...

「本場の本物」地域食品ブランド表示基準(Ⅰ種・Ⅱ種共通)

by user

on
Category: Documents
19

views

Report

Comments

Transcript

「本場の本物」地域食品ブランド表示基準(Ⅰ種・Ⅱ種共通)
別紙3(様式2)
「本場の本物」地域食品ブランド表示基準(Ⅰ種・Ⅱ種共通)
1.名 称
別府産乾しいたけ(べっぷさんほししいたけ)
(1)名称の由来
乾し椎茸の品質・生産量とも日本一の大分県のなかでも、別府市は原木であるクヌギ
の植栽面積・蓄積量が自治体として県内一(日本一)であり、古くから温泉とともに地
域の産業および特産品として広く認知されているため
2.産 地
(1)範 囲
大分県別府市
(2)範囲の設定根拠
別府市は鶴見岳の東側の麓に広がる扇状地の上にあり、しいたけ菌糸の発育ときのこ
の発生条件である地理的(気象的)条件がそろっているため(鶴見岳の標高は1,37
5mで、別府湾からの直線距離は僅か7kmであるため、高低差があり降雨量も多く、風
が強い地形である)
3.歴史的伝統性
大分県は乾し椎茸の品質・生産量とも日本一の県であるが、その椎茸栽培は、江戸時
代の寛永の頃(1650年前後)、豊後国佐伯藩千怒の浦(現津久見市)の農民源兵衛
が宇目の郷の葛の葉で、鉈目栽培を行ったのが最初と言われており、つまり世界で初め
て椎茸の栽培に着手したことになる。
源兵衛は栽培技術を他言することなく、身内や仕事仲間にのみ正確に伝承し、その結
果、「豊後の茸山師」という技術集団が生まれ、別府市には源兵衛を祖とする津久見出
身の村田安儀らが入植し、別府の地理的(気象的)条件を活かし、広めていった。
その別府市は鶴見岳の東側の麓に広がる扇状地の上にあり、しいたけが自然発生する
地理的条件が整っており、その結果、しいたけ栽培には最適なクヌギの蓄積量は県内一
であり、生産規模の大きい農家の割合が高い(1戸あたり682kg)という特徴を持ち
合わせている。乾しいたけ生産に適した気候と原木、そして技術伝道者(豊後なば山師
)の三拍子そろったことが特産品となった理由だと思われる。
また、大分県でも別府産乾しいたけの特徴は、上述した特徴のほか、栽培技術のレベ
ルの高さが言える。簡単に言うと、生産効率を上げる現代の栽培方法ではなく、駒数を
減らし昔ながらの自然栽培(露地栽培:乾しいたけは、芽が出始めると雨に濡らさない
ため、多くの生産者がビニールをかけ対策を講じるが、別府ではそのまま栽培している
)をし、その栽培については種菌も193号の一種に限定し、その種菌に合わせた環境
づくり(ほだ場環境)をしている(別府市では193号のほか、ゆう次郎という品種が
多いが、「本場の本物」には193号の種菌とその栽培方法に限定)。
そうすることにより、一般の複数の種菌を詰め合わせた商品の乾しいたけのように、
戻し時間にむらがなく、また、軽くて美味しいため、市場評価が高く高価格で取引をさ
れている。
1
その結果、全国乾椎茸品評会において、昭和50年には農林大臣賞、平成25年には
林野庁長官賞を受賞した。また平成18年には全国原木しいたけ生産者大会優秀経営コ
ンクールにおいて最優秀賞(林野庁長官表彰)を受賞した。
【参考文献】
小川武廣『乾しししいたけ 千年の歴史をひもとく』女子栄養大学出版部2012年
桑野 功『大分椎茸栽培の言い伝え』大分県きのこ研究指導センター1991年
伊藤六郎『きのこの伝説 豊後なば山衆の軌跡』1999年
伊藤六郎『大分のしいたけ』アドバンス大分1980年
川西 博『大分県の気象探訪』佐伯印刷1984年
大分県『大分県 統計年鑑』
大分合同新聞記事(2013年5月18日)
大分県東部振興局資料『椎茸普及指導情報 第2号』(2006年9月12日)
4.食品の独自性
(1)食品特性
別府市の自然豊かな環境の中、手をかけ暇をかけ自然栽培により収穫した原木乾しい
たけであるため、味、香り、旨味が豊かである。完全無農薬・無添加の食材で安心して
食すことができ、食物繊維やビタミンB類、ビタミンD2、ミネラルなどの栄養素を多
く含んだ低カロリー食品である。また昆布のグルタミン酸、鰹節のイノシン酸と並ぶ三
大旨味成分の一つであるグアニル酸を多く含み日本料理にはかかせない食品となって
いる。乾しいたけは自然食品のチャンピオンといわれている。
(2)原材料の特徴
原木乾しいたけ、露地栽培用の菌種である。
(1)きのこの発生・成長温度
晩秋、ホダ場の最低気温が8℃以下になると発生が始まり、5℃以下に安定すると
発生量が増加する。冬~春は、ホダ場の最高気温が10℃~13℃の日が続くと発生
量が増す。きのこの成長温度は10℃前後が適する。
(2)きのこの形態
傘は円形、丸山で全開しても反転しにくい。傘の色調は茶褐色。肉は厚く、肉質は
普通。柄は短く、大きさは普通。形はラッパ型で石突きは細い。大葉中肉品の比率が
高い。
(3)生理・生態的性質および栽培上の特徴
1)11月頃から翌春にかけて大葉・中葉系のきのこが分散的に発生しやすい。
2)やや晩成で、3年ホダ木から最多発生し、ホダ木寿命が長い。
3)ホダ木が古くなってもきのこが小形化しにくい。
4)傘周辺部の巻き込みが強く、乾燥品の「縁」が残りやすく、ヒダも美しく市場評
価も高い。
(3)原材料の使用理由
(1)晩成型のきのこではあるが、3年ホダ木より最多発生し、ホダ木寿命も長く、ホ
ダ木が古くなっても小形化しにくい。分散的に発生するので、できたきのこを無駄
なく乾燥にすることができるため効率が良い。
(2)傘周辺部の巻き込みが強く、乾燥品の「縁」が残りやすく、ヒダも美しいため市
場評価が高い。
(3)軽いため品種のため、同じ重さでも量を多く見せる。(ボリューム感がある)
(4)美味しい。(数あるしいたけの品種の中でも美味しさは上位にランクされる)
2
(4)製法の特徴
工
程
原
木
内
容
椎茸原木は、クヌギ、コナラ、シデ、クリ、サクラ等あるが、収量が多
く、質の良い椎茸が発生するクヌギを使用する。
伐採~玉切り 秋期の適当な時期に伐採し、葉、枝を付けたまま伐跡地に放置、原木の
(ホダ木作り) 水分を徐々に低下させた後、適当な長さ(1m~1.2M)に切断する。
種菌接種
農作業でいうところの播種にあたる作業。この種菌接種は、純粋培養種
駒(種駒)の発明により普及し、昭和20年代、大分県では全国に先駆
け、積極的に種駒の導入を図り生産量を伸ばしていった。この結果、昭
和26年以降生産量は全国一を誇っている。
伏せ込み
大分(別府)では、恵まれた気候を背景に裸地伏せを行っている。裸地
伏せは、伐採地においてホダ木の通風が良く、降雨があれば適度に湿り
、晴れれば乾く状態になるように組み合わせ、直射日光が当たらないよ
うに小枝(笠木)を上に乗せておく方法。この状態で一夏又は二夏経過
させる。長い時間をかけて原木に椎茸菌糸を蔓延させる作業である。他
県に比べると、一見粗放的に見えるが、恵まれた気候と伝統ある技術は
理に適ったものといえる。
ホダ場
ホダ場は、椎茸を発生させる場所であり、また、ホダ木を休養させる場
所でもある。ホダ場の条件は、椎茸菌糸が子実体を作りやすい環境であ
ること。適当な温度と湿度を有し、日陰となるようなところを選ぶ必要
がある。別府はハウス等を使用せず昔ながらの自然発生で収穫する露地
栽培で生産をおこなっている。
発
生
椎茸の自然発生は、春と秋に発生する。ホダ木に抑制、侵水、芽出しな
どの条件が自然に備わった時が発生の時期となる。別府の椎茸は、春子
が大半を占め、3月中下旬にかけて発生の最盛期となる。この時期に1
週間ほど西からの軟風が吹く。鉈目栽培の時代には、発生した椎茸から
胞子を飛び散らせ、それを原木までは運んでくれた。またホダ場内に緩
い空気の流れを作り温度の急激な上昇を防ぐ。(この風のことを涅槃西
風といい、旧暦の2月15日前後に吹く)
穫
椎茸は、原木に発生した自然の形で採取し乾燥させるため、どんな形、
大きさ(どんこ・香信・・)で収穫するのか、またその椎茸が今後どん
な生長をするか見極めることが必要でありかつ収穫時の天候も非常に
重要となる。とくに春子が多い別府では発生時期の天候、雨、雪、気温
、風、などがホダ木、椎茸の芽切り、生長や椎茸が含む水分が与える影
響を敏感に感じる技が必要となる。
収
3
乾燥~選別
出
荷
収穫した椎茸を「大葉、中葉、小葉」(大きさ)、「どんこ、こうこ、
香信」(形)、「日和子、雨子」(椎茸の水分量)の別に分けエビラに
並べ乾燥機に入れ一昼夜かけて乾燥させる。乾燥中は2時間おきに、乾
燥具合を確認し、乾燥の進んだエビラは上部へ、未乾燥のエビラは下部
へ移動し、乾燥時間の短縮と質の向上およびその後の選別作業の効率化
を図っている。
乾燥機で乾燥後、一旦椎茸専用大箱に入れ、倉庫に保管、春出(春子・
藤子)の椎茸の収穫乾燥が終わった後、再度選別をしての出荷となる。
(5)品質・衛生管理基準
工
程
原
木
内
容
形の良い椎茸が、より多く発生するとされるクヌギを使用し、木肌に小
さな亀裂が多いちりめん肌の原木を選んでいる。(木肌によって発生量
が違うといわれている。)
伐採の時期は、原木が椎茸発生に必要な養分を一番蓄えている時とされ
る。目安として、紅葉の色や樹液の状態などの言葉(止まり水の時に切
れ、三分紅葉から寒の入りまで・・)が残されている。葉枯らしされた
伐採~玉切り
原木の水分量は、菌の活着、菌糸の伸長に大きく左右される。玉切りの
時期は原木の水分が接種作業(駒打ち)に最適となった時期とされる。
(木口のひび割れが直径の1/3~1/2に達した時に切れ)
種菌接種
別府は露地栽培のため、品種に合った適度な駒数を接種している。19
3号は、晩成型で時間をかけ菌糸が蔓延する種菌である。ハウス栽培の
椎茸種菌量から比べるとおおむね1/2程度である。
伏せ込み
伏せ込みは、裸地伏せとなり、伐採地の環境(日当たり、風、傾斜等)
に合わせて、伏せ込みの型、高さ、笠木の量や張り出しを決め、長い時
間をかけて椎茸菌糸が蔓延させる作業を行っている。伐採地での伏せ込
み、笠木までも原木の枝を使用しているのでエコな産品といえる。
ホダ場
種菌に合わせたホダ場環境作りをしており、別府では杉林や檜林のホダ
場のほか、竹林や雑木林の中でもホダ場が作られている。
また193号は甲の部分が若干黒いため、明るいホダ場を作り少しでも
茶色になるよう工夫している。
発生~収穫
193号は晩成型で分散発生するため比較的に形が揃う。この品種の特
徴である縁巻きが強く、乾燥品はヒダ色が美しい肉厚の香信・香菇を中
心に収穫する。収穫には専用のゴム手袋を使い適時新しいものと交換し
ながら採取する。
4
乾
採取した椎茸は早急にエビラにて選別をして乾燥機で乾燥する。193
号の特徴である美しい色とおいしさを出すために50℃付近で一昼夜
かけて乾燥する。
燥
選別~出荷
選別は空調管理された(定温除湿)各人個別の部屋にて一人の目で選別
を行い(選別のばらつきが少ない)袋詰めして出荷している。
5.生産量
(1)全体の生産量
平成20年
平成21年
生産量
27,600
(全体)
資料:大分県統計年鑑参照
平成22年
20,700
平成23年
18,100
19,200
単位:kg
平成24年
13,500
(2)該当商品の生産量(全体の生産量のなかで、「本場の本物」に該当する商品)
単位:kg
平成20年
平成21年
平成22年
平成23年
平成24年
生産量
3,200
3,600
3,700
3,800
4,000
(該当商品)
資料:別府市椎茸生産組合資料参照
6.製造者(「本場の本物」に該当する商品を製造できる者)
製造者名
従業員数
別府市椎茸生産組合
5
住
名
所
別府市東山490
*必要に応じて枠を増やして記入してください
7.該当商品名・製造者名・小売価格(「本場の本物」に該当する商品名)
商品名
製造者名
小売希望価格(税込)
別府産乾しいたけ(どんこ)
〃
(こうこ) 別府市椎茸生産組合
〃
(香 信)
*必要に応じて枠を増やして記入してください
2,000円
2,000円
2,000円
8.取りまとめ団体もしくは特認者
団体もしくは特認者名
(代表者役職名 氏名)
住
特認者ではないので記載せず
5
所
9.識別マークの貼付と管理
認定を受けた場合は、識別マークの使用を当該商品のみとし、当組合が適切に指導・
管理するもとする。
10.第三者認証
「本場の本物」認定品目については、年に1回、同申請における表示基準どおりに製
造されているかどうかを確認し、第三者認証を受けることとする(別府市など公的機関
を想定)
11.認定後の業界活性化の展開方法
乾ししいたけの流通のほとんどが、市場流通が多く、自らのブランド力が欠けており
、また、放射能問題により消費や輸出が減少しているため、認定後は種菌と伝統製法に
こだわり、付加価値を高めたブランド戦略により、業界を活性化させることにする。
12.認定後の地域振興への貢献方法
産地である別府市は、日本一の湧出量と源泉数を誇っているが、地域産品との結びつ
きによる多面的な観光戦略を講じていない。認定後は、観光業等とも連携をはかり、別
府をさらなる観光都市にしていきたい。
13.認定後、当該地域に同様の基準で製造する新たな製造者が出現した場合の連携およ
び展開方法(特認者のみ記載)
特認者ではないので記載せず
14.参考(社会的評価)
(1)全国乾しいたけ品評会、昭和50年農林大臣賞、平成25年林野庁長官賞受賞。
(2)全国原木しいたけ生産者大会優秀経営コンクール林野庁長官賞受賞。
15.参考資料
(1)生産が行われている場所(施設)の所在地を示す資料を添付すること。
(2)商品に冠された地名が旧地名であり、現在、当該地名が住居表示に使用されていな
い場合は、現在の地名との関係が分かる資料を添付すること。
(3)製品概要、生産範囲、製品特性、製法(工程図・管理図を含む)、社会的評価、生
産量等に関する記載内容の妥当性を示す資料(含写真)を添付すること。
(4)製品特性や製法に関して記載された内容で実際に生産が行われていることを示す資
料を添付すること。
(5)取りまとめ団体および特認者に係る登記簿謄本、定款又は寄附行為の写し、規約、
直近の総会資料を添付すること。なお、該当するものがない場合は、それに準ずる
資料を添付すること。
(6)取りまとめ団体および特認者以外による同一食品の生産がなされていない資料を添
付すること。
6
Fly UP