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胸膜炎を唯一の肺合併症とした顕微鏡的多発性血管炎の 1 例

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胸膜炎を唯一の肺合併症とした顕微鏡的多発性血管炎の 1 例
日呼吸会誌
●症
38(3)
,2000.
217
例
胸膜炎を唯一の肺合併症とした顕微鏡的多発性血管炎の 1 例
片江 正治
高橋 和久
能戸 幸司
鈴木
檀原
福地義之助
勉
高
佐藤 輝彦
要旨:症例は 75 歳女性,平成 10 年 6 月に突然,発熱が出現し,右優位の両側胸水が出現した.感染に伴
う胸膜炎を疑い,抗生剤を投与したが効果を認めなかった.尿検査で急性糸球体腎炎が示唆され,血管炎の
マーカーであるミエロペルオキシダーゼを対象抗原とする抗好中球細胞質抗体(MPO-ANCA)の著増とト
ロンボモデュリンの軽度上昇を認めた.胸水中 MPO-ANCA も異常高値を示したため,MPO-ANCA 関連血
管炎,特に顕微鏡的多発性血管炎(MPA)と,それに伴う胸膜炎と考えた.プレドニゾロン,サイクロフ
ォスファミドと血漿交換による治療を開始し,すみやかに血清中 MPO-ANCA の減少と,炎症反応の改善を
認め,胸水も減少した.しかし,その後,アスペルギルスと MRSA による肺炎を合併し死亡した.本症例
は肺病変として MPA に比較的多くみられる肺出血,間質性性肺炎を認めず,胸膜炎のみを肺合併症とした
点が特徴的と思われる.
キーワード:顕微鏡的多発性血管炎,ミエロペルオキシダーゼ,抗好中球細胞質抗体,胸膜炎
Microscopic polyangitis,Myeloperoxidase(MPO),Anti-neutrophil cytoplasmic antibody
(ANCA)
,Pleuritis
緒
家族歴:特記すべき事なし.
言
顕 微 鏡 的 多 発 性 血 管 炎(Microscopic
現病歴:平成 10 年 6 月 10 日に突然 39 度台の熱発が
polyangitis ;
出現する.上気道感染や尿路感染は否定的で消化器症状
MPA)はミエロペルオキシダーゼを対象抗原とする抗
も認めなかったが,夕方になると 39 度台の熱発を繰り
好中球細胞質抗体(myeloperoxidase-specific-anti-neutro-
返し,食欲不振も伴ってきたため,平成 10 年 6 月 23 日
phil cytoplasmic antibody ; MPO-ANCA)関連血管炎に
当院,膠原病内科に入院した.入院後,感染性胸膜炎を
分類される肺と腎臓の細小血管を炎症の主座とする血管
疑い,抗生剤や抗結核薬を開始したが効果なく,逆に胸
炎症候群1)だが,胸膜炎のみを肺合併症とする症例は極
水の増加傾向を認めたため当科と兼科となった.
めて稀である.従って,本疾患が MPA に特徴的と言わ
入院時 現 症:身 長 147 cm,体 重 40 kg,血 圧 150 78
れる間質性性肺炎,肺胞出血などの肺合併症を伴わず,
mmHg,呼吸数 48 回,体温 38.9 度と高熱であった.眼
胸膜炎のみを併発した場合,診断,および治療に難渋す
瞼結膜と眼球結膜に異常はなく,体表リンパ節は触知せ
ることが予想される.今回我々は,急速進行性の腎障害
ず,皮膚に皮疹は認めなかった.胸部ではラ音や心雑音
と胸水貯留で発症し,血清中と同様,胸水中の MPO-
は聴取しなかったが,右下肺野に呼吸音の減弱を認めた.
ANCA が高値を呈し,治療開始後,速やかに胸水の減
腹部は異常なく,神経学的に異常を認めなかった.また,
少を認めた MPA と思われる MPO-ANCA 関連血管炎
四肢に浮腫はなかった.
の一症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告
する.
入院時検査成績(Table 1)
:入院時の血液生化学的検
査では,軽度の貧血と血沈の亢進,軽度の肝機能障害を
症
例
認めたが他に異常所見を認めなかった.尿検査では,軽
度の蛋白尿,潜血と,赤血球,白血球,顆粒,上皮,硝
患者:75 歳,女性.
子などの各種円柱を認め,β 2 ミクログロブリンも高値
主訴:発熱,食欲低下.
であることから,糸球体病変と尿細管障害が疑われた.
既往歴:69 歳,子宮癌で子宮,卵巣摘出術.
血清学的検査では,CRP 8.1 mg ml と高値,入院後,血
〒113―8421 東京都文京区本郷 2―1―1
順天堂大学医学部呼吸器内科
(受付日平成 11 年 8 月 16 日)
管炎を疑って測定したミエロペルオキシダーゼ(MPO)
に対する p-ANCA が 784 EU と著増し,内皮細胞障害
を示唆すると言われるトロンボモデュリンが 93 EU ml
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Table 1 Laboratory data
CBC
WBC
8,900 /μl
Band
3%
Seg
80 %
Ly
10.5 %
Mono
3%
Eo
3.5 %
RBC
313×104 /μl
Hb
10 g/dl
Ht
29.5 %
Plt
41×104 /μl
ESR
103 mm/hr
Biochemistry
TP
6.7 g/dl
BUN
18 mg/dl
Cr
0.56 mg/dl
GOT
51 IU/L
GPT
41 IU/L
LDH
450 IU/L
CHE
538 IU/L
Glucose
95 mg/dl
Na
135 mM/L
K
3.1 mM/L
Urinalysis
protein
23 mg/dl
sugar
(−)
Cast
RBC 2630 /1vf
WBC 610 /1vf
Granular(+)
Epithelial(+)
Hyaline(+)
OFB(+)
β2 microglobulin 4,019 μg/L
Serological tests
CRP
RAPA
ANA
IgG
IgA
IgM
CH50
c-ANCA
(PR3)
p-ANCA
(MPO)
Thrombomodulin
Pleural effusion(right)
pH
S.G.
Rivalta
TP
Sugar
ADA
ANA speckled
RF
P-ANCA(MPO)
Bacterial Culture
Tbc Culture
Cytology
Cell population
lymphocyte
neutrophil
macrophage
eosinophil
Pleural biopsy
non-specific pleuritis
8.1 mg/ml
<×20
<×20
2,458 mg/dl
300 mg/dl
68 mg/dl
54.2 U
<10 EU
784 EU
9.3 EU/ml
7.391
1.017
(+)
4.2 g/dl
142 mg/dl
41.5 IU/L
<×20
<×20 IU/ml
698 EU
(−)
(−)
Class À
48.3 %
36.2 %
7.1 %
8.4 %
と軽度上昇を認めた.なお,プロテネース 3 に対する CANCA は陰性であり,リウマチ因子,抗核抗体も陰性
であった.胸水は浸出性でリンパ球 48.3%,好中球 36.2
%とリンパ球と好中球が増加していたが,胸水の細菌学
的,細胞診学的検査では有意な所見を認めなかった.胸
水中の各種自己抗体は陰性であったが,MPO-ANCA は
血清中と同様 698 EU と異常高値を示した.また,ブラ
インドの胸膜生検も 2 回施行したが,非特異的胸膜炎の
所見のみであった.
胸部 X 線検査:右側優位の両側胸水を認めるが,可
視範囲の肺野には浸潤影や間質影は認めなかった(Fig.
1)
.
胸 部 CT 検 査:大 動 脈 レ ベ ル の 胸 部 CT 縦 隔 条 件
Fig. 1 Chest X-ray on admission, showing pleural effusion predominantly in the right pleural cavity.
(Fig. 2 上段)は,右側優位の胸水貯溜を認めたが,縦
隔リンパ節の腫脹はなかった.左室レベルでの胸部 CT
肺野条件(Fig. 2 下段)は,胸水貯溜による圧排性の無
気肺像を認めたが,肺野には肺出血を示唆する肺胞充満
陰影や間質陰影の増強などは認めなかった.
胸膜炎を合併した多発性血管炎の 1 例
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Table 2 Time course of lymphocyte count and serum
γ-globulin level
June 24 Aug 20 Sep 21
Lymphocyte
(/ml) 934
γ-globulin
(g/dl)
1.4
1,433
1.5
874
0.71
Oct 26
Nov24
582
ND*
234
0.4
Treatment with steroid was started on Aug 31, 1998.
*
ND:not determined
2)
.その後,アスペルギルス肺炎,MRSA 肺炎を合併
し,入院後約半年の経過で死亡した.なお,家族の同意
が得られず,剖検は行い得なかった.
考
察
顕微鏡的多発性動脈炎(Microscopic polyarteritis nodosa)は,従来,古典的結節性多発動脈炎(Polyarteritis nodosa)の中で主として細小動脈に壊死性血管炎を
起こす一亜型とされていたが,現在では細小動脈のみな
らず毛細血管,細小静脈も罹患することから顕微鏡的多
発性血管炎(Microscopic polyangitis : MPA)として独
立した疾患単位として考えられている1).本症例を厚生
省難治性血管炎調査研究班の MPA の診断基準2)に照ら
Fig. 2 Chest CT scan on admission, revealing bilateral
pleural effusion(upper panel)but no infiltrative shadows or interstitial shadows in either lung field(lower
panel)
.
し合わせると,腎生検は施行できなかったが,1)既往
に腎疾患を認めず,入院前の外来での腎機能,尿検査に
は全く異常なく,2)発熱,胸水貯留とともに,蛋白尿,
沈渣の出現を認め,3)入院後,治療までの間に蛋白尿
の増加,腎障害が進行したことより主要項目の 1 つであ
臨床経過(Fig. 3)
:入院後,細菌性胸膜炎や結核性胸
る急速進行性腎炎を満たすと考えた.また MPO-ANCA
膜炎を疑い,各種抗生剤や抗結核薬を投与したが効果な
が陽性であることから MPA 疑いとはなるが,その他の
く,逆に炎症反応の増悪,胸水と蛋白尿の増加を認めた.
主要項目である典型的肺合併症である間質性肺炎,肺出
入院前に外来で施行した腎機能検査,尿検査では全く異
血を認めないため MPA と断定することは困難である.
常を認めず,発熱,胸膜炎とともに蛋白尿,沈渣の増加
しかし,現在では典型的肺合併症を欠く特発性壊死性半
など腎障害が進行したことから,胸膜炎に伴う急速進行
月体形成性腎炎は MPA の一亜型とされていることか
性腎炎を疑った.なお,患者の全身状態が不良のため腎
ら3),また,本症例は喘息症状,好酸球増多を認めず
生検は行い得なかった.入院後,血清中,胸水中の MPO-
Churg-Strauss 症侯群も否定的なため,MPO-ANCA 関
ANCA が異常高値であることが判明した.本症例は,
連血管炎に分類される広義の MPA と考えた.
血尿,タンパク尿を伴う急速進行性の腎病変を伴い,CRP
本症例で見られた胸膜炎は胸膜生検で血管炎の所見は
が陽性であることより組織学的裏付けは得られなかった
得られなかったが,胸水中の MPO-ANCA 値が異常高
ものの,MPO-ANCA 関連血管炎に分類される MPA を
値であり,また,各種の抗結核薬を含む抗生物質に全く
強く疑った.9 月より,副腎皮質ステロイドホルモン,
反応せず,逆に,ステロイドなどの MPA に対する治療
サイクロフォスファミド,血漿交換による治療を開始し
に対する反応性がきわめて良好であったことから,MPA
た. その後, すみやかに血清中 MPO-ANCA は減少し,
に関連した胸膜病変と考えた.有村ら4)の報告によると,
血沈,CRP も改善した.また,胸部レントゲン上,胸
MPA における肺病変の合併率は 82% で,その内訳は
水は著明に減少した.以上の治療経過より,胸水は血管
肺胞出血 59%,間質性肺炎 53% で胸膜炎の合併例はな
炎に関連した胸膜炎によるものと考えた.なお,尿蛋白
かった.DeRemee ら5)の報告でも p-ANCA 陽性血管炎
はこれらの治療に反応せず不変であった.治療開始後,
42 症例中,12 例(28%)に胸部 X 線上異常を認め,そ
リンパ球が 1,433 µl から 874 µl に,γ―グロブリンが 1.5
の内訳は 8 例(66%)が肺出血を思わせるびまん性肺胞
g dl から 0.71 g dl に減少し易感染状態となった(Table
陰影を,2 例(17%)が間質性肺炎を,2 例(17%)が
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Fig. 3 Clinical course. The patient’
s fever dramatically subsided and levels of MPO-ANCA in serum, CRP
and ESR markedly decreased, but proteinuria deteriorated. The patient eventually died of opportunisic infections(MRSA-pneumonia and Aspergillus-pneumonia)6 months after admission. CLDM : clindamycin,
ABPC : ampicillin, CAZ : ceftazidime, CPR : cefpirome, INH : isoniazid, RFP : rifampicin, MPO-ANCA :
myeloperoxidase-specific antineutrophil cytoplasmic antibody, Pro-U : urinary protein. MRSA : methicillinresistant staphylococcus aureus.
その両者の混在した像であったが,胸膜炎の記載はな
同様の機序で障害を受けた可能性は高いと思われるが,
かった.ANCA 陽性血管炎に合併する肺病変の病理組
その詳細については不明である.
織学的解析を行った Gaudin らの 報 告6)で は,MPA 12
MPA は,MPO-ANCA 関連血管炎の中でも予後の悪
例の肺病変として肺胞出血を 10 例(83%)に,間質性
い疾患と言われる.Hogan ら8)は治療効果や予後を左右
肺炎を 3 例(25%)に認めた.また,胸膜炎の合併を 1
する最大の因子は診断の時期,治療開始時期と報告した.
例(8%)に認めたが,その症例は肺出血と間質性肺炎
実際,臨床の現場で MPA が疑われるにも関わらず,組
も合併していた.我々が検索し得た限りにおいて,肺胞
織学的根拠がないため治療の開始が遅れる場合があり,
出血,間質性肺炎を伴わず胸膜炎のみを肺合併症とする
それが,MPO の予後を悪くする要因の一つと考えられ
MPA は現在までに報告はなく極めてまれと思われた.
ている.また,MPA は自験例のように患者の全身状態
血管炎の機序として抗好中球細胞質抗体 ANCA によ
が不良のため組織学的診断が得られないことも多く,ま
る好中球の過剰活性化が重要とされる.活性化に伴い好
た仮に組織の採取が可能であった症例であっても,血管
中球から脱顆粒が生じ,顆粒中に含まれる殺菌,組織障
炎の組織所見が得られた例は少ない.従って,MPA が
害因子により肺微小血管の内皮細胞が障害される結果,
強く疑われる場合,診断が 100% 確実でなくても本人及
肺毛細血管に壊死性血管炎を生じるのが本血管炎の病態
び家族に十分なインフォームドコンセントを行った上で
7)
と考えられている .本症例は,胸水中の MPO-ANCA
治療を開始した方が救命につながる場合もあると思われ
が異常高値であり,MPA に対する治療にきわめて反応
る.治療としては,ステロイド投与群と非投与群では,
が良好であったことから,胸膜の微少血管の内皮細胞が
5 年生存率で,48% と 12.8%,10 年生存率では 42.4%
胸膜炎を合併した多発性血管炎の 1 例
と 0%,免疫抑制剤+ステロイド投与群と非投与群,5
221
研究業績集.9,1996.
年生存率 50% と 12% とステロイドと免疫抑制剤の併用
3)仁保誠治,横田幸弘,竹本 剛,他:MPO-ANCA
が有効とされる9).また,主要な死因である腎病変,肺
が高値を呈し肺出血をきたした 2 例.日胸疾会誌
病変以外に治療としてステロイドや強力な免疫抑制剤を
1997 ; 35 : 111―116.
使用するため合併症である日和見感染で死亡することも
10)
少なくない .本症例も,ステロイドと免疫抑制剤を投
与し,全身状態,胸水は速やかに改善したが,治療に伴
う易感染性のため最終的にアスペルギルス肺炎,MRSA
肺炎で死亡した.有村ら4)の報告でも,MPO-ANCA 関
4)有村義宏,蓑島 忍,田中宇一郎,他:ミエロペル
オキシダーゼに対する抗好中球細胞質抗体陽性例に
おける肺病変の検討.リウマチ 1995 ; 35 : 46―55.
5)DeRemee RA, Homburger HA, Specks U : Lesion of
the respiratory tract associated with the findings of
anti-neutrophil cytoplasmic autoantibodies with a
連血管炎死亡例 14 症例の死因の内訳は,肺出血が 5 例,
perinuclear staining pattern. Mayo Clin Proc 1994 ;
敗血症が 5 例,脳出血が 2 例,間質性肺炎が 1 例,心不
69 : 819―824.
全が 1 例と肺合併症と感染症が最も多かった.従ってこ
6)Gaudin PB, Askin FB, Falk RJ, et al : The pathologic
れらの日和見感染症などの合併症を念頭においた全身管
spectrum of pulmonary lesions in patients with anti-
理が予後の更なる延長をきたす上で重要と思われる.
neutrophil cytoplasmic autoantibodies specific for
以上,胸膜炎を唯一の肺合併症とした MPA の 1 症例
を報告した.今後は,原因不明の胸膜炎に急速進行性の
anti-proteinase 3 and anti-myeloperoxidase. Am J
Clin Pathol 1995 ; 104 : 7―16.
腎病変を呈する症例に遭遇した場合,MPO-ANCA など
7)Falk RJ, Terrel RS, Charles LA, et al : Anti-neutro-
の血清学的マーカーを参考にして,血管炎症侯群を念頭
phil cytoplasmic autoantibodies induce neutrohils to
においた鑑別診断を行うことが必要と思われた.治療に
あたっては,開始時期を遅らせることなく,また強力な
免疫抑制療法に伴う日和見感染症などの合併症に十分な
注意が必要である.
degranulate and produce oxygen radicals in vitro.
Proc Natl Acad Sci USA 1990 ; 87 : 4115―4119.
8)Hogan SL, Nachman PH, Wilkman AS, et al : Prognostic markers in patients with antineutrophil cytoplasmic autoantibody-associated microscopic poly-
文
献
angitis and glomerulonephritis. J Am Soc Nephrol
1996 ; 7 : 23―32.
1)Jenette JC, Falk RJ, Andrassy K, et al : Nomenclature of systemic vasculitides. Arthritis Rheum 1994 ;
37 : 187―192.
2)橋本博史,安部 達,長澤俊彦,他:中・小型血管
炎の全国疫学調査.1996 年(平成 7 年度)厚生省
特定疾患難治性血管炎調査研究班(班長:長澤俊彦)
9)竹内孝男:多発性動脈炎の臨床的研究.臨床リウマ
チ 1995 ; 6 : 230―236.
10)Savage COS, Winearls CG, Evans DL, et al : Microscopic polyangitis : presentation, pathology, and
prognosis. QJM 1985 ; 220 : 467―483.
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Abstract
Microscopic Polyangitis with Pleuritis as the Only Pulmonary Complication
Masaharu Katae, Kazuhisa Takahashi, Koji Noto, Teruhiko Sato,
Tsutomu Suzuki, Takashi Dambara and Yoshinosuke Fukuchi
Department of Respiratory Medicine, Juntendo University School of Medicine,
2―1―1, Hongo, Bunkyo-ku, Tokyo 113―8421, Japan
A 75-year-old woman was admitted to our hospital because of high fever and appetite loss. A chest roentgenogram and computed tomographic scans revealed pleural effusion without obvious infitrative or interstitial
shadows in both lung fields. Laboratory data showed microhematuria, proteinuria, and telescoped sediment with a
moderate increase in C-reactive protein, suggestive of acute glomerulonephritis. Because infectious pleuritis, was
initially suspected, the patient was treated with antibiotics. However, her general condition deteriorated, and the
right pleural effusion increased. Levels of myeloperoxidase-specific anti-neutrophil cytoplasmic antibody(MPOANCA)in serum and pleural effusion were markedly elevated, yielding a conclusive diagnosis of MPO-ANCArelated vasculitis, especially microscopic polyangitis(MPA)
. The Patient was immediately treated treated with
prednisolone, cyclophosphamide, and plasma exchange. Several weeks later, her general condition dramatically
improved, and the level of MPO-ANCA in serum markedly decreased. In addition, the pleural effusion completely
disappeared. Unfortunately, the patient eventually died of opportunistic infections(MRSA-pneumonia and
Aspergillus-pneumonia)6 months after admission. This was a unique case of MPA associated with pleuritis without interstitial pneumonia or alveolar hemorrhage.
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