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山形県磯部小山鉱山の金銅鉱床
山 形 県 磯 部 小 山 鉱 山 の 金 銅 鉱 床* 磯 The Gold 部 清**・ and Copper 保 科 恒 Ore Deposits Yamagata 二**・ 苣 木 浅 of the Isobe 彦*** Koyma Mine, Prefecture by Kiyoshi ISOBE, Koje HOSHINA and Asahiko SUGAKI Abstract The Isobe Koyama mine is situated at about 30 kilometers northwest of Yamagata City and is producing copper and gold ores. The district is composed mainly of Miocene pyroclastic rocks and their lava flows of intermediate to acid type with some mudstone. The ore deposits of this mine consist of twelve bodies which occur in mudstone, muddy tuff, and green tuff. They are of an epithermal type and occuring veins, stockwork or as disseminating bodies. Native gold, chalcopyrite, sphalerite, pyrite, and galena, are the principal ore minerals, associated with such gangus minerals as quartz, kaolin, chlorite, barine and carbonate minerals. Native gold occurs in intimate association with quartz, kaolin, sphalerite and chlcopyrite. The ore comprising chalcopyrite, sphalerite chlorite and quartz is often so rich in gold that its gold tenor is more than one kilogram per ton. However, the grade of silver in the ore is always less than that of gold. The gold-silver ratio is a characteristic of the ore from the mine in comparison with that of the ores from the so-called epithermal gold-silver deposits in which the tenor of silver is usually ten or several ten times of that of gold. The vertical zoning of ore deposit is obvious, often divided into the following five zones from upper to lower : 1) quartz-kaolin zone, 2) quartz-kaolin-sphalerite zone, 3) sphalerite zone, 4) sphalerite-chalcopyrite zone and 5) chalcopyrite zone. The native gold occurs in the zones 1), 2), 3) and 4), especially richest in zone 4). In zone 5 ), the tenor of gold rapidly decreases to less than 2 grams, per ton. This zoning is also found in lateral derection. The central zone is the chalcopyrite zone, which may indicate a center of mineralizaton in this mine. Also, the fissures filled with ores seem to be mostly tension fractures, judging from their pattern. を まつ た く異 に して い る.そ の鉱 石は 一 見 普 通 の 銅,亜 1.ま え が き 鉛 鉱 で,石 英 を と もな う場 合 で も含 金 鉱 石 の感 じを 与え 磯 部 小 山 鉱 山 は 山 形 市 の西 北 直 距 約30km,山 な い.と 形県西 くに 黄銅 鉱,緑 泥 石質 鉱 石 に い た つ て は 含 金 の 村 山郡 西 川 町 問 沢 川 部 落 に 位 し,新 第 三 紀 中 新 世 に 生 成 予 想 は つ け が た い が,こ の よ うな鉱 石 が と き に 数100 され た 東 北 日本 の 浅 熱 水 性 鉱 床 中 に は 銅,亜 鉛,鉛 な ど g/t∼ 数kg/tの の雑 鉱 型 鉱 石 に高 品 位 の 金 を 自然 金 と して とも な う場 合 報 告 す る磯 部 小 山鉱 山 の鉱 床 も こ の一 例 で,過 去10数 が あ る(阿 部 宏,1957;堀 年 間 の開 発 に よつ て鉱 床 の状 態 が ほ ぼ 明 らか に な り,こ 純 郎,1940;向 山広,1950). この 種 の 鉱 床 は 普 通 み られ る金銀 鉱 床 とは 鉱 床 の形 式, 鉱 石 の性 質,お *1966年8月6日 **合 ***山 の結 果,鉱 体 中 の帯 状 分 布,こ れ と含 金 率 との 関 係,金 よび 組 成,金 銀 の比 率 な どそ の お もむ き 銅 富 鉱 部 の位 置 な ど鉱 床 開 発 に 重要 な 資料 を あ ・ る程 度 うる こ とが で きた の で こ こに報 告 す る. 受理 同 資 源 産 業株 式 会 社 当 鉱 山 の 歴 史(西 和 田久 学,1907)は 口大 学工 学 部 資 源 工 学 科 鉱 山 地 質,17(81),22∼37,1967. 高 品位 の含 金 を 示 す こ とが あ る.こ こに 古 く,約450年 前 に 開 発 せ られ た とい う.鉱 床 の規 模 は 大 き くな いが, 22 1967 23 磯 部 ほ か:山 形 県 磯 部小 山鉱 川 の 金銅 鉱 床 第2表 小 山鉱 山 付近 地 質 層 序 流 理 構 造 を 示 し,部 分 的 に流 紋 岩 質礫 凝 灰 岩 お よび 同質 集 塊 岩 を 挾 有 して い る.本 岩 は 一 部珪 化 お よび 陶 石 化 作 用*を 蒙 つ て い る. (2)流 第1図 小 山 鉱 山 位 置 図 後 現 在 の 合 同資 源 産 業KKの よば れ る特 長 あ る 緑 色 角礫 凝 灰 岩 が 挾 有 され てい る.上 所 有 とな り,開 発 が下 部 に の び るに つ れ て 銅 品 位 を増 加 記 流 紋 岩(A),およ し,現 在 は 金 銅 山 と して 稼 行 され て い る.最 近 数 年 の.そ .下部 に 対 比 され る もの と考え られ る. (3)泥 の 産額 を 第1表 に示 す. 近 の 地 質 当 鉱 山付 近 の地 質(大 津 秀 夫,1956;渡 木 浅 彦,1950)け 層(B),泥 厚 さ約100mで よびD,一 け 凝 灰 岩 を 挾 み,あ 色凝灰岩 鹸 質 凝 灰 岩 層(E),お あ る.本 岩 は 鉱 床 中 お よび そ の 付 近 で 珪 化 作 用 のた め 硬 質 化 し,色 も暗 黒 色 とな る.本 層 の 上 部 紋 岩 質 角礫 岩 な い し凝 灰 岩 白 色凝 灰 岩,含 浮石 砂 質 凝 灰 岩 互 層(F)の る.こ の うちCお 斑 点 状 に 多 量 含 有 す る泥 質 角 礫 凝 灰 岩 との 互 層 で,そ の 辺万 次 郎 ・苣 岩 ない し泥 質 角 礫 凝 灰 岩 層(C),緑 な い し角礫 凝 灰 岩 層(D),石 灰 色 な い し灰 色 を 呈 す るや や シル ト質 の 無 層 理 泥 岩 と これ に 灰 白色 の凝 灰 質 物 お よび 浮 石 とを 第 三 系 中新 統 西 黒 沢 な い し女 川 階 に 属 し,下 部 よ り流 紋 岩(A),流 び 本 層 は 西 黒 沢 階 上 部 な い し女 川 階 岩 な い し泥 質 角 礫 凝 灰 岩 層(以 後 これ を 泥岩 層 と称 す る)暗 2.付 上記流紋岩 の 紋 岩 の 角礫 を 有す る.本 層 中 に け 俗 称 豆 も ち状 凝 灰 岩 と 明治,大 正,昭 和 を通 して安 定 した 高 品 位 の鉱 石 を 産 す る 金 山 と して知 られ,戦 紋 岩 質 角礫 岩 な い し凝 灰 岩 層 上 部 に位 す る淡 緑 色 な い し灰黄 色 の 粗 しよ うな 岩 石 で流 る いは これ と互 層 す る.本 層 は 女 川 階 に 対 比 きれ る. よび (4)緑 地 層 よ りな 色 凝 灰 岩 な い し角 礫 凝 灰 岩 層 整 合 に被 い,中 谷 沢,金山 部Bが 当 鉱 床 の母 岩 に な つ 上記泥岩層を 沢 に 露 出す る.浮 石 また け 流 て い る.以 下 そ の お の お の に つ い て 簡 単 に 説 明す る(第 紋岩 質 角礫 を含 む 緑 色 な い し淡 緑 色,一 部 灰 白色 石 鹸 質 2図). の 塊 状 凝 灰 岩 で,と (1)流 紋岩 当 鉱 山 の北 方 オ ブ ク ロ沢,小 を 挾 み,こ 倉 ・下屋 きに 石 英 の斑 晶 を 有 す る.ま た 泥岩 の傾 向は 下 部 で著 し く,互 層状 あ る い け 指 交 敷 部 落 一 帯 に 熔 岩 状 と して広 く分 布 す る.本 岩 は灰褐 色 状 を 呈 す る,本 層 中に は まれ に熔 岩 状 ま た は岩 床 状 と思 な い し淡 灰 紅 色 を 呈 す る ち み つ 堅 硬 な 無斑 晶 の 石 質 岩 わ れ る石 質 流 紋 岩 がみ られ る,本 岩 は 前 記 泥 岩 と と もに で,柱 状 節 理 が 発 達 して細 か く破 砕 され や す い,と 当 鉱 床 の主 要 母 岩 で,鉱 床 中 お よび そ の 附 近 で 著 し く珪 第1表 きに 化 お よび粘 土化 作 用 を 蒙 つ て い る. 小 山 鉱 山 出 鉱 量 お よび 品位 本 層 の 上 部 に は 特 長 あ る 角礫 岩 の 発 達 が あ る.こ れ は ふ つ う拳 大 な い し小 児 頭 大,と きに1∼3m大 の硬 質 泥 岩,流 紋 岩,凝 灰 岩 な どの 角 礫 集 合 体 で,と き に 砂質 な . い し角 礫 凝 灰 岩 を 挾 有 あ る いは これ に移 化 す る.角 礫 岩 の 一 部 は 局 部 的 に 珪 化 を 受 け て い る. *このよ うな岩 石は現在 西山陶石 として 採掘利用せ られてい る. 23 24 鉱 第2図 5:流 け ん 質 砂 質凝 灰 岩 6:流 鹸質砂質凝灰岩層 凝 灰 ,no,81 磯 部 小 山 鉱 山 付 近 地 質 図 2:石 色 vol,17 質 色凝 灰 岩 お よ び 浮石 質 砂 質凝 灰 岩互 層 4:泥 緻 密 な 塊 状 岩 で,と 地 1:白 3:緑 (5)石 山 岩 7:断 岩 8:背 紋 岩 層 斜,向 斜 あ り石鹸 状 を呈 す る.ま た本 層 中 に は 真 珠 岩,流 紋 岩, 淡 黄 緑 色 な い し黄 灰 色 の 緑 色凝 灰岩 な どの角 礫 岩 が み られ る. きに 石 英 や 斜 長 石 の斑 晶 を 有 す る砂 質 凝 灰 岩 で あ る.一 般 に モ ソモ リロナ イ ト化し脂 紋 岩 質 凝 灰 岩 (6)白 感が 24 色凝 灰 岩 ・含浮 石 砂 質 凝 灰 岩 互 膚 白色ない 1967 25 磯 部 ほか:山 形 県磯 部小 山鉱 山 の 金銅 鉱 床 し灰 白 色 の 塊 状 凝 灰 岩 と浮 石 質 の砂 質 凝 灰岩 の 厚 さ1∼ E,さ 3mの 戻 る変 化 を な し,傾 斜 も30° よ り80° に い た る ま でや 互 層 で あ る.そ の一 部 に は 極 め て 微細 な 硫化 鉄 鉱 らにN60°W,N10°Wを へ て 再 びN30°Wに の網 状 鉱 染 が み られ る.泥 岩 層 よ り上 部 本 層 ま で 女 川 階 や 急 激 な 変 り方 を 示 して い る.ご に 対比 され る もの ど考 え られ る. た この 走 向 の 変 化 は 逆S字 形 を 呈 し,傾 斜 の 変 化 も鉱 床 (7)地 質構造概略 当 鉱 山は そ のす ぐ東 側 間沢 川 に 付 近 で烈 し く急 斜 す る場 合 が 多 い. 沿 つ て ほ ぼ 南 北 に 走 る間 沢 川 断 層,北 方 金 山 沢 に 沿 う金 3.鉱 山 断 層,さ らに 西 側 は オ ブ ク ロ沢-宝 沢 川 を結 ぶ 断 層 な ど に よつ て 断れ た 地 域 に 位 し,そ の うち間 沢 川 断 層,オ ブ クロ,宝 沢 川 断 層 は ほ ぼ 乎 行 してN20°Eに 概 略 (C)お よび 緑 色 凝 灰 岩 な い し角 礫 凝 灰 岩 層(D)を 母岩 と す る浅 熱 水 性 の 鉱 床(大 木浅彦 ・保 科恒 二 ,1956;渡 もの で あ る.こ の区 画 内 に お け る 地 層 は全 般 的 に はN20° ∼30°Wに 床 第 三 系 中 新 統 女 川 階 に 相 当 す る と考 え ら れ る 泥 岩 層 走 る南 北 性. 断 層 で,一 方 金 山 沢 断 層 は これ ら と直 交 す る 東 西 性(N 70°W)の く鉱 床 附 近 の み に 限 つ 津 秀 夫,1956a,b;苣 辺 万 次 郎 ・荳 木 浅彦,1950)で, これ を 細 脈 網 状 な い し脈 状 に 貫 ぬ く石 英 ・カ オ リン質, 走 り,西 方 に30° ∼50° に 傾 む く単斜 状 の構 造 を 呈 す る.し か し,こ れ を 詳 細 に み れ 石 英 ・閃 亜 鉛 鉱 質,石 英 ・閃 亜 鉛 鉱 ・黄 銅 鉱 ・緑 泥 石 質 ば,地 の 鉱 石 よ りなり,こ 層 の走 向 は 南 よ り北 に 向つ てN30°Wよ りN20° れ に 普 通 自然 金 を と もな う.鉱 体 は 第3,4図 の よ うに 南 北350m, 東 西200mの 範 囲 に 梵 天本鉱 体,梵 天 南 第 一鉱 体,同 体,同 第 三 鉱 体,同 本 鑷 鉱 体,幸 第二鉱 第 四 鉱 体, 鉱体,下 盤 鉱 体, 鰐 口鉱 体,中 盛 鉱体,稲 荷 鉱 体, 弁 天 鉱 体 な ど12鉱 体 が 知 られ て い る が,現 在 採 掘 され て い る も のは 梵 天 本 鉱体,梵 鉱 体,同 体,同 天南第一 鎗 二 鉱 体,同 第 三 鉱 第 四鉱 体,本〓 鉱体お よ び幸 鉱 体 で,こ れ 以 外 は ほ とん ど採 掘 しつ くされ て い る.今 各 鉱 体 の 規 模 お よび そ の 状 態 を 表 示 す れ ば 第3表 の よ うで あ る. 各鉱体中の鉱脈 は 脈 幅 普通 1∼30cm,多 く は3∼8cm程 度 の 細 脈 で,こ cmな い し2m内 の 細 脈 が 数10 外 の 間 隙 で, ほ ぼ 平 行 して 分 布 す る場 合 や, これ らが 分 枝 錯 綜 して 網 状 を 呈 す る場 合 な どが あ る.こ れ ら細 脈 自身 の 含 金 率 は 比 較 的 高 く20 ∼509/t ,と きに 数100∼1,000 g/tあ る い は それ 以 上 に 達 し, そ の 両 側 の母 岩 と共 に 採 掘 して も6∼20g/t,と き に50∼100 g/tに 達 す る.し か し脈 か らや 第3図 小 山 鉱山 :〃 第一 〃 II :〃 第二 III 〃 鉱 床 分 布 図 IV:梵 天 南 第三 鉱体 I:梵 天 本 鉱 体 .VI :〃 :本〓 第四 〃 V 鉱 や 離 れ た 部 分 は 珪 化 帯 で もAu VII :幸 :下 鉱 磐 体 鉱 1∼3g/t,あ るい は 含 金痕跡程 VIII 体 度 とな る,ま た 鉱 体 下 部 で は, 体 25 26 鉱 山 地 vol.17,no.81 質 この ほ か2次 的 鉱物 と して鉱 床 の比 較 的 上 部に い て は 銅 藍,輝 銅鉱,斑 銅 鉱, 硫 化 カ ドミウ ム鉱,自 然 銅,孔 雀石,針 鉄 鉱,胆 礬,石 膏 な どを産 す る,こ れ ら の うち 主 要 な もの に つ い て 記述 す れば 次 の よ うで あ る. 1.鉱 石 鉱 物 閃亜鉛鉱 一 つ で石 英 もつ と も主要 な鉱 石鉱 物 の ,と きに は黄 銅 鉱,黄 鉄 鉱 お よび 緑 泥 石 を と もな い,鉱 床 全 般 に わ た つ て産 す るが,と くに鉱 体 の 中部,た 梵 天 本 鉱 体〓10m∼-30m地 と 並な えば どで は 石 英,閃 亜鉛 鉱 の発 達 が 著 しい. 鉱 床 上 部 で 本 鉱 物 は結 晶 の表 面 お よ び割 目に 沿 つ て 銅 藍 化 され て い る. 黄銅鉱 第4図 小 山 鉱 山 鉱 床 断 面 図(A-A'断 面)(凡 例 第3図 に 同 じ) 上 部 では 少 な い 黄 銅 鉱 が 急 に 増 加 し,金 銅 鉱 あ るい は 銅 鉱床 の上 部 に お い て 黄銅 鉱 の 現 出は 珍 らしい.大 切姉 以下-50m坑 地 並 よ り下 部 で は 閃 亜鉛 鉱,黄 鉄 鉱 お よび緑 泥 石 な ど と 鉱 とな る.上 記 の よ うに鉱 体 の 多 くは細 脈 あ るい は そ の と もに脈 状,一 部 鉱 染 状 を な して産 す る.ま れ に 黄 銅 鉱 集 合体 で あ るが,梵 天 南 第 二 鉱 体 や 同 第 三 鉱 体 の もの は は そ の 割 目に 沿 つ て2次 的 生成 の斑 銅 鉱 細 脈 に よつ て貫 明 らか に鉱 脈 状 を 呈 し,と くに前 者 は そ の 脈 幅 中 石 を 含 ぬ かれ る. め て5mも あ り,そ の 平 均 品 位Au159/t,Cu2.5% 黄 鉄鉱 黄 銅 鉱 同 様鉱 体 の上 部 では 極 め て少 量 しか み られ な い が,下 部 で は黄 銅 鉱,閃 亜 鉛 鉱 に と も なわ れ 正 を 示 す. 6面 体 ま たは5角12面 4.産 出 鉱 当鉱 山 か らは 自然 金,閃 亜 鉛鉱,方 物 鉛 鉱,黄 銅 鉱,黄 鉄 鉱 の初 生 鉱 石 鉱物 と これ に とも な う石 英,カ 緑 泥 石,炭 酸 塩 鉱物,重 第3表 体 式 の結 晶 あ る いは 粒 状 として 産 す る. 方鉛鉱 オ リン, 中 切 坑 な い し大 切 坑 地並 ま たは そ れ 以 下 の地 並 で僅 量み られ る.つ ね に閃 亜 鉛 鉱 と密 に 組 合 つ て 産 す 晶 石 な どの脈 石 鉱 物 を 産 す る. るが,と 小 山 鉱 山 各 鉱 体 の形 態,規 模 お よび 品 位 き に これ を細 脈 状 に 貫ぬ く. 自然 金 微細 粒 と し て 石英,カ オ リ ソ,閃 亜 鉛 鉱,黄 銅 鉱 に と もな わ れ る. この産 状 は 顕 微 鏡 下 の 観 察 に よ る もの で,そ の形 状は 不 規 則 多 角 形 状,虫 状, 枝 状,微 粒 状 な どを 呈 す る. 2.脈 石英 樹 石 鉱 物 主 要 鉱 物 の1つ で 灰 白 色 を呈 す る玉 髄 質 の 微粒 石 英 と淡 紅 紫 色 で 半透 明 ミラ石 英 とが あ る.前 者 は単 独 あ る い のバ .は 閃 亜 鉛 鉱 を と も なつ て 細 脈 状 を な し , 床 中普 遍的 に 産 す る,一 方バ ラ石英 は 鉱 者 よ り粗 粒 で,脈 中櫛 歯 状構 造 あ る 前 晶洞 構 造 をな す 鉱 床 晩 期 の 晶 出物 で, は 自然 金 を と もな わ な い 不 毛 石英 で あ る. 緑 泥石 暗 緑 色 な い し青 緑 色 を呈 し, 多 くの場 合 脈 中 閃 亜 鉛 鉱,黄 銅 鉱,黄 鉄 お よび 石 英 な ど と共 に 産 す る.顕 微鏡 鉱 26 1967 第4表 27 磯 部 ほ か:山 形 県磯 部小 山鉱 山 の 金 銅 鉱 床 緑 泥 石 質 粘 土(脈 小山鉱山産 第5表 緑 泥 石 質 粘 土(脈 第6表 小山鉱山産 カオ リ ン質 粘 土 鉱 物)の 化 学 分 析 値 鉱 物)の 粉 末X線 回折値 (脈 鉱 物)の 化 学 分 析値 ch:緑 (分析 者 阿部 宏) qz:石 ka:カオ 小 山鉱 山 産 第7表 小 山鉱 山 産 カオ リン質 鉱 石 の 粉 末X 線回折値 泥石 (分析者 英 リン 阿部宏) K;KaoliniteQ;Quartz (I);幸 鉱 体-60m坑 (II):梵 天 鉱 体+70m坑 X線 粉 末 回 折 お よび示 差 熱 分 析 に 供 した 結 果(第 4表,第5表 お よび 第5図),こ ライ ト質 緑 泥 石(Brindly 藤 俊 男,1953)で,こ の粘 土 は リ ピ ド and Robinson,1952;須 れ を主 とす る が,こ のほか 少 量 の カ オ リンお よび 絹 雲 母 を と も な うこ とが 明 らか に な つ た. 第5図 小 山 鉱 山 産 緑 泥 石(脈 鉱 物)のD.T.A.曲 カオ リン 線 灰 白色 粘 土 の単 独 脈 と して産 す るほ か 石 英 あ るい は 閃 亜 鉛 鉱 質 脈 中 に と もな われ る. 顕 微 鏡 下 で 鱗 片 状 の 集 合 と してみ られ,と きに こ の 内 部 あ るい は これ と石 英 と の境 界 部 に 自然 金 を と もな う.本 鉱 物 の 化 学 分 析,示 差 熱 分 析,粉 末 X線 回 折 の 結 果 を示 せば 第6表,第6図 お よび 第 7表 の よ うで あ る, 炭酸塩鉱物 方 解 石,鉄 苦 灰 石,菱 鉄 鉱 な どの 炭 酸 塩 鉱 物 を 産 す る.こ れ らは い ず れ も初 生 鉱 物 中 もつ ど も晩 期 の 晶 出物 で,累 被 縞 状 脈 中 の 中 央 部 にみ られ,と きに 晶 洞 や 犬 牙 状 構 造 を なす.一 部 は 緑 泥 石 に と もな わ れ る. 重晶石 第6図 小 山 鉱 山 産 カ オ リ ン 質 粘 土(脈 下 で1∼10μ 鉱 物)のD.T.A.曲 大 の 繊 維 状 あ るい は 鱗 片 状 を な し,閃 亜鉛 られ る.第 二 鉱 体 で は-80m∼-130m問 鉱,閃 亜 鉛 鉱,緑 泥 石 脈 に と もな わ れ て産 す る.ま た 第 鉱 ・黄 銅 鉱 の間 隙 を充 填 して 産 す る ほ か,方 解 石 と組合 三 鉱 体-60m坑 つ て この 両 鉱物 お よび石 英 を貫 ぬ い て い る.緑 泥 石 は 鉱 れ,0.5∼1.0cm大 床 の 上部 に は産 せ ず,梵 天本 鉱 体-50m地 わ れ て く る.緑 泥 石質 粘 土室を化 学 分析(阿 梵 天 南 第 二 お よび 第 三 鉱 体 に お い て み 線 で み られ る もの は 重 晶 石 脈 と して現 わ の板 状 結 晶 の集 合状 を 呈す る. 並以下で現 *ノ 部 宏,1957), 27 で黄銅 ーベ ル 水 簸 装 置に よつ て試 料 を え た. 28 鉱 山 地 vol.17,no.80 質 第8表 小 山 鉱 山 産 緑 泥石 質 粘 土(変 質 母岩) の 化学 分析 値 1:緑 色を呈する粘土 2:淡 緑色∼帯緑灰白色粘土 第7図 小 山 鉱 山産 緑 泥 石 質 粘土(変 質 母岩)のD.T.A.曲 1,2:緑 3:淡 阿部宏) 線 色 を 呈す る.苦 土 緑 泥 石 を 主 と す る 緑 色 な い し 灰 白 色 粘 土,モ 5.母 岩 の 変 ンモ リロ ナ イ トを 含 む 沿 つ て石 英 細 脈 が 発達 して い る.凝 灰岩 の珪 化 著 しき部 分 は 珪 酸 分95%に 質 鉱 床 付 近 の 母 岩 は 熱 水 変 質 に よ る珪 化 お よび 粘 土 化 作 化作用 達 し,と きにAu3∼7g/tを 含 む. こ の よ うな 部 分 を 一 時 珪 酸 鉱 と して 出荷 した.し か し珪 化 母 岩 の 多 くはAutr.∼0.6g/t,Agtr.∼10g/t程 堀 を蒙 つ て い る. (1)珪 (分析者 度で 稼 行 の対 象 に は な らな い. 鉱床全般にわたつて広範囲に行なわ (2)粘 土化作 用 この 作 用 は 泥 岩 よ り凝 灰 岩 の 方 に れ てい るが,と くに鉱 体 の上 部 に お い て 著 しい,こ の 作 用 著 し くみ られ る.と に よつ て 母 岩 は 硬 質 化 され る が,母 岩 の うち緑 色 凝 灰 岩 て 大 切 坑 以 下-30m∼-40m坑 くに梵 天 本 鉱 体 や梵 天 南 鉱 体 に お い は 脱 色 され て灰 白 色 化 し,そ の大 部 分 が10μ ∼100μ 大 発 達 して い る.粘 土 化母 岩 は 緑 色 な い し淡 緑 色,ま れ に の 玉 髄 質 石 英 の 集 合 体 に なつ てい る.一 方 泥 岩 は 逆 に 濃 灰 白色 を 呈 し,大 部 分 粘 土 質 物 に 変 化 して い るが,浮 石 色 化 され ガ ラス 光 沢 あ る暗 黒 色 とな り,顕 微 鏡 下 で 粘 土 質 ガ ラ ス,長 石 類,石 英 な どが 一 部 残 存 して い る もの も 質 物 の 間 隙 に 微 細 粒 の 石 英 の 生 成 が み られ る一 方 亀 裂 に あ る.こ の 作 用 に よつ て 生 じた 粘 土 鉱 物 は 顕 微 鏡 試 験, よ り下 部 に お い て よ く 粉 末X線 回 折,示 差 熱 分 析,化 学 分 析 の 結 果 よ り 苦 土 質 緑 泥 石,モ ソモ リロナ イ トお よび 絹雲 母 の 3種 が み とめ られ る.こ の うち 前2者 が 主 で,こ の 量 的 割 合 は 一 律 に 決 し難 い が,鉱 体 に 接す る部 分 に 苦 土 質 緑 泥 石 が 発 達 す る傾 向 が あ る,粘 土 化 帯 に は 黄 鉄 鉱 微 粒 の 鉱 染 が み られ る,第7図 の示 差 熱 曲 線 は 緑 色 粘 土 の も の で,こ れ は苦 土 緑 泥石 お よび モ ソモ リロナ イ トの 存在 を示 し,こ れ と同 一 試 料 の 化 学 分 析 は 第8表 の よ うで ,苦 土緑 泥 石 の 理 論 値 に 一 致 せ ず,SiO2-MgO-A12O3三 (第8図)中 角図 緑 泥 石 の 領域 に入 らず,苦 土 緑 泥 石 とモ ソモ リロナ イ トとの 混 合物 で あ る こ と を物 語 つ て い る.ま た淡 緑 色 な い し帯 緑 灰 白色 粘 土 の示 差 熱 分 析 曲 線 は第9図 の よ うで,上 記 の も の とや や こ とな り,モ ンモ リロナ イ トを主 と し,こ れ に 少量 の 苦土 緑 泥石 を伴 な う粘 土 で あ る こ とを 示 し 第8図 小 山 鉱 山 産 緑 泥 石 質 粘 土(変 質 母 岩)のSiO2-AlZO9MgO三 角図 1:緑 色 を 呈す る も の 3:ア メ サ イ トの 理論 値 2:淡 緑 色 ま たは 帯緑 灰 白 を 呈 す る も の 4:ベ ンニ ンの 理 論 値 28 て い る. (3)珪 化 作 用 と粘 土 化 作 用 との 関 係 梵天本 鉱 体 の上 部 では 珪 化 作 用 が 著 じ く,粘 土 化 作 用 は 29 1967 29 磯 部 ほ か:山 形 県 磯 部小 山 鉱 山 の 金銅 鉱 床 の 比 較 的 下 部 に み られ,た 天 本 鉱 体-50m坑 とえ ば 梵 以 下,梵 天 南 第 二 鉱 体 に 発 達 よ く,脈 状 な い し細 脈 , 網 状 を な して 産 す る そ の 品位 はAu 5∼800g/t,Ag7∼85g/t,普 通Au 50∼700g/t,とき るいは に1kg/tあ そ れ 以上 に も 達 し,こ れ に 普 通1.0 ∼2.0%内 外 の 銅 を と もな い金 銅 鉱 と し て採 掘 され て い る.脈 石 と して は 緑 泥 石 の ほ か に 石 英,方 解 石 を と も な い,ま れ に 重 晶 石 を 産 す る. (4)黄 銅 鉱 ・緑 泥 石 質 鉱 石 上 記 含 金 黄 銅 鉱 ・閃 亜 鉛 鉱 ・緑 泥 石 の 鉱 石 は さ らに鉱 体 の 深 部 に い た れ ば 第9図 小 山 鉱 山 産 含 金 亜 鉛 鉱 に お け る金 一 亜鉛 品位 の 関 係 ●緑 泥石・ 閃亜鉛鉱 ・(黄 銅鉱)質 鉱石 黄 銅 鉱 ・緑 泥 石 鉱 石 に 移 化 す る.こ ○石英 ・閃亜 鉛鉱 質鉱石 れ に は 少量 の 閃 亜 鉛 鉱 ・黄 鉄 鉱 ・石 局 部 的 に 脈 状 あ る いは 不 規 則 形 を な して 珪 化 母 岩 中 に み 英 な どを と もな うが 含 金 率 は きわ め て低 く1∼2g/t以 られ る程 度 で,部 分 に よつ て は 明 らか に 粘 土 化 帯 が 珪 化 で 銅 鉱 として のみ 採 掘 され て い る. 帯 を 貫 ぬ く場 合 もみ られ.る.さ き に珪 化 作 用 を こ うむ つ 7.自 た 凝 灰 岩 が あ とで 粘 土 化 され た と推 測 され る部 分 も少 な くな い.こ の よ うな部 分 を顕 微鏡 下 で 観 察 す れ ば 珪 化 作 用 で 生 じた 玉 髄 質 石 英 粒 の集 合 間 隙 を 緑 泥 石 あ るい は モ 然 金 の 産 状 上 記 の よ うに 当鉱 山産 鉱 石 に は 普 通 数g∼ 数10g/t, 第9表 ンモ リロナ イ トの 微 細 鱗 片 集 合 が埋 め て い る のが わ か る. 小 山鉱 山産 鉱 石 お よび 産 出鉱 物 の金 銀 分 析表 これ ら よ り珪 化 作 用 は 粘 土 化 作 用 よ り早期 の もの で,か つ 鉱 床 の 鉱 化 作 用 に先 行 して生 じて い る疑 い が 強 い. 6.鉱 右につい て 当 鉱山産 鉱 石 は そ の構 成 鉱 物 に よつ て つ ぎの4種 に 分 け られ る. (1)含 金 石 英 閃亜 鉛 鉱質 鉱 石 鉱 よ りな り,普 通 幅10-30cmの 玉 髄 質 石 英 と閃 亜 鉛 脈状 ない し細脈網状 と して 産 す る.こ の両 者 は 脈 中 で対 称 状 の 単 純 縞 状 構 造 を 呈 し,脈 の 中 央 部 に 石 英,そ るが,そ の外側に閃亜鉛鉱を配す の逆 の場 合 も あ る.石 英 に と もな わ れ て カ オ リ ソや 絹 雲 母 が み られ る.鉱 石 の 品位 は 一 定 し な い が, Au6∼60g/t,Ag5∼33g/t,普 に100g/t以 通Au15∼20g/t,と ぎ 上 に 達 す る,局 部 的 に は閃 亜 鉛 鉱 が 濃 集 し, か つ て この よ うな 部 分 を含 金 亜 鉛鉱 と して 採 掘 した. (2)含 金粘土質鉱 石 上 記 鉱 石 同 様 脈 状 な いし 細 脈 網 状 と して 産 す る灰 白色 な い し灰 色 の 粘 土 鉱 で,主 て カ オ リン,プ 部 絹 雲 母,氷 長 石,モ とし ンモ リロナ イ トよ りな る.ま れ に 閃 亜 鉛 鉱 ・黄 鉄 鉱 な どを と もな う.鉱 石 品 位Au4∼30g/t,Ag3∼30g/t,普 通Au10∼25g/t 程 度 であ る. (3)含 金 黄 銅 鉱・ 閃亜 鉛 鉱 、緑 泥 石 質 鉱 石 各鉱体 sp:閃 亜 鉛 鉱cp:黄 銅 鉱qz:石 英ch:緑 泥石 下 鉱 30 山 地 vol.17,no.81 質 多 い 場 合 に は数100g∼ 数kg/tの 金を含 有 す る.こ の 金は 自然 金 と して存 し,ご くまれ に 肉 眼 的 な もの も み られ る が,多 くは 極 め て 微 細 で顕 微 鏡 的 な も の が 多 い.そ の 大 きさ は数 μ よ り数100μ ま で種々 で 一 定 しな い が,顕 微鏡 下 で の観 察 では 数10μ 大 の も の が 多 い.そ の形 状 は これ また種々 で,粒 状,小 塊 状,樹 枝 状,虫 状,勾 玉 状,三 角 形 状 あ るい は 不 規 則 多角 形 状 な どを 呈 す る. 顕 微鏡 下 で の 自然 金 は1)石 英の粒状 集 合 体 中 そ の結 晶粒 の間 隙 を うめ て 多 角 形 状 を な して産 す る.2)石 第10図 小 山 鉱 山産 含 金 鉱 石 に お け る金― 銀 品 位 の関 係 ● 緑 泥石・ 黄銅鉱 ・閃亜鉛鉱質鉱石 ▲ 閃 亜 鉛 鉱× 黄 銅 鉱□ ○ 石英 ・閃 亜鉛鉱質鉱石 石 英 英 と 閃亜鉛 鉱 あ るい は黄 銅 鉱 との境 界 に 産 す る.3) 閃 亜 鉛鉱 あ るいは 黄 銅 鉱 中 に 存 す るな ど の 場 合 が み られ る.1)の 石 英 中 カオ リン 様 粘 土 鉱 物 や 絹 雲母 が 存 す る場 合 に は 自 然 金 は 石 英 と これ ら粘 土 鉱 物 との境 界 部 に しば しば み られ る. 含 金 鉱 石 中 の 各構 成 鉱 物 を で き るだ け 単 体 に 分 離 し,そ の 各単 体試 料 に つ い て 金 銀 の 分 析 を行 な つ た結 果 は 第9表 のよ うであ る.こ れ に よれ ば 灰 白 色玉 髄 質 石 英 中 にはAu0.5∼14g/t,Ag2∼28g/t, 閃 亜 鉛 鉱 中 に はAu0.3∼68g/t,Ag1 ∼4g/t ,黄 銅 鉱 中 に はAu0.5∼13g/t, Ag6∼93g/t,方 Ag233g/tと 鉛 鉱 中 に はAu1.5g/t, な り,上 記 の結 果 では 閃 亜 鉛 鉱 が もつ と も金 に とむ こ とに な るが, 必 ず しも閃 亜 鉛 鉱 に とむ 鉱石 が 含金 率 が 高 い とは 限 らず,第10図 お よび 第9表 の よ うに両 者 の関 係 は 一 定 して い な い. しか し,淡 色 の 飴 色 閃 亜 鉛鉱 よ り暗 色 閃 亜 鉛鉱 の方 が 金 品 位 が 高 い傾 向 が み とめ られ る.ま た黄 銅 鉱 に つ い て も銅 品 位 と 含 金 率 の 関 係は 閃 亜 鉛 鉱 同 様 一 定 し な い.一 方 石 英 は とき に 含 金 率 低 く1g/t 程 度 の も の もあ るが,が い して 含 金 率 に 均 一 性 が み られ る,ま れ に 産 す る肉 眼 的 自然 金 の ほ とん どが 石 英 に と もな わ れ て 第11図 小 山 鉱 山―80m地 I:梵 天 本 鉱 体 II:梵 天 南 第 一 鉱 休 〃 第 二 〃III: 〃 〃 幸 第三 〃 IV: 第四 〃 V: 鉱体 い る こ とな どを あわ せ 考 えれ ば この石 英 並鉱床図 と 自然 金 とは成 因的 に 密 接 な 関 係 が あ る 1:緑 色 凝 灰 岩 2:泥 岩 3:流 紋岩質凝灰岩 4:鉱 脈 5:断 層 もの と推 察 され る.し か しバ ラ石 英 に は ほ とん ど 自然 金 を と もな わ な い. 上 記 の 分 析資 料 中 にみ られ る金 銀 の 比 VI: 30 1967 31 磯 部 ほ か:山 形 県 磯 部 小 山 鉱 山 の金 銅 鉱 床 の 細脈 集 合 体 で と きに 網 状,鉱 染 状 とな り,全 体 と して ほ ぼ 直 立 せ る不 規則 形 の 円 筒 状 を 呈 す る.こ の 細脈 は 大略 的 に 南 北 性 の も の と,東 西 性 の もの が み ら れ る.上 記 の 凝 灰 岩 と泥 岩 との 境 界は ほ ぼ南 北 で,ふ つ う断 層 で あ り(第13図),こ て97な れに沿つ 鉱脈 を 配 す る こ とが あ る.凝 灰 岩 と泥 岩 とで は 裂 罅 系 統 が こ とな り,大 略 的 に 凝 灰 岩 中 で は 東 西 性,(第14図),泥 岩 中 に は 南 北 性 あ るい は これ に 近 い 脈 の 発 達 が み られ る.当 鉱 体 の 規 模 は 第3表の よ うで,そ の 上 下 深 約200mに 達 す る.し か し,そ の 下 限 は-90m坑 で, これ 以 下 は 梵 天 断 層(走 50°W,傾 斜EN50°)に れ 明 らか で な い.産 向N て断 た 出鉱 物 と し て は 石 英,カ オ リ ン,閃 亜 鉛 鉱, 黄 銅 鉱,緑 泥 石 な どを主 とす る が,こ れ らは 深 度 に よつ て そ の 鉱 物 組 成 を 異 に し,鉱 体 の上 部 (中切 坑 よ り上 部 露 頭 ま で)で は 石 英 ・カオ リソ質 脈 が 主 で, 第12図 小 山 鉱 山 梵 天 南 第 二 鉱 体,本〓,幸 I:梵 天南 第二 鉱体 II:本〓 鉱 :幸 鉱 率 は 一 定 しな い が,方 これ に 少 量 の 閃 亜 鉛 鉱 を とも な 鉱体断面図 1:緑 色 凝 灰 岩 4:鉱 脈 体 2:泥 岩 5:断 層 III 体 3:流 紋岩質凝灰岩 6:珪 鉛 鉱 お よび 黄 銅 鉱 の 一 部 を り ぞ 化 い,鉱 体 の 中 部(中 切 坑 ∼ 大 切 坑-50m坑)で 帯 鉛 鉱 脈 とな り,と くに 大 切 坑 以 下-20m坑,-30m坑 では閃亜鉛鉱脈 の 発達い ち じ き,浅 熱 水 性 金 銀 鉱 床 産 鉱 石 に 比 し,銀 品 位 低 く,金 量 る し く,脈 幅20∼50cm,脈 とほ ぼ 同 じか,も 10∼20%で,金 の に よつ て は 金 品 位 よ りむ し ろ少 な い は 石 英 ・閃 亜 中 品位Au30∼50g/t,Zn ・亜 鉛 鉱 と して 採 掘 さ れ た.下 部(大 場 合 さ え あ る.こ の現 象 は この 種 鉱 床 産 鉱 石 の 特 長 で あ 切 坑-50m坑 ろ う.な お 自然 金 の顕 微鏡 的 共 生 に つ い て は 稿 を改 め て か に 緑 泥石 が あ らわれ,こ れ に 黄 銅 鉱 も と も なわ れ,品 ∼-90m坑)で は 石 英 ・閃 亜 鉛 鉱 の ほ 報 告 す る. 位Au30∼100g/tと 高 い 値 を示 す.-70m坑 る と黄 銅 鉱 の量 が 増 加 し,-90m坑 8.鉱 床 各 論 1.0∼1.5%の 上 述 した 当 鉱 山の 諸 鉱 体 の うち,梵 天 本 鉱体,梵 天南 11図 お よび 第12図 (2)梵 の よ うで あ る.以 下 これ らの 鉱 体 に 天本鉱体 天南第一鉱体 品位 下 と な る. 上 記梵 天 本 鉱 体 とそ の 性 質 を 同 じ くす る鉱 体 で,緑 色 凝 灰 岩 と泥 岩 との 境 界 部 に 胚胎 つ い て説 明す る. (1)梵 黄 銅 鉱 ・緑 泥 石 質 鉱 石 と な るが,金 は 急 に 低下 して1∼2g/t以 第 一,第 二,第 三 鉱 体,本 鑓 鉱体 な どの 関 係 を示 せば 第 以下に な では 加 背 幅 平 均Cu す る細 脈 集 合 あ るい は 鉱 染 状 の 鉱 体 で,細 脈 は 石 英,黄 第14図 銅 鉱,閃 亜 鉛 鉱,緑 泥 右 な ど よ りな り,含 金 率1∼2g/t の よ うに 緑 色 凝 灰 岩 と黒 以 下 で 低 い が 銅 分 に とむ.こ 色 泥 岩 との境 界 に沿 つ て胚 胎す る 鉱 体 で,当 鉱 山 の 鉱 体 中 もつ 上 も規 模 が 大 ぎい.幅1∼30cm,平 .梵天 断 層 に よつ て 断 た れ,そ 均4∼8cm 31 の鉱 体 の 北 限 お よび 上 部 は の 西側,さ らに 南 側 お よび 32 鉱 山 地 vol.117,no.81 質 第14図 小 山鉱 山梵 禾 本 鉱 体 中 切 坑 鉱 床 図 (凡 例)は 第13図 小 山鉱 山 梵天 本鉱 体N40°E断 面図 1:泥 岩 3:鉱 脈 2:緑 色 凝 灰 岩 4:断 層 第13図 に同 じ て い るが,金 品 位 は 著 し く低 下 し0.4g/tで 4.7%に あ るが,Cu も達 す る.鉱 脈 の 末 端 部は 珪 化作 用 が 弱 く,黄 鉄 鉱 が 増 加 し,方 解 石,重 晶 石 な どの脈 石 鉱 物 が 多 くみ 下部 も断 層 に て境 され て い る. (3)梵 天南第二鉱体 隣 接 す る 鉱 脈 状 鉱 体 で,黄 泥 石,カ オ リ ソ,石 通1.0∼1.5m,そ られ る よ うに な る. 上 記 第 一 鉱 体 のす ぐ東 南 方 に 銅 鉱,黄 鉄 鉱,閃 英 な ど よ りな り含 金 率 高 く,脈 東 南30mに 幅は 可 採 幅 と な る.こ 脈 の 構 造 は 主 脈 の 中 央 部 に1隔0.5∼0.8mの の 両 側 約30∼50cmは Au1t∼3kg/tの ,Zn3∼5%0に 部 的 に はAu1∼4kg/tに 閃亜鉛鉱 に こ の 外 側 に 閃 亜 鉛 鉱,黄 80m坑 銅 鉱 の 細 脈 網 状 鉱 染 部 が あ り, 本 鉱 体 は―20m坑 で 梵 天 断 層 に て 断 れ,そ 部 は―130mま で,こ こで ∼ で の脈 質は 閃 亜 鉛 鉱 ・黄 銅 鉱 ,―100m坑 斜 して い る.本 鉱 体 には 第11図 脈網 第10表 ― で の よ うに そ の上 盤 側 に 小 山鉱 山梵 天 南第 三 鉱 体 上 盤1号 同2号 鉱脈 の規 模 と品位 も に 採 掘 せ られ て い る . 明 らか で な い(第12図).下 の量 は 限 られ は黄 銅 鉱 を 主 とす る.鉱 体 の落 しは西 北 方 に60° 内外 傾 外 側 の 珪 化 鉱 染 帯 はAu1.8g/t.Ag25g/t,Cu1.6%, 示 し,とZ 中 品位Au30∼50g/t,局 も達 す るが,そ し,尖 滅 あ るい は 断 層 に て 断 たれ て い る.―60m坑 き に 状 鉱 染 部 はAu15kg/t,Ag7g/t,Cu3.2%,Zn1.9%,, n1.7%を 採 掘 幅 と して い る,鉱 は 母 岩 の 珪 化 度 微 弱 とな り,重 晶石 ・方解 石 脈 に 移 化 異 常 に 高 品位 の 鉱 石 を も 産 す る. さ ら に そ の 外 側 に 珪 化 泥 岩 中 の 鉱 染 帯 を 配 す る.細 の よ うに 第2鉱 体 の 連 続 しな い.本 鉱 脈 の 上 部 末 端 は―60m坑 主 と して 黄 銅 鉱 ・ も 達 し,と 第11図 あ り,同 一 裂 罅 系 の鉱 床 で,鉱 脈 幅0.5m 物 種 は 第 二 鉱 体 と同 様 で,脈 の鉱 緑 泥 石 質 で こ の 両 者 が 含 金 率 高 く,Au200∼600g/t,Ag 20∼60g/t,Cu2∼7% 天南第三鉱体 で上 盤 に 鉱 染 し,1・0∼1.5mを の 外 側 に 多 数 の 細 脈 を と も な い, 母 岩 の 中 石 を 含 め て 幅 約5.0mが と む 部 分,そ (4)梵 亜 鉛 鉱,緑 の 上 部は で 確 め られ 32 および 1967 磯 部 ほか:山 形 県 磯 部 小 山鉱 山 の 金 銅 鉱 床 33 部 で は70° ∼80° に 急 斜 す る が,中 切 坑 よ り 上 部 で は50° ∼60° に 緩 斜 し,そ の 下 盤 に 下 盤〓,上 盤 側 に鰐 口鉱 体 を 配 す る. (6)幸 鉱体 最 近 発 見 せ られ た 鉱 体 で, 本〓 鉱 体 の 東 北 方 約40m下 図).―30m坑 盤 側 に あ る(第12 な い し―80m坑 間で開発せ ら れ て い る.珪 化 黒 色 泥 岩 中 の平 行 細脈 集 合 な い し網 状 体 で,全 体 と して 鉱 体 幅1.5∼2. m,最 大5mの 脈 状 鉱 体 を な し,平0 均 品 位Au 6∼8g/t,Ag5∼6g/t,最 大Au200g/tを す.こ れ に 若 干 量 の閃 亜 鉛 鉱,微 鉱 黄 鉄 鉱 を と も な うが,緑 示 量 の 黄銅 泥 石 は ほ とん ど み られ ない.母 岩 の珪 化 の 程 度 は 本鑓 鉱 体 よ り低 い. 以 上 の鉱 体 のほ か に梵 天 南第 四,下 盤〓, 鰐 口,中 盛,稲 荷 お よび 弁 天 な どの諸 鉱 体 が あ る.そ の 規 模 お よ び賦 存 状 態 は 第3表 の よ うで,い ず れ もほ とん ど採 掘 ず み で あ る. 9.鉱 床の帯状分布 当 鉱 山に お い ては 各鉱 体 とも 垂 直 方 向 に 鉱 物 組 成 の変 化 が み られ る.す な わ ち 一 般 的 傾 向 と して上 部 で石 英 ・カ オ リン質 脈 で あ る も のが 下 部 に 行 くに したが つ て これ に 閃 亜 鉛 鉱 第15図 小 山鉱 山 本〓―60m坑 1:泥 岩,2:鉱 脈,3:断 を と も ない,つ 鉱 床図 ま じえ,さ い で これ に 黄 銅 鉱,緑 泥 石 を らに 下 蔀 で は黄 銅 鉱 を 主 と し,こ 層 れ に 黄 鉄鉱 ・緑 泥 石 を と もな うに い た る.い 2条 の平 行 脈 を有 す る.第 三 鉱 体 上 盤1号 お よび2号 が ま これ らを 主要 構 成 鉱 物 に よつ て 分 帯 すれ ば,第16図 そ れ で,そ の状 態 お よび 規 模 は 第10表 の よ うに 上 部 よ り1)石 英 ・カ オ リソ帯,2)石 これ ら鉱 脈 の鉱 質 は 第三 鉱 体 同 様 で あ る. オ リ ン ・閃 亜 鉛 鉱 帯(移 化 帯1),3)閃 亜 鉛 鉱 帯,4) (5)本 閃 亜 鉛 鉱 ・黄 銅 鉱 帯(移 化 帯II),5)黄 銅 鉱 帯 の順 と な 鏈鉱体 体 で あ るが,そ の よ うで あ る. 梵 天 本 鉱 体 と と もに 当 鉱 山 の主 要 鉱 の大 部 分 は す で に 採 掘 済 み で,目 下 そ の 下 部 の一 部 を採 掘,あ る.自 然 金 は これ らの 帯 す べ て に と もな うが,3)∼4)帯 るい は 探 鉱 中 で あ る.鉱 床 は 第15 に お い て著 し く濃 集 し,5)帯 で は急 に そ の 品 位 を 低 下 す 図 の よ うに 珪 化 され た凝 灰 質 泥 岩,黒 色 泥 岩,一 部 角 礫 る.以 下 主 要鉱 体 の 上 下 変 化 に つ い て 述 べ る. (1)梵 凝 灰 岩 を母 岩 とす る平 行 あ るい は これ と斜 交 す る細 脈 の 集 合 脈 で,細 脈 は 幅1∼5cm,と り,集 合 脈 の採 掘 幅 嫁1∼3.5m;最 位4∼8g/t,普 通5.0g/t程 きに5∼15cmに 大7m,そ 天 本 鉱 体+70m坑 よ り上 部 は ほ とん ど石 英 ・カ オ リン脈(石 英 ・カ オ リン帯),こ な れ よ り下 部 中 坑 切,大 切 坑 地 並 に 向 うにつ れ て閃 亜 鉱 成 分 を 増 し,石 の金品 度 で あ る.鉱 体 の 上 部 で は 第11表 石 英 ・カ オ リン質 脈 を 主 と し,こ れ に 少 量 の 閃 亜 鉛 鉱 を 小 山 鉱 山 梵 天 本 鉱 体 に お け る産 出鉱 物 の 深 度 変化 随 伴 す るが,硫 化 物 は い た つ て 少 な い.下 部 で は 上 記 鉱 物 の ほ か に黄 銅 鉱,黄 鉄 鉱,緑 泥 石 を と もな つ て くる. しか し,こ れ らの量 は上 記 した梵 天 諸 鉱 体 に 比 し少 量 で あ る. 鉱 体 の 規 模 は第3表 英 ・カ の よ うで あ るが,走 向 延 長 は 下 部 に行 くに した が つ て 減 じ,扇 状 の 形 態 を な す.傾 斜 も下 +の 数は量 を表わす 33 34 鉱 山 地 質 vol.17,no.81 英 ・カ オ リ ン ・閃 亜 鉛 鉱 帯 と な る,大 切 坑―20m坑, 30m坑 で は 閃 亜 鉛 鉱 の 量 を さ らに 増 加 ― し,閃 亜 鉛 鉱 帯 に入 る.―60m玩 地 並 で は 閃 亜 鉛鉱 の ほ か に 黄 銅 鉱 を少 量 と もな い,脈 石 と して 緑 泥石 が 現 出 しは じめ る. さ らに 下 部 に な れ ば 黄 銅 鉱 の量 は 次第 に増 加 し,こ れ に 緑 泥 石 を と もな い 閃 亜 鉛 鉱一 黄 銅鉱 帯 とな り,―90mで は 黄 銅 鉱 帯 に 入 り坑 道 幅 でCu1.2%の 銅鉱石を産す る に 至 る.い ま産 出 鉱物 と鉱 石 品位 の上 下 変 化 を 示 せ ば 第 11表 お よび 第12表 の よ うで,こ の両 表 か ら上 下 の 帯 状 分 布 を うか が い しる こ とが で き る.ま た 当 鉱 体 に お け る 金 富 鉱部 お よび銅 富鉱 部 を示 せば 第17図 お よび 第18図 の よ うに な る.こ れ か らも帯 状 分 布 が 理 解 され る. (2)梵 天 南 第 一 鉱 体―80m坑 第12表 第16図 I:梵 II:梵 天 本 鉱 体 第二 :〃 第三 〃 IV 第17図 小 山鉱 山梵 天 本 鉱 体 平均 品位 小 山鉱 山垂 直 帯 状 分 布 図 V:梵 天南第一鉱体 :〃 よ り上 部 では 閃 亜 天 南 第四 鉱 体 :本〓 〃 III :幸 Qz:石 鉱 鉱 Ka:カ VI 体 Cp:黄 VII 体 Sp:閃 オ リ 銅 亜 ン 鉱 鉛 鉱 英 小山鉱山梵天本鉱体金富鉱帯図 第18図 34 小 山鉱 山 梵 天 本 鉱 体 銅 富 鉱 帯 図 1967 35 磯 部 ほ か:山 形 県 磯 部 小 山 鉱 山 の金 銅 鉱 床 第13表 小 山 鉱 山 梵 天 南 第二 鉱 体 に お け る産 出 鉱 (3)梵 物 の深 度 変 化 30m地 m坑 天南第二鉱体 最 上 部 坑 の―20m地 並 間 では 閃 亜鉛 鉱 帯,―30m坑 並 より 地 並 よ り―80― 地 並 で は 閃 亜 鉛 鉱 ・黄 銅 鉱 帯(移 化 帯II),そ 下 最 下 部 坑 の―130m地 れ以 並 ま で は 黄 銅 鉱 帯 に な る.産 出 鉱 物 の 各 地並 に お け る分 布 状 態 を 表 示 す れ ば,第13表. の よ うで,黄 銅 鉱 帯 に は多 量 の緑 泥 石,一 部 重 晶 石 を と +の数は量を表わす 第14表 も な う.ま た 各 地並 の鉱 体 平 均 品 位 を 示 せ ば 第14表 よ うで―100m坑 小 山鉱 山梵 天 南 第 二鉱 体 平均 品 位 の 以 下 では 金 銀 は ほ とん どな く,銅 の み の富 鉱 体 とな る.こ の場 合 の 金 品 位 の 変 化 も 急 激 で あ る.い ま上 下 方 向に お け る金 銅 富 鉱 部 の状 態 を 図 示す れ ば 第19図 の よ うで あ る. (4)梵:天 鉱,閃 る.―80m坑 鉛 鉱 一 黄 銅 鉱 帯(移 化 帯II),下 100m坑 部 で は 黄 銅 鉱 帯 に 属す る. 南 第 三 鉢 体.上 部 の―60m坑 では黄銅 亜 鉛鉱 質 で そ の 末 端 で は 重 晶 石,方 解 石 脈 とな で も黄 銅 鉱,閃 亜 鉛鉱 帯 に 属 す るが,― では 黄 銅 鉱 の成 分 を 増 加 し,黄 銅 鉱 帯 に 移 化 す る.金 品 位 は 上 部 の―60mな い し―80m坑 30∼50g/t,局 では脈品位 部 的 に は4kg/tの に 高 い値 を 示 す が,―100m坑 品 位10g/t以 異常 では 脈 下 に低 下 し,―130m坑 で は 痕跡 程 度 と な り,反 面Cu1.2% に 達 す る.い ま金 品位 の分 布 状 態 を 示 せ ば 第20図 の よ うで,下 部 で富 鉱 部 が 尾 縮 す る状 態 が よ くわ か る. (5)本〓 鉱体 大 切 坑 地 並 よ り上 部 で は 石 英 ・カ オ リ ソ帯 で,硫 化鉱 物 は ぎわ め て 少 な いが,―30m坑 地並 付 近 よ り閃 亜 鉛 鉱 をや や と も な い, 60m坑 地 並 以下 で は 黄 銅 鉱 が み ―ら れ る よ うに な る.し か し本〓 で は 前 記 諸 梵 天 鉱 体 に 比 し硫 化 鉱 物 の量 が 少 な 第19図 小 山鉱 山梵 天 南 第 二鉱 体 金 銅 富 鉱 帯 図 く,し た が つ て そ の 帯 状 分 布 も明 瞭 で な い. (6)幸 80m坑 鉱 体―30m坑 地並 よ り 地 並 に わ た つ で 開 発 され て ― い るが,上 部 で は 石 英 ・カ オ リン帯, 下 部 で は これ に 僅 量 の閃 亜 鉛 鉱 を と も な う.黄 銅 鉱,黄 鉄 鉱 は まれ で あ る. 以 上 ρ鉱 体 のほ か,梵 天 南 第 四 鉱 体 は 石 英 ・カ オ リソ ・閃 亜 鉛鉱 帯 に 属 し,下 盤〓 鋸 体 は 石 英・カ オ リン帯 に 入 る. (7)総 括 上述 の よ うに 各 鉱 体 は 下 部 に行 くに した が つ て閃 亜 鉛 鉱,黄 銅 鉱 な ど の硫 化 鉱 物 を増 加 す る一 般 的 第20図 小 山 鉱 山 梵 天 南 第三 鉱 体 金 富 鉱 帯 図 35 傾 向が み られ る が,こ れ ら鉱物 の変 化 III 36 鉱 山 地 質 vol.17,no.81 Wで,東 北 方 あ る い は 西 南 方 に70° ∼80° 急 斜 してい る.一 方 細 脈 集 合 の 網 状 な い し 鉱 染 状 の 塊 状 鉱体 は梵 天 本 鉱体,梵 天 南 第 一 鉱 体 お よび 弁天 鉱体 な どで,細 脈 裂 罅 と して は 南北 性 と東 西 性 とが 卓 越 してい る. これ らの各 鉱 体 の配 置を 模 式 的 に 記 せ ば 第 22図 の よ うで 鉱 脈 系 は ほ ぼ 平 行 な2群 が あ り,1つ は 梵 天 南 鉱 体 群 で ほ ぼ 同一 弱線 上 に 第 二,第 三,第 四 の3鉱 体 が配 列 し, 他 の1つ は そ の北 側 に み られ る本〓 鉱 床 群 で,本 鑓 鉱 体,幸 鉱 体,下 盤〓 鉱 体 な どが あ る.こ れ らの傾 斜 は逆 で ともに 内側 に 急 斜 して い る.塊 状 鉱 体 中梵 天 南 第 一 鉱 体 は 梵 天 南 鉱 脈 系 の走 向延 長 上 に 位 し,梵 天 本 鉱 体 お よび 弁 天 鉱 体 は そ の 位 置 よ り母岩 の 走 向が 南 か ら北 に 向 つ てNW-SWよ.り N-Sな い しNE-SWを NW-SWに へてふ た た び な る逆S状 褶 曲部 に相 当 し, か か る部 分 は 地 層 の傾 斜 も急 と な り,断 層 も生 じて い る. (2)断 層 鉱床付近の主な断層は地質 図に み られ る よ うに 間 沢 川 に 沿 う間 沢 川断 層,オ 第21図 I:梵 II:梵 天 小 山 鉱 山―80m地 本 鉱 体 並帯状分布図 :梵 天 南 第 二 鉱 体 天 南 第一 鉱 体 :〃 第三 〃IV V:梵 天 南 第 四 鉱体VI :幸 鉱 ブ ク ロ沢 に 沿 うオ ブ ク ロ沢 断 層 な ど 走 向N20°E(南 北 性)の もの と,ほ ぼ こ れ に 直 交 す る金 山 沢 断 層 な どがみ られ る. 体 坑 内 で 観 察 され る主 要 な も のに は 梵 天 断 層 す る深 度,そ の量 的 割 合 は 各鉱 体 に よつ て異 な る.い ま が あ り,こ れ は走 向N50° ∼60°Wで 東 北 方45° ∼60°に 黄 銅 鉱 を取 りあ げ て 考 え て み るに,各 鉱体 の うち黄 銅鉱 傾 斜 して い る.こ の梵 天 断 層 に 付 随 して これ と類 似 した の もつ と も濃 集 した も のに 梵 天 南 第 二 鉱 体 で ,い ま これ 断 層が 部 分 的 に み られ る.梵 天 南 第 二 鉱 体 の 下 盤 を 限 る を 中 心 に 考え てみ るに,こ れ よ り離 れ るに つ れ て黄 鈿 鉱 断 層 や 第3鉱 体 中 に み られ る断 層 な どが それ で あ る,梵 の量 を 減 じ,水 平 方 向に も上 下 のそ れ と同 様 な帯 状 分 希 が推 定 され る.た とえ ば,―30m坑 合,梵 天 本 鉱 体 や 本〓 鉱 体 は これ に よつ て 一 応 下 限 が 決 め ら 地 並 を 基 準 に した れ,梵 天 南 第 一 鉱 体 お よび 同 南 第二 鉱 体 は 本 断 層 お よび 天 南 第二 鉱 体 で は 閃 亜 鉛 鉱,黄 銅 鉱 帯,梵 天 本 場 鉱 体 で は閃 亜 鉛 鉱 帯,本〓 これ に と もな う断 層 に よつ て上 限が 定 め られて い る,梵 鉱 体 で は石 英 ・カ オ リン ・閃 天 本 鉱体 は上 述 の逆S状 褶 曲部 にお け る緑 色 凝 灰 岩 と黒 幸 鉱体 で は石 英 ・カ オ リン帯 とな る,こ の 状 亜鉛鉱帯, 色 泥岩 の両 者 を母 岩 とす るが,こ 態 を い ま―80m地 並 に つ い て模 式 的 に 示 せ ば 第21図 の よ うで,こ れ らの事 実 か ら当 鉱 床 生 成 の鉱 化 作用 は 梵 走 向は ほ ぼ 南 北 を 示 し,西 方 に70° ∼85土 急 斜 す るか, 天 南 第2鉱 体 を中 心 に行 なわ れ た疑 いが あ る. 10,裂 (1)鉱 床胚胎の裂罅 の境 界 が しば しば 断 層 に なつ て い る.こ の状 態 ぽは―40m以 下 で よ く観 察 され, と きに 逆 転 して い る.さ きに述 べ た鉱 床 を 胚 胎 して い る 裂 罅 系 と この 断 層群 との成 因的 な関 係 が 聞 題 に な るが, 罅系について これ らの 断 層 と裂 罅 系 の 間 には あ る関 係 が み と め られ 上 述 の よ うに 当 鉱 床 は 裂 罅 充 る.南 北 性 断 層,東 西 性 断 層 の剪 断 裂 罅 に対 し,鉱 脈 な 式 の単 純 鉱脈 な い し平 行 細 脈 集 合体 ま た は 網 状鉱 染 鉱 填 い し平 行 細 脈 式 の裂 罅 は 空 間 的 配 置 で は 張 力裂 罅 に 当 体 で,単 純 鉱脈 な い し平 行 細 脈 集 合体 と して は,梵 天 南 る.実 際 に この裂 罅 は 鉱 脈 の 場 合 走 向延 長が 短 いわ りに 第 二 鉱 体,同 脈 幅 広 く,か つ 雁 行 的 配 列 を示 し,両 盤 のず れ が な い な 第三 鉱 体,同 第 四 鉱 体,本〓 鉱 体,下 盤〓 鉱 体 お よび 幸 鉱 体 な どで,そ の主 要 裂 罅 系 はN35° ∼60° ど張 力 裂 罅 の特 長 を 有 して い る.一 方 塊 状 鉱 体 にお い て 36 1 967 37 磯 部 ほ か:山 形 県 磯 部 小 山鉱 山 の金 銅 鉱 床 らか に 認 め られ る.こ れ らの関 係 に つ い て は 大 津 秀 夫 (1956a)に よる 研 究 が あ る.こ の よ うな上 下 変 化 がみ られ る こ とは 鉱 液 の温 度,圧 力,組 成 な ど条 件 の変 化 が 急 激 で あ つ た た め と思 わ れ,こ の要 因 は 恐 ら く鉱 床 生 成 の場 が か な り地 表 か ら浅 い 部 分 で あ つ た こ と よるもの と考 え られ る(Borchert,1951;Schneiderhohr,1949)・ す で に 地質 の 項 で 述 べ た よ うに 当 地 域 に は 酸 性 火 山活 動 が著 し く,流 紋岩 お よび 同 質 凝 灰 岩 の 発 達 が よい.こ の 活 動 と鉱 床 の生 成 と密接 な 関係 が あ る こ とが 一 応 想 像 さ れ,この 活 動 は 西 黒 沢 階 上 部 な い し女 川 階 下 部 よ り中 部 に 至 る も の と考え られ る.ま た 地 質 の 項 で の べ た よ うに 鉱 床 の胚 胎 に 関係 あ る と思 わ れ る鉱 化 作 用 を 蒙 つ て い る の はA∼D層 で あ つ てE層,F層 と くにF層(白 には 鉱 床 を 胚 胎 せ ず, 色 凝 灰 岩,含 浮 石 砂 質 凝 灰岩 互 層)お よ び そ の 上 部 の 浮 石 質 凝 灰 岩 ・灰 色 泥岩 ・砂 質 泥岩 の 累 層 (女 川 階上 部 に相 当)中 に 鉱 化 作 用 の影 響 が み られ な い YLと は,鉱 床 生 成 に あ ず か つ た 主 要 鉱 化 作 用 が これ らの 地 層堆 積 前 にす で に終 つ て い た こ とを 暗 示 し てい る のか も知 れ な い,も 第22図 小 山 鉱 山付 近 地 質 構 造 お よび 裂 コ系 統 図 1:鉱 2:断 3:走 向 傾 脈 4:流 層 5:流 紋 岩 6:泥 紋岩質凝灰岩 7:緑 に 考 え れ ば,鉱 床 生 成 時 の深 度 は地 層 の厚 さな ど よ り大 岩 色 凝 しそ うで あ るな らば 当鉱 床 生 成 期 は 女 川 階 下 部 な い し中部 に な る可 能 性 が 考 え られ る.こ の よ う 略 的 に 当時 の地 表 あ るい は 海 底 よ り300∼500mあ 灰 岩 斜 るい は これ よ り浅 い と考え られ る. は 逆S状 褶 曲 に よつ て 南北 性,東 西 性,あ 謝辞 る いは これ ら 本 研 究 に あ た り始 終 御 指 導 い た だ いた 東 北 大 学 に斜 交す る裂罅 な どが み られ る.南 北 性 の も の は剪 断裂 名 誉 教 授 渡 辺 万 次 郎 先 生 に 感 謝 の 意 を 表 す る.ま た 宮 城 罅 が 主 で,東 西 性 の もの お よび これ に 斜 交 す る も の は張 教 育 大学 舟 山 祐 士 教 授 に は 当 地 域の 地 質 に つ い て御 教 示 力 裂 罅,一 部 剪 断 に よ る もの で あ る.こ の 裂 罅 は 褶 曲に を頂 き,同 大 学 阿部 宏 助 教授 に は 化 学 分 析 に 御 協 力 を 仰 とも な つ て 局部 的 に 生 じた もの.で,上 記 の鉱 脈 系 の も の い だ.更 に磯 部 小山 鉱 業所 佐 藤 所 長,本 社 鉱 山 事 業 部 の とは 裂 罅 の方 向,配 列 な どや や 趣 を こ とに す る.上 記 の 方 々に は 種 々御援 助 を頂 い た.こ こに 厚 く謝 意 を 表 す る. よ うな主 要 断 層 お よび 張 力 裂罅 を 生 じせ しめ た 圧 力 は お 参 考 そ ら く北 西 一 南 東 方 向 よ り加 わ つ た 公 算 が つ よい,こ の 種 の 構 造 圧 力 に よつ て鉱 床 生 成 前 に す で に 南北 性,東 阿部 宏(1957):金 198 西 H. Brindly, つ い て.岩 Zonengliederung der G.W. and and crystal 堀純 郎(1940) 鉱, 41, 192∼ Erolkruste. Robinson, der Geol. K. Mineralpa- Rdsch., (1952) 39, : X-ray 78•\51. identific- structure. : 尾 去 沢 鉱 山に お け る ナ ル ミ鉱(金 鉱)に つ い て. 地 質 雑 誌, 47, 183∼187. この 断 層 は 鉱 床 生 成 後 で も断 続 的 に 運 動 を く り返し,鉱 Mckinstry, 床 に も影響 を 与 え る一 方,現 在 み られ る地 質 図忙 も主 要 向山 な 購 造 線 とな つ て あ らわ れ て き てい る.こ のほ か 断 層 に H.E.(1948) 広(1950):高 雑, 56, 第1回, 大 津 秀 夫(1956b) Schneiderhohn, 須 藤 俊 男(1953) 帯 状 分 布 がみ られ る.こ の 傾 向は 当鉱 床 に限 つ た わ け で 12∼24, 67∼77. : 山形 県 中央 部 の鉱 床 の 概 要. 鉱 山 地 質, 6, 51∼53. H.(1949) : Erzlagerstatten. 22. : 粘 土 鉱 物, 107. 技 試 報 告, 9号, 1∼6. 37 質 : 山 形 県 中 央 部 の 鉱 凍 地 帯 に お け る 鉱 化 作 用 と裂〓 渡 辺 万 次 郎 ・苣 木 浅 彦(1950) な く,当 地 域 に あ る睦 合,高 旭,幸 生 な どに お し .て も 明 旨)地 羽 前国 西 村 山 郡 西 山 村間 沢 金 山, 金 鉱 調 査 報 文, 萱 木 浅 彦 ・保 科 恒 二(1956) . 地 質 雑, 62, 379. す で に述 べ た よ うに 当鉱 床 で は 半下 方 向 に や や 顕 著 な 290∼307. 113∼117. 系に 関 す る研 究. 鉱 山 地 質, 6, 床 形 成 に 関 す る考 察 Geology. 232. 大 津秀 夫(1956a) 動 さ れ て しい る. : Mining 籏 鉱 山 の 鉱 石 中の金 の産 状 に つい て(要 西 和 田 久 学(1907) : は 鉱 床 生 成 後 に生 じた もの も少 な くな く,梵 天 断 層 は こ: 11.鉢 : Die in ation 充 填 して 鉱 床 を 形 成 した も の と考 え られ る.も ち ろ ん, の1つ で,鉱 体 が これ に 断 たれ,移 (1951) ragenesen と し て抵 抗 の少 ない 張 力 裂 罅 を選 択 的 た上 昇 し,こ れ を 献 . Borchert, 性 両 断 層 と これ に 斜 交 す る張 力裂 罅 とが生 じ,鉱 液 は 主 文 鉱 石 に と も なう緑泥石に : 山形 県 小山 鉱山 の 地 質 お よび 鉱 床(要 旨) : 山形 県西 村 山郡 西山 村 の 金 属 鉱 床, 鉱