屋台利用有無 利用者の屋台滞在時間 ①屋台滞在時間 図3 .24は屋台を利用している人に屋台にどのくらい滞在するかを聞いてみたところ「 1 時間∼2時間」と言うのが最も多く約3割。その次は「3時間∼4時間」の1割強 。「2 時間∼3時間」の約1割となっている。 1時 間 以 下 vc=19 1時 間 ∼ 2時 間 vc=97 vc=35 2時 間 ∼ 3時 間 3時 間 ∼ 4時 間 vc=41 4時 間 ∼ 5時 間 vc=8 vc=14 5時 間 以 上 vc=6 その他 0% 20% 40% 60% 80% 人数 図3.24 利用者の屋台滞在時間 - 49 - 100% (割 合 ) ②利用者の使う金額 図3.25はグラフを見るとわかるように、1回の屋台利用で使うお金は「3000円以下」 と答えた人は4割弱となっている。続いて「3000円∼5000円以下」と答えた人が1割半、 以下 、「5000円以上 」「その他」となっている。 vc = 1 1 4 3000円 以 下 vc = 4 5 3000円 ∼ 5000円 vc = 1 1 5000円 以 上 vc = 8 その他 0% 20% 40% 60% 80% 100% (割 合 ) 人数 図3.25 利用者の使う金額 ③使う金額と屋台滞在時間 図3.26は「使う金額と滞在時間」を表したグラフである。有効回答数の64%の利用者 が一回に使うお金は「3000円以下 」であると答えた 。滞在時間でみると「 1時間∼2時間 」 の割合が高い 。「3000円∼5000円」になると2時間以上の割合が高い。「5000円以上」の 場合は「2時間以下」は約2割になる 。「滞在時間」と「一回に使うお金」は比例の関係 であるが、「3000円以下」で「3時間以上」や「5時間以上」などは常連や店主と知人と いった関係で比例ではない場合もある。 vc = 1 1 3 3000円 以 下 vc = 4 5 3000円 ∼ 5000円 vc = 1 1 5000円 以 上 その他 0% 1時 間 以 下 4時 間 ∼ 5時 間 vc = 7 20% 40% 1時 間 ∼ 2時 間 5時 間 以 上 図3.26 60% 80% 2時 間 ∼ 3時 間 その他 使う金額と屋台滞在時間 - 50 - 100% (割 合 ) 3時 間 ∼ 4時 間 3.3.3 利用者の屋台利用頻度 図3.27は屋台を利用している人達に「月にどの程度利用するか」聞いて調査した結果 「1∼4回」が約3割と1番多かった 。「4∼8回」と「9回以上」とともに約1割とな っている。 vc=86 1∼4回 vc=28 4∼8回 vc=28 9回以上 vc=29 その他 0% 20% 40% 60% 80% 100% (割合) 人数 図3.27 利用者の屋台利用頻度 - 51 - 3.4 屋台・呉市内の飲食店の満足度 3.4.1 屋台の数 ①屋台の数の満足度 図3.28は「屋台の数の満足度」を表したグラフである。6割以上の過半数を超える人 々が屋台の数に満足をしている。また、非常に不満と答えた人が1割にも達しておらず屋 台の数については満足度が高いといえる。 vc=60 非常に満足 vc=120 やや満足 vc=94 やや不満 vc=10 非常に不満 0% 20% 40% 60% 80% 人数 図3.28 屋台の数の満足度 - 52 - 100% ②初めてと屋台の数の満足度 図3.29は「初めてと屋台の数の満足度」を表したグラフである。6割以上の回答者は 現在の屋台の数に満足している。また、初めて屋台を利用するアンケート回答者の6割弱 の人々も同様に現在の屋台の数に満足している。 反対に、初めて屋台を利用するアンケ ート回答者の4割と複数回屋台を利用しているアンケート回答者の内3割強の人々は現在 の屋台の数に満足していない。 以上のことをふまえると、6割以上の屋台利用者は屋台の数に満足している。しかし、 初めて屋台を利用するアンケート回答者は、複数回屋台を利用しているアンケート回答者 と比較して屋台の数に満足をしていない。これは、マスメディア等の報道や知人等からの 口コミなどを元にして、人々が過剰に屋台の数を想像している事が原因の一つとして考え られる。また、調査期間中15軒全ての屋台が出店していることがなく、出店していない屋 台の分だけ屋台の数が少なく感じられたのも原因の一つであると考えられる。 vc=188 初めて vc=376 以前来たことがある 0% 20% 非常に満足 図3.29 40% 60% やや満足 80% やや不満 初めてと屋台の数の満足度 - 53 - 100% (割合) 非常に不満 ③利用理由と屋台の数の満足度 図3.30は「利用理由と屋台の数の満足度」を表したグラフである。全ての項目におい て屋台利用を主な目的として来店しているケースが非常に多い。その他の目的ついでに屋 台に来店しているアンケート回答者は少数にとどまっている。このことから、大多数のア ンケート回答者は屋台に行く事を主な目的として来店している事が分かる。また、屋台利 用を主な目的として来店しているアンケート回答者と、その他の目的ついでに屋台を利用 しているアンケート回答者の屋台数の満足度を比較すると、屋台利用を主な目的としてい るアンケート回答者の3割強、その他の目的ついでに屋台を利用しているアンケート回答 者の5割弱の人々は現在の屋台の数に満足していない。 以上のことを踏まえると、屋台利用を主な目的として来店しているアンケート回答者は、 『どの店に行くか 』、『何を食べるか』といったこと等を事前に考えている可能性がある ため、屋台通りに着いてからスムーズに屋台の選択ができる、と考えられる。反対に、そ の他の目的ついでに屋台を利用したアンケート回答者は偶発的に屋台利用をしていると考 えられるため、事前に『どの店に行くか 』、『何を食べるか』といったこと等を考えてい ない可能性があるのでスムーズに屋台選択ができず、屋台の数に不満を持つと考えられる。 vc=60 非常に満足 vc=116 やや満足 vc=92 やや不満 vc=10 非常に不満 0% 20% 飲み会・1次会 偶然 図3.30 40% 60% 2次会以降 マスメディアの情報 80% 買い物ついで その他 利用理由と屋台の数の満足度 - 54 - 100% (割合) ④利用時間と屋台の数の満足度 図3.31は「利用時間と屋台の数の満足度」を表したグラフである。屋台利用時間が22 時以前のアンケート回答者と屋台利用時間が22時以降のアンケート回答者を比較してみる と、22時以前の屋台利用者の6割強の人々と22時以降の屋台利用者の7割強の人々が屋台 の数に満足している。反対に屋台利用時間が22時以前のアンケート回答者4割弱と、屋台 利用時間が22時以降のアンケート回答者の3割弱が屋台の数に不満を持っている。以上の ことをふまえると 、22時以前という比較的早い時間に屋台を利用するアンケート回答者は、 飲み会・1次会等に屋台を利用していると考えられる。逆に、22時以降という比較的遅い 時間に屋台を利用するアンケート回答者は2次会等に屋台を利用していると考えられる。 2次会といった飲食がメインでないものは、店の雰囲気や店主とのコミュニケーション等 といった、その店独自の特色によって選ばれる場合がある。そのため、利用者のニーズに 合った店が選ばれるので、屋台の数は関係ないのだと考えられる。 vc=119 飲み会・1次会 vc=51 2次会以降 vc=17 買い物ついで vc=31 偶然 vc=41 マスメディアの情報 vc=19 その他 0% 20% 40% 非常に満足 図3.31 やや満足 60% 80% やや不満 利用時間と屋台の数の満足度 - 55 - 100% 非常に不満 (割合) 3.4.2 屋台の種類 ①屋台の種類の満足度 図3.32は「屋台の種類の満足度」を表したグラフである。アンケート回答者の7割強 といった比較的多い人々が屋台の種類について満足をしている。 vc = 6 3 非常に満足 vc = 1 4 8 やや満足 vc = 6 8 やや不満 vc = 6 非常に不満 0% 20% 40% 60% 80% 100% 人数 図3.32 屋台の種類の満足度 ②初めてと屋台の種類の満足度 図3.33は「初めてと屋台の種類の満足度」を表したグラフである。全体で考えてみる と、アンケート回答者の7割強が屋台の種類について満足をしている。また、初めて屋台 を利用するアンケート回答者の7割弱、複数回屋台を利用しているアンケート回答者の8 割強が満足をしている。 以上のことを踏まえて考えてみると、満 足度の割合が比較的高い複数回屋台を利用し ているアンケート回答者は、以前に屋台を利用しているため、屋台通りの大まかな概要が 把握できているのだと考えられる。そして常連の利用者も多く、いつも同じ屋台を利用し ているので屋台の種類などに不満を持たないのだと考えられる。 vc=94 初 めて vc=189 以 前 来 た こ とが あ る 0% 20% 40% 60% 80% 100% (割 合 ) 非常に満足 図3.33 やや満足 やや不満 非常に不満 初めてと屋台の種類の満足度 - 56 - ③利用理由と屋台の種類の満足度 図3.34は「利用理由と屋台の種類の満足度」を表したグラフである。のアンケート結 果も全ての項目において、屋台の種類に満足をしている割合が過半数を超えている。割合 としては、7割を越える高い水準で満足をしている。 vc = 1 2 0 飲 み 会 ・1次 会 2次 会 以 降 vc = 5 1 買い物ついで vc = 1 7 vc = 3 1 偶然 マ ス メディアの 情 報 vc = 4 1 その他 vc = 1 9 0% 20% 非常に満足 図3.34 40% やや満足 60% やや不満 80% 100% (割 合 ) 非常に不満 利用理由と屋台の種類の満足度 ④利用時間と屋台の種類の満足度 図3.35は「利用時間と屋台の種類の満足度」を表したグラフである。全体で見てみる と、アンケート回答者の7割強の人々が屋台の種類に満足をしている。このように、比較 的高い水準で屋台の種類に満足をしている。そして比較的遅い時間帯に屋台を利用してい るアンケート回答者の方が、早い時間帯に屋台を利用しているアンケート回答者よりも屋 台の種類についての満足度が高くなる。 以上のこと踏まえて考えてみると、遅い時間帯になればなる程、複数回屋台を利用した ことのある人(常連)が増えるのだと考えられる。これは 、「初めてと満足度 屋台の種 類」の所でも述べたように、複数回屋台を利用したことのある人(常連)の方が、屋台の 種類についての満足度が高いからである。 18時 ∼ 19時 vc = 5 7 19時 ∼ 20時 vc = 4 9 vc = 8 3 20時 ∼ 21時 vc = 4 1 21時 ∼ 22時 vc = 2 3 22時 ∼ 23時 23時 ∼ 0時 vc = 1 8 0時 ∼ 1時 vc = 1 2 0% 20% 非常に満足 図3.35 40% やや満足 60% やや不満 80% 非常に不満 利用時間と屋台の種類の満足度 - 57 - 100% (割 合 ) 3.4.3 屋台の場所 ①屋台の場所の満足度 図3.36は「屋台の場所の満足度」を表したグラフである。アンケート回答者の7割以 上といった多くの人々が屋台の場所について満足をしている。また、非常に不満と感じて いるアンケート回答者は一人もいなかった。 vc=63 非常に満足 vc=148 やや満足 vc=68 やや不満 0% 20% 40% 60% 80% 100% 人数 図3.36 屋台の場所の満足度 ②初めてと屋台の場所の満足度 図3.37は「初めてと屋台の場所の満足度」を表したグラフである。このアンケートに ついては非常に不満であると答えたアンケート回答者は一人もいなかった。そのような結 果を反映してか、アンケート回答者283人中262人(約93%)といった非常に高い割合で屋 台の場所に満足をしている。屋台通りは呉中心部に位置しており、歓楽街や商店街、オフ ィス街からも近く利用しやすい位置に屋台通りが存在しているからであると考えられる。 vc=95 初 めて vc=188 以 前 来 た ことが あ る 0% 20% 40% 60% 80% 100% (割 合 ) 非常に満足 図3.37 やや満足 やや不満 初めてと屋台の場所の満足度 - 58 - ③利用理由と屋台の場所の満足度 図3.38は「利用理由と屋台の場所の満足度」を表したグラフである。この項目のアン ケート結果でも非常に不満と答えた人はいなかった。そして 、屋台の利用理由に関係なく、 全ての項目で満足と感じているアンケート回答者が圧倒的に多い。割合としては9割以上 といった非常に高い水準である。 vc=120 飲み会・1次会 2次会以降 vc=51 買い物ついで vc=17 偶然 vc=31 マスメディアの情報 vc=41 その他 vc=19 0% 20% 非常に満足 図3.38 40% 60% やや満足 80% 100% (割合) やや不満 利用理由と屋台の場所の満足度 ④利用時間と屋台の場所の満足度 図3.39は「利用時間と屋台の場所の満足度」を表したグラフである。この項目のアン ケート結果でも、屋台の場所が非常に不満であると答えた屋台の利用者は一人もいなかっ た。そして、屋台の場所が満足である、と答えたアンケート回答者の割合も9割以上とい った高水準である。 vc=57 18時∼19時 19時∼20時 vc=49 20時∼21時 vc=83 vc=41 21時∼22時 22時∼23時 vc=23 23時∼0時 vc=18 0時∼1時 vc=12 0% 20% 40% 非常に満足 図3.39 60% やや満足 80% やや不満 利用時間と屋台の場所の満足度 - 59 - 100% (割合) 3.4.4 屋台通りの雰囲気 ①屋台通りの雰囲気の満足度 図3.40は「屋台通りの雰囲気の満足度」を表したグラフである。アンケート回答者の 9割以上といった非常に多くの人々が屋台通りの雰囲気について満足をしている。また、 屋台の場所の所と同じく、非常に不満と感じているアンケート回答者は一人もおらず、満 足度が高い事がわかる。 vc = 1 4 5 非常に満足 vc = 1 2 9 やや満足 vc = 1 1 やや不満 0% 20% 40% 60% 80% 100% 人数 図3.40 屋台通りの雰囲気の満足度 ②初めてと屋台通りの雰囲気の満足度 図3.41は「初めてと屋台通りの雰囲気の満足度」を表したグラフである。このアンケ ート結果を見ると、屋台通りの雰囲気が非常に不満であると答えたアンケート回答者が一 人もいない。そして、アンケート回答者の9割以上といった非常に多くの人が屋台通りの 雰囲気に満足をしている。これは屋台通りのすぐ側には公園(緑地帯)が道に沿って整備 されている上、川も流れているためであると考えられる。さらに屋台通りの近くには歓楽 街もあるため、それら施設の独特の雰囲気と相まって雰囲気が良くなるとも考えられる。 vc=95 初めて vc=188 以前来たことがある 0% 20% 40% 60% 80% 100% (割合) 非常に満足 図3.41 やや満足 やや不満 初めてと屋台通りの雰囲気の満足度 - 60 - ③利用理由と屋台通りの雰囲気の満足度 図3.42は「利用理由と屋台通りの雰囲気の満足度」を表したグラフである。この項目 についても屋台通りの雰囲気について、非常に不満であると答えたアンケート回答者は一 人もいなかった。全体を見ても、9割以上のアンケート回答者が屋台通りの雰囲気につい て満足をしている。また、最も屋台通りの雰囲気に満足しているのは「飲み会・1次会」 での利用者で10割弱という非常に高い割合で満足をしている。 vc=120 飲み会・1次会 2次会以降 vc=51 買い物ついで vc=17 偶然 vc=31 マスメディアの情報 vc=41 その他 vc=19 0% 20% 40% 非常に満足 図3.42 60% やや満足 80% 100% (割合) やや不満 利用理由と屋台通りの雰囲気の満足度 ④利用時間と屋台通りの雰囲気の満足度 図3.43は「利用時間と屋台通りの雰囲気の満足度」を表したグラフである。このアン ケート項目も非常に不満であると答えたアンケート回答者が一人もいなかった。また、全 ての時間帯の利用者の大多数が屋台通りの雰囲気に満足していた。割合としては、アンケ ート回答者の9割以上といった高い水準であった。 vc = 5 7 18時 ∼19時 19時 ∼20時 vc = 5 0 20時 ∼21時 vc = 8 2 vc = 4 1 21時 ∼22時 vc = 2 3 22時 ∼23時 vc = 1 8 2 3 時 ∼ 0時 vc = 1 2 0時 ∼ 1時 0% 20% 非常に満足 図3.43 40% 60% やや満足 80% 100% やや不満 利用時間と屋台通りの雰囲気の満足度 - 61 - (割 合 ) 3.4.5 トイレ ①トイレの満足度 図3.44は「トイレの満足度」を表したグラフである。アンケート回答者271人中146人 (54%)の人々がトイレについて満足をしている。トイレについて不満を持っているアン ケート回答者とほぼ同数となった。 vc = 3 6 非常に満足 vc = 1 1 0 やや満足 vc = 9 5 やや不満 vc = 3 0 非常に不満 0% 20% 40% 60% 80% 100% 人数 図3.44 トイレの満足度 ②初めてとトイレの満足度 図3.45は「初めてとトイレの満足度」を表したグラフである。全体について見てみる と、トイレが満足であると答えたアンケート回答者は5割強であり約半数である。全体の 約半数弱がトイレについて満足をしていないといえる。そして、初めて屋台を利用するア ンケート回答者と複数回屋台を利用し ているアンケート回答者を比較してみると、初めて屋台を利用するアンケート回答者の約 6割がトイレについて満足している。また、複数回屋台を利用しているアンケート回答 者は、5割強の割合でトイレが満足と感じている。屋台通りにあるトイレは屋台からすぐ 近くの場所にあり、利用しやすい環境にある。トイレの設置場所に特に問題はないが、半 数弱の利用者がトイレについて不満を持っている。これから考えられることは、トイレの 清潔さに問題があると言える。 vc = 8 6 初 めて vc = 1 8 3 以 前 来 た ことが あ る 0% 20% 40% 60% 80% 100% (割 合 ) 非常に満足 やや満足 図3.45 やや不満 非常に不満 初めてとトイレの満足度 - 62 - ③利用理由とトイレの満足度 図3.46は「利用理由とトイレの満足度」を表したグラフである。この項目の全体を見 てみると 、アンケート回答者の5割強の人々がトイレについて満足と感じている。しかし、 「飲み会・1次会」で屋台を利用しているアンケート回答者の6割弱といった過半数を超 える人々がトイレについて不満を持っている。 vc=115 vc=51 飲み会・1次会 2次会以降 vc=16 買い物ついで 偶然 vc=30 マスメディアの情報 vc=39 その他 vc=16 0% 20% 非常に満足 図3.46 40% やや満足 60% やや不満 80% 100% (割合) 非常に不満 利用理由とトイレの満足度 ④利用時間とトイレの満足度 図3.47は「利用時間とトイレの満足度」を表したグラフである。全ての時間を総合的 に見てみると、アンケート回答者の5割強がトイレについて満足をしている。しかし22時 ∼0時の間に屋台を利用しているアンケート回答者の6割弱の人々がトイレについて不満 を持っている。この時間帯では、トイレについて不満を持っているアンケート回答者が過 半数を超えている。 vc=55 18時∼19時 vc=45 19時∼20時 20時∼21時 vc=80 21時∼22時 vc=38 22時∼23時 vc=23 23時∼0時 vc=17 vc=12 0時∼1時 0% 20% 非常に満足 図3.47 40% やや満足 60% やや不満 80% 非常に不満 利用時間とトイレの満足度 - 63 - 100% (割合) 3.4.6 治安 ①治安の満足度 図3.48は「治安の満足度」を表したグラフである。アンケート回答者の6割以上の人 々が屋台通り周辺の治安について満足をしており、比較的多くの人が安心して屋台を利用 している。 vc = 6 7 非常に満足 vc = 1 5 0 やや満足 vc = 5 2 やや不満 vc = 9 非常に不満 0% 20% 40% 60% 80% 100% 人数 図3.48 治安の満足度 ②初めてと治安の満足度 図3.49は「初めてと治安の満足度」を表したグラフである。全体でみると、アンケー ト回答者の8割弱の人々が治安について満足している。初めて屋台を利用するアンケート 回答者の8割強、複数回屋台を利用したことのあるアンケート回答者8割弱の人々が治安 について満足をしている。どちらも高い割合で治安について満足をしている。これは、屋 台通りが歓楽街の近くにあるので、夜が遅くなっても人通りがある。そのことが人々の安 心感と結びついている、と考えられる。 vc=89 初めて vc=187 以前来たことがある 0% 非常に満足 20% 40% やや満足 図3.49 60% やや不満 80% 非常に不満 初めてと治安の満足度 - 64 - 100% (割合) ③利用理由と治安の満足度 図3.50は「利用理由と治安の満足度」を表したグラフである。全体で見てみると、ア ンケート回答者の8割弱の人々が治安について満足をしている。また、全ての屋台の利用 理由で治安について満足であると答えたアンケート回答者が大多数を占めた。 vc=117 飲み会・1次会 vc=51 2次会以降 vc=17 買い物ついで vc=31 偶然 vc=38 マスメディアの情報 vc=18 その他 0% 20% 非常に満足 40% やや満足 図3.50 60% やや不満 80% 100% (割合) 非常に不満 利用理由と治安の満足度 ④利用時間と治安の満足度 図3.51は「利用時間と治安の満足度」を表したグラフである。全体で見てみると、ア ンケート回答者の8割弱の人々が治安について満足をしている。また、全てのそれぞれの 時間帯で、治安について不満であると感じているアンケート回答者の割合が過半数を超え ることはなかった。 vc=56 18時∼19時 19時∼20時 vc=46 20時∼21時 vc=84 21時∼22時 vc=39 22時∼23時 vc=22 23時∼0時 vc=17 0時∼1時 vc=12 0% 20% 非常に満足 40% やや満足 図3.51 60% やや不満 80% 非常に不満 利用時間と治安の満足度 - 65 - 100% (割合) 3.4.7 周辺環境の雰囲気 ①周辺環境の雰囲気の満足度 図3.52は「周辺環境の雰囲気の満足度」を表したグラフである。アンケート回答者の 9割弱の非常に多くの人が屋台の周辺環境について満足している。 vc = 1 1 7 非常に満足 vc = 1 3 8 やや満足 vc = 2 8 やや不満 vc = 4 非常に不満 0% 20% 40% 60% 80% 100% 人数 図3.52 周辺環境の雰囲気の満足度 ②初めてと周辺環境の雰囲気の満足度 図3.53は「初めてと周辺環境の雰囲気の満足度」を表したグラフである。アンケート 回答者の9割弱といった大多数の人々が周辺環境の雰囲気について満足している。初めて 屋台を利用したアンケート回答者と複数回屋台を利用したことのあるアンケート回答者を 比較してみると、初めて屋台を利用した回答者の9割以上の人々が周辺環境について満足 している。また、複数回屋台を利用したことのある回答者は9割弱の割合で周辺環境につ いて満足している。どちらも高い水準で周辺環境の雰囲気について満足している。しかし 若干の差で、初めて屋台を利用した回答者の方が、複数回屋台を利用したことのある回答 者と比べて、周辺環境の雰囲気についての満足度が高い。 vc=96 初めて vc=189 以前来たことがある 0% 20% 40% 60% 80% 100% (割合) 非常に満足 図3.53 やや満足 やや不満 非常に不満 初めてと周辺環境の雰囲気の満足度 - 66 - ③利用理由と周辺環境の雰囲気の満足度 図3.54は「利用理由と周辺環境の雰囲気の満足度」を表したグラフである。全体で見 てみると 、アンケート回答者の9割弱の人々が周辺環境に満足をしている 。利用理由が「 2 次回以降 」、「買い物ついで 」、「マスメディアの情報」と答えたアンケート回答者で非常 に不満であると答えた人 は一人もいなかった。全体で見ても 、「非常に不満」と回答した人は非常に少なく0割に 近い。このことから周辺環境についてはかなりの人々が満足をしているといえる。 vc = 1 2 0 飲 み 会 ・1 次 会 vc = 5 2 2次会以降 vc = 1 7 買 い物 ついで vc = 3 1 偶然 vc = 4 2 マ ス メデ ィア の 情 報 vc = 1 9 その他 0% 20% 非常に満足 図3.54 40% やや満足 60% やや不満 80% 100% (割 合 ) 非常に不満 利用理由と周辺環境の雰囲気の満足度 ④利用時間と周辺環境の雰囲気の満足度 図3.55は「利用時間と周辺環境の雰囲気の満足度」を表したグラフである。全体を見 てみると 、アンケート回答者の9割弱といった高い水準で周辺環境について満足している。 その中でも特に、18時∼19時という早い時間に屋台を利用している人々の満足度が高い。 18時∼19時代のアンケート回答者9割以上といった高い水準で周辺環境の雰囲気について 満足している。遅い時間に屋台を利用しているアンケート回答者についても同じ事が言え るが、18時∼19時の時ほど満足度は高い水準ではない。 18時 ∼ 19時 vc = 5 8 19時 ∼ 20時 vc = 4 9 20時 ∼ 21時 vc = 8 4 vc = 4 1 21時 ∼ 22時 vc = 2 3 22時 ∼ 23時 vc = 1 8 23時 ∼ 0時 vc = 1 2 0時 ∼ 1時 0% 20% 非常に満足 図3.55 40% やや満足 60% やや不満 80% 100% 非常に不満 利用時間と周辺環境の雰囲気の満足度 - 67 - (割 合 ) 3.4.8 駐車場・駐輪場 ①駐車場・駐輪場の満足度 図3.56は「駐車場・駐輪場の満足度」を表したグラフである。アンケート回答者の5 割強の人々が駐車場・駐輪場について満足をしている。しかし、半数近い残り5割弱の人 々は駐車場・駐輪場について不満を持っている。 vc = 5 5 非 常 に 満 足 vc = 8 3 や や 満 足 vc = 8 4 や や 不 満 vc = 4 6 非 常 に 不 満 0% 20% 40% 60% 80% 100% 人 数 図3.56 駐車場・駐輪場の満足度 ②初めてと駐車場・駐輪場の満足度 図3.57は「初めてと駐車場・駐輪場の満足度」を表したグラフである。全体で見てみ ると 、アンケート回答者の5割強の人々が駐車場・駐輪場に満足をしている 。逆に言うと、 約半数弱の人々が駐車場・駐輪場に不満を持っている。初めて屋台を利用する回答者と複 数回屋台を利用したことのある回答者を比較してみると、初めて屋台を利用した回答者の 5割強の人々が駐車場・駐輪場に満足をしている。また、複数回屋台を利用したことのあ る回答者の5割弱の人々が駐車場・駐輪場に満足をしており、初めて屋台を利用した回答 者よりも若干、駐車場・駐輪場についての満足度が下がる。 以上より、約半数のアンケート回答者が駐車場・駐輪場について満足をしていない。屋 台通り周辺にはコインパーキングや立体駐車場があるが駐輪場は整備されていなかった。 また駐車場に関しても、屋台通りの近くにある立体駐車場は規格が古く、車道などが大変 狭く非常に利用しにくい。またコインパーキングにおいても利用台数が限られるため、半 数近くの利用者が駐車場・駐輪場に不満を持つのだと考えられる。 vc = 8 2 初 め て vc = 1 8 4 以 前 来 た ことが あ る 0% 20% 40% 60% 80% 100% (割 合 ) 非 常 に 満 足 図3.57 や や 満 足 や や 不 満 非 常 に 不 満 初めてと駐車場・駐輪場の満足度 - 68 - ③利用理由と駐車場・駐輪場の満足度 図3.58は「利用理由と駐車場・駐輪場の満足度」を表したグラフである。全体で見て みると、アンケート回答者の5割強の人々が駐車場・駐輪場について満足をしている。し かし「買い物ついで」に屋台を利用しているアンケート回答者の7割以上の人々が車場・ 駐輪場について不満と感じている。全体で見ると駐車場・駐輪場に満足をしているアンケ ート回答者は過半数をわずかに超えているが、駐車場・駐輪場に不満を持っているアンケ ート回答者も多かった 。「買い物ついで」に屋台を利用しているアンケート回答者の約7 割が駐車場・駐輪場について不満を持っている。これは大多数の買い物客は車を利用して いると考えられるため、屋台通り周辺の駐車場が利用しにくいと、不便だと感じるためだ と考えられる。そのため結果的に違法駐車が増えるのだと考えられる。 vc=114 飲み会・1次会 vc=47 2次会以降 vc=17 買い物ついで vc=30 偶然 vc=39 マスメディアの情報 vc=16 その他 0% 20% 非常に満足 図3.58 40% やや満足 60% やや不満 80% 非常に不満 利用理由と駐車場・駐輪場の満足度 - 69 - 100% (割合) ④利用時間と駐車場・駐輪場の満足度 図3.59は「利用時間と駐車場・駐輪場の満足度」を表したグラフである。全体で見て みると、アンケート回答者の5割強の人々が駐車場・駐輪場に満足をしている。しかし、 21時以降という比較的遅い時間帯に屋台を利用しているアンケート回答者の6割弱の人々 が駐車場・駐輪場について満足をしていない。21時以前という比較的早い時間帯に屋台を 利用しているアンケート回答者の方が駐車場・駐輪場についての満足度が高い。 以上のことを踏まえて考えてみると、遅い時間に屋台を利用しているアンケート回答者 は駐車場・駐輪場に不満を持っている。これは、屋台通りの近くにある立体駐車場が0時 に閉まるためと考えられる。そして屋台通り周辺の駐車場は早い時間から多くの利用者が いるため、遅い時間から駐車場を利用すると入庫できない可能性がある。 vc=54 18時∼19時 vc=47 19時∼20時 vc=80 20時∼21時 vc=36 21時∼22時 vc=23 22時∼23時 vc=17 23時∼0時 vc=12 0時∼1時 0% 20% 非常に満足 図3.59 40% やや満足 60% やや不満 80% 非常に不満 利用時間と駐車場・駐輪場の満足度 - 70 - 100% (割合) ⑤交通手段と駐車場・駐輪場の満足度 図3.60は「交通手段と駐車場・駐輪場の満足度」を表したグラフである。全体で見て みると、アンケート回答者の5割強の人が駐車場・駐輪場について満足をしているが、約 半数弱の利用者が駐車場・駐輪場に不満を持っている。自家用車で屋台に来ているアンケ ート回答者は5割弱おり、自転車で屋台に来ているアンケート回答者は1割に満たない。 また、それぞれの満足度については、自家用車5割強の割合で満足、自転車6割強の割合 で不満足と感じている。自転車を利用している人に関して言えば、屋台通り周辺には全く 駐輪場がなく自転車を停める場所がないので不満足と感じる割合が増えるのだと考えられ る。そして、自家用車を利用している人に関しては、屋台通りの近くに一応駐車場が整備 されているので駐車場について満足と答えた人が半数強を占めたのだと考えられる 。また、 残りの不満と答えた半数弱の人々は駐車場の規格の古さといった駐車場利用面での不満が あるのだと考えられる。 vc=76 徒歩 vc=14 自転車 vc=130 自家用車 vc=9 バス vc=15 タクシー vc=21 電車 vc=1 その他 0% 20% 非常に満足 図3.60 40% やや満足 60% やや不満 80% 非常に不満 交通手段と駐車場・駐輪場の満足度 - 71 - 100% (割合) 3.4.9 バス ①バスの満足度 図3.61は「バスの満足度」を表したグラフである。アンケート回答者の5割弱の人々 がバスについて不満を持っており、不満を持つ割合が過半数を超えている。 vc=22 非 常 に満 足 vc=75 やや満足 vc=78 やや不満 vc=30 非 常 に不 満 0% 20% 40% 60% 80% 100% 人数 図3.61 バスの満足度 ②初めてとバスの満足度 図3.62は「初めてとバスの満足度」を表したグラフである。全体で見てみると、アン ケート回答者の5割弱の人々がバスについて満足をしている。初めて屋台を利用するアン ケート回答者の5割強、複数回屋台を利用しているアンケート回答者の5割強がバスにつ いてそれぞれ不満を持っており、過半数以上の割合でバスについて不満を持っている。屋 台通り周辺にはバスの路線があるが、バスの本数が少なく利用しにくい環境にあるので利 用者の不満が高まるのだと考えられる。 vc=51 初めて vc=152 以前来たことがある 0% 20% 40% 60% 80% 100% (割合) 非常に満足 やや満足 図3.62 やや不満 非常に不満 初めてとバスの満足度 - 72 - ③利用理由とバスの満足度 図3.63は「利用理由とバスの満足度」を表したグラフである。全体について見てみる と、アンケート回答者の5割弱の割合でバスについて満足をしている。また最もバスにつ いて不満を持っている屋台利用者は 、「飲み会・1次会」での利用者で6割弱の人々が不 満を持っている。 以上のことを踏まえて考えてみると 、「飲み会・1次会」で屋台を利用している人が、 2次会会場への移動でバスを利用する場合、バスの本数及び路線が少ないためバスが利用 し難いので不満が高まるのだと考えられる。 vc = 9 0 飲 み 会 ・1次 会 2次 会 以 降 vc = 4 3 買い物ついで vc = 1 1 vc = 2 6 偶然 vc = 1 9 マ ス メディアの 情 報 vc = 1 3 その他 0% 20% 非常に満足 40% やや満足 図3.63 60% やや不満 80% 100% (割 合 ) 非常に不満 利用理由とバスの満足度 ④利用時間とバスの満足度 図3.64は「利用時間とバスの満足度」を表したグラフである。全体で見てみると、ア ンケート回答者の半数以下しかバスについて満足しておらず、過半数以上のアンケート回 答者がバスについて不満を持っていることが分かる。しかし、18時∼20時までの間に屋台 を利用しているアンケート回答者の過半数以上はバスについて満足をしている 。「初めて と満足度 バス」の所でも述べたように、屋台通り周辺にはバスが通っているが、バスの 本数が少なく利用しにくい環境であることが考えられる。また、時間が遅くなるにつれて 利用者のバスに対する満足度が低くなっていっている。これは遅くなるにつれて、さらに バスの本数が減り利用しにくいからであると考えられる。 18時 ∼ 19時 vc = 3 5 19時 ∼ 20時 vc = 3 3 20時 ∼ 21時 vc = 5 9 21時 ∼ 22時 vc = 3 2 22時 ∼ 23時 vc = 1 8 23時 ∼ 0時 vc = 1 5 0時 ∼ 1時 vc = 1 1 0% 20% 非常に満足 40% やや満足 図3.64 60% やや不満 80% 非常に不満 利用時間とバスの満足度 - 73 - 100% (割 合 ) ⑤交通手段とバスの満足度 図3.65は「交通手段とバスの満足度」を表したグラフである。全体で見てみると、ア ンケート回答者の5割強の人がバスについて不満を持っている。バスで屋台に来ているア ンケート回答者は1割にも満たない。そのため屋台の利用者はバス以外の交通手段で屋台 通りに来ていると考えられる。 vc=69 徒歩 vc=10 自転車 vc=83 自家用車 vc=9 バス vc=13 タクシー vc=19 電車 vc=1 その他 0% 20% 非常に満足 40% やや満足 図3.65 60% やや不満 80% 非常に不満 交通手段とバスの満足度 - 74 - 100% (割合) 3.4.10 タクシー ①タクシーの満足度 図3.66は「タクシーの満足度」を表したグラフである。アンケート回答者の7割がタ クシーについて満足をしている。 vc=41 非常に満足 vc=111 やや満足 vc=42 やや不満 vc=20 非常に不満 0% 20% 40% 60% 80% 100% 人数 図3.66 タクシーの満足度 ②初めてとタクシーの満足度 図3.67は「初めてとタクシーの満足度」を表したグラフである。屋台利用が初めて、 初めてでないに関わらずタクシーについての満足度は高く、アンケート回答者の7割の人 々がタクシーについて満足と感じている。これは、屋台通りが呉の歓楽街の近くにあるた め、タクシーが屋台通り周辺にたくさんおり、利用しやすい環境にあるからであると考え られる。 vc=52 初めて vc=160 以前来たことがある 0% 20% 非常に満足 図3.67 40% やや満足 60% やや不満 80% 非常に不満 初めてとタクシーの満足度 - 75 - 100% (割合) ③利用理由とタクシーの満足度 図3 .68は「 利用理由とタクシーの満足度 」を表したグラフである。屋台利用理由が「 2 次会以降」と答えたアンケート回答者のタクシーについて8割が満足と感じており全ての 項目の中で最も満足度が高い。このことを踏まえて考えると、多くの2次会出席者は2次 会終了後そのまま自宅へ帰宅すると考えられる。そのため屋台の近くからすぐタクシーが 利用できると帰宅するのに便利なため満足度が高いと考えられる。また、この後他の場所 にある飲食店等まで移動する時も、タクシーが利用しやすいとスムーズに移動出来るため に満足度が高くなるとも考えられる。 飲み会・1次会 vc=93 2次会以降 vc=46 買い物ついで vc=11 vc=26 偶然 マスメディアの情報 vc=21 その他 vc=13 0% 20% 非常に満足 図3.68 40% やや満足 60% やや不満 80% 100% (割合) 非常に不満 利用理由とタクシーの満足度 ④利用時間とタクシーの満足度 図3.69は「利用時間とタクシーの満足度」を表したグラフである。ほぼ全ての時間帯 でタクシー利用については、過半数以上満足している。初めてと満足度の所でも述べたよ うに、近くに歓楽街があるため、全ての時間帯でタクシーの利用がし易いということが言 える。 vc = 3 7 18時∼ 19時 vc = 3 4 19時∼ 20時 vc = 6 2 20時∼ 21時 vc = 3 4 21時∼ 22時 22時∼ 23時 vc = 1 9 2 3 時 ∼ 0時 vc = 1 5 0時 ∼ 1時 vc = 1 1 0% 20% 40% 60% 80% 100% (割 合 ) 非常に満足 図3.69 やや満足 やや不満 非常に不満 利用時間とタクシーの満足度 - 76 - ⑤交通手段とタクシーの満足度 図3 .70は「 交通手段とタクシーの満足度 」を表したグラフである。全体で見てみると 、 アンケート回答者の7割がタクシーについて満足をしている。しかし、実際にタクシーを 利用して屋台に来ているアンケート回答者は1割にも満たない。交通手段がタクシー以外 の屋台利用者は屋台通り周辺にタクシーがたくさん走っているため、タクシーが利用しや すい環境であると感じている、と考えられる。そのために、この項目全体のタクシーにつ いての満足度が高くなるのだと考えられる。 vc=75 徒歩 vc=10 自転車 vc=85 自家用車 vc=8 バス vc=15 タクシー vc=19 電車 vc=1 その他 0% 20% 非 常 に満 足 図3.70 40% やや満足 60% やや不満 80% 非 常 に不 満 交通手段とタクシーの満足度 - 77 - 100% (割 合 ) 3.4.11 電車 ①電車の満足度 図3.71は「電車の満足度」を表したグラフである。アンケート回答者の4割の人々が 電車について満足をしている。しかし、過半数を超える人々は電車について不満を持って いる。 vc = 2 0 非常に満足 vc = 6 9 やや満足 vc = 8 2 やや不満 vc = 4 1 非常に不満 0% 20% 40% 60% 80% 100% 人数 図3.71 電車の満足度 ②初めてと電車の満足度 図3.72は「初めてと電車の満足度」を表したグラフである。アンケート回答者約6割 の屋台利用者が電車について不満を持っている。アンケート回答者の中で屋台を複数回利 用したことのある人々は、特に電車に対して強い不満を感じている。割合としては、複数 回屋台を利用したことのあるアンケート回答者は約6割といった比較的高い水準である。 このアンケートの全体の結果から考えられることは、屋台通りが駅から遠いため電車が利 用しにくい環境であると考えられる。屋台通りは駅まで歩いて約15分∼20分程度の距離に 位置しており、歩くには遠いがタクシー等を使う程の距離でもなく、中途半端な距離に位 置している。そのため電車を利用している多くの屋台利用者が不満を持っていると考えら れる。 vc = 5 6 初めて vc = 1 5 4 以 前 来 た こと が あ る 0% 20% 40% 60% 80% 100% (割 合 ) 非常に満足 やや満足 図3.72 やや不満 非常に不満 初めてと電車の満足度 - 78 - ③利用理由と電車の満足度 図3 .73は「 利用理由と電車の満足度 」を表したグラフである。 「 飲み会・1次会」、 「偶 然 」、「その他」の項目で電車について不満を持っている割合が過半数を超えている。割 合はそれぞれ「飲み会・1次会」が7割 、「偶然」が6割 、「その他」が6割となってい る。 「 利用理由と電車の満足度 」は「 初めてと電車の満足度 」、 「 利用時間と電車の満足度 」 の結果と同じく過半数以上の屋台利用者が電車について不満を持っている 。「初めてと電 車の満足度 」、「利用時間と電車の満足度」の所でも述べたように、屋台通りが駅から離 れているため、電車の利用がし難いからであると考えられる。 非常に満足 vc=19 やや満足 vc=68 やや不満 vc=82 非常に不満 vc=40 0% 20% 飲み会・1次会 偶然 図3.73 40% 60% 2次会以降 マスメディアの情報 80% 買い物ついで その他 利用理由と電車の満足度 - 79 - 100% (割合) ④利用時間と電車の満足度 図3.74は「利用時間と電車の満足度」を表したグラフである。電車について満足して いない割合が過半数を超えている時間帯は19時∼21時の間と22時∼1時の間の時間帯であ る。特に23時以降に屋台を利用しているアンケート回答者の7割が電車について満足をし ていない。また19時∼21時の間に屋台を利用しているアンケート回答者の6割についても 電車について満足をしていない。以上のことを踏まえて考えると、23時以降に屋台を利用 しているアンケート回答者は屋台通りが駅から遠い事に加えて、時間が経つにつれて電車 の本数が少なくなり余計に電車の利用がし難い環境に置かれるのだと考えられる。また19 時∼21時の比較的早い時間帯に屋台を利用しているアンケート回答者は屋台での食事の 後、帰宅や2次会への移動で電車を利用する場合、駅まで移動するのを歩き、もしくはタ クシー等を利用しなければならないので不満を持つ割合が高くなるのだと考えられる。 18時 ∼ 19時 vc = 3 7 19時 ∼ 20時 vc = 3 5 20時 ∼ 21時 vc = 6 1 21時 ∼ 22時 vc = 3 3 22時 ∼ 23時 vc = 1 9 23時 ∼ 0時 vc = 1 5 0時 ∼ 1時 vc = 1 1 0% 20% 40% 60% 80% 100% (割 合 ) 非常に満足 やや満足 図3.74 やや不満 非常に不満 利用時間と電車の満足度 ⑤交通手段と電車の満足度 図3.75は「交通手段と電車の満足度」を表したグラフである。全体で見てみると、ア ンケート回答者の6割の人々が電車について不満を持っている。その結果、電車を利用し て屋台に来ている人は1割しかいない。これは、電車が利用しにくいので電車を利用せず に自家用車等を使い屋台に来ていると考えられる。 vc = 7 1 徒 歩 vc = 1 0 自 転 車 vc = 8 4 自 家 用 車 vc = 8 バ ス vc = 1 3 タクシー vc = 2 4 電 車 vc = 1 そ の 他 0% 20% 非 常 に満 足 40% や や 満 足 図3.75 60% や や 不 満 80% 非 常 に不 満 利用手段と電車の満足度 - 80 - 100% (割 合 ) 3.4.12 中心部の飲食店の種類 ①中心部の飲食店の種類の満足度 図3.76は「中心部の飲食店の種類の満足度」を表したグラフである。アンケート回答 者の5割半の人々が呉中心部の飲食店の種類について満足をしている。しかし、半数近い 人々は呉中心部の飲食店の数に満足をしていない。 vc = 3 7 非常に満足 vc = 9 5 やや満 足 vc = 8 5 やや不 満 vc = 2 5 非常に不満 0% 20% 40% 60% 80% 100% 人数 図3.76 中心部の飲食店の種類の満足度 ②初めてと中心部の飲食店の種類の満足度 図3.77は「初めてと中心部の飲食店の種類の満足度」を表したグラフである。全体で 見ると5割半のアンケート回答者が呉中心部の飲食店の種類に満足をしている。初めて屋 台を利用するアンケート回答者と複数回屋台を利用しているアンケート回答者を比較して みると、初めて屋台を利用するアンケート回答者の6割、複数回屋台を利用したことのあ るアンケート回答者の5割が呉中心部の飲食店の数に満足をしている。このことから、初 めて屋台を利用するアンケート回答者の方が呉中心部の飲食店の種類に満足をしていると いうことが分かる。このアンケート全体で見ると、過半数以上のアンケート回答者が呉中 心部の飲食店の数に満足をしている。これは、屋台通り周辺には歓楽街があり、飲食店が 充実しているためと考えられる。2次会等に行くときもスムーズに次の会場へ移動できる ためと考えられる。 vc = 6 5 初 めて vc = 1 7 5 以 前 来 た こ とが あ る 0% 20% 40% 60% 80% 100% (割 合 ) 非常に満足 図3.77 やや満足 やや不満 非常に不満 初めてと中心部の飲食店の種類の満足度 - 81 - ③利用理由と中心部の飲食店の種類の満足度 図3.78は「利用理由と中心部の飲食店の種類の満足度」を表したグラフである。屋台 の利用理由に関わらず過半数以上が呉中心部の飲食店の種類に満足している。割合として は、アンケート回答者の5割が満足している。しかし、唯一「その他」の項目で過半数を 超える人が呉中心部の飲食店の種類に不満を示している。 vc=106 飲み会・1次会 2次会以降 vc=48 買い物ついで vc=13 偶然 vc=27 マスメディアの情報 vc=28 その他 vc=16 0% 20% 非常に満足 図3.78 40% やや満足 60% やや不満 80% 100% (割合) 非常に不満 利用理由と中心部の飲食店の種類の満足度 ④利用時間と中心部の飲食店の種類の満足度 図3.79は「利用時間と中心部の飲食店の種類の満足度」を表したグラフである。全て の時間帯で考えると、呉中心部の飲食店の種類に満足しているアンケート回答者は過半数 を超えている。ただし、22時∼23時に屋台を利用しているアンケート回答者の5割半が呉 中心部の飲食店の種類に不満を持っている。 vc=46 18時∼19時 19時∼20時 vc=38 20時∼21時 vc=72 vc=36 21時∼22時 22時∼23時 vc=22 23時∼0時 vc=15 0時∼1時 vc=12 0% 20% 非常に満足 図3.79 40% やや満足 60% やや不満 80% 100% 非常に不満 利用時間と中心部の飲食店の種類の満足度 - 82 - (割合) 3.4.13 中心部の飲食店の数 ①中心部の飲食店の数の満足度 図3.80は「中心部の飲食店の数の満足度」を表したグラフである。アンケート回答者 の5割半が呉中心部の飲食店の種類について満足をしている。 vc=38 非常に満足 vc=98 やや満足 vc=82 やや不満 vc=24 非常に不満 0% 20% 40% 60% 80% 100% 人数 図3.80 中心部の飲食店の数の満足度 ②初めてと中心部の飲食店の数の満足度 図3.81は「初めてと中心部の飲食店の数の満足度」を表したグラフである。このアン ケート項目全体で見てみると、過半数以上のアンケート回答者が呉中心部の飲食店の数に 満足をしている。割合でいうと5割半が飲食店の数に満足をしている。 vc=65 初めて vc=175 以前来たことがある 0% 20% 40% 60% 80% 100% (割合) 非常に満足 図3.81 やや満足 やや不満 非常に不満 初めてと中心部の飲食店の数の満足度 - 83 - ③利用理由と中心部の飲食店の数の満足度 図3.82は「利用理由と中心部の飲食店の数の満足度」を表したグラフである。屋台の 利用理由に関わらず、アンケート回答者の5割半が呉中心部の飲食店の数に満足をしてい る 。「利用時間と中心部の飲食店の数の満足度」の結果と同じように、呉中心部の飲食店 の数に不満を持っているアンケート回答者の割合が全ての項目で過半数を超えることはな かった。 vc=106 飲み会・1次会 vc=48 2次会以降 vc=13 買い物ついで vc=27 偶然 vc=28 マスメディアの情報 vc=26 その他 0% 20% 非常に満足 図3.83 40% やや満足 60% やや不満 80% 100% (割合) 非常に不満 利用理由と中心部の飲食店の数の満足度 ④利用時間と中心部の飲食店の数の満足度 図3.84は「利用時間と中心部の飲食店の数の満足度」を表したグラフである。全体で 見てみると、アンケート回答者の過半数以上の人が呉中心部の飲食店の数に満足をしてい る。そして、それぞれの時間帯で、呉中心部の飲食店の数が不満であると感じているアン ケート回答者の割合が過半数を超えることはなかった。 vc = 4 6 18時 ∼ 19時 vc = 3 8 19時 ∼ 20時 vc = 7 2 20時 ∼ 21時 vc = 3 6 21時 ∼ 22時 22時 ∼ 23時 vc = 2 2 23時 ∼ 0時 vc = 1 5 0時 ∼ 1時 vc = 1 2 0% 20% 非常に満足 図3.84 40% やや満足 60% やや不満 80% 非常に不満 利用時間と中心部の飲食店の数の満足度 - 84 - 100% (割 合 ) 3.5 まとめ 3.5.1 利用者の属性と行動 ①利用者の年齢構成 「 10代」は3.0%、 「 20代 」は36.8% 、 「 30代 」は26.8% 、 「 40代」は13.2%、 「 50代以上」 は15.1%となった 。「20代 」、「30代」を合わせると63.6%と6割以上を占めた。 ②利用者の性別 全体で「 男性」は54.6%で「 女性 」は43.8%となった。 「 10代」は男性55%・女性45%。 「20代」は男性44%・女性56% 。「30代」は男性66%・女性34% 。「40代」は男性65%・女 性35% 。「50代以上」男性63%・女性37%となった。「20代」で男性を女性が上回った。 ③利用者の同行者 「同僚・友人」が54.9%と圧倒的に多い。続いて「恋人」の59人の19.4% 、「家族」4 1人の13.5% 、「一人」29人の9.5%となった。 ④利用者の屋台利用前の行動 「自宅から直接」と答えた人が全体の29.9%となった 。「自宅から直接」と答えた人は 「徒歩」と「自家用車」の割合が7割半を占めている。また 、「徒歩」のなかで「呉中心 部の飲食店によって」の割合が4割弱を占めている 。「自家用車」で来る人は、呉の飲食 店や呉市での買い物をしてからくるよりも直接来る割合が多い。 ⑤利用者の屋台利用後の行動 「自宅に直接帰宅」と言うのが圧倒的に多かった 。「遊びに行く」は「自家用車」の利 用の割合が最も高いこともわかった。逆に、公共交通機関の「バス」や「電車」を利用す る場合は遊びに行く割合が低くなることもわかった。 ⑥利用者の居住地 「呉市」は47.0% 。「広島市」は23.4% 。「それ以外」は26.0%となった 。「自宅から直 接 」「勤務先から直接」など直接来る割合が全体の半分を占めた。逆に 、「呉中心部で買 い物をして」のついでとなる項目は全体の3%と少ないことがわかった。ことから、屋台 の利用はそれ目的で来るといえる 。「遊び帰りに」をみると「広島市」の居住者が多いこ とから、遊びの中に屋台の利用が組み込まれていることがわかる。 ⑦利用者の勤務地 「呉市」は43.8% 。「広島市」は17.4% 。「それ以外」は19.7%となった 。「呉市」が勤 務先で「呉中心部の飲食店によって」や「その他の呉の飲食店によって」からくる利用者 多いことから屋台を2次会以降で利用していることがわかった 。逆に、勤務地が「 広島市」 の屋台利用者は「呉中心部の飲食店によって」や「その他の呉の飲食店によって」の割合 が低いことから、屋台が目的で来ていることがわかった 。「通学先から直接」の回答数が 少ないことから、学生の利用が低いことがわかった。 3.5.2 利用者の来た時間と利用理由 ①来た時間 「20時∼21時」は29.2% 。「18時∼19時」は19.3% 。「19時∼20時」は16.9% 。「21時∼ 22時」は14.0% 。「22時∼23時」は9.3% 。「23時∼0時」は7.0% 。「0時∼1時」は4.3 - 85 - %となった 。「18時∼20時」では「飲み会・1次会」の利用と「マスメディアの情報」を 参考に来ている利用客が多いことがわかった 。「21時∼0時」にかけては2次会利用者が 徐々に増えてくることもわかった。また、屋台を見つけた、たまたま開いていたなど「偶 然 」と答える人が多いこともわかった 。「18時∼21時」に屋台を利用する人は屋台を出た後、 違う飲食店に行くこともわかった。 ②利用者の屋台利用理由 「飲み会・1次会」は41.1% 。「2次会以降」は19.1% 。「マスメディアの情報」は14. 5%。「偶然」は10.5%。「買い物ついで」は6.6%となった。 3.5.3 利用者の交通手段 ①利用者の交通手段 「自家用車」は45.4% 。「徒歩」は29.6% 。「電車」は8.9人となった。居住地別でみる と「自転車」と「タクシー」で5.9% 。「バス」は3.0%となった。屋台利用者の4割半が 「自家用車」を利用していることもわかった。内訳は 、「呉市 」「広島市 」「それ以外」が それぞれ3割ずつ占めている 。「電車」の利用者は「呉市」が4割弱 、「広島市」が2割 強となった。勤務地別では 、「電車」の利用者は「呉市」が3割 、「広島市」が4割とな った。 3.5.4 屋台の利用状況 ①利用者の屋台利用有無 「初めて」と答えた人は、全体の32.9%を占めている。残りの66.4%は 、「以前にも来 たことがある」と答えた。 ②利用者の屋台滞在時間 「1時間∼2時間」と言うのが最も多く、31.9%である 。「1時間∼2時間」では使う 金額は「3000円以下」の割合が高い。2時間以上になると「3000円∼5000円」の割合が高 くなることがわかった。 ③利用者の使う金額 1回の屋台利用で使う金額は「3000円以下」と答えた人が37.5%となった 。「3000円∼ 5000円以下」と答えた人が、14.8%となった 。「5000円以上」と答えた人が、3.6%とな った。 3.5.5 利用者の屋台利用頻度 ①利用者の屋台利用頻度 「1∼4回」が28.3%と1番多かった 。「4∼8回」と「9回以上」はともに、9.2% となった。 ②利用者の使う金額 1回の屋台利用で使う金額は「3000円以下」と答えた人が37.5%となった 。「3000円∼ 5000円以下」と答えた人が、14.8%となった 。「5000円以上」と答えた人が、3.6%とな った。 - 86 - 3.5.6 満足度 ①屋台の数 63%の過半数を超える人々が現在の屋台の数に満足をしている。また、非常に不満と答 えた人が4%と屋台の数については満足度が高いといえる。 ②屋台の種類 アンケート回答者の74%といった比較的多い人々が現在の屋台の種類について満足をし ており、満足度が高いといった結果となった。 ③屋台の場所 アンケート回答者の76%といった多くの人々が屋台の場所について満足をしている。ま た、非常に不満と感じているアンケート回答者は一人もおらず、満足度が高い結果になっ た。 ④屋台通りの雰囲気 アンケート回答者の96%といった非常に多くの人々が屋台通りの雰囲気について満足を している。また、屋台の場所の所と同じく、非常に不満と感じているアンケート回答者は 一人もおらず、満足度が高いことがわかる。 ⑤トイレ アンケート回答者の54%がトイレについて満足をしているが、トイレについて不満を持 っているアンケート回答者が46%おり、満足と感じている回答者と不満を持っている回答 者の数がほぼ同数となった。 ⑥治安 アンケート回答者の66%が屋台通り周辺の治安について満足をしており、比較的多くの 人が安心して屋台を利用している。 ⑦周辺環境の雰囲気 アンケート回答者の89%といった非常に多くの人々が屋台の周辺環境の雰囲気について 満足をしている。また、このアンケート項目においては「非常に満足」と答えた割合が41 %と高くなっていた。 ⑧駐車場・駐輪場 アンケート回答者の51%が駐車場・駐輪場について満足をしており、かろうじて過半数 を占めている。半数に近い残り49%の人々は駐車場・駐輪場について不満を持っているた め、満足度が高いとは言えない。 ⑨バス アンケート回答者の47%がバスについて不満を持っており、過半数以上の人々がバスに ついて不満を持っている。その結果を反映してか「やや不満」と答えた割合が最も多く38 %にも達した。 ⑩タクシー アンケート回答者の71%という多くの人々がタクシーについて満足をしている。そして 「やや満足」と答えた人の割合が最も多くなっており、52%で過半数以上をこの項目だけ で占めていた。 ⑪電車 アンケート回答者の42%が電車について満足をしている。しかし58%の過半数を超える - 87 - 人々は電車について不満を持っているため、満足度が低くなっている。このことから、駅 から屋台通りまでの距離や電車の本数に関係していると考えられる。 ⑫中心部の飲食店の種類 アンケート回答者の55%が呉中心部の飲食店の種類について満足をしている。しかし、 半数近い45%の人々は呉中心部の飲食店の数に満足をしておらず、決して満足度が高いと は言えない。 ⑬中心部の飲食店の数 アンケート回答者の56%が呉中心部の飲食店の種類について満足をしている。満足をし ている人々が過半数を占めているが、不満と思っている人々の割合と比較すると大差がな く 、「中心部の飲食店の種類」の所と同様に、決して満足度が高いとは言えない。 各アンケートの集計の結果を各項目ごとにまとめると、以上のような結果を得る事が出 来た 。「赤ちょうちん通りの屋台客の飲食行動に関する研究」において、調査結果から赤 ちょうちん通りの屋台を利用する人の大部分が「屋台を目的に来る」などの利用実態を把 握する事ができ 、過半数の屋台利用客が「 満足している 」という回答を得ることが出来た。 また、屋台の観光資源として成立し発展していくために問題視される要因は、やはり交通 の問題であることがわかる。問題視される事柄は、バス・電車などの交通機関、駐車場の 老朽化・規模、駐輪スペースである。今後は、これらのマイナス要因の改善策を提案、実 施していくこと大切である。このマイナス要因を取り除くことにより赤ちょうちん通りの 活性化、屋台以外の飲食店街の活性化、ひいては呉市の地域活性化に繋がっていくと考え られる。 - 88 - 第4章 屋台関連主体の屋台に 対する意識 4.1 調査概要 4.2 屋台関連主体の屋台に対する意識 4.3 まとめ 第4章 屋台関連主体の屋台に対する意識 本章では、呉の屋台を観光資源としてとらえ、観光業界、ホテルマネージャー、屋台経 営者に対してヒアリング調査を通じ、屋台の観光資源としての現状、観光資源としての成 立性、ひいては観光資源としての発展性を考察している。 4.1 調査概要 ①調査対象 ・観光業界に対するヒアリング調査 近畿ツーリスト、 JTB、呉市経済部観光振興課に対して、スタッフで制作したヒアリン グ調査用紙をもとに、口頭で質問し回答してもらった。 ・ホテルマネジャーに対するヒアリング調査 呉阪急ホテル、呉ステーションホテルに対して、スタッフで制作したヒアリング調査用 紙をもとに、口頭で質問し回答してもらった。 ・屋台経営者に対するヒアリング調査 かさ、富士さん、燻( KUN)、 SEA に対して、スタッフで制作したヒアリング調査用紙 をもとに、口頭で質問し回答してもらった。 ②調査対象の条件 ・呉市に店舗がある事 ・呉市の観光に密接に関わっていること ③調査期間 ・2004年11月30日∼12月15日 - 89 - 4.2 屋台関連主体の屋台に対する意識 4.2.1 観光業者 ①調査対象:近畿ツーリスト、 JTB、呉市経済部観光振興課を調査対象とした。 ②調査理由:呉の屋台の観光資源としての現状、発展性を考えるうえで、呉の行政の意見 また第三者の立場にある旅行代理店の意見を必要とした。 ③ヒアリング項目: ■観光業界ヒアリング項目 ・呉の屋台を観光資源としてみなしているか? ・観光資源として呉市をどのように見ているか? ・呉市に誘致するためにピック・アップしているツアーがある 観光資源としての 認識と成立性 のか? ・現在の呉市に人を誘致出来るだけの能力があるか? ・呉市を盛り上げるための呉市の売り込み方 ・観光都市として人を呼び込むための条件は何か? ・どのように改善していくと呉市が観光都市として発展出来る と思うか? 屋台の成立性 ・屋台を呉市の目玉にすることが出来ると思うか? 他の施設とのリンク ・呉市において観光資源になりえる施設は何か? ■ 呉市経済部観光振興課ヒアリング項目 ・呉市を発展させる為にどの様なPR活動お行っているのか? 振興課の方向性 ・呉市の発展のためにどのような事をしているのか? ・呉市の観光の目玉としているものは? ・PRの手応えをどの程度感じているか? ・呉の屋台を発展させる為にどの様なことをしているのか? 振興課の屋台の扱い ・呉の屋台の魅力は? ・呉の屋台にどの様に発展してほしいか? - 90 - ④観光業界に対するヒアリング結果 ■ 近畿ツーリスト ・呉の屋台を観光資源としてみなしているか? (回答) 観光資源として全くみなしていない。知名度が観光資源として低い、広島の 人間ですら呉の屋台の存在を知らない事多い。 ・観光資源として呉市をどのように見ているか? (回答) そもそも観光資源として呉市を認識していない。呉といえば昔は海軍の街と いうイメージ程度で、観光とはほとんど無縁の扱いとされている。 ・呉市に誘致するためにピック・アップしているツアーがあるのか? (回答) 無い。ツアーを組む素材が今の呉には無い。また現在呉市が観光スポットと している箇所においても、わざわざ呉に行くほどでなくツアー客を獲得するの は難しい。 ・現在の呉市に人を誘致出来るだけの能力があるか? (回答) それほどは無い。呉市におとずれたとしても、見て回るスポットがこれとい ってないため、半日程度で十分である。 ・呉市を盛り上げるための呉市の売り込み方は? ( 回答) かなり難しい・・・。手っ取り早いのはメディアに載せる屋台にいたっては 、 規模を拡大するか味の良さでファンを増やすなど。 ・観光都市として人を呼び込むための条件は何か? (回答) 目玉となるものとその周辺施設とで、いかにしてその場に人をを留めておけ るか。 ・どのように改善していくと呉市が観光都市として発展出来ると思うか? (回答) 人を呼び込む目玉となるものが必要。現在の呉にわざわざるほどの価値ある ものがほとんど無い。 ・屋台を呉市の目玉にすることが出来ると思うか? (回答) 難しい。観光資源とは成り得るが、呉の観光の目玉となるほどの集客力は望 めない。 ・呉市において観光資源になりえる施設は何か? (回答) 現在呉に観光で訪れる人のほとんどは、江田島の第一術科学校におとずてい る、その際にその他の観光スポットの問い合わせも幾度かある。また、今後ヤ マトミュージアムには、観光業界も注目しており、修学旅行スポットとして全 国的に展開できる観光資源と考えている。 - 91 - ■JTB ・呉の屋台を観光資源としてみなしているか? (回答) 観光資源としてみなしていない。全国的に屋台は博多や札幌というイメージ が定着しているため、規模の小さい呉は観光資源として扱いにくい。 ・観光資源として呉市をどのように見ているか? (回答) 全国的には海軍の街というイメージが強い、しかし海軍を売りとした有名な 観光名所がない。しかしヤマトミュージアムができることで呉市の海軍の街と して全国的にアピールできる。 ・呉市に誘致するためにピック・アップしているツアーがあるのか? (回答) ヤマトミュージアムを全国的に売り出していく企画を呉市と話し合いを進め ている。 ・現在の呉市に人を誘致出来るだけの能力があるか? (回答) ない。呉市には特に若者が集まれる場所がないため、人がどんどん広島市へ 出ていってしまっている。逆に呉へわざわざ来る人は少ない。 ・呉市を盛り上げるための呉市の売り込み方は? (回答) 海軍の街というイメージをヤマトミュージアムによって全国的にアピールし ていく。 ・観光都市として人を呼び込むための条件は何か? (回答) 名産品と目玉となるスポット、温泉などの宿泊施設がそろえば、観光都市と して人を誘致しやすい 。呉には音戸のちりめんもしくは、肉じゃががあるといった程度 。 ・どのように改善していくと呉市が観光都市として発展出来ると思うか? (回答) 現在呉のメインストリートである中通りや本通りに週末ですら人通りが少な い、それほどに呉市に人の流れがない。人が集まれるスポットが必要である。 ・屋台を呉市の目玉にすることが出来ると思うか? (回答) 屋台が目玉となるのは難しい。ヤマトミュージアムとうまく関連性をもたせ ば発展できると思う。 ・呉市において観光資源になりえる施設は何か? (回答) 間違いなくヤマトミュージアムは呉市の観光の目玉となる。ヤマトは呉市な らではのものであり、全国的にも知名度がある。またIHI関係者など多くの 人が観光に訪れることが予想され、呉市に人を呼び込む事ができる。 - 92 - ■ 呉市経済部観光振興課 ・呉市を発展させる為にどの様なPR活動を行っているのか? (回答) 呉に宿泊してもらえるように、夜の観光施設を紹介している。今後はヤマト ミュージアムを加え呉に長時間滞在してもらえるように活動を行っている。 ・呉市の発展ためにどの様な事をしているのか? (回答) 呉市の観光パンフレットを製作している、おもに観光スポット・呉の物産等 を紹介しいる。また呉のタクシーの協力を得て、観光案内を行っている。その チラシを呉駅の観光案内所やホテルにて配布し、さらにヤマトミュージアムを メインとした修学旅行プランを県外の学校に対して営業活動を行っている。 ・呉市の観光の目玉としているものは? (回答) ヤマトミュージアムを観光の起爆剤とし、夜は屋台と灰ヶ峰の夜景と組み合 わせて呉での長期滞在を謀っている。 ・P.Rの手応えをどの程度感じているか? (回答) P.Rによって県外からの旅行エージェントからの問い合わせが増加した。 また、一般からの問い合わせ増加した。 ・呉の屋台を発展させる為にどのようなことをしているのか? (回答) 県外からの旅行エージェントを呉の屋台に連れて行ったところ、非常に好評 であった。また東京のテレビ局からの取材の申し込みがあった。 ・呉の屋台の魅力は? (回答) バラエティーに富んだ屋台が特徴的である。そのため、女性や若者といった 幅広い客層を獲得できる。またアットホームな感じも魅力の一つである。 ・呉の屋台にどの様に発展してほしいか? (回答) 博多の屋台のように観光客が度々訪れるような観光資源となってほしい。し かし現状において集客力との兼ね合いもあり、規模の拡大は望んでいない。 - 93 - 図4.1 呉市経済部観光振興課製作の呉のパンフレト 図4.2 呉市経済部観光振興課製作の呉のパンフレト - 94 - 図4.3 図4.4 ヤマトミュージアム完成図 外観パース 図4.5 - 95 - 内観パース ⑤観光業界の意識のまとめ この一連の観光業界に対するヒアリング調査の結果、観光業界の中で呉市の屋台は観光 スポットしての認識をされておらず、業界の中でも呉の屋台の存在の認知度もまだ低い。 そのため、屋台を呉市の観光の発展の目玉とするのは、業界から見て難しいようである。 また現在の呉市では、県外から人を呼び込める有力な観光資源がないため、わざわざ呉に 来る必要もなく観光都市としてまだまだ発展途上といえる。現状の呉市に訪れる観光客の 多くは、江田島の術科学校を目的とし、訪れる人のほとんどが年配で、昔学校に通ってい た人であるなど呉市という地に関係のあった人ばかりのようである。 そもそも、観光客を県外から呼び込む為には、全国的な認知がまず必要である。観光都 市とは、①その都市特有の目玉となる観光資源があり、さらに②その周辺環境の充実性な どが条件として挙がるが、現在の呉市はこれにあてはまらない。しかし、平成17年4月に ヤマトミュージアムの会館することで呉市の観光事情が大きく変わると思われている。 「戦争 」、「平和都市 広島」という事を背景に、ヤマトミュージアムは全国的に認知さ れる事となるだろう。観光業界も上記の事に目をつけており、呉市の観光の目玉となり県 外からの多くの人を呼び込めることを期待している。また、呉市はヤマトミュージアムの 設立にともない観光の分野に力を入れており、ヤマトミュージアムを観光資源の中心とし、 夜景や屋台といった夜の観光資源を呉市の観光パンフレットでアピールし、観光客ひいて は呉での宿泊客の獲得に努めている。また、ヤマトミュージアムを中心とした修学旅行の スポットとしても全国の学校に売りだしている。こうした動きにより現在県外の旅行エー ジェントやメディアが動きだしている状況である。ここで重要となるのは、ヤマトミュー ジアムとその周辺環境とのつながりをいかに持たせていくかであるといえ、屋台の発展も そこにあるといえる。 表4.1 観光業者ヒアリングのまとめ 近畿ツーリスト 観光資源としての認識 認識していない 呉市をどのように見ているか 観光とは無縁の都市である ない。 JTB 見なしていない 海軍関連の町である ヤマトミュージアム 人の誘致 ツアーを組む素材がない 誘致能力 ない ない 半日程度で十分 若者が滞留する場所がない 売り込み方 難しいが、メディアや規模の 海軍の街として売っていく 拡大 人を呼び込む為の条件 いかに人を滞留させるか 名産品と観目玉が必要 観光都市としての発展 目玉が必要 人が集まれるスポット 屋台が目玉 難しい。集客力が望めない 難しい。 観光資源になる施設 江田島の術科学校 ヤマトミュージアム ヤマトミュージアム - 96 - 4.2.2 ホテル ①調査対象:呉阪急ホテル、呉ステーションホテルを調査対象とした。 ②調査理由:呉市に訪れる人の動きを把握し、夜の観光資源である屋台の集客力をさらに 高めるため、呉市の宿泊客の状況を知る必要があった。 ③ヒアリング項目: ■ ホテルマネージャーヒアリング項目 ・呉市が屋台を夜の観光資源の目玉として発展させようとしてい る事を知っているか? 屋台の発展性に 対する意識 ・呉の屋台が観光資源となり得るか? ・ホテル業の視点から、呉の屋台が観光資源としての発展を望ん でいるか? ・呉の屋台が観光資源として発展することでホテルまたは呉市の 利益に結びつくか? ・ホテルの利用者はどういった客層か? 呉での宿泊者の現状 ・ホテルを利用する観光客は、どのような観光施設を訪れている のか? 屋台との関係性に 対する意識 ・現状でのホテルと屋台の関係性は? ・現状でのホテルと呉の観光施設の関係性は? - 97 - ④ホテルマネージャーに対するヒアリング結果 ■呉阪急ホテル ・呉市が屋台を夜の観光資源の目玉として発展させようとしている事を知っているか? ( 回答) 知っている。しかし、屋台を呉の観光の目玉としようとしている認識はない。 目玉とするには規模が小さく力不足さを感じる。 ・呉の屋台を観光資源と認識しているか? ( 回答) 屋台は呉市の特色の一つであり 、観光資源であるという認識はある 。しかし、 観光資源として県外から人を呼び込む力は弱い。 ・ホテル業の視点から、呉の屋台が観光資源としての発展を望んでいるか? ( 回答) 望んでいる。呉に人を呼び込んでくれることは 、ホテルにとっても望ましい。 しかし、屋台よりもヤマトミュージアムなど海軍に関係するものの方が観光の 発展の目玉となると考えている。 ・呉の屋台が観光資源として発展することでホテルまたは呉市の利益に結びつくか? (回答) 観光客が増えれえばホテルも利益につながる。しかし、飲食業という面から すればあくまでもライバル関係である。 ・ホテルの宿泊客はどういった客層か? (回答) 県外からのビジネス客がほとんどをしめており、40∼60代の会社員が多い。 観光での宿泊客はほとんどいない。現状として観光で呉市内に泊まる理由があ まりないため、広島市での宿泊傾向にある。 ・ホテルを利用する観光客は、どのような観光施設をおとずれているのか? (回答) 呉で宿泊する観光客の多くは、江田島の術科学校などの海軍関連のスポット に足を運ぶ。 ・現状でのホテルと屋台の関係性は? (回答) 飲食業という面においてはライバル関係。屋台に観光資源として発展を望む が、現在の屋台の店舗数でちょうどよいと思う。これ以上屋台が増えるとお互 いに厳しくなると考えている。また屋台について訪ねられた時、屋台の出具合 がまちまちなため、勧める事に自信がもてない。 ・現状でのホテルと呉の観光施設の関係性は? (回答) 現状での呉の観光客のほとんどは呉で宿泊することはほとんどない。 - 98 - ■ 呉ステーションホテル ・呉市が屋台を夜の観光資源の目玉として発展させようとしている事を知っているか? (回答) 知っている。しかし、呉の観光資源の目玉というにしては貧相で、もっと力 を入れて欲しい。 ・呉の屋台を観光資源と認識しているか? (回答) もちろん観光資源と思っている。ホテル利用客に週1∼2回程度は屋台つい て訪ねられ、たいていは屋台の位置を訪ねられる。 ・ホテル業の視点から、呉の屋台が観光資源としての発展を望んでいるか? (回答) もちろん望んでいる。発展することで呉に人が流れてくることは望ましい。 ・呉の屋台が観光資源として発展することでホテルまたは呉市の利益に結びつくか? (回答) 屋台が観光資源として発展することは、少なからずホテルにもプラス影響に なると思う。 ・ホテルの宿泊客はどういった客層か? ( 回答) 8割以上がビジネス客である。特定の会社のリピーターが多く利用している 。 ・ホテルを利用する観光客は、どのような観光施設をおとずれているのか? (回答) おもに江田島の術科学校。 ・現状でのホテルと屋台の関係性は? (回答) 宿泊客が増えれば屋台客も増えるが、屋台客が増えたり観光客が増えたらと いって宿泊客が増えるとは限らない。 ・現状でのホテルと呉の観光施設の関係性は? (回答) 無関係ともいえるが、呉に人を呼び込んで欲しい。今後ヤマトミュージムが できることで観光客が訪れるようになるが、宿泊に繋がるか疑問である。 - 99 - ⑤ホテルマネージャーの意識のまとめ この一連のホテルマネージャーに対するヒアリング調査から、呉で宿泊する人のほとん どがビジネスを目的として県外から訪れた人で、観光を目的として宿泊する人はほとんど いない。つまり、現在の呉市の観光は宿泊するほどではないと判断できる。宿泊客の屋台 の利用に関しては、上々であり、屋台の場所を訪ねられる事もしばしばあり、屋台を勧め ることもある。このことから呉での夜の飲食の選択肢の中で屋台が多きなウェイトを持っ ていると考えられ、それだけの魅力が屋台にあると考える事が出来る。 ホテルも屋台を呉の観光資源として認識しており発展を望んでいて、それによりホテル の利益につながれば良いと考えている。しかし、屋台を利用するために宿泊することはな く、さらには屋台が観光の発展が宿泊客に直接結びつくわけではないと考えられている。 また、屋台を勧める際に屋台の出店の具合が不安定なため勧めるにあたって半信半疑なこ とがあり、観光資源としてもっと努力すべきであると感じている。 屋台の発展においてビジネス、観光に問わず宿泊客の増加が屋台の発展に繋がるという 考えをもっていることがこの調査でわかった。 表4.2 ホテルマネージャーヒアリングのまとめ 呉阪急ホテル 呉ステーションホテル 夜の観光資源としての目玉 知っているが、小規模で力不足 知っているが、貧相で力不足 観光資源としての認識 あるが、県外から人を呼び込む ある。週1∼2回は屋台につい 力は弱い て聞かれる 屋台の発展 望んでいる 望んでいる 利益の結び付き 観光客増加で利益は望める 少なからずプラス影響である 客層 40∼60代のビジネス客 8割以上がビジネス客 が大半である である 観光客の行き先 江田島の術科学校や海軍関連 江田島の術科学校 ホテルと屋台の関係性 飲食業としてはライバル視 屋台客が増えても宿泊客は増え ない ホテルと観光施設の関係性 観光客の大半は呉で宿泊しない 現状では無関係である - 100 - 4.2.3 屋台経営者 ①調査対象:かさ、富士さん、燻( KUN)、 SEA を調査対象とした。 ②調査理由:周辺環境だけでなく、屋台経営者自身の呉の屋台に対する考えや方向性を知 る必要があった。 ③ヒアリング項目: ■ 屋台経営者ヒアリング項目 ・呉市が屋台を夜の観光資源の目玉としようとしている事を う受け止めているのか? 呉の屋台の発展に 対する意識 ・呉の屋台全体として発展したいと考えているのか? ・今の行政の支援に満足しているのか? ・屋台の店舗数に対して満足しているのか? ・屋台の立地条件に満足しているのか? ・呉の観光施設との関連性を考えているか? ・屋台利用者の中で観光客はどの程度いるのか? ・定休日以外に店を休む時はどんな時か? ・屋台全店がそろう日は週どの程度か? 屋台の現状 ・他店との関係性は? ・呉の屋台の魅力は何か?また経営者自身の店の売りは何か? ・屋台のP.Rを行っているか? - 101 - ④屋台経営者に対するヒアリング結果 ■SEA(新規参入店) ・呉市が屋台を夜の観光資源の目玉としようとしている事をどう受け止めているのか? (回答) 呉の屋台を観光資源と自覚していて、観光資源としての責任、やりがを感じ ている。そして呉市の発展に大いに貢献していきたいと考えている。 ・呉の屋台全体として発展したいと考えているのか? (回答) 屋台全体で発展したい。経営者同士の温度差もあるため、屋台全体としての 動きを起こすのは少々困難である。しかし、屋台のまとまりは良い方向に向か ってきている。 ・今の行政の支援に満足しているのか? ( 回答) 現状に満足している。行政に頼る前に自分たちで発展の努力をすべきである 。 行政にやってもらいたい事は 、蔵本通りのイチョウの木のライトアップである 。 ・屋台の店舗数に対して満足しているのか? (回答) もっと増やしたい。常に十軒以上通りに並びたい、灯りが増えることで賑わ いが増すと考えている 。また店舗数の少ない時にきた観光客に申し訳なく思う 。 ・屋台の立地条件に満足しているのか? ( 回答) 満足している。歩道の整備も良いし、中通りとの位置関係にも満足している。 ・呉の観光施設との関連性を考えているか? (回答) もっと関連性を持たせていきたい。ヤマトに対しては、商店街エリアの集客 が悪くなると予想できるが、商店街の新たな位置づけを考える良い機会である と考え、屋台をふくめ呉市全体としての結びつきを望んでいる。 ・屋台利用者の中で観光客はどの程度いるのか? (回答) 週に2∼3組は県外のお客さんがいる。広島市で観光してから夜に屋台目当 てで来る人が多い 。屋台の情報源は情報誌、インターネットが多いようである 。 ・定休日以外に店を休む時はどんな時か? (回答) 雨、風の強い日。特に風、屋台が壊れる心配がある。 ・屋台全店がそろう日は週どの程度か? (回答) 月2∼3回程度。店の少ない日が気になる。 ・他店との関係性は? (回答) 屋台経営者同士の仲は良く、結束が高まりそうな傾向にある。屋台以外の飲 食店との関係性は、商店街エリアからは良く思われていない。蔵本通りの飲食 店とは、持ちつ持たれつといった関係である。蔵本通りに人を呼び込む力は屋 台に分があるが天候の悪い日などは、屋台目当ての客が周辺の飲食店に流れる といった傾向にある。 ・呉の屋台の魅力は何か?また経営者自身の店の売り何か? (回答) 屋台に選択肢があるということ。アジアンの魅力は、屋台文化の浸透してい るアジアの屋台を演出していところである。 ・屋台のP.Rを行っているか? (回答) 他店にチラシや、クーポン券をおいてもらったことがある。 - 102 - ■薫( KUN) ・呉市が屋台を夜の観光資源の目玉としようとしている事をどう受け止めているのか? (回答) 行政から屋台を発展させようという気が感じられない。役所の各課の考えが ばらばらなため、それぞれの計画の方向性にまとまりがなく関連性が薄い。観 光資源として屋台を発展させるためには行政と屋台、また呉市全体が同じ方向 性をもつことが必須である。 ・呉の屋台全体として発展したいと考えているのか? (回答) 発展は望んでいる。しかし屋台経営者の考えもばらばらなので屋台通りとし てのまとまり意識が低い。さらには、昔ながらの店と新しい店との意識の違い があまりに大きいため、まとまりを求めるのは困難である。 ・今の行政の支援に満足しているのか? (回答) 満足していない。 ・屋台の店舗数に対して満足しているのか? (回答) 増やしてもよいと考えている。屋台の活性化のため常に新しい店を入れ替わ り方式で参入させるような、屋台の競争意識や発展の意識を高めたい。 ・屋台の立地条件に満足しているのか? (回答) 満足している。歩道の整備も良い。 ・呉の観光施設との関連性を考えているか? (回答) 具体的な動きは特に無いが、ヤマトができることで人を呼び込む事はできる のでもっと結びつきをつくって欲しい。 ・屋台利用者の中で観光客はどの程度いるのか? (回答) ビジネス客が2∼3割。海軍関係者は少ない。県外から来た人はどこかしら で屋台の情報を入手している。利用者のほとんどは地元ないし広島である。リ ピーター率は高い。 ・定休日以外に店を休む時はどんな時か? (回答) 雨、風の強い日。特に風、屋台が壊れる心配がある。 ・屋台全店がそろう日は週どの程度か? (回答) 月に1∼2回程度。定休日を合わせる、またあえてずらすなどといった話し 合いのもとではない。 ・他店との関係性は? (回答) 現状では、屋台同士のつながりは薄い。 ・呉の屋台の魅力は何か?また経営者自身の店の売り何か? (回答) ユニークに富んだ店がそっろっている。薫さんの売りは屋台という事を忘れ させるような演出である。 ・屋台のP.Rを行っているか? (回答) 過去に屋台全体でイベントやチラシの制作を行ったが、あまり良い結果が得 られなかった。そういった事もあり、現在では屋台全体で動きをおこすことに ためらいがある。また TV などにとりあげられた事もあるが、広島のテレビ局 に限っては今後呉の屋台をとりあげる事はないであろうと感じている。 - 103 - ■ 富士さん ・呉市が屋台を夜の観光資源の目玉としようとしている事をどう受け止めているのか? (回答) 観光資源として、それほどの強い意識はない。 ・呉の屋台全体として発展したいと考えているのか? (回答) 屋台全体として発展できれば良いといった程度。これまでに屋台全体として 発展のために話し合い、幾度か動きを試みたがあまり良い結果でなかったこと もあり現状では屋台全体として一つまとまることの難しさを感じている。しか し屋台全体がまとまっていくべきで、それを望んでいるのは確かである。 ・今の行政の支援に満足しているのか? (回答) 支援に対しては問題は無く、行政に対しての期待も薄い。というのも、食の 祭典という呉市あげての大イベントに呉の観光の目玉となる屋台の参加を認め てもらえなかったことなど、役所が呉市の発展のために屋台の協力をあおって くるものの、いざ屋台側の要求をなかなか了承してくれない現状にやや不満を 感じている。しかし、駐車場の設置の対応には迅速なものであり、満足と驚き を感じている。 ・屋台の店舗数に対して満足しているのか? (回答) 満足している。店舗数を増やすより、常に店が並ぶようにすべきであると考 えている。 ・屋台の立地条件に満足しているのか? (回答) 満足している。昔からここにいる。 ・呉の観光施設との関連性を考えているか? (回答) 特に考えていない。 ・屋台利用者の中で観光客はどの程度いるのか? (回答) わからない。 ・定休日以外に店を休む時はどんな時か? (回答) 雨、風の強い日。特に風、屋台が壊れる心配がある。 ・屋台全店がそろう日は週どの程度か? (回答) 月2∼3回程度。店の少ない日が気になる。 ・他店との関係性は? (回答) 屋台経営者同士の仲は良く、まとまり性が高まりそうな傾向にある。屋台以 外の飲食店との関係性は、商店街エリアからは良く思われていない。蔵本通り の飲食店とは、持ちつ持たれつといった関係である。蔵本通りに人を呼び込む 力は屋台に分があるが天候の悪い日などは、屋台目当ての客が周辺の飲食店に 流れるといった傾向にある。 ・呉の屋台の魅力はなにか?また経営者自身の店の売り何か? ( 回答) 呉の屋台は 、清潔さ安全さにかけて日本一である。電気 、水道の設備の良さ、 さらに全店値段表示を行っている。全国的に値段表示をしていない屋台の方が 多いのが現状。 ・屋台のP.Rを行っているか? (回答) 屋台全店でチラシを制作している。 - 104 - ■ かさ ・呉市が屋台を夜の観光資源の目玉としようとしている事をどう受け止めているのか (回答) 観光資源としての発展に呉市が力が入れているのは感じる。かさは、これま で通り屋台の日々の営業に励むことをまず第一と考えている。 ・呉の屋台全体として発展したいと考えているのか? (回答) 特別屋台全体という意識ははいが、個人のとしての営業を日々努力しつずけ る事が、結果的に屋台屋台全体として発展につながれば良いと考えてる。 ・今の行政の支援に満足しているのか? (回答) 満足している。これまで営業を続けてこれた事に、呉市に対しても大変感謝 している。今日においても、呉の一等地で営業できるのも呉市のおかげである と考えている。 ・屋台の店舗数に対して満足しているのか? (回答) 非常に満足である。新規参入店に対してとにかく営業を続けて欲しい。 ・屋台の立地条件に満足しているのか? (回答) 非常に満足している。 ・呉の観光施設との関連性を考えているか? (回答) 考えていない。 ・屋台利用者の中で観光客はどの程度いるのか? (回答) 週末には毎週のように数組は来店している。観光客の多くは情報誌を見て屋 台を利用していることがほとんである。 ・定休日以外に店を休む時はどんな時か? (回答) 定休日と雨、風の強い日以外は必ず営業する。 ・屋台全店がそろう日は週どの程度か? (回答) 月1∼2回。屋台の少ない日をへらしたい。かさは基本定休日以外は休むま ないようにこころがけている。 ・他店との関係性は? (回答) 同じ屋台を営む者としての連帯感はあるが、まずは個人としての営業をしか り行い日々し続けるべきと考えている。 ・呉の屋台の魅力はなにか?また経営者自身の店の売り何か? (回答) 楽しい。日々の営業のなかでお客さんとのふれあいが屋台の魅力といえる。 お客さんとの一体感が営業しているほうも楽しい。 ・屋台のP.Rを行っているか? (回答) 屋台全体でチラシを製作した。積極的に PR を行う意欲は少ない。 - 105 - ⑤屋台経営者の意識のまとめ この一連の屋台経営者に対するヒアリング調査から、屋台の経営者たちは呉市の観光資 源としての認識を持っていることは間違いないといえる。現状の屋台に対する考えにはい くつか共通意見がある。屋台の立地条件や電気水道、屋台収納駐車場の設備に対して満足 しており呉市に感謝をしている。また、呉市の屋台の魅力に関しても、電気水道の設備や 料金表を提示することで安全かつ清潔である、さらに多様なジャンルの店があるため利用 者に屋台の選択の幅が広がり楽しんでもらえるといった事を口をそろえて言っている。以 上のことから呉の屋台において統一した意識のもとで各店舗が営業しており、他の店舗に 対してライバル意識ではなく単独で店をかまえるより複数並んで営業することで賑わいや 集客性が良いと考えており連帯意識を強く持っていることがわかる。 しかし、呉の屋台の発展対する意見は様々であり、発展に対する意欲の差を感じる。大 きくみて新規参入の屋台経営者には観光資源としての意識が強いため観光としての発展を 望んでいるが、昔からの屋台経営者はもとは観光資源として屋台を経営していなく、生計 をたてるために営業しているので、観光資源としての意識も薄く、観光としての発展に意 欲的ではないことがわかる。店舗数に関して新規参入の経営者は増やすべきと考えており、 観光資源として規模を拡大し屋台同士の競争化を謀り、さらなる屋台利用者の獲得をねら いたいと考えている。これに対して以前からの屋台は現状で十分であると主張している。 かつての店舗数も多かった頃と現在の集客事情を考えると利用者が分散し経営に悪影響と なる恐れがあり、共倒れする危険があるためであると考えている。 さらに店舗数に関しては別の問題もあるといえる。現状の呉の屋台群の問題点は営業状 況である。現在、全店舗15軒そろうことは月に1∼2回である、週末は十数件が営業して いるが平日では6∼7軒程度でこれより少ない日もある。雨、風の強い日はしかたがない が、定休日をずらし常に何軒かは営業しているようにしているようだが、観光資源として は物足りないといえる。こうした営業軒数の少なさは、呉の観光に対するイメージダウン となることは明らかであり、呉の屋台経営者が観光資源としての認識を持っているのであ れば 、改善すべき点であり 、店舗数の増加はまずこの問題を解決してからであるといえる。 こういった問題点や、発展に対する意識の違いはあるが、呉の屋台の今後の為に屋台が 一つとなり同じ方向性をもっていく必要性をどの店舗も感じているように感じる。これま でに屋台全体で広告の製作や、屋台の写真コンテストのイベントを企画や、その他にも屋 台全体でイベントを企画したが、実現に実施にいたらない場合があり、思うほどの成果が 得られなかった。こういった屋台全体としての動きがあり現在屋台全体が多少なりとも良 い方向へまとまりをみせているように感じる。 - 106 - 表4.3 屋台経営者ヒアリングのまとめ 夜の目玉の認識 SEA 燻 富士さん かさ 自覚あり 自覚あり 自覚なし 日々の営業が 行政になし 大切 屋台の発展 全体で発展 望んでいる 出来れば良い 出来れば良い 行政の支援 満足 不満足 満足 満足 店舗数 増やしたい 増加は賛成 現状維持 考えなし 立地条件 満足 満足 満足 満足 観光施設との関連性 関係性をもち 関係性をもち 考えていない 考えていない 観光客 たい たい 週2∼3組 ビジネス客が わからない 毎週末 多い 休業日 雨風が強い日 雨風が強い日 雨風が強い日 雨風が強い日 全店揃い 月2∼3回 他店との関係性 屋台経営者同 経営者同士の 屋台経営者同 個人の営業が 月1∼2回 月2∼3回 月1∼2回 士は仲が良い 繋がりは薄い 士は仲が良い 大切 呉屋台の魅力 屋台のPR 屋台に選択肢 ユニークな店 清潔さ安全さ ふれあい がある事 がある事 チラシ チラシ クーポン券 - 107 - チラシ チラシ 写真4.1 写真4.2 屋台通り 屋台『富士さん』 - 108 - 写真4.3 写真4.4 屋台『かさ』 屋台『燻』 - 109 - 写真4.5 図4.6 屋台通り2 屋台経営者たち製作の屋台のチラシ - 110 - 4.3 まとめ これらの観光業界 、ホテルマネージャー 、屋台経営者からの意見を総合的に考察すると、 現在の呉の屋台は呉市の観光の目玉と成りえず、呉の名物といったところである。呉の屋 台群について、経営者自身は観光資源としての自覚を持っており、行政も観光資源として 意識し、全国的にアピールしたいと考えている状況である。この事により、屋台の発展、 ひいては呉市の活性化につなげたいと考えている。また、県外からの屋台利用者も多数い るが、呉の屋台を観光の第一目的とし県外から訪れる観光客がほとんどいないのが事実で ある。呉に県外から訪れる人のほとんどがビジネスを目的としたものである、その時の宿 泊の際に屋台を利用する人は多数いるが、観光目的の観光客ではない。そして、呉の屋台 が観光資源として最も欠けているのが知名度である。現状で 、「屋台」を観光資源として の知名度を上げるには非常に困難である。なぜなら、屋台といえば博多や札幌がすぐに頭 に浮かぶように全国的に浸透している為である。当然それらと肩を並べるには同等の観光 条件か、これに匹敵する独特の魅力が必要となる。現在の呉の屋台においては、屋台を第 一目的とした観光客からは選択肢に入ることすらないと言えるだろう。 また、現状の屋台の営業状況が観光資源としての活気の低下をひきおこしている可能性 が大きい。観光資源として規模が大きいほうが集客力につながり望ましいといえるが、現 在の呉の屋台での集客状況から考えると全15軒というのは妥当であると判断できる。しか し、全店そろうのが月1∼2回程度で、週末には十数件並ぶが平日では5∼6軒程度しか 通りに並ばない、この状況では観光資源として物足りなさがある。さらにこういった状況 が屋台利用客に対しても悪い印象となっており活気の低下につながっている。 以上の事から、呉の屋台の観光資源としての現状の問題点は ① 知名度の低さ ② 営業状況の不安定さであるのがわかる。今後の屋台の発展性を考えるうえでこの2つの問 題点を補う必要がある。そして現在の屋台の魅力 ① 衛生面の安全さ ② 屋台の種類 のユニークさをさらに活かしていくことで観光資源として発展する可能性があるものだと と考えられる。 まずは、① 屋台の知名度を上げなければならない、現在屋台自身でチラシを製作を行 い、呉市も夜の観光資源として呉の観光パンフレットで紹介している。しかし、屋台だけ で県外からの観光客を呼び込むことは、上記で述べたように困難で、チラシやパンフレッ トでは期待できない。そこで全国的に認知のあるヤマトミュージアムと関連を持たすこと で、県外からの観光客を屋台に結びつけることが出来るのではと考えている。昼の観光の 目玉をヤマトミュージアムとし、夜の観光の目玉を屋台とすることで屋台の発展、ひいて は呉市の発展につながっていくものと考えられる。呉市は昔から海軍の街として栄えてい たため、全国的に海軍のイメージがあるので、ヤマトミュージアムはまさに呉ならではの 観光施設であり多くの観光客の集客が期待できる。今後は、いかに昼の観光資源と夜の観 光資源の結びつきを作るかが課題である。 次に、② 屋台の営業の不安定さにおいては経営者自身の問題となるが、地元の利用客 を増加させる事が重要であるといえる。ヤマトミュージアムによって県外からの多くの観 光客を呼び込む事に成功したとしても、地元市民の活気がなければ観光客を屋台に結びつ けるにいたらないであるだろう。全国的に屋台の認知度が低いのは否めないが、まずは地 - 111 - 元の利用客の賑わいが屋台へ人を呼び込むための重要なポイントである。 そもそも 、「屋台」自体にすでに魅力が存在している。建物の中での生活が日常となっ ている現在において、半店舗内での飲食行動自体が非日常的であるため、観光客の興味を 引くのは自然なことである。呉の屋台は安全かつ清潔さが魅力であるため、そこのに地元 市民の賑わいが加わることで観光客にとってさらなる信頼を生むことは間違いないとい え、観光客の利用しやすい屋台と発展できると考えられる。 - 112 - 第5章 地理的条件からみた屋台の 成立性 5.1 調査概要 5.2 立地条件 5.3 まとめ 第5章 5.1 地理的条件から見た屋台の成立性 調査概要 5.1.1 研究の背景・目的 観光施設または交通機関は目的観光施設を盛り上げるために大切な要素であると言え る。例えば、屋台が観光資源として成り立っているで福岡の場合では、昼は「キャナルシ ティー博多」などの観光施設に出かけ、夜には中州、天神といった屋台群に出かけるとい う「昼と夜の観光施設への流れ」が出来ているように感じる。果たして、呉市ではこのよ うな観光施設から観光施設への流れは出来ているのだろうか。 ここでの、目的観光施設は「赤ちょうちん通りの屋台群」であり、この「赤ちょうちん 通り屋台群」の位置を基準に他の観光施設や交通機関とどのような位置関係にあるのかを 明確化し、現在の呉市にどのような「観光施設の流れ」があるのかを探り、地理的条件面 から屋台の成立性を探り発展を考察する。 5.1.2 研究方法 ・分析方法:①現地のフィールドワークによって、観光施設のマッピングを行う。 ②マッピングを元に赤ちょうちん通りの屋台群と観光施設の立地をプロット する。 ③プロットを元に実際に立地模型を制作し立地分析を行う。 ・調査地域:屋台を中心とした呉市の中心部 図5.1 屋台を中心とした呉市の中心部 - 113 - 写真5.1 赤ちょうちん通りの景観その1 写真5.2 赤ちょうちん通りの景観その2 - 114 - 写真5.3 赤ちょうちん通りの景観その3 - 115 - 5.2 立地関係 5.2.1 交通機関との関係 ①図5.2は交通機関との位置関係を表したものである。駅とは呉市と他の地域とを結び 付ける大切な交通アクセスである。しかし、第3章で述べた通り 、「電車」についての満 足度が低い事がわかった。この原因は、駅から赤ちょうちん通りは徒歩約30分という位置 にあり、交通アクセスが悪い事や、電車の本数に関係していると思われる。また、交通手 段で最も回答の多かった「自家用車」についての交通アクセスであるが、広島市からの来 客数が比較的多い理由は呉I.Cからのアクセスがしやすいからであると思われる。しか し、半数に近い人が駐車場・駐輪場(図 5.3)に不満をもっている。その原因は駐車 場の数や駐車場の規格の古さによるものであると思われる。 図5.2 交通機関と屋台の位置関係 - 116 - 図5.3 駐車場の位置 - 117 - 写真5.4 屋台のすぐ裏にある駐車場 写真5.5 屋台近辺の駐車場 - 118 - 写真5.6 屋台前の路上駐車その1 写真5.7 屋台前の路上駐車その2 - 119 - 5.2.2 周辺ホテルとの関係 呉のホテルは屋台の2 km 以内に多く存在しており、屋台と結びつきやすいといえる。 そのため屋台の存在を知らずとも夕方ホテル周辺を移動していのかで、屋台の存在を知る 可能性がおおいにあると考えられる。さらにホテルからは徒歩で屋台まで行ける距離なの で非常に気軽に屋台を利用しやすい位置関係であるといえる。4章での意識調査からもわ かるようにホテル利用者が屋台をよく利用するのにはこの位置関係にも要因があるといえ る。 図5.4 周辺ホテルと屋台の位置関係 - 120 - 図5.5 周辺ホテルと屋台との距離関係 - 121 - 5.2.3 周辺観光施設との関係 屋台周辺のおもな観光源は5 km 以内にいくつつか存在する。そのどれもが海軍に関係 するものであり、港周辺に位置している。近いものは入り船山記念館とヤマトミュージア ムである、この距離関係であれば、徒歩での行き来が可能であるがその他は自動車の必要 がある。つまり呉の観光施設をめぐるにあたって車での移動が条件となるといえる。 図5.6 周辺観光施設と屋台の位置関係 - 122 - 図5.7 周辺観光施設施設と屋台との距離関係 - 123 - 写真5.8 図5.8 完成間近のヤマトミュージアム ヤマトミュージアム完成予想図 - 124 - 5.3 まとめ 屋台の周辺環境を把握し発展性を考えるにあたり屋台のおかれる立地状況、交通面、そ してその他の施設との結びつきから考えた結果、次のことが解った。 まず屋台群の位置は呉の中心部に位置しており、呉市の一等地であるという事がわかる。 そして呉市の中でも人通りの多い通りであり、通りの整備もいきとどいており景観も非常 に良いため、呉市の都市環境において屋台の位置は申し分ないといえる。4章で述べた通 り屋台の経営者も屋台の立地条件には大変満足していることが 、このことから納得できる。 また、呉のホテルの多くが屋台周辺に位置するため、宿泊者が気軽に屋台を利用すること がでいる環境といえる。さらに観光施設の目玉となるヤマトミュージアムからも徒歩で移 動できる距離であるため、観光客の多くを屋台へ結びつけることが十分可能な位置関係と いえる。これらのプラス要因は屋台のごく周辺に位置するものとの位置関係にあり交通手 段においては徒歩となっている。しかし、実際呉に訪れるひとの多くは車が交通手段とな っている。屋台と観光施設の位置関係においても車で移動となる距離のものが多い。また JR で呉へ訪れるとなると、行き来に時間がかかるうえにアクセス数の少なさや屋台を利 用するにあたっては終電時間が早いという問題点がある。そうしたことからも呉に自動車 で来る人が圧倒的に多い。この状況に対して屋台の周辺環境は対応しきれていないといえ る。その原因としては駐車場の不十分さにある、現在屋台周辺に駐車場がいくつか存在す るが 、分かりやすさ 、入りやすさに問題があるといえ利用状況も良くないといえる。事実、 屋台の前に路上駐車している車がが頻繁に見かけられ地域問題とまでにいたっている状況 である。これは屋台をもっと気軽に利用したいという表れであるともといえ、まだ知名度 の低い呉の屋台の利用の向上を図るには自動車で気軽に入れる環境を目指す必要があると いえる。 - 125 - - 126 - 第6章 福岡屋台群の実態 6.1 調査概要 6.2 福岡屋台群の魅力 6.3 屋台経営者の屋台に対する意識 6.4 まとめ 第6章 6.1 福岡屋台群の概要 福岡市の基礎資料 この4.1では 、「福岡市の基礎資料」を取り上げ、福岡屋台群の歴史・福岡屋台指導 要綱・交通といった福岡屋台群のバックグラウンドを調べ、福岡屋台群の基礎資料を得る 事を目的とする。 6.1.1 福岡屋台群の歴史 現在の屋台の起源は、全国どの街でもほぼ同じで、第二次大戦(太平洋戦争)の敗戦後、 戦災で焼け出されたり、外地から引き上げて来た人などが、その日の生活の糧を得るため に始めたものである 。福岡市においては 、1945年6月19日の夜半から大規模な空襲があり、 空襲を受けた中心都市 、また 、周辺地域を含めて灰燼に帰したと記録されている。その後、 日本軍は敗戦し、混沌とした時代の中、引揚屋や失業者らが移動飲食業を始め屋台が出現 した。その当時の屋台は 、「闇市」(自然発生的にできた市場)や街頭で営業したものであ った。 しかし、間もなく、水設備や生もの販売など、屋台の衛生面を不安視した連合国軍総司 令部( GHQ)の指示を受けた厚生省が、屋台の全面廃止を目指し漸減方針を打ち出した。 このため、福岡県は「屋台に対し営業許可を与えない」と厳しい姿勢をとった。これに対 し屋台側は1950年に福岡市移動飲食業組合などを結成し、行政に嘆願書を出す一方、1952 年には裁判闘争も勃発したのであった。 裁判は屋台側が敗訴したものの、屋台組合幹部が厚生省に直訴し、ついに昭和30年8月 に厚生省はそれまでの方針を撤回し、「露店(屋台)営業者を食品衛生行政の対象とする。」 といった内容の厚生事務次官通達で、屋台許可の方針が明示された。 こうした中で福岡市の屋台は1965年頃のピーク時では400軒余りまで増加する結果とな った。 しかし、1970年代に入ると、福岡県警は道交法に基づく道路使用許可の名義変更を認め ない方針を打ち出し 、「名義変更できなければ、譲渡ができなくなり、死活問題だ 。」と して、屋台側は県警と粘り強く交渉し1973年にケースバイケースの条件付きながら、名義 変更を認めるという県警の方針変更を引き出す事に成功した。 その後 、約20年の間は天神地下街や地下鉄工事で一時休業を余儀なくされたりはしたが、 大きな問題はなく推移したように見えた。しかし、県警は1994年 、「屋台は営業者一代限 り、生計を共にする親族以外は名義変更を認めない 。」といった方針を打ち出した。今度 は県警の姿勢は堅く、この方針は現在まで引き継がれている。 このように、県警は道路使用違反摘発で屋台に対し強固な態度を示してきたが、1995年 9月その当時の市長であった桑原敬一氏が市議会で 、「歩行者の立場も考え、またアジア の食文化の象徴的な屋台をどのように生かして行くか研究していきたい 。」との答弁をし、 行政・県警・屋台経営者自身にとって大きな方向転換の時であったといえる。 1996年8月には、学識経験者による「屋台問題研究会」が設置し、市民意識調査や観光 客に対するアンケートも実施を行った。屋台問題研究会により、屋台営業についての様々 - 127 - な問題点も浮き彫りとなったが、その反面屋台の観光資源としての成立性、市民への親し み等の効力も明らかとなった。1998年5月には、市の内部に「屋台対策本部」を設立し、 具体的な検討を重ね、2000年7月から施行された「福岡市屋台指導要綱」を制定し、市内 で営業する屋台組合(福岡市移動飲食業組合85件、博多移動飲食業組合92件、長浜移動飲 食業組合15件)に提示した。 福岡市屋台指導要綱の詳細は後に提示するが、この要綱のポイントは、屋台の存在を法 的に認める一方、許可条件に合致しない屋台は移転・再配置しいては撤去を行うことを明 確化したことであるといえる。 - 128 - 6.1.2 福岡屋台指導要綱 〇福岡市屋台指導要綱 (平成12年5月18日) (告示第119号) 目次 第1章 総則(第1条―第4条) 第2章 道路における屋台営業 第1節 占用許可(第5条―第13条) 第2節 屋台の再配置(第14条―第17条) 第3節 道路に関する工事等による屋台の移転等(第18条―第20条) 第3章 公園における屋台営業 第1節 行為許可(第21条―第25条) 第2節 公園に関する工事等による屋台営業の中止等(第26条) 第4章 是正措置 第1節 第1款 道路における屋台営業に対する措置(第27条―第32条) 第2款 公園における屋台営業に対する措置(第33条) 第2節 第5章 指導及び処分等 弁明の機会の付与等(第34条) 雑則(第35条―第41条) 附則 - 129 - 第1章 総則 (目的) 第1条 この要綱は,道路,公園等公共の場所における屋台営業に関し,本市が行う行政 指導その他の施策に関し必要な事項を定めることにより,安全で快適な歩行者空間及び良 好な公衆衛生の確保を図るとともに,屋台が利用者に親しまれ,市民生活と調和したもの となるように誘導することを目的とする。 (定義) 第2条 この要綱において,次の各号に掲げる用語の意議は,それぞれ当該各号に定める ところによる。 (1) 屋台 道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第2条第4項に規定する軽車両 に屋台営業のための設備を備え付けたものをいう。 (2) 屋台営業 (3) 屋台営業者 (4) 道路 屋台を一定の時間一定の場所に設置して行う飲食店営業をいう。 営業許可を受けて屋台営業を行う者をいう。 道路法(昭和27年法律第180号)第2条第1項に規定する道路で市が管理 するものをいう。 (5) 公園 都市公園法(昭和31年法律第79号)第2条第1項に規定する都市公園で市 が管理するものをいう。 (6) 公共の場所 (7) 営業許可 道路,公園その他市が管理し,公共の用に供する場所をいう。 食品衛生法(昭和22年法律第233号)第21条第1項の規定による屋台 営業の許可をいう。 (8) 占用許可 道路法第32条第1項又は第3項の規定による道路の占用の許可をい う。 (9) 使用許可 道路交通法(昭和35年法律第105号)第77条第1項の規定による道路 の使用の許可をいう。 (10) 行為許可 福岡市公園条例(昭和33年福岡市条例第18号)第4条第1項の規定に よる公園における行為の許可をいう。 (市長の責務) 第3条 市長は,この要綱の目的を達成するため,関係法令及びこの要綱(以下「関係法 令等」という 。)に基づき,屋台営業者の指導監督に努めるとともに,屋台営業の適正化 のために必要な施策を総合的に実施するものとする。 (屋台営業者の遵守事項) 第4条 市長が屋台営業者の指導監督を行うに当たり,当該屋台営業者に遵守を求める事 項(以下「遵守事項」という。)は,別表第1に掲げるとおりとする。 - 130 - 第2章 第1節 道路における屋台営業 占用許可 (占用許可) 第5条 道路において屋台営業を行う屋台営業者は,道路法の規定に従い占用許可を受け なければならない。 2 占用許可の申請は,次の各号に掲げる書類を提出して行わなければならない。 (1) 福岡市道路占用規則( 昭和31年福岡市規則第31号 。以下「 道路占用規則」という 。) 第2条第1項及び第3項に規定する道路占用許可申請書及び添付書類 (2) 関係法令等及び占用許可の条件を遵守する旨の誓約書 (3) 第35条第2項の規定により交付を受けた講習会受講証の写し (4) 占用予定場所の背後地の所有者の承諾書(背後地を屋台の設置場所として利用す る場合,屋台を移転する場合等で市長が必要と認めるときに限る 。) (5) 3 その他市長が必要と認める書類 市長は,道路の占用が別表第2に掲げる占用許可の基準に適合し,歩行者等の通行及 び道路の見通し並びに道路構造の保全上支障がないと認める場合に限り,占用許可を 与えるものとする。 (占用許可の条件) 第6条 市長は,屋台営業者に対して占用許可を与えるときは,遵守事項のうち必要なも の及び道路の管理上必要な事項を条件として付すものとする。 (占用許可の期間等) 第7条 2 占用許可の期間は,1年以内とする。 占用許可を受けた屋台営業者が占用許可の期間の満了後引き続き道路において屋台営 業を行おうとするときは,道路占用規則第4条の規定にかかわらず,新たに占用許可 を受けなければならない。 (占用料の納入) 第8条 占用許可を受けた屋台営業者は,福岡市道路占用料徴収条例(昭和28年福岡市条 例第44号)の規定に従い占用料を納入しなければならない。 (道路占用許可書) 第9条 市長は,屋台営業者に対して占用許可を与えたときは,道路占用規則第3条に規 定する道路占用許可書を交付する。 - 131 - 2 占用許可を受けた屋台営業者は,道路占用許可書を屋台内の見やすい場所に掲示しな ければならない。 (届出事項) 第10条 占用許可を受けた屋台営業者は,次の各号のいずれかに該当する場合は,速や かにその旨を市長に届け出なければならない。 (1) 住所若しくは氏名,連絡先又は屋台の名称を変更したとき。 (2) 屋台営業を長期にわたり休止し,又は廃止するとき。 (権利義務の承継) 第11条 屋台営業者の占用許可に係る権利義務は,承継できないものとする。ただし, 占用許可を受けた屋台営業者が死亡し,又は長期療養その他やむを得ない事由 により屋台営業を継続することが困難である場合において,屋台営業による収 入により主たる生計を立てている者(原則として当該屋台営業者の配偶者又は 直系血族の子である相続人に限る 。)が自ら屋台営業を行うときは,この限り でない。 2 前項ただし書の規定により屋台営業者の占用許可に係る権利義務を承継しようとする 者は,市長に申請してその許可を受けなければならない。 3 4 前項の許可の申請は,次の各号に掲げる書類を提出して行わなければならない。 (1) 第5条第2項各号に掲げる書類 (2) 承継の事由及び第1項ただし書の規定に該当する者であることを証する書類 市長は,第2項の許可をするときは,あらかじめ当該屋台に係る使用許可をした警察 署長と協議を行うものとする。 5 屋台営業者の占用許可に係る権利義務を承継した者(以下「承継人」という 。)の占 用許可の期間は,当該屋台営業者が受けていた占用許可の期間の残期間とする。 6 前条の規定は,承継人について準用する。この場合において,同条中「占用許可を受 けた屋台営業者」とあるのは,「承継人」と読み替えるものとする。 (権利譲渡等の禁止) 第12条 占用許可を受けた屋台営業者は,占用許可に係る権利を他人に譲渡し,転貸し, 又は担保に供してはならない。 (占用許可の申請の指導) 第13条 市長は,営業許可及び使用許可を受けた屋台営業者が占用許可を受けることな く道路において屋台営業を行っている場合は,当該屋台営業者に対し,占用許 - 132 - 可の申請を行うよう指導するものとする。 第2節 第14条 屋台の再配置 (屋台の区分) 市長は,この要綱の告示の際現に営業許可及び使用許可を受けて道路において 屋台営業を行っている屋台を,別表第2 2 占用許可の場所に掲げる基準に 適合する屋台及び当該基準に適合しない屋台( 以下「 再配置対象屋台 」という 。) とに区分し,この節に定める措置を実施するものとする。 2 市長は,前項の規定により屋台を区分したときは,その旨を書面により当該屋台の屋 台営業者に通知するものとする。 (屋台の再配置) 第15条 市長は,再配置対象屋台について,屋台の移転,道路の部分改修等の措置を講 じることにより,屋台の再配置(再配置対象屋台が前条第1項に規定する基準 に適合するように行う措置をいう。以下同じ。)を行うものとする。 2 市長は,屋台の再配置を円滑かつ効果的に行うため,再配置対象屋台ごとに屋台の再 配置の場所,方法,期限等について定めた計画(以下「屋台再配置計画」という 。) を平成13年3月31日までに作成するものとする。 3 市長は,屋台再配置計画の作成に当たっては,移動飲食業組合又は当該再配置対象屋 台の屋台営業者及び警察等と協議を行い,合意の形成に努めるものとする。 4 市長は,屋台再配置計画について見直しの必要が生じたときは,これを変更すること ができる。 (屋台の再配置の通知等) 第16条 市長は,再配置対象屋台の屋台営業者に対し,屋台の再配置の期限の1月前ま でに,屋台再配置計画に定めた事項及び屋台の再配置のために必要な手続につ いて通知するものとする。 (再配置対象屋台の占用許可の特例) 第17条 市長は,再配置対象屋台の屋台営業者からの占用許可の申請が,次の各号のい ずれかに該当する場合は,第5条第3項の規定にかかわらず,占用許可を与え るものとする。 (1) 平成13年3月31日までの占用に係る申請で,当該申請を行う屋台営業者が,屋台 の再配置についての協議に応じる旨の意思を表示したとき。 (2) 平成13年4月1日以降の占用に係る申請で,当該申請を行う屋台営業者が,屋台 再配置計画に同意したとき。 - 133 - (3) 2 その他市長が特に必要があると認めるとき。 前項第2号に該当する場合の占用許可の期間は,当該屋台再配置計画に定める屋台の 再配置の期限までとする。 3 再配置対象屋台のうち占用許可を受けないもの及び屋台の再配置の期限までに移転し ないものについては,第32条に定めるところによる。 第3節 道路に関する工事等による屋台の移転等 (道路に関する工事による屋台の移転) 第18条 市長は,屋台営業が道路に関する工事の支障になると認める場合は,道路法第 71条第2項の規定に基づき,当該屋台営業者に対し,期限を定めて屋台の移転 を命じるものとする。ただし,当該工事が道路の安全を確保するために緊急を 要する場合は,直ちに屋台の移転を命じることがある。 2 屋台営業者は,前項の規定により屋台の移転を命じられたときは,自ら移転場所を選 定し,移転場所における占用許可の申請等の必要な手続を経たうえで屋台を移転しな ければならない。 3 屋台営業者は,道路に関する工事による屋台の移転に関して,損失の補償を求めるこ とはできない。 (道路における緊急措置による屋台の移転等) 第19条 市長は,屋台営業が道路の安全を確保するために緊急に講じる措置の支障にな ると認める場合は,道路法第71条第2項の規定に基づき,当該屋台営業者に対 し,屋台の移転又は屋台営業の一時停止を命じることがある。 (道路における公共工事等による屋台の移転等) 第20条 市長は,道路における公共工事又は電気,ガス等の公益事業に関する工事(以 下「公共工事等」という 。)の施行者に対し,屋台営業が公共工事等の支障に なる場合には,当該屋台の移転等について屋台営業者との協議,関係機関との 調整等の必要な対応を行うよう指導するものとする。 2 屋台営業者は,公共工事等の施行者から前項の協議を求められたときは,これに誠実 に応じるとともに,公共工事等の施行に協力しなければならない - 134 - 第3章 第1節 公園における屋台営業 行為許可 (行為許可) 第21条 公園において屋台営業を行う屋台営業者は,福岡市公園条例の規定に従い行為 許可を受けなければならない。 2 3 行為許可の申請は,次の各号に掲げる書類を提出して行わなければならない。 (1) 福岡市公園条例施行規則(昭和33年福岡市規則第21号)第3条に規定する申請書 (2) 関係法令等及び行為許可の条件を遵守する旨の誓約書 (3) 第35条第2項の規定により交付を受けた講習会受講証の写し (4) その他市長が必要と認める書類 市長は,公園における屋台営業が別表第3に掲げる行為許可の基準に適合し,公衆の 公園の利用及び公園の保全上支障がないと認める場合に限り,行為許可を与えるもの とする。 (行為許可の条件) 第22条 市長は,屋台営業者に対して行為許可を与えるときは,遵守事項のうち必要な もの及び公園の管理上必要な事項を条件として付すものとする。 (行為許可の期間) 第23条 行為許可の期間は,3月以内とする。 (公園使用料の納入) 第24条 行為許可を受けた屋台営業者は,福岡市公園条例第6条の2の規定に従い公園 使用料を納入しなければならない。 (届出事項等) 第25条 第10条から第12条まで(第11条第4項を除く 。)の規定は,行為許可を受けた 屋台営業者について準用する。この場合において,これらの規定中「 占用許可」 とあるのは「行為許可」と,第11条第3項第1号中「第5条第2項各号」とあ るのは「第21条第2項各号」とそれぞれ読み替えるものとする。 - 135 - 第2節 公園に関する工事等による屋台営業の中止等 (公園に関する工事等による屋台営業の中止等) 第26条 第18条から第20条まで(第18条第2項を除く 。)の規定は,公園に関する工事 等による屋台営業の中止等について準用する。この場合において,これらの規 定中「道路」とあるのは「公園」と ,「道路法第71条第2項」とあるのは「福 岡市公園条例第22条第2項」と , 「 屋台の移転 」とあるのは「 屋台営業の中止」 とそれぞれ読み替えるものとする。 第4章 第1節 是正措置 指導及び処分等 第1款 道路における屋台営業に対する措置 (違反行為に対する指導) 第27条 市長は,道路において屋台営業を行う屋台営業者が関係法令等に違反している と認める場合は,当該屋台営業者に対し,違反行為の態様,違反の程度,過去 の指導状況等に応じて,市長が別に定める基準に従い,口頭,注意書又は警告 書により指導を行うものとする。 (占用許可の効力の停止) 第28条 市長は,道路において屋台営業を行う屋台営業者が次の各号のいずれかに該当 する場合は,道路法第71条第1項の規定に基づき,当該屋台営業者に対する占 用許可の効力を停止するものとする。 (1) 警告書による指導を1年間に3回受けたとき。 (2) 営業許可又は使用許可の停止処分を受けたとき。 (緊急時における占用許可の効力の停止等) 第29条 市長は,道路において屋台営業を行う屋台営業者が関係法令等に違反し,歩行 者等の安全な通行を著しく妨げていると認める場合は,道路法第71条第1項の 規定に基づき,当該屋台営業者に対する占用許可の効力を停止することができ る。 2 前項の場合において,市長は,当該屋台営業者に対し,歩行者等の安全な通行を確保 するために必要な措置を講じるよう命じることができる。 3 市長は,前項の措置が講じられたと認める場合は,第1項の規定による占用許可の効 力の停止を解除するものとする。 - 136 - (占用許可の取消し) 第30条 市長は,道路において屋台営業を行う屋台営業者が次の各号のいずれかに該当 する場合は,道路法第71条第1項の規定に基づき,当該屋台営業者に対する占 用許可を取り消すものとする (1) 第28条又は前条第1項の規定による占用許可の効力の停止を受けた後1年以内に 再び占用許可の効力の停止事由に該当する行為を行ったとき。 (2) 前条第2項の規定による市長の命令に従わなかったとき。 (3) 営業許可又は使用許可の取消処分を受けたとき。 ( 所轄警察署長からの意見聴取) 第31条 市長は ,第28条 ,第29条第1項又は前条の規定により占用許可の効力を停止し, 又は取り消そうとする場合には,あらかじめ当該屋台に係る使用許可をした警 察署長から意見を聴取するものとする。 (除却命令) 第32条 市長は,道路において屋台営業を行う屋台営業者が次の各号のいずれかに該当 する場合は,道路法第71第1項の規定に基づき,屋台の除却を命じるものとす る。 (1) 占用許可を受けることなく屋台営業を行っているとき。 (2) 再配置対象屋台を屋台の再配置の期限までに移転しないとき。 (3) 第18条第1項の規定による市長の命令に従わなかったとき。 第2款 公園における屋台営業に対する措置 (公園における屋台営業に対する措置) 第33条 第27条から第30条まで及び前条の規定は,公園における屋台営業に対する措置 について準用する。この場合において,これらの規定中「 道路」とあるのは「 公 園」と ,「道路法第71条第1項」とあるのは「福岡市公園条例第22条第1項」 と ,「占用許可」とあるのは「行為許可」と ,「営業許可又は使用許可」とあ るのは「営業許可」と,第29条第1項中「歩行者等の安全な通行を著しく妨げ ている」とあるのは「公衆の公園の利用又は公園の保全に著しい支障が生じて いる」と,同条第2項中「歩行者等」とあるのは「公衆」と ,「通行」とある のは「公園の利用」と,第32条中「除却」とあるのは「退去」とそれぞれ読み 替えるものとする。 第2節 弁明の機会の付与等 (弁明の機会の付与等) 第34条 市長は,屋台営業者に対し,次の各号に掲げる処分をしようとする場合には, 行政手続法(平成5年法律第88号)又は福岡市行政手続条例(平成7年福岡市 条例第56号)の規定に基づき,弁明の機会の付与の手続を執らなければならな い。 - 137 - (1) 第18条第1項の規定による屋台の移転命令 (2) 第26条において読み替えて準用する第18条第1項の規定による屋台営業の中止命 令 2 (3) 第28条の規定による占用許可の効力の停止 (4) 前条において読み替えて準用する第28条の規定による行為許可の効力の停止 市長は,屋台営業者に対し,次の各号に掲げる処分をしようとする場合には,行政手 続法又は福岡市行政手続条例の規定に基づき,聴聞の手続を執らなければならない (1) 第30条の規定による占用許可の取消し (2) 前条において読み替えて準用する第30条の規定による行為許可の取消し (3) 第32条の規定による屋台の除却命令 (4) 前条において読み替えて準用する第32条の規定による屋台の退去命令 第5章 雑則 (講習会の開催) 第35条 市長は,屋台営業者を対象として,屋台営業に関し必要な知識を習得させるこ と等を目的とする講習会を年1回開催するものとする。 2 市長は,講習会の受講者に対し,講習会受講証を交付する。 3 前2項に定めるもののほか,講習会に関し必要な事項は,市長が別に定める。 (移動飲食業組合への加入等) 第36条 屋台営業者は,一定数以上の屋台営業者により構成される移動飲食業組合に加 入するよう努めなければならない。 2 移動飲食業組合は,組合員相互の協力により,屋台営業者が関係法令等を遵守し,適 正な屋台営業を行うよう努めなければならない。 (立入調査) 第37条 市長は,この要綱に定める措置及び施策を実施するため必要があると認めると きは,職員に屋台に立ち入り,営業状況,設備等を調査させ,又は屋台営業者 等に質問し,必要な指導等をさせることができる。 2 前項の規定により立入調査をする職員は,その資格を示す証票を携帯し,関係人の請 求があったときは,これを提示しなければならない。 (屋台モニター事業) 第38条 市長は,市民参加による屋台営業の適正化を推進するため,屋台モニター事業 - 138 - を実施するものとする。 2 屋台モニターは,市長に対し,屋台営業の状況等に関する意見を述べるものとする。 3 市長は,屋台モニターの意見を参考として,屋台営業者に対する適正な指導に努める ものとする。 4 前3項に定めるもののほか,屋台モニター事業の実施に関し必要な事項は,市長が別 に定める。 (優良屋台指定事業の推進) 第39条 市長は,利用者が屋台を安心して利用できるよう,移動飲食業組合が推進する 優良屋台指定事業を支援するものとする。 (国との連携等) 第40条 市長は,国が管理する道路における屋台営業については,この要綱の目的に沿 った指導監督及び措置がなされるよう,国との連携に努めるものとする。 2 市長は,この要綱に定める措置及び施策の実施に伴い問題が生じた場合で,特に必要 と認めるときは,市民及び関係機関等の意見を広く聴き,その解決に努めるものとす る。 (規定外の事項) 第41条 附 この要綱の施行に関し必要な事項は,市長が別に定める。 則 (施行期日) 1 この要綱中第1章,第14条及び第35条の規定は告示の日から,その他の規定は平成12 年7月1日から施行する。 (施行日前における占用許可及び行為許可) 2 平成12年6月1日以降は,この要綱の施行の日前においても,この要綱の施行の日以 降の期間に係る道路又は公園における屋台営業について,第5条若しくは第17条又 は第21条の規定により占用許可又は行為許可をし,及び占用料又は公園使用料を徴 収することができる。 - 139 - 別表第1 第1 1 屋台営業者に遵守を求める事項 屋台の規格等 屋台の規格 屋台の規格は,客席,調理場及び器材置場並びに囲いを含めて,縦(歩道にあっ ては縦断方向)3.0メートル以内,横(歩道にあっては横断方向)2.5メートル以 内とすること。 2 屋台の構造 屋台の構造は,容易に移動することができるものとすること。 3 屋台の設備等 (1) 上下水道の設備の整備に努めること。 (2) 電気及び上下水道の設備を適正に維持管理し,その使用に当たっては,歩行 者等の安全な通行を妨げないこと。 (3) 屋台の利用者等が利用するトイレの確保に自ら努めるとともに,屋台周辺に おける公衆トイレの整備に協力すること。 4 屋台の外観 屋台の外観は,清潔に保つこと。 第2 1 屋台営業時 屋台営業 (1) 屋台営業は,屋台営業者が自ら行うこと。 (2) 屋台営業に当たっては,安全な歩行者空間の確保及び適正な公園利用に配慮 すること。 2 屋台営業の時間 屋台営業の時間は,原則として,屋台の設置及び撤去の時間を含めて,午後6時 から翌日の午前4時までとすること。 3 料金の明示 (1) 飲食料金を利用者の見やすい場所に明示すること。 (2) 当日の原材料の価格によって料金を変更する品目については当日の料金を, 複数の料金体系がある品目についてはそれぞれの料金を明示すること。 4 食品の取扱い (1) 市長が指定した種類の食品以外のものは提供しないこと。 (2) (1)の食品のうち市長が認めるもの以外は,提供する直前に十分に加熱して 提供すること。 - 140 - 5 調理作業等 (1) 下処理,調理,盛り付け,食器洗浄等の作業は,屋台内で行うこと。 (2) 食肉類及び魚介類をさばくときは,これらを衛生的に処理することができる 施設で行うものとし,屋台では行わないこと。 6 食品衛生上の遵守事項 食品衛生に関し市長が別に定める事項を遵守すること。 7 営業時の禁止行為 (1) 屋台及び器材等により歩行者等の通行や視覚障害者用ブロックの使用を妨げ ないこと。 (2) 第3 公共の場所に食材,器材,車両等を放置しないこと。 屋台営業の終了後 1 屋台営業の終了後の措置等 (1) 屋台の設置場所及びその周辺は清掃を行い,公共の場所及び背後地を汚損し ないこと。 (2) 2 屋台及び器材等を公共の場所に放置しないこと。 廃棄物等の処理 (1) ごみ,廃油等を公共の場所に廃棄しないこと。 (2) ごみ,廃油等は事業系ごみとして自らの責任で適正に処理し,家庭系ごみと して処理しないこと。 (3) 汚水は油脂分を除却したうえで処理し,除却した油脂分及び天ぷら等の廃油 は,専門業者に引取りを依頼する等により適正に処理すること。 3 屋台の保管 屋台は,公共の場所に放置することなく,適正な場所で保管すること。 別表第2 1 占用許可の基準 占用許可の対象者 この要綱の施行の際現に営業許可及び使用許可を受けて道路において屋台営業を行 っている者であること。 2 占用許可の場所 歩道と車道が区分された道路の歩道上で,次の各号のいずれにも適合する場所であ ること。 (1) 原則として,住居系用途地域(都市計画法(昭和43年法律第100号)第9条第 1号から第7号までに規定する地域をいう 。)でなく,かつ,背後地が住居で ないこと。 - 141 - (2) 屋台設置後の歩道の有効幅員が2メートル以上確保されること。 (3) 視覚障害者用ブロックが設置されている歩道にあっては,当該ブロックから0. 6メートル以上離れていること。 別表第3 1 行為許可の基準 行為許可の対象者 次の各号のいずれかに該当する者であること。 (1) この要綱の施行の際現に行為許可を受けて公園において屋台営業を行っている 者であること。 (2) 別表第2 1 占用許可の対象者に掲げる基準に該当する者で,本市が施行す る公共事業その他市長が認める事由により,道路において屋台営業を継続する ことが困難となった者であること。 2 行為許可の場所 市長が行為許可の対象者ごとに指定する公園及び場所で,次の各号のいずれにも適 合する場所であること。 (1) 公衆の公園の利用に支障とならないこと。 (2) 公園以外に屋台営業を行う適当な場所がないこと。 (3) 公園の周辺の居住者等の迷惑とならないこと。 (4) 公園の種別,位置,面積及び利用状況からみて適当と認められるものであるこ と。 3 行為許可の対象行為 次の各号のいずれにも適合する行為であること。 (1) 必要やむを得ない事由に基づく屋台営業であること。 (2) 公園という公共施設で行われる行為として許容できるものであること。 (3) はり紙,はり札その他の広告物を表示し,又は広告物を掲出する物件を設置し ないこと。 (4) 過去において公園管理上の指示に従わなかった等,市長の指示に従わないおそ れがあると認められないこと。 (5) その他公園の管理上支障とならないこと。 - 142 - 6.1.3 福岡市の人口 ①推計人口【平成16年12月1日現在】 表6.1 推計人口 行政区 東 表6.2 人口 区 122,851 276,175 博多区 100,148 190,440 中央区 92,602 164,590 区 110,673 247,860 城南区 61,898 128,176 早良区 86,820 207,941 西 区 68,695 178,078 福岡市 643,687 1,393,260 南 計 世帯数(参考) 年齢3区分人口(住民基本台帳) H16.9.30 年齢区分 総数 15歳未満 379,104 193,788 185,316 15∼64歳 1,888,310 922,964 965,346 65歳以上 392,922 156,324 236,598 2,660,336 1,273,076 1,387,260 38.6歳 37.2歳 39.9歳 合 計 平均年齢 男 女 注1) 推計人口は平成12年国勢調査確定人口を基礎として毎月の住民基本台帳及び外国 人登録の異動状況等から算出した人口。 ( http://www.city.fukuoka.jp)を参照 - 143 - ②全市の人口推移【平成7年10月1日】 表6.3 全市の人口推移 年月日 調査方法 人 口 (人 ) 対前回(年)同月 増 減 数 (人 ) 増 減 率 (% ) − 大 正 9年 10月 1 日 国勢調査 239,956 − 大 正 14年 10月 1 日 国勢調査 274,415 34,459 14.4 昭 和 5年 10月 1 日 国勢調査 321,276 46,861 17.1 昭 和 10年 10月 1 日 国勢調査 372,499 51,223 15.9 昭 和 15年 10月 1 日 国勢調査 398,468 25,969 7.0 昭 和 22年 10月 1 日 国勢調査 416,322 17,854 4.5 昭 和 25年 10月 1 日 国勢調査 487,885 71,563 17.2 昭 和 30年 10月 1 日 国勢調査 591,868 103,983 21.3 昭 和 35年 10月 1 日 国勢調査 682,365 90,497 15.3 昭 和 40年 10月 1 日 国勢調査 769,176 86,811 12.7 昭 和 45年 10月 1 日 国勢調査 871,717 102,541 13.3 昭 和 50年 10月 1 日 国勢調査 1,002,201 130,484 15.0 昭 和 55年 10月 1 日 国勢調査 1,088,588 86,387 8.6 昭 和 60年 10月 1 日 国勢調査 1,160,440 71,852 6.6 平 成 2年 10月 1 日 国勢調査 1,237,062 76,622 6.6 平 成 7年 10月 1 日 国勢調査 1,284,836 47,774 3.9 平 成 8年 10月 1 日 推計人口 1,296,308 11,472 0.9 平 成 9年 10月 1 日 推計人口 1,309,330 13,022 1.0 平 成 10年 10月 1 日 推計人口 1,321,914 12,584 1.0 平 成 11年 10月 1 日 推計人口 1,331,406 9,492 0.7 平 成 12年 10月 1 日 国勢調査 1,341,470 56,634 4.4 平 成 13年 10月 1 日 推計人口 1,354,304 12,834 1.0 平 成 14年 10月 1 日 推計人口 1,368,450 14,146 1.0 平 成 15年 10月 1 日 推計人口 1,380,458 12,008 0.9 注)平成12年の増減比較対象は,その前回の国勢調査である平成7年10月1日 - 144 - 6.1.3 屋台群の配置 ①長浜地区 図6.2 長浜地区 長浜地区 ・長浜とん吉本店(グル−プ) ・若大将(グループ) 長浜とん吉本店 若大将 長浜茶屋 天ぷら屋 長浜とん吉一休 長浜めん吉 長浜とん吉二代目 焼肉繁 長浜とん吉分家 魚繁 長浜ラーメン満月 ナンバーワン 港屋 さよこ やまちゃん 法務局前 あづま てるちゃん - 145 - ②中州地区 冷泉公園 博多駅前通 あきちゃん 笑平 あや ちから えびちゃん ぴょん吉 菊屋 錦ちゃん 照ちゃん(制作中) 図6.3 中州地区 春吉橋付近 朝日屋 白ちゃん 一平 ひょうたん 一竜 風来坊 牛チャン 呑龍 山幸 松ちゃん(制作中) 省ちゃん 峰ちゃん 大ちゃん もり 武ちゃん 山ちゃん たっちゃん のんのこよ 明治生命前 大政(制作中) 俵ちゃん ひょうたん かん太郎 天下一品 将義(海) KENZO 長浜横綱(制作中) やっちゃん 出張横綱(制作中) のんきや - 146 - ③天神地区1 郵便局前 お圭ちゃん みっちゃん りゅう太くん 新妻 千春 春駒 大八 天神さん 天州 まみちゃん 白龍 一輪 たか栄 雲仙 天一 なんしょうと屋 那須の大八 河ちゃん 図6.4 天神地区1 親不孝通 日銀前 たかちゃん 対州軒 山ちゃん ともちゃん 玄海 華 満龍 みゆき&飛鳥 小金ちゃん 都 忠助 ひろや 与作 鬼多郎 てるちゃん 福錦 福岡駅前 鬼多郎 姫ちゃん よっちん 将 池田屋 まるよし 千代 とめちゃん 喜柳 屋台屋 なかちゃん しんきろう 安さん さつまや 味府 永ちゃん - 147 - ④天神地区2 図6.5 天神地区2 渡辺通り ジークス前 おかもと 移転(市役所前) こがちゃん 鬼多郎 なおちゃん 馨固神社前 西通り入り口 あほたれーの 沖縄料理ちょうちん ムッシュ大 龍宮 宗 - 148 - ⑤赤坂地区 赤坂地区 うまっつら けいじ 図6.6 赤坂地区 ⑥箱崎地区 箱崎地区 金八(制作中) 花山 図6.7 箱崎地区 ⑦呉服地区 呉服地区 たこしん 図6.8 呉服地区 - 149 - ⑧千代県庁口地区 千代県庁口 赤のれん 大衆軒 天ぷら春駒(制作中 博多うまか屋台 ふくちゃん 図6.9 千代県庁口地区 ⑨博多地区 博多地区 はじめちゃん 飛車浬 図6.10 博多地区 ( http://www.yatai.ne.jp/)を参照 - 150 - 6.2 福岡屋台群の魅力 6.2.1 福岡市民の屋台に対する意識 福岡市が1996年11月に行った市民意識調査(993サンプル、回収率50.1%)によると、「屋 台に行ったことがある人」は80.8% 、「屋台営業によい面 あり」と答えた人は79.8%に 達した。また「屋台はあった方がいいかどうか」では、あった方がいい71.3%、ない方が いい11.8%で 、屋台は多くの市民に親しまれているのが分かる。まず、注目すべき点は「 屋 台に行ったことがある人」が80.8%という高い数値を記録しているという事である。8割 の福岡市民が多少なりとも屋台を利用した経験があり、屋台を利用することにあまり抵抗 心がなく、屋台の存在価値を認めていることがわかる。 屋台に行った経験がある 屋台に行った経験がない 0% 20% 40% 60% 80% 100% 人数 図6.11 屋台利用経験 屋台の営業によい面あり 屋台の営業によい面なし 0% 20% 40% 60% 人数 図6.12 屋台営業のメリット・デメリット - 151 - 80% 100% 屋台はあるべき 屋台はないべき 0% 20% 40% 60% 人数 図6.13 屋台の存在価値 - 152 - 80% 100% 6.2.2 観光客や出張客の屋台に対する意識 屋台は福岡に来た観光客や出張客にも親しまれている。福岡市がこれらの人たちに行っ たアンケート調査(1996年8∼10月、1609サンプル)では 、「福岡に屋台がある」ことを93 %の人が知っており、53.9%の人がその時の訪問で屋台に行っている。そして、次回の訪 問時に屋台に行きたいと答えた人は76.8%に達している状況である。さらに「福岡の屋台 を残してほしい」と言う人も76.8%であり、屋台の魅力について同調査では 、「福岡らし さがある」47.5% 、「庶民的で気軽に利用できる」28.1%、「観光面 で貢献している」24. 8%となっている。特に観光客へのアンケートでは「屋台は福岡のイメージにあっている と思う」人が87.7%もいることがわかった。 このアンケート結果より、観光客や出張客に非常に親しまれており、福岡屋台群の知名 度においては 、9割弱の高い数値を記録している 。しかし 、 「 庶民的で気軽に利用できる」 「観光面で貢献している」という項目においては、2割強程度の低い数値となっている。 これは、各地方に屋台がなく、馴染みが薄いためであると考えられる。 屋台の存在を知っている 屋台の存在を知らない 0% 20% 40% 人数 図6.14 屋台の知名度 - 153 - 60% 80% 100% 屋台に行く 屋台に行かない 0% 20% 40% 60% 80% 100% 60% 80% 100% 人数 図6.15 屋台利用 次回は行く 次回も行かない 0% 20% 40% 人数 図6.16 次回の利用度 - 154 - 屋台を残してほしい 屋台を残してほしくない 0% 20% 40% 60% 80% 100% 人数 図6.17 屋台の存続希望度 福岡らしさがある 福岡らしさがない 0% 20% 40% 60% 人数 図6.18 屋台の福岡らしさ - 155 - 80% 100% 気軽に利用できる 気軽に利用できない 0% 20% 40% 60% 80% 100% 人数 図6.19 屋台利用の気軽さ 観光面 で貢献し ている 観光面 で貢献し ていない 0% 20% 40% 60% 80% 人数 図6.20 屋台の観光面の貢献度に対する意識 - 156 - 100% イメージに合っている イメージに合っていない 0% 20% 40% 60% 人数 図6.21 屋台と福岡のイメージの合致度 - 157 - 80% 100% 6.2.3 福岡屋台群の魅力 屋台が象徴する「福岡らしさ」とはどういうものであるだろうか。リヤカーに小屋掛け しただけの屋台は、近代的都市が生み出したものではなく、屋台は戦争あるいは戦災後の 混乱した状況の中から生まれてきた。 一方、アジアの都市には屋台が大きな位置を占め、日本のように点在するのでなく、一 大集団となり、都市の重要な要素となっているといえる。周辺から膨大な人口を吸収し、 住居も十分でない中で、巨大な台所の役割を果たしている。 これらから言えることは、福岡という街は都市ができあがる際の人間のるつぼのような 猥雑さ(下品で、ごたごたしていること)と活気を感じさせるというものであり、それを多 くの人が求めているということであるだろう。 もう一つは屋台の持つ「気の置けなさ(遠慮がいらない、打ち解けられる雰囲気)」であ る。公園やショッピングビルのベンチで隣り合ったとしても、気軽な会話が始まることは 難しいが、酒と食べ物を前にして、知らない同士が肩と肩を触れ合わせる屋台のベンチで は、気軽に隣と会話することが出来る。外来の客に人気なのはこの点ある。これが福岡の 街に似合うというわけであり、屋台群独自の魅力であるといえる。 また、観光客や出張客に対しては、多くの屋台が軒を連ねていて、多くの人が利用して いる事から屋台に対しての「入りやすさ」が福岡屋台群が繁盛している要因であるといえ る。この入りやすさとは、何かの列や客の入りが多い店舗が出来ていたら期待して並んで しまう人間の心理である。 これらは福岡が古くからの町人の町・博多を温存して現在に至ったことと、大いに関係 があると思われる。城下町はその必要性から機能的に町を作り上げていくが、歴史を経て 作られた商業都市は色街まで含んで種々雑多なものを抱え込んでいるのである。ついでに いえば、そのような地盤があったからこそ、他の都市では絶滅といえる屋台を、現在まで 温存することが出来たのであるだろう。 現在の福岡屋台群は、福岡市民の屋台に対する親しみや屋台の存在を誇りに思っている 人々によって支えられ、屋台群も市民の期待に応えようと日々努力・勉強をしている屋台 経営者の屋台に対する“ 思い ”の二大柱で支えられているといっても過言ではないだろう。 呉市の屋台群に利用する魅力があるとするならば、第一に、屋台数を増やしメディアに 多く取り上げられる事であり、次に観光客や出張客を誘致する事を考える以前に、屋台が 地元の特有のものであるといった意識を市民に植え付け、呉市民や広島市民に屋台の存在 を認知してもらい、呉市に来てもらう事が大切である。そして、屋台通りが常に賑わい、 観光客・出張客が屋台に入りやすい状況にする努力が大切である。 - 158 - 6.3 経営者の屋台に対する意識 6.3.1 調査目的 屋台の夜の観光資源としての成立性を考える中で、すでに屋台が夜の観光資源として成 立している福岡の屋台群を参考にしたいと思う。呉の赤ちょうちん通りの屋台群と福岡の 屋台群とでは、都市の発達度合いや人口が異なることは明らかである。しかし、福岡の屋 台群の魅力の中で赤ちょうちん通りの屋台の発展に活用できる点があるはずである。そこ で、①各ヒアリング調査をもとに福岡屋台群の魅力を明らかにし、赤ちょうちん通りの発 展に何が活用することが出来るかを模索し検討する。 次に 、福岡の屋台経営者は屋台群をどのように受け止め 、認識しているのかを調査する。 この調査では、赤ちょうちん通り屋台群で行った“屋台経営者に対するヒアリング調査” をもとに、②福岡の屋台経営者にヒアリング調査を行う。このヒアリング調査では、福岡 と呉では、屋台経営者の“屋台に対する意識”の差異はあるのだろうか。その差異を検証 し、福岡の屋台がなぜ夜の観光資源として成立し、人を引きつける魅力は何かを検討し、 観光資源として成立するための資料を得る事が目的である。 以上の資料を集め、屋台に対する認識における基礎資料を収集する。 6.3.2 ヒアリング調査 ①調査方法:実際に福岡屋台群に行き屋台経営者にヒアリング調査を行う。 ②調査時期:2005年1月18日 ③調査項目: ・何年間屋台経営を行っているのか ・屋台の店舗数についての問題 ・他の屋台との関係性 ・屋台の位置づけ(観光資源or飲食店) ・昔と今の福岡の屋台群比較してどのように変化しているのか ・なぜ福岡の屋台は観光資源としての発展に成功したのか (なぜ観光客を誘致する事に成功しているのか) ・行政の支援に対して満足度 ・屋台利用客の中に観光客はどの程度いるのか ・福岡屋台群(屋台単独)独自の屋台の魅力は何か ・屋台独自のP.Rを行った経験があるか ・跡継ぎ問題をどのようにとらえているか(経営者の高齢化 - 159 - 等) 図6.22 冷泉地区 冷泉公園の屋台 あきちゃん 笑平 あや ちから えびちゃん ぴょん吉 菊屋 錦ちゃん 照ちゃん(制作中) - 160 - 写真6.1 夜の冷泉公園前 写真6.2 昼の冷泉公園前 - 161 - 写真6.3 屋台『えびちゃん』外装 写真6.4 屋台『えびちゃん』内装 - 162 - 6.3.3 冷泉公園でのヒアリング調査 ①『えびちゃん』に対するヒアリング調査 ・何年間屋台経営を行っているのか? (回答) 19年間屋台の経営を行っている。 ・屋台の店舗数についての問題 (回答) だんだん屋台数が減少している事が不安要素である。昔は最大500軒ほど の屋台があちらこちらにあったが 、『福岡屋台指導要綱』で跡継ぎは、配偶 者または直系の血族者と決められた事により、現在では200軒余りまで減少 してしまった。このままでは 、屋台がなくなってしまうと不安に思っている。 ・他の屋台との関係性 (回答) 『えびちゃん』では、他の屋台と違っているBARといったをとっている ため他の屋台をライバル視していないので、他店とも仲が良く、客が要望し た屋台も紹介したりする。そのため、他店の屋台巡りなどをして屋台の勉強 をしている。 ・屋台の位置づけ (観光資源 or 飲食店) (回答) 福岡の観光資源として成り立っているという意識と誇りを持っている。た だ 、やはり飲食店業であるので 、半分半分という気持ちで営業を行っている。 ・昔と今の福岡の屋台群を比較してどのように変化しているのか (回答) 昔は最大で500軒位の屋台が点在していたが、今では減少の一途をたどっ ている。やはり、大きく変わったのは店舗数である。次は、昔は屋台という ものは新鮮な物を早く安く提供する場所として仕事帰りの人に人気であった が、今ではコンビニエンスストアーや24時間営業のファミリーレストランが 出来て地元の客は減少している。 ・なぜ福岡の屋台は観光資源としての発展に成功したのか (なぜ観光客を誘致する事に成功しているのか) (回答) 福岡への観光客は博多に宿泊している。昼には、天神などで買い物などを 行い 、夜には屋台へ来るといった“ 昼から夜への流れ”が出来ている。また 、 旅行雑誌やTVメディアの力は大きい。 ・行政の支援に対しての満足度 (回答) やはり、上下水道の問題は解消してほしいと思う。また、屋台の再配置の 問題が今後の屋台問題のポイントであると思う。しかし、屋台と行政との歩 み寄りは大切である。 ・屋台利用客の中に観光客はどの程度いるのか (回答) 観光客は多い。週末などは口コミの観光客や旅行雑誌・メディアなどを見 た観光客がかなり来る。九州への観光客で屋台目的という人が結構多い。 ・福岡屋台群の魅力は何か (回答) 屋台が点在して屋台数が多い事である。移動飲食業組合を作り観光客が安 心して来ることが出来るように取り組んでいる。 ・屋台独自のP.Rを行った経験があるか (回答) うち(えびちゃん)の場合は来てくれた客にコースターや名詞を渡しリピ ーターや紹介された新規の客を獲得する事に成功している。 ・跡継ぎ問題をどのようにとらえているか(経営者の高齢化 等) (回答) このまま行くと屋台数の減少が不安である。最終的には屋台がなくなって しまうのではないかと不安に思っている。 - 163 - 写真6.5 屋台『照ちゃん』外装 写真6.6 屋台『照ちゃん』内装 - 164 - ②『照ちゃん 』(福岡移動飲食店組合組合長)に対するヒアリング調査 ・何年間屋台経営を行っているのか? (回答) 30年間屋台の経営を行っている。 ・屋台の店舗数についての問題 (回答) だんだん屋台数が減少している。昔は最大500軒ほどの屋台があちらこち らにあったが 、『福岡屋台指導要綱』で跡継ぎは、配偶者または直系の血族 者と決められた事により、現在では200軒余りまで減少してしまった。しか し、今の時代ではちょうど良い数である。 ・他の屋台との関係性 (回答) 現在は 、『博多移動飲食店組合 』『福岡移動飲食店組合 』『長浜移動飲食店 組合』の3組合がある。昔は屋台の店舗数が多く3つの組合にしたが、現在 では屋台の店舗数の減少に伴いこの3組合を1つに統合しようという動きが ある。 ・屋台の位置づけ (観光資源 or 飲食店) (回答) 福岡の観光資源として成り立っているという意識と誇りを持っている。た だ 、やはり飲食店業であるので 、半分半分という気持ちで営業を行っている。 しかし、警察は道路上の問題などで屋台を廃止して店を持ってほしいと思っ ているみたいである。 ・昔と今の福岡の屋台群を比較してどのように変化しているのか (回答) 昔は最大で500軒位の屋台が点在していたが、今では減少の一途をたどっ ている。やはり、大きく変わったのは店舗数である。次は、昔は屋台という ものは新鮮な物を早く安く提供する場所として仕事帰りの人に人気であった が、今ではコンビニエンスストアーや24時間営業のファミリーレストランが 出来て地元の客は減少している。 ・なぜ福岡の屋台は観光資源としての発展に成功したのか (なぜ観光客を誘致する事に成功しているのか) ( 回答 ) 古くから屋台が存在し 、それに伴い多くの屋台が存在していた。そのため 、 古くから屋台に対して市民が馴染んでいるのではないだろうか。また、観光 客に対しては屋台が多く存在していることにより、多くのメディアが長浜の 屋台や中州の川沿いの屋台を取り上げ福岡名物として成り立っている。中州 では、ホテルなどが多くあり観光客が屋台に来やすい環境になっている。 ・行政の支援に対しての満足度 (回答) 屋台の再配置の問題が今後の屋台問題のポイントであると思う。また、警 察と行政・屋台組合の考えの不一致がある。 ・屋台利用客の中に観光客はどの程度いるのか (回答) 観光客は多い。週末などは観光客や旅行雑誌・メディアなどを見た観光客 がかなり来る。九州への観光客で屋台目的という人が結構多い。 ・福岡屋台群の魅力は何か (回答) 屋台が点在して屋台数が多い事である。移動飲食業組合を作り観光客が安 心して来ることが出来るように取り組んでいる。屋台独自の魅力は周囲の人 や店主との距離が近い事である。屋台に来ると、みんなが平等に気軽に話が 出来る事が出来る。 ・屋台独自のP.Rを行った経験があるか (回答) ない。しかし、メディアのイベントなどの時はテレビ局に実際屋台をもっ て行くこともある。 ・跡継ぎ問題をどのようにとらえているか(経営者の高齢化 等) (回答) このまま行くと屋台数の減少が不安である。最終的には屋台がなくなって しまうのではないかと不安に思っている。 - 165 - 図6.23 親不孝通り 親不孝通 たかちゃん 対州軒 玄海 華 小金ちゃん 都 与作 鬼多郎 - 166 - 写真6.7 屋台『都』外観 写真6.8 屋台『都』内観 - 167 - 6.3.4 親富孝通りでのヒアリング調査 ・『 都』に対するヒアリング調査 ・何年間屋台経営を行っているのか? (回答) 17年間屋台の経営を行っている。 ・屋台の店舗数についての問題 (回答) だんだん屋台数が減少している事が不安要素である。昔は最大500軒ほど の屋台があちらこちらにあったが 、『福岡屋台指導要綱』で跡継ぎは、配偶 者または直系の血族者と決められた事により、現在では200軒余りまで減少 してしまった。このままでは 、屋台がなくなってしまうと不安に思っている。 ・他の屋台との関係性 (回答) 福岡移動飲食店組合に入って上手く関係性を持っている。 ・屋台の位置づけ (回答) (観光資源 or 飲食店) 屋台経営者にとってはただの飲食店であるが、市の観光課などにとっては 大切な観光資源ではあると思う。 ・昔と今の福岡の屋台群を比較してどのように変化しているのか (回答) 景気に伴って客が減少している。 ・なぜ福岡の屋台は観光資源としての発展に成功したのか (なぜ観光客を誘致する事に成功しているのか) (回答) 旅行雑誌やTVメディアの力は大きく、屋台という存在が他県の人からと ってみると珍しいからと思う。 ・行政の支援に対しての満足度 ( 回答 ) 考えても仕方がないと思っているが 、警察からみると屋台は目の敵である。 ・屋台利用客の中に観光客はどの程度いるのか (回答) 観光客は多い。週末などは口コミの観光客や旅行雑誌・メディアなどを見 た観光客がかなり来る。週末の客の8割が観光客である。 ・福岡屋台群の魅力は何か (回答) 屋台が点在して屋台数が多い事である。 ・屋台独自のP.Rを行った経験があるか (回答) 組合に入り自然とインターネットなどで勝手にP.Rになっている。 ・跡継ぎ問題をどのようにとらえているか(経営者の高齢化 (回答) 等) このまま行くと屋台数の減少してしまうが、仕方ないと思う。 - 168 - 6.4 まとめ 2000年3月 、「福岡市屋台指導要綱」が策定され、市内で営業する屋台組合(福岡市移動 飲食業組合85軒、博多移動飲食業組合92軒、長浜移動飲食業組合15軒)に提示された。こ の要綱のポイントは、屋台の存在を法的に認める一方、許可条件に合わない屋台は移転・ 再配置を行うことを明確にしたことであったが、福岡屋台群の場合屋台数が多すぎて移転 ・再配置がなかなか難しいというのが現状である。しかし、一部の屋台は、既に移転・再 配置されており、移転先が決まらない場合は市が他の土地を紹介するか、いくらかの金額 で屋台を廃業するかといった措置がとられている。この動きは、市が観光資源として屋台 を見ているといった態度の表れである。 この調査においての目的は①福岡と呉の屋台経営者の“屋台に対する意識”の差異を検 証し、福岡の屋台がなぜ観光資源として成立し、人を引きつける魅力は何かを検討し、観 光資源として成立するための資料を得る事であり、②各ヒアリング調査をもとに福岡屋台 群の魅力を明らかにし、赤ちょうちん通りの発展に何が活用する事が出来るかを模索し検 討することである。 ①の目的においての検証結果では、屋台の経営者の“屋台に対する意識”は屋台自身を 観光資源として見なしており、呉市の屋台群と福岡市の屋台群では変化は見て取れなかっ た。ヒアリング調査において、屋台群が点在していることにより福岡の屋台群は注目され 観光資源として発達したという声も聞くことができた。また、屋台群が多く存在している ことにより、メディアにも多く登場し福岡の屋台の人気・認知度を高めている要因である といえる。 ②の目的においての検証結果では 、“規模の差”であると思われる。ここにおいての“ 規模の差”とは“屋台の店舗数の差”でもあるが、福岡市と呉市を比較してみると“都市 の発展度合いの差”が明らかに異なることがわかる 。“屋台の店舗数の差”を考えて見る と、福岡の屋台数は現在203軒あるのに対し、呉の屋台は現在15軒である。屋台数が15軒 では、観光資源として観光客を誘致するのは力不足であると感じる。しかし、福岡の屋台 群のように200軒の屋台を現在の呉市に設立しても、福岡のように観光客が集まるかと考 えると疑問符がついてしまう。なぜなら、 “ 都市の発展度合いの差 ”に深く関係している。 福岡の場合では、昼と夜の観光の流れが出来ている。例えば、観光客は昼は福岡市内でシ ョッピングなどを楽しみ、夜になるとホテルから屋台へ出て行くといった流れが出来てい る。この事から、昼の観光資源と夜の観光資源は表裏一体であり、つまりは、夜の観光資 源として屋台を成り立たす為には昼の観光資源も成立させなければならないという事であ る。 しかし、屋台一店舗の設備は呉市の方が上であると感じる事ができた。水道・ガスの元 栓が全店に設備されており、衛生面で安心して行く事ができ、屋台の広さも呉市の屋台の 方が広いと感じた。 以上のことから、呉の屋台群が夜の観光資源として成り立っていくためには 、『屋台の 店舗数の問題 』、『屋台の認知度の問題 』、『呉市の昼の観光資源の問題』を検討し、改善 することにより夜の観光資源の発達し、ひいては、呉市の発達に繋がっていくものと思わ れる。 - 169 - - 170 - 第7章 結論 7.1 研究の総括 7.2 夜の観光資源としての設立条件の検討 第7章 結論 本章では、研究の総括を行い 、「第4章 地理的条件から見た屋台の成立性 」「第6章 屋台関連主体の屋台に関する意識 」「第5章 福岡屋台群の概要」における問題点を中心 に整理し、夜の観光資源として屋台の活性化のための若干の提言を行う。 7.1 研究の総括 本節では 、 「 第2章 4章 呉市の地域概要 」 「 第3章 屋台の利用客の飲食行動と満足度」 「第 屋台関連主体の屋台に関する意識 」「第5章 「第6章 7.1.1 「第2章 「2.1 地理的条件から見た屋台の成立性」 福岡屋台群の概要」の総括を行う。 呉市の地域概要の総括 呉市の地域概要」については、以下に述べる。 呉市の地域概要」では、呉市の沿革、位置・交通環境、自然条件、人口構成、 観光施設について明らかにしている。 ①呉市は、広島県西南部、瀬戸内海に面した気候穏和で山と海の風光明美な自然に恵まれ た人口約21万の臨海工業都市である。 ②戦前は第2海軍区軍港に指定され、海軍あるいは海軍工廠のまちとして発展し、最盛期 の昭和18年には人口40万人を越えた。 ③昭和10年には、戦後の復興期に重要な役割となった、三呉線(現在の呉線呉ー三原)が 開通している。 ④戦後は戦災よる海軍の解体とともに、壊滅的な打撃を受けたが、昭和29年には海上自衛 隊呉地方隊、呉地方総監部」が設置され、昭和50年頃まで右肩上がりに成長した。 ⑤オイルショック以降は主要産業であった鉄鋼、造船などは 、構造的不況のあおりを受け、 昭和51年からは次第に人口も減少しており、右肩下がりの状況にある。 ⑥昭和59年にはテクノポリス地域に、平成6念には呉地方拠点都市地域に措定されたこと など多くの国のプロジェクト指定を受け、より一層に都市機能の整備と拠点性の向上を 図っていが 、いずれも特効薬とはならず 、現在も毎年1500人くらいの減少が続いている。 ⑦平成17年に呉地域合併問題により、呉市と各町との合併後の新しいまちづくりを総合的 かつ効果的に推進するため、それぞれの町の長期総合計画の理念を継承するとともに、 第3次呉市長期総合計画との整合を図り、合併後の新市のまちづくりの目標及びその実 現のために、多彩な地域資源を生かした産業創造都市の形成や、持統的活力をもつ海洋 交流都市の形成など、総合的な「まちづくり計画」を定め、おおむね10年間(平成17年 度∼平成26度)の具体的な計画があり、新しい呉市に変化しようとしている。 ⑧呉市は中国、四国地方の真ん中に位置する広島県の中心都市広島市に隣接した位置にあ る。 ⑨主要道路は、東西に広島呉道路、国道31号、国道185号、南北に国道487号、国道375が 走り、JR呉線がある。市域のうち54%が山林で平坦地が少なく山によって海まで張り 出した山塊によって市街地が各地区に分断された特異な地形をしている。 - 171 - ⑪呉は瀬戸内海沿岸と中国山地のあいだに位置するので、瀬戸内海岸型気候の遷移地帯と しての気候的特徴を持っている。降水量が少なく,晴天日数や日射量の多いことが特徴 である。 「2.2 赤とちょうちん通りの屋台の概要」では屋台の経緯、実態について明らかに している。 ①1965年市内各地で分散していた28軒が集まって始まった。 ②市が道路上の屋台営業は、現営業者以外は配偶者や子が自ら営業する場合のみ許可する という規制の中で、営業者の高齢化や後継者難等によりその数は減少していった。 ③全国的にも珍しく積極的に行政が取り組んでいて、通りの整備に併せて、屋台専用の水 道や配水管、電気コンセントを整備したり、歩道の植栽を移動し、道幅を拡張するなど 協力している。 ④90年以降店数が8軒に減っていたが、屋台の再生を狙って、7軒の新しい屋台が新規参 入をはたした。 ⑤新規参入店は、従来のラーメン屋台の傾向ではなく、イタリア料理や創作料理、アジア 料理といったユニークな傾向を打ち出しており、屋台として新しい風を吹き込んでいる。 7.1.3 「第3章 屋台の利用客の飲食行動と満足度についての総括 屋台の利用客の飲食行動と満足度」において明らかにしている。 昨年度の調査結果から、赤ちょうちん通りの屋台を利用する人の大部分が「屋台を目的 に来る」などの利用実態を把握する事ができ、過半数の屋台利用客が「満足している」と いう回答を得ることが出来た。また、屋台の観光資源として成立し発展していくために問 題視される要因は、やはり交通の問題であることがわかる。問題視される事柄は、バス・ 電車などの交通機関、駐車場の老朽化・規模、駐輪スペースである。今後は、これらのマ イナス要因の改善策を提案、改善していくこと大切である。このマイナス要因を取り除く ことにより赤ちょうちん通りの活性化、屋台以外の飲食店街の活性化、ひいては呉市の地 域活性化に繋がっていくと考えられる。 「第4章 屋台関連主体の屋台に対する意識」を以下に述べる。 第4章で「屋台関連主体の屋台に対する意識」について①屋台経営者②観光業界③ホテル マネージャーを対象にヒアリング調査を行い明らかにした。 ①屋台経営者ヒアリング調査の結果である。赤ちょうちん通りの屋台を夜の観光資源とし て自覚していて、観光資源としての責任や、やりがいを感じている。さらに、屋台群と しては経営者同士の温度差もある為、屋台全体としての動きを起こすのは、少々困難で ある。呉の観光施設としてヤマトミュージアムがあるが、関連性を持たせ呉市全体とし ての発展を望んでいる。 ②観光業界ヒアリング調査の結果である。観光業界からの視点で屋台を見たとき、福岡の 屋台に比べて 、規模 、知名度などから夜の観光資源としての成立は難しいと考えており、 ツアーなどに利用されていないのが現状である。しかしヤマトミュージアムに関しては、 幅広い年齢層や修学旅行の利用など大変期待しており、この施設と屋台の関連性を必要 - 172 - 不可欠である。 ③ホテルマネージャーヒアリング調査の結果である。最初にホテルなどの宿泊施設を利用 する人の利用形態を調べた。他府県からの利用客は、ビジネス客が大半を占めており、 観光客として利用している人は、江田島の術科学校などの海軍関係の施設を利用してい ることがわかった。ホテル業界からの視点から屋台を夜の観光資源として発展を望んで いるのは事実だが、屋台群としてのまとまり(協力)がないことや、規模の小ささなど から、現状では観光資源としての成立するのは難しいと考えている。 7.1.4 地理的条件から見た屋台の成立性 「第5章 地理的条件から見た屋台の成立性」を以下に述べる。 屋台の周辺環境を把握し発展性を考えるにあたり屋台のおかれる立地状況、交通面、そ してその他の施設との結びつきから考えた結果、次のことが解った。 まず屋台の位置は呉の中心部に位置しており、呉市の一等地であるという事がわかる。 そして呉市の中でも人通りの多い通りであり、通りの整備もいきとどいており景観も非常 に良いため、呉市の都市環境において屋台の位置は申し分ないといえる。4章で述べた通 り屋台の経営者も屋台の立地条件には大変満足していることが 、このことから納得できる。 また、呉のホテルの多くが屋台周辺に位置するため、宿泊者が気軽に屋台を利用すること がでいる環境といえる。さらに観光施設の目玉となるヤマトミュージアムからも徒歩で移 動できる距離であるため、観光客の多くを屋台へ結びつけることが十分可能な位置関係と いえる。これらのプラス要因は屋台のごく周辺に位置するものとの位置関係にあり交通手 段においては徒歩となっている。しかし実際呉に訪れるひとの多くは車が交通手段となっ ている 。屋台と観光施設の位置関係においても車で移動となる距離のものが多い 。また JR で呉へ訪れるとなると、行き来に時間がかかるうえにアクセス数の少なさや屋台を利用す るにあたっては終電時間が早いという問題点がある。そうしたことからも呉に自動車で来 る人が圧倒的に多い。この状況に対して屋台の周辺環境は対応しきれていないといえる。 その原因としては、駐車場の不十分さにある。現在屋台周辺に駐車場がいくつか存在する が、分かりやすさ入りやすさに問題があるといえ、利用状況も良くない。事実、屋台の前 に路上駐車している車が頻繁に見かけられ地域問題とまでになっている状況である。これ は屋台をもっと気軽に利用したいという表れであるともといえ、まだ知名度の低い呉の屋 台の利用の向上を図るには自動車で気軽に入れる環境を目指す必要があるといえる。 7.1.5 福岡屋台群の概要の総括 「第6章 「第6章 福岡屋台群の概要」について以下に述べる。 福岡屋台群の概要」では 、「福岡屋台群の歴史・福岡屋台指導要綱・交通とい った福岡屋台群のバックグラウンドを調べ、福岡屋台群の数件にヒアリング調査を行い明 らかにした。 ①屋台の衛生面を不安視から屋台の全面廃止を目指し漸減方針を打ち出された 。このため、 福岡県は「屋台に対し営業許可を与えない」と厳しい姿勢をとったが、屋台側は1950年 に福岡市移動飲食業組合などを結成し、行政に嘆願書を出す一方、1952年には裁判闘争 - 173 - も勃発した。 ②昭和30年8月に厚生省はそれまでの方針を撤回し 、「露店(屋台)営業者を食品衛生行政 の対象とする 。」といった内容の厚生事務次官通達で、屋台許可の方針が明示された。 そして福岡市の屋台は1965年頃のピーク時では400軒余りまで増加する結果となった。 ③1970年代に入ると、福岡県警は道交法に基づく道路使用許可の名義変更を認めない方針 を打ち出し 、「名義変更できなければ、譲渡ができなくなり、死活問題だ 。」として、 屋台側は県警と粘り強く交渉し1973年にケースバイケースの条件付きながら、名義変更 を認めるという県警の方針変更を引き出す事に成功した。 ④県警は1994年 、「屋台は営業者一代限り、生計を共にする親族以外は名義変更を認めな い 。」といった方針を打ち出した。今度は県警の姿勢は堅く、この方針は現在まで引き 継がれている。 ⑤1996年8月には、学識経験者による「屋台問題研究会」が設置し、市民意識調査や観光 客に対するアンケートも実施を行い、屋台問題研究会により、屋台営業についての様々 な問題点も浮き彫りとなったが、その反面屋台の観光資源としての成立性、市民への親 しみ等の効力も明らかとなった。 ⑥1998年5月には 、市の内部に「 屋台対策本部 」を設立し 、2000年7月から施行された「 福 岡市屋台指導要綱」を制定し、市内で営業する屋台組合(福岡市移動飲食業組合85件、 博多移動飲食業組合92件、長浜移動飲食業組合15件)に提示した。 ⑦福岡市の人口は年々増加しており平成15年10月1日には1,380,458人に至り発展してい る。 ⑧屋台群が至る所に点在し、福岡は観光資源として屋台が成立している。 「6.2 福岡屋台ヒアリング調査」を行い①福岡屋台群と呉の屋台経営者の“屋台に対 する意識”の差異は何なのかを知り得ることである。また、②福岡の屋台群がなぜ夜の観 光資源として成立し、人を引きつける魅力は何なのかを検討し、観光資源として成立する ための資料を得る事を目的とし明らかにした。 ①の目的においての検証結果では、屋台の経営者の“屋台に対する意識”は屋台自身を 観光資源として見なしており、呉市の屋台群と福岡市の屋台群では変化は見て取れなかっ た。ヒアリング調査において、屋台群が点在していることにより福岡の屋台群は注目され 観光資源として発達したという声も聞くことができた。また、屋台群が多く存在している ことにより、メディアにも多く登場し福岡の屋台の人気・認知度を高めている要因である といえる。 ②の目的においての検証結果では 、“規模の差”であると思われる。ここにおいての“ 規模の差”とは“屋台の店舗数の差”でもあるが、福岡市と呉市を比較してみると“都市 の発展度合いの差”が明らかに異なることがわかる 。“屋台の店舗数の差”を考えて見る と、福岡の屋台数は現在203軒あるのに対し、呉の屋台は現在15軒である。屋台数が15軒 では、観光資源として観光客を誘致するのは力不足であると感じる。しかし、福岡の屋台 群のように200軒の屋台を現在の呉市に設立しても、福岡のように観光客が集まるかと考 えると疑問符がついてしまう。なぜなら、 “ 都市の発展度合いの差 ”に深く関係している。 福岡の場合では、昼と夜の観光の流れが出来ている。例えば、観光客は昼は福岡市内でシ - 174 - ョッピングなどを楽しみ、夜になるとホテルから屋台へ出て行くといった流れが出来てい る。この事から、昼の観光資源と夜の観光資源は表裏一体であり、夜の観光資源として屋 台を成り立たす為には昼の観光資源も成立させなければならないという事である。 7.2 夜の観光資源としての設立条件の検討 本節では、呉市の屋台を夜の観光資源に結び付けて活性化を図り、さらに市中心部の飲 食店や他の観光施設との関係をも含め、呉市の地域活性化に繋げるために 、「第4章 屋 台関連主体の屋台に対する意識」で行った①屋台経営者②観光業界③ホテルマネージャー を対象のヒアリング調査 、「第6章第2項 福岡屋台経営者の意識調査」から得られた結 果により、夜の観光資源としての設立条件の検討行う。 屋台経営者ヒアリング調査の結果からは、赤ちょうちん通りの屋台群を夜の観光資源と して経営者自身が自覚し、観光資源としての責任感や、やりがいを感じている。さらに、 屋台群としては経営者同士の温度差もある為、屋台全体としての動きを起こすのは、少々 困難であることがわかった。 観光業界ヒアリング調査の結果からは、観光業界からの視点で屋台を見た場合、福岡の 屋台に比べ、小規模さ、知名度の低さなどの要因から夜の観光資源としての成立は難しい と考えており、現状態ではツアーなどに利用されていないのが現状である。 ホテルマネージャーヒアリング調査の結果からは、他府県からの利用客はビジネス客が 大半を占めており、観光客としてホテルを利用している人は、江田島の術科学校などの海 軍関係の施設を利用していることがわかった。ホテル業界からの視点から屋台を夜の観光 資源として発展を望んでいるのは事実だが、屋台群としてのまとまり(協力)がないこと や、小規模さなどから、現状では観光資源としての成立するのは難しいと考えていること がわかった。 福岡屋台経営者のヒアリング調査から屋台の経営者の“屋台に対する意識”は屋台自身 を観光資源として見なしており、呉市の屋台群と福岡市の屋台群では差異は見て取れなか った。ヒアリング調査において、屋台群が点在していることにより福岡の屋台群は注目さ れ観光資源として発達したという声も聞くことができた。また、屋台群が多く存在してい ることにより、メディアにも多く取り上げられ福岡の屋台の人気・認知度を高めている要 因であるといえる。また、福岡の屋台群がなぜ夜の観光資源として成立し、人を引きつけ る魅力は何なのかを検討した。それは屋台群としての“規模の差”であると思われる。こ こにおいての“規模の差”とは“屋台の店舗数の差”でもあるが、福岡市と呉市を比較し てみると“都市の発展度合いの差”が明らかに異なることがわかる 。“屋台の店舗数の差 ”を考えて見ると、福岡の屋台数は現在203軒あるのに対し、呉の屋台は現在15軒である 。 屋台数が15軒では 、観光資源として観光客を誘致するのは力不足であると感じる。しかし、 福岡の屋台群のように200軒の屋台を現在の呉市に設立しても、福岡のように観光客が集 まるかと考えると疑問符がついてしまう。なぜなら 、“都市の発展度合いの差”に深く関 係していると考える。福岡の場合では、昼と夜の観光の流れが出来ている。例えば、観光 客は昼は福岡市内でショッピングなどを楽しみ、夜になるとホテルから屋台へ出て行くと いった流れが出来ている。 - 175 - このことから、呉市の屋台を夜の観光資源としての設立条件は、まず最初に地元の人間 から屋台を盛り上げ、屋台自体も常時10軒を越える規模で営業していかなくてはならない と考える。そして呉市に昼と夜の観光客の流れをつくるために、昼の観光資源も成立させ なければならない。そこで、呉に昼の観光資源として今後最も有力視される“ヤマトミュ ージアム”と屋台とを関連づけ、呉市地域全体の活性化に繋がる事を期待している。 - 176 -