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既決犯罪通知書に係る存否応答拒否決定処分 (PDF 151.6KB)
平 成 1 9 年 度 答 申 第 2 号 ( 平 成 1 9 年 1 1 月 1 2 日 ) 宝 塚 市 個 人 情 報 保 護 ・ 情 報 公 開 審 査 会 答 申 第 2 号 平成19年11月12日 宝塚市長 様 宝 塚 市 個 人 情 報 保 護・情 報 公 開 審 査 会 会長 平 松 毅 宝塚市個人情報保護条例第42条に基づく諮問について(答申) 「大阪地検から通知された既決犯罪通知書及びそれに関して作成 された行政文書一切の開示請求に対する存否応答拒否決定に係る異 議 申 立 て 」について、当審査会は慎重に審査した結果、次のとおり答申 します。 1 1 審査会の結論 宝 塚 市 長 が 、「 大 阪 地 検 か ら 通 知 さ れ た 既 決 犯 罪 通 知 書 及 び そ れ に 関 し て 作 成 さ れ た 行 政 文 書 」 の 開 示 請 求 に対して、存否応答拒否 とした決定は妥当である。 2 異議申立ての趣旨 本 件 異 議 申 立 て は 、異 議 申 立 人( 以 下「 申 立 人 」と い う 。)が 行 っ た 、 申立人を本人とする自己に係る「 大 阪 地 検 か ら 通 知 さ れ た 既 決 犯 罪 通知書及びそれに関して作成された行政文書」についての開示請 求 に 対 し 、 宝 塚 市 長 ( 以 下「 実 施 機 関 」と い う 。)が 行 っ た 存 否 応 答 拒 否 決 定 ( 以 下 「 本 件 決 定 」 と い う 。) の 取 消 し を 求 め る も の で あ る 。 3 異議申立ての理由 申立人が異議申立書及び意見陳述書で主張している異議申立ての主 な理由は、次のとおりである。 (1) 申立人の前科等の個人情報に関する情報が記載されている書面 や書類等(刑事記録)を国や大阪府が、民事裁判の証拠として、 裁判所に提出し、それらの書類を最高裁までもが採用している。 民 事 裁 判 に 提 出 す る と い う こ と は 、申 立 人 の 前 科 等 に 関 す る 情 報を「公」にしたということである。 (2) 大阪府警察本部長名で、申立人の前科等に関する個人情報は、 開示されている。 (3) 個 人 情 報 開 示 請 求 の 趣 旨 か ら 考 え て 、個 人 情 報 に つ い て は 、行 政 機 関 が 個 人 の 情 報 に つ い て ど の よ う に 取 り 扱 っ て い る の か 、ま た 、ど の よ う な 個 人 情 報 を 作 成 し て 、管 理 し て い る の か を 知 る た め に も 、請 求 の あ っ た 個 人 に 対 し て は 、当 然 、開 示 す る 必 要 が あ る。 (4) 前 記( 1 )及 び( 2 )で は 、個 人 情 報 を 行 政 機 関 が 勝 手 に 使 用 したり、行政機関の勝手な都合で公開されたりしている。 個 人 情 報 に 関 す る 文 書 は 、行 政 機 関 だ け の た め の も の で は な い 。 個 人 情 報 の 文 書 は 、第 三 者 に 対 し て は 、公 開 し た り 、存 否 応 答 を 行 っ て は な ら な い が 、前 科 等 に 関 す る 情 報 は 、そ の 個 人 で あ れ ば 、 2 当 然 、知 っ て い る 情 報 で あ る こ と か ら 、個 人 情 報 の 開 示 を 拒 否 し たり、存否を拒否したりする理由等全くない。 (5) 申 立 人 の 刑 事 記 録 が 流 失 し て お り 、そ れ が 原 因 で 、関 係 者 等 が 申立人から刑事告訴されている。 今 回 の 決 定 を 行 っ た 実 施 機 関 は 、申 立 人 の 刑 事 記 録 に 関 す る 個 人 情 報 を 保 有 し て い る 点 か ら 考 え れ ば 、個 人 情 報 を 流 出 し た 疑 い が あ る 。し か し 、個 人 情 報 を 開 示 す る こ と に よ っ て 、そ の 疑 い が なくなる可能性がある。 ( 6 ) 今 回 の 決 定 で 、実 施 機 関 は 存 否 応 答 拒 否 の 決 定 を 行 っ て い る が 、 他 の 行 政 機 関 で は 、申 立 人 の 前 科 等 に 関 す る 情 報 を 開 示 し て い る ことは、憲法が定める「法の下の平等」に違反する。 (7) 犯 歴 事 務 の 根 拠 等 に つ い て 、 実 施 機 関 は 、 大 正 6 年 4 月 12 日 内 務 省 訓 令 第 1 号 ( 以 下 「 訓 令 」 と い う 。) に 基 づ く も の で あ る という主張である。しかしながら、実施機関が主張する訓令は、 大 日 本 帝 国 憲 法 下 で の 行 政 事 務 で あ り 、ま た 、実 施 機 関 が 先 例 の 趣 旨 と し て 準 拠 し た も の は 、全 て 日 本 国 が 占 領 し て い た 当 時 の も のである。つまり、当時、アメリカが日本を占領していた際に、 ア メ リ カ の 出 先 機 関 で あ る「 G H Q 」の 指 導 の 下 に 行 わ れ て い た 行 政 手 続 で あ る 。少 な く と も 、日 本 国 の 本 当 の 行 政 事 務 と い う の は 、サ ン フ ラ ン シ ス コ 平 和 条 約 が 発 効 し 、日 本 国 が「 主 権 」を 回 復 し た 昭 和 27 年 4 月 28 日 以 降 で あ る 。よ っ て 実 施 機 関 が 主 張 す る の は 、戦 前 の「 憲 兵 」や「 特 高 警 察 」の 行 政 事 務 を 承 継 し て い る 主 張 と し て も 捉 え る こ と が で き る 。そ の よ う な 行 政 手 続 を 、申 立人は、絶対に認めるわけにはいかない。 ま た 、実 施 機 関 が 、宝 塚 市 個 人 情 報 保 護 条 例 に 基 づ い て 保 有 個 人 情 報 を 適 正 に 取 り 扱 っ て い る と の 主 張 で あ る が 、実 際 に は 、申 立 人 の「 個 人 情 報 」が 行 政 機 関 よ り 流 出 し 、関 係 者 等 が 現 在 刑 事 告 訴 さ れ る と い う 事 態 に 発 展 し て い る 。実 際 に 、実 施 機 関 が 流 出 に 関 わ っ た か ど う か は 不 明 で あ る こ と か ら 、調 査 の た め に 今 回 の 申請に至ったのである。 (8) 実 施 機 関 は 、「 就 職 」 や 「 婚 姻 」 に 際 し て 、 前 科 の な い こ と の 証 明 を 求 め る 可 能 性 を 指 摘 し て い る が 、そ の よ う な 場 合 は 、申 請 3 時 に お い て 、申 請 書 に 申 請 理 由 を 記 載 さ せ れ ば 事 足 り る こ と で あ る 。 申 請 理 由 で 、「 就 職 」 や 「 婚 姻 」 等 で 必 要 と 記 載 さ れ て い れ ば、存否応答拒否を行えばよいだけである。 そ れ に 、「 嘘 」 を 記 載 し て 申 請 す る 場 合 も 考 え ら れ る が 、 そ の 場 合 は 、 立 派 な 「 犯 罪 」 で あ る 。 そ れ は 、「 司 法 」 に よ っ て 、 糾 弾 さ せ れ ば よ い だ け で あ り 、こ れ ら の 主 張 は 、本 件 決 定 と は 何 ら 関係のないことである。 4 実施機関の説明 実 施 機 関 の 存 否 応 答 拒 否 決 定 理 由 説 明 書 及 び 口 頭 に よ る 説 明 は 、次 の とおりである。 (1) 犯歴事務の根拠等 市 町 村 に お い て 、地 方 検 察 庁 か ら 送 付 さ れ る 既 決 犯 罪 通 知 書 を 基 に 調 整 す る 犯 罪 人 名 簿 に 関 し て 、管 理 す る 事 務 を 犯 歴 事 務 と 呼 ん で い る 。犯 歴 事 務 は 、訓 令 に 基 づ き 、市 町 村 に お い て こ れ ま で 行 わ れ て き た も の で あ る が 、市 町 村 が 犯 歴 事 務 を 行 う こ と に つ い て 、現 行 の法律には規定はない。戸籍法(昭 和 22 年 12 月 22 日 法 律 第 224 号 )によって法定受託事務として規定されている戸籍に関する 事 務 に お い て 、住 民 等 に 関 す る 身 分 証 明 が 行 わ れ て い る が 、犯 歴 事 務 は 当 該 証 明 事 務 に 付 随 す る も の と し て 行 わ れ て お り 、地 方 自 治 法 ( 昭 和 22 年 4 月 17 日 法 律 第 67 号 ) 第 2 条 に 規 定 す る 自 治 事 務 に 当たるものである。 よ っ て 、当 該 犯 歴 事 務 に 関 し て 全 国 統 一 の 事 務 処 理 要 領 の よ う な も の は な く 、自 治 省( 現 在 の 総 務 省 )が 発 出 し た 通 達 、質 疑 回 答 等 により事務を行っている。 現 在 、 参 考 と し て い る 通 達 等 と し て は 、「 犯 罪 人 名 簿 に 基 く 身 分 証明は、裁判所、検察庁、警察等司法関係官庁からの照会(依頼) が あ っ た 場 合 の ほ か 、各 種 の 法 律 、条 例 又 は 規 則 が 一 定 の 前 科 の あ る こ と を 資 格 制 限 の 事 由 と し て い る 場 合 に 、そ の 資 格 調 査 の た め 当 該主務行政官庁から照会(依頼)があった場合についてのみ行う」 (「 前 科 登 録 と 犯 歴 事 務 」 ~ 日 本 加 除 出 版 株 式 会 社 )、「 犯 罪 人 名 簿 に 基 く 身 分 証 明 は 、個 人 及 び 私 の 法 人 に 対 し て は 一 切 行 っ て は な ら 4 な い 」( 昭 和 23 年 9 月 8 日 自 発 第 766 号 大 分 県 総 務 部 長 あ て 自 治 課 長 回 答 、昭 和 25 年 8 月 17 日 発 連 第 448 号 山 口 県 知 事 あ て 地 方 自 治 庁次長回答)などである。 一 方 、既 決 犯 罪 通 知 書 を 市 町 村 に 送 付 す る 地 方 検 察 庁 に お い て は 、 平 成 18 年 5 月 24 日 か ら 犯 歴 事 務 規 程( 平 成 18 年 5 月 19 日 法 務 省 刑 総 訓 第 690 号 )を 施 行 す る こ と で 、地 方 検 察 庁 に お け る 犯 歴 事 務 を管理し、市町村に対して当該通知書を送付している。 (2) 犯歴事務の目的 市 町 村 が 犯 歴 事 務 を 行 う 主 な 目 的 は 、 公 職 選 挙 法 ( 昭 和 25 年 4 月 15 日 法 律 第 100 号 ) に 定 め る 選 挙 権 及 び 被 選 挙 権 の 資 格 調 査 の た め と 、そ の 他 の 法 令 等 で 定 め る 欠 格 事 由 に 関 す る 調 査 の 回 答 の た めの2点がある。 前 者 に つ い て は 、既 決 犯 罪 通 知 を 受 け た 者 の う ち 、禁 固 以 上 の 刑 に 処 せ ら れ た 者 ( 執 行 猶 予 の つ い た も の は 除 く 。) 又 は 公 職 選 挙 法 違反で罰金以上の刑に処せられた者の住所地の選挙管理委員会に 対 し て 、選 挙 権 を 有 し な い 者 等 に 関 す る 通 知 を 行 う も の 又 は 国 及 び 他の地方公共団体からの選挙資格の調査のための照会に対して回 答を行うものである。 後者については、下記の調査に対して回答を行うものである。 ア 政 令 で 定 め る 栄 典 制 度( 叙 位 叙 勲 、褒 章 等 )並 び に そ れ に 準 じた制度として各団体の法令等で定めている各省の大臣表彰、 知事表彰及び市区町村長表彰への具申のための刑罰等調査 イ 国 家 公 務 員 法 、地 方 公 務 員 法 、弁 護 士 法 、司 法 書 士 法 及 び 税 理士法等において規定する資格の取得のための欠格事由の調 査 ウ 法令等により国又は地方公共団体等が各種免許処分又は登 録等をするため行う欠格事由の調査 (3) 犯歴事務に係る個人情報の取扱いについて 訓 令 に お い て は 、犯 歴 事 務 に 係 る 個 人 情 報 の 取 扱 い に つ い て 特 に 定めはないため、本市においては条例に基づき取り扱っているが、 上 記( 1 )の 実 施 機 関 が 参 考 と し て い る 通 達 等 の と お り 、情 報 公 開 請 求 及 び 保 有 個 人 情 報 の 開 示 請 求 な ど も 含 め て 、個 人 や 私 の 法 人 か 5 らの照会には答えていない。 ま た 、各 種 の 法 令 等 に 基 づ く 照 会 に 対 し て も 、犯 罪 人 名 簿 の 内 容 に つ い て は 回 答 せ ず 、当 該 法 令 に 基 づ く 欠 格 事 由 の 有 無 に つ い て の み回答を行っている。 (4) 存否応答拒否決定理由 申 立 人 が 開 示 を 求 め る 犯 歴 事 務 に 係 る 個 人 情 報 に つ い て は 、た と え 不 開 示 決 定 を 行 っ た と し て も 、そ の 通 知 を す る こ と は 、特 定 の 個 人 の 犯 罪 歴 の 有 無 に つ い て 証 明 し た こ と と な り 、例 え ば 就 職 や 婚 姻 に 際 し て 犯 罪 歴 の な い こ と の 証 明 を 求 め ら れ る 可 能 性 が あ り 、犯 罪 歴 を チ ェ ッ ク で き る シ ス テ ム と な っ て し ま う お そ れ が あ る 。よ っ て 、 条 例 第 1 9 条 第 1 項 第 2 号 に 規 定 す る 、開 示 す る こ と に よ り 開 示 請 求 者 の 生 命 、健 康 、生 活 又 は 財 産 を 害 す る お そ れ が あ る 情 報 に 該 当 し 、そ の 情 報 の 存 否 を 告 げ る だ け で 、犯 罪 歴 の 有 無 を 証 明 し た こ と と な り 、不 開 示 情 報 を 開 示 し た こ と と な る か ら 、条 例 第 2 2 条 の 規 定により存否応答拒否したものである。 (5) 異議申立てに対する反論 上記3の(1)から(4)については、下記のとおり反論する。 本 市 が 保 有 し て い る 犯 歴 事 務 に 係 る 個 人 情 報 は 、公 職 選 挙 法 に 定 める選挙権等の資格調査及び法令等で定める欠格事由に関する調 査 の 回 答 の た め に 保 有 し て お り 、公 職 選 挙 法 に 基 づ く 場 合 又 は 法 令 等で定められた行政機関が照会している場合にのみ回答を行って お り 、法 令 等 に 定 め が な い 場 合 に は 、た と え 行 政 機 関 か ら の 照 会 で あっても一切これに応じてはいない。 ま た 、参 考 と し て い る 通 達 等 に お い て 、上 記 4 の( 1 )の と お り 、 個人及び私の法人に対しては一切身分証明は行ってはならないと さ れ て い る こ と か ら 、こ の 通 知 等 に 従 い 、個 人 の 権 利 利 益 を 害 す る ことがないように取り扱っている。 さ ら に 、法 令 等 で 定 め ら れ た 行 政 機 関 等 か ら 照 会 が あ っ た 場 合 に つ い て も 、法 令 等 に 定 め る 資 格 の 有 無 を 回 答 す る だ け で 、罪 名 、そ の他裁判に関する項目又は前科等の具体的内容について回答はし ていない。 上 記 3 の( 5 )に つ い て は 、実 施 機 関 に お け る 個 人 情 報 の 不 適 正 6 な取扱いは認められない。 上 記 3 の( 6 )に つ い て は 、前 記 の( 1 )か ら( 4 )に つ い て の 反論で述べたとおりである。 上 記 3 の( 7 )に つ い て は 、前 記 の( 5 )に つ い て の 反 論 で 述 べ たとおりである。 上 記 3 の( 8 )に つ い て は 、存 否 応 答 拒 否 の 決 定 は 、存 否 応 答 拒 否を行うことが適当な情報について常に存否を明らかにしないで 拒 否 す る こ と が 必 要 で あ る た め 、請 求 理 由 に よ り 当 該 存 否 応 答 拒 否 の規定を適用するかどうかの判断を変えることはできないもので、 申立人の主張は認められず、実施機関の判断は適正なものである。 5 審査会の判断 審 査 会 は 、申 立 人 の 主 張 及 び 実 施 機 関 の 説 明 に 基 づ い て 審 査 し た 結 果 、 以下のように判断する。 (1) 犯歴事務に係る個人情報の性質について 申 立 人 が 開 示 を 求 め て い る の は 、当 該 申 立 人 を 本 人 と す る 自 己 に 係る犯歴事務に係る個人情報である。 犯 歴 事 務 に 係 る 個 人 情 報 は 、特 定 個 人 に 係 る 前 科 や 罪 名 等 の 犯 罪 歴 に つ い て 記 録 し た も の で あ る か ら 、当 該 個 人 情 報 が 存 在 し て い る か 否 か を 答 え る だ け で 、当 該 個 人 の 犯 罪 歴 の 有 無 を 答 え る こ と と 同 様の結果が生じることとなるものと認められる。 (2) 条例第19条第2号の不開示情報の該当性 条 例 第 1 9 条 第 2 号 は 、開 示 請 求 者 に 対 し て 自 己 に 関 す る 保 有 個 人 情 報 を 開 示 す る こ と が 、必 ず し も 本 人 の 利 益 に な ら な い 場 合 も あ り得ることから不開示とすることを認めている。 当該犯歴事務に係る個人情報の存否を本人に対して答えること と す る と 、実 施 機 関 が 主 張 す る よ う に 、例 え ば 、就 職 す る 場 合 に 前 科 の な い こ と の 証 明 を 雇 用 主 が 雇 用 の 条 件 と し て 課 す こ と や 、婚 姻 に際して相手方の家族が前科のないことの証明を提出するよう求 めることなどに利用される可能性を否定できない。 そ う す る と 、本 人 の 正 当 な 権 利 利 益 を 侵 害 し 、本 人 の 不 利 益 と な る お そ れ が 想 定 さ れ る こ と か ら 、同 号 の 不 開 示 情 報 に 該 当 す る も の 7 と認められる。 (3) 存否応答拒否の判断において開示請求の理由を考慮することの妥 当性について 申 立 人 は 、開 示 請 求 の 申 請 書 に 理 由 を 記 載 さ せ て 、そ の 申 請 理 由 によって存否応答拒否するかどうかの判断をすればよいと主張し ているのでそれについて検討する。 宝塚市情報公開条例第6条が規定する情報公開請求の手続及 び 条 例 第 1 8 条 が 規 定 す る 開 示 請 求 の 手 続 に お い て 、請 求 理 由 に よ る 諾 否 の 判 断 を 行 わ な い こ と は 、情 報 公 開 制 度 及 び 個 人 情 報 保 護 制 度 に 共 通 す る 原 則 と な っ て い る 。そ の た め 、条 例 第 1 9 条 は 、開 示 請 求 の 理 由 い か ん に か か わ ら ず 、同 条 に 規 定 す る 不 開 示 情 報 に 該 当 し な い 限 り 、開 示 請 求 に 係 る 保 有 個 人 情 報 を 、実 施 機 関 が 開 示 す る こ と を 義 務 付 け て お り 、ま た 、条 例 第 2 2 条 で は 、当 該 保 有 個 人 情 報が存在するか否かを答えるだけで不開示情報を開示することと な る と き に は 、存 否 応 答 拒 否 の 決 定 を す る こ と を 認 め て い る の で あ る。 よ っ て 、実 施 機 関 は 、存 否 応 答 拒 否 決 定 を 行 う 場 合 、開 示 請 求 に 係る保有個人情報が条例第19条各号に規定する不開示情報に該 当 す る か を 判 断 し た 上 で 、存 在 す る か 否 か を 答 え る だ け で も 当 該 不 開示情報を開示することとなるかについて判断すればよいのであ っ て 、開 示 請 求 の 理 由 を 考 慮 す る こ と は 認 め ら れ な い た め 、申 立 人 の主張を採用することはできない。 (4) 以 上 の こ と か ら 、犯 歴 事 務 に 係 る 個 人 情 報 は 、条 例 第 1 9 条 第 2 号に規定する不開示情報に該当するところ、開示請求者に対して 当 該 個 人 情 報 が 存 在 し て い る か 否 か を 答 え る こ と は 、当 該 個 人 の 犯 罪 歴 の 有 無 に 関 す る 情 報 を 開 示 す る こ と と な る た め 、開 示 請 求 の 理 由 を 考 慮 せ ず に 、条 例 第 2 2 条 に 基 づ い て 存 否 応 答 拒 否 と し た 実 施 機関の判断は適正であると認められる。 よ っ て 、 当 審 査 会 は 、「 1 審査会の結論」のとおり判断する。 8 (別紙) 1 宝塚市個人情報保護・情報公開審査会委員名簿 氏 名 役 職 等 荒 川 雅 行 関西学院大学法科大学院教授(刑法) 植 木 壽 子 弁護士(大阪弁護士会) 荏 原 明 則 関西学院大学法科大学院教授(行政法) (会長代理) 中 村 平 松 (会 2 留 美 毅 弁護士(兵庫県弁護士会) 大東文化大学法科大学院教授(憲法) 長) 審査過程 日 程 内 容 1 平成19年 7月 6日 諮問 2 平成19年 7月 9日 実施機関による存否応答拒否決 定の理由説明 3 平成19年 8月10日 審査 4 平成19年 9月 5日 審査 5 平成19年10月 5日 異議申立人の陳述書提出 6 平成19年10月29日 審査 7 平成19年11月12日 答申 9